JP2002265474A - イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法 - Google Patents

イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法

Info

Publication number
JP2002265474A
JP2002265474A JP2001070782A JP2001070782A JP2002265474A JP 2002265474 A JP2002265474 A JP 2002265474A JP 2001070782 A JP2001070782 A JP 2001070782A JP 2001070782 A JP2001070782 A JP 2001070782A JP 2002265474 A JP2002265474 A JP 2002265474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
aromatic
organic
organic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001070782A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4573453B2 (ja
Inventor
Yasutaka Ishii
康敬 石井
Tatsuya Nakano
達也 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2001070782A priority Critical patent/JP4573453B2/ja
Publication of JP2002265474A publication Critical patent/JP2002265474A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4573453B2 publication Critical patent/JP4573453B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する有機
化合物から、ヒドロキシル基とともにシリル基を有する
有機化合物を製造できる方法を提供する。 【解決手段】 ヒドロキシル基とともにシリル基を有す
る有機化合物の製造方法は、下記式(I) 【化1】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
状イミド骨格を有するイミド化合物を含む触媒の存在
下、(A)非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する有機
化合物と、(B)シリルラジカルを生成可能なシラン系
化合物と、(C)酸素とを反応させて、対応するヒドロ
キシル基及びシリル基を有する有機化合物を得ることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N−ヒドロキシフ
タルイミドなどのイミド化合物を触媒として用いて、ヒ
ドロキシル基とともにシリル基を有する有機化合物を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ケイ素化合物は、合成材料の中間体
として重要な化合物であり、様々な合成方法が開発され
ている。なかでもアルケンのヒドロキシシリル化反応
は、炭素−ケイ素結合の形成として最も代表的な方法で
あり、広く検討されている。このようなヒドロキシル基
とともに、シリル基を有する有機化合物を、温和な条件
下であっても効率よく製造することができる方法が求め
られている。
【0003】また、N−ヒドロキシフタルイミド等のイ
ミド化合物は、分子状酸素による酸化、カルボキシル
化、ニトロ化、スルホン化、炭素−炭素結合生成反応
(アシル化、ラジカルカップリング反応等)などの諸反
応を温和な条件下で円滑に進行させる触媒として注目さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記イ
ミド化合物を触媒とし、非芳香族性炭素−炭素二重結合
を有する有機化合物を用いて、ヒドロキシシリル化反応
を行う方法は知られていない。
【0005】従って、本発明の目的は、N−ヒドロキシ
フタルイミドなどのイミド化合物触媒を用いて、非芳香
族性炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から、ヒド
ロキシル基とともにシリル基を有する有機化合物を製造
できる方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、温和な条件下であっても、効率よく、オレフィンか
らヒドロキシル基とともにシリル基を有する有機化合物
を製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討した結果、イミド化合物触媒
を用いて、非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する有機
化合物を、特定のシラン系化合物と酸素と反応させる
と、温和な条件下であっても効率よく、ヒドロキシル基
とともにシリル基を有する有機化合物を製造できること
を見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、下記式(I)
【化5】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
状イミド骨格を有するイミド化合物を含む触媒の存在
下、(A)非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する有機
化合物と、(B)シリルラジカルを生成可能なシラン系
化合物と、(C)酸素とを反応させて、対応するヒドロ
キシル基及びシリル基を有する有機化合物を得ることを
特徴とする有機化合物の製造方法を提供する。
【0008】前記非芳香族性炭素−炭素二重結合を有す
る有機化合物(A)には、下記式(2)で表されるオレ
フィンが含まれる。
【化6】 (式(2)中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なっ
て、それぞれ、水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb
c、Rdのうち少なくとも2つは、互いに結合して、隣
接する炭素原子又は炭素−炭素二重結合とともに環を形
成していてもよい)
【0009】また、前記シリルラジカルを生成可能なシ
ラン系化合物(B)としては、下記式(3)で表される
シラン系化合物を用いることができる。
【化7】 (式(3)中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換
若しくは無置換シリル基を示す。Re、Rf、Rgは、同
一又は異なって、それぞれ、水素原子、有機基または置
換若しくは無置換シリル基を示す)
【0010】
【発明の実施の形態】[イミド化合物]本発明では、触
媒として、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有
するイミド化合物を用いている。すなわち、イミド化合
物の使用量は触媒量である。
【0011】式(I)において、窒素原子とXとの結合
は単結合又は二重結合である。前記イミド化合物は、分
子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を
複数個有していてもよい。また、このイミド化合物は、
前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護
基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く
部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介し
て結合していてもよい。
【0012】式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基
の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシ
ル基の保護基を用いることができる。このような保護基
として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブ
チル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基
(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例え
ば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、
2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例
えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロ
モベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル
基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メ
チルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシ
メチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−ト
リクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)
メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基な
ど)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1
−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエ
チル、2,2,2−トリクロロエチル基など)、テトラ
ヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒド
ロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1
−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒ
ドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニル
メチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘ
ミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例え
ば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪
族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル、ナフトイ
ル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタ
ンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタン
スルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホ
ニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカル
ボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカル
ボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコ
キシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニ
ル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メト
キシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置
換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカル
バモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫
酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した
基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチ
ルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノ
チオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基
など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t
−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフ
ェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0013】また、Xが−OR基である場合において、
N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキ
シ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場
合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スク
シニル、グルタリル、フタロイル、イソフタロイル、テ
レフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボ
ニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シ
クロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン
基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル
基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0014】Rとしては、アルキル基(メチル基など)
以外の保護基がより好ましい。特に好ましいRには、例
えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミ
アセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン
酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの
酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水
分解により脱離可能な加水分解性保護基が好ましい。
【0015】前記イミド化合物の代表的な例として、下
記式(1)で表されるイミド化合物が挙げられる。
【0016】
【化8】 (式(1)中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原
子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1
びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒド
ロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキ
シカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに
結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の
環を形成してもよい。前記R1、R2、又はR1及びR2
互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−
置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていても
よい)
【0017】このイミド化合物において、置換基R1
びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素お
よびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル
基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アル
キル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例え
ば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基が挙げられる。
【0018】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜
10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1
〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0019】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカル
ボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ
部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基
が含まれる。好ましいカルボニル基にはアルコキシ部分
の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキ
シカルボニル基が含まれる。アシル基としては、例え
ば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基な
どの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0020】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル
基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、
ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置
換基を有していてもよい。
【0021】前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結
合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香
族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状
イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例
えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場
合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形
成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミ
ド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互
いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成す
る場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含ん
で前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0022】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化9】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0023】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0024】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N´−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N´−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N´−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどのXが−
OR基で且つRが水素原子である化合物;N−アセトキ
シコハク酸イミド、N−アセトキシマレイン酸イミド、
N−アセトキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N´
−ジアセトキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミ
ド、N−アセトキシフタル酸イミド、N−アセトキシテ
トラブロモフタル酸イミド、N−アセトキシテトラクロ
ロフタル酸イミド、N−アセトキシヘット酸イミド、N
−アセトキシハイミック酸イミド、N−アセトキシトリ
メリット酸イミド、N,N´−ジアセトキシピロメリッ
ト酸イミド、N,N´−ジアセトキシナフタレンテトラ
カルボン酸イミドなどのXが−OR基で且つRがアセチ
ル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオ
キシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチ
ルオキシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つR
がヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合
を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオ
キシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオ
キシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つRがス
ルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミ
ドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又は
ホウ酸エステルなどのXが−OR基で且つRが無機酸か
らOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0025】前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で
且つRが水素原子である化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経
てイミド化する方法により調製できる。前記酸無水物に
は、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和
又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無
水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シク
ロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シ
クロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽
和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂
環式多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイ
ミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環
式多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロ
モ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニト
ロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセ
ントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メ
リット酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれ
る。
【0026】前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で
且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応
するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イ
ミド化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所
望の保護基を導入することにより調製することができ
る。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒ
ドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩
基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより
得ることができる。
【0027】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミド、N,N´−ジヒドロキシピロメリット酸イ
ミド);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキ
シル基に保護基を導入することにより得られる化合物な
どが含まれる。
【0028】式(I)で表されるN−置換環状イミド骨
格を有するイミド化合物は、反応において、単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド化合物は
反応系内で生成させてもよい。
【0029】前記イミド化合物は、担体に担持した形態
で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、
シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質
担体を用いる場合が多い。前記イミド化合物の担体への
担持量は、担体100重量部に対して、例えば0.1〜
50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好
ましくは1〜20重量部程度である。
【0030】前記イミド化合物の使用量は、広い範囲で
選択でき、例えば、反応成分(基質)1モルに対して
0.0000001〜1モル、好ましくは0.0000
1〜0.5モル、さらに好ましくは0.0001〜0.
4モル程度であり、0.001〜0.35モル程度であ
る場合が多い。
【0031】[助触媒]本発明では、前記イミド化合物
からなる触媒に加えて助触媒を用いることもできる。助
触媒として金属化合物が挙げられる。前記触媒と金属化
合物とを併用することにより反応速度や反応の選択性を
向上させることができる。助触媒は一種又は二種以上組
み合わせて用いることができる。
【0032】金属化合物を構成する金属元素としては、
特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用
いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属
元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素とし
て、周期表2族元素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、
3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチノイド元素
など)、4族元素(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素
(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元
素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ruなど)、9族元
素(Co、Rhなど)、10族元素(Ni、Pd、Pt
など)、11族元素(Cuなど)、12族元素(Znな
ど)、13族元素(B、Al、Inなど)、14族元素
(Sn、Pbなど)、15族元素(Sb、Biなど)な
どが挙げられる。好ましい金属元素には、遷移金属元素
(周期表3〜12族元素)が含まれる。なかでも、周期
表5〜11族元素、特に5族〜9族元素が好ましく、と
りわけV、Mo、Mn、Coなどが好ましい。金属元素
の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度であ
る。
【0033】金属化合物としては、前記金属元素の単
体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン
化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ
酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、
炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩など
の無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン
酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、
錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成す
る配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ
(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、
アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカ
ルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルな
ど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、
ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原
子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフ
ィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合
物、NH 3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO
3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合
物などが挙げられる。
【0034】金属化合物の具体例としては、例えば、コ
バルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバ
ルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫
酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトな
どの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体
等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。
また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウ
ム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、
硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウム
などの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バ
ナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバ
ナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合
物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応
する化合物などが例示される。金属化合物は単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。
【0035】前記金属化合物の使用量は、例えば、反応
成分(基質)1モルに対して、0.000001〜0.
1モル程度、好ましくは0.00001〜0.01モル
程度である。また、前記金属化合物の使用量は、前記イ
ミド化合物1モルに対して、例えば、0.001〜10
モル程度、好ましくは0.005〜3モル程度である。
【0036】本発明では、また、助触媒として、少なく
とも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元
素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンタ
ーイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。
助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度
や反応の選択性を向上させることができる。
【0037】前記有機塩において、周期表15族元素に
は、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16
族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ま
しい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げら
れ、特に、N、P、Sなどが好ましい。
【0038】前記元素の原子に結合する有機基には、置
換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基など
が含まれる。炭化水素基としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜2
0程度)の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(ア
ルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8程度の脂環
式炭化水素基;フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素
基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン
原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例え
ば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基
など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置
換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置
換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、
エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキ
ル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、複素環基などが例示できる。好ましい炭化水素基
には、炭素数1〜30程度のアルキル基、炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基又はナフ
チル基)などが含まれる。前記置換オキシ基には、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など
が含まれる。
【0039】前記有機塩の代表的な例として、有機アン
モニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩
などの有機オニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム
塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチル
アンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムク
ロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ト
リエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリブチル
(ヘキサデシル)アンモニウムクロリド、ジ(オクタデ
シル)ジメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アン
モニウムクロリド、及び対応する第4級アンモニウムブ
ロミドなどの、窒素原子に4つの炭化水素基が結合した
第4級アンモニウム塩;ジメチルピペリジニウムクロリ
ド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、メチルキノリ
ニウムクロリドなどの環状第4級アンモニウム塩などが
挙げられる。また、有機ホスホニウム塩の具体例として
は、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチル
ホスホニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)ホ
スホニウムクロリド、トリエチルフェニルホスホニウム
クロリドなどの第4級ホスホニウムクロリド、及び対応
する第4級ホスホニウムブロミドなどの、リン原子に4
つの炭化水素基が結合した第4級ホスホニウム塩などが
挙げられる。有機スルホニウム塩の具体例としては、ト
リエチルスルホニウムイオジド、エチルジフェニルスル
ホニウムイオジドなどの、イオウ原子に3つの炭化水素
基が結合したスルホニウム塩などが挙げられる。
【0040】また、前記有機塩には、メタンスルホン酸
塩、エタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩、ドデ
カンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩(例え
ば、C 1-18アルキルスルホン酸塩);ベンゼンスルホン
酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン
酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸塩などのアルキル基で置換されていてもよい
アリールスルホン酸塩(例えば、C1-18アルキル−アリ
ールスルホン酸塩);スルホン酸型イオン交換樹脂(イ
オン交換体);ホスホン酸型イオン交換樹脂(イオン交
換体)なども含まれる。
【0041】前記有機塩の使用量は、例えば、反応成分
(基質)1モルに対して、0.000001〜0.1モ
ル程度、好ましくは0.00001〜0.01モル程度
である。また、前記有機塩の使用量は、前記イミド化合
物1モルに対して、例えば、0.001〜0.1モル程
度、好ましくは0.005〜0.08モル程度である。
【0042】また、本発明の方法では、系内に、ラジカ
ル発生剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。こ
のような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素な
ど)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過
酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド
(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)、ラジカル
開始剤(アゾビスイソブチロニトリルなど)、安息香
酸、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの成分
を系内に存在させると、反応が促進される場合がある。
前記成分の使用量は、前記イミド化合物1モルに対し
て、通常0.001〜0.1モル程度であるが、添加剤
の種類によってはそれ以上用いてもよい。
【0043】[有機化合物(A)]非芳香族性炭素−炭
素二重結合を有する有機化合物(A)(単に「有機化合
物(A)」と称する場合がある)としては、非芳香族性
炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する有機化合物
であれば特に制限されない。有機化合物(A)は単独で
又は2種以上組み合わせて使用することができる。な
お、有機化合物(A)は基質として用いることができ
る。
【0044】前記非芳香族性炭素−炭素二重結合として
は、脂肪族性炭素−炭素二重結合(アルケニル基を構成
する炭素−炭素二重結合)、脂環族性炭素−炭素二重結
合(シクロアルケニル基を構成する炭素−炭素二重結
合)などが挙げられる。
【0045】前記アルケニル基には、例えば、ビニル
(エテニル)、1−プロペニル、アリル(2−プロペニ
ル)、イソプロペニル(1−メチルビニル;1−メチル
エテニル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニ
ル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニ
ル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニ
ル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニ
ル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、
9−デセニル基などの直鎖又は分岐鎖状アルケニル基が
挙げられる。また、前記シクロアルケニル基としては、
例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロ
ヘプテニル、シクロオクテニル基などが挙げられる。な
お、アルケニル基やシクロアルケニル基において、炭素
−炭素二重結合の位置は特に制限されない。アルケニル
基やシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよ
い。
【0046】より具体的には、有機化合物(A)として
は、例えば、下記式(2)で表されるオレフィンなどが
挙げられる。
【化10】 (式(2)中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なっ
て、それぞれ、水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb
c、Rdのうち少なくとも2つは、互いに結合して、隣
接する炭素原子又は炭素−炭素二重結合とともに環を形
成していてもよい)
【0047】前記式(2)において、有機基としては、
シリルラジカルを生成可能なシラン系化合物(B)との
反応を阻害しないような有機基(例えば、本発明の方法
における反応条件下で非反応性の有機基)であればよ
く、例えば、炭化水素基、複素環式基、ハロゲン原子、
置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、ア
リールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニ
ル基、シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カル
ボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基(N−置換
又は無置換アミド基など)、シアノ基、ニトロ基、硫黄
酸基(スルホン酸基、スルフィン酸基など)、硫黄酸エ
ステル基(スルホン酸エステル基、スルフィン酸エステ
ル基など)、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシル
基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール
オキシ基、N−置換又は無置換アミノ基などが挙げられ
る。前記有機基において、カルボキシル基、ヒドロキシ
ル基やアミノ基などは慣用の保護基により保護されてい
てもよい。
【0048】前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪
族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに
好ましくは1〜6)程度の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族
炭化水素基(アルキル基、アルケニル基及びアルキニル
基)などが挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例
えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロオクチ
ル、シクロデシル、シクロドデシル基などの炭素数3〜
20(好ましくは炭素数3〜15)程度の脂環式炭化水
素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)など
が挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、例え
ば、フェニル、ナフチル基などの炭素数6〜14程度の
芳香族炭化水素基などが挙げられる。また、炭化水素基
としては、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜6程
度(特に、炭素数1〜4程度)のハロアルキル基も用い
ることができる。
【0049】また、複素環式基を構成する複素環には、
芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。この
ような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素
原子を含む複素環(例えば、フラン、テトラヒドロフラ
ン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5員環、4
−オキソ−4H−ピラン、テトラヒドロピラン、モルホ
リンなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、
4−オキソ−4H−クロメン、クロマン、イソクロマン
などの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含
む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチア
ゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オキソ−4
H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェンなどの
縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環
(例えば、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダ
ゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダ
ジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン
などの6員環、インドール、インドリン、キノリン、ア
クリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリンなどの縮
合環など)などが挙げられる。
【0050】前記ハロゲン原子にはフッ素、塩素、臭素
及びヨウ素原子などが含まれる。アルコキシカルボニル
基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニ
ル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基な
どのC1-6アルコキシ−カルボニル基などが含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、例えば、フェニルオ
キシカルボニル基などが含まれ、アラルキルオキシカル
ボニル基には、例えば、ベンジルオキシカルボニル基な
どが含まれる。また、シクロアルキルオキシカルボニル
基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニ
ル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられ
る。
【0051】また、置換カルバモイル基には、例えば、
N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイ
ル基などが含まれる。スルホン酸エステル基には、スル
ホン酸メチル、スルホン酸エチル基などのスルホン酸C
1-4アルキルエステル基などが含まれる。スルフィン酸
エステル基には、スルフィン酸メチル、スルフィン酸エ
チル基などのスルフィン酸C1-4アルキルエステル基な
どが含まれる。アシル基としては、例えば、アセチル、
プロピオニル、ブチリル、イソブチリル基などの脂肪族
アシル基(例えば、C2-7脂肪族アシル基など)、ベン
ゾイル基などの芳香族アシル基などが挙げられる。アシ
ルオキシ基としては、アセチルオキシ、プロピオニルオ
キシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ基などのC
2-7脂肪族アシルオキシ基などが挙げられる。アルコキ
シ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、ブトキシ基などの炭素数1〜6程度のアルコキシ基
などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基には、例え
ば、シクロヘキシルオキシ基が含まれる。アリールオキ
シ基としては、例えば、フェニルオキシ基が挙げられ
る。N−置換アミノ基には、例えば、N,N−ジメチル
アミノ、N,N−ジエチルアミノ、ピペリジノ基などが
含まれる。
【0052】好ましいRa、Rb、Rc、Rdとしては、水
素原子、炭化水素基[例えば、C1- 6脂肪族炭化水素基
(特にC1-4脂肪族炭化水素基など)、C6-14アリール
基(フェニル基など)、シクロアルキル基(3〜8員程
度のシクロアルキル基など)、ハロアルキル基(例え
ば、トリフルオロメチル基などのC1-6ハロアルキル
基、特にC1-4ハロアルキル基)など]、複素環式基、
置換オキシカルボニル基(例えば、C1-6アルコキシ−
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキ
ルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニ
ル基など)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモ
イル基、アシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸
基、硫黄酸エステル基、アシル基などが含まれる。
a、Rb、Rc、Rdとして特に好ましい基としては、水
素原子、脂肪族炭化水素基、置換オキシカルボニル基、
カルボキシル基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0053】また、Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくと
も2つが、互いに結合して形成された環には、例えば、
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シク
ロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロ
オクタン、シクロデカン、シクロドデカン環、デカリン
環、アダマンタン環などの3〜20員(好ましくは3〜
15員、さらに好ましくは5〜15員、特に5〜8員)
程度の非芳香族性炭素環(シクロアルカン環、シクロア
ルケン環、橋かけ炭素環);インデン環、1,2−ジヒ
ドロナフタレン環などの、シクロアルケン環に芳香族環
(例えば、ベンゼン環など)が縮合した縮合炭化水素
環;テトラヒドロフラン環、オキソラン環などの非芳香
族性複素環などが含まれる。これらの環は、置換基(例
えば、前記炭化水素基が有していてもよい置換基と同様
の基)を有していてもよく、また他の環(非芳香族性環
又は芳香族性環)が縮合していてもよい。
【0054】なお、前記式(2)における有機基(例え
ば、炭化水素基や複素環式基など)は、置換基を有して
いてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロ
ゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子など)、ヒ
ドロキシル基、オキソ基、置換オキシ基(アルコキシ
基、アシルオキシ基など)、カルボキシル基、置換オキ
シカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基な
ど)、置換カルバモイル基(モノ又はジアルキル置換カ
ルバモイル基など)、無置換カルバモイル基、置換アミ
ノ基(モノ又はジアルキルアミノ基や環状アミノ基な
ど)、無置換アミノ基、アシル基、シアノ基、ニトロ
基、複素環式基などが挙げられる。これらの置換基は、
保護基により保護されていてもよく、前記保護基として
は、有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。ま
た、これらの置換基は互いに結合して隣接する1又は複
数の炭素原子ととともに環を形成してもよい。
【0055】より具体的には、有機化合物(A)として
のオレフィン(前記式(2)で表されるオレフィン等)
としては、例えば、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式不飽
和炭化水素、α,β−不飽和エステル類、α,β−不飽
和カルボニル化合物(α,β−不飽和ケトン類)、α,
β−不飽和アルデヒド類、α,β−不飽和ニトリル類、
α,β−不飽和カルボン酸類、α,β−不飽和カルボン
酸アミド類、α,β−不飽和イミン類、ビニルエステル
類、ビニルエーテル類、ビニルアルコール類、共役ジエ
ン類(二重結合と三重結合とが共役している化合物も含
む)などが挙げられる。
【0056】オレフィンにおいて、脂肪族不飽和炭化水
素としては、例えば、エテン、プロペン、1−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オク
テン、1−オクテン−3−オール、1−ノネン、1−デ
セン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセ
ン、1−オクタデセン、1,5−ヘキサジエン、1,6
−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン、アリルベンゼン、
ビニルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサンなどのα
−オレフィン類や、2−ブテン、イソブテン、2−ペン
テン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン、2−ヘ
キセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセ
ン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、2−
ノネン、2,6−オクタジエンなどの内部オレフィン類
などが挙げられる。
【0057】脂環式不飽和炭化水素には、例えば、シク
ロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネ
ン、シクロデセン、シクロウンデセン、シクロドデセ
ン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘプ
タジエン、シクロデカジエン、シクロドデカジエン、ノ
ルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが含まれる。
【0058】α,β−不飽和エステル類には、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキ
シル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸
ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アク
リル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)
アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデ
シル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アク
リル酸イコシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アク
リル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘ
キシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステ
ルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが含まれる。
また、(メタ)アクリル酸エステルには、(メタ)アク
リル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなど
の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル酸ジ
メチルアミノエチルも含まれる。さらに、α,β−不飽
和エステル類としては、例えば、クロトン酸メチル、ク
ロトン酸エチルなどのクロトン酸アルキルエステル;3
−メチル−2−ブテン酸メチル、3−メチル−2−ブテ
ン酸エチル、2−ペンテン酸メチル、2−オクテン酸メ
チルなども用いることができる。
【0059】また、α,β−不飽和カルボニル化合物と
しては、例えば、3−ブテン−2−オン(ビニルメチル
ケトン)、3−メチル−3−ブテン−2−オン、4−ペ
ンテン−3−オン(ビニルエチルケトン)、3−ペンテ
ン−4−オン(メチル−1−プロペニルケトン)、5−
ヘキセン−4−オン、4−メチル−3−ペンテン−2−
オン、4−メチル−4−ペンテン−3−オン、ホロン
(2,6−ジメチル−2,5−ヘプタジエン−4−オ
ン)、2,6−ジメチル−5−ヘプテン−4−オン、1
−アセチル−1−シクロヘキセン、4−フェニル−3−
ブテン−2−オンなどの脂肪族α,β−不飽和カルボニ
ル化合物;2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロ
ヘキセン−1−オン、2−(3−メチルシクロヘキセ
ン)−1−オン、2−(3−メチルシクロペンテン)−
1−オン、2−シクロヘプテン−1−オン、2−シクロ
オクテン−1−オンなどの脂環式α,β−不飽和カルボ
ニル化合物などが挙げられる。
【0060】α,β−不飽和アルデヒド類としては、例
えば、プロペナール、クロトンアルデヒドなどが挙げら
れる。α,β−不飽和ニトリル類には、例えば、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトニルなどが含まれる。α,
β−不飽和カルボン酸類には、例えば、(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸などが含まれる。α,β−不飽和カル
ボン酸アミド類には、例えば、(メタ)アクリルアミド
などが含まれる。α,β−不飽和イミン類には、例え
ば、N−(2−プロペニリデン)メチルアミン、N−
(2−ブテニリデン)メチルアミンなどが含まれる。ビ
ニルエステル類には、例えば、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル
などが含まれる。ビニルエーテル類には、例えば、メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビ
ニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビ
ニルエーテルなどが含まれる。ビニルアルコール類に
は、例えば、ビニルアルコール、1−メチルビニルアル
コールなどが含まれる。共役ジエン類(二重結合と三重
結合とが共役している化合物も含む)には、例えば、ブ
タジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、2−エ
チルブタジエン、ビニルアセチレン、シクロペンタジエ
ン誘導体などが含まれる。
【0061】また、本発明では、有機化合物(A)とし
て、テルペン類を用いることもできる。テルペン類とし
ては、例えば、リモネン(dl−リモネン)、テルピネ
ン(α−,β−又はγ−テルピネン)、テルピノレン、
フェランドレン(α−又はβ−フェランドレン)、1−
p−メンテン、3−p−メンテン、カルベオール(ci
s体、trans体)、α−テルピネオール、1−p−
メンテン−4−オール、ピノール=ヒドラート、tra
ns−ソブレロール、カルベノン、カルボタナセトン、
カルボン、ピペリトン、ジオスフェノール、ピノール、
α−ピネン、2−ボルネン、α−セドレン、バレンセン
などの脂環族性炭素−炭素二重結合(環状の炭素−炭素
二重結合)を有するテルペン系化合物;オシメン、ミル
セン、ジヒドロミルセン、ゲラニオール、シトロネロー
ル、ネロール、リナロオール、シトラール、シトロネラ
ール、フェルネソール、ネロリドール、スクアレン、ジ
ヒドロカルベオール、trans−β−テルピネオー
ル、イソプレゴン、ジヒドロカルボン、β−セリネンな
どの脂肪族性炭素−炭素二重結合(鎖状の炭素−炭素二
重結合)などが挙げられる。
【0062】[シラン系化合物(B)]シリルラジカル
を生成可能なシラン系化合物(B)(単に「シラン系化
合物(B)」と称する場合がある)としては、シリルラ
ジカルを安定的に生成することができるシラン系化合物
であれば特に制限されない。シラン系化合物(B)は単
独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0063】シラン系化合物(B)としては、例えば、
下記式(3)で表されるシラン系化合物などが挙げられ
る。
【化11】 (式(3)中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換
若しくは無置換シリル基を示す。Re、Rf、Rgは、同
一又は異なって、それぞれ、水素原子、有機基または置
換若しくは無置換シリル基を示す)
【0064】このような式(3)で表されるシラン系化
合物は、基X(水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは
無置換シリル基)が解離して、安定なシリルラジカルを
生成させることができる。なお、このようなシリルラジ
カルは、(RefgSi・)として表すことができ
る。
【0065】前記式(3)において、Xのハロゲン原子
としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子などが挙
げられる。
【0066】また、Xにおける置換若しくは無置換シリ
ル基としては、下記式(3a)で表される置換若しくは
無置換シリル基を用いることができる。
【化12】 (式(3)中、Rh、Ri、Rjは、同一又は異なって、
それぞれ、水素原子、有機基または置換若しくは無置換
シリル基を示す)
【0067】Rh、Ri、Rjにおける有機基としては、
前記式(2)において例示された有機基、例えば、炭化
水素基(脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族
炭化水素基など)、複素環式基、ハロゲン原子、置換オ
キシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、
シクロアルキルオキシカルボニル基など)、カルボキシ
ル基、置換又は無置換カルバモイル基(N−置換又は無
置換アミド基など)、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基
(スルホン酸基、スルフィン酸基など)、硫黄酸エステ
ル基(スルホン酸エステル基、スルフィン酸エステル基
など)、アシル基、アシルオキシ基、ヒドロキシル基、
アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキ
シ基、N−置換又は無置換アミノ基などが挙げられる。
h、Ri、Rjにおいて、有機基としては、炭化水素基
(特にアルキル基などの脂肪族炭化水素基)、ハロゲン
原子、アルコキシ基を好適に用いることができる。
【0068】また、Rh、Ri、Rjにおける置換シリル
基としては、例えば、有機基により置換されたシリル基
(以下「有機基置換シリル基」と称する場合がある)な
どが挙げられる。該有機基置換シリル基において、シリ
ル基の置換に用いられる有機基としては、前記Rh
i、Rjにおける有機基と同様の有機基を用いることが
できる。
【0069】前記式(3)において、Re、Rf、Rg
おける有機基としては、前記Rh、R i、Rjにおける有
機基と同様に、前記式(2)において例示された有機基
を用いることができる。もちろん、これらのRe、Rf
gにおける有機基は、置換基を有していてもよい。ま
た、Re、Rf、Rgにおける置換シリル基としては、
h、Ri、Rjにおける置換シリル基と同様の有機基置
換シリル基を用いることができる。
【0070】より具体的には、シラン系化合物(B)と
しては、例えば、モノシラン系化合物、ジシラン系化合
物などが挙げられる。モノシラン系化合物には、例え
ば、シラン;テトラフルオロシラン、テトラクロロシラ
ン、トリフルオロシラン、トリクロロシラン、ジフルオ
ロシラン、ジクロロシラン、モノフルオロシラン、モノ
クロロシランなどのハロ系シラン;メチルシラン、エチ
ルシラン、プロピルシラン、イソプロピルシラン、ブチ
ルシラン、イソブチルシラン、t−ブチルシラン、ジメ
チルシラン、ジエチルシラン、ジプロピルシラン、ジイ
ソプロピルシラン、ジブチルシラン、ジイソブチルシラ
ン、ジt−ブチルシラン、トリメチルシラン、トリエチ
ルシラン、トリプロピルシラン、トリイソプロピルシラ
ン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリt
−ブチルシランなどのアルキル系シラン;トリメトキシ
シラン、トリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエ
トキシシラン、メトキシシラン、エトキシシランなどの
アルコキシ系シラン;ジクロロジメチルシラン、ジクロ
ロジエチルシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロエ
チルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチ
ルシラン、クロロジメチルシラン、クロロジエチルシラ
ン、クロロメチルシラン、クロロエチル、t−ブチルク
ロロジメチルシラン、t−ブチルクロロジエチルシラン
などのハロアルキル系シラン;ジメトキシメチルシラ
ン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラ
ン、ジエトキシエチルシラン、メトキシジメチルシラ
ン、エトキシジメチルシラン、メトキシジエチルシラ
ン、エトキシジエチルシランなどのアルコキシアルキル
系シランなどが含まれる。
【0071】また、ジシラン系化合物としては、例え
ば、ジシラン;ヘキサクロロジシランなどのハロ系ジシ
ラン;ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、
テトラメチルジシラン、ジメチルジシランなどのアルキ
ル系ジシラン;ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキ
シジシラン、テトラメトキシジシラン、ジメトキシジシ
ランなどのアルコキシ系ジシラン;メチルジクロロジシ
ラン、エチルジクロロジシラン、メチルクロロジシラ
ン、エチルクロロジシラン、ジメチルクロロジシラン、
ジエチルクロロジシランなどのハロアルキル系ジシラ
ン;ジメトキシメチルジシラン、ジメトキシエチルジシ
ラン、メトキシジメチルジシラン、メトキシジエチルジ
シラン、メトキシメチルジシラン、メトキシエチルジシ
ランなどのアルコキシアルキル系ジシランなどが挙げら
れる。
【0072】シラン系化合物(B)の使用量は、特に制
限されず、例えば、基質(有機化合物(A))1モルに
対して1モル以上(例えば、1〜100モル)、好まし
くは2〜50モル、さらに好ましくは3〜30モル程度
である。
【0073】[酸素(C)]酸化に利用される酸素とし
ては、発生期の酸素であってもよいが、分子状酸素を用
いるのが好ましい。分子状酸素は純粋な酸素を用いても
よく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不
活性ガスで希釈した酸素や空気を用いることもできる。
酸素の使用量は、例えば、基質(有機化合物(A))1
モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、
好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50
モル程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用す
る場合が多い。
【0074】[反応]本発明では、前記イミド化合物を
含む触媒の存在下、例えば、非芳香族性炭素−炭素二重
結合を有する有機化合物(A)を、シリルラジカルを生
成可能なシラン系化合物(B)と、酸素(C)と反応さ
せることにより、有機化合物(A)のに、ヒドロキシル
基とともに、置換又は無置換シリル基(「置換又は無置
換シリル基」を単に「シリル基」と称する場合があ
る。)を導入して、前記有機化合物(A)に対応するヒ
ドロキシル基及びシリル基を有する有機化合物を生成さ
せることができる。ヒドロキシル基及びシリル基を有す
る有機化合物としては、例えば、有機化合物(A)にお
ける非芳香族性炭素−炭素二重結合を形成する一方の炭
素原子にヒドロキシル基が導入され、他方の炭素原子に
シリル基が導入された有機化合物などが例示できる。よ
り具体的には、例えば、アクリル酸メチルを、前記イミ
ド化合物の存在下、トリエチルシランと酸素と反応させ
ると、α−ヒドロキシ−β−トリエチルシリルプロピオ
ン酸メチル(2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプ
ロピオン酸メチル)が生成する。また、メタクリル酸メ
チルを、トリエチルシランと酸素と反応させると、α−
ヒドロキシ−β−トリエチルシリルイソ酪酸メチル(2
−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルイソ酪酸メチル)
が生成する。
【0075】従って、本発明の方法では、ヒドロキシル
基とシリル基とを有機化合物に導入することができるの
で、このような反応を「ヒドロキシシリル化」反応と称
することができる。
【0076】なお、有機化合物(A)として、α,β−
不飽和カルボニル化合物(α,β−不飽和ケトン類)を
用いた場合、脱アシル化を伴い、β−ケトシリル化合物
が生成する場合がある。例えば、基質としてビニルメチ
ルケトンを用いて、トリエチルシラン及び酸素と反応さ
せると、ヒドロキシシリル化及び脱アシル化により、2
−トリエチルシリルエタナールが生成する場合がある。
【0077】有機化合物(A)のヒドロキシシリル化反
応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。
前記溶媒としては、基質(有機化合物(A))の種類等
により適宜選択でき、例えば、酢酸、プロピオン酸など
の有機酸;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾ
ニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセト
アミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪
族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメ
チルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼ
ン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;これらの混
合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、酢酸などの有
機酸類、アセトニトリルやベンゾニトリルなどのニトリ
ル類、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭
化水素、酢酸エチルなどのエステル類などを用いる場合
が多い。
【0078】なお、本発明では、イミド化合物触媒は、
反応開始前又は開始時に一括に添加して仕込んでもよ
く、反応開始前又は開始時から逐次添加してもよい。イ
ミド化合物触媒を逐次添加する場合は、反応開始時から
終了にかけて、反応系に連続的に添加してもよく、間欠
的に添加してもよい。イミド化合物触媒は系内にそのま
ま添加してもよく、適当な溶媒に溶解若しくは分散させ
て添加してもよい。このように、イミド化合物触媒を反
応系に逐次添加すると、反応系に一括添加した場合と比
較して、原料化合物の転化率が向上したり、副反応が抑
制されて目的化合物(ヒドロキシシリル化反応生成物)
の選択率が向上する場合がある。また、基質濃度が高い
場合に触媒活性が損なわれることがあるが、イミド化合
物触媒を逐次添加することにより反応が円滑に進行し、
目的化合物を高い収率で得ることができる。
【0079】なお、前記助触媒も反応系に逐次的に添加
してもよい。
【0080】ヒドロキシシリル化反応において、反応温
度は、基質の種類等に応じて適宜選択できるが、一般に
は0〜300℃、好ましくは10〜250℃、さらに好
ましくは20〜200℃程度である。反応は常圧又は加
圧下で行うことができ、加圧下で反応させる場合には、
通常、1〜100atm(=0.101〜10.1MP
a)[好ましくは、1.5〜80atm(=0.152
〜8.08MPa)]程度である。
【0081】反応は回分式、半回分式、連続式などの慣
用の方法により行うことができる。反応終了後、反応生
成物等は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽
出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分
離精製手段やこれらの組み合わせにより、容易に分離精
製できる。
【0082】
【発明の効果】本発明の方法によれば、N−ヒドロキシ
フタルイミドなどのイミド化合物を触媒として、非芳香
族性炭素−炭素二重結合を有する有機化合物(A)を、
シラン系化合物(B)と酸素(C)と反応させているの
で、温和な条件下であっても、効率よく、前記有機化合
物(A)に対応するヒドロキシル基及びシリル基を有す
る有機化合物を得ることができる。
【0083】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定され
るものではない。
【0084】(実施例1)基質としてアクリル酸メチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、及び溶媒として酢
酸エチル:2mlの混合物を、酸素雰囲気下(1atm
=0.101MPa)、60℃で3時間攪拌して反応を
行った。反応混合物をガスクロマトグラフィー、液体ク
ロマトグラフィー及び核磁気共鳴スペクトルで分析した
ところ、アクリル酸メチルの転化率は97%であり、ト
リエチルシランの転化率は43%であった。また、収率
62%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピ
オン酸メチルが生成していた。
【0085】(実施例2)反応温度を60℃に代えて5
0℃とすること以外は、実施例1と同様の操作を行った
ところ、アクリル酸メチルの転化率は75%であり、ト
リエチルシランの転化率は25%であり、収率54%で
2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオン酸メ
チルが生成していた。
【0086】(実施例3)溶媒としての酢酸エチルの使
用量を2mlに代えて1mlとすること以外は、実施例
1と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチルの転
化率は81%であり、トリエチルシランの転化率は16
%であり、収率44%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0087】(実施例4)反応時間を3時間に代えて2
時間とすること以外は、実施例1と同様の操作を行った
ところ、アクリル酸メチルの転化率は91%であり、ト
リエチルシランの転化率は28%であり、収率70%で
2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオン酸メ
チルが生成していた。
【0088】(実施例5)溶媒としての酢酸エチルの使
用量を2mlに代えて3mlとすること以外は、実施例
1と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチルの転
化率は82%であり、トリエチルシランの転化率は19
%であり、収率66%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0089】(実施例6)トリエチルシランの使用量を
15ミリモルに代えて30ミリモルとすること以外は実
施例1と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチル
の転化率は68%であり、トリエチルシランの転化率は
9%であり、収率54%で2−ヒドロキシ−3−トリエ
チルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0090】(実施例7)溶媒としての酢酸エチルの使
用量を2mlに代えて5mlとすること以外は、実施例
1と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチルの転
化率は91%であり、トリエチルシランの転化率は31
%であり、収率61%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0091】(実施例8)基質としてアクリル酸メチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.003ミリ
モル(基質に対して0.1モル%)、コバルト(III)
アセチルアセトナト:0.015ミリモル(基質に対し
て0.5モル%)、及び溶媒として酢酸エチル:2ml
の混合物を、酸素雰囲気下(1atm=0.101MP
a)、60℃で2時間攪拌して反応を行った。反応混合
物をガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー
及び核磁気共鳴スペクトルで分析したところ、アクリル
酸メチルの転化率は71%であり、トリエチルシランの
転化率は20%であった。また、収率66%で2−ヒド
ロキシ−3−トリエチルシリルプロピオン酸メチルが生
成していた。
【0092】(実施例9)助触媒としてのコバルト(II
I)アセチルアセトナトの使用量を0.015ミリモル
(基質に対して0.5モル%)に代えて0.03ミリモ
ル(基質に対して1モル)とすること以外は、実施例8
と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチルの転化
率は97%であり、トリエチルシランの転化率は32%
であり、収率68%で2−ヒドロキシ−3−トリエチル
シリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0093】(実施例10)助触媒としてのコバルト
(III)アセチルアセトナトの使用量を0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)に代えて0.003
ミリモル(基質に対して0.1モル)とすること以外
は、実施例8と同様の操作を行ったところ、アクリル酸
メチルの転化率は88%であり、トリエチルシランの転
化率は31%であり、収率73%で2−ヒドロキシ−3
−トリエチルシリルプロピオン酸メチルが生成してい
た。
【0094】(実施例11)基質としてアクリル酸メチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、ZrO(CH3
OO)2:0.03ミリモル(基質に対して1モル
%)、及び溶媒として酢酸エチル:2mlの混合物を、
酸素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、60℃
で2時間攪拌して反応を行った。反応混合物をガスクロ
マトグラフィー、液体クロマトグラフィー及び核磁気共
鳴スペクトルで分析したところ、アクリル酸メチルの転
化率は87%であり、トリエチルシランの転化率は29
%であった。また、収率73%で2−ヒドロキシ−3−
トリエチルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0095】(実施例12)助触媒としてのZrO(C
3COO)2をMn(CH3COO)2[使用量:0.0
3ミリモル(基質に対して1モル%)]とすること以外
は、実施例11と同様の操作を行ったところ、アクリル
酸メチルの転化率は58%であり、トリエチルシランの
転化率は17%であり、収率52%で2−ヒドロキシ−
3−トリエチルシリルプロピオン酸メチルが生成してい
た。
【0096】(実施例13)助触媒としてのZrO(C
3COO)2を水酸化銅(II)[使用量:0.03ミリ
モル(基質に対して1モル%)]とすること以外は、実
施例11と同様の操作を行ったところ、アクリル酸メチ
ルの転化率は83%であり、トリエチルシランの転化率
は22%であり、収率69%で2−ヒドロキシ−3−ト
リエチルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0097】(実施例14)助触媒としてのZrO(C
3COO)2を亜鉛(III)アセチルアセトナト[使用
量:0.03ミリモル(基質に対して1モル%)]とす
ること以外は、実施例11と同様の操作を行ったとこ
ろ、アクリル酸メチルの転化率は69%であり、トリエ
チルシランの転化率は17%であり、収率54%で2−
ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオン酸メチル
が生成していた。
【0098】(実施例15)基質としてアクリル酸メチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、酢酸マンガン(II
I):0.03ミリモル(基質に対して1モル%)、及
び溶媒として酢酸エチル:2mlの混合物を、酸素雰囲
気下(1atm=0.101MPa)、60℃で2時間
攪拌して反応を行った。反応混合物をガスクロマトグラ
フィー、液体クロマトグラフィー及び核磁気共鳴スペク
トルで分析したところ、アクリル酸メチルの転化率は8
6%であり、トリエチルシランの転化率は30%であっ
た。また、収率75%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0099】(実施例16)反応時間を2時間に代えて
3時間とすること以外は、実施例15と同様の操作を行
ったところ、アクリル酸メチルの転化率は96%であ
り、トリエチルシランの転化率は43%であり、収率7
0%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオ
ン酸メチルが生成していた。
【0100】(実施例17)基質としてアクリル酸メチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、酢酸銅(II):
0.03ミリモル(基質に対して1モル%)、及び溶媒
として酢酸エチル:2mlの混合物を、酸素雰囲気下
(1atm=0.101MPa)、60℃で2時間攪拌
して反応を行った。反応混合物をガスクロマトグラフィ
ー、液体クロマトグラフィー及び核磁気共鳴スペクトル
で分析したところ、アクリル酸メチルの転化率は49%
であり、トリエチルシランの転化率は15%であった。
また、収率49%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシ
リルプロピオン酸メチルが生成していた。
【0101】(実施例18)反応時間を2時間に代えて
3時間とすること以外は、実施例17と同様の操作を行
ったところ、アクリル酸メチルの転化率は61%であ
り、トリエチルシランの転化率は16%であり、収率6
1%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオ
ン酸メチルが生成していた。
【0102】(実施例19)反応時間を2時間に代えて
6時間とすること以外は、実施例17と同様の操作を行
ったところ、アクリル酸メチルの転化率は94%であ
り、トリエチルシランの転化率は42%であり、収率5
7%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルプロピオ
ン酸メチルが生成していた。
【0103】(実施例20)基質としてメタクリル酸メ
チル:2ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシ
ラン:20ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタル
イミド:0.4ミリモル(基質に対して20モル%)、
助触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.01ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、及び溶媒として酢
酸エチル:2mlの混合物を、酸素雰囲気下(1atm
=0.101MPa)、60℃で2時間攪拌して反応を
行った。反応混合物をガスクロマトグラフィー、液体ク
ロマトグラフィー及び核磁気共鳴スペクトルで分析した
ところ、メタクリル酸メチルの転化率は69%であり、
トリエチルシランの転化率は8%であった。また、収率
47%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルイソ酪
酸メチルが生成していた。
【0104】(実施例21)反応時間を2時間に代えて
6時間とすること以外は、実施例20と同様の操作を行
ったところ、メタクリル酸メチルの転化率は99%であ
り、トリエチルシランの転化率は54%であり、収率3
6%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルイソ酪酸
メチルが生成していた。
【0105】(実施例22)反応温度を60℃に代えて
50℃とするとともに、反応時間を2時間に代えて6時
間とすること以外は、実施例20と同様の操作を行った
ところ、メタクリル酸メチルの転化率は57%であり、
トリエチルシランの転化率は13%であり、収率55%
で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルイソ酪酸メチ
ルが生成していた。
【0106】(実施例23)反応温度を60℃に代えて
50℃とするとともに、反応時間を2時間に代えて10
時間とすること以外は、実施例20と同様の操作を行っ
たところ、メタクリル酸メチルの転化率は86%であ
り、トリエチルシランの転化率は19%であり、収率5
9%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルイソ酪酸
メチルが生成していた。
【0107】(実施例24)基質としてフマル酸ジエチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、及び溶媒として酢
酸エチル:2mlの混合物を、酸素雰囲気下(1atm
=0.101MPa)、60℃で12時間攪拌して反応
を行った。反応混合物をガスクロマトグラフィー、液体
クロマトグラフィー及び核磁気共鳴スペクトルで分析し
たところ、フマル酸ジエチルの転化率は95%であっ
た。また、収率51%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルコハク酸ジエチル(3−トリエチルシリルリン
ゴ酸ジエチル)が生成していた。
【0108】(実施例25)溶媒としての酢酸エチルに
代えて酢酸とすること以外は、実施例24と同様の操作
を行ったところ、フマル酸ジエチルの転化率は85%で
あり、トリエチルシランの転化率は23%であり、収率
53%で2−ヒドロキシ−3−トリエチルシリルコハク
酸ジエチルが生成していた。
【0109】(実施例26)溶媒としての酢酸エチルに
代えてアセトニトリルとすること以外は、実施例24と
同様の操作を行ったところ、フマル酸ジエチルの転化率
は99%以上であり、トリエチルシランの転化率は36
%であり、収率64%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルコハク酸ジエチルが生成していた。
【0110】(実施例27)溶媒としての酢酸エチルに
代えてアセトニトリルとするとともに、反応時間を12
時間に代えて10時間とすること以外は、実施例24と
同様の操作を行ったところ、フマル酸ジエチルの転化率
は99%以上であり、トリエチルシランの転化率は38
%であり、収率64%で2−ヒドロキシ−3−トリエチ
ルシリルコハク酸ジエチルが生成していた。
【0111】(実施例28)溶媒としての酢酸エチル:
2mlに代えてアセトニトリル:3mlとすること以外
は、実施例24と同様の操作を行ったところ、フマル酸
ジエチルの転化率は99%以上であり、トリエチルシラ
ンの転化率は40%であり、収率66%で2−ヒドロキ
シ−3−トリエチルシリルコハク酸ジエチルが生成して
いた。
【0112】(実施例29)基質としてフマル酸ジエチ
ル:3ミリモル、シラン系化合物としてトリエチルシラ
ン:15ミリモル、触媒としてN−ヒドロキシフタルイ
ミド:0.3ミリモル(基質に対して10モル%)、助
触媒として酢酸コバルト(II)4水塩:0.015ミリ
モル(基質に対して0.5モル%)、及び溶媒としてア
セトニトリル:2mlの混合物を、窒素/酸素=1/1
(モル比)の雰囲気下(1atm=0.101MP
a)、60℃で12時間攪拌して反応を行った。反応混
合物をガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィ
ー及び核磁気共鳴スペクトルで分析したところ、フマル
酸ジエチルの転化率は98%であり、トリエチルシラン
の転化率は29%であった。また、収率55%で2−ヒ
ドロキシ−3−トリエチルシリルコハク酸ジエチルが生
成していた。
【0113】(実施例30)窒素/酸素=1/1(モル
比)の雰囲気下(1atm=0.101MPa)に代え
て、空気雰囲気下(1atm=0.101MPa)とす
ること以外は、実施例29と同様の操作を行ったとこ
ろ、フマル酸ジエチルの転化率は99%であり、トリエ
チルシランの転化率は21%であり、収率46%で2−
ヒドロキシ−3−トリエチルシリルコハク酸ジエチルが
生成していた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
    ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
    状イミド骨格を有するイミド化合物を含む触媒の存在
    下、(A)非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する有機
    化合物と、(B)シリルラジカルを生成可能なシラン系
    化合物と、(C)酸素とを反応させて、対応するヒドロ
    キシル基及びシリル基を有する有機化合物を得ることを
    特徴とする有機化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 非芳香族性炭素−炭素二重結合を有する
    有機化合物(A)が、下記式(2)で表されるオレフィ
    ンである請求項1記載の有機化合物の製造方法。 【化2】 (式(2)中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なっ
    て、それぞれ、水素原子又は有機基を示す。Ra、Rb
    c、Rdのうち少なくとも2つは、互いに結合して、隣
    接する炭素原子又は炭素−炭素二重結合とともに環を形
    成していてもよい)
  3. 【請求項3】 シリルラジカルを生成可能なシラン系化
    合物(B)が、下記式(3)で表されるシラン系化合物
    である請求項1又は2記載の有機化合物の製造方法。 【化3】 (式(3)中、Xは水素原子、ハロゲン原子または置換
    若しくは無置換シリル基を示す。Re、Rf、Rgは、同
    一又は異なって、それぞれ、水素原子、有機基または置
    換若しくは無置換シリル基を示す)
  4. 【請求項4】 イミド化合物が下記式(1)で表される
    化合物である請求項1〜3の何れかの項に記載の有機化
    合物の製造方法。 【化4】 (式(1)中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原
    子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1
    びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原
    子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒド
    ロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキ
    シカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに
    結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の
    環を形成してもよい。前記R1、R2、又はR1及びR2
    互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−
    置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていても
    よい)
JP2001070782A 2001-03-13 2001-03-13 イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP4573453B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001070782A JP4573453B2 (ja) 2001-03-13 2001-03-13 イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001070782A JP4573453B2 (ja) 2001-03-13 2001-03-13 イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002265474A true JP2002265474A (ja) 2002-09-18
JP4573453B2 JP4573453B2 (ja) 2010-11-04

Family

ID=18928587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001070782A Expired - Fee Related JP4573453B2 (ja) 2001-03-13 2001-03-13 イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4573453B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016040829A (ja) * 2010-12-15 2016-03-24 東ソー株式会社 炭素含有酸化ケイ素膜、封止膜及びその用途

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269070A (ja) * 1995-03-31 1996-10-15 Toagosei Co Ltd 有機含ケイ素化合物の製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269070A (ja) * 1995-03-31 1996-10-15 Toagosei Co Ltd 有機含ケイ素化合物の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016040829A (ja) * 2010-12-15 2016-03-24 東ソー株式会社 炭素含有酸化ケイ素膜、封止膜及びその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP4573453B2 (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4626896B2 (ja) アシル化剤とそれを用いたアシル化法、及びアダマンタン誘導体
JP4222493B2 (ja) アダマンタンメタノール誘導体及びその製造法
WO1999050204A1 (fr) Procede permettant de co-oxyder des composes organiques, procede permettant de produire des composes epoxy et procede permettant de produire des esters ou des lactones
US6229050B1 (en) Process for the preparation of hydroxyadamantanone derivatives
JP2000229898A (ja) ヒドロキシメチル基含有脂環式化合物とその製造法、及び重合性脂環式化合物
JP4573453B2 (ja) イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法
JP4436905B2 (ja) ジカルボン酸の製造方法
TWI628185B (zh) 一種製備曲前列尼爾的中間體、其製備方法以及藉由其製備曲前列尼爾的方法
JP2004035460A (ja) 酸化反応系から有機化合物を分離する方法
JP2001192354A (ja) β−アシルオキシカルボン酸又はβ−アシルオキシケトンの製造法
JP2002265406A (ja) イミド化合物を触媒として用いた有機化合物の製造方法
JP4024562B2 (ja) ケトン類の製造法
JP2002226423A (ja) イミド化合物を触媒とするケトンの製造方法
JPH11302211A (ja) アダマンタノール誘導体及びその製造法
JP5091774B2 (ja) 酸化触媒系
JP4841468B2 (ja) 窒素原子含有環状化合物で構成された触媒、及びそれを用いた有機化合物の酸化方法
JP4073205B2 (ja) ニトロ化合物の製造法
JP2002226422A (ja) イミド化合物を触媒とするカルボニル化合物の製造方法
JP4606209B2 (ja) ラクトン化合物及びラクトン化合物の製造法
JP2002308861A (ja) エポキシ化合物の製造方法
JP3883263B2 (ja) マクロカルパル類の不斉合成方法
JP5133947B2 (ja) ビニル基又はエポキシ基含有多環式化合物の製造法
JP2006273803A (ja) 共役不飽和カルボニル化合物の製造法
Green Studies toward the synthesis of trans-isoprelaurefucin via an asymmetric alkylation-ring closing metathesis strategy
Enquist Jr Total synthesis of cyanthiwigin natural products via double asymmetric catalytic alkylation, and, Investigations into the nature of double asymmetric processes

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100817

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100817

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130827

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees