JP2002261250A - 酸化物結晶質膜の製造方法及び半導体装置 - Google Patents

酸化物結晶質膜の製造方法及び半導体装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分極特性及びリーク電流特性を向上させるこ
とができる酸化物結晶質膜の製造方法及び半導体装置を
提供する。 【解決手段】 シリコン単結晶基板上に非晶質膜を形成
するステップS21と、非晶質膜をステップS22で乾
燥させた後、その非晶質膜を結晶化させる熱処理を行っ
て酸化物結晶質膜を形成するステップS23とを複数回
繰り返して、複数層の酸化物結晶質膜を製造する。この
とき、上記複数層の酸化物結晶質膜のうちシリコン単結
晶基板に最も近い酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物
結晶質膜の膜厚よりも厚くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化物結晶質膜の
製造方法及び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体薄膜は、自発分極、高誘電率、
電気光学効果、圧電効果、及び焦電効果等の多くの機能
をもつことから、広範なデバイス開発に応用されてい
る。例えば、その焦電性を利用して赤外線リニアアレイ
センサに、また、その圧電性を利用して超音波センサ
に、その電気光学効果を利用して導波路型光変調器に、
その高誘電性を利用してDRAM(ダイナミックランダ
ムアクセスメモリ)やMMIC(モノリシックマイクロ
波集積回路)用キャパシタにと、様々な方面で用いられ
ている。
【0003】それらの広範な応用デバイス開発の中で
も、近年の薄膜形成技術の進展に伴って、半導体メモリ
技術との組み合わせにより、高密度でかつ高速に動作す
る強誘電体不揮発性メモリ(FRAM)の開発が盛んで
ある。強誘電体薄膜を用いた不揮発性メモリは、その高
速書き込み/読み出し、低電圧動作、及び書き込み/読
み出し耐性の高さ等の特性から、従来の不揮発性メモリ
の置き換えだけでなく、SRAM(スタティックランダ
ムアクセスメモリ)やDRAMに対する置き換えも可能
なメモリとして、実用化に向けて研究開発が盛んに行わ
れている。
【0004】このようなデバイス開発には、残留分極
(P)が大きくかつ抗電場(E)が小さく、低リー
ク電流であり、分極反転の繰り返し耐性の大きな材料が
必要である。また、薄膜作製にあたっては、スループッ
ト向上のために、成膜時間が短いことが好ましい。
【0005】従来、これらの用途に用いられる強誘電体
材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛、Pb
(TiZr1−x)O)に代表されるペロブスカイ
ト構造の酸化物材料が主流であった。ところが、PZT
のように鉛をその構成元素として含む材料は、鉛やその
酸化物の蒸気圧が高いため、成膜時に鉛が蒸発してしま
い膜中に欠陥を発生させたり、ひどい場合にはピンホー
ルを形成してしまった。この結果、リーク電流が増大し
たり、更に分極反転を繰り返すと、自発分極の大きさが
減少する疲労現象が起こるなどの欠点があった。
【0006】特に、疲労現象に関しては、強誘電体不揮
発性メモリによるFRAM(強誘電性ランダムアクセス
メモリ)に対する置き換えを考えると、1015回の分
極反転後も特性の変化がないことを保証しなければなら
ないため、疲労のない強誘電体薄膜の開発が望まれてい
た。
【0007】一方、近年、FRAM用強誘電体材料とし
て、ビスマス層状構造化合物材料の研究開発が行われて
いる。ビスマス層状構造化合物材料は、1959年に、
Smolenskiiらによって発見され、(G. A. Smolenski
i, V.A. Isupov and A.I. Agranovskaya, Soviet
Phys. Solid State, 1,149(1959))、そ
の後、Subbaraoにより詳細な検討がなされた(E. C.
Subbarao,J. Phys.Chem.Solids, 23,665
(1962))。
【0008】最近、国際公開番号WO93/1054
2、特表平7―502149号公報において、Carlos
A.Paz de Araujoらは、このビスマス層状構造化合物薄
膜が強誘電体及び高誘電体集積回路への応用に適してい
ることを発見し、特に1012回以上の分極反転後も特
性に変化が見られないという優れた疲労特性を報告して
いる。
【0009】上記ビスマス層状構造化合物は、以下の化
学式 Bim−13m+3 A:Na,K,Pb,Ca,Sr,Ba,Biの中から選択し
たもの B:Fe,Ti,Nb,Ta,W,Moの中から選択したも
の m:自然数 で示される。そして、上記ビスマス層状構造化合物の結
晶構造は、(Bi)2+層と(Am−1
3m+1)2−層とが交互に積み重なったような構造で
ある。すなわち、その結晶構造の基本は、(m−1)個
のABOから成るペロブスカイト格子が連なった層状
ペロブスカイト層の上下を(Bi)2+層が挟み
込んだ構造を成すものである。なお、ここで、A及びB
として、選択されるものは単一とは限らない。
【0010】そして、このようなビスマス層状構造化合
物材料の代表的なものとして、SrBi(TaNb
1−x(x=0〜1)がある。このSrBi
(TaNb1−x(x=0〜1)膜の成膜方
法には、真空蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブ
レーション法等の物理的方法や、有機金属化合物を出発
原料とし、これらを熱分解酸化して酸化物強誘電体を得
るゾルゲル法またはMOD(Metal Organic Decomposit
ion)法、MOCVD(有機金属気相成長法:Metal Org
anic Chemical Vapor Deposition)法等の化学的方法が
用いられている。
【0011】上記成膜方法の中で、スパッタリング法は
様々な材料において量産実績のある成膜法であり、大面
積成膜が可能であること、再現性も高いことから、様々
な研究機関で開発されている。また、上記MOCVD法
は、段差被覆性に優れ、また低温成膜の可能性もあるの
で、特にFRAMの高集積化を図る場合には有望であ
り、最近研究開発が盛んになってきている。一方、上記
ゾルゲル法またはMOD法等の化学溶液堆積法は、原子
レベルの均質な混合が可能な原材料溶液を用いることが
可能なので、組成制御が容易で再現性に優れること、特
別な真空装置が必要なく常圧で大面積の成膜が可能であ
ること、工業的に低コストである等の利点から広く利用
されている。特に、上記SrBi(Ta
1−x(x=0〜1)膜の好適な成膜方法と
して、MOD法が用いられている。
【0012】従来、MOD法を用いる強誘電体薄膜の製
造方法としては、例えば、特許公報第2658878号
で説明されているものがある。この特許公報第2658
878号の強誘電体薄膜の製造方法では、下記の(1)
〜(3)のような工程を行うことにより、強誘電体薄膜
または誘電体薄膜を製造している。
【0013】(1)成膜工程 有機金属塩を原料とした溶液をスピンコート法で基板上
に塗布成膜する。
【0014】(2)第1熱処理工程 溶媒や(1)の工程において反応生成したアルコールや
残留水分を膜中より離脱させるために、250℃で10
分間、加熱・乾燥し、非晶質膜を形成する。
【0015】(3)第2熱処理工程 膜中の有機物成分を熱分解除去し、結晶化するために6
00〜850℃の高温で10分間程度、熱処理する。
【0016】上述の(1)〜(3)の工程を繰り返すこ
とで、所望の膜厚を得ている。
【0017】上記特許公報第2658878号の強誘電
体薄膜の製造方法においては、(2)の乾燥後の膜厚を
20〜80nmにすることで、クラックがない、(10
5)軸に結晶配向したエピタキシャルな膜が得られると
述べられている。また、その実施例においては(2)の
工程で得られる乾燥後の膜厚を約30nmとして、
(1)〜(3)の工程を6回繰り返すことで全体膜厚約
200nmの高配向したSrBi(Ta
1−x(x=0〜1)膜を得ている。
【0018】また、上記スパッタリング法、MOCVD
法においても、気相成長時に結晶化させず、非晶質膜を
酸素雰囲気の熱処理により、結晶化する方法が広く行わ
れている。とくに、化学溶液堆積法においては良質な結
晶質膜を得るために結晶化前の1層ごとの膜厚を薄くす
る強誘電体薄膜の製造方法が、第60回応用物理学会学
術講演会における講演予稿集の454頁の講演番号3p
−A―1に提案されている。
【0019】次に、強誘電体薄膜素子のリーク電流特性
について説明する。強誘電体薄膜素子から構成される強
誘電体メモリには、電源OFFのときに特有の不揮発性
がある。これを、通常動作時にDRAM動作をするNV
DRAM(不揮発性ダイナミックランダムアクセスメモ
リ)などに応用した場合、リーク電流が多いと、リフレ
ッシュ時間が短くなってしまう。このとき、蓄積電荷量
または残留分極を良好な値に保持したまま、リーク電流
を何桁も小さくできれば、DRAM動作時のリフレッシ
ュ時間を長くとることができ、素子特性を大幅に改善で
きる。また、上記リーク電流が多くなると、強誘電体薄
膜にかかる電界が小さくなってしまい、分極反転が十分
に起こらない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ビスマ
ス層状構造を有する強誘電体薄膜は結晶構造が複雑で結
晶粒成長速度の異方性が強いため、大きな結晶粒が成長
しやすく、良好なモフォロジーを得ることが困難であ
る。そのため、特許公報第2658878号の強誘電体
薄膜の製造方法、および、第60回応用物理学会学術講
演会の強誘電体薄膜の製造方法では、以下のような問題
が生じる。
【0021】特許公報第2658878号の強誘電体薄
膜の製造方法において、(1)での膜厚を80nm程度
にし、(1)から(3)の工程を2回繰り返し、厚さ1
60nmのSrBiTa膜を作成して、そのS
rBiTa膜をSEM(走査型電子顕微鏡)で
観察した。その結果、上記SrBiTa膜で
は、膜厚方向に2層の粒界が並び、断面形状も粗いもの
であることが分った。また、上記SrBiTa
膜の分極特性・リーク電流特性が低いという問題があ
る。
【0022】また、第60回応用物理学会学術講演会の
強誘電体薄膜の製造方法において、講演予稿集454頁
の講演番号3p−A−1に提案されているように(1)
での膜厚を20nm程度と薄くし、(1)から(3)の
工程を8回繰り返し、厚さ160nmのSrBiTa
膜を作成した。このSrBiTa膜は、
膜厚方向に柱状構造を有するが、表面形状において粒径
が80〜400nmを示す不均一な膜で、かつ、凹凸の
激しい膜になるため、リーク電流特性が低いという問題
がある。
【0023】本発明は、上記問題を解決するべくなされ
たものであり、その目的は、分極特性及びリーク電流特
性を向上させることができる酸化物結晶質膜の製造方法
及び半導体装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上述の問題に対して、本
発明者は次のように考察した。
【0025】(a)1層毎の膜を厚くした場合、膜厚方
向で、膜の至る所から初期核が発生して、下の結晶粒を
そのまま引きずるような柱状構造に成長することが困難
であると考えられる。つまり、膜厚方向で複数の結晶粒
が積み重なるため、粒界の存在が分極特性に悪影響を及
ぼしていると考えられる。
【0026】(b)また、1層毎の膜厚を薄くした場
合、単位面積当りの初期核発生率は滅少し、その結果、
結晶粒は柱状に成長するものの、結晶粒径は大きいもの
が多数存在し、且つ不均一なものになると考えられる。
【0027】(c)強誘電体薄膜のリーク電流特性は、
それ自身の形状に強く影響される。例えば、膜厚に落差
があるとその薄い部分に強い電界強度がかかり、絶縁破
壊が起きやすく、リーク・パスに成りやすい。
【0028】上記考察に基づき、本発明の酸化物結晶質
膜の製造方法は、基板上に非晶質膜を形成する工程と、
上記非晶質膜を結晶化させる熱処理を行って酸化物結晶
質膜を形成する工程とを複数回繰り返して、複数層の上
記酸化物結晶質膜を製造する酸化物結晶質膜の製造方法
において、上記複数層の酸化物結晶質膜のうち上記基板
に最も近い上記酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結
晶質膜の膜厚よりも厚くすることを特徴としている。
【0029】上記構成の酸化物結晶質膜の製造方法によ
れば、上記基板上に非晶質膜を形成する工程と、その非
晶質膜を結晶化させる熱処理を行って酸化物結晶質膜を
形成する工程とを複数回繰り返して、複数層の酸化物結
晶質膜を製造する。このとき、上記複数層の酸化物結晶
質膜のうち基板に最も近い酸化物結晶質膜の膜厚を、他
の酸化物結晶質膜の膜厚よりも厚くすることにより、酸
化物結晶質膜において柱状構造の緻密な結晶粒が得られ
る。したがって、上記酸化物結晶質膜の分極特性および
リーク電流特性を向上させることができる。
【0030】また、本発明の酸化物結晶質膜の製造方法
は、基板上に非晶質膜を形成する工程と、上記非晶質膜
を結晶化させる熱処理を行って酸化物結晶質膜を形成す
る工程とを備えた酸化物結晶質膜の製造方法において、
上記非晶質膜を少なくとも2層積層した後、熱処理を行
って1層の酸化物結晶質膜を形成し、上記1層の酸化物
結晶質膜上に、少なくとも1層の上記酸化物結晶質膜を
形成し、複数の上記酸化物結晶質膜のうち上記基板に最
も近い上記酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結晶質
膜の膜厚よりも厚くすることを特徴としている。
【0031】上記構成の酸化物結晶質膜の製造方法によ
れば、上記非晶質膜を少なくとも2層積層した後、熱処
理を行って1層の酸化物結晶質膜を形成する。そして、
上記1層の酸化物結晶質膜上に、少なくとも1層の酸化
物結晶質膜を形成する。このとき、上記複数の上記酸化
物結晶質膜のうち基板に最も近い酸化物結晶質膜の膜厚
を、他の酸化物結晶質膜の膜厚よりも厚くすることによ
り、熱処理の温度が低くても、酸化物結晶質膜において
柱状構造の緻密な結晶粒が得られる。したがって、上記
酸化物結晶質膜の分極特性およびリーク電流特性を向上
させることができる。
【0032】また、上記非晶質膜が少なくとも2層積層
した状態で最初の熱処理を行うので、非晶質膜を1層毎
に熱処理するよりも、熱処理の時間を短縮することがで
きる。
【0033】一実施形態の酸化物結晶質膜の製造方法
は、上記酸化物結晶質膜は、ビスマス層状ペロブスカイ
ト構造を有する強誘電体薄膜である。
【0034】上記一実施形態の酸化物結晶質膜の製造方
法によれば、上記酸化物結晶質膜は、ビスマス層状ペロ
ブスカイト構造を有する強誘電体薄膜であるから、良好
なリーク電流特性を得ることができる。
【0035】また、本発明の半導体装置は、上記複数層
の酸化物結晶質膜が、上記基板上に形成された集積回路
素子の一部として用いられていることを特徴としてい
る。
【0036】上記構成の半導体装置によれば、上記複数
層の酸化物結晶質膜が、基板上に形成された集積回路素
子の一部として用いられているから、リーク電流特性が
良好になり、素子特性を改善することができる。
【0037】また、本発明の半導体装置は、基板上に順
次積層された下部電極、酸化物結晶質膜及び上部電極か
らなる強誘電体キャパシタを有する半導体装置であっ
て、上記酸化物結晶質膜は複数層あって、上記複数層の
酸化物結晶質膜のうち上記基板に最も近い上記酸化物結
晶質膜の膜厚が、他の上記酸化物結晶質膜の膜厚よりも
厚いことを特徴としている。
【0038】上記構成の半導体装置によれば、上記複数
層の酸化物結晶質膜のうち基板に最も近い酸化物結晶質
膜の膜厚が、他の酸化物結晶質膜の膜厚よりも厚くなる
ように、各酸化物結晶質膜が形成されているから、酸化
物結晶質膜において柱状構造の緻密な結晶粒が得られて
いる。したがって、分極特性に優れ、リーク電流特性も
良好である。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の酸化物結晶質膜の
製造方法及び半導体装置を図示の実施の形態により詳細
に説明する。
【0040】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1
の実施の形態の半導体装置の要部の模式断面図である。
上記半導体装置は、図1に示すように、シリコン単結晶
基板1上に順次積層された下部電極4、SrBiTa
強誘電体薄膜5及び上部電極6かなる強誘電体キ
ャパシタを有している。上記強誘電体薄膜5は、複数層
の酸化物結晶質膜で構成されていて、ビスマス層状ペロ
ブスカイト構造を有している。また、上記シリコン単結
晶基板1と下部電極4との間には、膜厚200nmのシ
リコン酸化膜2と、このシリコン酸化膜2上に形成され
た膜厚20nm程度の酸化チタン膜3とを形成してい
る。上記酸化チタン膜3は、熱酸化膜2と下部電極4と
の接着層として働く。また、上記下部電極4および上部
電極6はPtからなっている。なお、上記下部電極4の
膜厚は200nmである。
【0041】上記強誘電体薄膜5の形成には、強誘電体
材料の前駆体原料溶液を用いる成膜工程を含むMOD法
を用いる。このMOD法の前駆体原料溶液の合成では出
発原料として、タンタルエトキシド(Ta(OC
)、ビスマス2エチルヘキサネート(Bi
(C15COO))及びストロンチウム2エチル
ヘキサネート(Sr(C15COO))を使用す
る。
【0042】以下、上記強誘電体薄膜5の形成に用いる
前駆体原料溶液の合成について説明する。
【0043】まず、秤量したタンタルエトキシドを2―
エチルヘキサネート中に溶解させ、タンタルエトキシド
と2―エチルヘキサネートの反応を促進させるため、1
00℃から最高温度120℃まで加熱しながら攪拌し、
30分間反応させる。その後、120℃で生成したエタ
ノールと水分を除去した溶液に、20ml〜30mlの
キシレンに溶解させたストロンチウム2−エチルヘキサ
ネートを加え、125℃から最高温度140℃で30分
間加熱攪拌する。その後、加熱撹拌が終了した溶液に、
10mlのキシレンに溶解させたビスマス2―エチルヘ
キサネートを加え、130℃から最高温度150℃で1
0時間加熱攪拌する。
【0044】次に、10時間の加熱撹拌後の溶液から、
低分子量のアルコールと、水と、溶媒として使用したキ
シレンとを除去するために、130℃〜150℃の温度
で5時間蒸留する。そして、溶液からダストを除去する
ために、0.45μm径のフィルタで溶液を濾過する。
その後、溶液のSrBiTaの濃度を0.1m
ol/lに調整し、これを前駆体原料溶液とする。な
お、上記の過程で、ストロンチウム:ビスマス:タンタ
ルの比率が8:22:20となるように調整する。ま
た、これらの原料は上記のものに限定されるものではな
く、溶媒は上記出発原料が十分溶解するものであればよ
い。
【0045】以下、このように合成された前駆体原料溶
液を用いた、一般的な化学溶液堆積法による膜形成方法
を説明する。
【0046】まず、図2に示すように、ステップS21
で、シリコン熱酸化膜、酸化チタン膜及び下部電極が順
次積層されたシリコン単結晶基板上に、強誘電体薄膜の
前駆体原料溶液をスピンコート法により塗布して、塗付
膜を形成する。
【0047】次に、ステップS22で、上記塗付膜中の
炭素を除去するために、結晶化温度(600℃程度)未
満に設定されたホットプレート(HP)上で塗付膜を熱
処理することにより、塗付膜を乾燥させて、非晶質膜を
形成する(第1熱処理工程)。
【0048】そして、ステップS23で、RTA(Rapi
d Thermal Annealing)法を用いて非晶質膜の結晶化焼
成を行う。具体的には、酸素雰囲気中で結晶化温度(6
00℃程度)以上の熱処理を非晶質膜に施すことによ
り、非晶質膜を結晶化させて、酸化物結晶質膜を形成す
る(第2熱処理工程)。
【0049】その後、ステップS21〜S23を所望の
膜厚になるまで複数回繰り返す。
【0050】以下、本発明による製膜法の予備実験とし
て、ステップS21におけるスピン速度を変化させるこ
とにより、塗付膜の膜厚を変えることを試みる。その方
法で、上記前駆体原料溶液を用い、ステップS21〜S
23を行って、1層の酸化物結晶質膜を形成した。この
とき、ステップS22の熱処理は150℃の熱処理と4
00℃の熱処理との2回に分けて行っており、ステップ
S23の熱処理温度は800℃である。そうして得られ
た酸化物結晶質膜の表面形状を走査型電子顕微鏡で観察
して、2.5×2.0μmの範囲で最大から5番目まで
の粒径を測定する。このような測定を酸化物結晶質膜の
表面の2箇所で行って、その平均した粒径と、酸化物結
晶質膜の膜厚との関係を図3のグラフに示している。図
3のグラフから、酸化物結晶質膜の膜厚の増加に伴って
結晶粒径が滅少しているのが分る。特に、上記膜厚35
nm以上で粒径が300nm以下と比較的緻密な粒構造
となると言える。つまり、小粒径の膜を得るためには酸
化物結晶質膜1層の膜厚は厚いほうが良いことが分か
る。これは、膜厚の増加と共に結晶核発生密度が高くな
ることが示唆される。しかしながら、例えば、50nm
の酸化物結晶質膜を複数積層して、150nm程度の膜
厚にした試料の形状はポーラスであり、電気特性も良好
な値を得ることができなかった。これは、積層する膜厚
が厚いため、積まれる膜中で結晶核が発生し、結果得ら
れる膜が柱状構造の緻密な結晶粒になりにくいからであ
ると考えられる。
【0051】そこで、例えば4層の酸化物結晶質膜で膜
厚150nmの強誘電体薄膜5を構成する場合、4層の
うちの1層目の膜厚を60nmにすると共に、その1層
目より上方に位置する2〜4層目の膜厚を30nmにす
る。すなわち、上記4層の酸化物結晶質膜のうちシリコ
ン単結晶基板1に最も近い酸化物結晶質膜の膜厚を60
nmにすると共に、その60nmの酸化物結晶質膜以外
の酸化物結晶質膜の膜厚を30nmにする。このように
構成された強誘電体薄膜を走査型電子顕微鏡で観察する
と、最大で200nm程度、平均して100nm以下の
結晶粒径で旦つ柱状晶を示す緻密な膜構造であることが
わかる。
【0052】このように、上記4層の酸化物結晶質膜の
うちシリコン単結晶基板1に最も近い酸化物結晶質膜の
膜厚を、他の酸化物結晶質膜の膜厚よりも厚くすること
により、酸化物結晶質膜において柱状構造の緻密な結晶
粒が得られるから、酸化物結晶質膜の分極特性およびリ
ーク電流特性を向上させることができる。
【0053】そして、SrBiTaからなる強
誘電体薄膜5上に、例えばスパッタ法により堆積させて
Ptを所望の形状にパターニングして上部電極6を形成
すると、キャパシタ構造が得られる。
【0054】また、上記上部電極6を形成した後、酸素
雰囲気中、800℃で10分間の熱処理を行っている。
これは、強誘電体と電極との界面を安定化させるためで
ある。
【0055】また、上記下部電極4、強誘電体薄膜5及
び上部電極6で構成された強誘電体キャパシタにおける
リーク電流の電流密度と、強誘電体キャパシタに印加す
る印加電圧との関係を示すグラフを図4に示す。図4の
グラフから、印加電圧5Vで10−8A/cm台の良
好なリーク電流特性を得ていることが分かる。
【0056】次に、ソーヤタワー法により、本発明によ
る強誘電体薄膜5の特性を評価すると、図5に示すよう
なヒステリシス曲線を得た。上記強誘電体薄膜5におい
て、5Vの残留分極2Pが23μC/cm以上で、
2Eは100kV/cm以下である。
【0057】上記第1の実施の形態では、化学堆積法の
一種であるMOD法を用いて説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではない。上記MOD法と同じ化学溶
液堆積法であるゾルゲル法はもちろん、MOCVD法、
スパッタリング法などで非晶質膜を形成してもよい。ま
た、上記非晶質膜を結晶化するための熱処理も本実施形
態に限定されるものではない。
【0058】また、ステップS21でスピンコート法を
用いていたが、ステップS21のスピンコート法は本発
明を限定するものではなく、例えばディップコート法、
LSMCD法(電着霧化法)等、溶液の膜厚制御が可能
で、基板上に塗布できる方法であればよい。
【0059】また、ステップS22のホットプレートに
よる熱処理は一回の工程である必要はなく、例えば15
0℃、400℃と2回、もしくはそれ以上に分けて、有
機溶媒の離脱と有機金属の熱分解を別に行ったほうが好
ましい。また、上記ホットプレートの代わりに例えば電
気炉等を用いて、結晶化温度未満の温度でゆっくり加熱
してよい。
【0060】また、ステップS23のRTA法は大気中
で行ってもよい。さらに、ステップS23ではRTA法
以外の方法を使用してもよい。例えば電気炉等で、結晶
化のための熱処理を行ってもよい。
【0061】また、上記強誘電体薄膜5を構成する酸化
物結晶質膜の数は、複数であればよい。
【0062】また、上記強誘電体薄膜5はSrBi
であったが、SrBi(TaNb1−x
(x=0〜1)であってもよい。
【0063】また、基板としてシリコン単結晶基板を用
いていたが、本発明はこれに限定されない。
【0064】(第2の実施の形態)第2の実施の形態で
は、本発明の酸化物結晶質膜の製造方法を、膜厚100
nm以下、熱処理温度650℃以下の低温プロセスに用
いた例を説明する。
【0065】まず、熱処理温度を650℃以下に低減す
る必要性を簡単に述べる。650℃を越える高温の熱処
理は、比較的集積度の低い平面型構造の強誘電体キャパ
シタではそれほど問題にならないものの、強電体メモリ
を高集積化するために不可欠なスタック型構造において
は、下部電極とのコンタクトに用いるポリシリコンプラ
グや、Pt下部電極,プラグ間の拡散を防止するTiN
またはTaSiN等のバリアメタルが高温プロセスで酸
化してしまう。
【0066】このようなポリシリコンプラグやバリアメ
タルの酸化が起こると、プラグと下部電極間が導通しな
くなったり、バリアメタルが膨張を起こして剥離してし
まうという問題が生じるため、熱処理温度はなるべく低
い方が好ましく、650℃以下での強誘電体薄膜低温形
成技術の確立が望まれている。
【0067】また、100nm以下の強誘電体薄膜はコ
ンマ数ミクロンルールにおける立体キャパシタの形成に
おいて必須のものである。
【0068】以下、膜厚100nm以下、熱処理温度6
50℃以下の低温プロセスについて説明する。なお、こ
こでも、第1の実施の形態で説明した前駆体溶液を使用
する。
【0069】図2のステップS22の第1熱処理工程を
150℃と400℃で2回に分けて行い、ステップS2
3の第2熱処理工程の温度は650℃に設定することに
より、膜厚30nm、60nmの酸化物結晶質膜を形成
する。図6に、膜厚30nmの酸化物結晶質膜の表面形
状の走査型電子顕微鏡写真を示し、図7に、膜厚60n
mの酸化物結晶質膜の表面形状の走査型電子顕微鏡写真
を示す。なお、図6,7の原本となる写真を物件提出書
にて提出している。図6,図7より明らかなように、膜
厚30nmの酸化物結晶質膜よりも膜厚60nmの酸化
物結晶質膜における結晶成長の方が進行している。これ
は、膜厚の増加により結晶核発生密度が高くなった結果
によると示唆される。しかしながら、例えば、50nm
の酸化物結晶質膜を複数積層して、100nm程度の膜
厚にした試料の形状はポーラスであり、電気特性も良好
な値を得ることができなかった。これは、積層する膜厚
が厚いため、積まれる膜中で結晶核が発生し、結果得ら
れる膜が柱状構造の緻密な結晶粒になりにくいからであ
ると考えられる。
【0070】ここで、第1の実施の形態と同様に、複数
層の酸化物結晶質膜のうちシリコン単結晶基板1に最も
近い酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結晶質膜の膜
厚よりも厚くしてみた。しかし、そのようにして得られ
た強誘電体薄膜の膜質はリーク電流が高く、広がったよ
うなヒステリシス曲線となった。これは、ステップS2
3の第2熱処理工程の温度が650℃と第1の実施の形
態よりも150℃も低いため、シリコン単結晶に最も近
い酸化物結晶質膜である厚い初期層の膜中の炭素の脱離
が充分に行われなかったものと思われる。
【0071】そこで、最初の結晶化焼成膜を厚くして、
次積層以降を薄くすることによって、小粒径で柱状構造
の結晶質膜を短時間で得る方法を用いる。
【0072】具体的には、図8に示すように、ステップ
S82で形成する非晶質膜の膜厚を24nmに設定し、
ステップS81,S82を行って1層目の非晶質膜を形
成した後、ステップS81に戻る。その後、ステップS
81〜S83を行って1層目の酸化物結晶質膜を得る。
そして、再びステップS81に戻り、ステップS81〜
S83を2回繰り返して、最終的に96nm程度の強誘
電体薄膜を得る。すなわち、上記非晶質膜が2層積層し
た後、熱処理(第2熱処理)を行って1層の膜厚48n
mの酸化物結晶質膜を形成した後、その膜厚48nmの
酸化物結晶質膜上に、24nmの酸化物結晶質膜を2層
形成している。
【0073】このようにして得られた複数の酸化物結晶
質膜からなる強誘電体薄膜を走査型電子顕微鏡で観察し
た結果、最大で150nm程度、平均して100nm以
下の結晶粒径を持つ緻密な膜構造であることが確認され
た。
【0074】そして、上記強誘電体薄膜上に上部電極と
してPtをスパッタ法により堆積させて、キャパシタ構
造を形成する。その後、酸素雰囲気中、650℃で30
分間の熱処理を行って、強誘電薄膜と電極との界面を安
定化させる。
【0075】上記強誘電体薄膜を用いた強誘電体キャパ
シタのリーク電流の電流密度を測定した結果を図9に示
す。図9より、印加電圧5Vで10−7A/cm台の
良好なリーク電流特性が得られていることが分かる。
【0076】次に、上記強誘電体キャパシタの強誘電特
性を評価したところ、図10に示すようなヒステリシス
曲線を得た。また、図10において、比較例の強誘電体
キャパシタの強誘電体薄膜の膜厚も96nm程度であ
り、その強誘電体薄膜を構成する複数の酸化物結晶質膜
の夫々は非晶質膜を1層毎に熱処理して得られたもので
あり、各酸化物結晶質膜の膜厚は24nmである。した
がって、上記比較例は、本実施例と比べると結晶化熱履
歴が1層分長いことになる。
【0077】図10で本実施例と比較例とを比べると、
3Vの残留分極2Pは本実施例が15μC/cm
上、比較例が12.5μC/cm以上であって、坑電
界2Eは本発明例,比較例のどちらも120kV/c
m以下であった。この結果は本実施例において、結晶化
が短時間化されていることを示している。
【0078】このように、上記非晶質膜が2層積層した
状態で、結晶化のための最初の熱処理を行うことによ
り、非晶質膜1層分の焼成時間を短縮することができ
る。
【0079】次に、本実施形態により形成された強誘電
体薄膜を、図11に示すような半導体装置であるキャパ
シタ型不揮発メモリに応用した場合について説明する。
【0080】まず、キャパシタ型不揮発メモリの製造方
法を図11を用いて以下に説明する。
【0081】図11に示すように、基板100を用い
て、スイッチング用トランジスタを公知のMOSFET
形成工程により形成し、層間絶縁膜で覆った後、不純物
拡散領域8に対応する部分のみ公知のフォトリソグラフ
ィ法とドライエッチング法を用いてコンタクトホール9
を形成し、不純物を拡散したポリシリコンを埋め込んだ
後、公知のCMP(Chemical Mechanical Polishing)
法により表面を平坦化して、層間絶縁膜10及びポリシ
リコンプラグ11を形成する。
【0082】次に、TaSiNバリアメタル層12の材
料であるTaSiNを公知のスパッタ法により200n
m堆積させた後、Ir膜13の材料であるIrを公知の
スパッタ法により200nm堆積させる。そして、その
Ir膜上に、本実施形態の製造方法で形成した強誘電体
薄膜としてのSrBiTa膜を形成する。次
に、上記SrBiTa膜上にIrを100nm
積層させ、公知のフォトリソグラフィ法とドライエッチ
ング法を用いて、SrBiTa膜上のIr膜を
1.7μm角の大きさに加工して上部電極15を形成す
る。その後、リーク電流の抑制及び酸素欠損の補充によ
る強誘電特性の安定化を目的とした、常圧酸素雰囲気中
における基板温度650℃、30分間の熱処理を行う。
そして、SrBiTa膜、200nmのIr膜
及び200nmのTaSiN膜を公知のフォトリソグラ
フィ法とドライエッチング法を用いて2.0μm角の大
きさに加工することにより、SrBiTa膜1
4、Ir膜13及びTaSiNバリアメタル層12を形
成する。このTaSiNバリアメタル層12とIr膜1
3とで多層下部電極を構成することになる。なお、上記
ドライエッチングにはECRエッチャーを用い、使用ガ
スはSrBiTa膜14に対してはArとCl
とCFとの混合ガス、Ir膜13に対してはC
とCHFとClとの混合ガス、TaSiNバリア
メタル層12に対してはClとした。
【0083】次に、膜厚30nmのTiO膜を公知の
スパッタ法を用いて堆積し、続いて、層間絶縁膜として
膜厚150nmのシリコン酸化膜を公知のCVD法にて
堆積し、その後、上部電極15の上部に公知のフォトリ
ソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、1.2μ
m角のコンタクトホールを形成する。これにより、Ti
バリア絶縁膜16とシリコン酸化膜17が完成す
る。
【0084】そして、膜厚400nmのAl膜を形成
し、公知のフォトリソグラフィ法とドライエッチング法
とを用いてAl膜を加工してプレート線18とした後、
常圧窒素雰囲気中で、400℃で30分間の熱処理を行
い電極界面を安定化させる。その後、CVD法を用いて
層間絶縁膜19の材料を積層し、それを公知の平坦化技
術により平坦化することにより、層間絶縁膜19を形成
する。また、上記層間絶縁膜19には、公知のフォトリ
ソグラフィ法とドライエッチング法とを用いてスイッチ
ング用トランジスタのもう一方の不純物拡散層28への
コンタクトホール20が形成されている。そして、公知
のAl配線技術を用いてビット線21を形成している。
なお、22はスイッチング用トランジスタのゲート電極
である。
【0085】このようにして作製したキャパシタ型不揮
発メモリの不揮発性半導体記憶素子の強誘電特性を測定
したところ、印加電圧±3Vで、2P=13μC/c
、2E=120kV/cmという値が得られてお
り、強誘電体キャパシタとして十分な動作が確認され
た。次に、不揮発性半導体記憶素子のリーク電流密度を
測定した。印加電流+3Vでのリーク電流密度は、2×
10−7A/cmであり、また、印加電圧10Vでも
絶縁破壊が起こっていないため、強誘電体キャパシタと
して十分な特性が確認された。
【0086】上記作製した強誘電体キャパシタの多層下
部電極は、Ir/TaSiNとしたが、これに限らず、
Ir/IrO/Ir/TaSiN、IrO/Ir/
TaSiN、またはPt/RuO/Ru/TaSi
N、Ru/RuO/Ru/TaSiN、RuO/R
u/TaSiN、Pt/IrO/Ir/tiN、Ir
/IrO/Ir/TiN、IrO/Ir/TiN、
Pt/RuO/Ru/TiN、Ru/RuO/Ru
/TiN、RuO/Ru/TiN、さらに、Ir/T
aSiN、Ir/TiN、Ru/TaSiN、Ru/T
iN等、耐熱性に優れた多層電極であれば何でもよい。
【0087】また、上記第2の実施の形態では、上記非
晶質膜が2層積層した状態で最初の熱処理を行ったが、
非晶質膜が2層以上積層した状態で最初の熱処理を行っ
てもよい。つまり、上記非晶質膜が少なくとも2層積層
した後、熱処理を行うことにより、複数層の酸化物結晶
質膜のうちシリコン単結晶基板1に最も近い酸化物結晶
質膜を形成してもよい。また、上記シリコン単結晶基板
1に最も近い酸化物結晶質膜上に形成する酸化物結晶質
膜は少なくとも1層であればよい。
【0088】
【発明の効果】以上より明らかなように、本発明の酸化
物結晶質膜の製造方法は、複数層の酸化物結晶質膜のう
ち基板に最も近い酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物
結晶質膜の膜厚よりも厚くするから、酸化物結晶質膜は
結晶粒径の小さくて緻密な膜構造になり、優れた分極特
性を発揮できると共に、リーク電流特性を高めることが
できる。
【0089】本発明の酸化物結晶質膜の製造方法は、非
晶質膜を少なくとも2層積層した後、熱処理を行って1
層の酸化物結晶質膜を形成し、この1層の酸化物結晶質
膜上に、少なくとも1層の酸化物結晶質膜を形成すると
きに、複数の上記酸化物結晶質膜のうち基板に最も近い
酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結晶質膜の膜厚よ
りも厚くしているから、熱処理の温度が低くても、酸化
物結晶質膜において柱状構造の緻密な結晶粒が得られ
て、酸化物結晶質膜の分極特性およびリーク電流特性を
向上させることができる。
【0090】また、上記非晶質膜が少なくとも2層積層
した状態で熱処理を行うので、非晶質膜を1層毎に熱処
理するよりも、熱処理の時間を短縮することができる。
【0091】一実施形態の酸化物結晶質膜の製造方法に
よれば、上記酸化物結晶質膜は、ビスマス層状ペロブス
カイト構造を有する強誘電体薄膜であるから、良好なリ
ーク電流特性を得ることができる。
【0092】また、本発明の半導体装置は、上記複数層
の酸化物結晶質膜が、基板上に形成された集積回路素子
の一部として用いられているから、リーク電流特性が良
好になり、素子特性を改善することができる。
【0093】本発明の半導体装置は、強誘電体キャパシ
タの酸化物結晶質膜が複数層であって、その複数層の酸
化物結晶質膜のうち基板に最も近い酸化物結晶質膜の膜
厚が、他の酸化物結晶質膜の膜厚よりも厚くなるよう
に、各酸化物結晶質膜が形成されているから、酸化物結
晶質膜において柱状構造の緻密な結晶粒が得られて、分
極特性に優れ、リーク電流特性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第1の実施の形態の半導体装
置の要部の模式断面図である。
【図2】 図2は本発明の第1の実施の形態の酸化物結
晶質膜の製造方法を説明するためのフローチャートであ
る。
【図3】 図3は上記半導体装置における強誘電体薄膜
の酸化物結晶質膜の粒径と、酸化物結晶質膜の膜厚との
関係示すグラフである。
【図4】 図4は上記半導体装置の強誘電体キャパシタ
におけるリーク電流の電流密度と、強誘電体キャパシタ
への印加電圧との関係を示すグラフである。
【図5】 図5は上記強誘電体キャパシタの強誘電体薄
膜のヒステリシス曲線を表わす図である。
【図6】 図6は、膜厚30nmの酸化物結晶質膜の表
面形状の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】 図7は、膜厚60nmの酸化物結晶質膜の表
面形状の走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】 図8は、本発明の第2の実施の形態の酸化物
結晶質膜の製造方法を説明するためのフローチャートで
ある。
【図9】 図9は、上記第2の実施の形態の酸化物結晶
質膜の製造方法で得られる強誘電体薄膜を有する強誘電
体キャパシタにおけるリーク電流の電流密度と、強誘電
体キャパシタへの印加電圧との関係を示すグラフであ
る。
【図10】 図10は、上記第2の実施の形態の酸化物
結晶質膜の製造方法で得られる強誘電体薄膜と比較例の
強誘電体薄膜とのヒステリシス曲線を表わす図である。
【図11】 図11は、上記第2の実施の形態の酸化物
結晶質膜の製造方法で得られる強誘電体薄を有するキャ
パシタ型不揮発メモリの要部の模式断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン単結晶基板 2 シリコン熱酸化膜 3 酸化チタン膜 4 下部電極 5 強誘電体薄膜 6 上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F058 BA11 BC03 BC20 BF46 BH01 BJ01 5F083 AD00 FR02 GA27 GA29 GA30 JA17 JA32 JA36 JA38 JA39 JA40 JA43 MA06 MA17 PR03 PR23 PR33 PR34 PR40

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に非晶質膜を形成する工程と、上
    記非晶質膜を結晶化させる熱処理を行って酸化物結晶質
    膜を形成する工程とを複数回繰り返して、複数層の上記
    酸化物結晶質膜を製造する酸化物結晶質膜の製造方法に
    おいて、 上記複数層の酸化物結晶質膜のうち上記基板に最も近い
    上記酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結晶質膜の膜
    厚よりも厚くすることを特徴とする酸化物結晶質膜の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 基板上に非晶質膜を形成する工程と、上
    記非晶質膜を結晶化させる熱処理を行って酸化物結晶質
    膜を形成する工程とを備えた酸化物結晶質膜の製造方法
    において、 上記非晶質膜を少なくとも2層積層した後、熱処理を行
    って1層の酸化物結晶質膜を形成し、 上記1層の酸化物結晶質膜上に、少なくとも1層の上記
    酸化物結晶質膜を形成し、 複数の上記酸化物結晶質膜のうち上記基板に最も近い上
    記酸化物結晶質膜の膜厚を、他の酸化物結晶質膜の膜厚
    よりも厚くすることを特徴とする酸化物結晶質膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の酸化物結晶質
    膜の製造方法において、 上記酸化物結晶質膜は、ビスマス層状ペロブスカイト構
    造を有する強誘電体薄膜であることを特徴とする酸化物
    結晶質膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
    酸化物結晶質膜の製造方法によって形成された上記複数
    層の酸化物結晶質膜が、上記基板上に形成された集積回
    路素子の一部として用いられていることを特徴とする半
    導体装置。
  5. 【請求項5】 基板上に順次積層された下部電極、酸化
    物結晶質膜及び上部電極からなる強誘電体キャパシタを
    有する半導体装置であって、 上記酸化物結晶質膜は複数層あって、 上記複数層の酸化物結晶質膜のうち上記基板に最も近い
    上記酸化物結晶質膜の膜厚が、他の上記酸化物結晶質膜
    の膜厚よりも厚いことを特徴とする半導体装置。
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