JP2002258705A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2002258705A
JP2002258705A JP2001059341A JP2001059341A JP2002258705A JP 2002258705 A JP2002258705 A JP 2002258705A JP 2001059341 A JP2001059341 A JP 2001059341A JP 2001059341 A JP2001059341 A JP 2001059341A JP 2002258705 A JP2002258705 A JP 2002258705A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 球形化トナーを用いた場合でも、転写工程後
に像担持体上に残留したトナーを効率よくクリーニング
することができる画像形成装置を提供すること。 【解決手段】 像担持体上にトナー像を形成し、該像担
持体上に形成されたトナー像を転写体上に転写した後、
クリーニングブレードを用いて該像担持体上に残留した
トナーを除去する工程を有し、製造工程あるいは製造後
の工程において球形化したトナーを使用して該トナー像
を形成する画像形成装置において、該クリーニングブレ
ードと該球形化したトナーとの付着力が、該像担持体と
該球形化したトナーとの付着力よりも大きいことを特徴
とする画像形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾式二成分あるい
は一成分現像剤を用いた複写機、プリンター、ファクシ
ミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関するものであ
り、特に、球形トナーを用いた際のトナー画像転写後の
クリーニング不良を対策した電子写真方式の画像形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式の画像形成装置で
は、現像工程で感光体等の像担持体上に形成したトナー
像を、中間転写ベルトなどの中間転写体を介して、また
は直接的に転写紙などの転写体上に転写して画像を形成
しているが、トナー像転写後の感光体表面には、転写残
のトナーが残留する。このため、感光体上から残留トナ
ーを除去するクリーニング装置が設けられている。この
クリーニング装置としては、種々のものが知られてお
り、ポリウレタンゴム等の弾性部材からなるクリーニン
グブレードのほか、ファーブラシ、磁気ブラシ等を用い
ることができる。この中で、クリーニングブレードは、
構成が簡単で、装置の小型化が容易で、コスト面も有利
なので、広く実用化されている。
【0003】近年、画質向上のためにトナーの小径化、
球形化が進められ、懸濁重合法や分散重合法などによる
重合トナーや、熱気流、流動造粒法による球形処理を施
したトナーが用いられつつある。しかし、球形化したト
ナーを用いた場合、上記クリーニングブレードによるク
リーニング装置を備えた画像形成装置において、クリー
ニング不良による画像不良が発生しやすいという問題点
がある。
【0004】この対策として、特開平5−333757
号公報では、電子写真感光体の表面粗さを0.1〜2μ
mの範囲にすることにより、電子写真感光体とトナーの
平均付着力が60nNよりも小さくなるようにして、真
円度が0.85以上の球形トナーを用いた場合でもクリ
ーニング不良が生じないようにしている。しかしなが
ら、トナーのクリーニング性能は電子写真感光体とトナ
ーの付着力だけでは決まらず、電子写真感光体とトナー
の付着力のみを規定しても十分なクリーニング性能は得
られないという問題がある。ここで、球形化したトナー
は、懸濁重合法や分散重合法などによる重合トナー、及
び粉砕法で作製した粒子を熱気流や流動造粒法等によっ
て球形化処理を施したトナーで、真円度が0.9以上の
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、球形化トナーを用いた場合でも、転写工程後に像担
持体上に残留したトナーを効率よくクリーニングするこ
とができる画像形成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明の
(1)「像担持体上にトナー像を形成し、該像担持体上
に形成されたトナー像を転写体上に転写した後、クリー
ニングブレードを用いて該像担持体上に残留したトナー
を除去する工程を有し、製造工程あるいは製造後の工程
において球形化したトナーを使用して該トナー像を形成
する画像形成装置において、該クリーニングブレードと
該球形化したトナーとの付着力が、該像担持体と該球形
化したトナーとの付着力よりも大きいことを特徴とする
画像形成装置」、(2)「該像担持体と該球形化したト
ナーとの接触面積が、該クリーニングブレードと該球形
化したトナーとの接触面積よりも小さいことを特徴とす
る前記第(1)項に記載の画像形成装置」、(3)「該
像担持体の表面上に、該球形化したトナーの体積平均粒
径よりも小さい凹凸を設けたことを特徴とする前記第
(1)項または第(2)項に記載の画像形成装置」、
(4)「該像担持体の表面上に、該球形化したトナーの
体積平均粒径よりも小さな微粒子を分布したことを特徴
とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載
の画像形成装置」、(5)「該像担持体が、該球形化し
たトナーの体積平均粒径よりも小さな微粒子を分散させ
た層を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第
(4)項の何れか1に記載の画像形成装置」により達成
される。
【0007】クリーニングブレード(11)のエッジ部
が、像担持体(12)上の転写残トナー(13)に接触
した状態を図3に示す。転写残トナー(13)は、転写
工程後に像担持体(12)の回転方向(14)に移動
し、クリーニングブレード(11)のエッジ部に接触す
る。このとき、転写残トナー(13)には、像担持体
(12)との付着力(Fp)とクリーニングブレード
(11)との付着力(Fc)が作用する。転写残トナー
(13)が像担持体(12)から分離するためには、一
度、転写残トナー(13)がクリーニングブレード(1
1)に付着する必要がある。クリーニングブレード(1
1)に付着した転写残トナー(13)は、クリーニング
ブレード(11)の弾性変形後の復元運動によってクリ
ーニングブレード(11)から分離し回収される。
【0008】本発明者らは、付着力(Fc)が付着力
(Fp)よりも大きくなるように、クリーニングブレー
ドと像担持体及び球形化トナーを構成することにより、
転写残トナーが像担持体から分離しやすくなり、球形化
したトナーでもクリーニング性能の良い画像形成装置が
得られることを見出した。
【0009】トナーと像担持体及びトナーとクリーニン
グブレードとの付着力は、トナーや像担持体及びトナー
とクリーニングブレードの帯電によって生じる静電的付
着力と、それ以外のファンデルワールス力や液架橋力等
の非静電的付着力から構成される。これらの付着力は、
帯電量や構成物質の物性など様々な要因に依存する。本
発明者らは、これらの要因のうち、特にトナーと像担持
体及びクリーニングブレードとの接触面積に着目し、像
担持体とトナーの接触面積がクリーニングブレードとト
ナーの接触面積よりも小さいように、クリーニングブレ
ードと像担持体及び球形化トナーを構成することによ
り、付着力(Fc)が付着力(Fp)よりも大きくなる
ことを見出した。
【0010】トナーが付着する部材とトナーの接触面積
は、該部材の表面とトナー表面の幾何学的な構成によっ
て決まる。トナーが付着する部材の表面に、該球形化し
たトナーの体積平均粒径よりも小さい凹凸を設けると、
凹凸がない場合に比べて接触面積が小さくなる。したが
って、像担持体の表面に該球形化したトナーの体積平均
粒径よりも小さい凹凸を設けることにより、像担持体と
トナーの接触面積をクリーニングブレードとトナーの接
触面積よりも小さくすることができる。
【0011】像担持体の表面に小さな凹凸を設ける方法
としては、像担持体の表面に微粒子を分布させる方法を
好ましく用いることができる。ただし、像担持体の表面
に微粒子を一度付着させただけでは、クリーニングブレ
ードによって削られて微粒子がなくなってしまう。この
ため、クリーニングブレードによって削られても、像担
持体上に別の微粒子を分布させる必要がある。像担持体
の表面に微粒子を分布させる方法としては、像担持体を
作製する工程で微粒子を像担持体中に分散させる方法を
好ましく用いることができる。この方法では、クリーニ
ングブレードによって像担持体表面の微粒子が削られて
も、像担持体中に分散した別の微粒子が表面に表われる
ので、常に像担持体表面に微粒子が分布している。画像
形成装置内に像担持体の表面に微粒子を付着させる装置
を設けて、常に像担持体上に微粒子が付着しているよう
にする方法もあるが、コストがかかる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の画像形成装置について、
図面を参照して詳細に説明する。本発明の画像形成装置
は、感光体上に静電潜像を形成する潜像形成手段、該感
光体上の潜像上にトナー像を形成する現像手段、形成さ
れたトナー像を転写体上に転写する転写手段、転写体上
のトナー像を定着する定着手段、転写されずに感光体上
に残ったトナーを除去・回収するためのクリーニング手
段を有する。
【0013】図4は、本発明の画像形成装置の一例を示
す概略構成図である。図4において、静電潜像担持体で
ある感光体ドラム(21)の周囲には、該ドラム表面を
帯電するための帯電装置(22)、一様帯電処理面に潜
像を形成するためのレーザー光線でなる露光(23)、
ドラム表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー
像を形成する現像装置(24)、形成されたドラム上の
トナー像を記録紙へ転写するための転写装置(28)、
記録紙上のトナーを定着する定着装置(32)、ドラム
上の残留トナーを除去・回収するためのクリーニング装
置(36)、ドラム上の残留電位を除去するための除電
装置(39)が順に配設されている。
【0014】まず、感光体ドラム(21)は、帯電ロー
ラ(22)によって表面を一様に帯電される。図4の例
では、帯電ローラを用いて感光体ドラム(21)を帯電
しているが、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電
を用いても良い。帯電ローラを用いた帯電は、コロナ帯
電を用いた場合よりもオゾン発量が少ない利点がある
が、感光体と接触しているためトナーによってローラ表
面が汚れるため、帯電ローラをクリーニングする機構が
必要になる。
【0015】帯電した感光体ドラム(21)に画像情報
に応じてレーザー光線(23)が照射され、静電潜像が
形成される。感光体ドラム(21)上の帯電電位や露光
部位を電位センサで検出し、帯電条件や露光条件を制御
することもできる。
【0016】次に、現像装置(24)によって、静電潜
像が形成された感光体ドラム(21)上にトナー像が形
成される。現像装置(24)では、現像剤がスクリュー
(25)によって攪拌・搬送され、現像スリーブ(2
6)に供給される。現像スリーブ(26)に供給される
現像剤は、ドクターブレード(27)によって規制さ
れ、供給される現像剤量は、ドクターブレード(27)
と現像スリーブ(26)との間隔であるドクターギャッ
プによって制御される。ドクターギャップが小さすぎる
と、現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にド
クターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給
されて感光体ドラム(21)上にキャリア付着が発生す
るという問題が生じる。現像スリーブ(26)には、周
表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁石
が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁
力線に沿うように、現像剤が現像スリーブ(26)上に
チェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。現
像スリーブ(26)と感光体ドラム(21)は、一定の
間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置され
ていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。
現像スリーブ(26)は、アルミニウム、真鍮、ステン
レス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してお
り、不図示の回転駆動機構によって回転されるようにな
っている。磁気ブラシは、現像スリーブ(26)の回転
によって現像領域に移送される。現像スリーブ(26)
には不図示の現像用電源から現像電圧が印加され、磁気
ブラシ上のトナーが現像スリーブ(26)と感光体ドラ
ム(21)間に形成された現像電界によってキャリアか
ら分離し、感光体ドラム(21)上の静電潜像上に現像
される。なお、現像電圧には交流を重畳させても良い。
また、現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度、
現像剤粒径が50μmであれば0.3mm〜1.5mm
に設定することが可能である。これより広くすると、望
ましいとされる画像濃度が出にくくなる。また、ドクタ
ーギャップは、現像ギャップと同程度かやや大きくする
必要がある。感光体ドラム(21)のドラム径やドラム
線速、現像スリーブ(26)のスリーブ径やスリーブ線
速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決ま
る。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画
像濃度を得るために1.1以上にする必要がある。な
お、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率から
トナー付着量を検出してプロセス条件を制御することも
できる。図4の例では、キャリアとトナーからなる磁気
ブラシによって現像が行なわれる二成分現像方式を用い
ているが、本発明は二成分現像方式に限定されるもので
はなく、現像スリーブ上に形成したトナー薄層を電界で
感光体上に現像する一成分現像方式を用いてもよい。
【0017】磁気ブラシを構成するキャリアには、鉄
紛、フェライト紛、磁性粒子を分散した樹脂粒子等の磁
性を有する粉体、及び電気特性を制御するために樹脂な
どで表面を被覆した磁性粉体が好ましく使用される。磁
気ブラシを構成するキャリアとしては、感光体ドラム
(21)表面へのダメージを軽減するために球形の粒子
を用いるのが好ましく、平均粒径は150μm以下のも
のが好ましい。キャリアの平均粒径が大きすぎると、最
密状態に配置してあっても曲率半径が大きく、感光体ド
ラム(21)と接触していない面積が増え、トナー像の
欠けや抜けが発生する。逆に平均粒径があまり小さすぎ
ると、交流電圧を印加する場合には、粒子が動きやすく
なって粒子間の磁力を上回り、粒子が飛散してキャリア
付着の原因となってしまう。キャリアの平均粒径は、特
に30μm以上、100μm以下であることが好まし
い。さらに、キャリアの体積抵抗率が低すぎると、現像
電圧の印加時にキャリアに電荷が注入され、感光体ドラ
ム(21)へのキャリア付着を起こしたり、感光体の絶
縁破壊を起こしたりするため、体積抵抗率が103Ωc
m以上のキャリアを使用する必要がある。
【0018】感光体ドラム(21)上に形成されたトナ
ー像は、感光体ドラム(21)と転写ベルト(29)が
接触する転写ニップに搬送される。同時に、不図示の給
紙トレイから搬送された記録紙が転写ニップに進入す
る。転写ベルト(29)に接触するローラ(30)に、
不図示の転写用電源によってトナーと逆極性の転写電圧
が印加される。感光体ドラム(21)上に形成されたト
ナー像は、転写ベルト(29)と感光体ドラム(21)
間に作用する転写電界によって記録紙へ転写される。図
4の例では、転写部材として転写ベルトの代わりに転写
ローラを用いてもよいが、転写ベルトは転写ローラに比
べて転写ニップを広くとれる利点がある。図4の例で
は、転写ベルトを用いた転写方式を用いているが、紙の
背面からトナーと逆極性のコロナチャージを与えて紙を
帯電させて転写するコロナ転写方式を用いても良い。転
写ベルトまたは転写ローラに転写電圧を印加する転写方
式は、コロナ転写方式に比べて、紙の帯電が少ないため
感光体からの分離が容易で、分離時のはく離放電による
画像不良が生じない利点があるが、ベルトやローラがト
ナーで汚れやすくてクリーニング機構が必要となり、ま
た、前記したように画像の中抜けが発生しやすいという
欠点もある。
【0019】転写の際に感光体ドラム(21)に付着し
た記録紙は、分離爪(31)によって感光体ドラム(2
1)から分離される。未定着のトナー像が載った記録紙
は、定着ローラ(33)と加圧ローラ(34)によって
記録紙に一定の熱と圧力を加わり、トナーが記録紙上に
定着される。なお、定着温度を一定に保つために、定着
ローラ(33)には不図示のサーミスタが接触してお
り、定着ヒータ(35)の温度制御を行なっている。定
着ローラを用いた定着方式は、熱効率が高く、安全性に
優れ、小型化が可能で、低速から高速まで適用範囲が広
い。
【0020】一方、転写されずに感光体ドラム(21)
上に残留したトナーは、クリーニングブレード(37)
によって除去され、トナー回収装置(38)によって回
収される。クリーニングブレード(37)のエッジに付
着したトナーや紙片等を取り除くために、クリーニング
ブレード(37)を動かす、または感光体ドラム(2
1)から時々離す等の機構を設けても良い。残留トナー
を除去された感光体ドラム(21)は除電ランプ(3
9)で初期化され、次回の画像形成プロセスに供され
る。
【0021】なお、図4の例は一つの感光体ドラムと一
つの現像装置を用いた白黒画像形成装置だが、本発明は
白黒画像形成装置には限定されず、一つの感光体ドラム
と複数の現像装置、または複数の感光体ドラムと現像装
置を用いたカラー画像形成装置にも適用できる。
【0022】次に、本発明に用いられる球形化トナーに
ついて説明する。本発明に用いられる球形化トナーとし
ては公知のものを利用できるが、分散重合法及び懸濁重
合法により作製されたものが好適である。まず、本発明
の分散重合トナーから説明する。〔樹脂粒子A〕本発明
における樹脂粒子Aは親水性有機液体に、その親水性有
機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに前記親水
性液体には溶解するが、生成する重合体は前記親水性液
体にて膨潤されるか、あるいは殆ど溶解しない一種また
は二種以上のビニル単量体を加えて重合することにより
製造される。
【0023】〔親水性有機液体〕前記の種粒子の形成時
及び種粒子の成長反応時に用いる単量体の希釈剤として
の親水性有機液体としては、メチルアルコール、エチル
アルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t
−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアル
コール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フ
ルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリ
コールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、セロソ
ルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ルなどのエーテルアルコール類などが代表的なものとし
て挙げられる。
【0024】これらの有機液体は単独で、もしくは二種
以上の混合物として用いることができる。なお、アルコ
ール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上
述のアルコール類及びエーテルアルコール類とを併用す
ることで、有機液体が生成重合体粒子に対して溶解性を
持たせない条件下で、有機液体のSP値を種々変化させ
て重合を行なうことにより、生成される粒子の大きさ、
種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制することが可
能である。この場合の併用する有機液体としては、ヘキ
サン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭
素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタンなどのハ
ロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコ
ール、シリオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル類、メチラール、ジエチルアセタールなどのアセター
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサンなどのケトン類、ギ酸ブチ
ル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセ
テートなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸な
どの酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチル
アミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの硫黄、窒素含
有有機化合物類、その他水も含まれる。また、重合開始
時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び
組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径
分布、乾燥条件などを調整することができる。
【0025】〔分散安定剤〕種粒子製造時、または成長
粒子の製造時に使用される高分子分散剤の適当な例とし
ては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノア
クリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロ
トン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸
などの酸類、あるいは水酸基を含有するアクリル系単量
体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシ
プロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アク
リル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒド
ロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキ
シプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステ
ル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、
グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメ
タクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコー
ルまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニ
ルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロ
ピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキ
シル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドある
いはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビ
ニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾー
ル、エチレンイミンなどの窒素原子またはその複素環を
有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオ
キシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルア
ミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシ
プロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニル
フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエ
ステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルな
どのポリオキシエチレン系、並びにメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロースなどのセルロース類、または前記親水性モノマー
とスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど
のベンゼン核を有するものまたはその誘導体、またはア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド
などのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体との共重
合体、さらに、架橋性モノマー、例えばエチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなど
との共重合体も使用可能である。
【0026】これらの高分子分散剤は、使用する親水性
有機液体、目的とする重合体粒子の種、及び種粒子の製
造か成長粒子の製造かにより適宜選択されるが、特に重
合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体
粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機
液体への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、
立体的に粒子同士の反撥を高めるために、分子鎖がある
程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のもの
が選ばれる。しかし、あまり分子量が高いと、液粘度の
上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体
の粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を
要する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一
部、目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させ
ておくことも安定化には効果がある。
【0027】さらに、これら高分子分散剤とともに、コ
バルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マ
グネシウムなどの金属またはその合金(特に粒径1μm
以下のものが好ましい)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケ
ル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などの酸化物の無
機化合物微粉体、高級アルコール硫酸エステル塩、アル
キルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸
塩、燐酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキル
アミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン
脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アル
キルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルア
ンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム
塩、ピリジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化
ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン
界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導
体などの非イオン界面活性剤、例えば、アラニン型「例
えばドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチ
ルアミノエチル)グリシン」などのアミノ酸型やベタイ
ン型の両性界面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の
安定性及び粒径分布の改良をさらに高めることができ
る。
【0028】一般に、種粒子製造時の高分子分散剤の使
用量は、目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の
種類によって異なるが、親水性有機液体に対し0.1重
量%〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。高
分子分散安定剤の濃度が低い場合には生成する重合体粒
子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合には
小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用いて
も小径化への効果は少ない。
【0029】〔単量体〕また、前記のビニル単量体と
は、親水性有機液体に溶解可能なものであり、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチル
エチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチル
スチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘ
キシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−
ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ド
デシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニル
スチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチ
レンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、ア
クリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸
2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチ
ル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα
−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのア
クリル酸、もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロ
ゲン化ビニル類などからなる単独または相互の混合物及
びこれらを50重量%以上含有し、これらと共重合し得
る単量体との相互の混合物を意味する。
【0030】また、本発明における前記の重合体は、耐
オフセット性を高めるために、重合性の二重結合を二個
以上有するいわゆる架橋剤の存在下に重合させたもので
あっても良い。好ましく用いられる架橋剤としては、ジ
ビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導
体である芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリ
レート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリ
レート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,
3−ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン
性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジ
ビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホ
ンなど全てのジビニル化合物、及び三個以上のビニル基
を持つ化合物が挙げられ、これらは単独または混合物な
どで用いられる。
【0031】このように架橋された種粒子を用いて成長
重合反応を引き続いて行なった場合には、成長する重合
体粒子の内部が架橋されたものとなる。また一方で、成
長反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有
させた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られ
る。
【0032】〔連鎖移動剤〕また、平均分子量を調節す
る目的として、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させ
て重合を行なわせるものに、例えば、メルカプト基をも
つ低分子化合物や四塩化炭素、四臭化炭素が挙げられ
る。
【0033】〔重合開始剤〕また、前記単量体の重合開
始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキ
シド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクト
エートなどの過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムな
どの過硫酸化物系重合開始剤、これにチオ硫酸ナトリウ
ム、アミンなどを併用した系などが用いられる。重合開
始剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1
〜10重量部が望ましい。
【0034】〔重合条件〕種粒子を得るための重合条件
は、重合体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせ
て、親水性有機液体中の高分子分散剤、ビニル単量体の
濃度、及び配合比が決定される。一般に、粒子の平均粒
径を小さくしようとするならば、高分子分散剤の濃度を
高く、また、平均粒径を大きくしようとするならば、高
分子分散剤の濃度が低く設定される。一方、粒子径分布
を非常に鋭くしようとするならば、ビニル単量体濃度を
低く、また、比較的広い分布でもよい場合は、ビニル単
量体濃度は高く設定される。
【0035】粒子の製造は、親水性有機液体に、高分子
分散安定剤を完全に溶解した後、一種または二種以上の
ビニル単量体、重合開始剤、その他必要ならば無機微粉
末、界面活性剤、染料、顔料などを添加し、30〜30
0rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速
で、しかも、パドル型よりもタービン型の撹拌翼を用い
て槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら用
いた重合、開始剤の重合速度に対応した温度にて加熱し
重合が行なわれる。なお、重合初期の温度が生成する粒
子種に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に
温度を重合温度まで上げ、重合開始剤を小量の溶媒に溶
解して投入した方が望ましい。重合の際には、窒素ガ
ス、アルゴンガスなどの不活性気体にて反応容器内の空
気中の酸素を充分に追い出す必要がある。この酸素パー
ジが不充分であると微粒子が発生し易い。重合を高重合
率域で行なうには5〜40時間の重合時間が必要である
が、所望の粒子径、粒子径分布の状態で重合を停止させ
たり、また、重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反
応を行なうことにより重合速度を速めることができる。
【0036】重合終了後は、そのまま染着工程に用いて
もよいし、沈降分離、遠心分離、デカンテーションなど
の操作により、不必要な微粒子、残存モノマー、高分子
分散安定剤などを除いた後に、重合体スラリーとして回
収して染着を行なってもよいが、分散安定剤を除去しな
い方が染着の安定性は高く、不要な凝集が抑制される。
【0037】〔染着工程〕本発明における染着は次のよ
うなものである。即ち、樹脂粒子Aを溶解せしめない有
機溶媒中に樹脂粒子Aを分散し、この前または後に前記
溶媒中に染料を溶解させ、前記染料を樹脂粒子A中に浸
透させ着色せしめた後、前記有機溶媒を除去して染着ト
ナーを製造する方法において、前記染料の前記有機溶媒
に対する液解度(D1)及び前記樹脂粒子Aの樹脂に対
する前記染料の溶解度(D2)の関係が、(D1)/
(D2)≦0.5となる染料を選択使用する。これによ
り、樹脂粒子Aの深部まで染料が浸透(拡散)したトナ
ーを効率よく製造することができる。本発明における溶
解度は25℃の温度で測定されたものと定義される。な
お、染料の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶
解度と全く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で
含有させることができる最大量を意味する。この溶解状
態あるいは染料の析出状態の観察は、顕微鏡を用いるこ
とにより容易に行なうことができる。樹脂に対する染料
の溶解性を知るには、上記した直接観察による方法の代
わりに間接的な観察方法によってもよい。この方法は、
樹脂と溶解度係数が近似する液体、即ち樹脂をよく溶解
する溶媒を用い、この溶媒に対する染料の溶解度を樹脂
に対する溶解度として定めてもよい。
【0038】〔染料〕着色に使用する染料としては、前
述のように使用する有機溶媒への該染料の溶解度(D
1)より樹脂粒子を構成する樹脂への該染料の比(D
1)/(D2)が0.5以下である必要がある。さら
に、(D1)/(D2)を0.2以下とすることが好ま
しい。染料としては、上記の溶解特性を満たせば特に制
限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性
染料は環境変動が大きいおそれがあり、またトナーの電
気抵抗が低くなり、転写率が低下するおそれがあるの
で、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好まし
く、特に油溶性染料が好ましい。また、所望の色調に応
じて数種の染料を併用することもできる。染着される染
料と樹脂粒子との比率(重量)は、着色度に応じて任意
に選択されるが、通常は樹脂粒子1重量部に対して、染
料1〜50重量部の割合で用いるのが好ましい。例え
ば、染着溶媒にSP値の高いメタノール、エタノールな
どのアルコール類を使用し、樹脂粒子としてSP値が9
程度のスチレン−アクリル系樹脂を使用した場合、使用
し得る染料としては、例えば、以下のような染料が挙げ
られる。 C.I. SOLVENT YELLOW(6,9,17,31,35,1,102,103,105) C.I. SOLVENT ORANGE(2,7,13,14,66) C.I. SOLVENT RED(5,16,17,18,19,22,23,143,145,146,1
49,150,151,157,158) C.I. SOLVENT VIOLET(31,32,33,37) C.I. SOLVENT BLUE(22,63,78,83〜86,91,94,95,104) C.I. SOLVENT GREEN(24,25) C.I. SOLVENT BROWN(3,9) など。
【0039】市販染料では、例えば保土谷化学工業社製
の愛染SOT染料:Yellow−1,3,4、Ora
nge−1,2,3、Scarlet−1、Red−
1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Vi
olet−1、Green−1,2,3、Black−
1,4,6,8やBASF社製のsudan染料:Ye
llow−140,150、Orange−220、R
ed−290,380,460,Blue−670や三
菱化成社製のダイアレジン:Yellow−3G,F,
H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、
Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Viole
t−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4
G、Green−C、Brown−Aやオリエント化学
社製のオイルカラー:Yellow−3G,GG−S,
#105、Orange−PS,PR,#201、Sc
arlet−#308、Red−5B、Brown−G
R,#416、Green−BG,#502、Blue
−BOS,HN、Black−HBB,#803,E
E,EX、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーG
P,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,G
C、日本化薬社製のカヤロン、ポリエステルブラックE
X−SH3、カヤセットRed−BのブルーA−2Rな
どを使用することができる。もちろん染料は樹脂粒子と
染着時に使用する溶媒の組み合わせで適宜選択されるた
め、上記例に限られるものではない。
【0040】〔染着用有機溶媒〕染料を樹脂粒子に染着
させるために用いる有機溶媒としては、使用する樹脂粒
子が溶解しないもの、あるいは若干の膨潤をきたすも
の、具体的には溶解性パラメーター(SP値)の差が
1.0以上、好ましくは2.0以上のものが使用され
る。例えば、スチレン−アクリル系樹脂粒子に対して
は、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパ
ノールなどのアルコール系、あるいはSP値が低いn−
ヘキサン、n−ヘプタンなどを使用する。SP値の差が
あまりに大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くな
り、樹脂粒子の良好な分散が得られないため、最適なS
P値の差は2〜5が好ましい。
【0041】〔染着工程〕染料を溶解した有機溶媒中に
樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子のガラス転
移温度以下に保ち、撹拌することが好ましい。これによ
り、樹脂粒子の凝集を防ぎながら染着することが可能と
なる。撹拌の方法は、市販されている撹拌機、例えばホ
モミキサー、マグネチックスタラーなどを用いて撹拌す
ればよい。また、分散重合などで重合終了時得られるス
ラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散してい
る状態の分散液に、染料を直接添加して前記の条件にて
加熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の
場合は、樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。染着後の
スラリーを乾燥する方法としては、特に限定はされない
が、濾過した後に減圧乾燥あるいは濾別しないで直接減
圧乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾ま
たは減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どな
く、投入した樹脂粒子の粒度分布を殆ど損なわないで再
現する。
【0042】次に、本発明の懸濁重合トナーについて説
明する。 〔モノマー〕懸濁重合に使用される重合性単量体は、ビ
ニル基を有するモノマーであり、具体的には以下のよう
なモノマーが挙げられる。即ち、スチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、ブチルスチレン、オクチル
スチレンなどのスチレン及びその誘導体が挙げられ、な
かでもスチレン単量体が最も好ましい。他のビニル系単
量体として、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなど
のエチレン系不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲ
ン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベン
ゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブ
チル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリ
ル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、ア
クリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α
−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸
n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなど
のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アク
リロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド
などのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニル
メチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニ
ルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケ
トン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン
類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N
−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−
ビニル化合物類、ビニルナフタレンなどを挙げることが
でき、これらの単量体を単独あるいは混合して用いるこ
とができる。
【0043】〔架橋剤〕単量体組成物中には、架橋重合
体を生成させるために、次のような架橋剤を存在させて
懸濁重合させてもよい。架橋剤としては、ジビニルベン
ゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジ
アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、
トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,
2’−ビス(4−メタクリルロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシジ
エトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパン
トリメタクリレート、トリメチロールメタンテトラアク
リレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリ
レート、フタル酸ジアリルなどが挙げられる。架橋剤の
使用量が多過ぎると、トナーが熱で溶融しにくくなり、
熱定着性、熱圧定着性が劣ることになる。また、架橋剤
の使用量が少な過ぎると、トナーとして必要な耐ブロッ
キング性、耐久性などの性質が低下し、熱ロール定着に
おいて、トナーの一部が紙に完全に固着しないでロール
表面に付着し、次の紙に転写するという、コールドオフ
セットが発生してしまう。従って、用いる架橋剤量は、
重合性単量体100重量部に対して0.001〜15重
量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0044】〔離型剤〕また、得られるトナーのオフセ
ット防止のために、重合組成物に離型剤を含有させるこ
とができる。離型剤としては低分子量のポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。この
低分子量オレフィン重合体は、着色剤と共に重合性単量
体中に分散させておくのが好ましい。なお、離型剤は重
合性単量体100重量部に対して1〜15重量部使用す
ることが好ましい。離型剤の使用量が1重量部未満で
は、得られたトナーが充分な離型効果を持たず、ローラ
上にオフセットしやすくなる。逆に、使用量が15重量
部を超過すると、トナーから離型剤が摩擦帯電付与部材
にスペントするようになるし、また、トナーの流動性が
極めて悪くなる。
【0045】〔着色剤〕単量体に含有される着色剤とし
ては、従来知られている染料及びカーボンブラック、カ
ーボンブラックの表面を樹脂で被覆してなるグラフト化
カーボンブラックのような顔料が使用可能である。その
他の着色剤としては、ランプブラック、鉄黒、群青、ニ
グロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニングリー
ン、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコ
オイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジ
ジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染
料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料などの染顔料があ
る。なお、これらの着色剤は、重合性単量体100重量
部に対して0.1〜30重量部使用できる。
【0046】〔分散安定剤〕分散安定剤としては次のも
のが使用可能である。即ち、ポリビニルアルコール、で
ん粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナト
リウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分
子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、珪
藻土、金属酸化物粉末などが用いられる。これらは水に
対して0.1〜10重量%の範囲で用いるのが好まし
い。
【0047】〔重合開始剤〕本発明において、重合開始
剤は造粒後の単量体組成物を含む分散液中に添加しても
よいが、個々の単量体組成物粒子に均一に重合開始剤を
付与する点からは、造粒前の単量体組成物に含有させて
おくことが望ましい。このような重合開始剤としては、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1’−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル、アゾビスブチロニトリルなどの
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキ
サイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロ
ピルパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパ
ーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどの過酸化物
系重合開始剤が挙げられる。
【0048】〔磁性体〕本発明のトナーは、磁性体を含
有する型の磁性トナーであってもよい。磁性トナーとす
るには、単量体組成物に磁性粒子を添加すればよい。本
発明に用いることができる磁性体には、例えば、鉄、コ
バルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末、もしくはマ
グネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合
物の粉末が挙げられる。磁性粒子としては、粒径が0.
05〜5μm、好ましくは0.1〜1μmのものが用い
られるが、小粒径トナーを生成する場合には、粒径0.
8μm以下の磁性粒子を使用することが望ましい。この
磁性粒子は、単量体組成物100重量部中に10〜60
重量部含有されていることが望ましい。また、これら磁
性粒子はシランカップリング剤、チタンカップリング剤
などの表面処理剤、あるいは適当な反応性の樹脂などで
処理されていてもよい。この場合、磁性粒子の表面積あ
るいは表面に存在する水酸基の密度にもよるが、通常、
磁性粒子100重量部に対して表面処理剤が5重量部以
下、好ましくは0.1〜3重量部の処理で充分な重合性
単量体への分散性が得られ、トナー物性に対しても悪影
響を及ぼさない。
【0049】上記の球形化トナーには、トナーの流動性
を向上するために外添剤を添加する。外添剤は、シリ
カ、アルミナ、チタニア等の無機微粒子、または有機微
粒子を使用することができる。また、一次粒子径が1n
m〜100nm、好ましくは5nm〜80nmの微粒子
が、外添剤として好ましく用いられる。
【0050】また、本発明の球形化トナーの粒径は、体
積平均粒径が3μm〜10μmであるものが望ましい。
トナーの体積平均粒径が3μm以下では、画像不良を発
生しやすい粒径1μm以下の微粉トナーの割合が大きく
なってしまい、体積平均粒径が10μm以上では、電子
写真画像の高画質化の要求に対応するのが困難である。
また、本発明における像担持体表面の微細凹凸の好まし
いサイズ範囲は10nm〜100nmである。微細凹凸
が10nm以下では十分なクリーニング性能が得られ
ず、100nm以上では小粒径のトナーが凹凸に入り込
みクリーニング不良の原因になる。
【0051】次に、本発明の像担持体として用いられる
電子写真用感光体について説明する。本発明の電子写真
用感光体は、導電性支持体の上に電荷発生層、電荷輸送
層が形成されたもの、更に電荷輸送層の上に保護層が形
成されたもの等が使用される。導電性支持体および電荷
発生層としては、公知のものならば如何なるものでも使
用することができる。本発明の電子写真用感光体の材料
としては、セレン及びその合金、アモルファスシリコン
等の無機感光体材料でも、有機感光体材料でも良い。
【0052】有機感光体材料を用いる場合、有機正孔移
動物質としては、分子中にトリフェニルアミン部位を有
する化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化
合物、オキサジアゾール化合物、カルバゾール基を含む
化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、ブタ
ジエン系化合物、線状の主鎖がSiよりなるポリシラン
化合物、ポリビニルカルバゾール等、高分子ドナー化合
物が挙げられる。
【0053】また、電荷発生顔料としては、例えばX型
の無金属フタロシアニン、π型の無金属フタロシアニ
ン、τ型の無金属フタロシアニン、ε型の銅フタロシア
ニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタ
ロシアニン等のフタロシアニン顔料やジスアゾ・トリス
アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、多環キノン系顔
料、インジゴ顔料、ジフェニルメタン、トリメチルメタ
ン系顔料、シアニン系顔料、キノリン系顔料、ベンゾフ
ェノン、ナフトキノン系顔料、ペリレン顔料、フルオレ
ノン系顔料、スクアリリウム系顔料、アズレニウム系顔
料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ナフタロシ
アニン系顔料、ポルフィリン系顔料が使用できる。前記
有機アクセプタ性化合物と組み合わせて使用が可能なこ
れら電荷発生顔料の感光層全体に占める量は0.1〜4
0wt%、好ましくは0.3〜25重量%が適当であ
る。
【0054】また、有機正孔輸送物質としては公知のも
のが利用でき、例えば分子中にトリフェニルアミン部位
を有する化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルメ
タン系化合物、オキサジアゾール系化合物、カルバゾー
ル系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、
ブタジエン系化合物、線状の主鎖がSiよりなるポリシ
ラン系化合物、ポリビニルカルバゾール等、高分子ドナ
ー性化合物等が挙げられる。感光層全体に占める該正孔
輸送物質の量は、10%以上、好ましくは20〜60重
量%が適当である。
【0055】また、感光層用結着剤としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、
ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコー
ン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付加型樹
脂、重縮合型樹脂、並びにこれらの繰り返し単位のうち
2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイ
ン酸共重合体樹脂を挙げることができる。これら結着剤
の感光層全体に占める量は20〜90%、好ましくは3
0〜70重量%である。
【0056】また、帯電性を改良する目的で感光層と導
電性基体の間に下引き層を設けることができる。これら
の材料としては、前記結着剤材料の他に、ポリアミド樹
脂、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロ
リドン等公知のものが利用できる。
【0057】本発明で用いることができる導電性基体と
しては、公知のものが利用でき、アルミニウム、ニッケ
ル、銅、ステンレス等の金属板、金属ドラムまたは金属
箔、アルミニウム、酸化錫、ヨウ化銅の薄膜を塗布また
は貼付したプラスチックフィルムあるいはガラス等が挙
げられる。
【0058】本発明の有機感光体をつくるには、前記電
荷発生材料を有機溶媒中に溶解、またはボールミル、超
音波等で分散して調整した電荷発生層形成液を浸漬法や
ブレード塗布、スプレー塗布等の公知の方法で基体上に
塗布・乾燥し、その上に前記電荷輸送材料を前記の方法
で塗布・乾燥し、さらに微粒子を分散させた有機溶媒を
前記の方法により電荷輸送層の上に形成すればよい。あ
るいは、電荷発生層の上に微粒子を分散させた電荷輸送
層を形成しても良い。また、無機感光体材料を用いる場
合も、同様にして微粒子を分散した表面層を形成すれば
良い。本発明の感光体に使用する微粒子は、シリカ、ア
ルミナ、チタニア等の無機微粒子、または有機微粒子を
使用することができる。
【0059】次に、本発明に用いられるクリーニングブ
レードについて説明する。本発明のクリーニングブレー
ドは、ゴム弾性体、特にポリウレタンゴムが好適に用い
られる。ポリウレタンゴムは、ポリオールとポリイソシ
アネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これ
に硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させ
た後、常温で熟成することによって製造される。また、
本発明のクリーニングブレードの物性は、硬度(JIS
Aスケール)が60〜80、300%モジュラスが1
00〜250kg/cm2、伸び率が300〜500
%、引張強さ(JIS Z2241)が200〜500
kg/cm 2、反発弾性率が40〜70%であるのが好
ましい。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。 (実施例1)まず、実施例1に使用した球形トナーにつ
いて説明する。スチレンモノマー40重量部にカーボン
ブラックMA100(三菱化成社製)20重量部と重合
開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを
0.5重量部加え、スリーワンモータ駆動撹拌翼、冷却
器、ガス導入管、温度計を取り付けた500ml四つ口
セパラブルフラスコに入れ、窒素気流下、室温で30分
間撹拌し、フラスコ内の酸素を窒素で置換した。その
後、70℃の湯浴中で6時間60rpmにて撹拌し、グ
ラフトカーボンブラックを得た。次いで、 スチレンモノマー 50重量部 n−ブチルメタクリレート 14.5重量部 1,3−ブタンジオールジメタアクリレート 0.5重量部 t−ブチルアクリルアミドスルフォン酸 3重量部 低分子量ポリエチレン 2重量部 (三井石油化学社製、三井ハイワックス210P) 上記グラフトカーボンブラック 30重量部 の混合物をボールミルで10時間分散した。この分散液
に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルおよび亜硝酸
ナトリウムをそれぞれ1重量部ずつ溶解させた後、ポリ
ビニルアルコールの2%水溶液250重量部に加え、特
殊機化社製TKホモミキサー1,000〜6,000r
pm、10分間にて撹拌し懸濁液を得た。上記懸濁液を
スリーワンモータ駆動撹拌翼、冷却器、ガス導入管、温
度計を取り付けた500mlの四つ口セパラブルフラス
コに入れ、窒素気流下、室温で撹拌し、フラスコ内の酸
素を窒素で置換した。その後、70℃の湯浴中で5〜8
時間、約100rpmにて撹拌して重合を完了させ懸濁
重合粒子を作成した。この粒子100重量部を水/メタ
ノール=1/1(重量比)の混合液に固形分30%にな
るよう再分散し、荷電制御剤としてH4N(CH25
H=C(C252を3重量部添加し、撹拌後濾過乾燥
し、体積平均粒径が7.3μmのトナーを得た。
【0061】上記トナー粒子と一次粒子径の平均値が1
4nmの疎水性シリカ(キャボット製TS−720)
を、シリカの添加量がトナー量の0.5重量%となるよ
うに配合し、ヘンシェルミキサーによって攪拌混合処理
して電子写真用トナーを作製した。上記方法により取得
した電子写真用トナーを、リコー製複写機Imagio
MF3550(二成分現像方式のモノクロ複写機)用の
キャリアと、トナー濃度が2.5重量%となるように混
合して2成分現像剤を作製した。このトナーと上記キャ
リアを充分混ぜ合わせた後、トナーの帯電量をブローオ
フ法で測定したところ、帯電量は−20.7μC/gで
あった。
【0062】次に、実施例1に使用した感光体について
説明する。下記構造式(1)のビスアゾ顔料0.4重量
部を、ブチラール樹脂(エスレックBL−S 積水化学
(株)製)の5重量%テトラヒドロフラン溶液4重量
部、及びテトラヒドロフラン7.6重量部とともにボー
ルミリングし、ミリング後テトラヒドロフランを加えて
2重量%に希釈し、電荷発生層形成用塗液を調整した。
この感光液を60φのアルミニウム製感光体ドラムに浸
漬法で塗布・乾燥させて電荷発生層を形成した。
【0063】
【化1】 次に、下記構造式(2)の正孔輸送物質を6.0重量部
と、感光体バインダー樹脂としてシクロヘキシリデンビ
スフェノールポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成T
S2050)9.0重量部を、テトラヒドロフラン67
重量部に溶解し、これを浸漬法で電荷発生層上に塗布・
乾燥させて、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0064】
【化2】 次に、一次粒径16nmの疎水性シリカ微粒子(日本ア
エロジル社製アエロジルR972)を1.0重量部と、
構造式(1)の正孔輸送物質を2.0重量部と、シクロ
ヘキシリデンビスフェノールポリカーボネート(Zポリ
カ、帝人化成TS2050)3.0重量部を、テトラヒ
ドロフラン67重量部に溶解・分散し、この分散液をス
プレードライ法で電荷輸送層上に塗布・乾燥させて、膜
厚が5μmの微粒子分散層を形成し、実施例1の有機感
光体を作製した。作製した実施例1の感光体の一部を切
り出し、その表面に金をスパッタリングし、走査型電子
顕微鏡で観察した結果、感光体の表面に一様に分布した
シリカ微粒子の凝集体が見られた。また、実施例1では
ポリウレタンゴムのクリーニングブレードを用いた。
【0065】以下に、実施例1のクリーニングブレード
の物性値を示す。 硬度(JIS Aスケール):70、 300%モジュラス:130kg/cm2、 伸び率:370%、 引張強さ(JIS Z2241):350kg/c
2、 反発弾性率:60%
【0066】次に、トナーと感光体及びトナーとクリー
ニングブレードの付着力の測定方法について説明する。
トナーの付着力を測定する方法は、トナーの付着してい
る物体からトナーを分離するのに必要な力を見積もる方
法が一般的である。トナーを分離させる方法としては、
遠心力、振動、衝撃、空気圧、電界、磁界等を用いた方
法が知られている。このうち、遠心力を利用した方法は
定量化が容易で、かつ測定精度が高い。このため、実施
例1では付着力測定方法として、遠心分離法を用いた。
【0067】まず、トナー付着力測定を実施する際の装
置について説明する。図1、図2は、本発明に係るトナ
ー付着力測定装置の測定セル、遠心分離装置の一例を示
す図である。図1は、トナー付着力測定装置の測定セル
の説明図である。図1において、(1)は測定セルであ
り、測定セル(1)は、トナーを付着させた試料面(2
a)を有する試料基板(2)と、試料基板(2)から分
離したトナーを付着させる付着面(3a)を有する受け
基板(3)と、試料基板(2)の試料面(2a)と受け
基板(3)の付着面(3a)の間に設けられたスペーサ
(4)から構成される。
【0068】図2は、遠心分離装置の一部断面図であ
る。図2において、(5)は遠心分離装置であり、遠心
分離装置(5)は、測定セル(1)を回転させるロータ
(6)と、保持部材(7)を備えている。ロータ(6)
は、自身の回転中心軸(9)に対して垂直な断面で穴形
状であり、保持部材(7)を設置する試料設置部(8)
を有している。保持部材(7)は、棒状部(7a)と、
棒状部(7a)に設けられ測定セル(1)を保持するセ
ル保持部(7b)、測定セル(1)をセル保持部(7
b)から押し出すための穴部(7c)、棒状部(7a)
を試料設置部(8)に固定する設置固定部(7d)を備
えている。セル保持部(7b)は、測定セル(1)を設
置したときに、測定セル(1)の垂直方向がロータの回
転中心軸(9)に垂直となるように構成される。
【0069】次に、上記の装置を用いてトナーの付着力
を測定する方法を説明する。まず、感光体またはクリー
ニングブレードの一部を試料基板(2)の形状に合わせ
て加工し、試料基板(2)上に接着剤で貼りつける。次
に、前記の帯電した球形トナーを試料基板(2)上の試
料面(2a)(感光体またはクリーニングブレード)上
に付着させる。
【0070】次に、図1のように、試料基板(2)、受
け基板(3)及びスペーサ(4)を用いて測定セル
(1)を構成する。測定セル(1)を、保持部材(7)
をロータ(6)の試料設置部(8)に設置したときに、
試料基板(2)が受け基板(3)とロータ(6)の回転
中心軸(9)の間になるように、保持部材(7)のセル
保持部(7b)に設置する。保持部材(7)を、測定セ
ル(1)の垂直方向がロータの回転中心軸(9)に垂直
となるように、ロータ(6)の試料設置部(8)に設置
する。遠心分離装置(5)を稼働してロータ(6)を一
定の回転数で回転させる。試料基板(2)に付着したト
ナーは回転数に応じた遠心力を受け、トナーの受ける遠
心力がトナーと試料面(2a)間の付着力よりも大きい
場合は、トナーが試料面(2a)から分離し、付着面
(3a)に付着する。
【0071】トナーの受ける遠心力Fは、トナーの重量
m、ロータの回転数f(rpm)、ロータの中心軸から
試料基板のトナー付着面までの距離rを用いて、一般式
(1)より求められる。
【0072】
【数1】 F=m×r×(2πf/60)2 …(1) トナーの重量mは、トナーの真比重ρ、円相当径dを用
いて、一般式(2)より求められる。
【0073】
【数2】 m=(π/6)×ρ×d3 …(2)
【0074】一般式(1)と一般式(2)より、トナー
の受ける遠心力Fは、一般式(3)から求められる。
【0075】
【数3】 F=(π3/5400)×ρ×d3×r×f2 …(3)
【0076】遠心分離終了後、保持部材(7)をロータ
(6)の試料設置部(8)から取り出し、保持部材
(7)のセル保持部(7b)から測定セル(1)を取り
出す。受け基板(3)を交換し、測定セル(1)を保持
部材(7)に設置し、保持部材(7)をロータ(6)に
設置し、ロータ(6)を前回よりも高回転数で回転させ
る。トナーの受ける遠心力が前回よりも大きくなり、付
着力の大きなトナーが、トナーが試料面(2a)から分
離して付着面(3a)に付着する。
【0077】遠心分離装置の設定回転数を低回転数から
高回転数へ変えて同様の操作を実施することにより、各
回転数で受ける遠心力と付着力の大小関係に応じて、試
料面(2a)上のトナーが付着面(3a)に移動する。
全ての設定回転数について遠心分離を実施後、各回転数
の受け基板(3)の付着面(3a)に付着したトナーの
粒径を計測することにより、一般式(3)を用いて各ト
ナーの付着力を求めることができる。トナーの粒径及び
個数の測定は、光学顕微鏡で付着面(3a)上のトナー
を観察し、その画像をCCDカメラを通して画像処理装
置に入力し、画像処理装置を用いて各トナーの粒径測定
をおこなうことができる。
【0078】なお、付着力測定に使用した装置及び測定
条件は以下のとおりである。 遠心分離装置:日立工機製CP100α (最高回転数:100,000rpm、最大加速度:8
00,000×g) ロータ:日立工機製アングルロータP100AT 画像処理装置:インタークエスト製Hyper700 試料基板と受け基板:直径8mm、厚み1.5mmの円
板で、材料はアルミニウム。 スペーサ:外径8mm、内径5.2mm、厚み1mmで
のリングで、材料はアルミニウム。 保持部材:直径13mm、長さ59mmの円筒で、材料
はアルミニウム。 ロータの中心軸から試料基板のトナー付着面までの距
離:64.5mm 設定回転数f:1000、1600、2200、270
0、3200、5000、7100、8700、100
00、15800、22400、31600、5000
0、70700、86600、100000(rpm)
【0079】以上の方法を用いて、実施例1の帯電した
球形トナーと実施例1の感光体、及び実施例1のトナー
と実施例1のクリーニングブレードの付着力を測定し
た。その結果、トナーと感光体の付着力の平均値は10
8nN、トナーとクリーニングブレードの付着力の平均
値は162nNで、トナーとクリーニングブレードの付
着力はトナーと感光体の付着力よりも大きい。
【0080】リコー製複写機Imagio MF355
0に、実施例1の現像剤、感光体及びクリーニングブレ
ードを使用して5万枚通紙による連続複写を実施した。
初期及び5万枚連続複写後に画像評価を実施し、同時に
CCD顕微鏡カメラ(キーエンス社ハイパーマイクロス
コープ)によってクリーニング後の感光体のトナー付着
を観察した。初期及び5万枚連続複写後のクリーニング
後の感光体にトナーは観察されず、画像不良は見られな
かった。
【0081】(実施例2)一次粒径15nmの疎水性酸
化チタン微粒子(テイカ製MT150A)を0.8重量部
と、構造式(1)の正孔輸送物質を2.0重量部と、シ
クロヘキシリデンビスフェノールポリカーボネート(Z
ポリカ、帝人化成TS2050)3.0重量部を、テト
ラヒドロフラン67重量部に溶解・分散し、この分散液
を実施例1でドラム上に形成した電荷輸送層上に、スプ
レードライ法を用いて塗布・乾燥させて、膜厚が5μm
の微粒子分散層を形成し、実施例2の有機感光体を作製
した。実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡で感光体
表面を観察した結果、感光体の表面に一様に分布した酸
化チタンの凝集体が見られた。実施例1と同様にして、
実施例1のトナーと実施例2の感光体の付着力を測定し
た結果、トナーと感光体の付着力の平均値は127nN
で、トナーとクリーニングブレードの付着力(162n
N)はトナーと感光体の付着力よりも大きい。実施例2
の感光体を用いて実施例1と同様にして連続複写を実施
した結果、初期及び5万枚連続複写後のクリーニング後
の感光体にトナーは観察されず、画像不良は見られなか
った。
【0082】(実施例3)疎水性シリカ微粒子(日本ア
エロジル社製アエロジルR972)を4.0重量部と、
構造式(1)の正孔輸送物質を6.0重量部と、感光体
バインダー樹脂としてシクロヘキシリデンビスフェノー
ルポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成TS205
0)9.0重量部を、テトラヒドロフラン67重量部に
溶解分散し、これを浸漬法で実施例1の電荷発生層上に
塗布・乾燥させて、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成
し、実施例3の有機感光体を作製した。実施例1と同様
にして走査型電子顕微鏡で感光体表面を観察した結果、
感光体の表面に一様に分布したシリカの凝集体が見られ
た。実施例1と同様にして、実施例1のトナーと実施例
3の感光体の付着力を測定した結果、トナーと感光体の
付着力の平均値は91nNで、トナーとクリーニングブ
レードの付着力(162nN)はトナーと感光体の付着
力よりも大きい。実施例3の感光体を用いて実施例1と
同様にして連続複写を実施した結果、初期及び5万枚連
続複写後のクリーニング後の感光体にトナーは観察され
ず、画像不良は見られなかった。
【0083】(比較例1)実施例1でドラム上に形成し
た電荷発生層及び電荷輸送層上に微粒子分散層を設けず
に、比較例1の有機感光体とした。実施例1と同様にし
て、実施例1のトナーと比較例1の感光体の付着力を測
定した結果、トナーと感光体の付着力の平均値は223
nNで、トナーとクリーニングブレードの付着力(16
2nN)はトナーと感光体の付着力よりも小さい。比較
例1の感光体を用いて実施例1と同様にして連続複写を
実施した結果、初期及び5万枚連続複写後のクリーニン
グ後の感光体にトナーが多数観察され、黒すじ等の画像
不良が発生した。
【0084】(比較例2)疎水性シリカ微粒子(日本ア
エロジル社製アエロジルR972)を0.1重量部と、
構造式(1)の正孔輸送物質を2.0重量部と、シクロ
ヘキシリデンビスフェノールポリカーボネート(Zポリ
カ、帝人化成TS2050)3.0重量部を、テトラヒ
ドロフラン67重量部に溶解・分散し、この分散液を実
施例1でドラム上に形成した電荷輸送層上に、スプレー
ドライ法を用いて塗布・乾燥させて、膜厚が5μmの微
粒子分散層を形成し、比較例2の有機感光体を作製し
た。実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡で感光体表
面を観察した結果、感光体の表面にシリカの凝集体が見
られた。実施例1と同様にして、実施例1のトナーと比
較例2の感光体の付着力を測定した結果、トナーと感光
体の付着力の平均値は185nNで、トナーとクリーニ
ングブレードの付着力(162nN)はトナーと感光体
の付着力よりも小さい。比較例2の感光体を用いて実施
例1と同様にして連続複写を実施した結果、初期及び5
万枚連続複写後のクリーニング後の感光体にトナーが観
察され、黒すじ等の画像不良が発生した。
【0085】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らか
なように、本発明によれば、電子写真用トナーとして球
形化トナーを用い、転写工程後に像担持体上に残留した
トナーをクリーニングブレードを用いてクリーニングす
る画像形成装置において、球形化トナーとクリーニング
ブレードの付着力が球形化トナーと像担持体の付着力よ
りも大きくなるように構成することにより、球形化トナ
ーをクリーニングブレードで効率よくクリーニングする
ことが可能な画像形成装置を提供することができるとい
う極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る粉体付着力測定装置における測定
セルの説明図である。
【図2】本発明に係る粉体付着力測定装置の遠心分離装
置の一部断面側面図である。
【図3】像担持体上の転写残トナーがクリーニングブレ
ードに接触した状態の説明図である。
【図4】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図
である。
【符号の説明】 1 測定セル 2 試料基板 2a 試料面 3 受け基板 3a 付着面 4 スペーサ 5 遠心分離装置 6 ロータ 7 保持部材 7a 棒状部 7b セル保持部 7c 穴部 7d 設置固定部 8 試料設置部 9 回転中心軸 11 クリーニングブレード 12 像担持体 13 トナー 14 像担持体の回転方向 21 感光体ドラム 22 帯電ローラ 23 露光 24 現像装置 25 スクリュー 26 現像スリーブ 27 ドクターブレード 28 転写装置 29 転写ベルト 30 バイアスローラ 31 分離爪 32 定着装置 33 定着ローラ 34 加圧ローラ 35 定着ヒータ 36 クリーニング装置 37 クリーニングブレード 38 トナー回収装置 39 除電ランプ Fc 付着力 Fp 付着力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H005 AA15 EA10 2H068 AA04 AA09 2H134 GA01 GB02 HD02 HD04 HD05 HD17 HD19 KD08 KG07 KG08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 像担持体上にトナー像を形成し、該像担
    持体上に形成されたトナー像を転写体上に転写した後、
    クリーニングブレードを用いて該像担持体上に残留した
    トナーを除去する工程を有し、製造工程あるいは製造後
    の工程において球形化したトナーを使用して該トナー像
    を形成する画像形成装置において、該クリーニングブレ
    ードと該球形化したトナーとの付着力が、該像担持体と
    該球形化したトナーとの付着力よりも大きいことを特徴
    とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】 該像担持体と該球形化したトナーとの接
    触面積が、該クリーニングブレードと該球形化したトナ
    ーとの接触面積よりも小さいことを特徴とする請求項1
    に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 該像担持体の表面上に、該球形化したト
    ナーの体積平均粒径よりも小さい凹凸を設けたことを特
    徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 該像担持体の表面上に、該球形化したト
    ナーの体積平均粒径よりも小さな微粒子を分布したこと
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載の画像形
    成装置。
  5. 【請求項5】 該像担持体が、該球形化したトナーの体
    積平均粒径よりも小さな微粒子を分散させた層を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の画
    像形成装置。
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