JP2002257169A - 鉄道車両用高疲労強度軸ばね - Google Patents
鉄道車両用高疲労強度軸ばねInfo
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Abstract
の接触部における発生応力を低減させ、高疲労強度を達
成すること。 【解決手段】 ばね素線をコイリングした鉄道車両用軸
ばねである。最弱部位であるばね座の端部と一巻き目と
の間で圧縮荷重が負荷された時に接触する部分の形状
を、圧縮荷重が負荷されていない状態では、ばね座端部
と一巻き目との隙間量が3mm以上、7mm以下であ
り、ばね素線径をd、コイル中心径をDとした場合、設
計荷重を負荷した状態で、d/20の幅を有する部分の
長さがD/8以上である接触面を確保する。 【効果】 鉄道車両用軸ばねの高疲労強度化を、接触部
形状の改善で実現でき、鉄道車両の軽量化による省エネ
ルギーに寄与するばかりでなく、その高速化にともなう
車軸等のばね下部品の発生応力の増大を抑制する効果が
ある。
Description
られる車軸の両端(ジャーナル部)に嵌め合わされた軸
受と台車枠との間に配される、一般に軸ばねと呼ばれる
コイルばねに関するものである。
の接触から生じる振動、衝撃を緩和する目的で使用さ
れ、通常、車軸の両端(ジャーナル部)に嵌め合わされ
た軸受と台車枠との間に配されており、通常、コイルば
ねの形態となっている。
軽量化が要求されている。このため、材料を高強度化
し、設計応力を上げることで線径を小さくすることが検
討されている。しかしながら、線径を小さくすると、ば
ね座端部と一巻き目との間で接触して微小な相対すべり
が生じるため、フレッティング疲労と呼ばれる摩耗を伴
った疲労破壊が生じるといった問題点があった。
力を低減させる方法と一巻き目を強化させる方法の二通
りのアプローチが考えられる。前者の方法としては、特
開昭62−258236号にあるように、ばねの線径を
端部と中央部で変化させ、線径を大きくした一巻き目で
の発生応力を低減させる方法が考えられる。しかしなが
ら、このような方法では、線径を変化させるために機械
加工が必要であり、作業工程が余分に必要になる。ま
た、線径が大きくなっている部分があるため、その分重
量が増加するといった問題がある。
ニングによって表面層に圧縮残留応力を付与して強化す
る方法が考えられる。しかしながら、疲労破壊が生じる
一巻き目のばね座端部に面した部分に対してショットピ
ーニングによりショット粒を投射しても、一巻き目とば
ね座端部との隙間が2mm程度しかないため、投射角度
が限られ、疲労強度向上に効果があるレベルの圧縮残留
応力を付与することは困難であった。
題点に鑑みてなされたものであり、軽量化を図りつつ、
ばね座端部と一巻き目との接触部における発生応力を低
減させ、高疲労強度を達成できる鉄道車両用高疲労強度
軸ばねを提供することを目的としている。
ために、本発明の鉄道車両用高疲労強度軸ばねは、ばね
座の端部と一巻き目との間で圧縮荷重が負荷された時に
接触する部分の形状を、圧縮荷重が負荷されていない状
態では、ばね座端部と一巻き目との隙間量が3mm以
上、7mm以下であり、ばね素線径をd、コイル中心径
をDとした場合、設計荷重を負荷した状態で、d/20
の幅を有する部分の長さがD/8以上である接触面を確
保することとしている。そして、このようにすること
で、ばね座の端部と一巻き目との接触部の面圧、すなわ
ち、発生応力を低減させ、高疲労強度が達成される。
ばねは、ばね素線をコイリングした鉄道車両用軸ばねに
おいて、最弱部位であるばね座の端部と一巻き目との間
で圧縮荷重が負荷された時に接触する部分の形状を、圧
縮荷重が負荷されていない状態では、ばね座端部と一巻
き目との隙間量が3mm以上、7mm以下であり、ばね
素線径をd、コイル中心径をDとした場合、設計荷重を
負荷した状態で、d/20の幅を有する部分の長さがD
/8以上である接触面が確保されているものであり、必
要に応じて、1段目はショット粒径を0.6〜1mm、
アークハイトを1〜1.3mmAとし、2段目以降はシ
ョット粒径を0.1〜0.4mmとした条件で、2段階
以上のショットピーニングを施す。
状を図1に模式的に示す。ばね座の端部と一巻き目との
間で圧縮荷重が負荷された時に接触する部分を、図1中
にAで記している。
いて、図2(a)に示すように、圧縮荷重が負荷されて
いない状態で、ばね座端部と一巻き目との隙間量Lを3
mm以上、7mm以下としたのは、隙間量Lが3mm未
満の場合には、接触部Aでばね座と一巻き目が接触する
最小荷重が小さくなり、設計荷重で接触部Aに生じる接
触面圧が大きくなるからである。接触面圧が大きいと摩
擦に起因した発生応力が大きくなり、接触部Aのフレッ
ティング疲労強度が低下する虞がある。また、後述のシ
ョットピーニングでショット粒が接触部Aに投射され難
くなり、接触部Aに期待された圧縮残留応力が得られな
い虞がある。
部Aの面圧は下がるものの、図1のB部に生じる曲げ応
力が大きくなり、B部を起点として疲労破壊が生じる可
能性があるからである。
ねにおいて、図2(b)(c)に示したように、設計荷
重を負荷した状態で、d/20の幅を有する部分の長さ
がD/8以上である接触面が確保されていることとした
のは、接触面の長さがD/8未満であると、接触面積が
小さくなるため、接触面圧が大きくなり、接触部Aのフ
レッティング疲労強度が低下する虞があるからである。
なお、接触面の寸法は、設計荷重が負荷された時に接触
部Aに感圧紙等を挟んで測定する。
ねの高疲労強度化にはかなりの効果が得られるが、更な
る高疲労強度化を実現するには、圧縮残留応力の付与に
よって亀裂進展を抑制するために、1段目はショット粒
径を0.6〜1mm、アークハイトを1〜1.3mmA
とし、2段目以降はショット粒径を0.1〜0.4mm
とした条件で、2段階以上のショットピーニングを施す
ことが望ましい。このうち、1段目のショットピーニン
グでは、表面から深さ0.5mm程度までの領域に圧縮
残留応力を生じさせ、また、2段目のショットピーニン
グではごく表面の圧縮残留応力を増加させる。
あると、上記のアークハイトを得るのに非常に大きな投
射速度が必要となり現実的でない。反対に、1段目のシ
ョット粒径が1mmを超えると、隙間量が3〜7mmで
ある接触部Aにショット粒が効率的に投射されず、期待
された圧縮残留応力が得られないからである。
満であると、投射角度の制限がある接触部Aに期待され
た圧縮残留応力が得られない。反対に、1段目のアーク
ハイトが1.3mmAを超えると、いわゆるオーバーピ
ーニングと呼ばれる状態となり、表面の圧縮残留応力値
が小さくなるからである。
満であると、1段目のショットピーニングで生じた圧縮
残留応力がほとんど変化しない。反対に2段目以降のシ
ョット粒径が0.4mmを超えると、1段目のショット
ピーニングを長時間実施した場合と同様になり、オーバ
ーピーニングに近い状態となるからである。なお、ばね
の製造工程において、ショットピーニングは、コイリン
グ、熱処理、ばね座加工後、セッティング前等に行うこ
とが好ましい。
ばね座の端部と一巻き目との間で圧縮荷重が負荷された
時に接触する部分の形状を上記したように規定したの
で、前記接触部の面圧、すなわち、発生応力を低減さ
せ、高疲労強度が達成される。
度軸ばねにおいて、上記した条件の2段階以上のショッ
トピーニングを施し、圧縮残留応力を付与した場合に
は、疲労亀裂の進展が抑制され、更なる高疲労強度が達
成される。
際に軸ばねを試作し、本発明を実施した場合と実施して
いない場合とを比較した。試作したばねの諸元は、ばね
常数が1500N/mm、ばね自由長が300mm、静
荷重は83kN、動荷重は25kNである。設計応力を
最大剪断応力で850MPaとすると、この諸元より、
ばね素線径は43mm、総巻き数は5.5、コイル中心
径は270mmとなる。
SUP10ばね鋼を用い、図3に示したフローチャート
のように、端部を加工した素線を熱間でコイリングした
後、焼入焼戻しによる熱処理を施し、その後、圧縮荷重
が負荷された時の一巻き目と接触するばね座の端部を仕
上げ加工した後、ショットピーニングを施し、セッティ
ングした。
端部が図4に示す形状となるように、圧延・機械加工し
ており、本発明の接触部形状を得るために、図4に示し
たばね座端部の角度θを調整した。接触部の形状として
は、荷重が負荷されていない状態で隙間量が5mm、設
計荷重(上記静荷重+動荷重)が負荷されたときの接触
面寸法については、ばね素線の円周方向の幅が2.2m
mの部分が、ばね素線長手方向に43mmの長さ存在し
た。
施したばねを本発明例1a(請求項1に対応するも
の)、2段階のショットピーニングを施したものを本発
明例2(請求項2に対応するもの)とした。また、本発
明例1a及び本発明例2と接触部の形状は同じである
が、ショットピーニングの条件を変えた4種類のばねを
本発明例1b,1c,1d,1e(請求項1に対応する
もの)とした。本発明例2とショットピーニング条件は
同じであるが、接触部の形状が異なる3種類のばねを製
作し、比較例1〜3とした。
は、ショット粒径が0.8mm、アークハイトが0.8
mmAとした。また、本発明例2のショットピーニング
の条件は、1 段目のショット粒径を0 .7 mm、アーク
ハイトを1.1mmAとし、2段目のショット粒径を
0.2mmとした。下記表1に製作した全てのばねの接
触部形状とショットピーニング条件をまとめて示す。
価するために疲労試験を行った。疲労試験は、電機油圧
サーボ型の疲労試験機を用い、ばねに静荷重相当の圧縮
荷重を平均荷重として与え、さらに動荷重相当の振幅の
荷重を与えている。まず、設計荷重と同じ、最大剪断応
力(τmax)が850MPaとなる条件ですべてのば
ねを疲労試験した。その結果を下記表2に示す。
発明例1a,1b,1c,1d,1e,2では1×10
7 回の繰返し数でも破断せず、本発明で規定した接触部
の形状がばねの高疲労強度化に有効であることが判っ
た。次に、τmaxが950MPaとなる条件で本発明
例のばねを疲労試験した。その結果も併せて表2に示
す。ショットピーニングの条件が本発明の範囲内である
本発明例2では1×107回の繰返し数でも破断せず、
本発明で規定した接触部の形状がばねの更なる高疲労強
度化に有効であることが判った。
しないが、主として鉄鋼材料、例えばJIS SUP
9、SUP10、SUP11等に代表されるばね用鋼で
良い。
用高疲労強度軸ばねは、鉄道車両用軸ばねの高疲労強度
化を、接触部形状の改善とショットピーニング条件の適
正化で実現することができる。これは、鉄道車両の軽量
化による省エネルギーに寄与するばかりでなく、その高
速化にともなう車軸等のばね下部品の発生応力の増大を
抑制する効果があることを意味する。
示す模式図で、(a)は平面図、(b)は正面図であ
る。
における、ばね座の端部と一巻き目との間で圧縮荷重が
負荷される前の説明図、(b)は同じく圧縮荷重が負荷
た時の接触部分の説明図、(c)は(b)の接触面部分
の平面図である。
程を説明するフローチャートである。
のコイリング前のばね素線端部付近の形状を示す模式
図、(b)は(a)のA−A’断面図、(c)は(a)
のB−B’断面図、(d)は(a)のC−C’断面図で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 ばね素線をコイリングした鉄道車両用軸
ばねにおいて、最弱部位であるばね座の端部と一巻き目
との間で圧縮荷重が負荷された時に接触する部分の形状
を、圧縮荷重が負荷されていない状態では、ばね座端部
と一巻き目との隙間量が3mm以上、7mm以下であ
り、ばね素線径をd、コイル中心径をDとした場合、設
計荷重を負荷した状態で、d/20の幅を有する部分の
長さがD/8以上である接触面が確保されていることを
特徴とする鉄道車両用高疲労強度軸ばね。 - 【請求項2】 請求項1記載の鉄道車両用高疲労強度軸
ばねにおいて、1段目はショット粒径を0.6〜1m
m、アークハイトを1〜1.3mmAとし、2段目以降
はショット粒径を0.1〜0.4mmとした条件で、2
段階以上のショットピーニングを施したことを特徴とす
る鉄道車両用高疲労強度軸ばね。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001058423A JP2002257169A (ja) | 2001-03-02 | 2001-03-02 | 鉄道車両用高疲労強度軸ばね |
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JP2001058423A JP2002257169A (ja) | 2001-03-02 | 2001-03-02 | 鉄道車両用高疲労強度軸ばね |
Publications (1)
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---|---|
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ID=18918147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2001058423A Pending JP2002257169A (ja) | 2001-03-02 | 2001-03-02 | 鉄道車両用高疲労強度軸ばね |
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