JP2002256482A - 錫銅合金皮膜の製造方法及び銅−錫銅合金積層膜の製造方法 - Google Patents

錫銅合金皮膜の製造方法及び銅−錫銅合金積層膜の製造方法

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JP2002256482A JP2001059820A JP2001059820A JP2002256482A JP 2002256482 A JP2002256482 A JP 2002256482A JP 2001059820 A JP2001059820 A JP 2001059820A JP 2001059820 A JP2001059820 A JP 2001059820A JP 2002256482 A JP2002256482 A JP 2002256482A
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Naoyuki Shinohara
直行 篠原
Susumu Arai
進 新井
Norio Kaneko
紀男 金子
Shinichi Wakabayashi
信一 若林
Kenji Nakamura
健次 中村
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Shinko Electric Industries Co Ltd
Original Assignee
Shinko Electric Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一浴の電解めっき浴によって銅−錫銅合金積
層皮膜を形成し得る銅−錫銅合金積層膜の製造方法を提
供する。 【解決手段】 めっき対象物の被めっき面に電解めっき
によって銅層と錫銅合金層とが積層された銅−錫銅合金
積層膜を形成する際に、該電解めっきを施すめっき浴と
して、錫イオンを供給する錫化合物と銅イオンを供給す
る銅化合物とを、両金属の析出電位を近接させる添加剤
を実質的に添加することなく配合して成るめっき浴を用
い、前記めっき浴中の被めっき面に銅が析出する電位
と、銅と錫とが共析する共析電位とを交互にパルス状に
印加するパルスめっきを、前記めっき対象物に施すこと
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は錫銅合金皮膜の製造
方法及び銅−錫銅合金積層膜の製造方法に関し、更に詳
細にはめっき対象物の被めっき面に電解めっきによって
錫銅合金皮膜を形成する錫銅合金皮膜の製造方法、及び
めっき対象物の被めっき面に電解めっきによって銅層と
錫銅合金層とが積層された銅−錫銅合金積層膜を形成す
る銅−錫銅合金積層膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉛フリーのはんだ(以下、鉛フリ
ーはんだと称することがある)は、環境保全等の関連か
らも開発が急がれており、錫銅合金はんだも鉛フリーは
んだの候補の一つである。かかる錫銅合金はんだを半導
体装置等の実装に用いる場合には、実装面に錫銅合金か
ら成るはんだめっき皮膜を形成することが行われてい
る。しかし、錫銅合金から成るはんだめっき皮膜を、め
っき対象物に電解めっきによって形成する場合、銅イオ
ン(Cu2+)と錫イオン(Sn2+)との析出電位差が大
きいため、両者の析出電位差を実質的に解消することが
必要である。このため、電解めっき浴に、両者の析出電
位差を実質的に解消し得る添加物、例えばアルカンスル
ホン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、スルホコハク
酸、ピロリン酸等の銅イオンと錯体を形成し得る添加物
が添加されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様に、錫銅合金め
っき用の電解めっき浴に、銅イオンと錯体を形成し得る
添加物を添加することによって、銅イオン(Cu2+)と
錫イオン(Sn2+)との析出電位差を実質的に解消で
き、電解めっきによってめっき対象物の被めっき面に錫
銅合金皮膜を形成できる。しかし、この様な錯化合物を
形成するめっき浴の排水処理は困難であり、添加物のコ
ストも比較的高価であるため、錫銅合金めっきのランニ
ングコストが高くなる。しかも、形成された錫銅合金皮
膜中に巻き込まれた添加物が、錫銅合金皮膜に悪影響を
与えるおそれもある。また、銅錫合金皮膜の融点調整を
容易にすべく、銅層と錫銅合金層とを交互に積層した銅
−錫銅合金積層皮膜も考えられる。つまり、錫銅合金用
の電解めっき浴の組成を調整することなくを用い、銅層
と錫銅合金層との層厚を調整することによって、銅−錫
銅合金積層皮膜の融点を容易に調整し得ることが期待で
きるからである。しかしながら、めっき対象物の被めっ
き面に銅−錫積層皮膜を形成するには、銅用の電解めっ
き浴と錫銅合金用の電解めっき浴とを準備し、めっき対
象物を両電解めっき浴に交互に浸漬して電解めっきを施
すことを必要とし、めっき工程が複雑化する。しかも、
錫銅合金用の電解めっき浴では、銅イオン(Cu2+)と
錫イオン(Sn2+)との析出電位差を実質的に解消し得
る添加剤を添加することを要する。そこで、本発明の第
1の課題は、錫と銅との析出電位を近接させる添加剤が
実質的に未添加の電解めっき浴を用い、めっき対象物の
被めっき面に錫銅合金を形成することができる錫銅合金
皮膜の製造方法を提供することにある。また、本発明の
第2の課題は、一浴の電解めっき浴によって銅−錫銅合
金積層皮膜を形成し得る銅−錫銅合金積層膜の製造方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決すべく検討した結果、錫化合物と銅化合物とが、両
金属の析出電位を近接させる添加剤を実質的に添加する
ことなく配合されて成るめっき浴を用い、めっき対象物
の被めっき面に電解めっきを施す際に、銅及び錫が共析
する共析電位で電解めっきを施すことによって、めっき
対象物の被めっき面に錫銅合金皮膜が形成されることを
見出し、本発明の第1の発明に到達した。すなわち、本
発明の第1の発明は、めっき対象物の被めっき面に電解
めっきによって錫銅合金皮膜を形成する際に、該電解め
っきを施すめっき浴として、錫イオンを供給する錫化合
物と銅イオンを供給する銅化合物とを、両金属の析出電
位を近接させる添加剤を実質的に添加することなく配合
して成るめっき浴を用い、前記めっき浴中の被めっき面
に銅が析出する電位よりも負側の電位であって、銅と錫
とが共析する共析電位の下で、前記めっき対象物に電解
めっきを施すことを特徴とする錫銅合金皮膜の製造方法
にある。かかる本発明の第1の発明において、共析電位
を、−0.3Vよりも負側で且つ―0.4Vよりも正側
の電位とすることによって、緻密な錫銅合金皮膜を形成
できる。
【0005】また、本発明の第1の発明で用いた電解め
っき浴を用い、銅が析出する電位と、銅と錫とが共析す
る共析電位とを交互にパルス状に印加するパルスめっき
を施すことによって、めっき対象物の被めっき面に銅−
錫銅合金積層皮膜を一浴で形成できることを知り、本発
明の第2の発明に到達した。すなわち、本発明の第2の
発明は、めっき対象物の被めっき面に電解めっきによっ
て銅層と錫銅合金層とが積層された銅−錫銅合金積層膜
を形成する際に、該電解めっきを施すめっき浴として、
錫イオンを供給する錫化合物と銅イオンを供給する銅化
合物とを、両金属の析出電位を近接させる添加剤を実質
的に添加することなく配合して成るめっき浴を用い、前
記めっき浴中の被めっき面に銅が析出する電位と、銅と
錫とが共析する共析電位とを交互にパルス状に印加する
パルスめっきを、前記めっき対象物に施すことを特徴と
する銅−錫銅合金積層膜の製造方法にある。かかる本発
明の第2の発明において、銅が析出する電位を−0.2
5Vよりも正側の電位とし、共析電位を−0.3Vより
も負側で且つ―0.4Vよりも正側の電位とすることに
よって、純銅に近い銅層と緻密な錫銅合金層とから成る
銅−錫銅合金積層皮膜を形成できる。
【0006】本発明の第1の発明によれば、錫化合物と
銅化合物とを、両金属の析出電位を近接させる添加剤を
実質的に添加することなく配合して成る電解めっき浴を
用い、被めっき面に銅と錫とが共析する共析電位の下で
めっき対象物に電解めっきを施すため、添加物の巻き込
みのない錫銅合金皮膜をめっき対象物の被めっき面に形
成できる。また、かかる電解めっき浴を用い、被めっき
面に銅が析出する電位と、銅と錫とが共析する共析電位
とを交互にパルス状に印加するパルスめっきを、めっき
対象物に施すため、銅層と添加物の実質的な巻き込みの
ない錫銅合金層とがめっき対象物の被めっき面に積層さ
れた銅−錫銅合金積層皮膜を一浴で形成できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、電解めっきを
施すめっき浴として、錫イオンを供給する錫化合物と銅
イオンを供給する銅化合物とを、両金属の析出電位を近
接させる添加剤を実質的に添加することなく配合して成
るめっき浴を用いる。かかるめっき浴中には、硫酸等の
pH調整剤等を添加してもよい。ここで、本発明で用い
る電解めっき浴の一例として、H2SO4(1.2mol/
リットル)−CuSO4(0.5mol/リットル)−Sn
SO4(0.15mol/リットル)のめっき浴についての
電位−電流曲線を図1の曲線10として示す。図1に
は、銅イオンを供給する銅化合物のみが配合された浴
[H2SO4(1.2mol/リットル)−CuSO4(0.
5mol/リットル)]の電位−電流曲線を曲線12に示
し、錫イオンを供給する錫化合物のみが配合された浴
[H2SO4(1.2mol/リットル)−SnSO4(0.
15mol/リットル)]の電位−電流曲線を曲線14に
示す。図1から明らかな様に、曲線12に示す銅化合物
のみが配合された浴では、0V近傍より銅イオン(Cu
2+)の還元に基づく電流が流れ始め、約−0.2V〜−
0.75Vの電位範囲において限界電流が観測され、−
0.75Vよりも負側の電位では、陰極から水素気泡の
発生が観測された。また、曲線14に示す錫化合物のみ
が配合された浴では、−0.45V近傍より錫イオン
(Sn2+)の還元に基づく電流の急激な増加が認められ
る。一方、曲線10に示す銅化合物と錫化合物とが配合
されためっき浴では、−0.2V近傍までは曲線12に
示す銅化合物のみが配合された浴の挙動と略一致してい
るが、−0.25〜―0.75Vの電位範囲では、曲線
12に示す銅化合物のみが配合された浴についての限界
電流より高い電流値を示す。この電流値の増加は、銅イ
オン(Cu2+)と共存することにより錫イオン(S
2+)の還元電位が正側に移動したことを示す。
【0008】曲線10に示す銅化合物と錫化合物とが配
合されためっき浴を電解めっき浴として用い、−0.1
5〜−0.4Vの電位範囲において、電位を0.05V
間隔で設定して定電位電解めっきを施したところ、−
0.25Vよりも正側の電位では、めっき対象物の被め
っき面が赤銅色となって、銅が析出していることを示
す。一方、−0.3Vよりも負側の電位では、めっき対
象物の被めっき面が銀白色となって、銅と錫とが共析し
ていることを示す。事実、―0.35Vの電位でステン
レス製のめっき対象物の被めっき面に形成しためっき皮
膜についてのX線回折を行ったところ、Cu、Cu6
5、Cu3Snの回折線が認められ、Cu、Cu6Sn5
及びCu3Snが共析していることが確認された。かか
る錫銅合金皮膜を形成するための電位としては、−0.
3Vよりも負側で且つ―0.4Vよりも正側の電位とす
ることによって、緻密な錫銅合金皮膜を形成でき好まし
い。―0.4Vより負側の電位では、形成されためっき
皮膜がスポンジ状となり易い傾向にあり、−0.3Vよ
りも正側の電位では、銅が析出し易くなるものの、錫が
析出し難くなる傾向がある。
【0009】図1に示す電位−電流曲線の曲線10に示
すめっき浴では、−0.25Vよりも正側の電位では銅
が析出し、−0.3Vよりも負側の電位では銅及び錫が
共析している。このため、銅が析出する電位と、銅及び
錫が共析する電位(以下、共析電位と称することがあ
る)とを交互にパルス状に印加するパルスめっきを施す
ことによって、めっき対象物の被めっき面に銅層と錫銅
合金層とが積層された銅−錫銅合金積層皮膜を形成でき
る。かかる銅−錫銅合金積層皮膜を形成する際に、銅が
析出する電位を−0.25Vよりも正側の電位とし、共
析電位を−0.3Vよりも負側で且つ―0.4Vよりも
正側の電位とすることによって、純銅に近い銅層と緻密
な錫銅合金層とから成る銅−錫銅合金積層皮膜を形成で
きる。また、銅が析出する電位に保持する保持時間t1
と共析電位に保持する保持時間t2とを調整することに
よって、銅層と錫銅合金層との層厚を調整でき、めっき
皮膜の融点を所望値とすることができる。更に、保持時
間t1及び/又は保持時間t2を経時に伴なって変更する
ことによって、銅層及び/又は錫銅合金層の層厚を一方
方向に傾斜するように変化させることができ、傾斜めっ
き皮膜を形成できる。かかる傾斜めっき皮膜によれば、
同一加熱温度下で一面側が溶融しても他面側は溶融しな
い傾斜めっき皮膜を形成できる。
【0010】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳細に説明す
る。本実施例では図2に示すめっき装置を用いた。図2
において、めっき槽30内のめっき浴32には、陽極C
E及びめっき対象物WEに接続された陰極WE1及び参
照電極REが挿入されている。参照電極RE用の陰極W
2は、陰極WE1と同様に、めっき対象物WEに接続さ
れている。かかる陽極CE、陰極WE1,WE 2及び参照
電極REは、電圧源34に接続されており、電圧源34
から電圧が供給される。この電圧源34からは、電源制
御用コンピュータ36によって制御されるプログラマブ
ル電源37から発せられる制御信号に基づいて所定の電
圧を陽極CE及び陰極WE1に供給する。かかる電圧
は、参照電極REと陰極WE2との間の電位差に基づい
て制御される。また、陽極CEと陰極WE1との間に流
れた電流は、デジタルマルチメータ38にモニタされ、
モニタされた電流値は電源制御用コンピュータ36にフ
ィードバックされる。かかる電流値は、陰極WE1に接
続されためっき対象物WEのめっき面に形成されためっ
き皮膜の厚さに略比例するため、電源制御用コンピュー
タ36は、デジタルマルチメータ38にモニタされた電
流値に基づいてプログラマブル電源37を制御する。
【0011】実施例1 図2に示すめっき槽30内のめっき浴32として、H2
SO4(1.2mol/リットル)−CuSO4(0.5mol
/リットル)−SnSO4(0.15mol/リットル)の
めっき浴を用い、陰極WE1に接続されためっき対象物
としてのステンレス板の被めっき面に、−0.35Vで
定電位電解めっきを施した。ステンレス板の被めっき面
には、銀白色のめっき皮膜が形成され、このめっき皮膜
についてのX線回折では、Cu、Cu6Sn5及びCu3
Snの回折線が認められ、Cu、Cu6Sn5及びCu3
Snが共析していることが確認された。また、めっき対
象物としての銅板の被めっき面に同様にして形成しため
っき皮膜の断面について、走査型電子顕微鏡を用いて撮
影された写真を模写した断面図を図3に示す。図3から
明らかな様に、めっき皮膜は緻密構造であることが判
る。
【0012】実施例2 図2に示すめっき装置を用い、陽極CEと陰極WE1
の間に図4に示す共析電位A(−0.35V、保持時間
2sec)と、銅が析出する電位B(−0.1V、保持時
間t1sec)とを交互にパルス状に印加し、陰極WE1
接続されているめっき対象物である銅板の被めっき面に
パルスめっきを施した。ここで、電位B(−0.1V)
の保持時間t1を8secとし、共析電位A(−0.3
5V)の保持時間t2を2secとして、めっき浴32の組
成を変更してパルスめっきを施した。各水準について、
めっき対象物である銅板の被めっき面に形成されためっ
き皮膜の断面を走査型電子顕微鏡によって観察した。そ
の際に撮影した電子顕微鏡写真を模写した、めっき皮膜
の断面図を図5(a)〜(c)に示し、各断面図の右上
部分には、めっき皮膜の拡大図も併せて示す。図5
(a)のめっき浴の組成は、H2SO4(1.2mol/リ
ットル)−CuSO4(0.5mol/リットル)−SnS
4(0.15mol/リットル)であり、図5(b)のめ
っき浴の組成は、H2SO4(1.2mol/リットル)−
CuSO4(0.3mol/リットル)−SnSO4(0.
3mol/リットル)である。また、図5(c)のめっき
浴の組成は、H2SO4(1.2mol/リットル)−Cu
SO4(0.15mol/リットル)−SnSO4(0.5m
ol/リットル)である。図(a)〜(b)において、白
層と黒層とが交互に積層されためっき皮膜が観察され
る。めっき皮膜の厚さは、CuSO4の添加量が少なく
なるに従って(めっき浴中の銅イオン濃度が低下するに
従って)薄くなった。この現象は、Cu析出電位B(−
0.1V)の保持時間t1内に流れる電流値が、めっき
浴中の銅イオン濃度の低下に従って低下するためである
と考えられる。また、白層は、SnSO4のCuSO4
対する添加量を多くすると(錫イオン濃度を銅イオン濃
度に対して高くすると)、黒層は薄くなり白層は厚くな
った。
【0013】実施例3 実施例1において、H2SO4(1.2mol/リットル)
−CuSO4(0.5MOL/リットル)−SnSO
4(0.15mol/リットル)のめっき浴を用い、電位B
(−0.1V)の保持時間t1を210secとし、共
析電位A(−0.35V)の保持時間t2を70secとし
た他は実施例1と同様にしてめっき皮膜を形成した。め
っき対象物である銅板の被めっき面に形成しためっき皮
膜について、EPMAによって銅(Cu)と錫(Sn)
との分布を測定し、その結果を図6に示す。図6の上部
側に銅(Cu)についての分析線を示し、図6の下部側
に錫(Sn)についての分析線を示す。図6の中央線は
分析を行った位置を示す。図6から明らかな様に、銅
(Cu)については純銅から成る素地と黒層とが略同程
度のX線強度を呈するため、黒層は純銅に近い組成を有
していることが判る。一方、錫(Sn)については、素
地と黒層とではX線強度は略ゼロであるが、白層ではX
線強度が強くなっている。また、白層では、銅(Cu)
のX線強度は黒層に比較して低下している。このため、
白層では、銅(Cu)と錫(Sn)とが共析している共
析層であることが判る。
【0014】実施例4 図2に示すめっき装置を用い、めっき対象物としてステ
ンレス板を用いてパルスめっきを施し、めっき対象物の
被めっき面に形成されためっき皮膜についてX線回折を
行った。その結果を図7に示す。この際のパルスめっき
に用いてめっき浴、銅が析出する電位B(−0.1V)
での保持時間t1及び共析電位A(−0.35V)での
保持時間t2は、以下の通りである。 水準1 H2SO4(1.2M)−CuSO4(0.5M)−Sn
SO4(0.15M) 保持時間t1;8sec、保持時間t2;2sec 水準2 H2SO4(1.2M)−CuSO4(0.3M)−Sn
SO4(0.3M) 保持時間t1;5sec、保持時間t2;5sec 水準3 H2SO4(1.2M)−CuSO4(0.15M)−S
nSO4(0.5M) 保持時間t1;2sec、保持時間t2;8sec 尚、水準1〜水準3のMは、mol/リットルの意味であ
る。
【0015】図7から明らかな様に、銅イオン濃度が錫
イオン濃度よりも高く且つ保持時間t1が保持時間t2
りも長い水準1で形成されためっき皮膜の回折線には、
CuとCu3Snに基づく回析線が認められ、銅イオン
濃度と錫イオン濃度とが等しく且つ保持時間t1と保持
時間t2とが等しい水準2で形成されためっき皮膜の回
折線には、Cu3Snに基づく回析線が優先的に認めら
れる。更に、錫イオン濃度が銅イオン濃度よりも高く且
つ保持時間t2が保持時間t1よりも長い水準3で形成さ
れためっき皮膜の回折線には、Cu、Cu3Sn及びC
6Sn5に基づく回折線が認められる。また、水準1〜
3のいずれのめっき皮膜の回折線には、β―Snに基づ
く回折線は認められなかった。かかる図7に示すX線回
折及び図6に示すEPMAの結果からは、図5及び図6
に示すめっき皮膜の黒層は銅から成る層であり、白層は
銅錫合金から成る層であることが判る。
【0016】
【発明の効果】本発明の第1の発明によれば、銅イオン
(Cu2+)と錫イオン(Sn2+)との析出電位差を実質
的に解消し得る添加物を添加することなく電解めっきに
よってめっき対象物の被めっき面に錫銅合金皮膜を形成
できる。このため、添加物の添加に因るめっき浴の排水
処理の困難性を解消でき、且つ錫銅合金めっきのランニ
ングコストの低減を図ることができる。しかも、形成さ
れた錫銅合金皮膜中に添加物が巻き込まれることを防止
でき、巻き込まれた添加物の錫銅合金皮膜対する悪影響
のおそれも解消できる。また、本発明の第2の発明によ
れば、銅層と添加物の実質的な巻き込みのない錫銅合金
層とが積層された銅−錫銅合金積層皮膜を一浴で形成で
きる。このため、銅用の電解めっき浴と錫銅合金用の電
解めっき浴とを準備し、めっき対象物を両電解めっき浴
に交互に浸漬して電解めっきを施すというめっき工程の
複雑化を防止できる。更に、銅イオン(Cu2+)と錫イ
オン(Sn2+)との析出電位差を実質的に解消し得る添
加物を添加することなく錫銅合金層を容易に形成でき
る。このため、添加物の添加に因るめっき浴の排水処理
の困難性や錫銅合金層内に添加物が巻き込まれるおそれ
を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種のめっき浴についての電位−電流曲線を示
すグラフである。
【図2】本発明で用いるめっき装置を説明するための概
略図である。
【図3】銅と錫とが共析する共析電位に固定して電解め
っきを施して形成しためっき層の断面について、走査型
電子顕微鏡を用いて撮影された写真を模写した断面図で
ある。
【図4】パルスめっきを施す際の電位パルスを説明する
ための説明図である。
【図5】パルスめっきによって形成されためっき皮膜の
断面についての電子顕微鏡写真を模写した、めっき皮膜
の断面図である。
【図6】形成しためっき皮膜のEPMAによる分析結果
を示すめっき皮膜の部分断面図である。
【図7】形成しためっき皮膜のX線回折の結果を示すチ
ャートである。
【符号の説明】
10 本発明で用いるめっき浴の電位−電流曲線 12 銅化合物のみが添加された浴の電位−電流曲線 14 錫化合物のみが添加された浴の電位−電流曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 信一 長野県長野市大字栗田字舎利田711番地 新光電気工業株式会社内 (72)発明者 中村 健次 長野県長野市大字栗田字舎利田711番地 新光電気工業株式会社内 Fターム(参考) 4K024 AA07 AA09 AB04 CA07 GA16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき対象物の被めっき面に電解めっき
    によって錫銅合金皮膜を形成する際に、 該電解めっきを施すめっき浴として、錫イオンを供給す
    る錫化合物と銅イオンを供給する銅化合物とを、両金属
    の析出電位を近接させる添加剤を実質的に添加すること
    なく配合して成るめっき浴を用い、 前記めっき浴中の被めっき面に銅が析出する電位よりも
    負側の電位であって、銅と錫とが共析する共析電位の下
    で、前記めっき対象物に電解めっきを施すことを特徴と
    する錫銅合金皮膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 共析電位を、−0.3Vよりも負側で且
    つ―0.4Vよりも正側の電位とする請求項1記載の錫
    銅合金皮膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 めっき対象物の被めっき面に電解めっき
    によって銅層と錫銅合金層とが積層された銅−錫銅合金
    積層膜を形成する際に、 該電解めっきを施すめっき浴として、錫イオンを供給す
    る錫化合物と銅イオンを供給する銅化合物とを、両金属
    の析出電位を近接させる添加剤を実質的に添加すること
    なく配合して成るめっき浴を用い、 前記めっき浴中の被めっき面に銅が析出する電位と、銅
    と錫とが共析する共析電位とを交互にパルス状に印加す
    るパルスめっきを、前記めっき対象物に施すことを特徴
    とする銅−錫銅合金積層膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 銅が析出する電位を−0.25Vよりも
    正側の電位とし、共析電位を−0.3Vよりも負側で且
    つ―0.4Vよりも正側の電位とする請求項3記載の銅
    −錫銅合金積層膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006307328A (ja) * 2005-03-28 2006-11-09 Sony Corp 無鉛Snベースめっき膜及びその製造方法、並びに接続部品の接点構造

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