JP2002256466A - 腐食抑制剤 - Google Patents
腐食抑制剤Info
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Abstract
を維持することができる、水分による金属の腐食を抑制
するための皮膜形成機能と中和機能とを兼ね備えた腐食
抑制剤を実現する。 【解決手段】 腐食抑制剤は、水分による金属の腐食を
抑制するための水性エマルジョン系のものであり、炭素
数が10〜24の長鎖脂肪族アミン化合物と、脂肪族環
状アミン化合物と、ポリオキシアルキレンソルビタン脂
肪酸エステルを主成分とする界面活性剤とを含んでい
る。
Description
に、水分による金属の腐食を抑制するための腐食抑制剤
に関する。
置では、給水中に含まれている溶存酸素の作用若しくは
重炭酸イオンや二酸化炭素によるpHの低下作用に起因
して、水蒸気や水と接触する金属製の配管その他の金属
製部材が腐食し易い。このような腐食は、装置の性能低
下や故障の原因になったり、装置の寿命を短縮する可能
性があり、また、水蒸気を用いて食品加工や滅菌処理を
施すような場合は衛生面での問題もあることから、その
ような腐食を抑制するための手法、特に、薬剤を用いて
当該腐食を有効に抑制するための方法が種々検討されて
いる。
抑制するための薬剤は、主に、配管の内周面など水分が
直接接触する部位に対して防食性の皮膜を形成するため
の皮膜形成性のものと、水分中に含まれる上述の重炭酸
イオンや二酸化炭素を中和するための中和性のものとに
分類することができる。
に対して皮膜を形成することにより、金属と水分とが直
接に接触するのを防止して腐食の進行を抑制するもので
あり、腐食の原因が水分中の溶存酸素によるのか若しく
は水分中で生成する酸性物質によるのかの区別なく(す
なわち、腐食の原因とは無関係に)金属の腐食を有効に
抑制することができる。ところが、このような皮膜形成
性薬剤は、通常、長期間(数ヶ月以上)継続的に使用す
ることではじめて金属製部材に対して防食性の皮膜を形
成することができるものであるため、当該皮膜が形成さ
れる迄の間は、金属製部材の腐食を抑制するのが困難で
ある。これに対し、中和性薬剤は、水分中に含有させる
だけで直ちに腐食の抑制機能を発揮し得る利点を有する
が、水分中の溶存酸素による腐食を抑制するのは困難で
ある。
をより効果的に抑制するための薬剤として、金属製部材
に対して防食性の皮膜を形成するための機能と、水分中
に含まれる酸性物質を中和するための機能とを同時に発
揮できるものが提案されている(特開昭62−2052
92号公報参照)。この薬剤は、炭素数が10〜24個
の長鎖脂肪族アミンと、特定の一般式で示されるアルカ
ノールアミン化合物と、炭素数が8〜24個の脂肪族ア
ルカリ金属塩とを含む水性エマルジョンであり、長鎖脂
肪族アミンが金属製部材に対して防食性の皮膜を形成す
るための成分として機能し、また、アルカノールアミン
化合物が水分中に含まれる酸性物質を中和するための中
和剤として機能し得る。なお、脂肪族アルカリ金属塩
は、長鎖脂肪族アミンを水中に分散させてエマルジョン
を形成するための界面活性剤である。
機能と中和機能とを兼ね備えた水性エマルジョン系の薬
剤は、乳化安定性が不十分である。このため、長期的な
(例えば、50℃で1ヶ月以上の)保存および使用をし
た場合、この薬剤は、沈殿したり、金属製部材の表面に
対して均一な皮膜を形成しにくいなどの不具合を起こす
可能性があるため、所要の腐食抑制機能を発揮できない
可能性がある。
る場合、水蒸気中に気化状態で含まれ易い。したがっ
て、ボイラからの水蒸気を食品加工や滅菌処理等に用い
たり、ボイラの圧力調整時に水蒸気が大気中に漏れ出る
可能性を考慮すると、この種の薬剤は、人体や環境に対
する安全性も求められる。
いても良好な安定性を維持することができる、水分によ
る金属の腐食を抑制するための皮膜形成機能と中和機能
とを兼ね備えた腐食抑制剤を実現することにある。本発
明の他の目的は、長期間の保存や使用においても良好な
安定性を維持することができ、しかも人体や環境に対す
る安全性が高い、水分による金属の腐食を抑制するため
の皮膜形成機能と中和機能とを兼ね備えた腐食抑制剤を
実現することにある。
水分による金属の腐食を抑制するための水性エマルジョ
ン系のものであり、炭素数が10〜24の長鎖脂肪族ア
ミン化合物と、脂肪族環状アミン化合物と、界面活性剤
とを含んでいる。ここで用いられる界面活性剤は、ポリ
オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分と
して含んでいる。
ばオクタデシルアミンである。また、脂肪族環状アミン
化合物は、例えばモルホリンである。さらに、ポリオキ
シアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、例えばポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレエートである。
アルキレンソルビタン脂肪酸エステルの他に、ソルビタ
ン脂肪酸エステルを副成分として含んでいる。また、界
面活性剤は、例えば、HLB値が12〜13である。
ン化合物を0.3〜2.0重量%、脂肪族環状アミン化
合物を0.5〜40重量%、界面活性剤を0.6〜6.
0重量%それぞれ含んでいる。
る金属の腐食を抑制するためのものであり、長鎖脂肪族
アミン化合物と脂肪族環状アミン化合物とを含み、長鎖
脂肪族アミン化合物が特定の種類の界面活性剤を用いて
水性分散媒中に分散(乳化分散)された水性エマルジョ
ン系のものである。
水性エマルジョンを形成するために通常用いられるもの
であれば特に限定されるものではなく、基本的には水、
特に純水(蒸留水)である。この水性分散媒は、水の他
に、適宜、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよび
グリセリンなどの増粘剤や凍結防止剤を含んでいてもよ
い。
ン化合物は、金属の表面に対し、水分による腐食を抑制
するための皮膜を形成するための成分であり、長鎖脂肪
族基の炭素数が10〜24個、好ましくは12〜20個
のものである。この炭素数が10個未満の場合は、金属
に対して皮膜を形成しにくくなる可能性があり、腐食抑
制機能が不十分になる可能性がある。逆に、炭素数が2
4個を超える場合は、エマルジョンがゲル化しやすくな
り、安定性が損なわれる可能性がある。
する長鎖脂肪族基は、不飽和結合を含んでいてもよい。
また、この長鎖脂肪族アミン化合物を構成するアミノ基
は、その水素部分がメチル基やエチル基などの炭化水素
基により、適宜置換されていてもよい。さらに、この長
鎖脂肪族アミン化合物は、脂肪酸塩であってもよい。こ
の場合、脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、例えば、
オレイン酸、ラウリン酸およびステアリン酸を挙げるこ
とができる。
ち、好ましいものとしては、例えば、ドデシルアミン、
トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘプタデシル
アミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミンおよび
ドコシルアミンなどの飽和長鎖脂肪族アミン類、オレイ
ルアミン、リシノレイルアミン、リノレイルアミンおよ
びリノレニルアミンなどの不飽和長鎖脂肪族アミン類、
並びにヤシ油アミンや硬化牛脂アミンなどの混合アミン
類を挙げることができる。なお、長鎖脂肪族アミン化合
物は、2種類以上のものが併用されてもよい。
の具体例うち、特に好ましいものは、オクタデシルアミ
ンである。オクタデシルアミンは、米国FDA規格にお
いて、一定の規制値の下でボイラ水用添加剤としての使
用が認められている、人体若しくは環境に対する安全性
の高いアミン化合物であるため、これを長鎖脂肪族アミ
ン化合物として含む本発明の腐食抑制剤は、食品加工用
や滅菌処理用の水蒸気を供給するためのボイラをはじめ
とする各種装置に対しても適用することができる。
脂肪族アミン化合物の割合は、通常、全重量の0.3〜
2.0重量%に設定されているのが好ましく、0.5〜
1.0重量%に設定されているのがより好ましい。この
含有量が0.3重量%未満の場合は、金属に対して腐食
防止用の所要の皮膜を形成するのが困難になる可能性が
あり、また、腐食抑制剤そのものの安定性、特に乳化安
定性が損なわれる可能性がある。逆に2.0重量%を超
える場合は、腐食抑制剤がゲル化し易くなり、金属部材
に対して所要の皮膜を形成するのが困難になったり、狭
小な金属配管を閉塞させる可能性がある。また、腐食抑
制剤が相分離しやすくなり、乳化安定性が低下する可能
性がある。
ン化合物は、金属を腐食させる原因となる酸性物質、例
えば、水中に含まれる重炭酸イオンや炭酸ガスを中和す
るための機能を発揮するための中和性成分である。ここ
で利用可能な脂肪族環状アミン化合物の種類は、特に限
定されるものではなく、モルホリンおよびピペラジンな
どの各種のものである。これらは、適宜2種以上のもの
が併用されてもよい。このうち、本発明では、モルホリ
ンを用いるのが特に好ましい。モルホリンは、米国FD
A規格において、一定の規制値の下でボイラ水用添加剤
としての使用が認められている、人体若しくは環境に対
する安全性の高い化合物であるため、これを脂肪族環状
アミン化合物として含む本発明の腐食抑制剤は、食品加
工用や滅菌処理用の水蒸気を供給するためのボイラをは
じめとする各種装置に対しても適用することができる。
族環状アミン化合物の割合は、通常、全重量の0.5〜
40重量%に設定されているのが好ましく、20〜30
重量%に設定されているのがより好ましい。この含有量
が0.5重量%未満の場合は、水分中に含まれる重炭酸
イオンや炭酸ガスを中和しにくくなる可能性があり、長
鎖脂肪族アミン化合物による皮膜が金属の表面に形成さ
れる前に、金属の腐食を効果的に抑制するのが困難にな
る可能性がある。逆に40重量%を超える場合は、腐食
抑制剤の乳化安定性が低下する可能性がある。
性剤(乳化剤)を用いて上述の水性分散媒中に分散され
ている。本発明で用いられる界面活性剤は、ポリオキシ
アルキレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分として含
むものである。ここで用いられるポリオキシアルキレン
ソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸とソルビタンとの
エステルに対してアルキレンオキシド、好ましくはエチ
レンオキシドが付加したものである。その種類は、特に
限定されるものではないが、通常、炭素数が8〜24個
の脂肪酸を用いたものが好ましく、炭素数が10〜22
個の脂肪酸を用いたものがより好ましい。なお、このよ
うな脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラ
キン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸
およびリノレン酸等を挙げることができる。また、アル
キレンオキシドの付加モル数は、通常、10〜50モル
が好ましく、15〜40モルがより好ましい。
キレンソルビタン脂肪酸エステルの具体例としては、例
えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノステアレートおよびポリオキシ
エチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができ
る。但し、これらのポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステルは、エチレンオキサイドの付加量が4〜30
モルの割合に設定されているのが好ましい。このような
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、2
種以上のものが適宜併用されてもよい。
ルビタン脂肪酸エステルの具体例のうち、特に好ましい
ものは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
である。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
は、米国FDA規格などで認可されている化合物であ
り、人体若しくは環境に対する安全性の高いものである
ため、これを界面活性剤として含む本発明の腐食抑制剤
は、食品加工用や滅菌処理用の水蒸気や水を供給するた
めのボイラをはじめとする各種装置に対しても適用する
ことができる。
上述のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル
のみからなるものであってもよいし、上述のポリオキシ
アルキレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分とし、ソ
ルビタン脂肪酸エステルを副成分として含むものであっ
てもよい。ここで用いられるソルビタン脂肪酸エステル
は、界面活性剤のHLB値を後述の範囲に調整するため
のものであり、通常は、利用するポリオキシアルキレン
ソルビタン脂肪酸エステルを構成するソルビタン脂肪酸
エステルと同じソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
例えば、主成分となるポリオキシアルキレンソルビタン
脂肪酸エステルとして、ポリオキシエチレンソルビタン
モノオレエートを用いる場合、副成分として用いるソル
ビタン脂肪酸エステルはソルビタンモノオレエートが好
ましい。
/親水性バランスを表すHLB値が12〜13のものを
用いるのが好ましい。HLB値が12未満の場合は、本
発明の腐食抑制剤の乳化安定性、特に、長期間に渡る乳
化安定性が低下する可能性がある。逆に、13を超える
場合は、目的とする水性エマルジョンが得られない可能
性がある。因みに、界面活性剤は、HLB値が上述の範
囲にあるポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステ
ルのみからなるものが好ましい。また、界面活性剤がポ
リオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとソルビ
タン脂肪酸エステルとを含む場合、そのHLB値は、両
者の配合割合を調整することにより上述の範囲に設定す
るのが好ましい。
活性剤の割合は、通常、全重量の0.6〜6.0重量%
に設定されているのが好ましく、2.0〜5.0重量%
に設定されているのがより好ましい。この含有量が0.
6重量%未満の場合は、上述の長鎖脂肪族アミン化合物
を水性分散媒中に安定に乳化分散させるのが困難になる
場合がある。逆に、6.0重量%を超える場合は、それ
に伴う効果が得られず不経済であるばかりか、腐食抑制
剤が発泡して使用しにくくなる可能性がある。
成分の他、必要に応じて各種の添加剤を含んでいてもよ
い。添加剤としては、例えば、ヘキサメタ燐酸ナトリウ
ム、トリポリ燐酸ナトリウムなどの重合燐酸塩類、ニト
リロトリ酢酸ナトリウム(SNTA)やエチレンジアミ
ンテトラアセテート(EDTA)などの金属イオン封鎖
剤を挙げることができる。
な製造工程により製造することができる。先ず、上述の
長鎖脂肪族アミン化合物、脂肪族環状アミン化合物およ
び界面活性剤の所定量を60〜70℃程度の温度で攪拌
しながら混合し、相互に溶解する。次に、所定量の上述
の水性分散媒を10〜20℃程度に維持しつつ、得られ
た混合物を滴下等の手法により徐々に添加しながら当該
水性分散媒を攪拌する。そして、混合物の添加終了後も
所定時間(通常は、30分〜1時間程度)攪拌を継続す
ると、水性エマルジョン状態の目的とする腐食抑制剤が
得られる。なお、上述の増粘剤、凍結防止剤およびその
他の添加物は、上述の混合物側に添加しておいてもよい
し、水性分散媒側に添加しておいてもよい。また、目的
とする腐食抑制剤を調製した後に、別途添加して混合す
るようにしてもよい。
制剤は、それ自体、乳化分散安定性、特に、長期間に渡
る乳化分散安定性(保存安定性)が良好であり、また、
水で希釈した場合でも分離しにくく十分な分散安定性を
維持し得る。
腐食を抑制するために用いられる。より具体的には、例
えば、ボイラや濃縮缶等の水蒸気を発生する装置におい
て、水蒸気流通用の金属製配管、復水(ドレン)流通用
の金属製配管およびその他の金属製部材が、水蒸気や復
水等の水分により腐食するのを抑制するために用いられ
る。
流通用の金属製配管が腐食するのを抑制する場合は、数
台のボイラからの水蒸気を集中させて各所に分配するた
めの蒸気ヘッダー内に本発明の腐食抑制剤を注入する。
蒸気ヘッダー内に注入された腐食抑制剤は、蒸気ヘッダ
ー内で揮発し、水蒸気と共に各所に分配される。これに
より、腐食抑制剤中の脂肪族環状アミン化合物が水蒸気
中や復水中に含まれる各種の酸性成分を中和し、また、
腐食抑制剤中の長鎖脂肪族アミン化合物が水蒸気若しく
は復水の流通用配管の内面に皮膜を形成する。この結
果、金属製の配管およびその他の金属部材は、水蒸気や
復水などの水分による腐食が効果的に抑制されることに
なる。なお、本発明の腐食抑制剤による皮膜は、時間を
かけて徐々に形成される。このため、この腐食抑制剤
は、使用初期において、主として上述の中和作用により
金属の腐食を抑制することになる。
脂肪族アミン化合物、脂肪族環状アミン化合物およびポ
リオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとして、
上述のような米国FDA規格で認められたものや食品添
加物として利用可能なもの等、人体や環境に対する安全
性の高いものを選択して用いた場合は、本発明の腐食抑
制剤の安全性が高まることになる。したがって、そのよ
うな腐食抑制剤を用いた場合は、ボイラからの水蒸気を
食品加工用や滅菌処理用等に安全に用いることができ
る。また、ボイラの圧力調整時に水蒸気が大気中に漏れ
出たとしても、作業環境を汚染する可能性は小さい。
本発明の腐食抑制剤の注入量は、通常、水蒸気等の水分
中における長鎖脂肪族アミン化合物と脂肪族環状アミン
化合物との合計の濃度が20〜200ppm程度になる
よう設定するのが好ましく、50〜150ppm程度に
なるよう設定するのがより好ましい。因みに、腐食抑制
剤は、長鎖脂肪族アミン化合物と脂肪族環状アミン化合
物との合計の濃度が上述のようになるのであれば、蒸気
ヘッダーに対して連続的に注入されてもよいし、断続的
に注入されてもよい。
述のような濃度付近に希釈された場合、通常、pHが9
〜11程度の塩基性を示す。このため、この腐食抑制剤
は、一般に、リン酸ナトリウムなどの塩基性スケール防
止剤および亜硫酸ナトリウムやタンニンなどのその他の
水処理剤と併用することもできる。
脂肪族環状アミン化合物としてのモルホリンおよび界面
活性剤としてのポリオキシエチレンソルビタンモノラウ
レートとソルビタンモノラウレートとの混合物(HLB
値=12.5)を混合し、これを60〜70℃の温度範
囲で1時間攪拌して相互に溶解した。これにより、混合
液を得た。
20℃に維持し、この蒸留水に対して得られた混合液を
滴下しながら攪拌し、その攪拌を約1時間継続した。こ
れにより、水性エマルジョン状態の目的とする腐食抑制
剤が得られた。なお、この腐食抑制剤中に含まれる各成
分の割合は表1の通りである。
アルカノールアミン化合物としてのアミノメチルプロパ
ノールおよび界面活性剤としてのラウリン酸ナトリウム
を混合し、これを60〜70℃の温度範囲で1時間攪拌
して相互に溶解した。これにより、混合液を得た。
20℃に維持し、この蒸留水に対して得られた混合液を
滴下しながら攪拌し、その攪拌を約1時間継続した。こ
れにより、水性エマルジョン状態の目的とする腐食抑制
剤が得られた。なお、この腐食抑制剤中に含まれる各成
分の割合は表1の通りである。
界面活性剤としてのポリオキシエチレンソルビタンモノ
ラウレートとソルビタンモノラウレートとの混合物およ
びプロピレングリコールを混合し、これを60〜70℃
の温度範囲で1時間攪拌して相互に溶解した。これによ
り、混合液を得た。
20℃に維持し、この蒸留水に対して得られた混合液を
滴下しながら攪拌し、その攪拌を約1時間継続した。こ
れにより、水性エマルジョン状態の目的とする腐食抑制
剤が得られた。なお、この腐食抑制剤中に含まれる各成
分の割合は表1の通りである。
溶解し、腐食抑制剤を得た。この腐食抑制剤中に含まれ
る各成分の割合は表1の通りである。
ノールを蒸留水に溶解し、腐食抑制剤を得た。この腐食
抑制剤中に含まれる各成分の割合は表1の通りである。
制剤について、保存安定性および希釈安定性を評価し
た。評価の方法は次の通りである。 (保存安定性)腐食抑制剤を−5℃、25℃および50
℃の温度環境下においてそれぞれ1ヶ月間静置し、その
後の分散状態(乳化安定性)を目視により評価した。評
価の基準は次の通りである。結果を表2に示す。
態。 ×:沈殿物が観察される程度の不安定な乳化状態。
て10倍容量に希釈した。そして、このようにして希釈
された腐食抑制剤を−5℃、25℃および50℃の温度
環境下においてそれぞれ1ヶ月間静置し、その後の分散
状態(乳化安定性)を目視により評価した。評価の基準
は次の通りである。結果を表2に示す。
態。 ×:沈殿物が観察される程度の不安定な乳化状態。
抑制性を評価した。ここでは、蒸発量が500kg/時
の小型貫流ボイラに、腐食抑制剤を100mg/l添加
した軟水を給水し、圧力が8kg/cm2の蒸気を連続
的に発生させながら当該ボイラを運転した。この際、軟
鋼製のテストピース(50mm×25mm×1mm)を
蒸気ドレン水中に浸漬し、48時間経過後の腐食速度を
調べた。結果を表3に示す。なお、給水用に用いた軟水
は、愛媛県松山市の水道水を処理して軟化水としたもの
を用いた。その水質は次の通りである。
成機能のみを有する比較例2の腐食抑制剤および中和機
能のみを有する比較例3,4の腐食抑制剤に比べて腐食
抑制性に優れていることがわかる。また、実施例の腐食
抑制剤は、上述の評価1で示した通り、比較例1の腐食
抑制剤に比べて保存安定性および希釈安定性が優れてい
ると共に、比較例1のものと同等の腐食抑制性を発揮す
ることがわかる。
アミン化合物、脂肪族環状アミン化合物およびポリオキ
シアルキレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分とする
界面活性剤を含むものであるため、皮膜形成機能と中和
機能との両面から水分による金属の腐食を効果的に抑制
可能であり、しかも、長期間の保存や使用においても良
好な安定性を維持することができる。
ン化合物、脂肪族環状アミン化合物およびポリオキシア
ルキレンソルビタン脂肪酸エステルの種類を選択すれ
ば、人体や環境に対する安全性が高い。
Claims (7)
- 【請求項1】水分による金属の腐食を抑制するための水
性エマルジョン系の腐食抑制剤であって、 炭素数が10〜24の長鎖脂肪族アミン化合物と、 脂肪族環状アミン化合物と、 界面活性剤とを含み、 前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンソルビタン脂
肪酸エステルを主成分として含んでいる、腐食抑制剤。 - 【請求項2】前記長鎖脂肪族アミン化合物がオクタデシ
ルアミンである、請求項1に記載の腐食抑制剤。 - 【請求項3】前記脂肪族環状アミン化合物がモルホリン
である、請求項1または2に記載の腐食抑制剤。 - 【請求項4】前記ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪
酸エステルがポリオキシエチレンソルビタンモノオレエ
ートである、請求項1、2または3に記載の腐食抑制
剤。 - 【請求項5】前記界面活性剤は、前記ポリオキシアルキ
レンソルビタン脂肪酸エステルの他に、ソルビタン脂肪
酸エステルを副成分として含んでいる、請求項1、2、
3または4に記載の腐食抑制剤。 - 【請求項6】前記界面活性剤は、HLB値が12〜13
である、請求項1、2、3、4または5に記載の腐食抑
制剤。 - 【請求項7】前記長鎖脂肪族アミン化合物を0.3〜
2.0重量%、前記脂肪族環状アミン化合物を0.5〜
40重量%、前記界面活性剤を0.6〜6.0重量%そ
れぞれ含んでいる、請求項1、2、3、4、5または6
に記載の腐食抑制剤。
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