JP2002254659A - インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents
インクジェット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置Info
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Abstract
低減したインクジェット式記録ヘッド及びその製造方法
並びにインクジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 単結晶シリコンからなり、ノズル開口2
1に連通する圧力発生室12が画成された流路形成層1
0を有する流路形成基板と、該流路形成層10の一方面
側に振動板を介して下電極60、圧電体層70及び上電
極80からなる圧電素子300とを具備するインクジェ
ット式記録ヘッドにおいて、前記振動板の圧力発生室1
2に対向する側の最下層50を略1μm以下の厚さの単
結晶シリコン又は酸化シリコンで形成し且つ前記流路形
成層10と接着剤を介さずに接合する。
Description
るノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構
成し、この振動板を介して圧電素子を設けて、圧電素子
の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録
装置に関する。
圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電
素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノ
ズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記
録ヘッドには、圧電素子が軸方向に伸長、収縮する縦振
動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわ
み振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2
種類が実用化されている。
ることにより圧力発生室の容積を変化させることができ
て、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反
面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛
歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた
圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必
要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
シートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼
成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作
り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関
係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難
であるという問題がある。
べく、特開平5−286131号公報に見られるよう
に、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧
電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法に
より圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生
室毎に独立するように圧電素子を形成したものが提案さ
れている。
作業が不要となって、リソグラフィ法という精密で、か
つ簡便な手法で圧電素子を作り付けることができるばか
りでなく、圧電素子の厚みを薄くできて高速駆動が可能
になるという利点がある。
うなインクジェット式記録ヘッドでは、圧力発生室を高
密度で配列した場合、各圧力発生室間の隔壁の厚さが薄
くなることによって隔壁の剛性が不足し、各圧力発生室
間のクロストークが発生するという問題がある。
では、圧力発生室の振動板側に幅広部を設け、それ以外
の部分の圧力発生室の幅を低くして隔壁の厚さを大きく
する構造が考えられているが、この場合には、圧力発生
室の幅広部の加工や貼り合わせ等の作業が必要で作業性
及び精度が低いという問題がある。
つ各圧力発生室間のクロストークを低減したインクジェ
ット式記録ヘッド及びその製造方法並びにインクジェッ
ト式記録装置を提供することを課題とする。
明の第1の態様は、単結晶シリコンからなり、ノズル開
口に連通する圧力発生室が画成された流路形成層を有す
る流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板
を介して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子
とを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前
記振動板の前記圧力発生室に対向する側の最下層が略1
μm以下の厚さの単結晶シリコン又は酸化シリコンから
なり且つ前記流路形成層と接着剤を介さずに接合されて
いる接合層を具備することを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
層を流路形成基板に接合して設けることにより、製造工
程を簡略化して製造コストを低減することができる。ま
た、薄い振動板とすることで、圧電素子を低い駆動電圧
で駆動でき、インク吐出特性を向上することができる。
て、前記接合層は不純物が拡散された単結晶シリコンか
らなることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドに
ある。
散された単結晶シリコンとすることで、接合層と流路形
成基板とを容易且つ確実に接合することができる。
て、前記不純物がボロンであることを特徴とするインク
ジェット式記録ヘッドにある。
散された単結晶シリコンを用いることで、流路形成基板
上に容易且つ高精度に形成することができる。
て、前記接合層がn型の単結晶シリコンであることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
晶シリコンを用いることで、流路形成基板上に容易且つ
高精度に振動板を形成することができる。
の態様において、前記流路形成基板と前記接合層とが、
直接接合又は常温接合で接合されていることを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドにある。
合により接合層と流路形成基板とを容易且つ確実に接合
できる。
て、前記流路形成基板と前記接合層との接合界面に結晶
格子不整合面を有することを特徴とするインクジェット
式記録ヘッドにある。
板との接合界面に結晶格子不整合面を有する。
て、前記流路形成層と前記接合層との接合界面に転移面
を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
にある。
基板との接合界面に転移面を有する。
て、前記流路形成基板と前記接合層とが陽極接合により
接合されていることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドにある。
層と流路形成基板とを容易且つ確実に接合できる。
の態様において、前記流路形成基板と前記接合層との接
合界面にボイド層を有することを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドにある。
基板との接合界面にボイド層を有する。
かの態様において、前記圧力発生室が前記流路形成基板
を貫通することなく形成されていることを特徴とするイ
ンクジェット式記録ヘッドにある。
する隔壁の剛性を向上して、圧力発生室間のクロストー
クを防止してインク吐出特性を向上することができる。
れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備するこ
とを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
向上したインクジェット式記録装置を実現できる。
通する圧力発生室が画成される流路形成基板と、該流路
形成基板の一方面側に振動板を介して成膜及びリソグラ
フィ法により形成された薄膜からなる下電極、圧電体層
及び上電極からなる圧電素子とを有するインクジェット
式記録ヘッドの製造方法において、前記流路形成基板に
圧力発生室を形成する工程と、少なくとも一方面側に単
結晶シリコン又は酸化シリコンからなる接合層を有する
振動板母材の前記接合層側を前記流路形成基板に接合す
る工程と、前記振動板母材の前記接合層以外の領域を除
去して前記振動板を形成する工程と、前記振動板上に前
記下電極膜、圧電体膜及び上電極膜を積層及びパターニ
ングすることにより前記圧電素子を形成する工程とを有
することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製
造方法にある。
接合層を容易に接合でき、製造コストを低減できる。
おいて、前記流路形成基板は前記圧力発生室が形成され
た単結晶シリコンからなる流路形成層を有し、該流路形
成層に前記振動板母材を接合することを特徴とするイン
クジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
室を形成することができると共に流路形成基板と振動板
母材とを容易に且つ確実に接合できる。
の態様において、前記振動板母材が絶縁体層の両側に単
結晶シリコンからなるシリコン層を有するSOI基板か
らなり、前記接合層が前記絶縁体層と前記シリコン層の
一方とからなることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
層以外の領域を容易に除去することができる。
の態様において、前記接合層がボロンの拡散された単結
晶シリコンからなることを特徴とするインクジェット式
記録ヘッドの製造方法にある。
た単結晶シリコンからなる接合層を用いることで、振動
板母材の接合層以外の領域を容易且つ確実に除去して振
動板を容易に形成できる。
の態様において、前記振動板母材がpn接合を持つ単結
晶シリコンからなり、前記接合層がn型単結晶シリコン
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの
製造方法にある。
ンからなる接合層を用いることで、振動板母材の接合層
以外の領域を容易且つ確実に除去して振動板を容易に形
成できる。
の態様において、前記振動板母材が不純物濃度の異なる
2層の単結晶シリコンからなると共に前記接合層が低濃
度の層からなることを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
単結晶シリコンを用いることで、振動板母材の接合層以
外の領域を容易且つ確実に除去して振動板を容易に形成
できる。
何れかの態様において、前記振動板母材を前記流路形成
基板に接合する工程では、両者を直接接合又は常温接合
により接合することを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
形成基板とを直接接合又は常温接合により容易且つ確実
に接合することができる。
の態様において、前記振動板母材を前記流路形成基板に
接合する工程では、両者を陽極接合により接合すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法に
ある。
形成基板とを陽極接合により容易且つ確実に接合するこ
とができる。
何れかの態様において、前記振動板を形成する工程で
は、前記流路形成基板を保護層で覆った後、前記振動板
母材の前記接合層以外の領域を除去することを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッドの製造方法にある。
層以外の領域を除去する際に、流路形成基板が除去され
ることがなく、高精度の振動板を形成することができ
る。
何れかの態様において、前記圧力発生室を形成する工程
では、当該圧力発生室を前記流路形成基板を貫通するこ
となく形成することを特徴とするインクジェット式記録
ヘッドの製造方法にある。
する隔壁の剛性を向上して圧力発生室間のクロストーク
を防止することができ、インク吐出特性を向上すること
ができる。
て詳細に説明する。
1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図
であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの1つの
圧力発生室の長手方向における断面構造を示す図であ
る。
れる流路形成基板10は、例えば、150μm〜1mm
の厚さのシリコン単結晶基板からなり、その一方面側の
表層部分には、異方性エッチングにより複数の隔壁11
によって区画された圧力発生室12が形成されている。
には、後述するリザーバ15と圧力発生室12とを接続
するための中継室であるインク連通部13が圧力発生室
12よりも幅の狭い狭隘部14を介して連通されてい
る。また、これらインク連通部13及び狭隘部14は、
圧力発生室12と共に異方性エッチングによって形成さ
れている。なお、狭隘部14は、圧力発生室12のイン
クの流出入を制御するためのものである。
ング又はドライエッチングの何れの方法を用いてもよい
が、シリコン単結晶板を厚さ方向に途中までエッチング
(ハーフエッチング)することにより圧力発生室12は
浅く形成されており、その深さは、ハーフエッチングの
エッチング時間によって調整することができる。
を各圧力発生室12毎に設けるようにしたが、これに限
定されず、例えば、インク連通部13を各圧力発生室1
2に共通するようにしてもよく、この場合、このインク
連通部13が後述するリザーバ15の一部を構成するよ
うにしてもよい。
各インク連通部13に連通し、各圧力発生室12にイン
クを供給するリザーバ15が形成されている。このリザ
ーバ15は、例えば、流路形成基板10の他方面側か
ら、保護膜55bをマスクとして異方性エッチングする
ことによって形成されている。
12側には、単結晶シリコン又は酸化シリコンからな
る、厚さが略1μm以下の弾性膜50が接着剤を介さず
に接合されて設けられている。この弾性膜50は、その
一方の面で圧力発生室12の一壁面を構成している。な
お、本実施形態では、弾性膜50は酸化シリコン(Si
O2)からなり、弾性膜50と流路形成基板10とは、
詳しくは後述するが陽極接合により接合した。なお、流
路形成基板10の弾性膜50との接合面には、酸化シリ
コンからなる保護膜55aが形成されている。この保護
膜55aは流路形成基板10に圧力発生室12を形成す
る際のマスクとして使用されたものであり、弾性膜50
と流路形成基板10とを陽極接合する際にも用いられ
る。
2に相対向する領域には、厚さが例えば、約0.5μm
の下電極膜60と、厚さが例えば、約1μmの圧電体層
70と、厚さが例えば、約0.1μmの上電極膜80と
が、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子30
0を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極
膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をい
う。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を
共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発
生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここ
ではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層
70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪
みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態で
は、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上
電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、
駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部
が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素
子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じ
る弾性膜とを合わせて圧電アクチュエータと称する。な
お、本実施形態では、弾性膜50及び下電極膜60を振
動板とした。
側、本実施形態では、弾性膜50及び下電極膜60上に
は、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害し
ない程度の空間を確保した状態でこの空間を密封可能な
圧電素子保持部22を有する封止板20が接合されてい
る。
は、各圧力発生室12と連通するノズル開口21が穿設
されており、ノズルプレートの役割も兼ねている。ま
た、ノズル開口21と圧力発生室12とは、弾性膜50
及び下電極膜60を除去することにより設けられたノズ
ル連通孔51を介して連通されている。
録ヘッドの製造工程、特に、流路形成基板10に圧力発
生室12を形成する工程及びこの圧力発生室12に対応
する領域に圧電素子300を形成する工程について説明
する。なお、図3〜図5は、圧力発生室12の長手方向
の断面図である。
基板10となるシリコン単結晶基板のウェハを約110
0℃の拡散炉で熱酸化して、酸化シリコンからなる保護
膜55a及び55bを形成すると共に一方面の保護膜5
5aの圧力発生室12を形成する領域に開口12aを形
成する。
55aをマスクとして流路形成基板10を異方性エッチ
ングすることにより圧力発生室12,インク連通部13
及び狭隘部14を形成する。
基板10の圧力発生室12が開口する面に、例えば、厚
さが220μmの単結晶シリコンからなる弾性膜母材1
50を接合する。この弾性膜母材150は、流路形成基
板10との接合面に、例えば、熱酸化、TEOS−CV
D法又はウェット酸化等により形成された酸化シリコン
からなる酸化シリコン層151を有する。
で、流路形成基板10と接合後、弾性膜母材150の酸
化シリコン層151以外の領域を除去することにより弾
性膜50となるため、略1μm以下の厚さで形成されて
いる。
0との接合方法は、接着剤を介さずに接合できれば、特
に限定されず、例えば、直接接合、常温接合及び陽極接
合等を挙げることができる。本実施形態では、陽極接合
により両者を接合した。
シリコン単結晶基板からなる流路形成基板10の保護膜
55aと、弾性膜母材150の酸化シリコン層151と
を当接させた状態で、全体を450℃近くに昇温させ、
200〜1000Vの電位を両方の基板に印加する。こ
のとき、酸化シリコンからなる保護膜55a及び酸化シ
リコン層151中の正のH+イオンは酸化シリコンの中
で動きやすくなるため、負の電界に引かれてそれぞれ保
護膜55a及び酸化シリコン層151の表面に到達す
る。一方、保護膜55a及び酸化シリコン層151中の
それぞれに残った負のイオンが両者の接着面に空間電荷
層を形成して、流路形成基板10と弾性膜母材150と
の間に強い吸引力が生じることにより、両者が化学結合
される。
形成基板10とを陽極接合により接合した際に、表面に
微少なゴミや汚れがあるとその部分は接着せずに接合界
面にボイド層が形成されてしまう。
150の余分な領域を除去する。本実施形態では、酸化
シリコン層151以外の領域、すなわち、単結晶シリコ
ンのみを除去した。
では、例えば、KOH等のアルカリ水溶液を用いたウェ
ットエッチングにより行った。
ン層151以外の領域を除去することにより、流路形成
基板10上に接合されて残った酸化シリコン層151が
弾性膜50となる。
う薄膜からなる弾性膜50を、浅い圧力発生室12が形
成された流路形成基板10に接着剤を介さずに接合する
ことができるので、製造工程を簡略化することができ、
製造コストを低減することができる。
チングや研磨など、酸化シリコン層151のみを残留で
きる方法であれば、特に限定されず、単結晶シリコンを
剥離するようにしてもよい。
層151と単結晶シリコンとの境界部分に多孔質シリコ
ン層を設けておき、流路形成基板10と弾性膜母材15
0とを接合後、この多孔質シリコン層をエッチング等に
よって除去することにより、酸化シリコン層151から
単結晶シリコンを容易に剥離することができる。なお、
このような弾性膜母材150は、単結晶シリコンからな
る弾性膜母材150の表面に陽極化成処理によって多孔
質シリコン層を形成し、この上にエピタキシャル成長法
により薄いシリコン層を形成して表面を酸化処理するこ
とによって形成できる。
シリコンと酸化シリコン層151との間に水素イオンを
注入した水素イオン層を設けておき、流路形成基板10
と弾性膜母材150とを接合後に500℃〜600℃に
加熱することによっても、酸化シリコン層151から単
結晶シリコンを容易に剥離することができる。
リコンを剥離することによって除去すれば、剥離した単
結晶シリコンを再使用することができ、製造コストを削
減することができる。
50上に圧電素子300を形成する。
まず、図4(a)に示すように、スパッタリングで下電
極膜60を流路形成基板10の圧力発生室12側に全面
に亘って形成すると共に所定形状にパターニングし、下
電極膜60を形成する。この下電極膜60の材料として
は、白金、イリジウム等が好適である。これは、スパッ
タリング法やゾル−ゲル法で成膜する後述の圧電体層7
0は、成膜後に大気雰囲気下又は酸素雰囲気下で600
〜1000℃程度の温度で焼成して結晶化させる必要が
あるからである。すなわち、下電極膜60の材料は、こ
のような高温、酸化雰囲気下で導電性を保持できなけれ
ばならず、殊に、圧電体層70としてチタン酸ジルコン
酸鉛(PZT)を用いた場合には、酸化鉛の拡散による
導電性の変化が少ないことが望ましく、これらの理由か
ら白金、イリジウムが好適である。
70を成膜する。例えば、本実施形態では、金属有機物
を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲ
ル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からな
る圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて
形成した。圧電体層70の材料としては、PZT系の材
料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好
適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に
限定されず、例えば、スパッタリング法又はMOD法
(有機金属熱塗布分解法)等のスピンコート法により成
膜してもよい。
法もしくはMOD法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前
駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて
低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。
体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向
しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶
が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の
配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の
方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜
とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させ
た状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状
態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された
薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造
された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmであ
る。
80を成膜する。上電極膜80は、導電性の高い材料で
あればよく、アルミニウム、金、ニッケル、白金等の多
くの金属や、導電性酸化物等を使用できる。本実施形態
では、白金をスパッタリングにより成膜している。
層70及び上電極膜80のみをエッチングして圧電素子
300のパターニングを行う。また、本実施形態では、
同時に、圧力発生室12の長手方向のインク連通部13
とは反対側の端部近傍の弾性膜50及び下電極膜60を
パターニングしてノズル連通孔51を形成する。
極90を流路形成基板10の全面に亘って形成すると共
に各圧電素子300毎にパターニングして、各圧電素子
300の上電極膜80から弾性膜50上に延びるリード
電極90を形成する。
基板10の圧力発生室12とは反対側の面に設けられた
保護膜55bのリザーバ15となる領域をパターニング
により除去して開口部56を形成すると共に、この開口
部56からインク連通部13に達するまで流路形成基板
10を異方性エッチング、例えば、ウェットエッチング
することにより、リザーバ15を形成する。
圧電素子300が形成される。
0側、本実施形態では、下電極膜60及び弾性膜50上
に封止板20を接合する。
ジェット式記録ヘッドは、図示しない外部インク供給手
段からリザーバ15にインクを取り込み、リザーバ15
からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした
後、図示しない外部配線から出力された記録信号に従
い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60
と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下
電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることに
より、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口2
1からインク滴が吐出する。
10を貫通することなく形成することで隔壁11の剛性
を向上でき、圧力発生室12を高密度に配設しても圧力
発生室12間のクロストークを防止することができる。
及び狭隘部14を介して各圧力発生室12とリザーバ1
5とを連通するようにしたが、これに限定されず、例え
ば、図6(a)に示すように、各圧力発生室12とリザ
ーバ15とを直接連通するようにしてもよい。
発生室12よりも細い幅で形成して、圧力発生室12の
インクの流出入を制御するようにしたが、これに限定さ
れず、例えば、図6(b)に示すように、圧力発生室1
2と同一幅として、深さを調整した狭隘部14Aとして
もよい。
インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生
室の長手方向の断面図である。
散された単結晶シリコンからなる例である。
方法を詳細に説明する。なお、上述した実施形態1の製
造方法と同様の工程については、重複する説明を省略す
る。
実施形態1と同様の工程で流路形成基板10に圧力発生
室12を形成する。
生室12の形成された流路形成基板10に、弾性膜母材
150Aを接合する。
は、単結晶シリコンからなり、流路形成基板10との接
合面に、不純物を拡散した不純物層151Aを有する。
この不純物層151Aは、本実施形態では、例えば、単
結晶シリコンの表面にボロンをドーピング又は単結晶シ
リコンの表面にボロンの拡散された単結晶シリコンをエ
ピタキシャル形成することにより設けることができる。
成された弾性膜母材150Aと流路形成基板10との接
合方法は、特に限定されず、例えば、直接接合又は常温
接合等を挙げることができる。本実施形態では、直接接
合により両者を接合した。
母材150Aの接合面を鏡面に研磨して、表面を洗浄し
てごみや汚れを除去して乾燥させ、清浄な雰囲気下で互
いの表面を接触させることにより両者が接着される。
10とを直接接合により接合する場合、それぞれの結晶
格子を整合させることは困難であり、接合界面には結晶
格子不整合面が形成される。また、両者の結晶格子のず
れを1度以内の精度で接合した場合には、接合界面で結
晶格子がつながり、エピタキシャル同様の連続性が保た
れるが、転移面が形成される。さらに、上述した実施形
態1と同様に接合界面にボイド層が形成されることもあ
る。
材150Aの余分な領域を除去する。本実施形態では、
不純物層151A以外の領域、すなわち、他方面側の単
結晶シリコンのみを除去した。本実施形態では、KOH
によるウェットエッチングにより単結晶シリコンを除去
した。
では、ボロンの拡散された不純物層151Aのエッチン
グの速度が、単結晶シリコンの領域に比べボロン濃度の
比の4乗倍で減少するという特性から、単結晶シリコン
のみをエッチングにより除去し、不純物層151Aのみ
を残すことができる。
トエッチングにより流路形成基板10上に不純物層15
1Aのみを形成後、不純物層151Aの表面を電解研磨
により平滑にすることで、弾性膜50Aを形成した。
等を形成する工程は、上述した実施形態1と同様であ
る。
の拡散された不純物層151Aを有する単結晶シリコン
を用いても、上述した実施形態1と同様の効果を得るこ
とができる。
インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生
室の長手方向の断面図である。
接合を持つ単結晶シリコンとし、弾性膜50Bがn型の
単結晶シリコンからなる例である。
方法を詳細に説明する。なお、上述した実施形態1の製
造方法と同様の工程については、重複する説明を省略す
る。
実施形態1と同様の工程で流路形成基板10に圧力発生
室12を形成する。
室12の形成された流路形成基板10に、弾性膜母材1
50Bを接合する。
つ単結晶シリコン、すなわちn型シリコン層151Bと
p型シリコン層152Bとで構成されていれば、特に限
定されず、例えば、p型シリコン層152Bにリン等を
ドーピング又はp型シリコン層152の表面にn型シリ
コン層151Bをエピタキシャル形成することによりn
型シリコン層151Bとp型シリコン層152Bとで構
成されるpn接合を持つ弾性膜母材150Bを形成する
ことができる。
150Bと流路形成基板10との接合方法は、特に限定
されず、例えば、直接接合及び陽極接合等により両者を
接合することができる。本実施形態では、上述した実施
形態2と同様に直接接合により接合した。
材150Bの余分な領域を除去する。本実施形態では、
n型シリコン層151B以外の領域、すなわち、p型シ
リコン層152Bのみを除去した。本実施形態では、K
OH等のアルカリ水溶液による電気化学エッチングによ
りp型シリコン層152Bを除去した。
を持つ単結晶シリコンからなる弾性膜母材150Bに印
加する電圧の大きさを変化させてp型シリコン層152
Bのみをエッチングし、n型シリコン層151Bのみを
残すものである。
型シリコン層152Bはパシベーション電圧(電流がピ
ーク値になるよりも少し高い)よりも高い電圧を印加し
たときに、シリコンのエッチング速度が著しく小さくな
る。この性質を利用して、エッチングを進行させたいp
型シリコン層152Bにパシベーション電圧よりも低い
電圧を印加し、エッチングを停止させたいn型シリコン
層151Bにパシベーション電圧よりも高い電圧を印加
してKOH等のアルカリ水溶液でエッチングを行うこと
により、p型シリコン層152Bのみをエッチングして
n型シリコン層151Bを残すことができる。
学エッチングにより流路形成基板10上にn型シリコン
層151Bのみを形成後、n型シリコン層151Bの表
面を電解研磨により平滑にすることで弾性膜50Bを形
成した。
等を形成する工程は、上述した実施形態1と同様であ
る。
合を持つ単結晶シリコンを用いても、上述した実施形態
1と同様の効果を得ることができる。
Bと流路形成基板10とを直接接合によって接合したた
め、上述した実施形態2と同様に、弾性膜50Bと流路
形成基板10との接合界面に結晶格子不整合面、転移面
又はボイド層を有する。
インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生
室の長手方向の断面図である。
不純物濃度の異なる単結晶シリコンからなる高不純物層
152C及び低不純物層151Cを有する単結晶シリコ
ンを用い、弾性膜50Cが低不純物層151Cからなる
例である。
方法を詳細に説明する。なお、上述した実施形態1の製
造方法と同様の工程については、重複する説明を省略す
る。
実施形態1と同様の工程で流路形成基板10に圧力発生
室12を形成する。
生室12の形成された流路形成基板10に、弾性膜母材
150Cを接合する。
は、高濃度で不純物を含む高不純物層152Cと、これ
に対して低濃度で不純物を含む低不純物層151Cとを
有する単結晶シリコンを用いた。この不純物を含む低不
純物層151Cと高不純物層152Cとの組み合わせ
は、特に限定されず、例えば、N/N+、N/P+、P
/N+、P/P+の全ての組み合わせを用いることがで
きる。
流路形成基板10との接合方法は、特に限定されず、例
えば、直接接合又は常温接合等を挙げることができる。
本実施形態では、上述した実施形態2と同様に直接接合
により両者を接合した。
材150Cの余分な領域を除去する。
た電気化学エッチングにより、低不純物層151C以外
の領域、すなわち、高不純物層152Cのみを除去し
た。
学エッチングとは、まず、弾性膜母材150Cをエッチ
ング液に対してプラス側にバイアスするように電極を配
置する。一方、エッチング液の電位を固定するためにマ
イナス側にバイアスした白金電極を溶液中に置く、この
エッチング液としてはHFとH2Oとの混合液が用いら
れている。H2Oは、HNO3に比べ酸化作用が小さい
ために、単結晶シリコンのエッチング速度は電流を流さ
ない状態ではきわめて小さい。しかしプラスの電圧を単
結晶シリコンに印加したとき、電極からホールが注入さ
れるために、溶液中のOH−イオンが付着して単結晶シ
リコンの酸化が起こる。この酸化物はHF溶液中に容易
に反応してエッチング溶液に溶けるため単結晶シリコン
の溶解が進行する。このとき、高濃度の不純物を有する
高不純物層152Cでは抵抗が小さいために大きな電流
が流れ、シリコン表面の酸化が早く進みエッチング速度
が大きくなる。反対に低濃度の不純物の低不純物層15
1Cでは、エッチング速度が減少する。このようにHF
−HNO3系を用いた電気化学エッチングでは、高濃度
の不純物を含む高不純物層152Cをエッチングして、
低濃度の不純物を含む低不純物層151Cのみを残すこ
とができる。
HNO3系を用いた電気化学エッチングにより流路形成
基板10上に低不純物層151Cのみを形成後、表面を
電解研磨により平滑にすることで、弾性膜50Cを形成
した。
等を形成する工程は、上述した実施形態1と同様であ
る。
の不純物を含む高不純物層152Cとそれに比べ低濃度
の不純物を含む低不純物層151Cを用いて、弾性膜5
0Cを低不純物層151Cで形成しても上述した実施形
態1と同様の効果を得ることができる。
Cと流路形成基板10とを直接接合によって接合したた
め、上述した実施形態2と同様に弾性膜50Cと流路形
成基板10との接合界面に結晶格子不整合面、転移面又
はボイド層を有する。
るインクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す圧力発
生室の長手方向の断面図である。
成基板10の圧力発生室12側に単結晶シリコンからな
るシリコン層52と、下電極膜60側に酸化シリコンか
らなる絶縁体層53とを有する例である。
方法について詳細に説明する。なお、上述した実施形態
1の製造方法と同様の工程については、重複する説明を
省略する。
た実施形態1と同様の工程で流路形成基板10に圧力発
生室12を形成する。また、流路形成基板10上のマス
クパターンである保護膜55aをフッ酸等により除去
し、流路形成基板10の接合面に単結晶シリコンが露出
するようにした。
発生室12の形成された流路形成基板10に弾性膜母材
150Dを接合する。
酸化シリコンからなる絶縁体層53の両側にそれぞれ単
結晶シリコンからなるシリコン層52及び54とを有す
るSOI基板を用いて、一方のシリコン層52が流路形
成基板10側となるように接合した。なお、本実施形態
では、シリコン層52及び絶縁体層53が弾性膜50D
となるため、シリコン層52の厚さが略1μm以下のS
OI基板を用いた。
Dとの接合方法は、特に限定されず、例えば、常温接
合、直接接合等を挙げることができる。本実施形態で
は、常温接合により両者を接合した。
材150Dとの表面にアルゴン高速原子ビーム(FA
B)を照射して自然酸化膜等の表面層を取り除くことに
より表面活性化を行い、超高真空中でその表面を加圧接
触させることで両者が接合される。
10とを常温接合により接合する場合であっても、上述
した実施形態2〜4の直接接合の場合と同様に、弾性膜
母材150Dと流路形成基板10との接合界面に、結晶
格子不整合面、転移面又はボイド層が形成される。
母材150Dの余分な領域を除去する。本実施形態で
は、シリコン層52及び絶縁体層53以外の領域、すな
わち、他方面に設けられたシリコン層54のみを除去し
た。
態では、KOH等のアルカリ水溶液によるウェットエッ
チングにより行った。なお、このウェットエッチングで
は単結晶シリコンからなる流路形成基板10がエッチン
グにより溶解しないように流路形成基板10の接合面と
は反対側の面等に保護膜を形成するのが好ましい。この
保護膜としては、例えば、パリレン(商品名;ポリパラ
キシリレン)が挙げられる。このパリレンからなる保護
膜はCVD法によって均一な厚さで容易に成膜すること
ができる。
することで、シリコン層52及び絶縁体層53からなる
弾性膜50Dとなる。
等を形成する工程は、上述した実施形態1と同様であ
る。
基板を用いても、上述した実施形態1と同様の効果を得
ることができる。
と弾性膜母材150Dとを、常温接合により接合した
が、これに限定されず、例えば、上述した実施形態1と
同様に陽極接合により接合するようにしてもよい。この
陽極接合では、流路形成基板及び弾性膜母材のそれぞれ
の接合面に酸化シリコン層を形成する必要があり、これ
により弾性膜50Dは、単結晶シリコンと、その両面に
形成された酸化シリコン層との三層となる。
態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的
構成は上述したものに限定されるものではない。
力発生室12を流路形成基板10を貫通することなく浅
く設けるようにしたが、これに限定されず、厚さの薄い
流路形成基板に圧力発生室を貫通して設けるようにして
も、圧力発生室を画成する隔壁の剛性を保って、圧力発
生室間のクロストークを防止することができ、インク吐
出特性を向上することができる。なお、このように流路
形成基板に圧力発生室を貫通して設ける場合も、上述の
製造方法で製造することにより、略1μm以下の弾性膜
を接着剤を介さずに接合により設けることができる。こ
れにより、製造工程を簡略化して製造コストを低減する
ことができる。
形成基板10にシリコン単結晶基板を用いて、圧力発生
室12をハーフエッチングにより浅く形成したが、これ
に限定されず、例えば、流路形成基板に、SOI基板を
用いて、SOI基板の一方面側の単結晶シリコンからな
る流路形成層に、この流路形成層を貫通する圧力発生室
を形成するようにしてもよい。これにより、圧力発生室
の深さを容易に制御することができ、高精度の圧力発生
室を形成することができる。
極接合、直接接合及び常温接合のそれぞれを例示した
が、接着剤を介さずに流路形成基板と弾性膜とを接合で
きれば、本発明はこれに限定されるものではない。
0〜50Dの形成では、弾性膜母材150〜150Dの
余分な領域を除去する際にエッチングを行ったが、これ
に限定されず、例えば、途中まで機械研磨により除去
し、その後エッチングを行うようにすれば、製造時間を
短縮して製造コストを低減することができる。
路形成基板10の圧電素子300側にノズル開口21を
有するインクジェット式記録ヘッドとしたが、これに限
定されず、例えば、流路形成基板の圧電素子とは反対側
にノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドとし
てもよい。このような例を図11に示す。なお、図11
は、圧力発生室の長手方向の断面図である。
は、圧力発生室12の両端のそれぞれに連通して、圧電
素子300とは反対側まで貫通するノズル連通路16と
インク供給路17とが設けられている。このノズル連通
路16及びインク供給路17は、例えば、圧電素子30
0とは反対側からウェットエッチングすることにより形
成されている。
16及びインク供給路17の開口する面側には、ノズル
連通路16に連通するノズル開口21Aと、インク供給
路17に連通するインク供給孔23とを有するノズルプ
レート20Aが接合されている。
孔23に対向する領域には、リザーバ15Aを画成する
リザーバ形成基板30及びコンプライアンス基板40が
順次接合されており、圧力発生室12とリザーバ15A
とはノズルプレート20Aに設けられたインク供給孔2
3を介して連通されている。
クは、ノズルプレート20Aのリザーバ15Aに対向す
る領域に形成されたインク導入口24により供給され
る。
の周壁を形成するものであり、ノズル開口数、インク滴
吐出周波数に応じた適正な厚みのステンレス板を打ち抜
いて作製されたものである。
なり、一方の面でリザーバ15Aの一壁面を構成するも
のである。また、インク室側板40には、他方の面の一
部にハーフエッチングにより凹部40aを形成すること
により薄肉壁41が形成されている。なお、薄肉壁41
は、インク滴吐出の際に発生するノズル開口21Aと反
対側へ向かう圧力を吸収するためのもので、他の圧力発
生室12Aに、リザーバ15Aを経由して不要な正又は
負の圧力が加わるのを防止する。
ッドとしても、上述した実施形態1〜5と同様の効果を
得ることができる。
式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するイン
ク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成し
て、インクジェット式記録装置に搭載される。図12
は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図
である。
録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、
インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが
着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び
1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付け
られたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられてい
る。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、
それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物
を吐出するものとしている。
い複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリ
ッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及
び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿っ
て移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に
沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ロ
ーラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シ
ートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
振動板の圧力発生室に対向する接合層を単結晶シリコン
又は酸化シリコンで形成し、流路形成基板と接合層とを
接着剤を介さずに接合するようにしたため、製造工程を
簡略化して製造コストを低減することができる。
録ヘッドの概略を示す斜視図である。
録ヘッドの圧力発生室の長手方向の断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの変形例を示す圧力発生室の長手方向の断面図
である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。
式記録ヘッドの変形例を示す圧力発生室の長手方向の断
面図である。
記録装置の概略図である。
性膜母材 151 酸化シリコン層 151A 不純物層 151B n型シリコン層 151C 低不純物層 152B p型シリコン層 152C 高不純物層 300 圧電素子
Claims (21)
- 【請求項1】 単結晶シリコンからなり、ノズル開口に
連通する圧力発生室が画成された流路形成層を有する流
路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介
して下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを
具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、 前記振動板の圧力発生室に対向する側の最下層が略1μ
m以下の厚さの単結晶シリコン又は酸化シリコンからな
り且つ前記流路形成層と接着剤を介さずに接合されてい
る接合層を具備することを特徴とするインクジェット式
記録ヘッド。 - 【請求項2】 請求項1において、前記接合層は不純物
が拡散された単結晶シリコンからなることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項3】 請求項2において、前記不純物がボロン
であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項4】 請求項2において、前記接合層がn型の
単結晶シリコンであることを特徴とするインクジェット
式記録ヘッド。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記流
路形成層と前記接合層とが、直接接合又は常温接合で接
合されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッド。 - 【請求項6】 請求項5において、前記流路形成層と前
記接合層との接合界面に結晶格子不整合面を有すること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項7】 請求項5において、前記流路形成層と前
記接合層との接合界面に転移面を有することを特徴とす
るインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項8】 請求項1において、前記流路形成層と前
記接合層とが陽極接合により接合されていることを特徴
とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項9】 請求項5〜8の何れかにおいて、前記流
路形成層と前記接合層との接合界面にボイド層を有する
ことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れかにおいて、前記
圧力発生室が前記流路形成基板を貫通することなく形成
されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッ
ド。 - 【請求項11】 請求項1〜10の何れかのインクジェ
ット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジ
ェット式記録装置。 - 【請求項12】 ノズル開口に連通する圧力発生室が画
成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に
振動板を介して成膜及びリソグラフィ法により形成され
た薄膜からなる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧
電素子とを有するインクジェット式記録ヘッドの製造方
法において、 前記流路形成基板に圧力発生室を形成する工程と、少な
くとも一方面側に単結晶シリコン又は酸化シリコンから
なる接合層を有する振動板母材の前記接合層側を前記流
路形成基板に接合する工程と、前記振動板母材の前記接
合層以外の領域を除去して前記振動板を形成する工程
と、前記振動板上に前記下電極膜、圧電体膜及び上電極
膜を積層及びパターニングすることにより前記圧電素子
を形成する工程とを有することを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項13】 請求項12において、前記流路形成基
板は前記圧力発生室が形成された単結晶シリコンからな
る流路形成層を有し、該流路形成層に前記振動板母材を
接合することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
の製造方法。 - 【請求項14】 請求項12又は13において、前記振
動板母材が絶縁体層の両側に単結晶シリコンからなるシ
リコン層を有するSOI基板からなり、前記接合層が前
記絶縁体層と前記シリコン層の一方とからなることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項15】 請求項12又は13において、前記接
合層がボロンの拡散された単結晶シリコンからなること
を特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項16】 請求項12又は13において、前記振
動板母材がpn接合を持つ単結晶シリコンからなり、前
記接合層がn型単結晶シリコンであることを特徴とする
インクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項17】 請求項12又は13において、前記振
動板母材が不純物濃度の異なる2層の単結晶シリコンか
らなると共に前記接合層が低濃度の層からなることを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項18】 請求項12〜17の何れかにおいて、
前記振動板母材を前記流路形成基板に接合する工程で
は、両者を直接接合又は常温接合により接合することを
特徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項19】 請求項12又は13において、前記振
動板母材を前記流路形成基板に接合する工程では、両者
を陽極接合により接合することを特徴とするインクジェ
ット式記録ヘッドの製造方法。 - 【請求項20】 請求項12〜19の何れかにおいて、
前記振動板を形成する工程では、前記流路形成基板を保
護層で覆った後、前記振動板母材の前記接合層以外の領
域を除去することを特徴とするインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法。 - 【請求項21】 請求項12〜20の何れかにおいて、
前記圧力発生室を形成する工程では、当該圧力発生室を
前記流路形成基板を貫通することなく形成することを特
徴とするインクジェット式記録ヘッドの製造方法。
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2001
- 2001-03-05 JP JP2001060745A patent/JP3846552B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2007508163A (ja) * | 2003-10-10 | 2007-04-05 | ディマティクス インコーポレーテッド | 薄膜を有するプリントヘッド |
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