JP2002249699A - チッピングプライマー塗料組成物 - Google Patents

チッピングプライマー塗料組成物

Info

Publication number
JP2002249699A
JP2002249699A JP2001052040A JP2001052040A JP2002249699A JP 2002249699 A JP2002249699 A JP 2002249699A JP 2001052040 A JP2001052040 A JP 2001052040A JP 2001052040 A JP2001052040 A JP 2001052040A JP 2002249699 A JP2002249699 A JP 2002249699A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chipping
coating film
coating
chipping primer
primer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001052040A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuhiro Kakii
拓広 垣井
Nobuhisa Sudou
伸久 須藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2001052040A priority Critical patent/JP2002249699A/ja
Publication of JP2002249699A publication Critical patent/JP2002249699A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い耐チッピング性と優れた冷熱サイクル特
性を有し、塗料形態での良好な貯蔵安定性およびサーキ
ュレーション安定性に加えて、高温焼付けされた場合の
積層塗膜間にも高い密着性を付与できるチッピングプラ
イマー塗料組成物を提供すること。 【解決手段】 (a)塗膜形成成分として(i)マレイン
化ポリオレフィン樹脂と(ii)ブチル化メラミン樹脂を配
合し、(i)と(ii)との重量比が70/30〜50/50
の範囲内であるもの、(b)中空シェル構造を有するカ
ーボンブラック、および(c)酸化防止剤を含有するチ
ッピングプライマー塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な耐チッピン
グ性を示しかつ優れた貯蔵安定性およびサーキュレーシ
ョン安定性を有するチッピングプライマー塗料組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体(特に、ボンネット先端部、
タイヤハウス周り、ルーフ先端部、ピラーなど)、住宅
用建材、ガードレール、道路標識等の金属製被塗物は、
通常、路面からの石撥ね等によって、被塗物表面を保護
している塗膜に亀裂が生じたり、剥離することがある
(このような現象は一般に、チッピングと呼ばれる)。
その後、この亀裂または剥離部分に水等が侵入すると、
被塗物の素地面に錆が発生し、結果として被塗物が腐食
する。このようなチッピングやそれに起因する腐食の進
行を防止するために、耐チッピング性を付与するための
塗料(一般に、チッピングプライマー塗料という)や複
合塗膜の形成方法等がこれまで数多く提案されている。
【0003】例えば、特開昭62-4475号公報や特開平6-4
1494号公報などには、被塗物である鋼材上に先ず電着塗
料を塗装し焼き付けることにより電着塗膜を形成し、そ
の上に、チッピングプライマー塗料を塗装し、次いで所
望により中塗り塗料を塗装した後でこれらの塗膜を同時
に焼き付け、更にその上にカラーベース塗料とクリヤー
塗料を順に塗装して同時に焼き付けることによって上塗
り塗膜を形成することが開示されている。チッピングプ
ライマー塗料は、通常、鋼材の前記亀裂または剥離が生
じ得る部位のみに適用されるが、必要に応じて鋼材全面
に塗装される。このような積層塗膜において、電着塗膜
−上塗り塗膜間、または中塗り塗膜を含む場合には、電
着塗膜−中塗り塗膜−上塗り塗膜のいずれかの間に中間
塗膜としてチッピングプライマーを形成することで、積
層塗膜全体の耐チッピング性を高めることができる。特
に好ましくは、積層塗膜表面に小石などの衝突による強
い衝撃力が加えられた場合の剥離面積やその衝撃エネル
ギーの素地への波及(すなわち、チッピングダメージ)
を緩和または解消するために、電着塗膜−中塗り塗膜間
にチッピングプライマーが形成される。
【0004】金属製被塗物に形成される積層塗膜には、
こうした耐チッピング性の付与に加え、近年、酸性雨に
よる塗膜のエッチングやシミ状の汚れ(耐酸性)や洗車
機のブラシによって負わされる細かな擦り傷を防止する
性能(耐擦り傷性)も望まれるようになってきている。
耐酸性や耐擦り傷性を付与するための対策としては、例
えば、酸に抵抗性の架橋系を配合させたり、架橋度を高
めた上塗り塗膜(特に、クリヤー塗膜)を積層塗膜の最
上層に適用することが提案されている(特開平3−28765
0号公報および特開平7−224146号公報)。
【0005】しかしながら、高架橋の上塗り塗膜は、硬
度が高く、これを積層塗膜に適用すると、その下層の中
塗り塗膜やチッピングプライマーとの硬度差が大きくな
る。大きな硬度差は塗膜間の引張強さに差を生じさせ、
層間剥離やクラックを発生させ易くし、結果として積層
塗膜の冷熱サイクル特性を低下させる。塗膜間での硬度
差を無くすためには、中塗り塗膜やチッピングプライマ
ーを硬くすることも考えられるが、チッピングプライマ
ーを硬くすると耐チッピング性が低下するため好ましく
ない。
【0006】そこで、塗膜の強度を高めかつ衝撃エネル
ギーを吸収するように、酸成分をグラフト化したポリオ
レフィン樹脂(特にマレイン化ポリオレフィン樹脂)と
ブチル化メラミン樹脂とを重量比90/10〜50/5
0で配合させた塗膜形成成分を含む耐衝撃性プライマー
(チッピングプライマー)が特開平4-363371号公報に提
案されている。塗膜形成成分のうち、酸成分をグラフト
化したポリオレフィン樹脂は、塗膜を柔軟にして衝撃エ
ネルギーを吸収する特性を、他方、ブチル化メラミン樹
脂は、塗膜の強度を高める特性を発揮し得る。
【0007】しかしながら、特開平4-363371号公報記載
のチッピングプライマーは、塗料中でマレイン化ポリオ
レフィン樹脂が経時的に酸化劣化し易いために、使用前
の塗料の形態での貯蔵安定性やサーキュレーション安定
性(塗装装置内での貯蔵安定性)が低かった。また、こ
のチッピングプライマーは、その上に中塗り塗料が塗装
された後、中塗り塗膜と同時に通常、140℃で焼付け
される際、中塗り塗料によっては、通常よりも高い温度
(例えば、160℃)での高温焼付けを必要とすること
がある。高温焼付けされたチッピングプライマーは、熱
によりマレイン化ポリオレフィン樹脂が劣化して弱くな
り、積層塗膜内で層間密着不良を引き起こすこともあっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い耐チッピング性と優れた冷熱サイクル特性を有
し、塗料形態での良好な貯蔵安定性およびサーキュレー
ション安定性に加えて、耐酸性および耐擦り傷性を付与
し得る上塗り塗料と共に積層塗膜に適用された場合に
も、高い耐チッピング性と優れた冷熱サイクル特性を十
分に保持でき、かつ高温焼付けされた場合の積層塗膜間
にも高い密着性を付与できるチッピングプライマー塗料
組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(a)塗膜形成成分として(i)マレイン化ポリオレフィ
ン樹脂と(ii)ブチル化メラミン樹脂を配合し、(i)と(i
i)との重量比が70/30〜50/50の範囲内である
もの、(b)中空シェル構造を有するカーボンブラッ
ク、および(c)酸化防止剤を含有するチッピングプラ
イマー塗料組成物である。本発明のチッピングプライマ
ー塗料組成物には、更に(d)前記成分(b)以外の顔
料も含有してよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。(a)塗膜形成成分 本発明のチッピングプライマー塗料組成物は、塗膜形成
成分(a)として、(i)マレイン化ポリオレフィン樹脂
と(ii)ブチル化メラミン樹脂を含有する。好適に使用さ
れるマレイン化ポリオレフィン樹脂(i)は、プロピレン
を50モル%以上含むエチレン/プロピレン共重合体
に、無水マレイン酸および/またはマレイン酸がグラフ
ト重合されたグラフト共重合体であって、グラフト共重
合体に対して無水マレイン酸および/またはマレイン酸
の酸成分を約0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜2
0重量%、より好ましくは1〜10重量%グラフト化し
たものである。このようなマレイン化ポリオレフィン樹
脂(i)は、例えば、特開平9-208882号公報および特開平4
-363371号に記載されており、坂井化学工業株式会社か
ら商品名「BOR−904」で市販されているものが使用
できる。
【0011】他方、好ましいブチル化メラミン樹脂(ii)
は、メラミン樹脂にホルムアルデヒド、パラホルムアル
デヒド等のアルデヒドを付加反応または付加縮合反応さ
せて得られたものを、ブタノール、イソブタノールなど
でエーテル化することにより得られる。ブチル化メラミ
ン樹脂(ii)において、好ましいエーテル化率は、20〜
90%であり、反応の程度により、アルキル化メチロー
ル基以外のメチロール基、イミノ基等が存在し得る。こ
のようなブチル化メラミン樹脂(ii)は、例えば、三井化
学株式会社から商品名「ユーバン20N60」で市販されて
いる。
【0012】上述の通り、耐酸性および耐擦り傷性に優
れた高架橋の上塗り塗膜と共にチッピングプライマーを
積層塗膜へ適用する場合、層間剥離やクラックを抑制
し、積層塗膜の冷熱サイクル特性の低下も防止するため
に、両塗膜間の硬度差を小さくすることが重要である。
そのために、本発明では、塗膜の強度化に関与するブチ
ル化メラミン樹脂(ii)の配合量を増量させて、得られる
チッピングプライマーの塗膜強度を向上させている。具
体的には、塗膜形成成分(a)中の、(i)マレイン化ポ
リオレフィン樹脂と(ii)ブチル化メラミン樹脂を重量比
70/30〜50/50、好ましくは65/35〜55
/45、より好ましくは65/35〜60/40で配合
させる。
【0013】塗膜形成成分(a)は、本発明のチッピン
グプライマー塗料組成物中、固形分として50〜99重
量部、好ましくは70〜97重量部、より好ましくは8
0〜95重量部の量で含有される。
【0014】(b)中空シェル構造を有するカーボンブ
ラック チッピングプライマーには、チッピングダメージを受け
た個所を目立たなくするためや耐チッピング性を向上さ
せるために着色顔料や体質顔料などの顔料が分散されて
いる。最も一般的な顔料は、鎖状構造を有する粒状のカ
ーボンブラックである。本発明者らは、この鎖状構造の
カーボンブラックを中空シェル構造のカーボンブラック
に置き換えることで、塗膜により高いクッション性を付
与し、耐チッピング性が向上することを見出した。
【0015】ここで、「中空シェル構造」とは、粒子形
態の外側に薄く黒鉛結晶が寄り集まった構造をいう。
【0016】従来のカーボンブラック(例えばアセチレ
ンブラック)と中空シェル構造のカーボンブラックとの
物理化学特性の違いを下記表1に示す。従来の鎖状構造
の発達したカーボンブラックは、粒子が凝集体を形成
し、その凝集体間の距離が短いために表面積が小さい。
それに対し、中空シェル構造のカーボンブラック(b)
は、粒子間の距離を短くすることで粒子密度を小さくし
ているため、従来のものに比べると、粒子寸法が若干大
きいが、比重や粒子密度は従来の構造のものと大差な
い。また(b)は、鎖状構造のカーボンブラックに比べ
て著しく大きな表面積を有しており、粒子内部に他の粒
子の凝集の存在を有しない、中空シェル構造を有してい
ることが分かる。このような構造により、中空シェル構
造のカーボンブラック(b)を本発明のチッピングプラ
イマー塗料組成物中に配合することで、塗膜に高いクッ
ション性が得られ、優れた耐チッピング性が達成され
る。ただし、本発明の目的を達成するためには、中空シ
ェル構造のカーボンブラック(b)の粒子全てが中空シ
ェル構造である必要はなく、例えば全体の40〜100
%であればよい。
【0017】このようなカーボンブラックの代表的な例
としては、三菱化学株式会社から市販されているケッチ
ェン・ブラック・インターナショナル製「ケッチェンブ
ラックEC」(粒状形態)が挙げられる。
【表1】 :ケッチェン・ブラック・インターナショナル製「ケ
ッチェンブラックEC」(三菱化学株式会社から市販)** :三菱化学株式会社製「三菱カーボンMA100」
【0018】本発明では、成分(b)以外に、カーボン
ブラック以外の顔料(d)を含有していてもよく、例え
ば、ストロンチウムクロメート等クロム系顔料、リン酸
亜鉛等のリン酸塩系顔料、モリブデン酸亜鉛、リンモリ
ブデン酸アルミ等のモリブデン系顔料などの防錆顔料が
挙げられる。
【0019】本発明のチッピングプラマー塗料組成物に
は、さらに、前記成分(b)および(d)の他に、酸化
チタン、ベンガラ、酸化鉄、フタロシアニンブルー、フ
タロシアニングリーン、キナクリドン系顔料、アゾ系顔
料等の着色顔料;タルク、クレー、炭酸カルシウム、沈
降性硫酸バリウム、シリカ等の体質顔料も含有され得
る。
【0020】本発明のチッピングプラマー塗料組成物に
おいて、前記成分(b)と(d)、および必要に応じて
それら以外の着色顔料および体質顔料は、合計で、顔料
重量濃度(pigment weight content:PWC)1〜50
%の範囲、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜
20%で含有され得る。ここで、PWCは、以下の式で
表される。
【数1】PWC(%)=[顔料(g)/{顔料(g)+全
樹脂固形分(g)}]×100
【0021】ただし、本発明のチッピングプライマー塗
料組成物の塗装時全固形分は、3〜30%の範囲、好ま
しくは4〜20%、より好ましくは5〜10%であり得
る。
【0022】特に、中空シェル構造のカーボンブラック
(b)配合量は、前記PWC内の40〜100%、好ま
しくは70〜100%、より好ましくは80〜100%
を占める。
【0023】(c)酸化防止剤 本発明では、チッピングプライマー塗料組成物が塗料形
態で使用前または塗装装置内で貯蔵されている間に、マ
レイン化ポリオレフィン樹脂が酸化・劣化して、貯蔵安
定性やサーキュレーション安定性が低下するのを防止す
るために、酸化防止剤、好ましくはヒンダードフェノー
ル系の酸化防止剤を添加する。本発明で好適に使用され
る酸化防止剤としては、例えば、チバ・スペシャリティ
・ケミカルズ製「IRGANOX 1010」〔ペンタスリチル・テ
トラキス[3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロフェニル)プロピ
オネート]〕、シプロ化成株式会社製「SEENOX326M」
〔1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシベンジル)ベンゼン〕、城北化学工業株式会
社製「JAST-500」〔6-(2-ベンゾトリアゾリル)-4-t-オ
クチル-6'-t-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチレンビスフェ
ノール〕、三共株式会社製「サノールLS-2626」〔1-[2-
〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジーt-ブチル-ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメ
チルピペリジン〕等が挙げられる。
【0024】本発明において、このような酸化防止剤
(c)は、塗料中の樹脂固形分100部に対し0.3〜
3部、好ましくは0.5〜2.5部、より好ましくは1
〜2部含まれていればよい。
【0025】本発明のチッピングプライマー塗料組成物
は、その他の添加剤として、例えば、沈降防止剤、硬化
促進剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、表面調整
剤などを配合してもよい。これら添加剤は、塗料中の全
樹脂固形分の0〜2.0%、好ましくは0.1〜1.5
%、より好ましくは0.3〜1.0%の範囲で含まれ得
る。
【0026】上記成分を溶解または分散するための溶剤
としては、水または有機溶媒(例えば、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水
素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類)に溶
解することで調製できる。溶剤として水を使用する場
合、水を単独で、または水と適した水性有機溶媒との混
合液を使用することができる。あるいは、前記有機溶媒
は、それぞれ単独で、または混合して使用できる。
【0027】本発明のチッピングプライマー塗料組成物
の塗装時の粘度は、室温(25℃)においてNo.3の
フォードカップで12〜30秒、好ましくは13〜25
秒、より好ましくは15〜20秒の範囲であるか、ある
いは塗装時の粘度が上記範囲となるように、塗装に使用
する前に、適した希釈剤を用いて希釈してもよい。上記
塗装粘度に調整されたチッピングプライマー塗料組成物
は、例えば、スプレー塗装、噴霧塗装またはロール塗装
法など、チッピングプライマー(塗膜)を得るのに好適
な方法で乾燥膜厚が5〜20μm、好ましくは2〜10
μmとなるように塗装される。塗膜は、適当な期間(例
えば、1分間)セッティング(乾燥)された後、その上
に中塗り塗料を塗布し(乾燥膜厚20〜50μm)、中
塗り塗膜と同時に120〜180℃、好ましくは130
〜160℃において、10〜60分間、好ましくは15
〜40分間焼き付けることで、耐チッピング性を有する
複合塗膜を形成することができる。
【0028】本発明は、耐チッピング性などが要求され
る用途(例えば、ガードレールや道路標識等の道路資
材;自動車車体;住宅用建材等)に使用される金属製被
塗物に適用でき、その例としては、リン酸処理鋼板、亜
鉛めっき鋼板、冷延鋼板、アルミニウム板、ステンレス
板、リン酸亜鉛処理鋼板、リン酸鉄処理鋼板等が挙げら
れるが、本発明はこれらに限定されるものではない。こ
れら金属製被塗物は、そのまま使用しても、あるいは別
法により表面処理したものであってもよい。これらの処
理は、単独で行っても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0030】実施例1 マレイン化ポリオレフィン樹脂(坂井化学工業株式会社
製「BOR−904」;不揮発分10%)700重量部、
ブチル化メラミン樹脂(三井化学株式会社製「ユーバン
20N60」;不揮発分60%)50重量部、中空シェル構
造を有するカーボンブラック[ブラック・インターナシ
ョナル製「ケッチェンブラックEC」(三菱化学株式会
社から市販)]17.5重量部(PWC15%)および酸
化防止剤(城北化学工業株式会社製「JAST-500」)1.
5重量部を、トルエン13重量部、ソルベッソ13重量
部中を加え、卓上SGミルで1時間分散することによ
り、本発明のチッピングプライマー塗料組成物を調製し
た。調製後の塗料粘度は16秒(#4フォードカップ/
20℃)であった。使用時の塗料粘度は、希釈剤として
トルエン/ソルベッソ100/n−ブタノール=6/2
/1を用いて、17秒(#3フォードカップ/20℃)
に調整した。チッピングプライマー塗料組成物の組成お
よび配合量、並びに塗料粘度を表2に示す。
【0031】
【表2】 i):坂井化学工業株式会社製「BOR−904」ii) :三井化学株式会社製「ユーバン20N60」 :中空シェル構造カーボンブラック;ケッチェン・ブ
ラック・インターナショナル製(三菱化学株式会社から
市販)** :鎖状構造カーボンブラック;三菱化学株式会社製1) :チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製〔ペンタス
リチル・テトラキス[3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロフェ
ニル)プロピオネート]〕2) :城北化学工業株式会社製〔6-(2-ベンゾトリアゾ
リル)-4-t-オクチル-6'-t-ブチル-4'-メチル-2,2'-メチ
レンビスフェノール〕3) :三共株式会社製[1-[2-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-
〔3-(3,5-ジーt-ブチル-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン]*** :石原産業株式会社製「CR−97」
【0032】(積層塗膜を有する鋼板試料の作成)カチ
オン電着塗料[日本ペイント株式会社製カチオン型電着
塗料「パワートップU−50」(硬度2H;グレー色)]
を用いて乾燥膜厚約25μmに電着塗装された厚さ0.
8mmのリン酸亜鉛処理した亜鉛メッキ鋼板上に、上記
チッピングプライマー塗料組成物を膜厚が5μmとなる
ようにスプレー塗装した。5分間セッティング後、中塗
り塗料[日本ペイント株式会社製「オルガP−2」グレ
ー色)]を乾燥膜厚約40μmとなるようにスプレー塗
装し、約7分間セッティングした後、140℃で30分
間焼き付けて中塗り塗装塗板を得た。
【0033】冷却後、中塗り塗装塗板の上に上塗り塗料
を塗装した。上塗り塗料としては、メタリックカラーベ
ース塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックM
−155シルバー」)を乾燥膜厚が約15μmとなるよう
に塗装した後、ウェット・オン・ウェット方式でクリヤ
ー塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックO−
150クリヤー」)を乾燥膜厚約40μmとなるように塗
装した。約7分間セッティングした後、140℃で30
分間焼き付けることにより、積層塗膜を得た。得られた
積層塗膜の表面を#1000サンドペーパーで水研ぎし
た後、乾燥して、石油ベンジンでワイピングした後、上
記上塗り塗料の塗装工程を2回繰り返した。結果、上塗
り塗膜は3層の複合塗膜となった。
【0034】こうして形成された鋼板試料上の積層塗膜
の模式的な断面図を図1に示す。図1に示すように、被
塗物であるダル鋼板1の上に電着塗膜2が形成され、この
電着塗膜2上にチッピングプライマー層3が形成されてい
る。チッピングプライマー3上に、中塗り層4と、メタリ
ックベース塗膜とクリヤー塗膜から成る複合塗膜形態の
上塗り層5が順次形成されている。
【0035】(評価試験)1.耐チッピング性試験 上記で作成された積層塗膜を有する鋼板試料を、グラロ
ベ試験機KSS−1(スガ試験機社製、ダイヤモンドシ
ョット方式)を用い、以下の条件下で飛石試験を行なっ
た。
【表3】 塗膜表面の剥離面積(mm)を画像解析装置により測
定し、5回ショットの平均を平均剥離面積とした。
【0036】2.冷熱サイクル特性試験 上記1.の試験後、前記鋼板試料を、以下の環境温度の
変化を1サイクルとし、これを10サイクル以上繰り返
した条件下に置いて、冷熱サイクル特性を試験した。 1サイクル=(−30℃×1時間)→(20℃×0.5
時間)→(80℃×1時間)→(20℃×0.5時間)
【0037】試験後、砕石でつけられた傷からのクラッ
クの発生有無を目視観察し、チッピングプライマー(膜
厚8μm)にまで達するクラックが発生したサイクル数
で評価した。
【0038】3.密着性試験I(サーキュレーション1
4日後の積層塗膜の密着性) 上記の積層塗膜を有する試験鋼材の作成工程に付する前
に、チッピングプライマー塗料組成物を、塗装する前に
ミニ塗料循環機内で30℃にて14日間循環させた。そ
の後、上塗の焼付温度を160℃30分とする以外は上
記と同様にして試験鋼材の作成に使用して、積層塗膜を
形成した。作成した積層塗膜を有する試験鋼材を、以下
の手順で碁盤目試験した。積層塗膜表面の鉛直面上に置
いたカッターナイフの切刃を、塗膜表面に対し約30°
に保持して、素地に達する2mm角の碁盤目(桝目)1
00個を作成した後、JIS Z 1522に規定する幅24
mmのセロハン粘着テープを碁盤目上に密着させた後、
直ちにテープの一端を持ち、これを塗膜表面に対して直
角に保って瞬間的に引き剥がした。剥離後、剥離されな
かった桝目の数の100個の桝目に対する割合を、以下
の評価基準に従って評価した。評価基準 ○:100/100(剥離無し) ×: 50/100(半分以上剥離した)
【0039】4.密着性試験II(高温焼付けした場合の
積層塗膜の密着性) 積層塗膜を有する試験鋼材の作成工程おいて、中塗り塗
装後の焼付け温度を、140℃から180℃としたこと
以外は、上記と同様の手順で積層塗膜を形成した。これ
を、密着性試験I(上記3.)に記載の手順で碁盤目剥
離試験し、上記と同じ評価基準に従って評価した。
【0040】上記評価試験(1〜4)についての試験結
果をそれぞれ表3にまとめる。
【0041】実施例2および3 表2に示す組成および配合量としたこと以外は、実施例
1と同様にして、本発明のチッピングプライマー塗料組
成物を調製し、そのチッピングプライマー塗料組成物を
用いて積層塗膜を形成した。得られた積層塗膜を有する
試験片について、実施例1と同様の試験を行なった。試
験結果をそれぞれ表3にまとめる。
【0042】実施例4 本実施例では、クリヤー塗料として耐酸性および耐擦り
傷性を付与し得るクリヤー塗料を用いた場合を示してい
る。実施例1で調製したチッピングプライマー塗料組成
物を用い、積層塗膜を有する試験鋼板の作成工程中、上
塗り層の形成のためのクリヤー塗料として、日本ペイン
ト株式会社製「スーパーラックO−150クリヤー」の代
わりに「マックフローO−600クリヤー」を用いて上塗
り複合塗膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にし
て、本発明のチッピングプライマー塗料組成物を調製
し、そのチッピングプライマー塗料組成物を用いて積層
塗膜を形成した。得られた積層塗膜を有する試験鋼板に
ついて、実施例1記載の評価試験1.〜4.をそれぞれ行
なった。各試験結果を表3にまとめる。
【0043】比較例1〜4 実施例1と同様にして、表2に記載の組成および配合量
でチッピングプライマー塗料組成物を調製し、そのチッ
ピングプライマー塗料組成物を用いて積層塗膜を形成し
た。得られた積層塗膜を有する試験鋼板について、実施
例1と同様の評価試験1.〜4.をそれぞれ行なった。各
試験結果を表3にまとめる。
【0044】
【表4】
【0045】本発明のチッピングプライマー塗料組成物
(実施例1〜3)に関する結果はいずれも、比較例1〜
4に比べて耐チッピング性、冷熱サイクル特性および密
着性のいずれにおいても優れている事が分かる。特に、
密着性IおよびIIの結果から、酸化防止剤の添加効果に
よる塗料のサーキュレーション安定性向上と、高温焼付
けされた場合の層間剥離の抑制がいずれも達成されたこ
とが分かる。さらに実施例4に示すように、実施例1の
本発明のチッピングプライマー塗料組成物を耐酸性およ
び耐擦り傷性を付与し得る上塗り塗料(クリヤー塗料)
と共に積層塗膜に適用した場合でも、高い耐チッピング
性と優れた冷熱サイクル特性を保持することができた。
【0046】これに対し、従来使用されている鎖状構造
のカーボンブラックを使用した比較例1では、必要とさ
れる特性がいずれも十分に得られなかった。比較例2〜
4では、中空シェル構造のカーボンブラックを使用して
いるが、特に比較例2において、酸化防止剤を含まない
ため、塗料形態での貯蔵安定性と高温焼付けされた場合
の層間剥離が抑制不可能であった。比較例3では、塗膜
形成成分の配合比が従来のままであったこと、そして比
較例4では、更なる顔料として酸化チタンを過剰に添加
したことに起因して、いずれも、形成された積層塗膜に
十分な耐チッピング性が得られなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明の耐チッピングプライマーを金属
製被塗物(例えば、自動車車体、住宅用建材、ガードレ
ール、道路標識等の屋外で使用される金属製被塗物)に
塗装し、さらに粉体中塗り塗装、電着塗装および上塗り
塗装を行うことにより、優れた耐チッピング性を有しか
つ良好な塗膜外観の積層塗膜を形成することができる。
また、本発明の積層塗膜形成方法を適用することで、従
来既知の方法に比べて、熱硬化工程(すなわち、塗膜の
焼付け工程)を低減することができることからエネルギ
ーコストを削減することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、上塗り塗膜とチッピン
グプライマーの硬度差を小さくでき(すなわち、塗膜間
の引張強さの差を小さくでき)、層間剥離やクラックを
発生させ難くすることで、積層塗膜の冷熱サイクル特性
の低下を防止できる。また、塗料形態での良好な貯蔵安
定性およびサーキュレーション安定性に加えて、高温焼
付けされた場合でも、積層塗膜間に高い密着性を付与で
きる。本発明のチッピングプライマー塗料組成物は、耐
酸性および耐擦り傷性を付与し得る上塗り塗料と共に積
層塗膜に適用しても、形成される積層塗膜の高い耐チッ
ピング性と優れた冷熱サイクル特性を十分に保持でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で調製された積層塗膜の模式的な断面
図である。
【符号の説明】
1…鋼板、2…電着塗膜、3…チッピングプライマー層、4
…中塗り層、5…上塗り層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CB021 CB091 CB141 DA162 GA06 HA026 JA64 KA05 KA21 NA03 NA04 NA11 NA25 PB02 PB05 PB07 PC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)塗膜形成成分として(i)マレイン
    化ポリオレフィン樹脂と(ii)ブチル化メラミン樹脂を配
    合し、(i)と(ii)との重量比が70/30〜50/50
    の範囲内であるもの、 (b)中空シェル構造を有するカーボンブラック、およ
    び (c)酸化防止剤を含有するチッピングプライマー塗料
    組成物。
  2. 【請求項2】 前記成分(b)以外の顔料も含有する請
    求項1記載のチッピングプライマー塗料組成物。
JP2001052040A 2001-02-27 2001-02-27 チッピングプライマー塗料組成物 Pending JP2002249699A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052040A JP2002249699A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 チッピングプライマー塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052040A JP2002249699A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 チッピングプライマー塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002249699A true JP2002249699A (ja) 2002-09-06

Family

ID=18912730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001052040A Pending JP2002249699A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 チッピングプライマー塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002249699A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102452A (ja) * 2007-10-19 2009-05-14 Nippon Paint Co Ltd チッピングプライマー塗料組成物および積層塗膜の形成方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62241930A (ja) * 1986-04-14 1987-10-22 Nissan Motor Co Ltd プライマ−組成物
JPH04363371A (ja) * 1990-08-01 1992-12-16 Nippon Paint Co Ltd 耐衝撃性プライマー及び塗膜形成方法
JPH09241580A (ja) * 1996-03-12 1997-09-16 Nippon Paint Co Ltd チッピングプライマー及び耐チッピング性塗膜形成方 法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62241930A (ja) * 1986-04-14 1987-10-22 Nissan Motor Co Ltd プライマ−組成物
JPH04363371A (ja) * 1990-08-01 1992-12-16 Nippon Paint Co Ltd 耐衝撃性プライマー及び塗膜形成方法
JPH09241580A (ja) * 1996-03-12 1997-09-16 Nippon Paint Co Ltd チッピングプライマー及び耐チッピング性塗膜形成方 法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009102452A (ja) * 2007-10-19 2009-05-14 Nippon Paint Co Ltd チッピングプライマー塗料組成物および積層塗膜の形成方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2621778C2 (ru) Покрытия, имеющие внешний вид, присущий покрытиям tri-coat, соответствующие способы нанесения покрытия и подложки
JPS62262777A (ja) 防食塗膜形成法
JPS6265767A (ja) 鋼材への塗装法
US4755435A (en) Process for coating steel panels
JP2008291162A (ja) 耐食性に優れた塗料組成物
US4755434A (en) Process for coating metallic substrate
JP2006219731A (ja) プレコートメタルの裏面用塗料組成物、及びこれを用いたプレコートメタル
JP5113638B2 (ja) メタリック調艶消し意匠塗装金属板の塗装方法
JP5511058B2 (ja) 塗料組成物およびこれを用いた塗膜
KR100940754B1 (ko) 소프트-필 칼라강판
JP2004298837A (ja) 複層塗膜の形成方法
JP2002249699A (ja) チッピングプライマー塗料組成物
JP2009102452A (ja) チッピングプライマー塗料組成物および積層塗膜の形成方法
JP3232153B2 (ja) 塗装鋼板の製造方法
JP2006297183A (ja) 光輝性塗膜形成方法および光輝性塗装物
JPH0619060B2 (ja) 耐チッピング塗料組成物
JP2524886B2 (ja) 塗料組成物及び塗膜形成方法
JP4620949B2 (ja) 耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板
JP6600760B1 (ja) 被塗装鋼材の塗替え方法
JP2623365B2 (ja) 塗料組成物及び塗膜形成方法
JPS6123951B2 (ja)
JPH10230566A (ja) 接触磨耗性の改善された両面塗装基板及びその製造方法
JPS6261679A (ja) 鋼材塗装方法
JPH0688056A (ja) 層間密着性の改良された塗料組成物、その使用法および多層塗膜
JPH09302245A (ja) 複層塗膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111004