JPH09302245A - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

複層塗膜形成方法

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JPH09302245A
JPH09302245A JP11361696A JP11361696A JPH09302245A JP H09302245 A JPH09302245 A JP H09302245A JP 11361696 A JP11361696 A JP 11361696A JP 11361696 A JP11361696 A JP 11361696A JP H09302245 A JPH09302245 A JP H09302245A
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勝彦 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とりわけ、上塗り塗膜の外観などにも優れる
し、耐候性、層間付着性ならびに耐チッピング性などに
も優れる塗膜を塗膜を与えることの出来る、斬新なる複
層塗膜形成方法を提供することにある。 【解決手段】 β−メチルグリシジル基という特定の基
を有するエポキシ基含有ビニル系共重合体と、酸基含有
ポリエステル樹脂とを必須の成分として含有する粉体塗
料を、中塗り塗料または下塗り塗料として用いるという
ことによって、主として、上塗り塗膜における、叙上の
ような効果を、最大限に発現するというようにしてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る複層塗膜形成方法に関する。さらに詳細には、本発明
は、上塗り塗膜の、とりわけ、外観、耐候性、層間密着
性ならびに耐チッピング性などに優れた複層塗膜を与え
る塗膜形成方法に関し、特に、自動車車体上に形成させ
た場合において、極めて実用性の高い複層塗膜を得るこ
とができる塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤を含有しない塗料の一形態とし
ては、粉体塗料があるが、近年、大気汚染などの環境問
題の観点より、その低公害性が注目され、使用量も亦、
年々、増加している。その用途としては、家電・建材用
などの金属製品の塗装用をはじめとして、多岐に亘る
が、塗装時に揮発する溶剤が実質的に無いという粉体塗
料の特徴から、自動車用塗装剤としても、適用の検討が
進んでいる。
【0003】現在、実用に供されている粉体塗料用樹脂
組成物としては、種々のタイプのものがある。たとえ
ば、主として、水酸基含有ポリエステル樹脂と、ブロッ
クイソシアネート化合物とを組み合わせてなる組成物
は、良好なる外観と、機械的物性ならびに耐候性などを
有していて、広く利用されているし、主として、カルボ
キシル基含有ポリエステル樹脂と、エポキシ樹脂とを組
み合わせてなる組成物も、得られる塗膜の耐食性が優れ
ているという処から、汎用的に利用されている。
【0004】一方、自動車車体の塗装方法の従来型技術
についてみると、現在まで通用している技術としては、
カチオン電着塗装が施された被塗物(自動車車体など)
に、有機溶剤を含む形の中塗り塗料を塗装し、焼き付け
乾燥せしめたのち、同じく、有機溶剤を含む形のベース
コート用塗料を、さらには、有機溶剤を含む形のトップ
コート用塗料を、順次、塗り重ね、焼き付け硬化せしめ
るという工程を採る塗装方法が、主流を占めている。
【0005】ところが、従来型技術においては、上述し
たように、塗装時に、有機溶剤が揮散する処から、この
ような塗装方法は、環境衛生上、問題のあるものであ
る。また、有機溶剤の揮散を回避する方法としては、有
機溶剤を実質的に含有しない形の粉体塗料を利用すると
いうことも考えられるが、現状においては、中塗り塗料
として、粉体塗料を利用した場合には、得られる粉体塗
膜の、とりわけ、平滑性、耐候性ならびに耐溶剤性など
が、在来の有機溶剤系塗料に比して劣るために、粉体塗
料を塗装せしめて得た中塗り塗膜の上に、有機溶剤系ベ
ースコート塗料や、さらに、トップコート塗料を塗装
し、複層塗膜を形成せしめても、得られる複層塗膜の、
とりわけ、外観、耐候性ならびに耐チッピング性などが
劣るものとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、上述した
ような従来型技術に従う限りは、どうしても、特に、ト
ップコートの塗膜の、とりわけ、外観、層間密着性なら
びに耐チッピング性などの諸物性に優れた硬化塗膜を得
るということなどは、頗る、困難であった。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、主として、良好なる塗膜外観を与えるし、しか
も、塗膜の、とりわけ、耐候性などや、耐チッピング性
なども亦、従来型の粉体塗料用樹脂組成物を使用した場
合に比して、格段に優れるという極めて実用性の高い塗
膜諸性能を与える、斬新なる塗膜形成方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】そこで、本発明者らは、上述したような従
来型技術における種々の問題点を解決するべく、鋭意、
検討を重ねた結果、分子中に、次の構造式(1)
【0010】
【化3】
【0011】で示されるβ−メチルグリシジル基を有
し、しかも、特定範囲のエポキシ当量を有するエポキシ
基含有ビニル共重合体[A]と、酸基含有ポリエステル
樹脂[B]とを必須の成分としてなる粉体塗料用樹脂組
成物を、中塗りまたは下塗り塗料として使用して、複層
塗膜を形成させた場合には、非常に良好なる塗膜外観が
得られるということは勿論のこと、塗膜の、とりわけ、
耐候性や耐チッピング性なども亦、従来型の粉体塗料用
樹脂組成物を使用した場合に比して、格段に向上化する
ことを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに
到った。
【0012】すなわち、上述したよう、従来型技術にお
ける課題を解決するための手段を、つまり、本発明が解
決しようとする課題を述べることにすると、本発明は、
基本的には、分子中に、次の構造式(1)
【0013】
【化4】
【0014】で示されるβ−メチルグリシジル基を有
し、エポキシ当量が、約200〜約1,000(g共重
合体/当量)なるエポキシ基含有ビニル共重合体[A]
と、酸基含有ポリエステル樹脂[B]とを必須の構成成
分としてなる樹脂組成物から得られる粉体塗料[I]
を、被塗物に塗装し、加熱硬化せしめたのちに、ベース
コート塗料[II]を塗装し、さらに、透明トップコー
ト塗料[III]を塗装し、焼き付け乾燥せしめること
から成る、斬新なる複層塗膜形成方法を開示するという
ものであり、
【0015】さらに、本発明は、分子中に、上掲した構
造式(1)で示されるβ−メチルグリシジル基を有し、
エポキシ当量が、約200〜約1,000(g共重合体
/当量)なるるエポキシ基含有ビニル共重合体[A]
と、酸基含有ポリエステル樹脂[B]とを必須の構成成
分としてなる樹脂組成物から得られる粉体塗料[I]
を、被塗物に塗装し、加熱硬化せしめたのち、トップコ
ート塗料[IV]を塗装し、焼き付け乾燥せしめること
から成る、斬新なる複層塗膜形成方法をも開示するとい
うものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、まず、分子中に、前掲
した構造式(1)で示されるβ−メチルグリシジル基を
有し、エポキシ当量が約200〜約1,000(g共重
合体/当量)なるエポキシ基含有ビニル共重合体[A]
と、酸基含有ポリエステル樹脂[B]とを必須の構成成
分としてなる樹脂組成物から得られる粉体塗料[I]
を、被塗物に塗装し、加熱硬化せしめたのち、ベースコ
ート塗料[II]を塗装し、さらに、透明トップコート
塗料[III]を塗装し、焼き付け乾燥せしめることか
ら成る、複層塗膜形成方法を請求するというものである
し、
【0017】また、分子中に、前掲した構造式(1)で
示されるβ−メチルグリシジル基を有し、エポキシ当量
が約200〜約1,000(g共重合体/当量)なるエ
ポキシ基含有ビニル共重合体[A]と、酸基含有ポリエ
ステル樹脂[B]とを必須の構成成分としてなる樹脂組
成物から得られる粉体塗料[I]を、被塗物に塗装し、
加熱硬化せしめたのち、トップコート塗料[IV]を塗
装し、焼き付け乾燥せしめることから成る、複層塗膜形
成方法をも請求するというものであるし、
【0018】さらに、上記したエポキシ基含有ビニル共
重合体[A]として、約80〜約150℃なる、環球法
による軟化点を有し、しかも、約500〜約10,00
0なる数平均分子量を有するものを用いるという、特定
の複層塗膜形成方法をも請求するというものであるし、
【0019】さらに亦、上記した酸基含有ポリエステル
樹脂[B]として、約10〜約200(mgKOH/g
固形分)なる酸価を有し、しかも、約80〜約150℃
なる、環球法による軟化点を有するものを用いるとい
う、特定の複層塗膜形成方法をも請求するというもので
ある。
【0020】以下に、本発明に係る複層塗膜形成方法に
ついて、詳細に説明をすることにするが、本発明は、上
述したように、基本的には、大別して、2種の複層塗膜
形成方法を開示し、請求するというものである。
【0021】すなわち、まず、第一の複層塗膜形成方法
は、[1]被塗物と、[2]本発明に係る複層塗膜形成
方法において使用する粉体塗料[I]を塗装し、焼き付
け硬化させて得られる塗膜層と、[3]ベースコート塗
料[II]との塗膜層ならびに[4]透明トップコート
塗料[III]とからなる塗膜層の各構成要素からなる
ものであり、具体的には、[1]の被塗物上に、上記粉
体塗料[I]を塗装し、加熱硬化させて、上記塗膜層
[2]を形成せしめてから、さらに、ベースコート塗料
[II]を塗装し、その上に、透明トップコート塗料
[III]を塗装せしめたのちに、上記塗膜層[3]な
らびに上記塗膜層[4]を、同時に、加熱乾燥(硬化)
せしめるということによって、目的とする複層塗膜を形
成化せしめる方法を開示し、請求するというものであ
る。
【0022】一方、第二の複層塗膜形成方法は、[1]
被塗物と、[2]本発明に係る複層塗膜形成方法におい
て使用する粉体塗料[I]を塗装し、焼き付け硬化させ
て得られる塗膜層と、[5]トップコート塗料[IV]
との塗膜層の各構成要素からなるものであり、具体的に
は、第一の複層塗膜形成方法における塗膜層[3]なら
びに[4]に替えて、上記トップコート塗料[IV]を
塗装し、加熱乾燥(硬化)させて、塗膜層[5]を形成
せしめるということによって、目的とする複層塗膜を形
成せしめる方法を開示し、請求するというものである。
【0023】ここにおいて、本発明に係る複層塗膜形成
方法における、それぞれの各構成要素について、詳細に
説明をすることにする。
【0024】つまり、第一の複層塗膜形成方法について
の説明であるが、その第一の構成要素である、上記した
[1]被塗物とは、塗料を塗布すべき基材類を指称する
というものであり、具体的には、未塗装の鋼板、未処理
の、ないしは化成処理されたアルミニウム系基材などの
ような、いわゆる未塗装金属素材であって、自動車車体
または2輪車車体などのような種々の道路車両に使用さ
れる基材や、アルミホイールなどのような自動車部品用
として使用される基材などが挙げられるし、また、電着
塗装が施こされた状態の、自動車車体などのような種々
の道路車両に使用される基材も包含される。さらには、
家電製品あるいはスチール家具などに使用される基材、
たとえば、電気亜鉛メッキ鋼板または溶融亜鉛メッキ鋼
板などをも例示することが出来る。
【0025】これらの基材類は、最終用途に応じた形状
に加工されたようなものであってもよいし、また、PC
M(プレコート・メタル)塗装法が適用されるような形
態、つまり、大まかに、平板状の切板状基材であって、
本発明の複層塗膜方法によって、目的とする複層塗膜が
形成されたのちに、目的に応じた所定の形状に折り曲げ
加工されたようなものであってもよいし、さらには、コ
イル・コーティングのような、完全に、いわゆる後加工
に供される塗装システムに利用されるような基材であっ
てもよい。
【0026】本発明に係る複層塗膜を構成する第二の構
成要素である、[2]たる、粉体塗料[I]を塗装し、
焼き付け硬化させて得られる塗膜層とは、分子中に、次
の構造式(1)
【0027】
【化5】
【0028】で示されるβ−メチルグリシジル基を有
し、エポキシ当量が約200〜約1,000(g共重合
体/当量)なるエポキシ基含有ビニル共重合体[A]
と、酸基含有ポリエステル樹脂[B]とを必須の構成成
分としてなる樹脂組成物から得られる、此の粉体塗料
[I]を加熱硬化せしめることによって得られるという
塗膜層を指称するものである。
【0029】このような粉体塗料[I]を調製する際に
使用することの出来る樹脂組成物の必須の構成成分の一
つである、前記したエポキシ基含有ビニル系共重合体
[A]とは、たとえば、分子の末端または側鎖に、前掲
したような構造式(1)で示されるβ−メチルグリシジ
ル基を有するビニル共重合体を指称するというものであ
るし、当該共重合体を調製するには、
【0030】たとえば、 β−メチルグリシジル基含有
ビニル単量体と、共重合可能なる其の他のビニル単量体
類とを共重合せしめるという方法や、あるいはビニル共
重合体を、常法により、変性せしめることによって、β
−メチルグリシジル基を導入せしめるという方法などの
ような、公知慣用の種々の方法が適用できるが、
【0031】就中、β−メチルグリシジル基含有ビニル
単量体と、共重合可能なる其の他のビニル系単量体類と
を、有機溶剤中で、ラジカル共重合せしめるという方法
によるのが、最も簡便であるので、特に推奨するもので
ある。
【0032】その際に用いられる、β−メチルグリシジ
ル基含有ビニル単量体(a−1)のうちでも特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、β−メチルグリシ
ジル(メタ)アクリレートの如き、(メタ)アクリル酸
の各種のβ−メチルグリシジルエステル類;または(メ
タ)アリルβ−メチルグリシジルエーテルの如き、各種
の(メタ)アリルβ−メチルグリシジルエーテル類など
である。斯かるβ−メチルグリシジル基含有ビニル単量
体は、単独使用でもよいし、2種以上の併用でもよいと
いうことは、言う迄もない。
【0033】さらに、上掲したβ−メチルグリシジル基
含有ビニル単量体(a−1)に加えて、其の他のエポキ
シ基含有ビニル単量体(a−2)を併用してもよいこと
は勿論であり、使用可能なる其の他のエポキシ基含有ビ
ニル単量体(a−2)として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、グリシジル(メタ)アクリレート
の如き、各種のグリシジルエステル類;(メタ)アリル
グリシジルエーテルの如き、各種の(メタ)アリルグリ
シジルエーテル類;または3,4−エポキシシクロヘキ
シルアクリレートもしくは3,4−エポキシシクロヘキ
シルメタクリレートの如き、各種の脂環式エポキシ基含
有ビニル単量体類などである。
【0034】β−メチルグリシジル基含有ビニル単量体
(a−1)と、其の他のエポキシ基含有単量体(a−
2)とを併用するという場合における、全エポキシ基含
有量に対するβ−メチルグリシジル基含有量の占める割
合としては、約80モル%以上であるというのが望まし
い。β−メチルグリシジル基含有量の占める割合が、約
80モル%未満であるという場合には、得られる複層塗
膜の、とりわけ、平滑性などが劣るようになるので好ま
しくない。
【0035】さらに、これらのエポキシ基含有単量体類
と共重合可能なる其の他のビニル系単量体をも使用する
ことが出来ることは勿論であり、そうした共重合性のビ
ニル系単量体として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、次に示すようなものなどである。
【0036】すなわち、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレートもしくはシクロヘキシルアクリレートの如
き、各種のアクリル酸エステル類;
【0037】メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレートもしくはベ
ンジルメタクリレートの如き、各種のメタクリル酸エス
テル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ア
クリレートもしくはポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレートの如き、各種の水酸基含有(メタ)ア
クリレート類;または此等の各種の(メタ)アクリレー
トと、ε−カプロラクトンとの付加反応生成物などであ
るし、
【0038】(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコ
ン酸、マレイン酸もしくはフマル酸の如き、各種のカル
ボキシル基含有単量体などをはじめ、イタコン酸、マレ
イン酸もしくはフマル酸の如き、各種の多価カルボキシ
ル基含有単量体と、炭素数が1〜18なるモノアルキル
アルコールとのモノ−ないしはジエステル類;またはN
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくは
N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの
如き、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体;
【0039】ジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アク
リロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェートも
しくはジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルフォスフェートの如き、各種の燐酸エステル基含有
単量体類;エチレン、プロピレンもしくはブテン−1の
如き、各種のα−オレフィン類;塩化ビニルもしくは塩
化ビニリデンの如き、フルオロオレフィンを除く、各種
のハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチ
レンもしくはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニ
ル化合物;またはγ−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリエトキシシランもしくはγ−(メタ)
アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの
如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体;
【0040】フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフ
ルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリ
フルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペン
タフルオロプロピレンもしくは、ヘキサフルオロプロピ
レンの如き、各種のフッ素含有−α−オレフィン類;あ
るいはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテ
ル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル
もしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエ
ーテルの如き、各種のパーフルオロアルキル・パーフル
オロビニルエーテルまたは(パー)フルオロアルキルビ
ニルエーテル(ただし、この場合のアルキル基の炭素数
としては、1〜18なる範囲内である。);
【0041】あるいは亦、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、C9 なる分岐状脂肪族(分枝状脂肪族)カルボ
ン酸ビニル、C10なる分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、
11なる分岐状脂肪族カルボン酸ビニルもしくはステア
リン酸ビニルの如き、各種の脂肪族カルボン酸ビニル;
またはシクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロ
ヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルもしくはp
−tert−ブチル安息香酸ビニルの如き、環状構造を
有するカルボン酸の、各種のビニルエステル類などであ
る。
【0042】かくして得られるエポキシ基含有ビニル共
重合体[A]のエポキシ当量(g共重合体/当量)とし
ては、約200〜約1,000なる範囲内が適切であ
り、此のエポキシ当量が約1,000よりも大きい場合
には、塗膜層[2]の耐溶剤性などが不足するようにな
り易いという処から、得られる複層塗膜の外観が劣るよ
うにもなるし、さらには、得られる複層塗膜の耐チッピ
ング性も劣るようになるという一方、此のエポキシ当量
が約200よりも小さいと、得られる複層膜の平滑性な
どが劣るようになるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0043】また、当該共重合体[A]の、環球法によ
る軟化点としては、約80〜約150℃なる範囲内が適
切であって、此の軟化点が約80℃よりも低いような場
合には、どうしても、粉体塗料[I]の耐ブロッキング
性などが劣るようになり易いし、一方、約150℃を超
えて余りにも高くなるような場合には、どうしても、塗
膜の平滑性などが劣るようになり易くなって来るので、
いずれの場合も好ましくない。
【0044】さらに、当該エポキシ基含有ビニル系重合
体[A]の数平均分子量としては、約500〜約10,
000なる範囲内がてきせつであるし、好ましくは、約
1,000〜約5,000の範囲内が適切である。
【0045】此の数平均分子量が約500よりも小さい
ような場合には、どうしても、塗膜の機械的物性などが
劣るようになり易いし、一方、約10,000よりも大
きいような場合には、どうしても、塗膜の平滑性などが
低下し易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0046】本発明における、更なる必須構成成分の一
つである、前記した酸基含有ポリエステル樹脂[B]と
は、たとえば、種々の、多価酸成分と、多価アルコール
成分とを主原料として用いて、常法により、反応せしめ
るということによって得られるような、エステル結合に
より構成されていて、官能基として、カルボキシル基を
有する化合物を指称するものである。
【0047】ここにおいて、上記した多価酸として特に
代表的なるもののみを例示するにとどめれば、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、(無水)
グルタル酸、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、(無
水)コハク酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル
酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、メチルヘキサヒド
ロ(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸もし
くは2,6−ナフタレンジカルボン酸、
【0048】または4,4−ジフェニルジカルボン酸の
如き、各種のジカルボン酸(無水物)あるいは其れらの
ジメチルエステルや、(無水)トリメリット酸、トリメ
シン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、メチルシク
ロヘキセントリカルボン酸または(無水)ピロメリット
酸などのような、種々の化合物などである。
【0049】他方、上記した多価アルコールとして特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンンジ
オールもしくはネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール、オクタンジオール、ジエチルプロパン
ジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル
−1,3−プロパンジオールもしくは2,2,4−トリ
メチルペンタンジオール、ビスヒドロキシエチルテレフ
タレート、
【0050】または水添ビスフェノールA、ビスフェノ
ールAアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノー
ルAアルキレンオキサイド付加物;あるいは「カージュ
ラ E10」(オランダ国シェル化学社製の、分枝状脂
肪族カルボン酸のグリシジルエステルの商品名)などの
ような、種々のモノエポキシ化合物や、さらには、グリ
セリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエ
リスリトールまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌ
レートなどである。
【0051】以上に掲げたような、種々の、多価酸成分
と多価アルコール成分とを用いて得られる、当該酸基含
有ポリエステル樹脂[B]の酸価としては、約10〜約
200(mgKOH/g固形分;以下同様)なる範囲内
が適切であり、好ましくは、約20〜約100なる範囲
内が適切である。
【0052】酸価が約10よりも小さいと、どうして
も、塗膜層[2]の、とりわけ、耐溶剤性などが不足す
るようになり易いために、得られる複層塗膜の外観など
が劣るようになり易くなるし、さらには、得られる複層
塗膜の耐チッピング性なども劣るようになって来るの
で、好ましくない。一方、酸価が約200を超えて余り
にも大きくなると、どうしても、得られる複層塗膜の、
とりわけ、平滑性などが劣るようになり易いので、これ
亦、好ましくない。
【0053】また、当該酸基含有ポリエステル樹脂
[B]の数平均分子量としては、約1,000〜約1
0,000なる範囲内が、好ましくは、約2,000〜
約5,000なる範囲内が適切である。
【0054】数平均分子量が約1,000よりも小さい
ような場合には、どうしても、塗膜の機械的物性などが
劣るようになり易いし、一方、約10,000よりも余
りにも大きくなるような場合には、どうしても、塗膜の
平滑性などが低下し易くなるので、いずれの場合も好ま
しくない。
【0055】さらに、本発明に係る複層塗膜形成方法に
おいて用いられる樹脂組成物の一必須成分たる当該ポリ
エステル樹脂[B]の、環球法による軟化点としては、
約80〜約150℃の範囲内にあることが望ましい。
【0056】軟化点が約80℃よりも低いと、どうして
も、粉体塗料[I]の耐ブロッキング性などが劣るよう
になり易いし、一方、軟化点が約150℃を超えて余り
にも高い場合には、どうしても、得られる複層塗膜の、
とりわけ、平滑性などが不十分となり易くなるので、い
ずれの場合も好ましくない。
【0057】これらの、それぞれ、エポキシ基含有ビニ
ル共重合体[A]と、酸基含有ポリエステル樹脂[B]
とから、本発明に係る複層塗膜形成方法において使用す
る、此の粉体塗料[I]を調製するには、公知慣用の種
々の方法が採用できるが、一般的には、エポキシ基含有
ビニル共重合体[A]と、酸基含有ポリエステル樹脂
[B]とを、さらに必要に応じて、顔料、硬化促進剤あ
るいは表面調整剤などのような、いわゆる添加剤成分を
混合し、溶融混練せしめたのちに、さらに、微粉砕せし
めるという、いわゆる機械粉砕方式によるのが簡便であ
る。
【0058】かくして得られる粉体塗料[I]は、公知
慣用の種々の方法によって、被塗物上に静電粉体塗装さ
れ、その後、焼き付けされるということにより、目的と
する硬化塗膜が、被塗物上に形成されるというものであ
る。
【0059】次に、本発明における複層塗膜の構成要素
たる、前記したベースコート塗料[II]からなる塗膜
層[3]についての説明をすることにする。
【0060】当該塗膜層[3]を形成するために使用す
ることの出来るベースコート塗料[II]とは、主とし
て、水または有機溶剤などを媒体として用いて得られる
という形の塗料を指称するものである。
【0061】まず、それらのうちでも、水を媒体とする
形の塗料として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、 水性樹脂をバインダーとするものであると
か、 ディスパージョン(水分散体)タイプの樹脂を
バインダーとするものであるとか、あるいは エマル
ジョン重合体をバインダーとするものなどである。
【0062】上記のタイプには、カルボキシル基含有
ビニル単量体を共重合せしめるということによって、分
子中に酸基を含有せしめた形のアクリル樹脂を、さら
に、アミンなどで以て中和せしめるということによっ
て、完全に水溶化(完全水溶化)せしめた形のものなど
があるし、また、上記のタイプには、特公平3−45
755号公報に開示されているような、アニオン形成性
基を有する水分散性ポリウレタン樹脂などがあるし、さ
らに、上記のタイプには、特開昭56−157358
号公報に開示されているような、架橋性重合体微粒子を
含むエマルジョン重合体の水溶液からなるものなどがあ
る。
【0063】次いで、有機溶剤を媒体とする形の塗料と
しては、公知慣用の種々の塗料を、そのまま、使用する
ことが出来るが、それらのうちでも特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、水酸基含有ビニル系共重合
体の有機溶剤溶液と、斯かる水酸基含有ビニル系共重合
体と反応するような、それぞれ、アミノプラスト、ポリ
イソシアネート類あるいはブロック・ポリイソシアネー
ト類などとを組み合わせるということによって得られる
形の種々の樹脂組成物をバインダーとするものなどであ
る。
【0064】これらの、水または有機溶剤などを媒体と
して得られる形の種々のベースコート塗料[II]は、
これらの樹脂成分以外にも、酸化チタンの如き、公知慣
用の種々の無機顔料、フタロシアニン系、アントラキノ
ン系またはキナクリドン系の如き、公知慣用の種々の有
機顔料などのような着色顔料類、あるいは公知慣用の種
々の体質顔料などのような、さらには、アルミ・フレー
クまたはマイカ・フレークの如き、公知慣用の種々の光
輝性(メタリック調)顔料などのような、さらには亦、
硬化促進剤あるいはレベリング剤などのような、公知慣
用の種々の添加剤類をも含有せしめることができる。
【0065】ここにおいて、上記した着色顔料類として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、酸化チ
タン、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、銅クロムブラ
ック、銅・鉄・マンガンブラック、黄鉛、カドミウムイ
ェロー、オーカー、チタンイェロー、ジンククロメー
ト、弁柄、亜鉛・鉄ブラウン、カドミウムレッド、クロ
ムグリーン、酸化クロムグリーン、チタン・コバルト、
亜鉛グリーン、ビリシアン、エメラルドグリーン、コバ
ルトグリーン、カオリン、ベントナイト、シリカホワイ
ト、アルミホワイト、石膏、白亜、沈降性炭酸カルシウ
ムまたはバライトの如き、各種の、無機系の顔料類;
【0066】あるいはβ−ナフトール系、β−オキシナ
フトエ酸系、ナフトールAS系、アセト酢酸アニリド
系、フタロシアニン系、アントラキノン系、インジゴ
系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、キナク
リドン系、イソインドリノン系、金属錯塩系、フルオル
ビン系またはキノフタロン系の如き、各種の、有機系の
顔料類などで代表されるような種々の化合物であるし、
【0067】また、上記した体質顔料類として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、硫酸バリウム、
炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナま
たはクレーなどである。
【0068】さらに、上記した光輝性(メタリック調)
顔料類として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、金粉末、銀粉末、真ちゅう粉末、アルミニウム粉
末または銅粉末の如き、各種の金属粉末;あるいは鱗片
状雲母に酸化チタン処理を施したような形の(後処理)
顔料などである。
【0069】次に、本発明における複層塗膜の構成要素
たる、前記した透明トップコート塗料[III]から得
られる塗膜層[4]についての説明をすることにする。
【0070】本発明に係る複層塗膜形成方法を実施する
に当たって用いられる、前記した塗膜層[4]を形成す
るために使用することの出来る、前記した透明トップコ
ート塗料[III]としては、前述したような、それぞ
れ、水または有機溶剤などを媒体とする、種々の形の樹
脂組成物を使用することもできるし、水や有機溶剤など
を、実質的に、含有しない形の種々の粉体塗料用樹脂組
成物をも使用することができる。
【0071】その際に使用することの出来る当該トップ
コート塗料は、それ自体は、いわゆる透明塗膜を形成化
せしめるためのものであり、したがって、透明であるな
らば着色されていてもよいことは、勿論である。
【0072】かくして得られる、前述したような、それ
ぞれ、塗膜層[3]と、塗膜層[4]とは、この順序で
以て、前掲したような被塗物上に塗装され、その後、同
時に焼き付け乾燥され、その結果、塗膜層[2]、
[3]および[4]なる各層が積層された形の、いわゆ
る複層塗膜が形成されるということになる。
【0073】ただし、これらの各塗膜層のうちの塗膜層
[3]が塗装されたのちであって、塗膜層[4]が塗装
される以前において、此の塗膜層[3]を焼き付け乾燥
する工程を採るという、いわゆる2C2B(2コート2
ベーク)方式を取ることもできるし、そのような焼き付
け工程を採らない、いわゆる2C1B(2コート1ベー
ク)方式を取ることもできるし、さらには、此の塗膜層
[3]を、予備的に、室温から100℃程度の温度範囲
で以て乾燥させるという工程を採ることもできる。
【0074】次に、本発明に係る複層塗膜形成方法のう
ちの、前述した形のものとは別の、もう一方の形式の複
層塗膜形成方法についての説明をすることにする。
【0075】すなわち、第二の複層塗膜形成方法につい
ての説明ではあるが、こうした、本発明に係る他方の複
層塗膜形成方法は、前述したように、それぞれ、[1]
被塗物と、[2]本発明の複層塗膜形成方法において使
用する粉体塗料[I]を塗装し、焼き付け硬化させて得
られる塗膜層と、[5]トップコート塗料[IV]から
なる塗膜層との各塗膜層からなり、その第一の構成要素
である、上記した被塗物[1]ならびに塗膜層[2]に
ついては、前述した第一の複層塗膜形成方法の場合と、
構成要素ならびに使用態様は、同じである。
【0076】ところで、前記した塗膜層[5]とは、塗
膜層[2]が焼き付け硬化反応により形成されたのち
に、その上に塗装され、形成されるという形の塗膜層を
指称するものであり、その際に使用されるトップコート
塗料[IV]としては、前述したような塗膜層[4]を
形成する際に使用することの出来る透明トップコート塗
料[III]をも使用することができるが、本発明にお
ける、前述した形のものとは別の、もう一方の形式の複
層塗膜形成方法の場合にあっては、前述したような塗膜
層[4]の場合とは異なって、当該塗膜層[5]は、そ
れ自体が、透明であってもよいし、不透明であってもよ
いということである。
【0077】斯かるトップコート塗料[IV]として使
用することの出来る樹脂組成物として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、前記した、有機溶剤を媒
体とする、公知慣用の種々の樹脂組成物、たとえば、水
酸基含有ビニル系共重合体の有機溶剤溶液と、斯かる水
酸基含有ビニル系共重合体と反応するような、それぞ
れ、アミノプラスト、ポリイソシアネート類あるいはブ
ロック・ポリイソシアネート類とを組み合わせて得られ
るような形の種々の樹脂組成物などであるし、
【0078】また、前述した水を媒体とする形の種々の
樹脂組成物を使用することもできるし、水や有機溶剤な
どを、実質的に、含有しない形の粉体塗料用樹脂組成物
をも例示することができ、さらには、これらの樹脂組成
物には、酸化チタンまたはカーボンブラックなどのよう
な、いわゆる隠ぺい性のある、公知慣用の種々の顔料類
を含有させるということもまた、出来るのは、勿論であ
る。
【0079】本発明方法を実施するに当たって、とりわ
け、耐チッピング性などを、充分に発現せしめるための
塗膜形成条件には、特に制限はなく、使用する各樹脂組
成物の硬化条件に従って、適宜、選択するようにすれば
よい。
【0080】前述したような各種の樹脂組成物を用いて
塗膜、就中、複層塗膜と為した場合における、その場合
の乾燥塗膜厚としては、約10〜約500マイクロ・メ
ーター(μm)なる範囲内が適切である。約10μm未
満であるというような場合には、どうしても、チッピン
グ時の諸物性に劣るようになり易いし、一方、約500
μmを超えて余りにも厚くなり過ぎるというような場合
には、どうしても、とりわけ、塗膜外観などに劣るよう
になり易いので、いずれの場合にも好ましくない。
【0081】以上に詳述して来たような、本発明に係る
複層塗膜形成方法に従えば、とりわけ、上塗り塗料に基
づく塗膜(上塗り塗膜)の外観、耐候性、層間付着性な
らびに耐チッピング性などに優れた複層塗膜を得ること
が出来る。
【0082】こうした本発明方法は、自動車をはじめ、
さらには、二輪車などのような、いわうる運搬ないしは
交通手段としての各種の車体用として、あるいはトラク
ターまたはブルトーザーなどのような、いわゆる農業
用、鉱工業用ないしは工事用手段としての各種の車体用
として、広範囲に利用し適用することが出来るが、本発
明は、決して、これらの例示例のみに限定されるという
ようなものではない。
【0083】こうした諸々の、運搬ないしは交通手段と
しての、あるいは農業用、鉱工業用ないしは工事用手段
としての機材などを製作するに当たって用いられる、い
わゆる被塗物基材として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、各種の無処理鋼板類;防錆鋼板類;ト
タン板もしくはブリキ板の如き、各種の処理鋼板類;ス
テンレス鋼板の如き、各種の合金類;アルミニウム板ま
たは銅板のような、種々の金属素材類ないしは金属製品
類などである。
【0084】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明することにするが、本発
明は、決して、これらの例示例のみに限定されるという
ものではない。以下において、部および%は、特に断り
の無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0085】参考例1〜6〔本発明の複層塗膜形成方法
に使用するエポキシ基含有ビニル共重合体[A]ならび
に比較対照用の複層塗膜形成方法に使用する比較対照用
のエポキシ基含有ビニル共重合体[A’]の調製例〕
【0086】攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素
ガス導入口を備えた反応容器に、キシレンの1,000
部を仕込んで、窒素雰囲気下に、130℃にまで昇温し
た。
【0087】そこへ、第1表に示すような、単量体類と
開始剤とからなる混合物を、4時間に亘って滴下し、滴
下終了後も、同温度に、10時間のあいだ保持して、重
合反応を行なった。
【0088】斯かる重合反応の終了後、かくして得られ
た共重合体溶液から、溶剤を除去せしめることによっ
て、目的とするエポキシ基含有ビニル共重合体[A−
1]〜[A−5]ならびに比較対照用のエポキシ基含有
ビニル共重合体[A’−1]を得た。得られた、それぞ
れのエポキシ基含有ビニル共重合体についての性状値
を、まとめて、第1表に示す。
【0089】
【表1】
【0090】《第1表の脚註》各原料の使用量は、いず
れも、重量部を意味するものとする。
【0091】「MGMA」……………β−メチルグリシ
ジルメタクリレートの略記 「MGA」………………β−メチルグリシジルアクリレ
ートの略記
【0092】「St」…………………スチレンの略記
【0093】「MMA」………………メチルメタクリレ
ートの略記 「nBMA」……………n−ブチルメタクリレートの略
記 「CHMA」……………シクロヘキシルメタクリレート
の略記 「nBA」………………n−ブチルアクリレートの略記
【0094】「GMA」………………グリシジルメタク
リレートの略記
【0095】「ECHMA」…………3,4−エポキシ
シクロヘキシルメタクリレートの略記
【0096】「AIBN」……………アゾビスイソブチ
ロニトリルの略記 「TBPO」……………tert−ブチルパーオキシオ
クトエートの略記
【0097】「エポキシ当量」………エポキシ基1当量
当たりの共重合体重量を表わす値であって、単位は「g
共重合体/当量」である。
【0098】「軟化点」………………環球法により測定
した、樹脂の軟化点であって、単位は「℃」である。
【0099】
【表2】
【0100】参考例7〔本発明の複層塗膜形成方法に使
用する酸基含有ポリエステル樹脂[B]の調製例〕
【0101】攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導
入口を備えた反応容器に、エチレングリコールの92
部、ネオペンチルグリコールの154部、シクロヘキサ
ンジメタノールの92部およびトリメチロールプロパン
の57部を仕込んで、窒素雰囲気下に、攪拌を続けなが
ら、150℃にまで昇温し、テレフタル酸の568部お
よびイソフタル酸の189部と、ジブチル錫オキサイド
の0.5部とを加えて、240℃にまで昇温した。
【0102】同温度で、脱水縮合反応を続行せしめるこ
とによって、酸価が35(mgKOH/g固形分)で、
しかも、環球法による軟化点が111℃なる、目的とす
る酸基含有ポリエステル樹脂[B]を得た。以下、これ
を酸基含有ポリエステル樹脂[B−1]と略記する。
【0103】参考例8〔本発明の複層塗膜形成方法に使
用する酸基含有ポリエステル樹脂[B]の調製例〕
【0104】攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導
入口を備えた反応容器に、エチレングリコールの105
部、ネオペンチルグリコールの220部およびトリメチ
ロールプロパンの38部を仕込んで、窒素雰囲気下に、
攪拌を続けながら、150℃にまで昇温し、テレフタル
酸の790部と、ジブチル錫オキサイドの0.5部とを
加えて、240℃にまで昇温した。
【0105】同温度で、脱水縮合反応を続行せしめるこ
とによって、酸価が60(mgKOH/g固形分)で、
しかも、環球法による軟化点が102℃なる、目的とす
る酸基含有ポリエステル樹脂[B]を得た。以下、これ
を酸基含有ポリエステル樹脂[B−2]と略記する。
【0106】参考例9〔比較対照用の複層塗膜形成方法
に使用する比較対照用の水酸基含有ポリエステル樹脂
[C]の調製例〕
【0107】攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導
入口を備えた反応容器に、エチレングリコールの137
部、ネオペンチルグリコールの230部およびトリメチ
ロールプロパンの43部を仕込んで、窒素雰囲気下に、
攪拌を続行せしめながら、150℃にまで昇温し、テレ
フタル酸の753部と、ジブチル錫オキサイドの0.5
部とを加えて、240℃にまで昇温した。
【0108】同温度で、脱水縮合反応を続行せしめるこ
とによって、水酸基価が40(mgKOH/g固形分)
で、しかも、環球法による軟化点が115℃なる、目的
とする水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。以下、これ
を水酸基含有ポリエステル樹脂[C]と略記する。
【0109】参考例10〜17〔本発明用ならびに比較
対照用の両複層塗膜形成方法に使用する粉体塗料[I]
の調製例〕
【0110】第2表に示すように、それぞれ、参考例1
〜5で得られた各エポキシ基含有ビニル共重合体[A−
1]〜[A−5]、あるいは参考例6で得られた比較対
照用のエポキシ基含有ビニル共重合体[A’]と、参考
例7または8で得られた各酸基含有ポリエステル樹脂
[B−1]または[B−2]、あるいは参考例9で得ら
れた比較対照用の水酸基含有ポリエステル樹脂[C]
と、熱硬化性粉体塗料に用いられる、各種の硬化剤と、
添加剤と、顔料とを配合せしめ、次いで、かくして得ら
れる、それぞれの配合物を、「コニーダーPR−46
型」(スイス国ブス社製の、一軸混練機の商品名)を使
用して、溶融混練せしめ、しかるのち、冷却してから、
微粉砕せしめた。引き続いて、150メッシュのスクリ
ーンで以て分級せしめるおいうことによって、粉体塗料
[I−1]〜[I−8]を調製した。
【0111】
【表3】
【0112】《第2表の脚註》各原料の使用量は、いず
れも、重量部を意味するものとする。
【0113】「アクロナール4F」………ドイツ国BA
SF社製の、流動調節剤の商品名
【0114】「CR−90」………………「タイペーク
CR−90」の略記であって、石原産業(株)製の、
ルチル型酸化チタンの商品名
【0115】「MA−100」 三菱化学
(株)製の、カーボンブラックの商品名
【0116】
【表4】
【0117】《第2表の脚註》 「4050」……………「エピクロン4050」の略記
であって、大日本インキ化学工業(株)製の、ビスフェ
ノールAのポリグリシジルエーテルタイプのエポキシ樹
脂の商品名
【0118】「B−1530」………「IPDI−ad
duct B−1530」の略記であって、ドイツ国ヒ
ュルス社製のブロック・ポリイソシアネート化合物の商
品名
【0119】参考例18〔本発明の複層塗膜形成方法に
使用するベースコート塗料[II]用の水性樹脂[D]
の調製例〕
【0120】攪拌機、温度計、コンデンサーおよび窒素
ガス導入口を備えた反応容器に、脱イオン水の680
部、過硫酸アンモニウムの2部および「Triton
X−200」(アメリカ国ローム・アンド・ハース社製
の、アニオン性界面活性剤の商品名)の15部を入れ
て、95℃に加熱した。
【0121】下記するような各アクリルモノマー成分の
水性乳化液を、この95℃の反応系に、4時間かけて滴
下し、その滴下終了後も、さらに、3時間のあいだ、同
温度に保持した。その後は、反応液を冷却してから、ジ
メチルエタノールアミンの5部と、脱イオン水の40部
とを添加した。
【0122】かくして、安定なる、固形分が45%の水
性アクリル樹脂の、乳白色の分散液を得た。以下、これ
を水性樹脂[D]と略記する。
【0123】アクリル単量体成分
【0124】 メチルメタクリレート 450 部 エチルアクリレート 350 部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 150 部 アクリル酸 20 部 エチレングリコールジメタクリレート 30 部
【0125】 n−オクチルメルカプタン 5 部 過硫酸アンモニウム 4 部 「Triton X−200」 15 部 「エマルゲン840s」*1 10 部 脱イオン水 530 部
【0126】*1) 花王アトラス(株)製の、ノニオ
ン性界面活性剤の商品名
【0127】参考例19(増粘剤の調製例) 「アクリゾール ASE−60」(米国ローム・アンド
・ハース社製の、増粘剤の商品名;固形分=28%)の
64部に、ジメチルエタノールアミンの6部および脱イ
オン水の530部を添加するということによって、固形
分が3%なる、目的物を得た。以下、この増粘剤を[A
D]と略記する。
【0128】参考例20〔本発明の複層塗膜形成方法に
使用するベースコート塗料[II]の調製例〕
【0129】参考例18で得られた水性樹脂[D]の1
00部に、参考例3で得られた増粘剤[AD]の10部
と、「サイメル300」[(有)三井サイアナミド製
の、ヘキサメトキシメチル化メラミンの商品名]の5部
と、パラトルエンスルフォン酸(p−トルエンスルフォ
ン酸)の1.0部と、「アルミ・ペースト分散液#49
19」[東洋アルミニウム(株)製の、アルミ・ペース
トの商品名]の3部と、「アルミ・ペースト分散液#5
5ー519」(同上社製品)の1.5部と、イソプロパ
ノールの12部とを混合してから、脱イオン水で以て、
20℃におけるフォード・カップ No.4による粘度
が16秒となるように調整した。以下、これをベースコ
ート塗料[II]と略記する。
【0130】参考例21〔本発明の複層塗膜形成方法に
使用する透明トップコート塗料[III]の調製例〕
【0131】参考例18と同様の反応容器に、500部
のキシレンを仕込み、120℃にまで昇温した。次い
で、スチレンの150部、メチルメタクリレートの15
0部、n−ブチルアクリレートの75部および2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートの125部と、アゾビスイ
ソブチロニトリルの3部およびtert−ブチルパーオ
クトエート(以下、TBPOと略記する。)の3部とか
らなる混合物を、4時間に亘って滴下し、滴下終了後
も、同温度に、10時間のあいだ保持するということに
よって、不揮発分が50.5%で、かつ、水酸基価が、
溶液基準で以て、53(mgKOH/g固形分)なる、
トップコート塗料[III]に使用する樹脂溶液を得
た。以下、この樹脂溶液をトップコート塗料用樹脂[T
−1]と略記する。
【0132】次いで、この樹脂溶液[T−1]の100
部に、「スーパーベッカミン L−117−60[大日
本インキ化学工業(株)製の、ブチルエーテル化メラミ
ン・ホルムアルデヒド樹脂の商品名]の35.7部を加
え、「ソルベッソ100」(エクソン社製の、芳香族炭
化水素系有機溶剤の商品名)を用いて、同上の粘度が2
4秒となるように調整した。以下、これを透明トップコ
ート塗料[III−1]と略記する。
【0133】参考例22(同上) 参考例21と同様の反応容器に、キシレンの400部を
仕込み、135℃にまで昇温した。次いで、スチレンの
90部、メチルメタクリレートの240部、2−エチル
ヘキシルアクリレートの30部およびグリシジルメタク
リレートの240部と、TBPOの24部とからなる混
合物を、同温度で、6時間を要して滴下した。
【0134】滴下終了後も、同温度で、さらに、8時間
のあいだ反応を続けた。こうした重合反応の終了後は、
溶剤を除去せしめることによって、環球法による軟化点
が117℃で、エポキシ当量が380で、かつ、数平均
分子量が4,700なる、共重合体の固形物が得られ
た。以下、これをトップコート塗料用樹脂[T−2]と
略記する。
【0135】次いで、このトップコート塗料用樹脂[T
−2]の76部に対し、24部のドデカン二酸(以下、
DDAと略記する。)を加え、さらに、「モダフロー」
(アメリカ国モンサント社製の流動調整剤の商品名)の
1.0部を加えたのち、参考例10〜17と同様にし
て、透明トップコート塗料[III]として使用できる
粉体トップコート・クリアー塗料を得た。以下、これを
透明トップコート塗料[III−2]と略記する。
【0136】参考例23〔本発明の複層塗膜形成方法に
使用するトップコート塗料[IV]の調製例〕
【0137】参考例21で調製したトップコート塗料用
樹脂[T−1]の100部に対し、酸化チタンの27部
を加え、サンドミルを使用して、顔料と樹脂とを分散化
せしめた。次いで、この分散液に、「スーパーベッカミ
ン L−117−60」の35.7部を加え、同上の粘
度が24秒となるよう、「ソルベッソ100」で以て希
釈せしめることによって、顔料を含む形のトップコート
塗料を得た。以下、これをトップコート塗料[IV]と
略記する。
【0138】実施例1〜8ならびに比較例1〜6 次に示すような複層塗膜形成方法に従って、第3表に示
すような各種の塗膜を作製し、引き続いて、それぞれの
塗膜についての性能の評価判定の試験を行なった。それ
らの結果は、まとめて、同表に示す。
【0139】〔複層塗膜形成方法の要領の説明〕
【0140】参考例10〜17で調製した粉体塗料[I
−1]〜[I−8]と、参考例20で調製したベースコ
ート塗料[II]と、参考例21〜23で調製したトッ
プコート塗料[III−1]、[III−2]および
[IV]とを使用することによって、本発明ならびに比
較対照用の、各種の複層塗膜を、次のような方法で作製
作成した。
【0141】すなわち、まず、被塗物[1]として使用
する基材は、次のような前処理を施したものを用いた。
【0142】つまり、「ボンデライト#3030」[日
本パーカライジング(株)製の、燐酸亜鉛系処理剤で以
て処理された軟鋼板]上に、エポキシ樹脂系カチオン電
着塗料を電着塗装せしめた形のものを用いた。
【0143】次に、粉体塗料[I−1]などを、被塗物
[1]上に、焼き付け後の膜厚が約50マイクロ・メー
ター(μm)となるようにして、静電粉体塗装せしめた
のちに、180℃/20分なる条件下に焼き付けを行な
った。いかるのち、かくして静電粉体塗装された、それ
ぞれの被塗物を、室温にまで冷却してから、ベースコー
ト塗料[II]を、温度が25℃で、かつ、相対湿度が
65〜70%なる塗装雰囲気下で、乾燥膜厚が20μm
となるように、それぞれ、2回に分けて塗装せしめた。
【0144】こうした2回の塗装の間に、2分間のセッ
ティングを行なった。1回目の塗装時のスプレーガンの
エアー圧は5(Kg/cm2 )とし、塗料の流速は40
0(m/分)とし、2回目の塗装時には、塗料の流速は
(200m/分)とし、被塗物と、スプレーガンとの距
離は40cmと為した。なお、被塗物上における塗布面
が、常に、吐出方向に対して垂直となるように、この被
塗物は保持されているというようにした。
【0145】かかる2回の塗装ののち、被塗物を、30
℃の温度で、5分間のあいだ風乾せしめ、さらに、室温
にまで冷却せしめてから、透明トップコート塗料[II
I−1]などを塗装せしめた。この場合に、トップコー
ト塗料が[III−1]および[IV]の場合には、通
常のスプレー塗装法によって塗装し、焼き付け温度は1
40℃/20分と為した。また、トップコート塗料が
[III−2]の場合には、静電粉体塗装によって、乾
燥膜厚が60μmとなるように塗布し、150℃/20
分間の焼き付けを行なうというようにした。
【0146】かくして得られた、それぞれの硬化塗膜に
ついて、諸性能の評価判定を行なった。それらの結果
は、まとめて、第3表に示す。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
【表7】
【0150】
【表8】
【0151】なお、評価判定の要領は、次の通りにし
た。
【0152】平滑性
【0153】目視により評価判定をした。判断基準は、
以下の通りである。
【0154】 ◎………非常にスムーズなる平滑な塗面の場合 ○………大きなラウンドが認められる場合 ×………細かいチリ肌が認められる場合
【0155】60度光沢
【0156】60度鏡面反射率(%)による数値に基づ
く評価判定。
【0157】メタリック感
【0158】[ALCOPE LMRー100」[関西
ペイント(株)製の、メタリック感測定装置野商品名]
で以て測定して得られたIV値に応じて、数値に基づく
評価判定を行なった。その際の目視による評価判定との
対応は、以下の通りである。
【0159】優………250を超えるという場合であ
り、たとえば、アルミ・フレークの配列が良好であっ
て、しかも、非常に美麗なる外観を示し、また、見る角
度によって、メタリック塗膜独特の奥行き感を、充分に
発現し得ているというような状態 良………200以上250未満の場合であって、アルミ
・フレークの配列は、概ね、良好でこそあるものの、塗
膜の明度が、若干ながら劣るというような状態 不良………200未満の場合であって、アルミ・フレー
クの並びが乱れているし、しかも、塗膜に黒さが生じて
いるというような状態
【0160】デュポン衝撃
【0161】デュポン衝撃試験機による評価判定(1/
2インチ)。500gの荷重を落下させたときに、塗膜
に割れなどの欠陥を生じない高さ(cm)で表示した。
この値が大きいほど、耐衝撃性が良好であることを意味
する。
【0162】エリクセン
【0163】エリクセン試験機による評価判定。この値
が大きいほど、塗膜の可撓性が良好であることを意味す
る。
【0164】耐チッピング性
【0165】−20℃に冷却した試験板に、90度の角
度で以て、5atm.なる気圧を用いて、200gの7
号砕石を当てたときの、塗膜の剥離状態を、目視によっ
て評価判定した。評価基準は、次の通りである。
【0166】 ○………ほとんど、剥離が認められない場合 △………ある程度、塗膜層の剥離が認められる場合 ×………粉体塗膜層の大きな剥離が認められ、しかも、
最下層の電着塗膜も損傷して、金属面の露出が認められ
る場合
【0167】相間密着性
【0168】塗板を、40℃の温水中に、10日間のあ
いだ浸漬せしめ、引き上げてから30分後に、クロス・
カットを入れ、粘着テープによる剥離試験を行なうとい
う方法に依った。評価基準は、次の通りである。
【0169】 ○………いずれの塗膜層の間、あるいは被塗物と塗膜層
との間にも、全く、剥離が認められないというような場
合 △………いずれかの塗膜層の間、あるいは被塗物と塗膜
層との間に、部分的に、剥離が認められる場合 ×………全面的に層間剥離が認められるというような場
【0170】耐水性
【0171】試験板を、40℃の温水中に、10日間の
あいだ浸漬後の光沢の保持率(%)を以て評価判定し
た。評価基準は、次の通りである。
【0172】 ◎………光沢保持率が80%を超える場合 ○………光沢保持率が60%〜80%未満の場合 ×………光沢保持率が60%未満の場合
【0173】耐候性
【0174】「サンシャイン・ウェザオメーター」[ス
ガ試験機(株)製品]による700時間後の光沢保持率
(%)で以て表示した。この値が高いほど、耐候性が良
好であることを意味する。
【0175】
【発明の効果】以上に詳述して来たように、本発明に係
る複層塗膜形成方法によって得られる塗膜は、特に、ト
ップコートの塗膜の、とりわけ、外観、層間密着性なら
びに耐チッピング性などの諸物性に優れた硬化塗膜を与
えるというものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に、次の構造式(1) 【化1】 で示されるβ−メチルグリシジル基を有し、エポキシ当
    量が約200〜約1,000(g共重合体/当量)なる
    エポキシ基含有ビニル共重合体[A]と、酸基含有ポリ
    エステル樹脂[B]とを必須の構成成分としてなる樹脂
    組成物から得られる粉体塗料[I]を、被塗物に塗装
    し、加熱硬化せしめたのち、ベースコート塗料[II]
    を塗装し、さらに、透明トップコート塗料[III]を
    塗装し、焼き付け乾燥せしめることを特徴とする、複層
    塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 分子中に、次の構造式(1) 【化2】 で示されるβ−メチルグリシジル基を有し、エポキシ当
    量が約200〜約1,000(g共重合体/当量)なる
    エポキシ基含有ビニル共重合体[A]と、酸基含有ポリ
    エステル樹脂[B]とを必須の構成成分としてなる樹脂
    組成物から得られる粉体塗料[I]を、被塗物に塗装
    し、加熱硬化せしめたのち、トップコート塗料[IV]
    を塗装し、焼き付け乾燥せしめることを特徴とする、複
    層塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記したエポキシ基含有ビニル共重合体
    [A]が、約80〜約150℃なる、環球法による軟化
    点を有し、しかも、約500〜約10,000なる数平
    均分子量を有するものである、請求項1または2に記載
    の複層塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記した酸基含有ポリエステル樹脂
    [B]が、約10〜約200(mgKOH/g固形分)
    なる酸価を有し、しかも、約80〜約150℃なる、環
    球法による軟化点を有するものである、請求項1〜3の
    いずれかに記載の複層塗膜形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002138246A (ja) * 2000-11-01 2002-05-14 Kansai Paint Co Ltd アルミホイール用粉体プライマー
JP2002146277A (ja) * 2000-11-10 2002-05-22 Kansai Paint Co Ltd アルミホイール用粉体プライマー
JP2002173636A (ja) * 2000-12-06 2002-06-21 Kansai Paint Co Ltd 耐チッピング性熱硬化型粉体塗料及びその塗膜形成方法

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