JP2002249664A - 芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物、該組成物を用いたフィルム、及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物、該組成物を用いたフィルム、及びその製造方法

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JP2002249664A
JP2002249664A JP2001048117A JP2001048117A JP2002249664A JP 2002249664 A JP2002249664 A JP 2002249664A JP 2001048117 A JP2001048117 A JP 2001048117A JP 2001048117 A JP2001048117 A JP 2001048117A JP 2002249664 A JP2002249664 A JP 2002249664A
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aromatic polysulfone
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JP2001048117A
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Yoshiki Matsuoka
祥樹 松岡
Manabu Hirakawa
学 平川
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ゲル化や沈殿物の発生のない、優れた溶液安定
性を有する芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物を提供す
る。 【解決手段】芳香族ポリサルホン樹脂(A)、環状ケト
ン類(B)、炭化水素類、エーテル類、アセタール類か
ら選ばれる少なくとも1つの溶媒(C)またはアルコー
ル類(D)を含有してなる芳香族ポリサルホン樹脂溶液
組成物であって、組成物中の(A)の濃度が10重量%
〜70重量%であり、(C)を用いる場合は、(B)と
(C)との重量比(B)/(C)が1.5<(B)/
(C)<9であり、(D)を用いる場合は、(B)と
(D)との重量比(B)/(D)が4<(B)/(D)
<19であることを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂
溶液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリサルホン
樹脂溶液組成物、該組成物を用いて得られるフィルム、
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリサルホン樹脂フィルムは、機
械的強度、電気的性質、透明性、耐熱性、耐薬品性、難
燃性などの諸性質に優れ、例えば、液晶表示装置の高分
子電極基板や位相差フィルムなどに利用されている。こ
のようなポリサルホン樹脂フィルムを製造するために
は、ゲル化や沈殿物が生じることのない優れた安定性を
有する芳香族ポリサルホン樹脂溶液が必要であるが、優
れた安定性を有する芳香族ポリサルホン樹脂溶液を調製
することは容易ではなかった。例えば、芳香族ポリサル
ホン樹脂の溶液としては、特開昭53−33255号公
報には、塩化メチレンとメタノールと水との混合溶液が
開示されており、特開平8−183045号公報には、
アニソール溶液、ジオキサン溶液、テトラヒドロピラン
溶液が開示されている。また、特開平8−325388
号公報には、芳香族ポリサルホン樹脂の溶液として、
1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランまたはシクロ
ヘキサノンを含有する1,3−ジオキソラン溶液が開示
されている。さらに、特開平8−253680号公報に
は、芳香族ポリサルホン樹脂の溶液として、1,3−ジ
オキソランを主体とする溶媒に、水および/または低級
脂肪族アルコールを含有してなる溶媒系が開示されてお
り、該溶媒系にはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒
を添加してもよいことも開示されている。しかしなが
ら、上記した芳香族ポリサルホン樹脂の溶液では、ゲル
化が起こったり、沈殿物が生じて白濁したりするなどの
問題があった。よって、前記したような問題がない優れ
た安定性を有する芳香族ポリサルホン樹脂溶液の開発が
望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ゲル
化や沈殿物の発生のない、優れた溶液安定性を有する芳
香族ポリサルホン樹脂溶液組成物を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような問題がない芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物を
見出すべく溶媒について鋭意検討を重ねた結果、環状ケ
トン類に芳香族ポリサルホン樹脂の貧溶媒または非溶媒
から選ばれる特定の溶媒を特定量配合した溶媒を用いる
ことにより、上記課題が解決できることを見出し、本発
明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の
[1]〜[4]に係るものである。 [1]芳香族ポリサルホン樹脂(A)、環状ケトン類
(B)、炭化水素類、エーテル類、アセタール類から選
ばれる少なくとも1つの溶媒(C)を含有してなる芳香
族ポリサルホン樹脂溶液組成物であって、組成物中の
(A)の濃度が10重量%〜70重量%であり、(B)
と(C)との重量比(B)/(C)が、1.5<(B)
/(C)<9であることを特徴とする芳香族ポリサルホ
ン樹脂溶液組成物。 [2]芳香族ポリサルホン樹脂(A)、環状ケトン類
(B)、アルコール類(D)を含有してなる芳香族ポリ
サルホン樹脂溶液組成物であって、組成物中の(A)の
濃度が10重量%〜70重量%であり、(B)と(D)
との重量比(B)/(D)が、4<(B)/(D)<1
9であることを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂溶液
組成物。 [3]上記[1]または[2]記載の溶液組成物を用い
て得られる芳香族ポリサルホン樹脂フィルム。 [4]上記[3]記載の芳香族ポリサルホン樹脂フィル
ムの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂は、下記一
般式(I)で示される繰り返し構造単位を含有する樹脂
である。また、該芳香族ポリサルホン樹脂は、下記一般
式(II)で示される構造または下記一般式(III)で示
される構造のうち少なくとも1種を含むものであっても
よく、上記式(II)および式(III)で示される繰返し
構造単位を含むランダム共重合体や交互共重合体であっ
てもよい。
【0006】 ……(I) [式(I)中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数2〜10のアルケニル基、フェニル基またはハロゲン
原子を表し、pは0〜4の整数である。同一または異な
る核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各pは互
いに異なっていてもよい。]
【0007】 ……(II) [式中、R1は前記と同じものを表し、pは0〜4の整
数である。 m、nは平均繰り返し構造単位数を示し、
m、nは0.1から100までの正数である。同一また
は異なる核上の各R1は互いに異なっていてもよい。各
pは互いに異なっていてもよい。 Xは炭素数1〜20
の有機基、カルボニル基、2価の硫黄原子または2価の
酸素原子を表す。]
【0008】 ……(III) [式中、R1は前記と同じものを表し、pは0〜4の整
数である。 qは1〜5の整数である。m、nは平均繰り
返し構造単位数を示し、m、nは0.1から100まで
の正数である。同一または異なる核上の各R1は互いに
異なっていてもよい。各pは互いに異なっていてもよ
い。各qは相互に異なっていてよい。]
【0009】ここで、炭素数1〜6のアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基、シク
ロヘキシル基などがあげられる。また、炭素数2〜10
のアルケニル基としては、例えば、エチニル基、iso
−プロペニル基などが例示できる。ハロゲン原子として
は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素
原子があげられる。炭素数1〜20の有機基としては、
例えば、イソプロピリデン基、エチリデン基、メチレン
基などの飽和脂肪族アルキレン基、エチニレン基などの
不飽和脂肪族アルキレン基、キシリレン基、フェニルメ
チレン基などの芳香族アルキレン基などがあげられる。
【0010】本発明で用いられる芳香族ポリサルホン樹
脂が、(II)または(III)で表される構造を含む場合
は、(m/m+n)は、0.5以上であることが好まし
く、0.8以上であることがより好ましい。また、(II
I)の構造中のqは1または2であることが好ましく、
2であることがより好ましい。
【0011】本発明においては、(I)で示される繰り
返し構造単位からなる構造を含む樹脂、(II)で示され
る構造を含む樹脂が好ましく使用され、さらに好ましく
は(I)で示される繰り返し構造単位からなる構造を含
む樹脂が使用される。中でも、全てのpが0であるも
の、即ち、下式で示される繰り返し構造単位からなる構
造を含む樹脂がより好ましく、一分子鎖あたり下式で示
される繰り返し構造単位を80モル%以上含有する樹脂
が特に好ましい。
【0012】本発明において用いられる芳香族ポリサル
ホン樹脂の還元粘度は、0.1〜1.0dl/gである
ことが好ましく、より好ましくは0.30〜0.90d
l/gであり、さらに好ましくは0.50〜0.80d
l/gである。0.1dl/g未満の該樹脂を用いる
と、流延に適した安定な芳香族ポリサルホン樹脂溶液組
成物を得るのが難しい場合があり、1.0dl/gを越
えると均一な溶液を調製することが困難である上に、ろ
過や脱泡が困難となり、フィルムの外観に問題が生じる
場合がある。ここに、還元粘度は100cm3のN,N
−ジメチルホルムアミド中に芳香族ポリサルホンを1g
溶解させた後、この溶液の粘度を、オストワルド粘度管
を使用して、25℃で測定したものである。
【0013】本発明で用いる芳香族ポリサルホン樹脂の
製造する方法としては、公知の方法を採用することがで
きる。また、市販の芳香族ポリサルホン樹脂をそのまま
使用してもよい。市販の芳香族ポリサルホン樹脂として
は、例えば、住友化学工業株式会社の商品名スミカエク
セルPES7600Pなどの上記構造単位(I)からな
るもの、AMOCO社の商品名UDELP−1700な
どの上記構造単位(I)および(II)からなるものが
挙げられる。また、その末端構造は、各々の樹脂の製法
に従って決まるものであり、特に限定されないが、例え
ば、−Cl、−OH、−OR(Rはアルキル基)などが
挙げられる。
【0014】次に本発明で使用する芳香族ポリサルホン
樹脂の溶液について説明する。本発明の溶液の主溶媒と
して用いられる環状ケトン類(B)としては、シクロペ
ンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ン、イソホロン、ショウノウなどがあげられるが、沸点
の観点からシクロペンタノンが好ましい。また、芳香族
ポリサルホン樹脂の貧溶媒・非溶媒から選ばれる溶媒と
しては、炭化水素類、エーテル・アセタール類、アルコ
ール類があげられる。
【0015】炭化水素類としては、ヘキサン、2−メチ
ルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジブチ
ルブタン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン、クメン、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロ
ヘキセンなどがあげられるが、トルエンが好ましく使用
される。
【0016】エーテル・アセタール類としては、石油エ
ーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテ
ル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベ
ンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジ
ルエーテル、ベラトール、プロピレンオキシド、1,2
−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラ
ン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒ
ドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、1,2−、ジブトキシエタ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジブチルエーテル、グリセリンエーテル、メチラール、
アセタールなどがあげられるが、メチラールが好ましく
使用される。
【0017】アルコール類としては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、
1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノー
ル、2−メチルー1−ブタノール、イソペンチルアルコ
ール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブ
タノール、ネオペンチルアルコールなどがあげられる
が、メタノール、エタノール、プロパノールが好ましく
使用される。
【0018】尚、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスル
ホキシドなどのスルホキシド類;クレゾールなどのフェ
ノール類;γ−ブチロラクトンなどのエステル類;など
の芳香族ポリサルホン樹脂の良溶媒をさらに添加しても
よい。
【0019】環状ケトン類(B)と芳香族ポリサルホン
樹脂の貧溶媒もしくは非溶媒である炭化水素類、エーテ
ル類、アセタール類、アルコール類との重量比は、使用
するポリサルホン樹脂(A)の種類、組み合わせる溶媒
の種類、溶液濃度などよって異なる。
【0020】炭化水素類、エーテル類、アセタール類
(C)を用いる場合には、環状ケトン類(B)との重量
比は、1.5<(B)/(C)<9であることが必要で
あり、好ましくは2<(B)/(C)<8、より好まし
くは2<(B)/(C)<6である。また、アルコール
類(D)を用いる場合には、4<(B)/(D)<1
9、好ましくは6<(B)/(D)<17、より好まし
くは8<(B)/(D)<12である。
【0021】本発明の溶液中の芳香族ポリスルホン樹脂
の濃度は10重量%〜70重量%であることが必要であ
り、特に20重量%〜50重量%であることが好まし
い。10重量%未満の濃度では、実効濃度が低く、特に
厚膜において、乾燥の初期段階でフィルムに対流が原因
となるオレンジピールが発生し、表面平滑性が低下す
る。また、70重量%以上の濃度では溶液が高粘度であ
ることに由来して、濾過性や脱泡性に劣るなどの問題が
生じる。
【0022】尚、溶液の製造方法には特に制限はなく、
樹脂に溶媒を添加しても、溶媒に樹脂を添加してもかま
わない。溶解速度を上げるためには樹脂の形態として粉
末を用いることが好ましいが、特に限定されるものでは
ない。
【0023】また、本発明の溶液には必要に応じて、レ
ベリング剤、可塑剤などの各種添加剤を配合することも
できる。レベリング剤としては、アクリル系、シリコー
ン系、フッ素系のものが使用できる。可塑剤としては、
芳香族ポリサルホン樹脂との相溶性が良く、相分離やブ
リードアウトを生じないもので、かつ着色の生じないも
のが好ましい。例えば、フタル酸系、リン酸系、アジピ
ン酸系、クエン酸系、グリコール酸系などの可塑剤が挙
げられ、フタル酸ブチルベンジル、リン酸トリクレジ
ル、メチルフタリルエチルグリコレートなどが好ましく
用いられる。
【0024】次に本発明の芳香族ポリサルホン樹脂フィ
ルム及びその製造方法について説明する。該フィルム
は、上記の芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物を用いて
得ることができる。即ち、本発明の芳香族ポリサルホン
樹脂溶液組成物を支持体上に流延して溶媒を含む流延フ
ィルムを形成させ(以下流延工程ということがある)、
次いで該流延フィルムから溶媒を蒸発せしめる(以下、
乾燥工程ということがある)ことにより容易に製造する
ことができる。
【0025】流延工程は、溶媒を含む流延フィルムを支
持体上に形成させる工程である。この工程では本発明の
芳香族ポリサルホン樹脂組成物溶液をコンマコーター、
リップコーター、ドクターブレードコーター、バーコー
ター、ロールコーター等を用いて、エンドレスバンドま
たはドラムなどの支持体上に流延するのが一般的であ
る。尚、支持体には鏡面処理を施したステンレスなどの
金属、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィル
ム、ガラスなどを用いることが好ましいが、これらに限
定されるものではない。
【0026】乾燥工程は、該流延フィルムより溶媒を蒸
発せしめて、芳香族ポリサルホン樹脂フィルムを形成さ
せる工程である。溶媒の蒸発は、蒸発の効率を向上させ
るため、加熱により行うことが好ましい。加熱は一定温
度で行ってもよいが、数段以上にわたって変化させるこ
とが経済性やフィルムの表面の平滑性の観点から好まし
い。
【0027】乾燥が終了した芳香族ポリサルホン樹脂フ
ィルム中の残存溶媒量は、好ましくは5重量%以下、よ
り好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重
量%以下である。残存溶媒量が多いと、芳香族ポリサル
ホン樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)が著しく低
下するばかりか、後加工で熱が加わった場合に寸法変化
やカールを引き起こしたり、吸湿を引き起こすことがあ
る。さらに、残留溶媒が実用段階でのフィルムの周辺部
品に悪影響を与えることもある。
【0028】また、原料の芳香族ポリサルホン樹脂のT
gと実質的に同等のTgを有する芳香族ポリサルホン樹
脂フィルムを効率よく製造するためには、乾燥工程の後
に、芳香族ポリサルホン樹脂のTg以上の温度で加熱す
ることが好ましい。
【0029】形成された芳香族ポリサルホン樹脂フィル
ムは、通常、支持体から剥離して使用される。剥離の方
法には特に制限はないが、膜状物を支持体から連続的に
剥離しすることにより長尺の芳香族ポリサルホン樹脂フ
ィルムを得ることができる。また、シート状の支持体を
用いてバッチ法で短尺の芳香族ポリサルホン樹脂フィル
ムを得ることもできる。
【0030】このようにして製造された芳香族ポリサル
ホン樹脂フィルムは、例えば、電気絶縁分野では、H種
クラスの電気機器、モータや発電機のスロットライナ、
相間絶縁などの絶縁材料、接着剤や粘着剤を塗工しテー
プ状に加工した変圧器や電線向けのラッピング材、コン
デンサーなどの誘電体用フィルム、チューブ状絶縁材料
などに利用できる。エレクトロニクス関連分野では、フ
レキシブルプリント回路基板やその補強板、耐熱スペー
サー、PCBラミネートなどに利用できる。音響関連分
野では、スピーカーの振動板や振動補強板に利用でき
る。情報関連分野では、寸法安定性が要求される記録用
テープ、ディスク、液晶ディスプレイのガラス基板代替
フィルム、延伸加工を施すことで位相差フィルム、光フ
ァイバーの接続部に利用できる。食品・医療分野では、
医療用殺菌機器、電子レンジ・オーブンレンジ用の加熱
パックなどに利用できる。
【0031】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明するが、本発
明が実施例により限定されるものではないことは言うま
でもない。なお、実施例で用いた芳香族ポリサルホン樹
脂、スミカエクセルPES7600Pは、実質的に以下
の繰り返し構造単位からなる。
【0032】〔粘度測定〕(株)トキメック製TV−2
0型粘度計を用いて、溶液粘度を室温で測定した。尚、
測定は6(rpm)で行った。
【0033】実施例1 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメチラールが20重量%配合されたシクロペ
ンタノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポ
リスルホン樹脂の溶液を作製した。この溶液は調整直後
は若干白濁していたものの、一晩室温で放置したとこ
ろ、均一透明な473cpの粘度を有する溶液となっ
た。
【0034】実施例2 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をトルエンが20重量%配合されたシクロペン
タノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポリ
スルホン樹脂の溶液を作製した。この溶液は調整直後は
若干白濁していたものの、一晩室温で放置したところ、
均一透明な447cpの粘度を有する溶液となった。
【0035】実施例3 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメタノールが10重量%配合されたシクロペ
ンタノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポ
リスルホン樹脂の溶液を作製した。この溶液は調整直後
は若干白濁していたものの、一晩室温で放置したとこ
ろ、均一透明な430cpの粘度を有する溶液となっ
た。
【0036】比較例1 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をシクロペンタノン溶液に添加し、固形分が2
0重量%の芳香族ポリスルホン樹脂の溶液の調整を試み
た。この溶液は調整直後からゲル化とともに白濁した。
一晩室温で放置しても状況は変化しなかった。
【0037】比較例2 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメチラールが10重量%配合されたシクロペ
ンタノン溶液に添加し、固形分が20重量%の芳香族ポ
リスルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この溶液は調整
直後からゲル化を起し、一晩室温で放置しても状況は変
化しなかった。
【0038】比較例3 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメチラールが40重量%配合されたシクロペ
ンタノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポ
リスルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この組成では、
PESは溶解せず、膨潤するだけであった。
【0039】比較例4 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をトルエンが10重量%配合されたシクロペン
タノン溶液に添加し、固形分が20重量%の芳香族ポリ
スルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この溶液は調整直
後から白濁し、一晩室温で放置しても状況は変化しなか
った。
【0040】比較例5 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をトルエンが40重量%配合されたシクロペン
タノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポリ
スルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この組成では、P
ESは溶解せず、膨潤するだけであった。
【0041】比較例6 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメタノールが5重量%配合されたシクロペン
タノン溶液に添加し、固形分が20重量%の芳香族ポリ
スルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この溶液は調整直
後から白濁し、一晩室温で放置しても状況は変化しなか
った。
【0042】比較例7 商品名スミカエクセルPES7600P(住友化学工業
(株)製、ポリエーテルスルホン、還元粘度0.76d
l/g)をメタノールが20重量%配合されたシクロペ
ンタノン溶液に溶解し、固形分が20重量%の芳香族ポ
リスルホン樹脂の溶液の調整を試みた。この組成では、
PESは溶解せず、膨潤するだけであった。
【0043】
【表1】 *CPN:シクロペンタノン
【0044】
【発明の効果】芳香族ポリサルホン樹脂の貧溶媒または
非溶媒から選ばれる特定の溶媒を特定量配合した環状ケ
トン類を溶媒として用いることで、ゲル化や沈殿物の発
生のない優れた溶液安定性を有する芳香族ポリサルホン
樹脂溶液を提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/07 C08K 5/07 // B29K 81:00 B29K 81:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA64 AC02 AC05 AC06 AC07 BA02 BB02 BC01 4F205 AA34 AG01 GA07 GB02 GC02 GC07 GE21 4J002 CN031 EA007 EA017 EA027 EA037 EA047 EA057 EC018 EC028 EC038 ED017 ED027 ED057 ED067 ED087 EE026 EE036 EH027 EH140 EJ027 EP017 EV207 EW040 FD020 FD036 FD038 GB01 GP00 GQ00 GQ01 GS00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリサルホン樹脂(A)、環状ケト
    ン類(B)、炭化水素類、エーテル類、アセタール類か
    ら選ばれる少なくとも1つの溶媒(C)を含有してなる
    芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物であって、組成物中
    の(A)の濃度が10重量%〜70重量%であり、
    (B)と(C)との重量比(B)/(C)が、1.5<
    (B)/(C)<9であることを特徴とする芳香族ポリ
    サルホン樹脂溶液組成物。
  2. 【請求項2】芳香族ポリサルホン樹脂(A)、環状ケト
    ン類(B)、アルコール類(D)を含有してなる芳香族
    ポリサルホン樹脂溶液組成物であって、組成物中の
    (A)の濃度が10重量%〜70重量%であり、(B)
    と(D)との重量比(B)/(D)が、4<(B)/
    (D)<19であることを特徴とする芳香族ポリサルホ
    ン樹脂溶液組成物。
  3. 【請求項3】(A)が一分子あたり下記構造で表される
    繰り返し構造単位を80モル%以上含有する芳香族ポリ
    サルホン樹脂であることを特徴とする請求項1または2
    記載の芳香族ポリサルホン樹脂溶液組成物。
  4. 【請求項4】(B)がシクロペンタノンであることを特
    徴とする請求項1〜3のいづれかに記載の溶液組成物。
  5. 【請求項5】炭化水素類がトルエンであることを特徴と
    する請求項1、3、4のいづれかに記載の溶液組成物。
  6. 【請求項6】アセタール類がメチラールであることを特
    徴とする請求項1、3、4のいづれかに記載の溶液組成
    物。
  7. 【請求項7】アルコール類がメタノール、エタノール、
    プロパノ−ルであることを特徴とする請求項2〜4のい
    づれかに記載の溶液組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7記載の溶液組成物を用いて得
    られることを特徴とする芳香族ポリサルホン樹脂フィル
    ム。
  9. 【請求項9】(1)請求項1〜7のいづれかに記載の芳
    香族ポリサルホン樹脂溶液組成物を支持体上に流延して
    溶媒を含む流延フィルムを形成し、(2)該流延フィル
    ムから溶媒を蒸発せしめることを特徴とする芳香族ポリ
    サルホン樹脂フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】溶媒を蒸発せしめ,さらに芳香族ポリサ
    ルホン樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度で加熱
    することを特徴とする請求項9記載の芳香族ポリサルホ
    ン樹脂フィルムの製造方法。
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