JP2002249442A - アレルギー減感作治療薬 - Google Patents

アレルギー減感作治療薬

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JP2002249442A
JP2002249442A JP2001044960A JP2001044960A JP2002249442A JP 2002249442 A JP2002249442 A JP 2002249442A JP 2001044960 A JP2001044960 A JP 2001044960A JP 2001044960 A JP2001044960 A JP 2001044960A JP 2002249442 A JP2002249442 A JP 2002249442A
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allergen
desensitization
therapeutic agent
group
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JP2001044960A
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Shingo Fujii
真吾 藤井
Shinichi Nagai
新一 永井
Shigeki Takagi
滋樹 高木
Masatake Yamashita
優毅 山下
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Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡便に用いることができ、かつアレルギー性疾
患を抑制するに十分な減感作効果を得ることが可能な、
減感作治療薬及びその製造方法、並びに簡便な操作によ
りアレルギー性疾患を抑制するに十分な減感作効果を得
ることが可能な、アレルギー性疾患の減感作治療に適し
た環境の創出方法を提供すること。 【解決手段】タンパク質アレルゲンを、タンパク質変性
剤と接触させて、変性させ、得られた変性アレルゲンを
有効成分として含有した減感作治療薬;タンパク質アレ
ルゲンを、タンパク質変性剤と接触させて、該アレルゲ
ンを変性させ、変性アレルゲンを得る、減感作治療薬の
製造方法;該減感作治療薬を、個体と接触した際に減感
作能を発揮するに十分な量となるように、住環境に散布
し、個体を減感作させるに適した状態を作りだすことを
特徴とする、減感作治療に適した環境の創出方法;並び
にタンパク質変性剤を、住環境に散布し、個体を減感作
させるに適した状態を作りだす、減感作治療に適した環
境の創出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、喘息、アトピー、
花粉症等のアレルギー性疾患の治療および予防技術に関
する。より詳しくは、アレルギー性疾患の減感作治療お
よび発症予防を行なうことができ、安全で、広範囲なア
レルゲンに利用でき、かつ簡便で安価に製造できる減感
作治療薬およびその製造方法ならびに減感作治療方法お
よび/または発症予防方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アレルギー患者数は、年々増加傾向にあ
り、現在、わが国では3人に1人は、気管支喘息、アト
ピー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、花粉症等の典型的なI
型アレルギー性疾患の症状をもつといわれている(厚生
省1991年保険福祉動向調査) 。
【0003】アレルギー性疾患には、抗体の1種である
IgE(免疫グロブリンE)抗体が関与している。前記
IgE抗体は、B細胞により産生されるが、その産生は
へルパーT細胞により調節されている。さらに、前記へ
ルパーT細胞には、2つの型、すなわち、主にインター
ロイキン−2、インターフェロン−γ等を産生するTh
1とインターロイキン−4、インターロイキン−5等を
産生するTh2とが存在する。IgE抗体産生は、イン
ターロイキン−4により促進的に、インターフェロン−
γにより抑制的に調節されている[Inter. Arch. Aller.
Immunol., 104: 270〜276, (1994)]。
【0004】いわゆるアレルギー性疾患を引き起こす物
質としてはハウスダスト、ダニ、スギ花粉、ブタクサ、
動物の毛、蚊、ゴキブリ、カビ等が知られている。前記
アレルギー性疾患の治療法として、抗ヒスタミン剤、ス
テロイド剤、気管支拡張剤等の治療薬の投与が行なわれ
ている。
【0005】しかしながら、前記治療薬は、一時的な症
状の抑制にすぎないため、根本的な治療薬ではなく、発
症のたびに通院する必要がある。また、前記治療薬によ
れば、副作用が生じる場合がある。したがって、アレル
ギー性疾患患者にとっては、経済的にも肉体的にも大き
な負担を強いられているのが現状である。
【0006】一方、アレルギーの根本的な治療法とし
て、減感作治療法がある。前記減感作治療法は、原因と
なっているアレルゲンを特定し、アレルギー患者に対し
てこれらのアレルゲンの生理食塩水溶液を少量ずつ意図
的に投与する治療法である。この作用機作は、主にIg
E抗体産生の抑制であると考えられている[Clin. Exp.A
llergy, 21: 289, (1991)] 。
【0007】しかしながら、アレルゲンの生理食塩水溶
液を投与する前記減感作治療法においても、投与回数が
多くなり、治療期間も長期にわたり、必ずしも著しい効
果が得られない場合がある。そこで、ただ単にアレルゲ
ンの生理食塩水溶液を投与するよりも、有効な減感作効
果を得られる方法として、あらかじめアレルゲンを化学
修飾し、得られた化学修飾物を用いて減感作させる方法
が提案されている。
【0008】かかる化学修飾法としては、例えば、 ポリ
エチレングリコールで化学修飾した抗原タンパク質を用
いる方法[Inter. Arch. Aller. Immunol., 56:159 〜17
0, (1978)]、グルタルアルデヒドを重合した抗原タンパ
ク質を用いる方法[Inter. Arch. Aller. Immunol., 74:
332 〜340, (1984)]等が挙げられる。しかしながら、前
記方法においても、アレルゲンの処理の複雑さおよび減
感作の効果の低さという面等で実用化には至っていない
のが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便に用い
ることができ、かつアレルギー性疾患を抑制するに十分
な減感作効果を得ることが可能な、減感作治療薬および
その製造方法、ならびに簡便な操作によりアレルギー性
疾患を抑制するに十分な減感作効果を得ることが可能
な、アレルギー性疾患の減感作治療に適した環境の創出
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、〔1〕 タンパク質アレルゲンを、タンパク質変性
剤と接触させて、変性させ、それにより弱毒化されたア
レルゲンを有効成分として含有してなる減感作治療薬、
〔2〕 タンパク質アレルゲンを、タンパク質変性剤と
接触させて、該アレルゲンを変性させ、それにより弱毒
化されたアレルゲンを得ることを特徴とする、減感作治
療薬の製造方法、〔3〕 前記〔1〕記載の減感作治療
薬を、個体と接触した際に減感作能を発揮するに十分な
量となるように、居室、壁、床、畳、カーペット、タン
ス、押し入れ、布団、枕、衣類、ソファーおよびカーテ
ンからなる群より選ばれた環境に散布し、それにより、
個体を減感作させるに適した状態を作りだすことを特徴
とする、減感作治療用環境の創出方法、ならびに〔4〕
タンパク質変性剤を、居室、壁、床、畳、カーペッ
ト、タンス、押し入れ、布団、枕、衣類、ソファーおよ
びカーテンからなる群より選ばれた環境に散布し、それ
により、個体を減感作させるに適した状態を作りだすこ
とを特徴とする、減感作治療用環境の創出方法、に関す
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、特定のタンパク質変性
剤を用いて、タンパク質で構成されているアレルゲン
(以下、タンパク質アレルゲンという)を処理した場
合、得られた変性アレルゲンが、高いIgE抗体産生抑
制能を発揮する、すなわち、アレルギー性疾患の減感作
治療に適するという本発明者らの知見に基づく。
【0012】なお、「減感作」とは、即時型アレルギー
の原因となるアレルゲンを少量ずつ、アレルギー患者に
投与することにより、疾患原因のアレルゲンに対する感
受性を低下させることをいう。
【0013】また、本明細書において、「減感作能」と
は、疾患の原因となるIgE抗体の産生を妨げる能力を
いう。
【0014】本発明の減感作治療薬は、タンパク質アレ
ルゲンと、タンパク質変性剤とを接触させて、該タンパ
ク質アレルゲンを変性させ、それにより得られた変性ア
レルゲンを有効成分として含有するものである。すなわ
ち、本発明の減感作治療薬によれば、高いIgE抗体産
生抑制能が発揮され、したがって、アレルギー性疾患の
治療または予防のための減感作を行ないうるという優れ
た効果を発揮する。
【0015】前記タンパク質変性剤としては、前記Ig
E抗体の産生を抑制するように、疾患原因のアレルゲン
を変性しうる化合物であればよく、(1)塩化ベンザル
コニウム、塩化ベンゼトニウム等の界面活性剤、(2)
タンニン酸等のポリフェノール化合物、(3)エタノー
ル等のタンパク質変性作用を有する他の有機化合物が挙
げられる。かかる化合物は、単独でまたは2種以上を混
合して用いることができる。本発明においては、前記タ
ンパク質変性剤を用いるため、前記IgE抗体の産生を
抑制し、減感作に適した変性アレルゲンを得ることがで
きる。
【0016】前記(1)記載の界面活性剤としては、第
4級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型の陽イオン
性界面活性剤;カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エス
テル型、リン酸エステル型の陰イオン性界面活性剤;カ
ルボキシベタイン型、2−アルキルイミダゾリンの誘導
型の両性界面活性剤;エステル型、エーテル型、エステ
ルエーテル型、アルカノールアミド型の非イオン性界面
活性剤等が挙げられる。かかる界面活性剤は、単独で、
または少なくとも2種を混合して用いてもよい。より具
体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウ
ム、塩化トリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウ
ム塩型、アルキルアミンアセテート等のアルキルアミン
塩型の陽イオン性界面活性剤;脂肪酸ナトリウム、脂肪
酸カリウム等のカルボン酸型、アルキルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム等の硫酸塩型、ポリオキシエチレンアル
キルリン酸カリウム等のリン酸エステル型の陰イオン性
界面活性剤;アルキルジメチルカルボキシメチルベタイ
ン、アルキルアミドプロピルベタイン等のカルボキシベ
タイン型、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−
ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の2−アル
キルイミダゾリン誘導型の両性界面活性剤;ソルビタン
脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ
ル等のエーテル型、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル等のエステルエーテル型、アルキルアルカノ
ールアミド等のアルカノールアミド型の非イオン性界面
活性剤等が挙げられる。なかでも、IgE抗体の産生を
抑制するのに十分な変性アレルゲンを得る観点から、陽
イオン性界面活性剤が好ましく、具体的には、塩化ベン
ザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが好ましい。
【0017】前記(2)記載のポリフェノール化合物と
しては、タンニン酸、茶抽出物、ワイン抽出物、カカオ
抽出物、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン、エピ
ガロカテキン、エピガロカテキンガレート、没食子酸、
没食子酸メチル、没食子酸プロピル、没食子酸ラウリ
ル、没食子酸ステアリル等が挙げられる。かかるポリフ
ェノール化合物は、単独で、または少なくとも2種を混
合して用いてもよい。なかでも、IgE抗体の産生を抑
制するのに十分な変性アレルゲンを得る観点から、タン
ニン酸が好ましい。
【0018】前記(3)記載の有機化合物としては、例
えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール等の炭素数1〜5のアルコール;ヘキサン、
ヘプテン、トルエン、キシレン等の炭素数1〜12、好
ましくは、4〜12の炭化水素化合物;クロロホルム、
ジクロロベンゼン等の炭素数1〜10のハロゲン化炭化
水素化合物;フェノール、クレゾール等のフェノール化
合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の炭素
数6〜10のエーテル化合物;酢酸、オレイン酸、酪酸
等の炭素数1〜18のカルボン酸化合物;アセトニトリ
ル、アニリン等の含窒素化合物;酢酸メチル、酢酸エチ
ル等の炭素数3〜14のエステル化合物;アセトン、メ
チルエチルケトン等の炭素数3〜6のケトン化合物;ジ
メチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が挙げられ、単
独で、または少なくとも2種を混合して用いることがで
きる。前記(3)記載の有機化合物は、有機溶剤である
ことが望ましい。なかでも、IgE抗体の産生を抑制す
るのに十分な変性アレルゲンを得る観点から、エタノー
ルが好ましい。
【0019】前記タンパク質アレルゲンとしては、ハウ
スダスト、微生物、昆虫、植物性アレルゲン、動物性ア
レルゲン等が挙げられる。前記植物性アレルゲンとは、
植物体由来の物質をいい、例えば、花粉、樹液等が挙げ
られる。また、動物性アレルゲンとは、動物体由来の物
質をいい、例えば、分泌物、体毛、代謝産物等が挙げら
れる。また、微生物および昆虫は、それ自体であっても
よく、微生物由来の物質(例えば、代謝産物、死骸等)
または昆虫由来の物質(例えば、糞、代謝産物、死骸
等)であってもよい。タンパク質アレルゲンとしては、
具体的には、カビ、ダニ、蚊およびゴキブリまたはそれ
らの死骸;ハウスダスト;スギ花粉;ブタクサ;動物の
体毛;代謝産物等が挙げられる。本発明においては、な
かでも、ハウスダスト、ダニ、スギ花粉を対象にする場
合、かかる物質が、アレルギー性疾患の原因物質である
ことおよびアレルギー患者数等の疾患の実態の点から、
特に有利である。
【0020】本発明の減感作治療薬に用いられる変性ア
レルゲンは、IgE抗体の産生を抑制させうるものであ
ればよい。具体的には、未変性のタンパク質アレルゲン
により刺激した場合のIL−4産生量に対して、変性ア
レルゲンにより刺激した場合のIL−4産生量が低下す
る。また、未変性のタンパク質アレルゲンにより刺激し
た場合のIFN−γ産生量に対して、変性アレルゲンに
より刺激した場合のIFN−γ産生量が増加する。
【0021】なお、本明細書においては、「未変性のタ
ンパク質アレルゲンにより刺激した場合のIL−4産生
量またはIFN−γ産生量」に対する「変性アレルゲン
により刺激した場合のIL−4産生量またはIFN−γ
産生量」の割合を、それぞれIL−4誘導率およびIF
N−γ誘導率ともいう。
【0022】前記IL−4産生量およびIFN−γ産生
量は、例えば、慣用のELISA法により検出すること
ができ、具体的には、抗IL−4抗体および抗IFN−
γ抗体のそれぞれと細胞培養上清とを接触させ、つい
で、ペルオキシダーゼ標識した二次抗体と接触させ、抗
原抗体反応について、該ペルオキシダーゼによる発色を
検出することにより、決定することができる。また、前
記IL−4誘導率およびIFN−γ誘導率は、例えば、
マウス脾細胞培養系を用い、未変性のタンパク質アレル
ゲンにより刺激した場合のIL−4産生量およびIFN
−γ産生量に対する変性アレルゲンにより刺激した場合
のマウス脾細胞におけるIL−4産生量およびIFN−
γ産生量のそれぞれの割合を決定することにより算出で
きる。
【0023】変性アレルゲンの製造方法としては、タン
パク質変性剤がエタノール等に代表される常温で液体で
ある場合は、タンパク質アレルゲンの浸漬処理もしくは
前記タンパク質変性剤のタンパク質アレルゲンへの直接
散布による方法が望ましい。
【0024】浸漬処理の場合、エタノール等のタンパク
質変性剤の濃度は、変性効果を十分に得る観点から、2
0〜100v/v%であることが望ましい。浸漬処理時
間は、IgE抗体の産生を抑制するに十分な変性アレル
ゲンを効率的に得る観点から、5分以上であり、好まし
くは1時間以上であり、240時間以下であり、好まし
くは24時間以下であることが望ましい。浸漬処理後、
変性アレルゲンを分離または単離して用いる場合には、
任意の手法により、変性アレルゲンを分離または単離し
て得ることができる。
【0025】前記タンパク質変性剤を散布する場合、用
いるタンパク質変性剤の濃度、タンパク質アレルゲン量
により適宜設定することができ、IgE抗体の産生を抑
制するに十分な変性アレルゲンを生じさせるのに適した
量のタンパク質変性剤を散布すればよい。散布処理後、
変性アレルゲンを分離または単離して用いる場合には、
任意の手法により、変性アレルゲンを分離または単離し
て得ることができる。
【0026】浸漬処理または散布処理の際、処理温度
は、IgE抗体の産生を抑制するに十分な変性アレルゲ
ンを効率的に得る観点から、5℃以上であり、好ましく
は15℃以上であり、200℃以下であり、好ましくは
100℃以下であることが望ましい。
【0027】一方、タンパク質変性剤が、常温で固体で
ある化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベン
ゼトニウム、タンニン酸等の場合、前記化合物をそのま
ま粉体として散布することができる。予め該化合物を水
もしくは適当な有機溶剤に溶解し、得られた溶液を用い
てタンパク質アレルゲンを浸漬処理もしくは該溶液をタ
ンパク質アレルゲンに散布してもよい。前記タンパク質
変性剤の濃度は、少なくとも0.001w/v%であ
り、より具体的には、減感作能に優れた変性アレルゲン
の製造の効率性の観点から、0.001w/v%以上で
あり、好ましくは0.1w/v%以上であり、単離精製
の容易性および安全性等を得る観点から、50w/v%
以下であり、好ましくは、30w/v%以下であり、よ
り好ましくは、10w/v%以下であることが望まし
い。
【0028】浸漬処理時間は、IgE抗体の産生を抑制
するに十分な変性アレルゲンを効率的に得る観点から、
5分以上であり、好ましくは1時間以上であり、240
時間以下であり、好ましくは24時間以下であることが
望ましい。
【0029】浸漬処理または散布処理の際の処理温度
は、前記エタノール等のタンパク質変性剤を用いた場合
と同様である。
【0030】変性アレルゲンを、経口、経皮、吸入摂取
させて用いる場合、そのまま減感作治療薬として用いる
ことができる。さらに、ゲルろ過、イオン交換クロマト
グラフィー、透析、限外ろ過、遠心分離、凍結乾燥等の
慣用の方法により単離精製し、生理食塩水等で再度調製
し直したものを、減感作治療薬として用いることが望ま
しい。
【0031】本発明の減感作治療薬の薬理作用は、例え
ば、前記マウス脾細胞系を用い、減感作治療薬を投与し
た場合と投与しない場合において、マウス脾細胞におけ
るIL−4誘導率およびIFN−γ誘導率を調べること
により評価することができる。本発明の減感作治療薬
は、かかる評価により、未変性のタンパク質アレルゲン
により刺激した場合のIL−4産生量およびIFN−γ
産生量に比べ、変性アレルゲンにより刺激した場合のI
L−4誘導率が低下し、変性アレルゲンにより刺激した
場合のIFN−γ産生量が増加することが示されうる。
【0032】また、本発明の減感作治療薬の薬理作用
は、さらに、例えば、マウス脾細胞系の代わりにアレル
ギー患者の末梢血リンパ球を採取し、得られた末梢血リ
ンパ球について、IL−4誘導率およびIFN−γ誘導
率を調べることにより評価することもできる。
【0033】本発明の減感作治療薬は、前記有効成分に
加え、必要に応じて一般的に用いられているアジュバン
トや各種の添加剤、例えば、安定剤、賦形剤、溶解補助
剤、乳濁化剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、着色剤、噴
射剤等をさらに含有してもよい。
【0034】本発明の減感作治療薬によれば、通常の投
与経路、例えば、経口、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、
吸入等の方法により個体(患者)に投与し、減感作を進
めることができる。さらに、本発明の減感作治療薬の剤
形は、例えば、トローチ、舌下錠、点眼剤、鼻腔内噴霧
剤、パップ剤、クリーム剤、ローション剤等の経皮、経
粘膜剤等のいずれであってもよい。
【0035】本発明の減感作治療薬の投与量は、個体
(患者)の年齢、体重等に依存して、従来から行なわれ
ている方法〔例えば、Lancet i,1572(1
911);Lancet ii,814(1911)を
参照のこと〕と同様に適宜設定することができる。
【0036】本発明の減感作治療薬によれば、高いIg
E抗体産生抑制能が発揮されるため、アレルギー性疾患
の減感作治療および発症予防に有用である。アレルギー
性疾患の減感作治療および発症予防方法も本発明に含ま
れる。
【0037】本発明のアレルギー性疾患の減感作治療お
よび発症予防方法は、前記減感作治療薬を、減感作能を
発揮するに十分な量となるように、個体(患者)と接触
および/または該個体に投与し、それにより個体を減感
作させることを1つの特徴とする。
【0038】「減感作能を発揮するに十分な量」は、個
体(患者)の年齢、体重等に依存して、従来から行なわ
れている方法と同様に適宜設定することができる。
【0039】個体(患者)としては、哺乳動物、具体的
には、ヒト、非ヒト動物等が挙げられる。
【0040】減感作治療薬と個体とを接触させる方法と
しては、従来からの公知の手段、例えば、そのまま、ま
たは必要に応じて一般的に用いられている水、有機溶
剤、溶解補助剤、乳化剤、安定剤、保存剤、着色剤、噴
射剤、固体または液体の担体等を常法により添加、配合
した液剤、エアゾール剤、噴霧剤、塗布剤、浸漬剤、蒸
散剤、粉剤、粒剤等で、居室、壁、床、タタミ、カーペ
ット、タンス、押し入れ、布団、枕、衣類、ソファーお
よびカーテン等を含めた住環境を処理する方法が挙げら
れる。かかる住環境を処理する方法は、さらに詳しく
は、例えば、耐圧容器に噴射剤等とともに封入して噴射
口を開口して噴射するエアゾール剤型式;充填した容器
の少なくとも一部に外的および/または内的な圧力をカロ
えて噴霧する圧力式噴霧型式;ピエゾ発振子の振動を利
用して噴霧する超音波式噴霧型式;基材に含有させ加熱
して蒸散させる加熱式蒸散型式;基材に含有させ強制的
に風を当てて拡散させる風力式拡散型式;放置して自然
に拡散させる自然拡散型式;あるいは固体または液体の
適当な担体に含有・保持させ遊離速度を制御する制御型
式等で、居室、壁、床、タタミ、カーペット、タンス、
押し入れ、布団、枕、衣類、ソファーおよびカーテン等
を含めた住環境に直接あるいは間接的に処理する方法で
ある。前記したように住環境を処理し、そのまま放置し
ておくだけで、アレルギー患者が無意識の内に、本発明
の減感作治療薬を経口、経皮、吸入摂取することがで
き、それにより減感作が自然に進むという点で特に有利
である。
【0041】減感作治療薬を個体に投与する場合、前記
と同様の投与経路が挙げられる。
【0042】さらに、本発明の減感作治療薬によれば、
個体を減感作させるに適した環境を創出することができ
る。したがって、本発明により、減感作治療に適した環
境の創出方法が提供される。かかる減感作治療に適した
環境の創出方法は、前記減感作治療薬を、個体と接触し
た際に減感作能を発揮するに十分な量となるように、住
宅、居室、壁、床、タタミ、カーペット、タンス、押し
入れ、布団、枕、衣類、ソファーおよびカーテンからな
る群より選ばれた住環境に散布し、それにより、個体を
減感作させるに適した状態を作りだすことを特徴とす
る。
【0043】なお、本明細書において、「環境を創出す
る」の文言は、環境を作りだすこと、改善すること等を
含めるものとする。
【0044】住環境としては、住宅、居室、壁、床、タ
タミ、カーペット、タンス、押し入れ、布団、枕、衣
類、ソファー、カーテン等が挙げられる。
【0045】減感作治療薬の散布手段としては、前記エ
アゾール剤型式、圧力式噴霧型式、超音波式噴霧型式、
加熱式蒸散型式、風力式拡散型式、自然拡散型式、制御
型式等が挙げられる。
【0046】「個体と接触した際に減感作能を発揮する
に十分な量」は、住環境の広さ、個体の年齢、体重、生
活習慣等に応じて適宜設定することができ、例えば、該
住環境が居室である場合、減感作治療薬が、有効成分量
として、有効性を十分に確保する観点から、1μg/m
3 以上、好ましくは、1mg/m3 以上、アナフィラキ
シーの抑制の観点から、100g/m3 以下、好ましく
は、1000mg/m 3 以下となるように分散させるこ
とが望ましい。
【0047】また、本発明者らは、前記タンパク質変性
剤により住環境を処理することにより、個体(患者)を
減感作することができるという驚くべき知見を得た。こ
れにより、前記タンパク質変性剤により住環境を処理す
ることを特徴とする、アレルギー性疾患の減感作治療お
よび発症予防方法が提供される。住環境を処理する方法
としては、前記と同様の方法が挙げられる。
【0048】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明は、かかる実施例により限定されるものではな
い。
【0049】実施例1 変性アレルゲンの製造 (1)変性ダニアレルゲンの製造 既存の方法[Jpn. J. Exp. Med., 40: 367-382 (1970);
Jpn. J. Allergol., 42: 1754-1763 (1993)]により取得
されたダニアレルゲン10.0gに対し、50mlの7
5体積/体積(v/v)%エタノールを用い、25℃で
12時間、浸漬処理した。その後、遠心分離式の限外ろ
過フィルターカップ(分画分子量10,000、日本ミ
リポア社製)に溶液を移した。ついで、1,000×g
で5分間の遠心分離、濃縮、およびイオン交換水による
メスアップの一連の操作を2回繰り返した。その後、さ
らに、遠心分離を行ない、得られた残液を凍結乾燥し
て、約8.0gの変性アレルゲン(ダニアレルギー用減
感作治療薬)を得た。
【0050】(2)各種変性アレルゲンの製造 表1に示される各種変性剤の水溶液〔表1中()内はそ
の濃度を示す〕を調製し、ついで、表1に示される各種
アレルゲンを、得られた各変性剤水溶液に、25℃で1
2時間浸漬した後、遠心分離式フィルターろ過によっ
て、各種変性剤成分を除去したものを変性アレルゲンと
した。
【0051】実施例2 各種変性アレルゲンの減感作効
果の確認 マウス脾細胞培養系を用い、変性アレルゲン使用時の減
感作能を以下の方法で評価した。
【0052】6週令のBALB/cマウス(雄)に各種
アレルゲンを用いて初回免疫を行なった。なお、前記免
疫については、1mg/mlの各種未処理アレルゲンを
アジュバント(10mg/ml水酸化アルミニウム)と
共に1:l(v/v)で混合し、得られた混合物200
μlを腹腔注射することにより行なった。
【0053】免疫後14日の脾細胞を採取し、イン・ビ
トロで脾細胞(5×106 細胞/mlに調整)に、前記
実施例1で得られた各種変性アレルゲンにより二次刺激
(最終濃度:100μg/ml)を行なった。
【0054】96時間後、各脾細胞のインターロイキン
−4(IL−4) 、インターフェロン−γ(IFN−
γ)産生を、以下に示すELISA法により評価した。
【0055】ELISA法:平底96穴マイクロタイタ
ープレート〔住友ベークライト社製〕の各ウェルを、1
00μlの細胞培養上清を用いて37℃1時間コーティ
ング処理し、リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS,(pH
7.4)〕を用いて洗浄した後、1重量%牛血清アルブ
ミン(BSA)リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS、(p
H7.4)〕溶液200μlでブロッキングを行なっ
た。リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS、(pH7.
4)〕を用いて、ウェルを洗浄した後、抗IL−4抗体
と抗IFN−γ抗体とをウェルに添加し、37℃で1時
間インキュベートした。リン酸緩衝化生理食塩水〔PB
S、(pH7.4)〕を用いて、ウェルを洗浄した後、
ペルオキシダーゼ標識した二次抗体を添加した。1時間
後、リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS,(pH7.
4)〕を用いて、ウェルを再度洗浄した。その後、ウェ
ルに、発色液〔クエン酸緩衝液(10mM、pH4.
2)、o−フェニレンジアミンジハイドロクロライド
(5.5×10-4M、和光純薬社製)、0.01% H
22 〕を添加し、37℃で30分間インキュベートし
て、発色させた。ウェルに10μlの4M H2 SO4
を添加して発色反応を停止させ、490nmにおける吸
光度をImmuno Reader NJ−2000
〔Japan Intermed社製〕で測定した。
【0056】結果を表1に示す。なお、IL−4誘導率
およびIFN−γ誘導率については、未処理アレルゲン
による二次刺激を行なった場合のIL−4産生およびI
FN−γ産生を100%として算出した。
【0057】
【表1】
【0058】表1に示すように、各種アレルゲン、各種
変性処理においてもIL−4誘導率が低下し、IFN−
γ誘導率が増加することがわかる。
【0059】IgE抗体産生がIL−4により促進的
に、IFN−γにより抑制的に調節されることを考慮す
ると、前記表1の結果より各種変性アレルゲンの投与
(摂取)が、未処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、
その減感作能という点において優れていることが示唆さ
れる。
【0060】実施例3 各種変性アレルゲンの減感作効
果の確認 マウスを用いた減感作モデルにおける、変性アレルゲン
使用時の減感作能を以下の方法で評価した。
【0061】(1)マウスの免疫スケジュールとアレル
ゲンの投与方法 表2に示すスケジュールに従って、6週令BALB/c
マウス(雄)に、初回免疫、感作免疫、減感作免疫およ
びアレルゲン曝露を行なった。マウスの免疫スケジュー
ルを、表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2中、初回免疫、感作免疫、減感作免疫
およびアレルゲン曝露の各ステップを以下に示す。初回免疫 1mg/mlの各種未処理アレルゲンをアジュバント
(10mg/ml水酸化アルミニウム)と共に1:1
(v/v)で混合し、混合液200μlを腹腔注射し
た。感作免疫 各種未処理アレルゲンをMIPS社製のマウス用鼻吸入
曝露装置にて2mg/mlの濃度で10分間噴霧した。減感作免疫 1mg/mlの各種変性アレルゲンをアジュバント(1
0mg/ml 水酸化アルミニウム)と共に1:1(v
/v)で混合し、混合液200μlを背部に皮下注射し
た。アレルゲン曝露 各種未処理アレルゲンをMIPS社製のマウス用鼻吸入
曝露装置にて2mg/mlの濃度で10分間噴霧した。
【0064】未処理アレルゲン特異的IgE産生を以下
に示すELISA法により評価した。
【0065】ELISA法:平底96穴マイクロタイタ
ープレート(住友ベークライト社製)の各ウェルを、1
00μlのヒツジ抗マウスIgE抗体(5μg/ml、
The Binding Site)で37℃で1時間コーティング処理
し、リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS,(pH7.
4)〕を用いて洗浄した後、1重量%牛血清アルブミン
(BSA)リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS、(pH
7.4)〕溶液200μlでブロッキングを行なった。
リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS、(pH7.4)〕を
用いて、ウェルを洗浄した後、100μlのマウスの血
清(10倍希釈)をウェルに添加し、37℃で1時間イ
ンキュベートした。リン酸緩衝化生理食塩水〔PBS,
(pH7.4)〕を用いて、ウェルを洗浄した後、10
0μlのペルオキシダーゼ標識した未処理アレルゲン(5
μg/ml) を添加した。1時間後、リン酸緩衝化生理
食塩水〔PBS,(pH7.4)〕を用いて、ウェルを
再度洗浄した。その後、ウェルに、発色液〔クエン酸緩
衝液(10mM、pH4.2)、o−フェニレンジアミ
ンジハイドロクロライド(5.5×10-4M、和光純薬
社製)、0.01% H2 2 〕を添加し、37℃で3
0分間インキュベートして、発色させた。ウェルに10
μlの4M H2 SO4 を添加して発色反応を停止さ
せ、490nmにおける吸光度をImmuno Rea
der NJ−2000〔JapanIntermed
社製〕で測定した。
【0066】結果を表3に示す。なお、未処理アレルゲ
ン特異的IgE産生率については、未処理アレルゲンに
よるアレルゲン曝露を行なった場合のIgE産生を10
0%として算出した。
【0067】
【表3】
【0068】表3に示すように、各種アレルゲンのいず
れの各種変性アレルゲンにおいてもアレルゲン特異的I
gE産生率が低下することがわかる。
【0069】IgEがアレルギーの発症の原因抗体であ
ることから、各種変性アレルギーの投与(摂取)が、未
処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、その減感作能と
いう点において優れていることが判明した。
【0070】実施例4 各種変性剤濃度による減感作効
果の確認 エタノール濃度による減感作効果の変化を実施例2と同
様の方法で評価した。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】表4に示すように、各種アレルゲンを20
〜100(v/v)%の濃度のエタノールで変性処理し
た場合、IL−4誘導能が低下し、IFN−γ誘導能が
増加することがわかる。
【0073】IgE抗体産生がIL−4により促進的
に、IFN−γにより抑制的に調節されることを考慮す
ると、前記表4の結果より、各種変性アレルゲンの投与
(摂取)が、未処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、
その減感作能という点において優れていることが示唆さ
れる。
【0074】実施例5 各種変性剤濃度による減感作効
果の確認 塩化ベンザルコニウムの濃度による減感作効果の変化を
実施例2と同様の方法で評価した。結果を表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】表5に示すように、各種アレルゲンを少な
くとも0.001w/v%の濃度の塩化ベンザルコニウ
ムで変性処理した場合、IL−4誘導能が低下し、IF
N−γ誘導能が増加することがわかる。
【0077】IgE抗体産生がIL−4により促進的
に、IFN−γにより抑制的に調節されることを考慮す
ると、前記表5の結果より、各種変性アレルゲンの投与
(摂取)が、未処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、
その減感作能という点において優れていることが示唆さ
れる。
【0078】実施例6 各種変性剤濃度による減感作効
果の確認 塩化ベンゼトニウムの濃度による減感作効果の変化を実
施例2と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】表6に示すように、各種アレルゲンを少な
くとも0.001w/v%の濃度の塩化ベンゼトニウム
で変性処理した場合、IL−4誘導能が低下し、IFN
−γ誘導能が増加することがわかる。
【0081】IgE抗体産生がIL−4により促進的
に、1FN−γにより抑制的に調節されることを考慮す
ると、前記表6の結果より、各種変性アレルゲンの投与
(摂取)が、未処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、
その減感作能という点において優れていることが示唆さ
れる。
【0082】実施例7 各種変性剤濃度による減感作効
果の確認 タンニン酸の濃度による減感作効果の変化を実施例2と
同様の方法で評価した。結果を表7に示す。
【0083】
【表7】
【0084】表7に示すように、各種アレルゲンを少な
くとも0.001w/v%の濃度のタンニン酸で変性処
理した場合、IL−4誘導能が低下し、IFN−γ誘導
能が増加することがわかる。
【0085】IgE抗体産生がIL−4により促進的
に、1FN−γにより抑制的に調節されることを考慮す
ると、前記表7の結果より、各種変性アレルゲンの投与
(摂取)が、未処理アレルゲンの投与(摂取)よりも、
その減感作能という点において優れていることが示唆さ
れる。
【0086】実施例8 変性アレルゲンの自然摂取によ
る減感作効果の確認 マウスを用いたダニアレルギーの自然摂取減感作モデル
にて、減感作能を以下の方法で評価した。
【0087】奥行15cm×巾15cm×高さ15cm
のプラスチックゲージの底面にカーペットを敷き詰め、
ダニアレルゲン10mgを均一に散布し、その後、75
%(v/v)エタノール水溶液20mlを再度均一に散
布処理した。得られたゲージを用い、実施例3と同様の
方法で初回免疫および感作免疫を行なったBALB/c
マウス(雄)を飼育(自然摂取による減感作)し、6週
間後、実施例3と同様の方法でアレルゲン曝露を行なっ
た。また、減感作期間中、排泄物等によるカーペットの
汚れを考慮し、3日置きに上記と同様の処理を行なった
カーペットに取り替えた。
【0088】マウス血清中の未処理アレルゲン特異的I
gE産生を、実施例3と同様のELISA法により評価
した。なお、未処理アレルゲン特異的IgE産生率は、
イオン交換水20mlを同様に散布処理した場合のIg
E産生を100%として算出した。結果を図1に示す。
【0089】図1に示すように、75%(v/v)エタ
ノール水溶液処理して得られた変性アレルゲンによっ
て、未処理アレルゲン特異的IgE産生が抑制 (IgE
産生率34.0%)された。すなわち、自然摂取によっ
ても減感作が効果的に行なわれることがわかる。
【0090】
【発明の効果】本発明の減感作治療薬は、有効性に優
れ、個体にとって安全であるという優れた性質を発現す
る。したがって、前記減感作治療薬は、アレルギー疾患
者に意図的に摂取(投与)する治療薬として有効であ
る。また本発明の減感作治療薬の製造方法によれば、下
記(1)〜(3):(1)塩化ベンザルコニウム、塩化
ベンゼトニウム等の界面活性剤、(2)タンニン酸等の
ポリフェノール化合物及び(3)エタノール等のタンパ
ク質変性作用を有する他の有機化合物、をタンパク質変
性剤として用い、各種タンパク質アレルゲンをタンパク
質変性させるため、簡便で安価に、前記減感作治療薬を
提供できるという優れた効果を奏する。また、減感作治
療に適した環境の創出方法によれば、本発明の減感作治
療薬を用いて環境を処理するか、あるいはタンパク質変
性剤を用いて環境を処理するだけで、変性アレルゲン、
すなわち、治療薬の自然な摂取によりアレルギー症状の
緩和または発症予防ができるため、アレルギー患者の通
院に要する経済的、肉体的な負担を軽減するという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、変性アレルゲンの自然摂取による減感
作効果を調べた結果を示す図である。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質アレルゲンを、タンパク質変
    性剤と接触させて、変性させ、それにより得られた変性
    アレルゲンを有効成分として含有してなる減感作治療
    薬。
  2. 【請求項2】 タンパク質変性剤が、界面活性剤、ポリ
    フェノール化合物、およびタンパク質変性作用を有する
    他の有機化合物からなる群より選択された少なくとも1
    種である、請求項1記載の減感作治療薬。
  3. 【請求項3】 タンパク質変性剤が、エタノール、塩化
    ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびタンニン
    酸からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求
    項2記載の減感作治療薬。
  4. 【請求項4】 タンパク質アレルゲンが、ハウスダス
    ト、微生物、昆虫、植物性アレルゲンおよび動物性アレ
    ルゲンからなる群より選ばれた1種である、請求項1〜
    3いずれかに記載の減感作治療薬。
  5. 【請求項5】 タンパク質アレルゲンが、カビ、ダニ、
    蚊、ゴキブリ、スギ花粉、ブタクサおよび動物の体毛か
    らなる群より選ばれた1種である、請求項4記載の減感
    作治療薬。
  6. 【請求項6】 タンパク質アレルゲンを、タンパク質変
    性剤と接触させて、該アレルゲンを変性させ、それによ
    り変性アレルゲンを得ることを特徴とする、減感作治療
    薬の製造方法。
  7. 【請求項7】 タンパク質変性剤が、界面活性剤、ポリ
    フェノール化合物、およびタンパク質変性作用を有する
    他の有機化合物からなる群より選択された1種である、
    請求項6記載の減感作治療薬の製造方法。
  8. 【請求項8】 タンパク質変性剤が、エタノール、塩化
    ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびタンニン
    酸からなる群より選ばれた1種である、請求項6または
    7記載の減感作治療薬の製造方法。
  9. 【請求項9】 タンパク質変性剤が、20〜100体積
    /体積(v/v)%のエタノールである、請求項8記載
    の減感作治療薬の製造方法。
  10. 【請求項10】 タンパク質変性剤が、少なくとも0.
    001重量/体積(w/v)%の塩化ベンザルコニウム
    または塩化ベンゼトニウムである、請求項8記載の減感
    作治療薬の製造方法。
  11. 【請求項11】 タンパク質変性剤が、少なくとも0.
    001重量/体積(w/v)%のタンニン酸である、請
    求項8記載の減感作治療薬の製造方法。
  12. 【請求項12】 タンパク質アレルゲンが、ハウスダス
    ト、微生物、昆虫、植物性アレルゲンおよび動物性アレ
    ルゲンからなる群より選ばれた1種である、請求項6〜
    11いずれかに記載の減感作治療薬の製造方法。
  13. 【請求項13】 タンパク質アレルゲンが、カビ、ダ
    ニ、蚊、ゴキブリ、スギ花粉、ブタクサおよび動物の体
    毛からなる群より選ばれた1種である、請求項12記載
    の減感作治療薬の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5いずれかに記載の減感作
    治療薬を、個体と接触した際に減感作能を発揮するに十
    分な量となるように、居室、壁、床、畳、カーペット、
    タンス、押し入れ、布団、枕、衣類、ソファーおよびカ
    ーテンからなる群より選ばれた住環境に散布し、それに
    より、個体を減感作させるに適した状態を作りだすこと
    を特徴とする、減感作治療に適した環境の創出方法。
  15. 【請求項15】 タンパク質変性剤を、居室、壁、床、
    畳、カーペット、タンス、押し入れ、布団、枕、衣類、
    ソファーおよびカーテンからなる群より選ばれた住環境
    に散布し、それにより、個体を減感作させるに適した状
    態を作りだすことを特徴とする、減感作治療に適した環
    境の創出方法。
  16. 【請求項16】 タンパク質変性剤が、界面活性剤、ポ
    リフェノール化合物、およびタンパク質変性作用を有す
    る他の有機化合物からなる群より選択された少なくとも
    1種である、請求項15記載の減感作治療に適した環境
    の創出方法。
  17. 【請求項17】 タンパク質変性剤が、エタノール、塩
    化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびタンニ
    ン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請
    求項16記載の減感作治療に適した環境の創出方法。
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