JP2002248849A - インクジェット記録シート及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録シート及びその製造方法

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JP2002248849A
JP2002248849A JP2001047601A JP2001047601A JP2002248849A JP 2002248849 A JP2002248849 A JP 2002248849A JP 2001047601 A JP2001047601 A JP 2001047601A JP 2001047601 A JP2001047601 A JP 2001047601A JP 2002248849 A JP2002248849 A JP 2002248849A
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ink
ink jet
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JP2001047601A
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English (en)
Inventor
Kenji Yabuta
健次 藪田
Takao Chiga
孝雄 千賀
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高光沢で膜強度に優れ、且つ記録された画像や
文字の耐水性、耐オゾン性および耐光性などの保存性が
良好で、インクジェット記録シートの経時による白紙の
耐黄変性が改良された透過材料用または高光沢反射材料
用インクジェット記録シートを提供すること。 【解決手段】支持体上に、少なくとも1層以上のインク
受理層を設けてなるインクジェット記録シートにおい
て、該インク受理層の最上層が無機超微粒子とバインダ
ーからなるものであって、該インク受理層が透明高分子
膜で被覆されたインクジェット記録シート。また支持体
上に設けられたインク受理層に、色素を定着させて画像
を形成した後、該インク受理層に透明仕上がりになる塗
膜を形成する塗料を塗布乾燥して透明高分子膜を形成す
ることで保存性は改良される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録シートに関するものであり、さらに詳しくは、高光沢
で膜強度に優れ、且つ記録された画像や文字の耐水性、
耐オゾン性および耐光性などの保存性が良好で、インク
ジェット記録シートの経時による白紙の耐黄変性が改良
された透過材料用、高光沢反射材料用インクジェット記
録シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、ディフレク
ション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、バ
ブルジェット(登録商標)方式、サーマルインクジェッ
ト方式、スリットジェット方式およびスパークジェット
方式などに代表される種々の作動原理により、インクの
微小液滴を飛翔させて紙などのインクジェット記録シー
トに付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであ
るが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融
通性が大きい、現像−定着が不要などの長所があり、漢
字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装置とし
て種々の用途において急速に普及している。さらに、イ
エロー、マゼンタ、シアンおよびブラックなどの色素を
各々含有させた多色インクを用いるインクジェット方式
により形成された画像は、製版方式による多色印刷やカ
ラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録画
像を得ることが可能である。また、作成部数が少なくて
済む用途においては、銀塩写真による現像よりも安価で
あることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用さ
れつつある。
【0003】このようなインクジェット記録方式で使用
されるインクジェット記録シートとしては、通常の印刷
や筆記に使われる上質紙、コーテッド紙などの一般紙タ
イプや学会、会議などのプレゼンテーションに用いられ
るオーバーヘッドプロジェクター(OHP)やバックラ
イト用途などの、透明あるいは半透明フィルムタイプが
知られている。
【0004】また、このようなインクジェット記録方式
で使用されるインクは、水性インク、すなわち水或いは
水と親水性溶剤の混合溶媒中に各種の水溶性染料を溶解
し、必要により各種の添加剤を添加したものが大半を占
めている。水性インクは、印字後の色調が鮮やかで明る
いこと、インクドットのコントラストが大きいこと、イ
ンク粘度の調整が容易であること、比較的高濃度溶解が
可能なことやヘッドノズルの目詰まりが起きにくいこと
などの利点を有している。
【0005】しかしながら、耐水性、耐オゾン性、耐光
性などの画像部の保存性に劣ると云う欠点があった。
【0006】インクジェット記録シートに用いるインク
受理層としては、例えば、合成非晶質シリカまたはその
塩、あるいはこれらの混合物(特開昭57−15778
6号公報)を主体とするようなものが提案されている
が、このようなインク受理層はインク吸収性に優れるも
のの、不透明性が高く、且つマット調であるために透明
あるいは不透明フィルムタイプの、いわゆる透過材料用
あるいは高光沢反射材料用には適用できず、支持体自身
も紙に比べてインク吸収性が劣るために、より配慮され
たインク受理層の塗設が必要となった。
【0007】このような実状に鑑み、透過材料用のイン
ク受理層として、例えば、特開平1−97678号公
報、同2−276670号公報、同3−215082号
公報などに無機超微粒子を主体とするような透明性に優
れるインク受理層が提案された。
【0008】無機超微粒子としては、例えば、球状、数
珠状、カチオン変性などのコロイダルシリカ、気相法に
より合成されたシリカ、不定形、ベーマイト、擬ベーマ
イト、γ−アルミナなどのアルミナ化合物、シリカ/ア
ルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土などの種々
なものが知られている。
【0009】しかしながら、かかる無機超微粒子の欠点
としては、高光沢なインク受理層が得られ難いこと、膜
強度や耐水性、耐オゾン性、耐光性などの保存性に劣る
こと、さらに白紙部の黄変が激しいことなどが挙げら
れ、これらの問題は未だに解決はなされていなかった。
【0010】無機超微粒子を含有するインクジェット記
録シートにおいては、一般的にオゾン、光などによる色
素の退色が進行しやすい。オゾン、光などによる色素の
退色を改良する手段としては、例えば、特開昭57−8
7987号公報などに提案されているような、リンタン
グステン酸、リンモリブデン酸などの特定金属酸化物や
塩化第2クロムなどの特定金属塩化物を含有させたり、
特開昭57−87988号公報などに提案されているよ
うな、フェニルサリチル酸などの特定構造を有する紫外
線吸収剤を含有させることが提案されているものの、こ
れらの添加剤を用いた場合にはインクジェット記録シー
トの白紙黄変を助長したり、色素の色相を変化させるな
どの不都合が生じた。
【0011】一方、水の付着や、高湿度条件下での長期
保存における色素の滲みを防止するための手段として
は、例えば、特開平4−320877号公報、同4−3
23075号公報などに提案されているようなカチオン
変性ポリビニルアルコールを含有させたり、架橋剤を添
加するなどが提案されているものの、このようなカチオ
ン系定着剤を用いた場合でも、その改良効果は満足でき
るものではなかった。
【0012】ところで、インクジェット記録シートは用
途の多様化が進み、ポスターやPOPアートに使用され
たり、裏面に粘着層を設けてタック加工が施され、価格
表示用ラベル、商品表示(バーコード)表示用ラベル、
品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベ
ル(ステッカーなど)などのラベル用途として使用する
ことが増加している。特にバーコード用ラベルでは、イ
ンクジェット記録の高解像度が生かせるし、広告宣伝用
ラベルであれば鮮鋭性や色彩性に優れていることから良
好な広告宣伝媒体として好適に用いることができる。こ
れらへの適用はパーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭
性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像
を簡単に得ることが可能である昨今の背景がインクジェ
ット記録シートを多用する理由となっている。特にタッ
ク加工することにより、広範囲の被着体によく接着し、
貼り付け作業が簡単なことから、他面に粘着層を介して
感熱特性、磁気特性、オフセット印刷適性を付与された
シートなどと貼り合わせて複合機能化することも可能と
なる。これらの用途では、光沢度、膜強度や耐水性、耐
オゾン性、耐光性等の保存性、インクジェット記録シー
トの白紙の耐黄変性がより一層重要視されることは言う
までもない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高光沢で膜強度に優れ、且つ記録された画像や文字
の耐水性、耐オゾン性および耐光性などの保存性が良好
で、インクジェット記録シートの経時による白紙の耐黄
変性が改良された透過材料用、高光沢反射材料用インク
ジェット記録シート及びその製造方法を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、インクジ
ェット記録シートにおける上記の問題について鋭意検討
を重ねた結果、支持体上に、少なくとも1層以上のイン
ク受理層を設け、該インク受理層の最上層が無機超微粒
子とバインダーからなるインクジェット記録シートにお
いて、該インク受理層を透明高分子膜で被覆すること
で、高光沢で膜強度に優れ、且つ記録された画像や文字
の耐水性、耐オゾン性および耐光性などの保存性が良好
で、インクジェット記録シートの経時による白紙の耐黄
変性が改良された透過材料用、高光沢反射材料用インク
ジェット記録シートを得ることが出来た。
【0015】特に無機超微粒子が気相法シリカであるこ
とで耐オゾン性や耐光性の保存性に優れたインクジェッ
ト記録シートを得る事が出来た。
【0016】支持体上に設けられたインク受理層に、色
素を定着させて画像を形成した後、該インク受理層に透
明仕上がりになる塗膜を形成する塗料を塗布乾燥して透
明高分子膜を形成するインクジェット記録シートの製造
方法により、予めインク受理層上に設けられた透明高分
子膜上に画像色素を形成するよりも更に、保存性の良好
なインクジェット記録シートを製造することが出来た。
【0017】該塗料がガラス転移温度20〜90℃の合
成高分子エマルジョンであることで耐ブロッキング性に
も優れ、更に保存性の良好なインクジェット記録シート
を製造することが出来た。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるインクジェット記録シートは、少なくと
も1層以上のインク受理層を設けてなり、該インク受理
層の最上層が無機超微粒子とバインダーからなるもので
あって、該インク受理層が透明高分子膜で被覆されたイ
ンクジェット記録シートである。
【0019】本発明におけるインクジェット記録シート
では、光沢、膜強度や耐水性、耐オゾン性および耐光
性、白紙の耐黄変性などの保存性を改良する目的でイン
ク受理層上に透明高分子膜を被覆するが、特にインク色
素を定着させてインク受理層に画像を形成した後に、該
インク受理層に透明仕上がりになる塗膜を形成する塗料
を塗布乾燥して透明高分子膜を形成することで保存性に
優れると同時に高光沢で膜強度に優れたインクジェット
記録シートを得る事が出来た。
【0020】本発明における透明高分子膜とは、所記イ
ンク受理層の表面上に形成され、これを被覆する。透明
高分子膜は、色素の定着した無機超微粒子を被覆するこ
とにより、色素が直接水に触れたり、空気中の酸素、オ
ゾン、NOx と反応したり、あるいは揮発するのを防止
し、さらに紫外線を遮蔽する機能を有する。基材が紙、
布の場合のように空気等を透過するものであっても、色
素はインク受理層の透明高分子層側により多く定着され
ているので、同様に効果を発揮する。その為、この透明
高分子膜は、画像の耐水性、耐オゾン性、耐光性を向上
させる効果を有する。記録後にラミネートやフィルム張
り合わせで保護する方法では記録物が厚くなったり、コ
スト高になるが本願発明の方法では、そのような欠点は
なく簡便な方法で記録画像の保存性を向上できる利点が
ある。ここで透明とは、インク受理層に形成された画像
が、高分子膜を通して観察し得ることをいう。無色であ
ることが好ましいが、意匠性を付与するために着色した
ものであってもよい。透明高分子膜の材質は特に限定さ
れず、種々の高分子材料を用いることができる。また、
透明性を損なわない範囲で、充填材などが配合されてい
てもさしつかえない。
【0021】本発明に係る合成高分子エマルジョンとし
ては、例えば、ビニルポリマー系エマルジョンとして、
ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩
化ビニル等の単独重合体やアクリル、酢酸ビニル、塩化
ビニル等の共重合体などが挙げられる。また、合成ゴム
系エマルジョンとして、ポリイソブチレン、クロロプレ
ンゴム、ポリブタジエンゴム等の単独重合体やスチレン
・ブタジエン、アクリロニトリル・ブタジエン、メチル
メタクリレート・ブタジエン、アクリル酸エステル等の
共重合体などが挙げられる。さらにこれら各種重合体を
カルボキシル基等の官能基で修飾して変性したものも含
まれる。
【0022】また、本発明に於いて要求される該エマル
ジョンの特性はガラス転移温度であって、上記の組成を
変量する事によって、20℃〜90℃の所望のガラス転
移温度を得ても良いし、複数のエマルジョンをブレンド
して、ガラス転移温度を調節しても良い。さらには、上
記の組成に、スチレン、メチルメタクリレート、アクリ
ロニトリル、高級アルキルアクリレート、フマレート等
の成膜助剤や可塑剤を共重合して、ガラス転移温度をコ
ントロールしても良い。
【0023】塗料中の樹脂成分は、20〜60重量%で
あることが好ましい。塗料中の樹脂成分が20重量%に
満たない場合は、形成される透明高分子膜が薄く、耐水
性、耐オゾン性、耐光性等の保存性向上の効果が十分で
なく、また塗布量を多くすると水系溶媒量が多くなり、
水性インクの印字物の場合には画像の滲み等の問題が発
生するので好ましくない。逆に、塗料中の樹脂成分が6
0重量%を超える場合は、塗料の粘度が上昇して、均一
な塗布が困難になるため、画質が低下するおそれがある
ので好ましくない。特に、本発明の場合、多孔質表面に
塗膜を形成するため、塗料中の溶媒が多孔質インク受理
層に吸収されて塗布時に粘度が上昇するので、樹脂成分
が60重量%を超える場合に塗布が困難になる。同じ理
由で、合成高分子エマルジョンではなく水溶性の高分子
化合物を透明高分子膜の素材として使用した場合には、
塗料粘度との関係で高い固形分濃度が達成できずに水分
が多いために画像の滲みが発生しやすいと云う問題があ
る。
【0024】透明高分子膜の厚さは、0.5〜30μm
が好ましい。透明高分子膜の厚さが0.5μmに満たな
い場合は、耐水性、耐オゾン性、耐光性等の保存性向上
の効果が十分でなく、透明高分子膜の厚さが30μmを
超える場合は、それ以上の保存性向上の効果が増大しな
いばかりでなく、高分子膜の隠ぺいにより画質が低下し
たり、高分子膜のはがれや、記録物のカールが発生する
おそれがあるので好ましくない。透明高分子膜のより好
ましい厚さは、2〜10μmである。
【0025】透明高分子膜を形成する手段の一例とし
て、画像形成後にインク受理層に、実質的に顔料成分を
含まない塗料、すなわち、透明仕上がりになる塗料を塗
布する方法が挙げられる。塗料としては、油性塗料、繊
維系誘導体塗料、合成樹脂塗料、フッ素樹脂塗料など種
々のものを使用することができる。画像形成に水性イン
クを使用したものに対しては、画像を滲ませたりするこ
とがない点で、油性塗料などの油性溶媒を使用する塗料
が好ましいが、油性溶媒は安全性や環境への観点からは
好ましくなく、特にガラス転移温度20〜90℃の合成
高分子エマルジョンが好ましい。ガラス転移温度が20
℃以下の場合は鉛筆強度試験のような膜強度には強い
が、耐ブロッキング性に劣り、やはり膜強度では課題を
残す。印字、透明高分子膜形成後のインクジェット記録
シートを保存、運搬する際には、透明フィルムからなる
ポケットファイル等を利用したり、インクジェット記録
シート同士を重ねて放置するとブロッキングを起こし易
く、この様なブロッキングが発生すると印字画像の商品
価値が無くなってしまう。一方ガラス転移温度が90℃
以上では加熱によっても皮膜の形成が不十分で保存性向
上効果が劣る。好ましくはガラス転移温度は30〜60
℃の範囲である。またブロッキング防止のためにシリ
カ、アルミナ等の無機超微粒子を添加しても良い。
【0026】塗料の塗布方法は、刷毛塗り、スプレー塗
り、ローラー塗りなど特に限定されない。画像形成に使
用したインクジェット記録装置を用いて、画像形成後に
合成高分子エマルジョンをノズルから吐出して全面に塗
布しても良い。乾燥は、自然乾燥でよく、必要に応じて
加熱してもよい。
【0027】本発明のインクジェット記録シートにおけ
る無機超微粒子とは、例えば、特開平1−97678号
公報、同2−275510号公報、同3−281383
号公報、同3−285814号公報、同3−28581
5号公報、同4−92183号公報、同4−26718
0号公報、同4−275917号公報などに提案されて
いる擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公
報、同61−19389号公報、同61−188183
号公報、同63−178074号公報、特開平5−51
470号公報などに記載されているようなコロイダルシ
リカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−28
6787号公報に記載されているようなシリカ/アルミ
ナハイブリッドゾル、その他にもヘクタイト、モンモリ
ナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210
号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリア
ゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化ア
ンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることがで
き、市販の無機超微粒子を好適に用いることができる。
【0028】特に光沢度の観点からは微細な無機超微粒
子である擬ベーマイトのようなアルミナゾルや気相法シ
リカが好適に使用できる。しかしながら、アルミナゾル
は気相法シリカに比べて耐オゾン性や耐光性等の保存性
に劣り、また皮膜形成及び耐水性のため120℃程度の
高温加熱処理を必要とするため、作業性及び支持体の選
択性(ポリエチレン樹脂被覆紙はポリエチレン樹脂層が
溶融しブリスターを発生させる)の問題がある。高い濃
度を達成し、鮮明な画像を記録し低コストで製造できる
点でも、無機超微粒子として、シリカ微粒子及びコロイ
ダルシリカから選ばれる無機超微粒子を用いることがよ
り好ましく、特に高い光沢性と高い画像濃度が得られや
すいという点から気相法シリカの使用がより好ましい。
【0029】一般に、合成シリカには、湿式法によるも
のと気相法によるものがある。通常シリカ微粒子といえ
ば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとして
は、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交
換樹脂層を通して得られるシリカゾル、またはこのシリ
カゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、シリ
カゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによっ
て数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合を
した三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更にはシ
リカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等
を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体と
する合成ケイ素化合物等がある。
【0030】本発明に特に好ましく用いられる気相法シ
リカは、上記湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的
には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩
化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般
的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルト
リクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単
独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することが
できる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からア
エロジルとして市販されており入手することができる。
【0031】本発明に用いられる気相法シリカの一次粒
子の平均粒径は50nm以下であり、好ましくは5〜3
0nmである。気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目
構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態
で存在することであり、これによって、高いインク吸収
性が得られる。また一次粒子径が非常に小さいため、記
録シートの最上層に用いても高い光沢を維持することが
できる。またアルミナで変成した気相法シリカも同様に
良好に用いることが出来る。
【0032】湿式法によるコロイダルシリカは、一次粒
子径は数nm〜数十nmと非常に小さいが、一次粒子と
して孤立して存在するために、塗膜を形成した場合粒子
が密な状態で存在するため、インク受容層に用いたと
き、光沢は高いが、空隙性が乏しくインク吸収性を低下
させる。また、数μmから10μmの二次凝集シリカ粒
子は、インク吸収性は高いが、光沢を低下させる。
【0033】1次粒子の平均粒径の下限は特に限定され
ないが粒子の製造上の観点から概ね3nm以上、特に5
nm以上が好ましい。
【0034】上記において微粒子の平均粒径は、粒子そ
のもの或いはインク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で
観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めてその単純
平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒
径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表し
たものである。
【0035】本発明のインクジェット記録シートでイン
ク受理層において無機超微粒子と組み合わせて用いられ
るバインダーでは、水溶性高分子よりなるバインダーが
好ましい。合成高分子エマルジョンでは特に水性インク
による記録ではインクとのなじみが悪く印字濃度低下の
原因になる。本発明で用いられるバインダーとしては、
ゼラチン又はゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、
プルラン、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリ
エチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリ
ン、ポリアクリル酸及びその塩、寒天、κーカラギーナ
ン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテン
ガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴ
ム、特開平7−195826号及び同7−9757号に
記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、
水溶性ポリビニルブチラール、或いは、特開昭62−2
45260号に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を
有するビニルモノマーの単独又はこれらのビニルモノマ
ーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げるこ
とができる。これらのバインダーは単独で使用しても良
く、2種以上を併用しても良い。
【0036】中でも、ポリビニルアルコールを含有する
ことが皮膜の吸湿性、高湿下のベタツキ、インクジェッ
ト記録時の染料の滲みが少ない事などから好ましい。
【0037】このポリビニルアルコールにはカチオン変
性、ノニオン変性及びアニオン変性の各変性ポリビニル
アルコールも含まれる。ポリビニルアルコールの平均重
合度は造膜性の観点から500〜5000のものが好ま
しく用いられ、特に平均重合度が1000以上のものが
好ましい。
【0038】ポリビニルアルコールのケン化度は70〜
100%のものが好ましく、80〜100%のものが特
に好ましい。カチオン変成ポリビニルアルコールとして
は、例えば特開昭61−10483号公報に記載されて
いるような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム
基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有す
るポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有する
エチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケ
ン化することにより得られる。
【0039】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(メタクリルアミドプロピル)アンモ
ニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメ
チルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0040】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.2
〜5モル%である。
【0041】アニオン変性ポリビニルアルコールは例え
ば、特開平1−206088号公報に記載されているよ
うなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開
昭61−237681号公報、及び同63−30797
9号公報に記載されているような、ビニルアルコールと
水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開
平7−285265号公報に記載されているような水溶
性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0042】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0043】本発明のインクジェット記録シートにおい
てインク受理層に含有される無機超微粒子のバインダー
に対する重量比率は4〜20倍である。4倍未満の時は
インク吸収性の低下を、20倍を越えると皮膜の脆弱性
が大きく劣化し、高画質のインクジェット記録が出来な
くなる。
【0044】本発明におけるインク受理層には、さら
に、その他の添加剤として、無機顔料、カチオン系染料
定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、
抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔
料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防バイ剤、耐
水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤および酸化防
止剤などを本発明の目的を害しない範囲で適宜添加する
こともできる。
【0045】本発明における支持体としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ノルボルネ
ン、ビニロン、ポリビニルアルコール、ナイロンなどの
2軸延伸合成樹脂フィルムやこれら材料に顔料、発泡剤
などを含有して透明度を低下させた半透明、不透明の2
軸延伸合成樹脂フィルムや、LBKP、NBKPなどの
化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTM
P、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古
紙パルプなどの木材パルプと従来公知の顔料を主成分と
して、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向
上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1
種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツイン
ワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された原紙、さら
に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズ
プレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上
にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコー
ト紙などの塗工紙、およびマシンカレンダー、TGカレ
ンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用い
て平滑化処理を施した原紙、塗工紙の両面または片面に
溶融押し出し法などにて高密度、低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステルなどをコートしたレジン
コート紙、あるいはこれら支持体の表面にコロナ放電処
理、火炎処理、プラズマ処理、アンカー層塗工処理など
の易接着性を改良したものを好適に用いることができ、
これら支持体の坪量は、通常50〜300g/m2程度
である。
【0046】本発明におけるインク受理層を支持体上に
設ける方法としては、水またはアルコールなどの親水性
有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒を用いて、例え
ば、従来公知のエアーナイフコーター、カーテンコータ
ー、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコ
ーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコータ
ー、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコ
ーター、サイズプレスなどの各種装置により支持体上に
塗工することができる。また、インク受理層の塗工後に
は、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパカレン
ダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いて
平滑化処理を行うことができる。
【0047】インク受理層はある一定の塗工量を数回に
分けて塗設することもできる。数回に分割してインク受
理層を塗工する方法としては、1層ごとに乾燥して塗工
する場合と、複数層をウェット・オン・ウェットで同時
に塗工する方法を挙げることができる。
【0048】本発明のインク受理層の塗工量は特に制限
はないが、1〜50g/m2が好ましい。塗工量が1g
/m2未満であると十分な印字濃度およびインク吸収性
が得られないため好ましくなく、塗工量が50g/m2
を超えると記録シートのカール性が悪化する場合がある
ため好ましくない。
【0049】また、支持体を挟んだインク受理層の反対
面には、カール適性を付与するために、バックコート層
を塗設することも可能である。
【0050】本発明で云うインクとは、下記の色素、溶
媒、その他の添加剤からなる記録液体であり、色素とし
ては、発色性、鮮明性、安定性などが良好な、例えば、
C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 24、C.I.Di
rect Yellow 26、C.I.DirectYellow 44、C.I.Direct Ye
llow 86、C.I.Direct Yellow 98、C.I.Direct Yellow 1
00、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct red 1、C.I.D
irect red 4、C.I.Direct red 17、C.I.Direct red 2
8、C.I.Direct red 83、C.I.Direct Orenge 34、C.I.Di
rect Orenge 39、C.I.Direct Orenge 44、C.I.Direct O
renge 46、C.I.Direct Orenge 60、C.I.Direct Violet
47、C.I.Direct Violet 48、C.I.DirectBlue 6、C.I.Di
rect Blue 22、C.I.Direct Blue 25、C.I.Direct Blue
71、C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 90、C.I.Di
rect Blue 106、C.I.Direct Blue 199、C.I.Direct Bla
ck 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 32、
C.I.Direct Black 51、C.I.Direct Black 62、C.I.Dire
ct Black 71、C.I.DirectBlack 108、C.I.Direct Black
146、C.I.Direct Black 154などの直接染料、C.I.Acid
Yellow 11、C.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 2
3、C.I.Acid Yellow25、C.I.Acid Yellow 29、C.I.Acid
Yellow 42、C.I.Acid Yellow 49、C.I.Acid Yellow 6
1、C.I.Acid Yellow 71、C.I.Acid red1、C.I.Acid red
6、C.I.Acidred 8、C.I.Acid red 32、C.I.Acid red 3
7、C.I.Acidred 51、C.I.Acid red 52、C.I.Acid red 8
0、C.I.Acid red 85、C.I.Acid red 87、C.I.Acid red
92、C.I.Acid red 94、C.I.Acid red 115、C.I.Acid re
d 180、C.I.Acid red 256、C.I.Acid red 317、C.I.Aci
d red 315、C.I.Acid Orenge 7、C.I.AcidOrenge 19、
C.I.Acid Violet 49、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Blue
22、C.I.Acid Blue 40、C.I.Acid Blue 59、C.I.Acid
Blue 93、C.I.Acid Blue 102、C.I.Acid Blue104、C.I.
Acid Blue 113、C.I.Acid Blue 117、C.I.Acid Blue 12
0、C.I.Acid Blue167、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid B
lue 234、C.I.Acid Blue 254、C.I.AcidBlack 2、C.I.A
cid Black 7、C.I.Acid Black 24、C.I.Acid Black 2
6、C.I.Acid Black31、C.I.Acid Black 52、C.I.Acid B
lack 63、C.I.Acid Black 112、C.I.Acid Black118 な
どの酸性染料、その他にも塩基性染料、反応性染料或は
食品用色素などの水溶性染料あるいは、カーボンブラッ
クなどの顔料を用いることができる。
【0051】インクの溶媒としては、水および水溶性の
各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアル
コール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコー
ルなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド
類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまた
はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール
類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6
−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレン
グリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基
が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エ
チレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級
アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0052】上記の水溶性有機溶剤の中でも、特にジエ
チレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレン
グリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アル
キルエーテルが好ましい。
【0053】上記の水溶性の有機溶剤以外にも、高沸点
脂肪族炭化水素に代表される引火性、毒性などの安全性
に優れた非水溶性絶縁溶剤を用いる場合があり、各種無
機顔料、有機顔料などが色素として用いられることが多
い。
【0054】本発明におけるインクジェット記録シート
のインク受理層への記録では、記録時に液状であるイン
クを使用するどのような記録シートとして用いてもかま
わない、例えば、熱溶融性物質、染顔料などを主成分と
する熱溶融性インクを樹脂フィルムや高密度紙、合成紙
などの薄い支持体上に塗布したインクシートをその裏側
より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用
受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液適
化、飛翔記録するインクジェット記録シート、光重合性
モノマーおよび無色または有色の染顔料を内包したマイ
クロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応す
る受像シートなどが挙げられる。
【0055】これら記録シートの共通点は、記録時にイ
ンクが液体状態である点である。液状インクは硬化、固
定または定着までに記録シートのインク受理層の深さ方
向または水平方向に対して浸透または拡散していく。上
述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収
性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シ
ートを上述した各種の記録用タックシートとして利用し
ても構わない。
【0056】インク中に添加されるその他の添加剤とし
ては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、酸化防止剤、
防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面
活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0057】
【実施例】以下に、本発明の実施例を挙げて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。ま
た、実施例において示す「部」および「%」は、特に明
示しない限り重量部および重量%を示す。
【0058】〔評価方法〕 (1)光沢度 各インクジェット記録シートの表面について、JIS−
Z−8741に規定される60度鏡面光沢度を測定し下
記のランクで評価した。 A:81゜以上 B:71〜80゜ C:61〜70゜ D:51〜60゜ E:50゜以下
【0059】(2)膜強度 各インクジェット記録シートの表面について、JIS−
K−5400で規定されている鉛筆硬度試験を行い、膜
硬度の評価を行った。実用的にはHB以上が良好であ
る。
【0060】(3)耐ブロッキング性 黒色ベタ印字したインクジェット記録シートを市販のク
リウポケットファイルに入れ、8g/cm2の圧力をか
けた状態で12時間保持した後、ブロッキングの状態を
観察した。 ◎:問題点がなく非常に優れている。 ○:優れている。 △:実用限度である。 ×:使用できない。
【0061】(4)耐水性 各インクジェット記録シートのインク受理層上にインク
ジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2
C)でブラックインクのベタ印字を行った後に透明高分
子膜で被覆したインクジェット記録シートを用いて、白
紙と印字の境界部分にシリンジを用いて水を1ml滴下
後、24時間放置した。放置した後の滲み程度を目視評
価した。A〜Bが実用的に使用できる。 A:滲みは全く観察されない。 B:滲みが極わずかに観察された。 C:滲みが発生し、部分的にしみが観察された。 D:滲みが酷く、水滴下全体がしみとなった。
【0062】(5)耐オゾン性 各インクジェット記録シートのインク受理層上にインク
ジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2
C)でブラックインクのベタ印字を行った後に透明高分
子膜で被覆したインクジェット記録シートを、オゾン導
入口および排出口の付いたガラス容器中に入れ、三菱電
機製オゾナイザOS−1にて発生させたオゾンを15分
間連続して導入した。この時のオゾン濃度は約80pp
mであった。これらのインクジェット記録用シートのオ
ゾン処理前後のマゼンタインク色の色差を測定した。色
差は、L***(CIE1976)に従って光照射前
後のサンプルの色を測定した結果を基に、下記数1で規
定することができる。色差が大きいほど、色劣化が生じ
ていることを示し、色差が3.0未満であれば視覚上、
色の違いに大差はない。
【0063】
【数1】 △E={(△L*2+(△a*2+(△b*21/2 ここで、△Eは色差、△L*および△a*と△b*は、各
々光照射前後のL*およびa*とb*の差である。
【0064】(6)耐光性 各インクジェット記録シートのインク受理層上にインク
ジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2
C)でブラックインクのベタ印字を行った後に透明高分
子膜で被覆したインクジェット記録シートを、キセノン
アークフェードメーター、アトラス製Ci−35fを用
い、ブラックパネル温度63℃、相対湿度65%RHの
環境下で30時間の光照射した前後のブラックインク色
の色差を測定した。色差の測定法は耐オゾン性試験に準
ずる。
【0065】(7)耐白紙黄変性 各インクジェット記録用シートの白紙部分に対して、上
記の耐光性試験に準ずる条件でキセノン光を照射した。
照射前後の色差をミノルタ製CR−100を用いて測定
し、黄変化の程度として、照射前後のb* の差(△b
* )で表した。この数値が小さい程、黄変化が少ないこ
とを示す。
【0066】(8)画像滲み 耐水性試験と同様にして、各インクジェット記録シート
のインク受理層に、インクジェットプリンター(EPS
ON製、MJ−700V2C)でブラックインクのベタ
印字を行った後に、透明高分子膜を形成した。各インク
ジェット記録シートにマゼンタの1ピクセル格子画像を
印字した。印字直後に画像滲みの程度を目視評価し、次
いで30℃、65%の環境下に3日間、7日間と放置し
た後の画像滲みの程度をさらに目視評価した。◎〜△が
実用的である。 ◎:光学顕微鏡による観察でも滲みは全く観察されず良
好であった。 ○:光学顕微鏡による観察で、極わずかな滲みだしが観
察できたが、画像品質には影響しない。 △:裸眼で、わずかな滲みが部分的に観察できた。 ×:画像全体に渡って滲みが酷く、画像品質の低下は避
けられない。
【0067】実施例1 支持体として、厚さ100μmの不透明白色ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルヘキスト製)
を用い、無機顔料を用いた下記配合のインク受理層塗工
液をワイヤーバーにより乾燥塗工量が20g/m2とな
るように塗工して、乾燥温度70℃で10分間の乾燥を
行った。 (インク受理層塗工液配合) 気相法シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製) 100部 ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ社製) 20部 染料定着剤(スミレッツレジン1001:住友化学社製) 5部
【0068】この記録シートに、インクジェットプリン
ター(EPSON製、MJ−700V2C)を用いて画
像を形成した後、合成高分子エマルジョンとして、ガラ
ス転移温度25℃のアクリル系エマルジョン(ボンコ−
トAN127:大日本インキ社製)を樹脂分25重量%
に希釈したものを刷毛により塗布し、90℃の雰囲気で
加熱乾燥し厚さ約5μmの透明高分子膜を形成し、実施
例1の記録物を得た。
【0069】実施例2 実施例1において気相法シリカを擬ベーマイトゾル(カ
タロイドAS−3、触媒化成工業社製)に変え、且つ乾
燥温度110℃で3分間乾燥を行った以外は実施例1と
同様にして実施例2の記録物を得た。
【0070】実施例3 支持体として、厚さ100μmの不透明白色ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルヘキスト製)
を用い、無機顔料を用いた下記配合のインク受理層塗工
液をワイヤーバーにより乾燥塗工量が10g/m2とな
るように塗工して、乾燥温度100℃で5分間の乾燥を
行った。 (インク受理層塗工液配合) 合成非晶質シリカ(ミズカシルP78A、水沢化学製) 100部 ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ社製) 20部 染料定着剤(ポリフィックス601,昭和高分子製) 10部
【0071】次いで、実施例1で示したインク受理層を
ワイヤーバーにより乾燥塗工量が10gとなるように積
層塗工して、乾燥温度140℃で5分間乾燥を行った。
【0072】この記録シートに、インクジェットプリン
ター(EPSON製、MJ−700V2C)を用いて画
像を形成した後、合成高分子エマルジョンとして、ガラ
ス転移温度45℃のアクリル系エマルジョン(アロンA
−140:東亞合成社製)を樹脂分35重量%に希釈し
たものを刷毛により塗布し、100℃の雰囲気で加熱乾
燥し厚さ約5μmの透明高分子膜を形成し、実施例3の
記録物を得た。
【0073】実施例4 実施例3において気相法シリカを擬ベーマイトゾル(カ
タロイドAS−3、触媒化成工業社製)に変える以外は
実施例3と同様にして実施例4の記録物を得た。
【0074】実施例5 支持体として、厚さ100μmの不透明白色ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルヘキスト製)
を用い、無機顔料を用いた下記配合のインク受理層塗工
液をワイヤーバーにより乾燥塗工量が20g/m2とな
るように塗工して、乾燥温度100℃で5分間の乾燥を
行った。 (インク受理層塗工液配合) 気相法シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製) 100部 ポリビニルピロリドン(PVPK−80、ISP社製) 20部 染料定着剤(ポリフィックス601,昭和高分子製) 3部
【0075】この記録シートに、インクジェットプリン
ター(EPSON製、MJ−700V2C)を用いて画
像を形成した後、合成高分子エマルジョンとして、ガラ
ス転移温度60℃のアクリル系エマルジョン(AE12
5:JSR社製)を樹脂分30重量%に希釈したものを
刷毛により塗布し、100℃の雰囲気で加熱乾燥し厚さ
約5μmの透明高分子膜を形成し、実施例5の記録物を
得た。
【0076】実施例6 支持体として、厚さ100μmの不透明白色ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルヘキスト製)
を用い、無機顔料を用いた下記配合のインク受理層塗工
液をワイヤーバーにより乾燥塗工量が20g/m2とな
るように塗工して、乾燥温度100℃で5分間の乾燥を
行った。 (インク受理層塗工液配合) 気相法シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製) 100部 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20部 (メトローズ 60SH、信越化学社製) 染料定着剤(ポリフィックス601,昭和高分子製) 6部
【0077】この記録シートに、インクジェットプリン
ター(EPSON製、MJ−700V2C)を用いて画
像を形成した後、合成高分子エマルジョンとして、ガラ
ス転移温度80℃のアクリル系エマルジョン(AE13
1:JSR社製)を樹脂分35重量%に希釈したものを
刷毛により塗布し、120℃の雰囲気で加熱乾燥し厚さ
約5μmの透明高分子膜を形成し、実施例6の記録物を
得た。
【0078】実施例7 支持体として、厚さ100μmの不透明白色ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム(ダイヤホイルヘキスト製)
を用い、無機顔料を用いた下記配合のインク受理層塗工
液をワイヤーバーにより乾燥塗工量が20g/m2とな
るように塗工して、乾燥温度100℃で5分間の乾燥を
行った。 (インク受理層塗工液配合) 気相法シリカ(アエロジル200、日本アエロジル社製) 100部 ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ社製) 20部 染料定着剤(ポリフィックス601,昭和高分子製) 5部
【0079】この記録シートに、インクジェットプリン
ター(EPSON製、MJ−700V2C)を用いて画
像を形成した後、水溶性高分子化合物であるポリビニル
アルコール(PVA105、クラレ社製)の10%水溶
液を刷毛により塗布し、90℃の雰囲気で加熱乾燥し厚
さ約4μmの透明高分子膜を形成し、実施例7の記録物
を得た。
【0080】実施例8 実施例1において合成高分子エマルジョンを、ガラス転
移温度−16℃のアクリル系エマルジョン(AE83
1:JSR社製)の樹脂分30重量%の希釈物であるこ
と以外は実施例1と同様にして、実施例8の記録物を得
た。
【0081】実施例9 実施例1において合成高分子エマルジョンを、ガラス転
移温度102℃のアクリル系エマルジョン(Aモビニー
ル970:ヘキスト合成社製)の樹脂分30重量%の希
釈物であること以外は実施例1と同様にして、実施例9
の記録物を得た。
【0082】比較例1 実施例1において、インク受理層に画像形成後、合成高
分子エマルジョンによる透明高分子膜を設けない事以外
は実施例1と同様にして比較例1の記録物を得た。
【0083】比較例2 実施例2において、インク受理層に画像形成後、合成高
分子エマルジョンによる透明高分子膜を設けない事以外
は実施例2と同様にして比較例2の記録物を得た。
【0084】以上に挙げた実施例1〜9および比較例1
〜2の各インクジェット記録シートの評価結果をまとめ
て表1に記した。
【0085】
【表1】
【0086】本発明において透明高分子膜は、無機超微
粒子を被覆することにより、色素が水に触れたり、空気
中の酸素、オゾン、NOx と反応したり、あるいは揮発
するのを防止し、さらに紫外線を遮蔽する機能を有す
る。基材が紙、布の場合のように空気等を透過するもの
であっても、色素はインク受理層の透明高分子層側によ
り多く定着されているので、同様に効果を発揮する。本
発明による実施例1〜9のインクジェット記録シートで
は、インク受理層中の色素が透明高分子膜で保護されて
いる為に、光沢度、インク受理層の膜強度、耐水性、耐
オゾン性、耐光性および白紙部の耐黄変性に優れていた
が、実施例7では合成高分子エマルジョンではなく、水
溶性高分子で保護膜を作ったために若干画像滲みが発生
した。また、実施例8および9では、合成高分子エマル
ジョンのガラス転移温度が適切ではなかった為に、実施
例8では若干耐ブロッキング性の悪化、実施例9では皮
膜形成が若干弱くガラス転移温度20〜90℃の合成高
分子エマルジョンの場合に比べて耐水性の悪化や耐オゾ
ン性、耐光性等の保存性悪化を招いた。従って実施例1
〜6の如く、ガラス転移温度20〜90℃の合成高分子
エマルジョンで記録後のインク受理層を被覆する事が光
沢度、膜強度、耐水性、耐オゾン性、耐光性、白紙部の
耐黄変性及び画像滲みの点で最も好ましい。
【0087】しかしながら、比較例1、2のインクジェ
ット記録シートでは、合成高分子エマルジョンの高分子
膜を設けなかったために光沢度、膜強度は低く、耐水性
や耐オゾン性等の保存性は著しく劣っていた。
【0088】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録シート及び
その製造方法は、耐水性、耐オゾン性、耐光性などの保
存性に優れ、長期間にわたって高画質を維持する保存安
定性を有する。特に、水性インクを用いた記録に対して
好適である。また、本発明の製造方法は、記録物に好ま
しい光沢、膜強度を付与することができるという効果も
有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも1層以上のイン
    ク受理層を設け、該インク受理層の最上層が無機超微粒
    子とバインダーからなるインクジェット記録シートにお
    いて、該インク受理層が透明高分子膜で被覆されるイン
    クジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 無機超微粒子が気相法シリカよりなる請
    求項1記載のインクジェット記録シート。
  3. 【請求項3】 支持体上に設けられたインク受理層に、
    色素を定着させて画像を形成した後、該インク受理層に
    透明仕上がりになる塗膜を形成する塗料を塗布乾燥して
    透明高分子膜を形成する請求項1又は2記載のインクジ
    ェット記録シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 該塗料がガラス転移温度20〜90℃の
    合成高分子エマルジョンであることを特徴とする請求項
    3記載のインクジェット記録シートの製造方法。
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