JP2002246708A - ウェットエッチングされた絶縁体及び電子回路部品 - Google Patents
ウェットエッチングされた絶縁体及び電子回路部品Info
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Abstract
縁層としての絶縁体、さらに具体的には、該絶縁体が適
用された電子回路部品、特に、ワイヤレスサスペンショ
ンを提供する。 【解決手段】 ウェットプロセスによってエッチング可
能な、一層以上の絶縁ユニット層を積層した絶縁体が、
ウエットエッチングされた後に熱処理して得られた絶縁
体である。該絶縁体は、第1無機物層−絶縁層−第2無
機物層、又は、無機物層−絶縁層からなる層構成の積層
体の絶縁層として主として存在するものであり、該無機
物層の少なくとも一部が除去されて絶縁層が露出してい
る。
Description
として金属層)−絶縁層−第2無機物層(主として金属
層)、又は無機物層(主として金属層)−絶縁層という
層構成からなる積層体における絶縁層を構成する複数の
樹脂層のウエットプロセスによるエッチングに適した積
層体及び該積層体をウエットプロセスでエッチングを行
って得られた電子回路部品、特に、ハードディスクドラ
イブ用サスペンションに関する。
半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ
化、電子部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密
度実装の時代に突入した。それに伴い、プリント配線基
板も片側配線から両面配線へ、さらに多層化、薄型化が
進められている(岩田, 原園, 電子材料,35(1
0),53(1996))。
ーン形成方法には、金属層−絶縁層−金属層という層構
成における基板上の金属層を塩化第二鉄のような酸性溶
液でエッチングし、配線を形成した後、層間の導通をと
るために、プラズマエッチング、レーザーエッチング等
のドライ状態や、ヒドラジン等のウエット状態で絶縁層
を所望の形に除去し(特開平6−164084号公
報)、めっきや導電ペースト等で配線間をつなぐ方法が
ある。また、別のパターン形成方法には、感光性ポリイ
ミド(特開平4−168441号公報)などを用いて絶
縁層を所望の形に設けた後に、その空隙にめっきで配線
を形成する方法(エレクトロニクス実装学会第7回研究
討論会予稿集 1999年発行)などがある。
により、金属層−高分子絶縁体層それぞれの薄膜化が進
んでおり、それぞれ100μm以下の膜厚で用いられる
ことが多い。このように薄膜で配線を作製した際、金属
層−高分子絶縁体層の熱膨張係数の差により、配線に反
りを生じてしまう。
導体層の熱的性質がわかれば、次式により算出できる
(宮明,三木,日東技報,35(3),1,(199
7)。
−絶縁層−第2金属層という構成からなる積層体におけ
る金属層をエッチングして配線を形成するために用いら
れる積層体に、積層体の反りを低減する為、金属層と絶
縁層との熱膨張率を同じにする必要性がある。そのため
に、このような積層体の絶縁層として低膨張性のポリイ
ミドを用いることが提案されている(USP4,54
3,295、特開昭55−18426号公報、特開昭5
2−25267号公報)。
可塑性ではないため、金属層との接着性に乏しく、実用
に耐えうるような密着力を得るのは困難である。そこ
で、金属層に対して密着性が良好な熱可塑性のポリイミ
ド系樹脂やエポキシ樹脂を、金属層と低膨張性ポリイミ
ドの絶縁層(コア層)の間に接着性絶縁層として用いる
ことが知られている(特開平7−58428号公報)。
く、金属と積層すると反りの発生の原因となる。そこ
で、金属と熱膨張率が近い低膨張性のコア絶縁層の厚み
を、接着層の厚みより厚くすることで積層体全体として
反りが表面に現れないようにしている。接着性絶縁層は
薄ければ薄いほど反りに対してはいいが、薄すぎると接
着性が損なわれる。また少なくとも、コア層の上下の接
着層を合わせた厚みがコア層の厚みの半分以下であれ
ば、反りが出ずらい。そのため、市販の電子回路部品用
に加工される積層体は、接着性絶縁層の厚みの和がコア
絶縁層の厚みの半分以下になっている場合が多く、密着
性を保てる最低限の膜厚で形成されていることが理想と
されている(特開平01−245587)。
の急激な伸びに伴い、それに組み込まれているハードデ
ィスクドライブもまた生産量が増大している。ハードデ
ィスクドライブにおける、磁気を読み取るヘッドを支持
しているサスペンションといわれる部品は、ステンレス
の板ばねに、銅配線を接続するものから、小型化への対
応のためステンレスの板ばねに直接銅配線が形成されて
いるワイヤレスサスペンションといわれるものへと主製
品が移り変わりつつある。
層−接着性絶縁層−コア絶縁層−接着性絶縁層−第2金
属層からなる積層体を用いて作製されているものが主流
である。該積層体は、例えば、第1金属層を銅の合金
箔、第2金属層をステンレス箔とし、絶縁層を、コア絶
縁層と該コア絶縁層の両面に積層された接着性絶縁層と
したものが挙げられる。該積層体を用いたワイヤレスサ
スペンションは、高速で回転するディスク上をスキャン
することから細かな振動が加わる部材であるため、配線
の密着強度は非常に重要である。したがって、該積層体
を用いたワイヤレスサスペンションは、厳しいスペック
が求められている。
録する装置であるので、データの読み書きに対する高度
な信頼性が要求され、そのためにはワイヤレスサスペン
ションから発生する塵などのごみ及びアウトガスを最大
限に減らさなければならない。
品は、主にメッキにより配線を形成するアディティブ法
と、銅箔をエッチングすることで配線を形成するサブト
ラクティブ法の2種類の作製法がある。サブトラクティ
ブ法の場合、絶縁層であるポリイミドのパターニングを
行うのに、専らドライプロセスによるプラズマエッチン
グ法が用いられている。
ペックを満たす電子回路部品における低膨張性の絶縁層
(コア絶縁層)と金属層との接着に用いられる接着性絶
縁層は高度の絶縁信頼性を確保する必要性からポリイミ
ド系樹脂が用いられている。ポリイミド系樹脂に接着性
を持たせる為には、熱可塑性を与えるのが一般的ではあ
るが、熱可塑性を与えるような柔軟な構造をポリイミド
骨格内に導入すると耐薬品性が強くなるものが多い。し
たがって、このような接着性を持たせたポリイミド樹脂
はウエットプロセスにおけるエッチング適性が劣る傾向
となり、コア絶縁層に比べてウェットプロセスでエッチ
ングしにくいという理由から、プラズマやレーザーを用
いたドライプロセスで絶縁層のエッチングを一括して行
なっている。
に枚様毎の処理(枚様式)がなされるため、生産性が悪
く、また装置も高価なため生産コストが非常に高くなっ
てしまう欠点がある。一方、ウエットプロセスは、長尺
物に対して連続処理にてエッチングが可能であるため生
産性が高く、装置コストも安いというメリットがある
る。しかしながら、ワイヤレスサスペンションにおいて
は、コア絶縁層はエッチングされやすいが、接着性絶縁
層がエッチングされにくいため、接着性絶縁層が張り出
したようになって残り、エッチング形状がきれいになら
ず、エッチングムラが発生し、ワイヤレスサスペンショ
ンの使用中に発塵するという問題がある。したがって、
厳しいスペックが求められているワイヤレスサスペンシ
ョン用の積層体に対してはウエットプロセスが実用化で
きる程度には実現していない。
−第2無機物層、又は、無機物層−絶縁層からなる層構
成の積層体の絶縁層として存在する絶縁体が、ウエット
エッチングが施されても、前記した不都合がなく、使用
時に発塵が抑制された積層体における絶縁層としての絶
縁体、さらに具体的には、該絶縁体が適用された電子回
路部品、特に、ワイヤレスサスペンションを提供するこ
とを目的とする。
を重ねた結果、第1無機物層−絶縁層−第2無機物層、
又は、無機物層−絶縁層からなる層構成の積層体の絶縁
層として存在する絶縁体が、ウエットエッチングが施さ
れても、ウエットエッチング端面に熱処理を施せば、該
端面が堅固になり、発塵が抑制されることを見出した。
てエッチング可能な、一層以上の絶縁ユニット層を積層
した絶縁体が、ウエットエッチングされた後に熱処理さ
れてなることを特徴とする絶縁体である。
層−絶縁層−第2無機物層、又は、無機物層−絶縁層か
らなる層構成の積層体の絶縁層として主として存在する
ものであり、該無機物層の少なくとも一部が除去されて
絶縁層が露出していることを特徴とする。
ハードディスクドライブ用サスペンションの絶縁層とし
て適用されることが有用である。
てエッチング可能な絶縁体」とは、ウエットエッチング
した場合に良好なエッチング形状が得られる絶縁体を意
味し、例えば、絶縁層が二層以上の絶縁ユニット層が積
層されている絶縁体では、ウエットエッチング時の各層
のエッチングレートの比が6:1〜1:1、好ましくは
4:1〜1:1の範囲内にあるものをいい、この範囲内
のエッチングレートを持つ各絶縁ユニット層を選択すれ
ば、絶縁層が良好なエッチング形状となる。したがっ
て、従来、厳しいスペックが求められているワイヤレス
サスペンション用の積層体でもウエットエッチングが精
度良く行えるので、ドライエッチングに比べて短時間の
エッチングが可能な生産性のよいウエットエッチングの
適用が可能になる。
抑制されるメカニズムは次のように考えられる。絶縁層
のウエットエッチングについて、アルカリ溶液でのポリ
イミド系樹脂のエッチングを例にとって説明する。ウエ
ットプロセスは、水酸化物イオンにより絶縁体における
イミド結合その他の加水分解されやすい結合(例えばエ
ステル結合等)を加水分解するものである。絶縁体がポ
リイミド樹脂である場合にはポリイミドが加水分解によ
り低分子量化し、または、アミック酸となり溶解性が増
しエッチング液に溶出する。
グ後に、エッチング液に溶出しなかったもので長い分子
鎖のうち部分的に分解されアミック酸となったり、エッ
チング液に溶出しないもので分子量が小さくなっている
ものが、パターンの端面に残存している可能性が高いと
考えられる。これら、加水分解によって切断された部位
は、活性が低く他の原子との反応はしにくい状態にある
為、パターンの端面は、エッチング液にさらされていな
い部位に比べると、分子量が低く強度的にもろくなって
いると考えられ、これが発塵の原因と考えられる。
もろくなったエッチング端面に熱処理を施すと、堅固に
強化される。その理由は、前記加水分解により切断され
て生成した低分子量化合物中の分子鎖のアミノ基、ジカ
ルボキシル基及びアミック酸が熱により比較的反応しや
すいので、加熱によりこれらの基が反応して分子鎖同士
が結合し、エッチング端面が強固になったものと考えら
れる。
処理された絶縁体は、部分的に脱落や剥離が起こりずら
くなり、発塵が抑制される効果が生じる。
対してドライ状態で活性化処理するものであり、大量処
理に適しているので有利である。
明する。
絶縁体は、一層以上の絶縁ユニット層を積層してなる絶
縁体であり、ウエットエッチング後のエッチング端面に
対する熱処理による端面補強効果は、絶縁体が単層でも
二層以上の積層体からなるものでも同様である。
る場合には、その絶縁体の層構成は、接着性絶縁層−コ
ア絶縁層−接着性絶縁層からなる積層構造が好ましい。
本発明の絶縁体が表裏面に接着性絶縁層を計2層有し、
内部に低膨張率のコア絶縁層を有するものであるなら
ば、接着性絶縁層の厚みはコア絶縁層の1/4の厚みで
あることが反りの発生を抑制するので望ましい。
ット層は、通常、有機材料を用いて作製される。しかし
ながら、絶縁体を構成する絶縁ユニット層のうち少なく
とも一つの絶縁ユニット層に無機材料が配合されていて
もよい。該無機材料には、例えば、コロイダルシリカ、
ガラス繊維、その他の無機フィラーが挙げられる。
れるという観点から、絶縁体を構成する絶縁ユニット層
の少なくとも一層がポリイミド樹脂であることが好まし
く、さらに好ましくは全てがポリイミド樹脂であること
が望ましいが、耐熱性や絶縁性を有する樹脂、或いは該
樹脂に無機材料が添加されたものであれば特に限定され
ず、樹脂中のイミド結合の有無によらない。
(主として金属層)と積層されて、電子回路部品、特
に、ハードディスクドライブ用サスペンションに好適に
利用できる。したがって、該電子回路部品の反り防止の
観点から、絶縁体は低膨張性の絶縁体、特にポリイミド
樹脂の層を有することが好ましく、その熱膨張率は積層
される無機物とほぼ同等の値であることが反り防止に好
ましい。この場合の低膨張性とは、熱膨張率が30pp
m以下の物質のことをいう。さらに好ましくは、本発明
の絶縁体を構成する少なくとも1つの絶縁ユニット層の
線熱膨張率と前記無機物層の線熱膨張率との差異が15
ppm以内であることが望ましい。該線熱膨張率を持つ
樹脂には、例えば、低膨張性ポリイミドが好ましく用い
られる。
して用いられる樹脂には、好ましくは被着体との密着力
が100g/cm以上の接着性ポリイミドが挙げられる
が、同様な接着性、及び耐熱性や絶縁性が良好な樹脂で
あれば特に限定されず、イミド結合の有無によらない。
本発明の絶縁体における接着性絶縁層には主に熱可塑性
ポリイミドが用いられるが特に限定されない。また、本
発明の絶縁体は被着体との接着性の相性により発現する
密着力が異なる場合があるので、被着体の種類が異なる
場合や、被着体と接着されてなる積層体に要求される特
性に応じて、接着性ポリイミドを適宜選択する必要があ
る。したがって、絶縁層の表裏面にそれぞれ種類の異な
った無機物層が積層される場合には、各無機物層に接す
る各接着性絶縁層の材料として必ずしも同一の組成の接
着性ポリイミドを用いる必要はない。
用上問題ない範囲の強度を保てれば、どのような分子量
でも良い。特に、重量平均分子量が、その分子構造にも
よるが一般に6000以上500000以下が好まし
い。特に好ましくは8000以上100000以下であ
る。分子量が500000以上であると、均一な塗膜を
得難く、6000以下では成膜性が悪く均一な接着性の
塗膜が得られにくい。なおこの分子量の範囲は、もとも
と高分子の樹脂を用いて絶縁体を構成した場合の分子量
の範囲を規定するものであり、低分子材料を用いて層を
形成し、その後、熱処理等によって高分子量化させるよ
うな手段で作製された絶縁体に関しては、適用されな
い。
により成形されてもよいし、別な方法、例えば、独立し
たフィルム形態のものを用いてもよい。さらに、前駆体
やその誘導体の状態で成形後に処理を行うことにより所
望の化学構造にしてもよい。
れる場合には、該電子回路部品の積層材料の層構成は、
第1無機物層−絶縁層−第2無機物層、又は、無機物層
−絶縁層からなり、本発明の絶縁体は該積層体の絶縁層
として主として存在する。その積層体の製造方法は無機
物に直接、絶縁体となる材料の溶液を1層以上塗布・積
層することにより絶縁層を成形し、さらにもう一方の無
機物を積層後、熱圧着することにより作製する方法(キ
ャスト法)でも、予め用意されたコア絶縁フィルムに接
着性絶縁層を形成し、その上下に無機物を積層し熱圧着
して作製する方法(フィルム法)または、接着性絶縁層
をフィルム上に形成後、蒸着やスパッタ・めっき等で無
機物層を形成する方法等、最終的な積層体の層構成さえ
同じであれば、その作製方法は特に限定するものではな
い。
る、無機物層の無機物とは広く有機物ではないものを指
し、たとえば、金属や金属酸化物、単結晶シリコンやそ
れを加工した半導体製品等が挙げられる。特に、本発明
の絶縁体がハードディスクドライブ用サスペンションに
適用される場合には、バネとしての特性が必要なことか
らステンレス等の高弾性な金属と配線となる銅箔や合金
銅箔との積層が好ましい。
るウエットエッチングされた絶縁層に関するものであ
り、積層体としたときにいかなる無機物層と積層されて
いようとも、使用時に発塵が抑制された、積層体におけ
る絶縁層であれば、無機物層の種類は特に限定されな
い。
無機物層と積層体を形成した後に、ウエットエッチング
を行っても良いし、積層前にウエットエッチングを行っ
ても良い。本発明のウエットエッチングされた絶縁体に
は次のような態様が挙げられる。 絶縁フィルムの両面に対して、配線を形成した基板
となる無機物層を接着した後、絶縁フィルムのウエット
エッチングを行う。 無機物層の基板上に配線を形成した後に、絶縁フィ
ルムを接着し、その後、絶縁フィルム表面上に無機物層
を貼り付け、無機物層と絶縁フィルムをウエットエッチ
ングする。 予めウエットエッチングした絶縁フィルムを無機物
層へ貼り付ける。
縁体がポリイミドである場合には、通常、pH7.0を
超えるッチング液で行われる。
をウエットエッチングする場合を例にとると特開平10
−97081号公報に開示されるようなアルカリ−アミ
ン系エッチング液等が挙げられ、好適に利用できるが、
特に限定されない。具体的には、アルカリ性の水溶液で
あることが望ましく、好ましくはpHが9以上、さらに
好ましくは11以上の塩基性薬液を用いることがよい。
また、有機系のアルカリでもよいし無機系のアルカリで
もよく、更にその2種の混合形でもよい。
等の高精密度電子回路部品用の第1金属層−絶縁層−第
2金属層、又は、金属層−絶縁層からなる層構成の積層
体における、絶縁層を構成するコア絶縁層と接着性絶縁
層各1層の厚みの最大比が4:1であるところに着目
し、コア絶縁層のエッチングレートの1/4のエッチン
グレートを持つ接着性絶縁層であれば、同じ時間でエッ
チングされる為、良好な形状を得られると仮説を立て、
実験によりこれを証明した。絶縁層を構成する各絶縁ユ
ニット層のエッチングレートの大きいものと小さいもの
との比が、6:1乃至1:1の範囲内、好ましくは4:
1〜1:1の範囲内であれば、ウエットプロセスにおい
ても絶縁層全体のエッチングが均一に進行しエッチング
形状の良好なものが得られる。
何度でも良く、エッチャントがエッチャントとして性能
を発揮する温度であればよい。特にエッチャントが水溶
液であれば、0℃〜110℃の間が好ましく、温度が低
いと一般にエッチングレートが遅くなるため、また、温
度が高いと沸騰したりして作業性が良くないので、30
℃〜90℃の範囲であるのがより好ましい。さらに好ま
しくは成分の蒸発等によるエッチャント組成の変化を押
さえ、且つ、エッチング時間を短縮させるために、50
℃〜90℃でウエットエッチングを行うのが良い。
般の脱水反応が進行する温度であることが好ましく、具
体的には100℃以上が好ましい、また、生産性の観点
から熱処理に要する時間を短くする為に、180℃以上
で行うのがさらに好ましい。また、ポリイミドの分解を
避ける為に380℃以下で熱処理を行うのが好ましい。
300℃以上の高温で長時間熱処理を空気中で行うと、
ポリイミドがかえって劣化を起こしパーティクルの発生
が大きくなる場合もある。熱処理時間は、処理温度に応
じて0.01秒から30分の間で適宜調整できる。0.
01秒より短い時間だと熱処理の硬化が発現せず、30
分以上だと生産性が非常に低下する。
法、熱風が出ているノズルの下を通す方法、ホットプレ
ート上に載置したり、ホットプレート上を移動させる方
法等が挙げられるが特に限定されない。
は、配線や基板を腐食させない為に、不活性雰囲気下で
熱処理を行うのが好ましく、或いは、気圧が10-2To
rr以下の減圧条件で熱処理を行っても不活性雰囲気下
での熱処理と同等の結果が得られるので好ましい。
とができる。
層−絶縁層−第2無機物層、又は、無機物層−絶縁層)
の導電性無機物層表面に感光性樹脂層を塗布又はラミネ
ートによって形成する。形成された感光性樹脂層上に、
所望のパターンの像が描かれたマスクを密着させ感光性
樹脂が感度を持つ波長の電磁波を照射する。所定の現像
液でポジ型感光性樹脂であれば感光部を、ネガ型感光性
樹脂であれば未露光部を溶出させ、所望の回路の像を無
機物層上に形成する。この状態のものを塩化第二鉄水溶
液のような金属を溶解させる溶液に浸漬又は、溶液を基
板に噴霧することで露出している金属を溶出させた後
に、所定の剥離液で感光性樹脂を剥離し回路とする。次
いで、該金属表面に形成した回路上に同様にして所望の
パターンの像が描かれたマスクを密着させウエットプロ
セスで絶縁層をパターニングする。次いで、パターニン
グされた絶縁層に対して、熱処理を行う。
には、例えば、フレキシブルプリント基板等の配線盤、
CSP(チップスケールパッケージ)等の半導体関連部
品、トナージェットプリンタのノズル等のデバイス、特
に、ハードディスクドライブ用サスペンションが挙げら
れる。
SUS側の接着性絶縁層に使用する熱可塑性ポリイミド
Bと、コア絶縁層に使用する低膨張性ポリイミドを用意
した。エッチング試験に用いたエッチング液は、東レエ
ンジニアリング株式会社製アルカリ−アミン系ポリイミ
ドエッチング液 TPE−3000(商品名)を用意し
た。
5cmの大きさの膜厚の20μmのSUS304箔上に
バーコートで膜厚20μm〜40μmにコーティング
し、熱処理を加えることで、SUS上に各ポリイミド膜
を作製した。それらの塗布物を長さ約1.5cm、幅約
2cmに切り出し、中心部にカッターナイフで傷をつけ
た後に、膜厚を触針式膜厚計デックタックにて測定し、
初期の膜厚とした。その後、80℃に調節されたマグネ
チックスターラーにて渦ができる程度に撹拌されたポリ
イミドエッチング液を TPE−3000に、浸漬し時
間毎に初期膜厚を測定した場所と同じ場所の膜厚をデッ
クタックにて測定し、初期の膜厚から浸漬後の膜厚を差
し引いたものを、膜減り量とし、エッチングレートを求
めた。その結果を下記の表1に示す。
H−TA 箔(商品名、新日本製鉄(株)製、厚さ20
μm)−熱可塑性ポリイミドB(厚み1.5μm)−低
膨張性ポリイミド(厚み14.5μm)−熱可塑性ポリ
イミドA(厚み1.5μm)−圧延銅箔C7025(商
品名、オーリン社製、厚さ18μm)からなる層構成の
積層体を作製し、以下の実験に用いた。
に浸積し、銅箔をエッチングした。このようにして露出
させた接着層面に厚み50μmのアルカリ現像型ドライ
フィルムレジストを熱ラミネーターにより、6.5m/
minの速さで、ロールの表面の温度105℃で、2〜
4Kg/cmの線圧でラミネート後、15分間室温で放
置した。その後、所定のマスクを用いて密着露光機で1
00mJ/cm2露光した。室温で15分間放置後、N
a2 CO3 1重量%水溶液で、30℃、スプレー圧2K
gで40秒間ドライフィルムレジストを現像した。その
後、乾燥し、70℃でマグネチックスターラーで渦がで
きるほど攪拌したポリイミド用エッチング液TPE−3
000(商品名、東レエンジニアリング社製)に浸積
し、マスクの形状にきれいにポリイミド膜が除去された
時点で、取り出し、50℃の3重量%NaOH水溶液
で、スプレー圧1Kgでドライフィルムレジストを剥離
して絶縁層を作製した。このようにして得られた絶縁層
をタバイエスペック社製クリーンオーブンに200℃で
10分間投入して熱処理を行い、その前後のサンプル
(熱処理前をサンプルA、熱処理後をサンプルBとす
る)について以下の手順で、発塵量を測定した。
る)及び十分に洗浄したビーカー、ピンセットを準備し
た。
に選んだ絶縁層(各4パターン分)を、ビーカーに入
れ、一定量のブランクを注ぎ、超音波照射装置内に置
き、超音波を1分間照射した(抽出)。超音波照射後、
装置からビーカーを取出し、サンプルをピンセットで取
り出した。取り出した後の抽出液30mlを、HIAC
/ROYCO社製液体用自動微粒子測定装置、吸引方式
セミオートサンプリング装置、レーザーダイオード光遮
断方式センサを装備した測定装置にセットし、パーティ
クル量を測定した。サンプルを入れずに同様の測定を行
った結果をブランク値とした。測定装置の洗浄は測定毎
に行った。測定値からブランク値を差し引いたものをサ
ンプル測定結果とした。測定は、一つのサンプルあたり
5回行い、その平均値を最終測定結果とした。上記のよ
うにして得られた熱処理前サンプルAと熱処理後サンプ
ルBの測定値を下記の表2に示す。各サンプル欄のパー
ティクル量は4パターンの平均を示す。
の方が熱処理を行わないサンプルAよりも発塵量が少な
いことが分かる。
セスによりパターニングされた絶縁層に、熱処理が行わ
れているので、エッチング液に接触した絶縁層の端面は
超音波照射しても発塵が抑制されており、表面が改質さ
れている。したがって、本発明の絶縁体を電子回路部品
に適用した場合には、発塵の少ないものとなり、ウエッ
トプロセスを適用した電子回路部品の信頼性を高める。
特に、ハードディスクドライブ用サスペンションは、エ
ッチングにより除去される絶縁層の面積が広く、しかも
微細なパターンが必要とされていることから、ウエット
エッチングを適用する効果が大であるが、本発明の絶縁
体はウエットエッチングの信頼性を高めているので、ハ
ードディスクドライブ用サスペンションの絶縁層に好適
である。
Claims (18)
- 【請求項1】 ウェットプロセスによってエッチング可
能な、一層以上の絶縁ユニット層を積層した絶縁体が、
ウエットエッチングされた後に熱処理されてなることを
特徴とする絶縁体。 - 【請求項2】 前記熱処理は100℃以上、400℃以
下の温度で、0.01秒以上且つ30分以内で行われた
ものである請求項1記載の絶縁体。 - 【請求項3】 前記熱処理は不活性雰囲気下で行われた
ものである請求項1又は2記載の絶縁体。 - 【請求項4】 前記熱処理は10-2Torr以下の減圧
下で行われたものである請求項1又は2記載の絶縁体。 - 【請求項5】 前記絶縁ユニット層の全ての層が有機材
料を含む請求項1乃至4の何れか1項記載の絶縁体。 - 【請求項6】 前記絶縁ユニット層の全ての層が有機材
料を含み、且つ該ユニット層の少なくとも1層はさらに
無機材料を含む請求項1乃至4の何れか1項記載の絶縁
体。 - 【請求項7】 前記有機材料がポリイミド樹脂である請
求項5又は6記載の絶縁体。 - 【請求項8】 前記絶縁ユニット層の少なくとも一層が
線熱膨張率30ppm以下の低膨張性ポリイミドである
請求項1乃至7の何れか1項記載の絶縁体。 - 【請求項9】 前記ウェットプロセスによってエッチン
グ可能な、一層以上の絶縁ユニット層を積層した絶縁体
が、接着性ポリイミド−線熱膨張率30ppm以下の低
膨張性ポリイミド−接着性ポリイミドからなる層構成で
ある請求項1乃至8の何れか1項記載の絶縁体。 - 【請求項10】 前記ウエットエッチングがpH7.0
を超えるエッチング液で行われたものである請求項1乃
至9の何れか1項記載の絶縁体。 - 【請求項11】 前記絶縁体が、第1無機物層−絶縁層
−第2無機物層、又は、無機物層−絶縁層からなる層構
成の積層体の絶縁層として存在するものであり、該無機
物層の少なくとも一部が除去されて絶縁層が露出してい
ることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載
の絶縁体。 - 【請求項12】 前記無機物層の全てが銅又は銅に表面
処理を施した物質である請求項11記載の絶縁体。 - 【請求項13】 前記無機物層の全てが合金銅又は合金
銅に表面処理を施した物質である請求項11記載の絶縁
体。 - 【請求項14】 前記無機物層の全てがステンレス又は
ステンレスに表面処理を施した物質である請求項11記
載の絶縁体。 - 【請求項15】 前記無機物層のうち一層がステンレス
又はステンレスに表面処理を施した物質であり、その他
の層が銅又は、銅に表面処理を施した物質である請求項
11記載の絶縁体。 - 【請求項16】 前記無機物層のうち一層がステンレス
又はステンレスに表面処理を施した物質であり、その他
の層が合金銅又は合金銅に表面処理を施した物質である
請求項11記載の絶縁体。 - 【請求項17】 請求項1乃至16の何れか1項記載の
絶縁体が絶縁層として適用されてなる電子回路部品。 - 【請求項18】 請求項1乃至16の何れか1項記載の
絶縁体が絶縁層として適用されてなるハードディスクド
ライブ用サスペンション。
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