JP2002246039A - 液体燃料電池 - Google Patents
液体燃料電池Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
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- Inert Electrodes (AREA)
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 燃料源としてマイナス水素イオン発生物質を
用い、この中のマイナス水素イオンを一挙にプロトンに
変化させて、水素原子1個から電子2個を放出させるこ
とにより、より高い効率で電流を発生しうる新規な方式
の液体燃料電池を提供する。 【解決手段】 水素極を負極、酸素極を正極とし、両極
間に電解液を満たし、かつ両極間を透過膜で隔てた構造
を有する燃料電池において、水素極としてフッ化処理さ
れた水素吸蔵合金又はその水素化物を用い、かつ電解液
及び燃料供給源としてマイナス水素イオン発生物質含有
水溶液を用いた液体燃料電池とする。
用い、この中のマイナス水素イオンを一挙にプロトンに
変化させて、水素原子1個から電子2個を放出させるこ
とにより、より高い効率で電流を発生しうる新規な方式
の液体燃料電池を提供する。 【解決手段】 水素極を負極、酸素極を正極とし、両極
間に電解液を満たし、かつ両極間を透過膜で隔てた構造
を有する燃料電池において、水素極としてフッ化処理さ
れた水素吸蔵合金又はその水素化物を用い、かつ電解液
及び燃料供給源としてマイナス水素イオン発生物質含有
水溶液を用いた液体燃料電池とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素供給源と電解
液とを兼ねたマイナス水素イオン発生物質含有水溶液を
用いることにより、高効率で発電しうる新規な方式の液
体燃料電池に関するものである。
液とを兼ねたマイナス水素イオン発生物質含有水溶液を
用いることにより、高効率で発電しうる新規な方式の液
体燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、負極に燃料を、また正極に
燃料を酸化する物質をそれぞれ連続的に供給して化学反
応を行わせ、その際の自由エネルギー変化を直接電気エ
ネルギーに変換して発電する装置であるが、これまで負
極に供給される燃料としては、水素、メタンのような炭
化水素、メチルアルコールのような気体又は液体が、ま
た正極に供給される燃料を酸化する物質としては、空気
のような気体が主として用いられてきた。
燃料を酸化する物質をそれぞれ連続的に供給して化学反
応を行わせ、その際の自由エネルギー変化を直接電気エ
ネルギーに変換して発電する装置であるが、これまで負
極に供給される燃料としては、水素、メタンのような炭
化水素、メチルアルコールのような気体又は液体が、ま
た正極に供給される燃料を酸化する物質としては、空気
のような気体が主として用いられてきた。
【0003】例えば、最も単純な系は、図4に示すよう
な水素−酸素燃料電池である。このものは、多孔性炭素
板に白金黒を触媒として付着させた材料で正極21及び
負極22を構成し、両極間に電解液23として希硫酸水
溶液やリン酸水溶液を満たし、燃料ガス室24に水素ガ
スを、酸化剤ガス室25に酸素ガスをそれぞれ供給す
る。そして、電極間の外部回路26を閉じると、負極か
ら外部回路26を通って正極に電子が流れ、発電する。
この燃料電池は、電解質の種類により酸性電解質燃料電
池、アルカリ性燃料電池、固体電解質燃料電池、溶融塩
燃料電池などと称され、また燃料の種類により、水素−
酸素燃料電池、メタン燃料電池、ヒドラジン燃料電池、
メタノール燃料電池などと称されている。
な水素−酸素燃料電池である。このものは、多孔性炭素
板に白金黒を触媒として付着させた材料で正極21及び
負極22を構成し、両極間に電解液23として希硫酸水
溶液やリン酸水溶液を満たし、燃料ガス室24に水素ガ
スを、酸化剤ガス室25に酸素ガスをそれぞれ供給す
る。そして、電極間の外部回路26を閉じると、負極か
ら外部回路26を通って正極に電子が流れ、発電する。
この燃料電池は、電解質の種類により酸性電解質燃料電
池、アルカリ性燃料電池、固体電解質燃料電池、溶融塩
燃料電池などと称され、また燃料の種類により、水素−
酸素燃料電池、メタン燃料電池、ヒドラジン燃料電池、
メタノール燃料電池などと称されている。
【0004】また、KBH4やNaBH4の水溶液を燃料
源とし、これを酸化して酸化ホウ素化合物とすると同時
に、電流を発生させ、この発生電流を利用した電解電池
も知られている(米国特許第5,804,329号明細
書)。そして、この公知の電解電池の場合は、負極表面
においてBH4 -からいったんプロチウム(H0)を発生
させ、このプロチウムをプロトンに変え、この際に発生
する電子を利用して電流を発生する方式であった。
源とし、これを酸化して酸化ホウ素化合物とすると同時
に、電流を発生させ、この発生電流を利用した電解電池
も知られている(米国特許第5,804,329号明細
書)。そして、この公知の電解電池の場合は、負極表面
においてBH4 -からいったんプロチウム(H0)を発生
させ、このプロチウムをプロトンに変え、この際に発生
する電子を利用して電流を発生する方式であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の燃料
電池においては燃料源として供給される水素又は水素化
物から、いったん原子状水素、すなわちプロチウムを生
成させ、これを水素極上でプロトンに変化させると同時
に電子を放出させることにより電流を発生させる方式を
とっているため、水素原子1個から電子1個が放出され
るにすぎなかったのを、燃料源としてマイナス水素イオ
ン発生物質を用い、この中のマイナス水素イオン(以下
ヒドロゲニオンと称す)を、一挙にプロトンに変化させ
て、水素原子1個から電子2個を放出させることによ
り、より高い効率で電流を発生させるための新規な方式
を実現することを目的としてなされたものである。
電池においては燃料源として供給される水素又は水素化
物から、いったん原子状水素、すなわちプロチウムを生
成させ、これを水素極上でプロトンに変化させると同時
に電子を放出させることにより電流を発生させる方式を
とっているため、水素原子1個から電子1個が放出され
るにすぎなかったのを、燃料源としてマイナス水素イオ
ン発生物質を用い、この中のマイナス水素イオン(以下
ヒドロゲニオンと称す)を、一挙にプロトンに変化させ
て、水素原子1個から電子2個を放出させることによ
り、より高い効率で電流を発生させるための新規な方式
を実現することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、水素供給源
としてヒドロゲニオン(H-)を利用する燃料電池を開
発するために種々研究を重ねた結果、潜在的にヒドロゲ
ニオンを含んでいるマイナス水素イオン発生物質、例え
ばM+[B3+(H-)4]-(式中のMはアルカリ金属)を
水素供給源として用いるとともに、水素極としてヒドロ
ゲニオンの発生を助長し、かつプロトンへの変化が十分
に行われるまでヒドロゲニオンを安定に保持しうる材料
を用いることによりその目的を達成しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
としてヒドロゲニオン(H-)を利用する燃料電池を開
発するために種々研究を重ねた結果、潜在的にヒドロゲ
ニオンを含んでいるマイナス水素イオン発生物質、例え
ばM+[B3+(H-)4]-(式中のMはアルカリ金属)を
水素供給源として用いるとともに、水素極としてヒドロ
ゲニオンの発生を助長し、かつプロトンへの変化が十分
に行われるまでヒドロゲニオンを安定に保持しうる材料
を用いることによりその目的を達成しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】すなわち、本発明は、水素極を負極、酸素
極を正極とし、両極間に電解液を満たし、かつ両極間を
透過膜で隔てた構造を有する燃料電池において、水素極
としてフッ化処理された水素吸蔵合金又はその水素化物
を用い、かつ電解液及び燃料供給源としてマイナス水素
イオン発生物質含有水溶液を用いることを特徴とする液
体燃料電池を提供するものである。本発明において、マ
イナス水素イオン、すなわちヒドロゲニオンとは、水素
原子が電子1個を受容してマイナスイオン(H-)を形
成しているもので、水素原子が電子1個を放出してプラ
スイオン(H+)を形成しているプロトンに対応するも
のである。
極を正極とし、両極間に電解液を満たし、かつ両極間を
透過膜で隔てた構造を有する燃料電池において、水素極
としてフッ化処理された水素吸蔵合金又はその水素化物
を用い、かつ電解液及び燃料供給源としてマイナス水素
イオン発生物質含有水溶液を用いることを特徴とする液
体燃料電池を提供するものである。本発明において、マ
イナス水素イオン、すなわちヒドロゲニオンとは、水素
原子が電子1個を受容してマイナスイオン(H-)を形
成しているもので、水素原子が電子1個を放出してプラ
スイオン(H+)を形成しているプロトンに対応するも
のである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に添付図面に従って、本発明の
燃料電池の1例を説明する。図1は、本発明燃料電池の
構造を示す側方断面図であって、絶縁性材料からなるケ
ーシング7の内部は、高分子電解膜3により2分され、
一方に酸素極(正極)1、他方に水素吸蔵合金からなる
水素極(負極)2が配置されている。上記の酸素極1に
は、酸素ガス又は空気が供給され、上記の水素極2に
は、それに接触しているヒドロゲニオン発生物質水溶液
6が供給される。
燃料電池の1例を説明する。図1は、本発明燃料電池の
構造を示す側方断面図であって、絶縁性材料からなるケ
ーシング7の内部は、高分子電解膜3により2分され、
一方に酸素極(正極)1、他方に水素吸蔵合金からなる
水素極(負極)2が配置されている。上記の酸素極1に
は、酸素ガス又は空気が供給され、上記の水素極2に
は、それに接触しているヒドロゲニオン発生物質水溶液
6が供給される。
【0009】単体水素としては、分子状のH2、原子状
の活性水素プロチウムH0、陽イオン状のプロトン、陰
イオン状のヒドロゲニオンH-が存在するが、水素極2
においては、次式に示すように、ヒドロゲニオン
(H-)2個が2個のプロトン(H+)に変化すると同時
に4個の電子(e-)を放出する。 2H- → 2H+ + 4e-
の活性水素プロチウムH0、陽イオン状のプロトン、陰
イオン状のヒドロゲニオンH-が存在するが、水素極2
においては、次式に示すように、ヒドロゲニオン
(H-)2個が2個のプロトン(H+)に変化すると同時
に4個の電子(e-)を放出する。 2H- → 2H+ + 4e-
【0010】他方、酸素極においては、その表面で活性
酸素が水と反応して水酸イオン(OH-)を生じ、この
水酸イオンが上記のプロトンと反応して水を生成する。 O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- 4OH- + 4H+ → 4H2O このようにして、酸素極端子9と水素極端子10とを連
結すれば、両者の間に起電力が発生する。
酸素が水と反応して水酸イオン(OH-)を生じ、この
水酸イオンが上記のプロトンと反応して水を生成する。 O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- 4OH- + 4H+ → 4H2O このようにして、酸素極端子9と水素極端子10とを連
結すれば、両者の間に起電力が発生する。
【0011】前記のケーシング7を構成する材料として
は、金属酸化物、絶縁性セラミックス、プラスチックス
などが用いられる。また、このケーシング7の内部を分
画する高分子電解膜3は、プロトンを透過しうるもので
あればよく、例えばナフィオンのようなものが用いられ
る。
は、金属酸化物、絶縁性セラミックス、プラスチックス
などが用いられる。また、このケーシング7の内部を分
画する高分子電解膜3は、プロトンを透過しうるもので
あればよく、例えばナフィオンのようなものが用いられ
る。
【0012】次に、正極部に配置される酸素極1は、そ
の表面で酸素の還元反応が容易に進行する導電性材料、
例えば炭素、白金を分散した炭素や鉄、ニッケル、クロ
ム、銅、白金、パラジウムのような金属やそれらの合金
で構成されるが、発電効率や耐久性がよく、低コストと
いう点でニッケル又はニッケル・クロム合金の多孔体、
例えば粒状焼結体や発泡体を基材とし、その表面に白
金、パラジウムのような貴金属をめっきしたものが好ま
しい。
の表面で酸素の還元反応が容易に進行する導電性材料、
例えば炭素、白金を分散した炭素や鉄、ニッケル、クロ
ム、銅、白金、パラジウムのような金属やそれらの合金
で構成されるが、発電効率や耐久性がよく、低コストと
いう点でニッケル又はニッケル・クロム合金の多孔体、
例えば粒状焼結体や発泡体を基材とし、その表面に白
金、パラジウムのような貴金属をめっきしたものが好ま
しい。
【0013】また、負極部に水素極2として配置される
水素吸蔵合金又はその水素化物としては、水素を可逆的
に吸蔵、放出し得るものであれば特に制限はなく、例え
ばMg2Ni合金、Mg2NiとMgとの共晶合金のよう
な、Mg2Ni系合金、ZrNi2系合金、TiNi2系
合金などのラベス相系AB2型合金、TiFe系合金の
ようなAB型合金、LaNi5系合金のようなAB5型合
金、TiV2系合金のようなBCC型合金の中から任意
に選ぶことができる。
水素吸蔵合金又はその水素化物としては、水素を可逆的
に吸蔵、放出し得るものであれば特に制限はなく、例え
ばMg2Ni合金、Mg2NiとMgとの共晶合金のよう
な、Mg2Ni系合金、ZrNi2系合金、TiNi2系
合金などのラベス相系AB2型合金、TiFe系合金の
ようなAB型合金、LaNi5系合金のようなAB5型合
金、TiV2系合金のようなBCC型合金の中から任意
に選ぶことができる。
【0014】この中で好ましいのは、LaNi4.7Al
0.3合金、MmNi0.35Mn0.4Al0 .3Co0.75合金
(ただしMmはミッシュメタル)、MmNi3.75Co
0.75Mn0. 20Al0.30合金(ただしMmはミッシュメタ
ル)、Ti0.5Zr0.5Mn0.8Cr0 .8Ni0.4、Ti0.5
Zr0.5Mn0.5Cr0.5Ni、Ti0.5Zr0.5V0.75N
i1.2 5、Ti0.5Zr0.5V0.5Ni1.5、Ti0.1Zr0.9
V0.2Mn0.6Co0.1Ni1.1、MmNi3.87Co0.78M
n0.10Al0.38(ただしMmはミッシュメタル)などで
ある。
0.3合金、MmNi0.35Mn0.4Al0 .3Co0.75合金
(ただしMmはミッシュメタル)、MmNi3.75Co
0.75Mn0. 20Al0.30合金(ただしMmはミッシュメタ
ル)、Ti0.5Zr0.5Mn0.8Cr0 .8Ni0.4、Ti0.5
Zr0.5Mn0.5Cr0.5Ni、Ti0.5Zr0.5V0.75N
i1.2 5、Ti0.5Zr0.5V0.5Ni1.5、Ti0.1Zr0.9
V0.2Mn0.6Co0.1Ni1.1、MmNi3.87Co0.78M
n0.10Al0.38(ただしMmはミッシュメタル)などで
ある。
【0015】この際の基板材料としては、導電性材料で
あればよく、特に制限はないが、溶射時に損傷しない程
度の耐熱性をもつものが好ましい。このような材料とし
ては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、
チタン、ジルコニウム、金、白金などの金属、これら同
士又はこれらと他の元素との合金やIn2O3−Sn
O 2、LaCrO3、LiNiO3、LaCoO3、TiO
2、ケイ素半導体などのセラミックスやグラファイトの
ような炭素材料を挙げることができる。
あればよく、特に制限はないが、溶射時に損傷しない程
度の耐熱性をもつものが好ましい。このような材料とし
ては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、
チタン、ジルコニウム、金、白金などの金属、これら同
士又はこれらと他の元素との合金やIn2O3−Sn
O 2、LaCrO3、LiNiO3、LaCoO3、TiO
2、ケイ素半導体などのセラミックスやグラファイトの
ような炭素材料を挙げることができる。
【0016】これらの基板表面に水素吸蔵合金を溶射す
るには、これらの水素吸蔵合金の金属成分を粉末状の原
料として用いることが必要である。この原料粉末は、例
えば鋳造したインゴッド又は必要によりこれをアニーリ
ングしたものを粉砕して微粉化する方法やメカニカル的
に微粉化する方法により調製されるが、特に合金化特性
が優れていることから溶融後急冷凝固させるガスアトマ
イジング法により微粉化したものが好ましい。
るには、これらの水素吸蔵合金の金属成分を粉末状の原
料として用いることが必要である。この原料粉末は、例
えば鋳造したインゴッド又は必要によりこれをアニーリ
ングしたものを粉砕して微粉化する方法やメカニカル的
に微粉化する方法により調製されるが、特に合金化特性
が優れていることから溶融後急冷凝固させるガスアトマ
イジング法により微粉化したものが好ましい。
【0017】次に、これらの微粉化した数種の金属粉末
を所望の水素吸蔵合金の組成に応じた割合で基材上に溶
射し、複合化することにより、水素吸蔵合金溶射層を形
成させることができる。この際、原料金属粉末及びその
使用割合を適宜調整することにより電導率や熱伝導率の
異なる複合体を得ることができるし、また溶射による過
程で、特定の条件を設定することにより、同時にアモル
ファス化した合金繊維とすることができる。
を所望の水素吸蔵合金の組成に応じた割合で基材上に溶
射し、複合化することにより、水素吸蔵合金溶射層を形
成させることができる。この際、原料金属粉末及びその
使用割合を適宜調整することにより電導率や熱伝導率の
異なる複合体を得ることができるし、また溶射による過
程で、特定の条件を設定することにより、同時にアモル
ファス化した合金繊維とすることができる。
【0018】この水素吸蔵合金溶射層の形成に際し、溶
融水素吸蔵合金の液状微粒子(粒径20〜150μm)
を高速度(30〜500m/秒)で加速して衝突させ、
スプラットの積層構造を得るには、一般に常用される溶
射法、例えばフレーム溶射法、高速ガス炎溶射法、爆発
溶射法、大気中プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、
アーク溶射法、レーザ溶射法などを用いることができる
が、特に真空プラズマ噴射(VPS)溶射法を用いるの
が有利である。この真空プラズマ噴射溶射法は、内部の
空気をいったんパージしたあと、減圧下で不活性ガスを
封入して雰囲気調整したチャンバー内で行うプラズマ溶
射法であり、材料特性の劣化がなく、活性金属の成膜が
可能で、ち密で高い結合力をもつ皮膜が得られるという
長所がある。この際の粒子速度は200〜500m/
秒、粒子温度は2300〜2700℃(プラズマ温度5
300〜5700℃)である。
融水素吸蔵合金の液状微粒子(粒径20〜150μm)
を高速度(30〜500m/秒)で加速して衝突させ、
スプラットの積層構造を得るには、一般に常用される溶
射法、例えばフレーム溶射法、高速ガス炎溶射法、爆発
溶射法、大気中プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、
アーク溶射法、レーザ溶射法などを用いることができる
が、特に真空プラズマ噴射(VPS)溶射法を用いるの
が有利である。この真空プラズマ噴射溶射法は、内部の
空気をいったんパージしたあと、減圧下で不活性ガスを
封入して雰囲気調整したチャンバー内で行うプラズマ溶
射法であり、材料特性の劣化がなく、活性金属の成膜が
可能で、ち密で高い結合力をもつ皮膜が得られるという
長所がある。この際の粒子速度は200〜500m/
秒、粒子温度は2300〜2700℃(プラズマ温度5
300〜5700℃)である。
【0019】この際の溶射層の厚さとしては、50〜3
00μmの範囲が好ましい。これよりも薄いと電池の電
極材料として用いた場合、十分に機能を発揮することが
できないし、また、これより厚くしても、その機能の向
上は認められないので、溶射時間が長くなり、コスト的
にも不利になるだけである。
00μmの範囲が好ましい。これよりも薄いと電池の電
極材料として用いた場合、十分に機能を発揮することが
できないし、また、これより厚くしても、その機能の向
上は認められないので、溶射時間が長くなり、コスト的
にも不利になるだけである。
【0020】また、本発明においては、水素吸蔵合金又
はその水素化物の表面をフッ化処理して用いることが必
要である。すなわち、このようなフッ化処理を行うこと
により、ヒドロゲニオンの発生が助長され、併用するヒ
ドロゲニオン発生物質水溶液に対する耐腐食性が付与さ
れ、かつ長期間にわたって高い発電容量を維持しうる。
はその水素化物の表面をフッ化処理して用いることが必
要である。すなわち、このようなフッ化処理を行うこと
により、ヒドロゲニオンの発生が助長され、併用するヒ
ドロゲニオン発生物質水溶液に対する耐腐食性が付与さ
れ、かつ長期間にわたって高い発電容量を維持しうる。
【0021】このフッ化処理は、例えば水素吸蔵合金又
はその水素化物をフッ化剤含有水溶液中に浸せきし、そ
の表面をフッ素化することによって行われる。このフッ
化剤含有水溶液としては、通常、フッ素イオンとアルカ
リイオンを含む水溶液が用いられ、これは、例えばフッ
化アルカリを0.2〜20質量%程度の濃度で含有する
水溶液に、フッ化水素を加えて、pHを2.0〜6.5
程度、好ましくは4.0〜6.0の範囲に調整すること
により調製することができる。この際用いるフッ化アリ
カリとしては、特に制限はなく、フッ化ナトリウム、フ
ッ化カリウム、フッ化アンモニウムなどの、水に対して
易溶性のものが好ましく、特にフッ化カリウムが好適で
ある。これらのフッ化アルカリは単独で用いてもよい
し、2種以上組み合わせて用いてもよい。
はその水素化物をフッ化剤含有水溶液中に浸せきし、そ
の表面をフッ素化することによって行われる。このフッ
化剤含有水溶液としては、通常、フッ素イオンとアルカ
リイオンを含む水溶液が用いられ、これは、例えばフッ
化アルカリを0.2〜20質量%程度の濃度で含有する
水溶液に、フッ化水素を加えて、pHを2.0〜6.5
程度、好ましくは4.0〜6.0の範囲に調整すること
により調製することができる。この際用いるフッ化アリ
カリとしては、特に制限はなく、フッ化ナトリウム、フ
ッ化カリウム、フッ化アンモニウムなどの、水に対して
易溶性のものが好ましく、特にフッ化カリウムが好適で
ある。これらのフッ化アルカリは単独で用いてもよい
し、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】フッ化剤含有水溶液のフッ化アルカリの好
ましい濃度は、フッ化ナトリウムの場合0.3〜3質量
%、フッ化カリウムの場合0.5〜5質量%、フッ化ア
ンモニウムの場合0.5〜8質量%の範囲である。フッ
化アルカリの濃度が上記範囲よりも低いとフッ化処理表
面の形成に長時間を要し、実用的でないし、上記範囲よ
り高いと十分な厚さのフッ化処理表面が形成されにくい
ため、安定化効果が不十分となる。
ましい濃度は、フッ化ナトリウムの場合0.3〜3質量
%、フッ化カリウムの場合0.5〜5質量%、フッ化ア
ンモニウムの場合0.5〜8質量%の範囲である。フッ
化アルカリの濃度が上記範囲よりも低いとフッ化処理表
面の形成に長時間を要し、実用的でないし、上記範囲よ
り高いと十分な厚さのフッ化処理表面が形成されにくい
ため、安定化効果が不十分となる。
【0023】上記pH範囲に調整するのに必要なフッ化
水素の量は、通常、フッ化アルカリ1モルに対し、フッ
化ナトリウムの場合1〜3モル、フッ化カリウムの場合
0.2〜3モル、フッ化アンモニウムの場合0.2〜1
モルの範囲である。
水素の量は、通常、フッ化アルカリ1モルに対し、フッ
化ナトリウムの場合1〜3モル、フッ化カリウムの場合
0.2〜3モル、フッ化アンモニウムの場合0.2〜1
モルの範囲である。
【0024】フッ化剤含有水溶液を用いて、水素吸蔵合
金又はその水素化物にフッ化処理表面を形成させるに
は、このフッ化剤含有水溶液中にこれを浸せきし、通
常、常圧下で0〜80℃程度、好ましくは30〜60℃
の範囲の温度において、その表面に十分な厚さ、すなわ
ち0.01〜1μm程度のフッ化処理表面が形成される
まで保持する。これに要する時間は1〜60分間程度で
ある。
金又はその水素化物にフッ化処理表面を形成させるに
は、このフッ化剤含有水溶液中にこれを浸せきし、通
常、常圧下で0〜80℃程度、好ましくは30〜60℃
の範囲の温度において、その表面に十分な厚さ、すなわ
ち0.01〜1μm程度のフッ化処理表面が形成される
まで保持する。これに要する時間は1〜60分間程度で
ある。
【0025】次に、本発明の液体型燃料電池において、
水素吸蔵合金又はその水素化物とともに負極部を構成す
るヒドロゲニオン発生物質しては、一般式 MI +[MII 3+(H-)4]- (式中のMIはアルカリ金属、MIIはホウ素、アルミニ
ウム又はガリウムである)で表わされる金属水素錯化合
物である。
水素吸蔵合金又はその水素化物とともに負極部を構成す
るヒドロゲニオン発生物質しては、一般式 MI +[MII 3+(H-)4]- (式中のMIはアルカリ金属、MIIはホウ素、アルミニ
ウム又はガリウムである)で表わされる金属水素錯化合
物である。
【0026】これらの式中のMIはアルカリ金属、例え
ばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどで
あり、MIIはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、
カルシウム、ストロンチウム又は亜鉛である。
ばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどで
あり、MIIはアルカリ土類金属、例えばマグネシウム、
カルシウム、ストロンチウム又は亜鉛である。
【0027】したがって、一般式(I)で表わされる金
属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素ナトリウム
(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiA
lH4)などを挙げることができる。このほかに、水素
化ホウ素亜鉛[Zn(BH4)2]、水素化ホウ素カルシ
ウム[Ca(BH4)2]なども用いることができる。こ
れらの金属水素錯化合物は公知であり、選択的水素化用
試薬として市販されている。
属水素錯化合物の例としては、水素化ホウ素ナトリウム
(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiA
lH4)などを挙げることができる。このほかに、水素
化ホウ素亜鉛[Zn(BH4)2]、水素化ホウ素カルシ
ウム[Ca(BH4)2]なども用いることができる。こ
れらの金属水素錯化合物は公知であり、選択的水素化用
試薬として市販されている。
【0028】本発明においては、この金属水素錯化合物
をアルカリ性水性媒質中に溶解し、水溶液として用いる
ことが必要である。この際の媒質の水には所望に応じア
ルコール類のような水混和性溶媒を混合することもでき
る。
をアルカリ性水性媒質中に溶解し、水溶液として用いる
ことが必要である。この際の媒質の水には所望に応じア
ルコール類のような水混和性溶媒を混合することもでき
る。
【0029】アルカリ性媒質を形成するために水の中へ
加えられるアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金
属水酸化物や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような第
四アルキルアンモニウム化合物がある。
加えられるアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金
属水酸化物や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドのような第
四アルキルアンモニウム化合物がある。
【0030】本発明においては、これらのアルカリ性物
質を少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質
量%の濃度で、所定の溶剤に溶解してアルカリ性媒質を
調製する。この濃度の上限は、アルカリ性物質の飽和濃
度であるが、あまり高濃度にすると金属水素錯化合物が
溶解しにくくなるので、30質量%以下の範囲で選択す
るのが好ましい。
質を少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質
量%の濃度で、所定の溶剤に溶解してアルカリ性媒質を
調製する。この濃度の上限は、アルカリ性物質の飽和濃
度であるが、あまり高濃度にすると金属水素錯化合物が
溶解しにくくなるので、30質量%以下の範囲で選択す
るのが好ましい。
【0031】また、金属水素錯化合物は、目的とする発
電容量及びアルカリ性水溶液に対する溶解性を考慮し
て、一般に0.1〜50質量%の濃度で用いるのが好ま
しい。なお、電解液のイオン伝導性を向上させるため
に、水酸化リチウムを少量、例えば0.01〜0.1質
量%で添加することもできる。
電容量及びアルカリ性水溶液に対する溶解性を考慮し
て、一般に0.1〜50質量%の濃度で用いるのが好ま
しい。なお、電解液のイオン伝導性を向上させるため
に、水酸化リチウムを少量、例えば0.01〜0.1質
量%で添加することもできる。
【0032】本発明の燃料電池においては、水素極(負
極)に水素吸蔵合金又はその水素化物、特にフッ化処理
したものを用いるために、負極部のヒドロゲニオン発生
物質が、該負極の表面でヒドロゲニオン(H-)を発生
し、これが瞬間的に該負極の金属結晶格子の間隙中に良
好に配位されて単原子状水素(プロチウム)に変換さ
れ、実質的に分子状水素を介在することなく、次いでプ
ロトンと電子とに速やかに変換されて正極に移動する。
極)に水素吸蔵合金又はその水素化物、特にフッ化処理
したものを用いるために、負極部のヒドロゲニオン発生
物質が、該負極の表面でヒドロゲニオン(H-)を発生
し、これが瞬間的に該負極の金属結晶格子の間隙中に良
好に配位されて単原子状水素(プロチウム)に変換さ
れ、実質的に分子状水素を介在することなく、次いでプ
ロトンと電子とに速やかに変換されて正極に移動する。
【0033】このように、本発明燃料電池は、負極液と
して用いる電解液そのものが水素供給源となるため、液
流量や液温度の調整によって発電量の制御が容易とな
り、また負極に気体状水素が実質的に介在しないために
小さな口径の配管が使用でき、圧力・流量などの制御が
容易になる。
して用いる電解液そのものが水素供給源となるため、液
流量や液温度の調整によって発電量の制御が容易とな
り、また負極に気体状水素が実質的に介在しないために
小さな口径の配管が使用でき、圧力・流量などの制御が
容易になる。
【0034】次に、本発明の図1に示した液体型燃料電
池の例においては、酸素極として負極部で発生する燃
料、すなわち水素を酸化するために、酸素ガスを用い
る。この酸素ガスの代りに、空気を用いることもでき
る。
池の例においては、酸素極として負極部で発生する燃
料、すなわち水素を酸化するために、酸素ガスを用い
る。この酸素ガスの代りに、空気を用いることもでき
る。
【0035】本発明の液体型燃料電池の図1の例は、隔
膜3で隔てられた酸素極1と水素極2で構成される酸素
ガスを、空気導入パイプ13から空気分散板5に供給
し、負極液すなわちヒドロゲニオン発生物質水溶液6
を、管路8に付設したポンプ11で管路8内を循環させ
ることにより発電させる。この液の活性が低下した場合
には、管路8に設けられた三方バルブ12により液を抜
き出し、新しい液と交換するか、或いは連続的に使用済
みの液を抜き出し、新しい液を補給して発電力を維持す
る。この図において9は正極の、10は負極の端子であ
る。
膜3で隔てられた酸素極1と水素極2で構成される酸素
ガスを、空気導入パイプ13から空気分散板5に供給
し、負極液すなわちヒドロゲニオン発生物質水溶液6
を、管路8に付設したポンプ11で管路8内を循環させ
ることにより発電させる。この液の活性が低下した場合
には、管路8に設けられた三方バルブ12により液を抜
き出し、新しい液と交換するか、或いは連続的に使用済
みの液を抜き出し、新しい液を補給して発電力を維持す
る。この図において9は正極の、10は負極の端子であ
る。
【0036】図2は、酸素極として活性酸素発生剤水溶
液を用いた例を示す側方断面図であり、図1に示した燃
料電池における酸素ガスの代わりに、活性酸素発生剤含
有水溶液4を用いる。この活性酸素発生剤含有水溶液と
しては、例えば過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイ
ル、イソプロピルペルオキシド、過硫酸などの水溶液を
挙げることができる。これらの水溶液は1〜40質量
%、好ましくは2〜10質量%の濃度で用いられる。こ
れらの活性酸素発生剤水溶液には、所望に応じ安定剤と
して、リン酸、尿酸、馬尿酸、バルビタール、アセトア
ニリドなどを0.01〜0.1質量%の範囲の濃度で添
加することができる。この活性酸素発生剤含有水溶液
は、管路14に付設したポンプ15により管路14内を
循環させる。この液の活性が低下した場合には、管路1
4に設けられた三方バルブ16により液を抜き出し、新
しい液と交換するか、或いは連続的に使用済の液を抜き
出し、新しい液を補給する。
液を用いた例を示す側方断面図であり、図1に示した燃
料電池における酸素ガスの代わりに、活性酸素発生剤含
有水溶液4を用いる。この活性酸素発生剤含有水溶液と
しては、例えば過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイ
ル、イソプロピルペルオキシド、過硫酸などの水溶液を
挙げることができる。これらの水溶液は1〜40質量
%、好ましくは2〜10質量%の濃度で用いられる。こ
れらの活性酸素発生剤水溶液には、所望に応じ安定剤と
して、リン酸、尿酸、馬尿酸、バルビタール、アセトア
ニリドなどを0.01〜0.1質量%の範囲の濃度で添
加することができる。この活性酸素発生剤含有水溶液
は、管路14に付設したポンプ15により管路14内を
循環させる。この液の活性が低下した場合には、管路1
4に設けられた三方バルブ16により液を抜き出し、新
しい液と交換するか、或いは連続的に使用済の液を抜き
出し、新しい液を補給する。
【0037】本発明の燃料電池において、ヒドロゲニオ
ン(H-)が燃料供給源として利用されていることは、
これまでのBH4 -イオンを用いる方法よりも高い電圧が
発生していること、プロトン発生剤の存在により電圧が
低下すること、電子吸光スペクトルにおいて、H+イオ
ン及びプロトンとは異なる水素原子吸光が認められるこ
となどによって推測することができる。
ン(H-)が燃料供給源として利用されていることは、
これまでのBH4 -イオンを用いる方法よりも高い電圧が
発生していること、プロトン発生剤の存在により電圧が
低下すること、電子吸光スペクトルにおいて、H+イオ
ン及びプロトンとは異なる水素原子吸光が認められるこ
となどによって推測することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明の燃料電池は、燃料源としてヒド
ロゲニオン(H-)を利用することにより、従来のBH4
-イオンを用いる方法に比べ電子の発生量が倍以上とな
り、非常に高い効率で発電することができる。すなわ
ち、燃料源にBH4 -を、正極に酸素を用いた場合の理論
電圧は1.64Vであるが、実際はなかなかこの値に達
しないにもかかわらず、本発明の燃料電池においては、
この理論電圧に近い値まで上昇することができる。しか
も、正極液として活性酸素発生剤水溶液を用いた場合
は、空気や酸素ガスを酸素源とした場合に比べ、遥かに
多量の酸素量を供給することができる。例えば、2%濃
度の過酸化水素水溶液100mlを用いた場合、その酸
素量は空気を用いた場合の約22倍になる。
ロゲニオン(H-)を利用することにより、従来のBH4
-イオンを用いる方法に比べ電子の発生量が倍以上とな
り、非常に高い効率で発電することができる。すなわ
ち、燃料源にBH4 -を、正極に酸素を用いた場合の理論
電圧は1.64Vであるが、実際はなかなかこの値に達
しないにもかかわらず、本発明の燃料電池においては、
この理論電圧に近い値まで上昇することができる。しか
も、正極液として活性酸素発生剤水溶液を用いた場合
は、空気や酸素ガスを酸素源とした場合に比べ、遥かに
多量の酸素量を供給することができる。例えば、2%濃
度の過酸化水素水溶液100mlを用いた場合、その酸
素量は空気を用いた場合の約22倍になる。
【0039】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
明する。
【0040】参考例1 真空チャンバ(直径1.7m、長さ2.6m)を有する
真空プラズマ噴射溶射装置(スルザーメテコ社製、装置
モデルVPS System)を用い、プラズマジェッ
ト温度5000〜6000℃、粒子温度2500〜35
00℃、200〜400m/s、アルゴンガス雰囲気の
条件下でニッケル基板(50×50×2mm)に、La
とNiとCoとMnとAlとの混合物(モル比1:4:
0.4:0.3:0.3)を溶射し、LamNi4.0C
o0.4Mn0.3Al0.3(Lamはミッシュメタルのラン
タン)からなる厚さ100μmの溶射層を形成させた。
このようにして得た複合体を、次にHFによりpH5に
調整した1質量%KF水溶液中にpH7.5になるまで
浸せきし、フッ化処理した。このようにして水素吸蔵合
金複合体からなる水素極を製造した。
真空プラズマ噴射溶射装置(スルザーメテコ社製、装置
モデルVPS System)を用い、プラズマジェッ
ト温度5000〜6000℃、粒子温度2500〜35
00℃、200〜400m/s、アルゴンガス雰囲気の
条件下でニッケル基板(50×50×2mm)に、La
とNiとCoとMnとAlとの混合物(モル比1:4:
0.4:0.3:0.3)を溶射し、LamNi4.0C
o0.4Mn0.3Al0.3(Lamはミッシュメタルのラン
タン)からなる厚さ100μmの溶射層を形成させた。
このようにして得た複合体を、次にHFによりpH5に
調整した1質量%KF水溶液中にpH7.5になるまで
浸せきし、フッ化処理した。このようにして水素吸蔵合
金複合体からなる水素極を製造した。
【0041】参考例2 水素吸蔵合金LamNi4.0Co0.4Mn0.3Al0.3を、
平均粒径250μmに粉砕した粉末300gを、フッ化
水素によりpH5に調整した1質量%KF水溶液中にp
H7.5になるまで浸せきしてフッ化処理した。このよ
うにしてフッ化処理した合金に、カルボキシメチルセル
ロース1.5質量%を水溶液として加え、ペースト状に
した。次いで、これを多孔度95%。平均孔径200μ
mの発泡状ニッケル多孔体(40×70×2mm)の表
面に塗布し、980MPaで加圧し、多孔体表面に70
0μmの厚さに積層することにより、水素極を製造し
た。
平均粒径250μmに粉砕した粉末300gを、フッ化
水素によりpH5に調整した1質量%KF水溶液中にp
H7.5になるまで浸せきしてフッ化処理した。このよ
うにしてフッ化処理した合金に、カルボキシメチルセル
ロース1.5質量%を水溶液として加え、ペースト状に
した。次いで、これを多孔度95%。平均孔径200μ
mの発泡状ニッケル多孔体(40×70×2mm)の表
面に塗布し、980MPaで加圧し、多孔体表面に70
0μmの厚さに積層することにより、水素極を製造し
た。
【0042】実施例1 参考例1で得た水素極と、パラジウムめっきした発泡ニ
ッケル板からなる酸素極と、陽イオン交換膜(デュポン
社製、商品名「ナフィオン(Nafion)NE−11
7」)からなる透過膜とを用い、図2に示す構造の燃料
電池を作製した。次いで、30質量%KOH水溶液中に
2質量%濃度でKBH4を溶解して調製した溶液20m
lを電解液及び燃料供給源としてバルブ12及び管路8
を経て水素極側に供給し、かつ空気を酸素極側に同時に
供給し、液温25℃に保持して水素極と酸素極間の電流
−電圧特性を求めた。この結果をグラフとして図3に実
線で示した。なお、比較のために、参考例1において、
水素吸蔵合金複合体にフッ化処理を施さなかったものを
水素極として用いて、同様に電流−電圧特性を求めた結
果をグラフとして図3に破線で示した。
ッケル板からなる酸素極と、陽イオン交換膜(デュポン
社製、商品名「ナフィオン(Nafion)NE−11
7」)からなる透過膜とを用い、図2に示す構造の燃料
電池を作製した。次いで、30質量%KOH水溶液中に
2質量%濃度でKBH4を溶解して調製した溶液20m
lを電解液及び燃料供給源としてバルブ12及び管路8
を経て水素極側に供給し、かつ空気を酸素極側に同時に
供給し、液温25℃に保持して水素極と酸素極間の電流
−電圧特性を求めた。この結果をグラフとして図3に実
線で示した。なお、比較のために、参考例1において、
水素吸蔵合金複合体にフッ化処理を施さなかったものを
水素極として用いて、同様に電流−電圧特性を求めた結
果をグラフとして図3に破線で示した。
【0043】実施例2 参考例2で得た水素極と、白金触媒1質量%を配合した
炭素粉末を炭素繊維板に圧着したのち、フッ素樹脂で撥
水処理して作製した酸素極とを用いる以外は実施例1と
同じようにして燃料電池を製造した。このようにして得
た燃料電池について、放電電流を測定したところ、18
0mAであった。また、比較のために、フッ化処理を施
さない水素極を用いて、放電電流を測定したところ、8
0mAであった。
炭素粉末を炭素繊維板に圧着したのち、フッ素樹脂で撥
水処理して作製した酸素極とを用いる以外は実施例1と
同じようにして燃料電池を製造した。このようにして得
た燃料電池について、放電電流を測定したところ、18
0mAであった。また、比較のために、フッ化処理を施
さない水素極を用いて、放電電流を測定したところ、8
0mAであった。
【図1】 本発明の燃料電池の1例を示す側方断面図。
【図2】 本発明の燃料電池の他の例を示す側方断面
図。
図。
【図3】 本発明の実施例及び比較例の電流−電圧曲
線。
線。
【図4】 従来の燃料電池の1例を示す断面説明図。
1,25 酸素極 2,24 水素極 3 透過膜 4 活性酸素発生剤含有水溶液 5 空気分散板 6 ヒドロゲニオン発生物質水溶液 7 ケーシング 8,14 管路 9,10 端子 11,15 ポンプ 12,16 三方バルブ 23 電解液 26 外部回路
Claims (4)
- 【請求項1】 水素極を負極、酸素極を正極とし、両極
間に電解液を満たし、かつ両極間を透過膜で隔てた構造
を有する燃料電池において、水素極としてフッ化処理さ
れた水素吸蔵合金又はその水素化物を用い、かつ電解液
及び燃料供給源としてマイナス水素イオン発生物質含有
水溶液を用いることを特徴とする液体燃料電池。 - 【請求項2】 マイナス水素イオン発生物質含有水溶液
が、一般式 M+[B3+(H-)4]- (式中のMはアルカリ金属である)で表わされる化合物
をアルカリ水溶液に溶解したものである請求項1記載の
液体燃料電池。 - 【請求項3】 水素極が導電性基板表面に溶射により水
素吸蔵合金又はその水素化物の層を設けたのち、フッ化
処理して形成されたものである請求項1又は2記載の液
体燃料電池。 - 【請求項4】 透過膜が高分子電解質膜である請求項
1、2又は3記載の液体燃料電池。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001039761A JP2002246039A (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 液体燃料電池 |
EP01306583A EP1178554A3 (en) | 2000-08-03 | 2001-07-31 | Liquid fuel cell |
US09/917,630 US20020015869A1 (en) | 2000-08-03 | 2001-07-31 | Liquid fuel cell |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001039761A JP2002246039A (ja) | 2001-02-16 | 2001-02-16 | 液体燃料電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002246039A true JP2002246039A (ja) | 2002-08-30 |
Family
ID=18902480
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001039761A Pending JP2002246039A (ja) | 2000-08-03 | 2001-02-16 | 液体燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005019237A (ja) * | 2003-06-26 | 2005-01-20 | Kyocera Corp | 燃料電池用容器および燃料電池 |
JP2005135752A (ja) * | 2003-10-30 | 2005-05-26 | Japan Science & Technology Agency | 燃料電池用酸素還元反応触媒 |
JP2005135774A (ja) * | 2003-10-30 | 2005-05-26 | Kyocera Corp | 燃料電池用容器および燃料電池ならびに電子機器 |
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CN100359733C (zh) * | 2003-05-22 | 2008-01-02 | Lg电子株式会社 | 燃料电池、电极催化剂和用于燃料电池的电极 |
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-
2001
- 2001-02-16 JP JP2001039761A patent/JP2002246039A/ja active Pending
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JP2005243583A (ja) * | 2004-02-27 | 2005-09-08 | Tama Tlo Kk | 燃料電池 |
JP2005314777A (ja) * | 2004-04-30 | 2005-11-10 | National Institute For Materials Science | 水素吸蔵合金皮膜とその製造方法 |
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