JP2002242871A - 車載用横置型密閉式圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両が傾斜しそれに伴って圧縮機が傾斜した
場合でも、潤滑油の油面が油吸込管より低下せずに油吸
込管から潤滑油を吸い込むことができる車載用横置型密
閉式圧縮機を提供する。 【解決手段】 電動要素６と圧縮要素８を収納する容器
本体４Ａと、容器本体４Ａの電動要素６側の一端部開口
を閉塞するお椀状のエンドキャップ４Ｂとの二部材で密
閉容器４を構成する。エンドキャップ４Ｂに電動要素６
に電力を供給するためのターミナル１１を取り付ける。
ターミナル１１より下方のエンドキャップ４Ｂを外方に
膨出させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、密閉容器内に収容
された潤滑油を圧縮要素に送るための給油手段を備えた
車載用横置型密閉式圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】横置型密閉式圧縮機は、例えば特開平７
−２２９６６０号公報（Ｆ２５Ｂ４３／００）に示され
ている。この種、横置型密閉式圧縮機は横長の密閉容器
内に回転軸を横方向に向けて電動要素が設けられ、この
電動要素によって駆動される圧縮要素（ロータリコンプ
レッサ或いはスクロール圧縮機等）が設けられている。
該密閉容器は、電動要素と圧縮要素を収納する容器本体
と、この容器本体の電動要素側の一端部開口を閉塞する
お椀状のエンドキャップとの二部材で構成され、このエ
ンドキャップに電動要素に電力を供給するためのターミ
ナルが設けられている。そして、密閉容器内に潤滑油が
貯留され、電動要素と反対側に油吸込管が設けられると
共にオイルポンプが設けられている。潤滑油内に挿入さ
れ油吸込管から吸い込まれた潤滑油は、オイルポンプに
よって圧縮要素のシリンダや軸受フレームに循環するこ
とによって横置型密閉式圧縮機が摩耗してしまうのを防
止している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一方、近年では殆どの
車両にカーエアコンが搭載されているが、カーエアコン
にも横置型密閉式圧縮機が使用されてきている。しか
し、このような横置型密閉式圧縮機を車両に使用した場
合、車両が山や坂など走行して傾くとそれに伴って車載
用の横置型密閉式圧縮機も傾き、密閉容器は電動要素側
に対してオイルポンプ側（油吸込管側）が高い方向に傾
斜してしまう場合があるが、オイルポンプ側が高くなる
と密閉容器内に貯留された潤滑油は、重力で油吸込管と
反対側の電動要素側に移動してしまう。潤滑油が電動要
素側に移動すると潤滑油の油面が上昇しターミナルの短
絡故障が発生してしまう問題があった。

【０００４】本発明は、係る従来技術の課題を解決する
ために成されたものであり、車両が傾斜しそれに伴って
圧縮機が傾斜した場合でも、潤滑油の油面がターミナル
まで上昇することのない車載用横置型密閉式圧縮機を提
供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明の車載用横
置型密閉式圧縮機は、密閉容器内に回転軸を横方向に向
けて設けられた電動要素と、該電動要素によって駆動さ
れる圧縮要素と、密閉容器内に収容された潤滑油と、該
潤滑油を圧縮要素に送るための給油手段と、密閉容器を
構成するエンドキャップに取り付けられたターミナルと
を備え、該ターミナルより下方のエンドキャップを外方
に膨出させたものである。

【０００６】また、請求項２の発明の車載用横置型密閉
式圧縮機は、上記に加えて、給油手段は圧縮要素の電動
要素とは反対側に設けられ、エンドキャップは密閉容器
の電動要素側の端部に取り付けられ、密閉容器外から吸
入した冷媒ガスを圧縮要素にて圧縮し、密閉容器内の電
動要素側に吐出した後、給油手段側から密閉容器外に吐
出すると共に、圧縮要素の電動要素側及び給油手段側に
は、冷媒ガス及び潤滑油の移動を許容しながら密閉容器
内を区画する隔壁をそれぞれ設けたものである。

【０００７】また、請求項３の発明の車載用横置型密閉
式圧縮機は、請求項２に加えて、圧縮要素は複数の回転
圧縮要素から構成されているものである。

【０００８】請求項１の発明によれば、密閉容器内に回
転軸を横方向に向けて設けられた電動要素と、該電動要
素によって駆動される圧縮要素と、密閉容器内に収容さ
れた潤滑油と、該潤滑油を圧縮要素に送るための給油手
段と、密閉容器を構成するエンドキャップに取り付けら
れたターミナルとを備え、該ターミナルより下方のエン
ドキャップを外方に膨出させているので、例えば、車両
の傾斜によってターミナル側が低く傾斜して潤滑油がタ
ーミナル側に移動してしまった場合でもエンドキャップ
の膨出部に潤滑油を受け止めることができるので、ター
ミナルまで潤滑油の油面が上昇してしまうのを防止する
ことが可能となる。これにより、ターミナルの短絡故障
を防止することができるようになるものである。

【０００９】請求項２の発明によれば、上記に加えて、
給油手段は圧縮要素の電動要素とは反対側に設けられ、
エンドキャップは密閉容器の電動要素側の端部に取り付
けられ、密閉容器外から吸入した冷媒ガスを圧縮要素に
て圧縮し、密閉容器内の電動要素側に吐出した後、給油
手段側から密閉容器外に吐出すると共に、圧縮要素の電
動要素側及び給油手段側には、冷媒ガス及び潤滑油の移
動を許容しながら密閉容器内を区画する隔壁をそれぞれ
設けているので、密閉容器内の電動要素側の圧力を給油
手段側より高くすることが可能となる。これにより、給
油手段側に潤滑油を押し留め易くなるので、給油手段側
の潤滑油の、油面の低下を最小限に抑えることができる
ようになる。従って、潤滑性能が低下してしまうのを未
然に防止でき、且つ、給油手段は潤滑油を吸い込んでシ
リンダや軸受フレームに確実に給油することができるよ
うになるものである。

【００１０】請求項３の発明によれば、請求項２に加え
て、圧縮要素は複数の回転圧縮要素から構成されている
ので、例えば、密閉容器内の圧力を隔壁の電動要素側を
高く、給油手段側を低く、その中間の隔壁間に中間圧を
作り易くなる。これにより、それらの圧力差によって給
油手段側に潤滑油を押し留め易くなる。従って、横置型
密閉式圧縮機が傾いた場合でも、給油手段側に所定量の
潤滑油を貯留することができるようになり、給油手段は
吸い込んだ潤滑油をシリンダや軸受フレームに確実に給
油することができて、潤滑性能を大幅に向上させること
ができるようになるものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に、図面に基づき本発明の実施
形態を詳述する。図１は本発明の車載用横置型密閉式圧
縮機の実施例として第１及び第２の回転圧縮要素２、３
を備えた２気筒のロータリコンプレッサ１の縦断側面図
を示している。

【００１２】本発明のロータリコンプレッサ１は図示し
ない自動車の車室内を空調するためのカーエアコンの冷
媒回路を構成するものであり、自動車の例えばエンジン
ルーム内に横置として取り付けられる。このロータリコ
ンプレッサ１は、鋼板からなる円筒状の密閉容器４と、
この密閉容器４の内部空間に配置収納された電動要素
６、及び、この電動要素６の横方向（密閉容器４の軸方
向）に向けて設けられた回転軸７により駆動される前記
第１の回転圧縮要素２及び第２の回転圧縮要素３からな
る圧縮要素８にて構成されている。

【００１３】そして、この密閉容器４内には冷媒として
炭酸ガスの一例としての二酸化炭素が所定量充填される
と共に、潤滑油ＯＬが所定量収容される。また、潤滑油
ＯＬの一例として例えばＰＡＧ（ポリアルキレングリコ
ール）が所定量収容される。尚、潤滑油ＯＬはＰＡＯ
（ポリアルファーオレフィン）や鉱油でもよい。

【００１４】また、密閉容器４は実施例では、電動要素
６と圧縮要素８を収納する容器本体４Ａと、この容器本
体４Ａの電動要素６側の一端部開口を閉塞するお椀状の
エンドキャップ４Ｂとの二部材で構成され、且つ、この
エンドキャップ４Ｂには電動要素６に電力を供給するた
めのターミナル（配線を省略）１１が設けられている。
更に、圧縮要素８の電動要素６とは反対側に位置する密
閉容器４の他端部内には、前記潤滑油ＯＬを貯留するた
めの油溜部１２が構成される。また、エンドキャップ４
Ｂには膨出部５が形成されており、この膨出部５はエン
ドキャップ４Ｂの外方（実施例ではターミナル１１下部
で電動要素６の離間側）に所定距離突出させることによ
り膨出形成されている。

【００１５】前記電動要素６は、密閉容器４の容器本体
４Ａの一端側内周面に沿って環状に取り付けられたステ
ータ２２と、このステータ２２の内側に挿入配置された
ロータ２４とからなる。このロータ２４は、その中心を
通って横方向に延在する前記回転軸７に固定されてい
る。

【００１６】ステータ２２は、リング状の電磁鋼板を積
層したステータコア２６と、このステータコア２６に巻
装されたステータコイル２８を有している。また、ロー
タ２４もステータ２２と同様に電磁鋼板のロータコア３
０及びその内部に挿入された永久磁石で形成され、両者
によりブラシレスＤＣモータを構成している。

【００１７】前記第１の回転圧縮要素２と第２の回転圧
縮要素３との間には中間仕切板３６が挟持されている。
即ち、第１の回転圧縮要素２と第２の回転圧縮要素３
は、中間仕切板３６と、この中間仕切板３６の左右に配
置されたシリンダ３８、シリンダ４０と、この左右シリ
ンダ３８、４０内に位置し、１８０度の位相差を有して
回転軸７に設けられた左右偏心部４２、４４に嵌合され
て偏心回転する左右ローラ４６、４８と、この左右ロー
ラ４６、４８に当接して左右シリンダ３８、４０内をそ
れぞれ低圧室側と高圧室側に区画する図示しないベーン
と、左右シリンダ３８、４０の各開口面を閉塞して回転
軸７の軸受けを兼用する主フレーム（左軸受）５１と補
助フレーム（右軸受）５２で構成される。

【００１８】前記シリンダ３８内には吸込通路５３が形
成され、この吸込通路５３は密閉容器４に取り付けられ
た吸込配管５４に連通されている。該吸込配管５４は図
示しないが車室内に設けられた冷房用の冷却器に接続さ
れている。更に、中間仕切板３６及びシリンダ４０内に
は吸込通路５３に連通する一連の分岐吸込通路５６が形
成されている。また、主フレーム５１にはマフラーカバ
ー５７が取り付けられ、このマフラーカバー５７内には
前記シリンダ３８内と適宜連通する消音室５８が形成さ
れている。更に、補助フレーム５２にもマフラーカバー
５９が取り付けられ、このマフラーカバー５９内にも前
記シリンダ４０内と適宜連通する消音室６１が形成され
ている。

【００１９】そして、この消音室６１はシリンダ３８、
４０及び中間仕切板３６を貫通する連通路６２にて消音
室５８内に連通されており、且つ、消音室５８はマフラ
ーカバー５７に形成された図示しない吐出ポートにて電
動要素６側の密閉容器４内に連通している。

【００２０】また、回転軸７の補助フレーム５２側（電
動要素６とは反対側）の端部には給油手段としてのオイ
ルポンプ６６が設けられており、このオイルポンプ６６
に設けられた油吸込管６７は前記油溜部１２方向に降下
して設けられ、その下端は油溜部１２の下部にて開口し
ている。更に、圧縮要素８の電動要素６とは反対側（シ
リンダ４０の油溜部１２側）の密閉容器４上部には吐出
配管７１が取り付けられている。

【００２１】そして、圧縮要素８の電動要素６側及び油
溜部１２側には、それぞれ隔壁７２及び７３が設けられ
ている。この場合、隔壁７２はマフラーカバー５７若し
くは主フレーム５１（又はシリンダ３８でもよい）に取
り付けられ、冷媒ガス及び潤滑油ＯＬの移動を許容しな
がら、密閉容器４内を電動要素６側と圧縮要素８側とに
区画する。また、隔壁７３はシリンダ４０（又は補助フ
レーム５２やマフラーカバー５９でもよい）に取り付け
られ、冷媒ガス及び潤滑油ＯＬの移動を許容しながら、
密閉容器４内を圧縮要素８側と油溜部１２側とに区画す
る。そして、前記吐出配管７１はこの隔壁７３の油溜部
１２側に位置する。

【００２２】以上の構成で、ターミナル１１及び図示し
ない配線を介して電動要素６のコイル２８に通電される
と、ロータ２４が回転する。この回転により回転軸７と
一体に設けた左右偏心部４２、４４に嵌合された左右ロ
ーラ４６、４８が左右シリンダ３８、４０内を偏心回転
する。

【００２３】これにより、外部から吸込配管５４に吸い
込まれた冷媒ガスは、吸込通路５３を経てシリンダ３８
の低圧室側に吸入されると共に、分岐吸込通路５６を経
てシリンダ４０の低圧室側に吸入される。吸入された低
圧の冷媒ガスは、ローラ４６、ローラ４８とベーンの動
作によりそれぞれ圧縮され、高温高圧となってシリンダ
３８の高圧室側より消音室５８に至り、吐出ポートから
電動要素６側の密閉容器４内に吐出されると共に、シリ
ンダ４０の高圧室側からは消音室６１、連通路６２を経
て消音室５８に至り、吐出ポートから電動要素６側の密
閉容器４内に吐出される。

【００２４】このように、密閉容器４内の電動要素６側
に吐出された高温高圧の冷媒ガスは、密閉容器４と隔壁
７２、圧縮要素８の各シリンダ３８、４０及び隔壁７３
間に構成された隙間を通って密閉容器４内の油溜部１２
側に至り、吐出配管７１から外部に吐出されることにな
る。

【００２５】これによって、密閉容器４内の圧力分布と
しては隔壁７２の電動要素６側が最も高い高圧ＨＨ、隔
壁７２、７３間の圧縮要素８の中間仕切板３６部分がそ
れより低い中間の高圧ＨＭ、そして、吐出配管７１のあ
る隔壁７３の油溜部１２側が最も低い高圧ＨＬとなる。

【００２６】一方、回転軸７の回転によってオイルポン
プ６６も回転され、油吸込管６７の下端開口から油溜部
１２内の潤滑油ＯＬを吸引する。そして、回転軸７内を
通り、各シリンダ３８、４０内の摺動部及び各フレーム
５１、５２と回転軸７間の摺動部に供給して潤滑する。

【００２７】このように、油溜部１２に貯留された潤滑
油ＯＬは、密閉容器４内の圧力分布を隔壁７２の電動要
素６側を高い高圧ＨＨ、隔壁７２、７３を中間の高圧Ｈ
Ｍ、隔壁７３の油溜部１２側を低い高圧ＨＬとなるよう
に構成しているので、それら高い高圧ＨＨ、中間の高圧
ＨＭ、低い高圧ＨＬによって油溜部１２（オイルポンプ
６６側）に潤滑油ＯＬを押し留めることが可能となる。
これにより、油溜部１２に貯留された潤滑油ＯＬは両隔
壁７３、７２によって電動要素６側へ流出するのを阻止
することができる。即ち、高い高圧ＨＨの隔壁７２の電
動要素６側には潤滑油ＯＬが少量で、低い高圧ＨＬの隔
壁７３右側となる油溜部１２（オイルポンプ６６側）に
殆どの潤滑油を貯留させることができるようになる。こ
れにより、オイルポンプ６６は油溜部１２内から吸い込
んだ潤滑油ＯＬをシリンダ３８、４０や回転軸７の軸受
けを兼用する主フレーム（左軸受）５１と補助フレーム
（右軸受）５２に確実に給油することができるようにな
る。

【００２８】次に、図２に車載用横置型密閉式圧縮機の
電動要素６側に対してオイルポンプ６６側を高く傾斜さ
せた２気筒のロータリコンプレッサ１の説明を行なう。
この場合、密閉容器４はオイルポンプ６６側を高く電動
要素６側を低くした角度（約３０．０°）で傾斜させて
いる。このように、密閉容器４のオイルポンプ６６側を
高くした場合、吐出配管７１のある隔壁７３の油溜部１
２に貯留された潤滑油ＯＬは、重力で隔壁７３と各シリ
ンダ３８、４０及び隔壁７２間に構成された隙間を通っ
て電動要素６側に移動するが、密閉容器４内に吐出され
た高圧冷媒の圧力分布を隔壁７２の電動要素６側を高い
高圧ＨＨ、隔壁７２、７３を中間の高圧ＨＭ、隔壁７３
の油溜部１２側を低い高圧ＨＬとなるように構成してい
るので、油溜部１２に貯留された潤滑油ＯＬは両隔壁７
３、７２による圧力差によって電動要素６側へ大量に流
出してしまうのを阻止することができる。

【００２９】これにより、車両に搭載された横置型密閉
式圧縮機が電動要素６側（オイルポンプ６６と反対側）
に対してオイルポンプ６６側が高くなるように傾いた場
合でも、密閉容器４内のオイルポンプ６６側に貯留され
た潤滑油ＯＬの油面の低下を最小限に抑えられ、潤滑性
能が低下してしまうのを未然に防止することができるよ
うになり、油溜部１２に所定量の潤滑油ＯＬを貯留する
ことができるようになる。従って、オイルポンプ６６は
油溜部１２内から吸い込んだ潤滑油ＯＬをシリンダ３
８、４０や回転軸７の軸受けを兼用する主フレーム（左
軸受）５１と補助フレーム（右軸受）５２に確実に給油
することができるようになる。

【００３０】また、潤滑油ＯＬが電動要素６側へ移動し
て溜まってしまった場合、密閉容器４のエンドキャップ
４Ｂに膨出部５を設けているので、膨出部５で潤滑油Ｏ
Ｌを受け止めることが可能となる。これにより、ターミ
ナル１１まで潤滑油ＯＬの油面が上昇してしまうのを防
止することが可能となり、ターミナル１１の短絡故障を
防止することができるようになる。

【００３１】次に、図３に車載用横置型密閉式圧縮機の
オイルポンプ６６側に対して電動要素６側を高く傾斜さ
せた２気筒のロータリコンプレッサ１の説明を行なう。
この場合、密閉容器４はオイルポンプ６６側を低く電動
要素６側を高くした角度（約３０．０°）で傾斜させて
いる。このように、密閉容器４のオイルポンプ６６側に
対して電動要素６側を高くした場合はオイルポンプ６６
側が低くなり、吐出配管７１のある隔壁７３の油溜部１
２に貯留された潤滑油ＯＬは、重力で電動要素６側に流
出せず油溜部１２内に貯留されることとなる。

【００３２】また、密閉容器４内に吐出された高圧冷媒
の圧力分布を隔壁７２の電動要素６側を高い高圧ＨＨ、
隔壁７２、７３を中間の高圧ＨＭ、隔壁７３の油溜部１
２側を低い高圧ＨＬとなるように構成しているので、油
溜部１２に貯留された潤滑油ＯＬは両隔壁７３、７２に
よる圧力差によって更に電動要素６側へ流出してしまう
のを阻止することができる。即ち、密閉容器４のオイル
ポンプ６６側が高く傾いた場合でも高い高圧ＨＨの隔壁
７２の電動要素６側には潤滑油ＯＬが少量で、低い高圧
ＨＬの隔壁７３右側となる油溜部１２（オイルポンプ６
６側）に殆どの潤滑油を貯留させることができるように
なる。

【００３３】これにより、車両に搭載された横置型密閉
式圧縮機のオイルポンプ６６側に対して電動要素６側が
高くなるように傾いた場合でも、油溜部１２に所定量の
潤滑油ＯＬを貯留することができる。従って、オイルポ
ンプ６６は油溜部１２内から吸い込んだ潤滑油ＯＬをシ
リンダ３８、４０や回転軸７の軸受けを兼用する主フレ
ーム（左軸受）５１と補助フレーム（右軸受）５２に確
実に給油することができるようになる。

【００３４】このように、エンドキャップ４Ｂを外方に
膨出させているので、例えば、車両の傾斜によってター
ミナル１１側が低く傾斜して潤滑油ＯＬがターミナル１
１側に移動してしまった場合でも、エンドキャップ４Ｂ
の膨出部５に潤滑油ＯＬを受け止めることができる。こ
れにより、ターミナル１１まで潤滑油ＯＬの油面が上昇
してしまうのを防止することが可能となり、ターミナル
１１の短絡故障を防止することができるようになる。

【００３５】また、圧縮要素８の電動要素６側及びオイ
ルポンプ６６側に冷媒ガス及び潤滑油ＯＬの移動を許容
しながら区画する隔壁７２、７３をそれぞれ密閉容器４
内に設け、密閉容器４内の冷媒ガスの圧力をオイルポン
プ６６側より電動要素６側が高くなるようにしているの
で、油貯部１２に貯留された潤滑油ＯＬの油面の低下を
最小限に抑えられる。これにより、密閉容器４内のオイ
ルポンプ６６側に貯留された潤滑油ＯＬの油面の低下を
最小限に抑えられて、油吸込管６７の下端開口が潤滑油
ＯＬの油面より離間してしまうのを抑えられる。従っ
て、潤滑油ＯＬの油面低下により油吸込管６７の下端開
口から潤滑油ＯＬが吸引できなくなって潤滑性能が低下
してしまう不都合を未然に防止することができる。

【００３６】また、圧縮要素８は第１の回転圧縮要素２
と第２の回転圧縮要素３とから構成され、密閉容器４内
に吐出された高圧冷媒の圧力分布を隔壁７２の電動要素
６側を高い高圧ＨＨ、隔壁７２、７３を中間の高圧Ｈ
Ｍ、隔壁７３の油溜部１２側を低い高圧ＨＬとなるよう
に構成しているので、高い高圧ＨＨと低い高圧ＨＬ間に
中間の高圧ＨＭを作り易くなる。これにより、高い高圧
ＨＨ、中間の高圧ＨＭ、低い高圧ＨＬによる圧力差によ
ってオイルポンプ６６側に潤滑油ＯＬを押し留め易くな
るので、横置型密閉式圧縮機が傾いた場合でも、油溜部
には所定量の潤滑油ＯＬを貯留することができるように
なり、オイルポンプ６６は油溜部内から吸い込んだ潤滑
油ＯＬをシリンダや軸受フレームに確実に給油すること
ができるようになる。

【００３７】尚、実施例では密閉式圧縮機の一例として
ロータリコンプレッサを採用したが、それに限らず、相
互に噛み合う一対のスクロールから成る密閉式のスクロ
ール圧縮機にも本発明は有効である。

【００３８】

【発明の効果】以上詳述した如く請求項１の発明によれ
ば、密閉容器内に回転軸を横方向に向けて設けられた電
動要素と、該電動要素によって駆動される圧縮要素と、
密閉容器内に収容された潤滑油と、該潤滑油を圧縮要素
に送るための給油手段と、密閉容器を構成するエンドキ
ャップに取り付けられたターミナルとを備え、該ターミ
ナルより下方のエンドキャップを外方に膨出させている
ので、例えば、車両の傾斜によってターミナル側が低く
傾斜して潤滑油がターミナル側に移動してしまった場合
でもエンドキャップの膨出部に潤滑油を受け止めること
ができるので、ターミナルまで潤滑油の油面が上昇して
しまうのを防止することが可能となる。これにより、タ
ーミナルの短絡故障を防止することができるようになる
ものである。

【００３９】また、請求項２の発明によれば、上記に加
えて、給油手段は圧縮要素の電動要素とは反対側に設け
られ、エンドキャップは密閉容器の電動要素側の端部に
取り付けられ、密閉容器外から吸入した冷媒ガスを圧縮
要素にて圧縮し、密閉容器内の電動要素側に吐出した
後、給油手段側から密閉容器外に吐出すると共に、圧縮
要素の電動要素側及び給油手段側には、冷媒ガス及び潤
滑油の移動を許容しながら密閉容器内を区画する隔壁を
それぞれ設けているので、密閉容器内の電動要素側の圧
力を給油手段側より高くすることが可能となる。これに
より、給油手段側に潤滑油を押し留め易くなるので、給
油手段側の潤滑油の、油面の低下を最小限に抑えること
ができるようになる。従って、潤滑性能が低下してしま
うのを未然に防止でき、且つ、給油手段は潤滑油を吸い
込んでシリンダや軸受フレームに確実に給油することが
できるようになるものである。

【００４０】また、請求項３の発明によれば、請求項２
に加えて、圧縮要素は複数の回転圧縮要素から構成され
ているので、例えば、密閉容器内の圧力を隔壁の電動要
素側を高く、給油手段側を低く、その中間の隔壁間に中
間圧を作り易くなる。これにより、それらの圧力差によ
って給油手段側に潤滑油を押し留め易くなる。従って、
横置型密閉式圧縮機が傾いた場合でも、給油手段側に所
定量の潤滑油を貯留することができるようになり、給油
手段は吸い込んだ潤滑油をシリンダや軸受フレームに確
実に給油することができて、潤滑性能を大幅に向上させ
ることができるようになるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１及び第２の回転圧縮要素を備えた２気筒の
ロータリコンプレッサの縦断側面図である。

【図２】同図１の密閉容器の膨出部を形成したエンドキ
ャップ側を下に傾斜させた２気筒のロータリコンプレッ
サの縦断側面図である。

【図３】同図１の密閉容器の膨出部を形成したエンドキ
ャップ側を上に傾斜させた２気筒のロータリコンプレッ
サの縦断側面図である。

【符号の説明】

１ ロータリコンプレッサ ２ 第１の回転圧縮要素 ３ 第２の回転圧縮要素 ４ 密閉容器 ４Ａ 容器本体 ４Ｂ エンドキャップ ５ 膨出部 ６ 電動要素 ８ 圧縮要素 １１ ターミナル １２ 油溜部 ３８ シリンダ ４０ シリンダ ５７ マフラーカバー ５９ マフラーカバー ６４ 外部配管 ６６ オイルポンプ ６７ 油吸込管 ７２ 隔壁 ７３ 隔壁 ＯＬ 潤滑油

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 正司 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 松浦 大 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 Ｆターム(参考） 3H029 AA04 AA15 AB03 BB01 BB59 CC09 CC26 CC27

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器内に回転軸を横方向に向けて設
   けられた電動要素と、該電動要素によって駆動される圧
   縮要素と、前記密閉容器内に収容された潤滑油と、該潤
   滑油を前記圧縮要素に送るための給油手段と、前記密閉
   容器を構成するエンドキャップに取り付けられたターミ
   ナルとを備え、該ターミナルより下方の前記エンドキャ
   ップを外方に膨出させたことを特徴とする車載用横置型
   密閉式圧縮機。
2. 【請求項２】 前記給油手段は前記圧縮要素の前記電動
   要素とは反対側に設けられ、前記エンドキャップは前記
   密閉容器の前記電動要素側の端部に取り付けられ、前記
   密閉容器外から吸入した冷媒ガスを前記圧縮要素にて圧
   縮し、前記密閉容器内の電動要素側に吐出した後、前記
   給油手段側から前記密閉容器外に吐出すると共に、 前記圧縮要素の前記電動要素側及び給油手段側には、前
   記冷媒ガス及び潤滑油の移動を許容しながら前記密閉容
   器内を区画する隔壁をそれぞれ設けたことを特徴とする
   請求項１の車載用横置型密閉式圧縮機。
3. 【請求項３】 前記圧縮要素は複数の回転圧縮要素から
   構成されていることを特徴とする請求項２の車載用横置
   型密閉式圧縮機。