JP4093801B2 - 横型ロータリコンプレッサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転圧縮要素で圧縮された冷媒ガスを密閉容器内に吐出する横型ロータリコンプレッサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の横型ロータリコンプレッサは、特に内部中間圧型の多段圧縮式横型ロータリコンプレッサでは、第1の回転圧縮要素の吸込ポートから冷媒ガスがシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により圧縮されて中間圧となりシリンダの高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て密閉容器内に吐出される。そして、この密閉容器内の冷媒ガスは第2の回転圧縮要素の吸込ポートからシリンダの低圧室側に吸入され、ローラとベーンの動作により2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり、高圧室側より吐出ポート、吐出消音室を経て、外部の放熱器などに流入する構成とされている。また、密閉容器内の底部はオイル溜めとされており、第1及び第2の回転圧縮要素の電動要素とは反対側に取り付けられたオイルポンプ(給油手段)によりオイル溜めからオイルが吸い上げられ、回転圧縮要素に供給されて回転圧縮要素の摩耗を防いでいる。
【0003】
このような横型ロータリコンプレッサにおいて、回転圧縮要素で圧縮された冷媒ガス中には前記オイルが混入し、冷媒ガスと共に当該オイルも密閉容器内に吐出されるが、この冷媒ガス中のオイル分離を促進するため、冷媒ガスは一旦シリンダの電動要素側に吐出され、外部への吐出はオイルポンプ側から行われる。そのため、オイルはオイルポンプ側だけでなく、電動要素側にも溜まるようになるので、オイルポンプ部分の油面が低下するとオイルの吸引が円滑に行えなくなる問題が生じる。
【0004】
そこで、従来より回転圧縮要素の電動要素側にバッフル板を配置し、密閉容器内を電動要素側とオイルポンプ側とに区画して差圧を構成し、密閉容器内の圧力を電動要素側よりもオイルポンプ側が低くなるようにして、オイルポンプ側の油面(オイルレベル)を上げる工夫が成されていた。
【0005】
【発明を解決しようとする課題】
しかしながら、従来の横型ロータリコンプレッサに二酸化炭素(CO2)などの密度の高い冷媒を使用した場合には、冷媒ガスの流速が遅いため、バッフル板と密閉容器との間の隙間を狭くしなければ差圧が構成されない。従って、少しでも芯ずれが生じると冷媒流通を確保できなくなる恐れがある。更に、バッフル板と密閉容器との隙間を狭くし過ぎた場合、溜まったオイルの中を冷媒ガスが通るため、発泡状態となりオイル吐出量が増加して、信頼性が低下するという問題があった。そのため、設計・組立時において精度が重要となり、密閉容器とバッフル板との寸法管理を厳密に行わなければならなかった。
【0006】
本発明は、係る技術的課題を解決するために成されたものであり、密閉容器内の冷媒ガスの流通を確保して、給油手段によるオイルの供給を円滑に行うことができる横型ロータリコンプレッサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の横型ロータリコンプレッサは、横型の密閉容器内に電動要素と、該電動要素にて駆動される回転圧縮要素と、前記密閉容器内底部のオイル溜めに収容された潤滑用オイルと、前記回転圧縮要素の前記電動要素とは反対側に設けられ、前記オイルを前記回転圧縮要素に供給するための給油手段とを備えて成る横型ロータリコンプレッサであって、前記密閉容器内を前記電動要素側と前記給油手段側とに区画して差圧を構成するための区画手段を前記回転圧縮要素に備え、該区画手段は、前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第1の近接部と、該第1の近接部の前記給油手段側において前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第2の近接部を少なくとも有すると共に、前記第1の近接部及び第2の近接部を備えた一枚のバッフル板にて構成し、前記回転圧縮要素で圧縮された冷媒ガスを前記区画手段の前記電動要素側に吐出した後、前記区画手段の前記給油手段側から外部に吐出するよう構成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明では上記各発明に加えて、第2の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間を、第1の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間より大きくなるように形成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の横型ロータリコンプレッサの実施例として、第1及び第2の回転圧縮要素を備えた内部中間圧型の横型ロータリコンプレッサ10の縦断側面図を示している。
【0012】
図1において、実施例の横型ロータリコンプレッサ10は二酸化炭素(CO2)を冷媒とする内部中間圧型の横型ロータリコンプレッサで、このロータリコンプレッサ10は両端が密閉された横長円筒状の密閉容器12を備え、この密閉容器12の底部をオイル溜めとしている。この密閉容器12内には電動要素14と、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32(1段目)及び第2の回転圧縮要素34(2段目)からなる回転圧縮機構部18が収納されている。
【0013】
密閉容器12の電動要素14側の端部には円形の取付孔12Dが二カ所形成されており、各取付孔12Dには電動要素14に電力を供給するためのターミナル20がそれぞれ取り付けられている。
【0014】
電動要素14は密閉容器12の内周面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の間隔を設けて挿入設置されたロータ24とからなる。このロータ24は中心を通り密閉容器12の軸心方向(横方向)に延在する回転軸16に固定されている。
【0015】
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28を有している。そして、前記ロータ24もステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成されている。
【0016】
前記第1及び第2の回転圧縮要素32、34の電動要素14とは反対側、即ち、回転軸16の回転圧縮機構部18側の端部には給油手段としてのオイルポンプ101が形成されている。このオイルポンプ101は、密閉容器12内の底部に構成されたオイル溜めから潤滑用のオイルを吸い上げて回転圧縮機構部18の摺動部に供給し、摩耗を防止するために設けられており、このオイルポンプ101からは密閉容器12の底部に向かってオイル吸上パイプ102が降下し、オイル溜めにて開口している。
【0017】
第1及び第2の回転圧縮要素32、34は、それぞれ中間仕切板36の両側(図1では左右)に配置されたシリンダ38、40と、180度の位相差を有して回転軸16に設けられた偏心部42、44に嵌合され、シリンダ38、40内を偏心回転するローラ46、48と、これらローラ46、48にそれぞれ当接してシリンダ38、40内をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画する図示しないベーンと、シリンダ38の電動要素14側の開口面とシリンダ40の電動要素14とは反対側(オイルポンプ101側)の開口面をそれぞれ閉塞して回転軸16の軸受けを兼用する支持部材54、56とから構成されている。尚、111は回転軸16の回転圧縮機構部18とは反対側の端部を支持する軸受けである。
【0018】
そして、シリンダ38、40には図示しない吸込ポートにてシリンダ38、40内部の低圧室側とそれぞれ連通する吸込通路58、60が形成されている。
【0019】
また、前記シリンダ38、40内で圧縮された冷媒ガスは支持部材54、56にそれぞれ形成された図示しない吐出ポートにて支持部材54の電動要素14側及び支持部材56の電動要素14とは反対側に形成された吐出消音室62、64にそれぞれ吐出される。この吐出消音室62、64は、中心に回転軸16及び前述する回転軸16の軸受けを兼用する支持部材54、56が貫通するための孔を有して支持部材54の電動要素14側及び支持部材56のオイルポンプ101側をそれぞれ覆う蓋部材63、65内に形成されている。そして、この蓋部材63の外周面には、後述する区画手段としてのバッフル板100が溶接固定されている。
【0020】
そして、吐出消音室64と密閉容器12内は、シリンダ38、40や中間仕切板36、支持部材54を貫通して電動要素14側に開口する連通路120にて連通されており、この連通路120を通って第1の回転圧縮要素32で圧縮された中間圧の冷媒ガスが密閉容器12内の電動要素14側に吐出される。このとき、冷媒ガス中には第1の回転圧縮要素32に供給されたオイルが混入しているが、このオイルも密閉容器12内の電動要素14側に吐出されることになる。ここで、冷媒ガス中に混入したオイルは冷媒ガスから分離して密閉容器12内底部のオイル溜めに溜まる。
【0021】
そして、前述したバッフル板100は密閉容器12内を電動要素14側とオイルポンプ101側とに区画して、密閉容器12内に差圧を構成するために設けられている。このバッフル板100は、密閉容器12の内周面に近接する第1の近接部103と、この第1の近接部103のオイルポンプ101側(回転圧縮機機構部18側)において密閉容器12の内周面に近接する第2の近接部104とから成る。この場合、第1の近接部103は第2の近接部104に溶接固定されており、この第2の近接部104が回転軸16と同一軸芯として蓋部材63の外周面に溶接固定されている。
【0022】
第1の近接部103は、その外周縁から蓋部材63と第2の近接部104との接続部分に向かって、オイルポンプ101側に湾曲しながら傾斜した形状を呈しており、中心部には蓋部材63の外径と略同様の孔が形成されている。そして、前述の如く第2の接近部104に溶接固定されている。また、第1の近接部の外周縁と密閉容器12の内周面との間には冷媒ガスの通過に充分な隙間が形成されている。
【0023】
一方、第1の近接部103のオイルポンプ101側に設けられた第2の接近部104は、略ドーナッツ形状を呈した鋼板から形成されている。そして、この第2の近接部104の外周縁は第1の近接部103のオイルポンプ101側に間隔存して位置しており、当該外周縁と密閉容器12の内周面との間にも冷媒ガスの通過に充分な隙間が形成されている。また、第2の近接部104の外周縁と密閉容器12との間に形成される隙間は、第1の近接部103の外周縁と密閉容器12との間に形成される隙間より大きくなるように形成されている。
【0024】
そして、第1の回転圧縮要素32で圧縮され、密閉容器12内の電動要素14側に吐出された中間圧の冷媒ガスは、バッフル板100の第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間を通った後、更に、第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間を通ってオイルポンプ101側に流入することになるが、係る第1の近接部103及び第2の近接部104の存在により、密閉容器12内には第1の近接部103の電動要素14側の圧力は高く、第2の近接部104側が低い差圧が構成され、更に、第2の近接部104の第1の近接部103側の圧力が高く、第2の近接部104のオイルポンプ101側が低い差圧が順次構成されることになる。
【0025】
この場合、バッフル板100の第1の近接部103及び第2の近接部104それぞれと密閉容器12の内周面との間には充分な隙間が形成されているので、バッフル板の電動要素14側に吐出された冷媒ガスは支障無くオイルポンプ101側に流れる。
【0026】
このようなバッフル板100の存在により、第1の近接部103の電動要素14側の圧力が最も高く、次いで、バッフル板100の第1の近接部103と第2の近接部104の間の圧力が低く、更に第2の近接部104のオイルポンプ101側の圧力が低くなり、第2の近接部104のオイルポンプ101側の圧力が最も低くなる。
【0027】
このように、バッフル板100に第1の近接部103と第2の近接部104を設けて二段階の差圧を構成することにより、第1の近接部103の外周縁及び第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成されるそれぞれの隙間を充分に確保しながら、第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面及び第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間を密閉容器12内に吐出された中間圧の冷媒ガスが通過することで、所望の差圧が構成されるようになる。
【0028】
この差圧によって密閉容器12内底部のオイル溜めに貯溜されたオイルは第2の近接部104のオイルポンプ101側に移動し、第2の近接部104よりオイルポンプ101側のオイルレベルが上昇する。これにより、オイル吸上パイプ102の開口は支障無くオイル中に浸漬されるようになるので、オイルポンプ101による回転圧縮機構部18の摺動部へのオイルの供給が円滑に行われるようになる。
【0029】
即ち、冷媒として二酸化炭素のように密度の濃い冷媒ガスを使用した場合においても、密閉容器12の内周面とバッフル板100との隙間を狭くする必要がないので、芯ずれにより、冷媒ガスの流通が確保できなくなるという不都合を回避することができるようになり、コンプレッサ10の信頼性の向上を図ることができるようになる。
【0030】
また、密閉容器12とバッフル板100等の部品の寸法管理を容易に行うことができるようになり、生産コストの削減及び作業性の向上を図ることができるようになる。
【0031】
更に、区画手段を、第1の近接部103及び第2の近接部104を備えた一枚のバッフル板100にて構成したので、コンプレッサ10の全長が大きくなる不都合を回避することができるようになる。
【0032】
更にまた、前述する如く第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間を第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間より大きくなるように第1及び第2の近接部103を形成しているので、第2の近接部104の外周縁と密閉容器12との寸法管理をより一層容易に行うことが可能となる。即ち、第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間は第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間より大きくなるので、それだけ芯ずれにより冷媒流通が確保できなくなるという恐れが無くなる。このため、第1の近接部103より第2の近接部104の方が、設計・組立時の寸法管理をより一層容易に行うことができるようになる。従って、第1の近接部103でオイルの発泡を防止すると共にオイル分離を行い、第2の近接部104で更にオイル分離を促進することができるようになる。
【0033】
尚、密閉容器12内に封入される潤滑油としてのオイルとしては、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、PAG(ポリアルキルグリコール)等既存のオイルが使用される。そして、冷媒としては、地球環境にやさしく可燃性及び毒性等を考慮して自然冷媒である前述した二酸化炭素(CO2)を使用する。
【0034】
前記密閉容器12の側面には、シリンダ38とシリンダ40の吸込通路58、60に対応する位置に、スリーブ141及び142がそれぞれ溶接固定されている。スリーブ141と142は左右に隣接して設けられている。また、密閉容器12の側面のシリンダ40の上側に対応する位置には図示しないスリーブが形成されている。このスリーブは後述する冷媒導入管92の他端が挿入接続されている。
【0035】
そして、スリーブ141内には上シリンダ38に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の吸込通路58と連通する。この冷媒導入管92は密閉容器12の上側に延在して図示しないスリーブに至り、他端は前述する図示しないスリーブ内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
【0036】
また、スリーブ142内には下シリンダ40に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路60と連通する。また、密閉容器12の側面の吐出消音室62に対応する位置には図示しないスリーブが形成されている。このスリーブ内には図示しない冷媒吐出管が挿入接続され、この冷媒吐出管の一端は吐出消音室62と連通されており、第2の回転圧縮要素34のシリンダ38で圧縮され、図示しない吐出ポートを通って吐出消音室62に吐出された冷媒ガスが冷媒吐出管から外部の図示しない放熱器などに供給される。更に、密閉容器12の底部には取付用台座110が設けられている。
【0037】
以上の構成で次にロータリコンプレッサ10の動作を説明する。尚、図1において、第1の回転圧縮要素で圧縮され、密閉容器12内に吐出された中間圧の冷媒ガスの流れを黒矢印で、この冷媒ガス中に混入して密閉容器12内に吐出され、密閉容器12内で冷媒ガスと分離したオイルの流れを白矢印で示している。
【0038】
ターミナル20及び図示しない配線を介して電動要素14のステータコイル28に通電されると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。この回転により回転軸16と一体に設けられた偏心部42、44に嵌合されたローラ46、48がシリンダ38、40内で偏心回転する。
【0039】
これにより、冷媒導入管94及び支持部材56に形成された吸込通路60を経由して図示しない吸込ポートから第1の回転圧縮要素32のシリンダ40の低圧室側に低圧の冷媒ガスが吸入され、ローラ48と図示しないベーンの動作により圧縮されて中間圧となり、シリンダ40の高圧室側より連通路120を経てバッフル板100の電動要素14側に吐出される。このとき、密閉容器12内のバッフル板100の電動要素14側に吐出された中間圧の冷媒ガス中には、第1の回転圧縮要素23に供給されたオイルが混入しており、このオイルは分離して密閉容器12内底部のオイル溜めに溜まる。そして、冷媒ガスはバッフル板100の第1の近接部103外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間から第1の近接部103のオイルポンプ101側で、且つ、第2の近接部104の電動要素14側に流入する。
【0040】
ここで、冷媒ガスが第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間を通過すると云う作用により、第1の近接部103の電動要素14側の圧力がオイルポンプ101側の圧力より高くなる。
【0041】
次に、冷媒ガスは第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間を通過して、第2の近接部104のオイルポンプ101側に流入する。ここで、冷媒ガスが第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成された隙間を通過すると云う作用により、第1の近接部103と第2の近接部104の間の圧力より、第2の近接部104のオイルポンプ101側の圧力の方が低くなる。この差圧により、密閉容器12内のオイルはオイルポンプ101側に流入しやすくなるので、第2の近接部104のオイルポンプ101側の油面が上昇する。これにより、オイルはオイル吸上パイプ102を介してオイルポンプ101により円滑に吸い上げられる。
【0042】
更に、オイルポンプ側に流入した中間圧の冷媒ガスは密閉容器12の側面のシリンダ40の上側に形成されたスリーブに挿入されている冷媒導入管92から出て、シリンダ38に形成された吸込通路58を経由して図示しない吸込ポートから上シリンダ38の低圧室側に吸入される。
【0043】
第2の回転圧縮要素34に吸入された中間圧の冷媒ガスは、ローラ46と図示しないベーンの動作により2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり、高圧室側から図示しない吐出ポートを通り吐出消音室62に吐出される。吐出消音室62に吐出された冷媒ガスは、図示しない冷媒吐出管を経て外部の放熱器に流入する。
【0044】
このように、バッフル板100に第1の近接部103と第2の近接部104を設けて二段階の差圧を構成することにより、第1の近接部103及び第2の近接部104と密閉容器12の内周面との間に形成されるそれぞれの隙間を充分に確保しながら、所望の差圧が構成されるようになる。
【0045】
そして、この差圧によって密閉容器12内底部のオイル溜めに貯溜されたオイルは第2の近接部104のオイルポンプ101側に移動し、第2の近接部104よりオイルポンプ101側のオイルレベルが上昇する。これにより、オイル吸上パイプ102の開口は支障無くオイル中に浸漬されるようになるので、オイルポンプ101による回転圧縮機構部18の摺動部へのオイルの供給が円滑に行われるようになる。
【0046】
これにより、冷媒として二酸化炭素のように密度の濃い冷媒ガスを使用した場合においても、密閉容器12の内周面とバッフル板100との隙間を狭くする必要がないので、芯ずれにより、冷媒ガスの流通が確保できなくなるという不都合を回避することができるようになり、コンプレッサ10の信頼性の向上を図ることができるようになる。
【0047】
また、密閉容器12とバッフル板100等の部品の寸法管理を容易に行うことができるようになり、生産コストの削減及び作業性の向上を図ることができるようになる。
【0048】
更に、区画手段を、第1の近接部103及び第2の近接部104を備えた一枚のバッフル板100にて構成したので、コンプレッサ10の全長が大きくなる不都合を回避することができるようになる。
【0049】
更にまた、第2の近接部104の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間を第1の近接部103の外周縁と密閉容器12の内周面との間に形成される隙間より大きくなるように形成しているので、前述の如く第2の近接部104の外周縁と密閉容器12との寸法管理をより一層容易に行うことが可能となる。従って、第1の近接部103でオイルの発泡を防止すると共にオイル分離を行い、第2の近接部104で更にオイル分離を促進することができるようになる。
【0050】
尚、上記実施例では一枚のバッフル板100に第1の近接部103及び第2の近接部を設けることにより、密閉容器12内を電動要素14側とオイルポンプ101側とに区画して、差圧を構成するものとしたが、これに限らず、バッフル板を二枚設けてもよい。また、係るバッフル板を3枚以上設けたり、或いは、一枚のバッフル板に近接部を3つ以上設けて、更に多段階に差圧を構成しても本発明は有効である。
【0051】
また、上記実施例では冷媒として二酸化炭素を使用したが、これに限らず、二酸化炭素のような密度の高い他の冷媒を用いる場合や、圧縮前後で冷媒のガス密度が大きく異なるような条件下で用いられる場合にも本発明は有効である。
【0052】
更に、上記実施例では、横型ロータリコンプレッサ10を第1と第2の回転圧縮要素32、34を備えた2段圧縮式の横型ロータリコンプレッサで説明したが、これに限らず内部高圧型の単シリンダの横型ロータリコンプレッサ、内部高圧型の多気筒横型ロータリコンプレッサ又は回転圧縮要素を3段、4段或いはそれ以上の回転圧縮要素を備えた多段圧縮式ロータリコンプレッサに適応しても本発明は有効である。更に、2段圧縮式ロータリコンプレッサを内部中間圧型の横型ロータリコンプレッサで説明したが、これに限らず内部高圧型の横型ロータリコンプレッサに適応しても差し支えない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、横型の密閉容器内に電動要素と、該電動要素にて駆動される回転圧縮要素と、前記密閉容器内底部のオイル溜めに収容された潤滑用オイルと、前記回転圧縮要素の前記電動要素とは反対側に設けられ、前記オイルを前記回転圧縮要素に供給するための給油手段とを備えて成る横型ロータリコンプレッサであって、前記密閉容器内を前記電動要素側と前記給油手段側とに区画して差圧を構成するための区画手段を前記回転圧縮要素に備え、該区画手段は、前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第1の近接部と、該第1の近接部の前記給油手段側において前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第2の近接部を少なくとも有すると共に、前記第1の近接部及び第2の近接部を備えた一枚のバッフル板にて構成し、前記回転圧縮要素で圧縮された冷媒ガスを前記区画手段の前記電動要素側に吐出した後、前記区画手段の前記給油手段側から外部に吐出するよう構成したので、バッフル板に第1の近接部及び第2の近接部を設けて二段階の差圧を構成することにより、第1の近接部及び第2の近接部と密閉容器の内周面との間に形成されるそれぞれの隙間を充分に確保しながら、二段階の隙間により、所望の差圧が構成されるようになる。
【0054】
これにより、第1及び第2の近接部のそれぞれの隙間を大きくすることが可能となるため、設計精度の細かな設定をする必要が無くなるので、生産コストの削減を図ることができるようになる。
【0055】
更に、区画手段は、第1の近接部及び第2の近接部を備えた一枚のバッフル板にて構成したので、コンプレッサの全長が大きくなる不都合を回避することができるようになる。
【0056】
請求項2の発明では上記各発明に加えて、第2の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間を第1の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間より大きくなるように形成しているので、第2の近接部104の寸法管理をより一層容易に行うことができるようになる。
【0057】
これにより、第1の近接部103でオイルの発泡を防止すると共にオイル分離を行って、第2の近接部104で更にオイル分離を促進することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の横型ロータリコンプレッサの縦断側面図である。
【符号の説明】
10 横型多段圧縮式ロータリコンプレッサ
12 密閉容器
14 電動要素
16 回転軸
18 回転圧縮機構部
32 第1の回転圧縮要素
34 第2の回転圧縮要素
38、40 シリンダ
42、44 偏心部
46、48 ローラ
54、56 支持部材
63、65 蓋部材
100 バッフル板
101 オイルポンプ
102 オイル吸上パイプ
103 第1の近接部
104 第2の近接部
Claims (2)
- 横型の密閉容器内に電動要素と、該電動要素にて駆動される回転圧縮要素と、前記密閉容器内底部のオイル溜めに収容された潤滑用オイルと、前記回転圧縮要素の前記電動要素とは反対側に設けられ、前記オイルを前記回転圧縮要素に供給するための給油手段とを備えて成る横型ロータリコンプレッサであって、前記密閉容器内を前記電動要素側と前記給油手段側とに区画して差圧を構成するための区画手段を前記回転圧縮要素に備え、該区画手段は、前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第1の近接部と、該第1の近接部の前記給油手段側において前記密閉容器の内周面に近接して隙間を形成する第2の近接部を少なくとも有すると共に、前記第1の近接部及び第2の近接部を備えた一枚のバッフル板にて構成し、前記回転圧縮要素で圧縮された冷媒ガスを前記区画手段の前記電動要素側に吐出した後、前記区画手段の前記給油手段側から外部に吐出するよう構成したことを特徴とする横型ロータリコンプレッサ。
- 前記第2の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間を、前記第1の近接部の外周縁と密閉容器の内周面との間に形成される隙間より大きくなるように形成したことを特徴とする請求項1の横型ロータリコンプレッサ。
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