JP2002242712A - 可変バルブタイミング機構付内燃機関 - Google Patents

可変バルブタイミング機構付内燃機関

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JP2002242712A JP2001043803A JP2001043803A JP2002242712A JP 2002242712 A JP2002242712 A JP 2002242712A JP 2001043803 A JP2001043803 A JP 2001043803A JP 2001043803 A JP2001043803 A JP 2001043803A JP 2002242712 A JP2002242712 A JP 2002242712A
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、スモーク低減が求められる特定運転
状態におけるスモーク低減が十分に行える可変バルブタ
イミング機構付内燃機関を提供する。 【解決手段】本発明の可変バルブタイミング機構付内燃
機関は、内燃機関1のスモーク低減が要求される特定運
転状態の際、内燃機関に付いている可変バルブタイミン
グ機構9a,10aで、吸気バルブ9と排気バルブ10
とのオーバラップをゼロにして、吸気行程前における筒
内温度を、排気行程の末期で行われる圧縮仕事で上昇さ
せ、筒内で燃料を霧化しやすくして、燃焼を促進し、十
分なスモーク低減効果が発揮されるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バルブの開閉タイ
ミングが可変可能な機能を有する可変バルブタイミング
機構付内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に搭載されるガソリンエンジンや
ディーゼルエンジンなどといったレシプロ式のエンジン
(内燃機関)は、シリンダ内を往復動するピストンに連
動して開閉する吸気バルブや排気バルブを用いて、シリ
ンダ内で吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程とい
った燃焼サイクルを行わせて動力を発生させる。
【0003】こうしたガソリンエンジンやディーゼルエ
ンジンは、いずれも燃料の霧化を利用して空気を混合さ
せながら燃焼させるので、構造上、シリンダやピストン
などエンジン各部が冷えている冷態時の運転には、燃料
が霧化しにくくなるという理由から、スモークと呼ばれ
る、燃料の一部が燃焼せずに未燃成分となって排気ガス
の一部に含まれ大気に排出されるという現象が発生しや
すい。特にエンジンは、自動車の運転状況により、冷態
時のまま、高負荷、高回転という状態で運転されること
は避けられず、このような運転状態の際、大気にスモー
クが排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来、自動車
に搭載されるエンジンでは、このような冷態時の高負荷
域、高回転域といったスモーク量を抑えたい特定の運転
状態において、燃料の供給量の増大を抑えたり、吸込空
気量の増大を抑えたりするなどのチューニングを講じて
いる。
【0005】しかし、いずれの手法も、スモーク低減の
効果には有効でなく、十分なスモーク低減効果が期待で
きる技術が要望されている。特に近時では、吸気バルブ
や排気バルブの開閉タイミングを制御する可変バルブタ
イミング機構が付いたエンジンが採用され、細部に渡り
エンジン性能のチューニングが可能になっているが、そ
れでもスモーク対策は十分ではない。
【0006】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、可変バルブタイミング機
構を用いて、スモーク低減が求められる特定運転状態に
おけるスモーク低減が十分に行える可変バルブタイミン
グ機構付内燃機関を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の可変バルブタイミング機構付内燃機関は、
内燃機関のスモーク低減が要求される特定運転状態にお
いて、内燃機関に付いている可変バルブタイミング機構
で、排気バルブの閉弁時期が進角するようにした。
【0008】同じく請求項2の可変バルブタイミング機
構付内燃機関は、内燃機関のスモーク低減が要求される
特定運転状態において、内燃機関に付いている可変バル
ブタイミング機構で、排気バルブと吸気バルブのオーバ
ラップ量を減少するようにした。
【0009】請求項1、請求項2の可変バルブタイミン
グ付内燃機関によれば、排気バルブの閉弁時期の進角
や、排気バルブと吸気バルブのオーバラップ量の減少に
より、スモーク低減が求められる特定運転状態のとき
は、排気の抜けが規制されて、排気行程の末期に圧縮仕
事が発生される。
【0010】この圧縮仕事により、吸気行程前における
筒内温度が上昇するので、その後、供給される燃料は筒
内で霧化しやすくなり、続く燃焼が促進される。
【0011】それ故、未燃成分の発生は抑制され、スモ
ークの発生が効果的に低減される。
【0012】この請求項1又請求項2の好ましい態様と
しては、つぎのような a.特定運転状態は、内燃機関が冷態状態で過給状態に
ある状態であること。
【0013】b.特定運転状態は、スモーク対策で設定
された内燃機関の出力あるいは燃料噴射量が制限される
運転状態であること。
【0014】c.内燃機関は、筒内噴射型火花点火式内
燃機関であること。などが望ましい。
【0015】特に、上記aの態様だと、特にスモークの
発生が問題となる冷態の過給域で、効果的にスモークの
発生が防げるという効果を奏し、上記bの態様だと、ス
モーク対策で設定される出力あるいは燃料噴射量の制限
領域で、効果にスモークの発生が防げるという効果を奏
し、上記cの態様だと、スモークの発生が問題となりや
すい筒内噴射型火花点火式内燃機関のスモーク発生が効
果的に防げるという効果を奏するので、請求項1又は請
求項2には有効である。
【0016】請求項3の可変バルブタイミング機構付内
燃機関は、上記目的に加え、内燃機関に組付くターボチ
ャージャを活用して、できる限り排気ガス中のスモーク
が低減されるよう、スモーク低減が求められる特定運転
状態のとき、ターボチャージャに付いているウエストゲ
ート弁を閉じる制御を加える構成を採用し、上記特定運
転の際、内燃機関からの全排気ガスがターボチャージャ
のタービンを通過させ、内燃機関からターボチャージャ
までの区間における排圧の上昇、さらには排ガスの集中
的な熱エネルギーにより、ターボチャージャのタービン
を高温にして、排気ガスがタービンを通過する際、残る
スモーク(未燃成分)が燃焼するようにした。
【0017】この請求項3の好ましい態様としては、さ
らにアクセルの操作とは独立した開度制御が可能な電子
制御スロットル弁を有し、ウエストゲート弁を制御する
制御手段は上記特定運転状態のおいて電子制御スロット
ル弁の開度を減少させることが望ましい。この態様だ
と、タービンへの流量増大により上昇する過給圧の増大
が抑えられるので、不必要に内燃機関の出力が増大する
挙動が防止される。
【0018】より好ましくは、上記制御手段が、通常制
御時に対して吸気体積効率が上昇する範囲で電子制御ス
ロットル弁の開度を減少させればよい。この態様だと、
排圧上昇による内部EGRがもたらす出力低下が、吸気
体積効率の上昇で抑えられるので、出力の低下を抑制し
ながらスモークの発生が防げるという効果を奏する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図5に
示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0020】図1は、本発明を適用した例えば自動車に
搭載される内燃機関の周辺構造を示していて、図中1
は、内燃機関、例えば筒内噴射型火花式のレシプロガソ
リンエンジン(以下、単にエンジンという)の水冷式の
エンジン本体である。
【0021】このエンジン本体1は、気筒2aとウォー
タジャケット2bとが形成されたシリンダブロック2、
同ブロック2の上端部に搭載されたシリンダヘッド3、
シリンダブロック2の下端部に取付けられたオイルパン
4を有して構成してある。
【0022】このうちシリンダブロック2の気筒2a内
には、頂面に椀状に湾曲した椀曲面5aを有するピスト
ン5が往復可能に収めてある。なお、ピストン5は、コ
ンロッド(図示しない)を介してクランクシャフト(図
示しない)に連結され、ピストン5の往復変位が回転変
位として出力されるようにしてある。またウォータジャ
ケット2b内を満たしている冷却水は、ウォータポンプ
(図示しない)およびサーモスタット(図示しない)を
用いて、ラジエータ(図示しない)に循環させたり、ラ
ジエータをバイパスさせたりして、水温が適正な温度に
保たれるようにしてある。なお、2cはウォータジャケ
ット2b内の冷却水温を検知する水温センサを示す。
【0023】シリンダヘッド3の下面には、気筒2aと
向き合う燃焼室6が形成してある。この燃焼室6の中央
部には点火プラグ3aが組込んである。この点火プラグ
3aを挟む燃焼室6の一側には、該燃焼室6からシリン
ダブロック2の上端部に延びる直立形の吸気ポート8が
形成され、他側には燃焼室6からシリンダブロック2の
幅部に延びる排気ポート7が形成してある。これら吸・
排気ポート7,8には、各ポート7,8の燃焼室6端を
開閉する吸気バルブ9、排気バルブ10が組込んであ
る。これら吸・排気バルブ9,10は、吸・排気毎のカ
ムシャフト12a,12b(クランク出力で駆動される
部品)で駆動される。さらに各カムシャフト12a,1
2bには、少なくとも排気側、ここでは吸気側と排気側
との双方に例えばベーン式の可変バルブタイミング機構
9a,10aが組付けてある。これら可変バルブタイミ
ング機構9a,10aには、いずれも例えば外部から与
えられる信号で、クランクシャフトに対するカムの位相
を油圧により変位させて、カムシャフト12a,12b
の吸・排気用カムを進角方向や遅角方向へ変位させる構
造が用いられている。また吸気ポート8寄りのシリンダ
ヘッド部分には、気筒2a内(具体的には椀曲面5a方
向)へ向けて燃料を噴射する電子制御式のインジェクタ
11が組込まれている。そして、各吸気バルブ9、排気
バルブ10、インジェクタ11の動作から、気筒2a内
で、所定の燃焼サイクル(例えば吸気、圧縮、燃焼、排
気で形成されるサイクル)を行わせる構造にしてある。
【0024】また吸気ポート8の入口は、吸気路、具体
的には吸気マニホールド13、サージタンク14、アク
セルペダル操作とは独立した開度制御が可能な電子制御
スロットル弁15(以下、単にスロットル弁15とい
う:略号ETV)、インタクーラ16(略号I/C)を
有する吸気管17、エアフローセンサ18、エアクリー
ナ19を順に通じて、大気に開口していて、エアクリー
ナ19から気筒2aへ燃焼に必要な燃焼空気が取り込め
るようにしている。排気ポート7の出口は、排気路、具
体的には排気マニホールド21、排気管22、触媒2
3、テールパイプ24を順に通じて、大気に開口してい
て、エンジンから排出された排ガスが大気へ排出される
ようにしている。
【0025】これら吸気路、排気路の一部にはターボチ
ャージャ25(略号T/C)が組付けてある。ターボチ
ャージャ25は、例えば並行に配置される吸気管17、
排気管22のうち、排気管22の上流側の部位に、排気
ガスのエネルギーで駆動されるタービン26(タービン
ハウジング26a内にタービンホイール26bを収めて
構成される)を組付け、エアフローセンサ18の下流側
となる吸気管17の部位に、タービン26と同軸なシャ
フト28でつながるコンプレッサ27(コンプレッサハ
ウジング27a内にコンプレッサホイール27bを収め
て構成される)を組付けて構成される。つまり、排気ガ
スでタービンホイール26bが駆動され、この駆動によ
りコンプレッサホイール27bが回転されて、過給が行
われる構造にしてある。
【0026】またタービン26の入・出口間には、該タ
ービン26をバイパスさせて排気マニホールド21と排
気管22間を連絡するバイパス路29が形成してある。
このバイパス路29には、電子制御式のウエストゲート
弁30(略号W/G)が組込まれていて、同ウエストゲ
ート弁30で行われるバイパス路29の開度制御によ
り、ターボチャージャ25の過給能力が可変されるよう
にしてある。
【0027】そして、エンジン各部の制御機器(水温セ
ンサ2c、可変バルブタイミング機構9a,10a、イ
ンジェクタ11、スロットル弁15、エアフローセンサ
18、ウエストゲート弁30など)は、例えばマイクロ
コンピュータで構成されたECU31(制御手段に相
当)に接続してある。このECU31には、アクセルペ
ダルの開度を検知するアクセル開度センサ(図示しな
い)からのアクセル開度信号、エンジン回転数を検知す
るエンジン回転センサ(図示しない)からのエンジン回
転数信号、エアフローセンサ18からの吸気流量信号、
水温センサ2cからの冷却水温信号などから、エンジン
の運転状態に応じた目標EV(吸気体積効率)やオーバ
ラップ量などの目標値を算出し、これら値にしたがいス
ロットル弁15の開度、インジェクタ11の燃料噴射量
や噴射タイミング、吸・排気バルブ9,10の開閉タイ
ミング、ウエストゲート弁30の開度を制御する機能が
設定されている。
【0028】またECU31には、スモークを低減する
ために用いられるスモーク制御が設定されている。この
制御は、可変バルブタイミング機構9a,10aを用い
て行われる制御で、スモーク低減が求められるエンジン
の特定運転状態、例えばエンジンが冷態状態で過給状態
にある運転状態、スモーク対策のためにエンジンの出力
制限や燃料噴射量の制限が求められている運転領域のと
きに機能する制御である。
【0029】このスモーク制御は、排気バルブ10の閉
弁時期を進角(早閉じ)させる制御させたり、例えば図
2(a)および図3(a)に示されるように通常制御時
用に、エンジン回転数に応じて適切に定めている吸気バ
ルブ9と排気バルブ10とのオーバラップ量を、上記ス
モーク低減が求められる特定運転状態のときは減少させ
る機能で形成したりすることにより実現される。具体的
には、このオーバラップ量の減少には、図2(b)およ
び図3(b)に示されるようにスモーク低減が求められ
る特定運転状態時、可変バルブタイミング機構9a,1
0aを制御して、オーバラップがゼロとなるよう、吸気
バルブ9の開弁時期を遅らせるとともに排気バルブ10
の閉弁時期を進ませる機能で設定してある。
【0030】このスモーク制御により、スモーク低減が
求められる特定運転状態のときは、排気行程の末期に圧
縮仕事を発生させて、筒内に燃料が霧化しやすい環境を
形成して、有効なスモーク低減効果が表れるようにして
いる。このスモーク制御で用いられるバルブタイミング
の制御フローが図2(c)に示されている。
【0031】この制御フローを参照してスモーク低減効
果について説明すれば、今、例えば自動車に搭乗してい
る運転者が、エンジンを始動し、アクセルペダルを踏み
込んで、自動車を走行させたとする。
【0032】このとき、ECU31は、エンジンの冷却
水温を監視していて(ステップS1)、冷却水温が、温
態状態であることを示す温度に達していれば、エンジン
の運転状態に応じて求まる各種目標値にしたがい、スロ
ットル弁15の開度、インジェクタ11の燃料噴射量や
噴射タイミング、ウエストゲート弁30の開度、吸気バ
ルブ9と排気バルブ10のオーバラップ量[図2
(a)]が制御される(ステップS2)。
【0033】これにより、エンジンは、要求するエンジ
ン出力に見合うよう、オーバラップ量が可変ならびにタ
ーボ過給が行われながら運転される。
【0034】一方、エンジンの冷却水温が、所定温度以
下で、ECU31が冷態状態と判断したときは、スモー
ク制御に切り換わる(ステップS3)。
【0035】このときスモーク低減が要求される特定運
転、例えば過給状態(例えば中負荷や高負荷でエンジン
回転数が中回転数や高回転数となる状態)や、エンジン
の出力制限や燃料噴射量の制限が課せられる運転状態の
ときは、ECU31の指令により、吸・排気側の可変バ
ルブタイミング機構9a,9bが制御され、吸・排気側
のカムシャフト12a,12bの位相(排気バルブ10
は進角、吸気バルブ9は遅角)から、図2(b)に示さ
れるように吸気バルブ9と排気バルブ10のオーバラッ
プ量をゼロ(減少)にする。
【0036】すると、通常制御においては、排気行程の
末期から吸気行程へ向かうときに生じていた排気ポート
10からガスが抜ける挙動が、排気バルブ10の早閉じ
(ここでは、オーバラップのゼロ)で規制され、当該排
気行程の末期ではその代わりに圧縮仕事が行われる。
【0037】これにより、図4の線図からも明らかなよ
うに吸気行程前の筒内温度は、図中矢印αに示されるよ
うに圧縮仕事により、破線で示した通常制御時のオーバ
ラップのときよりも上昇する。これで、その後の吸気行
程における筒内温度は、通常制御時のオーバラップのと
きより高められる(シュミレーションによると、約10
0℃位上昇)。
【0038】燃料の噴射は、この筒内温度が上昇した霧
化しやすい環境で行われるので、続く燃料の燃焼が促進
され、未燃成分の発生、すなわちスモークの発生が抑え
られる。
【0039】このスモーク特性をシュミレーションした
結果、排気ガス中に含まれるスモーク量は、図5の線図
に示されるように十字印をむすんだ線で表わしたオーバ
ラップゼロのときの方が、丸印をむすんだ線で表わした
通常制御時のオーバラップのときに比べ、格段に低減さ
れることが確認された。
【0040】それ故、スモークの発生が問題となる、エ
ンジンが冷態状態で高負荷、高回転で運転される状態
や、スモーク対策でエンジンに設定される出力や燃料噴
射量の制限領域といったスモーク低減が難しいとされる
特定運転状態において、十分なスモーク低減効果が発揮
できる。特にスモークの発生が問題となりやすい、エン
ジンの冷態状態で過給状態にある運転、筒内噴射型火花
点火式エンジン(気筒内への燃料の直接噴射により、燃
料がピストンや気筒各部に付着しやすくなるため)には
有効である。
【0041】図6ないし図10には、本発明の第2の実
施形態が示されている。
【0042】本実施形態は、第1の実施形態で述べたオ
ーバラップを減少(排気バルブの早閉じ)させてスモー
クを低減する機能に、ターボチャージャ25を活用して
スモークを低減する機能を組合わせて、できる限り排気
ガス中のスモーク量を低減しようとしたものである。
【0043】本実施形態は、エンジン各部の構成につい
ては図1に示した構成と同じで、スモーク制御の制御内
容が異なるだけなので、ここでは、図1を活用して構成
の説明については省略し、ECU31に設定してあるタ
ーボチャージャ25によるスモーク制御の内容について
説明することにする。
【0044】すなわち、ECU31には、ターボチャー
ジャ25の通常制御として、図6(b)に示されるマッ
プを用いて、エンジンの低負荷域ではウエストゲート弁
30を全開、それ以降の負荷域では算出された過給目標
のEV(吸気体積効率)値となるようウエストゲート弁
30の開度を制御する機能が設定されている。
【0045】さらにECU31には、スモーク制御とし
て、スモーク低減が求められる特定運転状態のとき、第
1の実施形態で説明したオーバラップをゼロにする制御
と、ターボチャージャ25でスモークを燃焼させる制御
とが設定されている。
【0046】このうちスモークを燃焼させる制御には、
例えば図6(d)に示される冷態時専用の制御マップを
用い、低負荷域および低回転域は、先の通常制御の低負
荷域と同じくウエストゲート弁30を全開にする機能
と、エンジンが中・高負荷で、かつエンジン回転数が中
・高回転数で運転される領域のときは、ウエストゲート
弁30を全閉にする機能とを組合わせた制御が用いられ
ている。つまり、ウエストゲート弁30が全閉になるこ
とにより、排気ガスをターボチャージャ25のタービン
26に集中させて、スモークの要因となる成分(排気ガ
スに含まれる未燃成分)を高温となるタービン25で燃
焼させるようにしている。またスモークを燃焼させる制
御には、スロットル弁15の開度をアクセルペダルの操
作にかかわらず減少させる機能も組合わせてあり、スロ
ットル弁15の開度の減少で、排気ガスがタービン26
に集中することによる過剰な過給を抑えるようにしてあ
る。さらにスロットル弁15の開度を減少させる機能
は、通常制御時のターボチャージャ25に対してEV
(吸気体積効率)が上昇する範囲で、スロットル弁15
の開度を減少させる制御内容で付加されていて、スロッ
トル弁15の開度が減少しても、エンジン出力が低下す
る挙動が表れないようにしてある。
【0047】このターボチャージャ25を併用したスモ
ーク制御によって、スモーク低減が求められる特定運転
域で、有効なスモーク低減効果が表れるようにしてい
る。この制御フローが図6(e)に示されている。
【0048】この制御フローを参照してスモーク低減効
果について説明すれば、今、例えば運転者が、エンジン
を始動し、アクセルペダルを踏み込んで、自動車を走行
させたとする。
【0049】このとき、ECU31は、エンジンの冷却
水温を監視していて(ステップS11)、冷却水温が、
温態状態であることを示す温度に達していれば、エンジ
ンの運転状態に応じて求まる各種目標値にしたがい、ス
ロットル弁15の開度、インジェクタ11の燃料噴射量
や噴射タイミング、吸気バルブ9と排気バルブ10のオ
ーバラップ量[図6(a)]が制御される。と共にウエ
ストゲート弁30の開度が、図6(b)のマップにした
がって、エンジンの運転状態に応じて求まる目標EV
(吸気体積効率)の値になるように制御される(ステッ
プS12)。
【0050】これにより、エンジンは、要求するエンジ
ン出力に見合うよう、オーバラップ量の可変、ターボ過
給が行われながら運転される。
【0051】一方、エンジンの冷却水温が、所定温度以
下で、ECU31が冷態状態と判断したときは、スモー
ク制御に切り換わる(ステップS13)。
【0052】このとき、エンジン回転数が低回転数域や
エンジン負荷が低負荷であれば、通常制御時と同様、ウ
エストゲート弁15を全開にした運転が行われる。
【0053】それ以外のスモーク発生が認められる状
態、例えば過給状態(例えば中・高負荷でエンジン回転
数が中・高回転数となる状態)や、エンジンの出力制限
や燃料噴射量の制限が課せられる運転状態のときは、E
CU31の指令により、第1の実施形態で述べたように
図6(c)に示される如く吸気バルブ9が遅角、排気バ
ルブ10が進角されてオーバラップ量がゼロ(減少)に
制御される。これと共にウエストゲート弁30の開度は
全閉に制御され、スロットル弁15の開度は減少制御さ
れる。より具体的に説明すると、例えば通常制御では、
図7に示されるようにエンジンから排気された排気ガス
の一部がウエストゲート弁15を通じてバイパスされ、
残りがタービン26を通過するという過給状態でスロッ
トル弁15は開状態となる運転状態において、スモーク
制御では図8に示されるようにウエストゲート弁30は
全閉に制御されスロットル弁15は半閉に制御される。
【0054】したがって、通常制御において、排気行程
の末期から吸気行程へ向かうときに生じていた排気ポー
ト10からガスが抜ける挙動は、排気バルブ10の早閉
じ(ここでは、オーバラップのゼロ)で規制され、当該
排気行程の末期では圧縮仕事となる。
【0055】燃料の噴射は、この圧縮仕事により筒内温
度が上昇した霧化しやすい環境で行われるので、続く燃
料の燃焼が促進される。これで、第1の実施形態で述べ
たような第1回目のスモーク低減が行われる。
【0056】一方、ウエストゲート弁30の全閉制御に
より、バイパス路29を用いた排気ガスの流通は止ま
り、図8に示されるようにエンジンからの全排気ガスが
ターボチャージャ25のタービン26へ向かうようにな
る。
【0057】すると、タービン入口(T/C入口)、具
体的には図9に示されるようにエンジンからターボチャ
ージャ25までの区間の排圧が急激に上昇する(高排
圧)。これに伴い、図9中の線図の丸印をむすぶ線で示
されるようにエンジン各部でも圧力が上昇する傾向を示
す。なお、図9の丸印をむすぶ線図は、EV(吸気体積
効率)が同一のときを示したもので、同一EVのままで
は平均有功圧Peが低下するため、スモーク制御ではス
ロットル弁15の作動を制御して図9中の三角印に示す
ようにEVを増大させてPeの低下を防止している。
【0058】ここで、ターボチャージャ25のタービン
26は、排気ガスの熱エネルギーを受けて駆動される機
器である。このため、タービン26のタービンホイール
26bは、エンジンの全排気ガスが集中して衝突するに
したがい、熱エネルギー量分、かなり高温となる。
【0059】この結果、排気ガスがタービン25を通過
する際、残るスモーク(未燃成分)がタービン25の熱
により、タービン25の内部、その周辺で燃焼される。
これで、第2回目のスモーク低減が行われる。
【0060】これにより、十分なスモーク低減が発揮で
きる。このスモーク特性をシュミレーションすると、排
気ガス中に含まれるスモーク量は、図10の線図に示さ
れるように□印をむすんだ線で表わしたオーバラップゼ
ロとウエストゲート弁30の閉じ制御を行った方が、十
字印をむすんだ線で表わしたオーバラップゼロだけの制
御に比べ、格段に低減されることが確認された。なお、
三角印をむすんだ線は、ウエストゲート弁30の閉じ制
御(オーバラップは通常のまま)だけを行ったときのス
モーク特性を示しているが、これよりもオーバラップゼ
ロとウエストゲート弁30の閉じ制御とを併用した方
が、はるかにスモーク量が低減されることも確認され
た。
【0061】しかも、この際、スロットル弁15の開度
は減少され、エンジンへ導入される吸気量を、アクセル
ペダル操作に関係なく、強制的に抑えてあるから、全排
気ガスの導入でターボチャージャ25のコンプレッサ2
7が高回転になっても、不必要な出力の増大をまねく過
剰な過給を抑えられる。特にスロットル弁25の開度
は、通常制御時に対してEV(吸気体積効率)が上昇す
る範囲で減少させたから、図9中の三角印で示されるよ
うにEV値の上昇により、排圧上昇による内部EGRが
もたらす燃焼悪化で低下するエンジンの出力(Pe)が
回復されるようになり、エンジンの出力低下を抑制しな
がらスモーク発生の低減ができる利点がある。
【0062】なお、本発明は上述した一実施形態に限定
されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種
々変更して実施しても構わない。例えば上述した一実施
形態では、スモーク低減が求められる特定運転状態時、
吸気バルブの開閉タイミングを遅らせ、排気バルブの開
閉タイミングを進ませて、排気行程の末期で圧縮仕事を
行わせるようにしたが、これに限らず、排気バルブの閉
弁時期を進ませるだけでもよい。むろん、オーバラップ
もゼロでなく、通常制御時よりも減少したオーバラップ
量にしてもよい。また内燃機関として筒内噴射式のガソ
リンエンジンを用いたが、これに限らず、吸気マニホー
ルド内に燃料を噴射する構造のガソリンエンジン、ディ
ーゼルエンジンなどにも適用してもよい。もちろん、エ
ンジンは、自動車に搭載されるエンジンではなく、他の
車両、他の用途に用いられるエンジンでも構わない。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように請求項1、請求項2
に記載の発明によれば、スモーク低減が要求される特定
運転状態になると、吸気行程前における筒内温度が、排
気行程の末期で行われる圧縮仕事で上昇して、筒内で燃
料を霧化しやすくなり、燃焼が促進されるようになる。
【0064】それ故、スモーク低減が求められる特定運
転状態において、十分なスモーク低減効果を発揮させる
ことができる。
【0065】請求項3に記載の発明によれば、上記効果
に加え、内燃機関に組付くターボチャージャを活用し
て、残るスモークを燃焼させることができ、できる限り
排気ガス中のスモークを低減することができるといった
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の可変バルブタイミン
グ機構付内燃機関の構成を示す図。
【図2】同内燃機関のスモーク制御を説明するための
図。
【図3】同スモーク制御をなす吸気バルブと排気バルブ
とのオーバラップの変化を説明するための図。
【図4】同スモーク制御での排気ガス中のスモークを低
減させる挙動を説明するための線図。
【図5】同スモーク制御におけるスモークの低減効果を
説明するための線図。
【図6】本発明の第2の実施形態の内燃機関のスモーク
制御を説明するための図。
【図7】同内燃機関の通常制御時におけるターボチャー
ジャ回りの挙動を説明するための図。
【図8】同内燃機関のスモーク制御において、排気ガス
中のスモークを燃焼させる挙動を説明するための図。
【図9】同スモーク制御におけるエンジン吸排気系の変
化を説明するための線図。
【図10】同スモーク制御におけるスモークの低減効果
を説明するための線図。
【符号の説明】
1…エンジン本体 9…吸気バルブ 10…排気バルブ 9a,10a…可変バブルタイミング機構 12a,12b…カムシャフト 15…電子制御スロットル弁 25…ターボチャージャ 26…タービン 29…バイパス路 30…電子制御式のウエストゲート弁 31…ECU(制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02B 37/12 302 F02D 43/00 301R F02D 43/00 301 301Z F02B 37/12 301E Fターム(参考) 3G005 EA16 FA35 GA02 GB28 GD09 HA04 HA05 HA09 HA18 JA02 JA12 JA39 JA45 JB02 3G084 BA08 BA23 CA00 CA02 DA10 FA07 FA10 FA12 FA18 FA20 FA22 FA33 FA38 3G092 AA01 AA06 AA11 AA18 DA02 DA10 DB03 EA03 EA04 FA18 GA00 HA01Z HA06X HA11Z HA12X HB01X HC03Z HE01Z HE08Z HF08Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気バルブの閉弁時期が制御可変な可変
    バルブタイミング機構と、 内燃機関のスモーク低減が要求される特定運転状態にお
    いて前記排気バルブの閉弁時期が進角するように前記可
    変バルブタイミング機構を制御する制御手段とを具備し
    たことを特徴とする可変バルブタイミング機構付内燃機
    関。
  2. 【請求項2】 排気バルブと吸気バルブのオーバラップ
    量が制御可変な可変バルブタイミング機構と、 内燃機関のスモーク低減が要求される特定運転状態にお
    いて前記オーバラップ量が減少するように前記可変バル
    ブタイミング機構を制御する制御手段とを具備したこと
    を特徴とする可変バルブタイミング機構付内燃機関。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2に記載の可変
    バルブタイミング機構付内燃機関において、 さらにターボチャージャのタービンをバイパスするバイ
    パス路の開度が制御可能なウエストゲート弁を有し、 前記制御手段は、さらに前記特定運転状態において前記
    ウエストゲート弁を閉じるように設定されていることを
    特徴とする可変バルブタイミング機構付内燃機関。
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