JP2002241606A - ポリアミド組成物の製造方法 - Google Patents

ポリアミド組成物の製造方法

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JP2002241606A JP2001041891A JP2001041891A JP2002241606A JP 2002241606 A JP2002241606 A JP 2002241606A JP 2001041891 A JP2001041891 A JP 2001041891A JP 2001041891 A JP2001041891 A JP 2001041891A JP 2002241606 A JP2002241606 A JP 2002241606A
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俊洋 犬飼
Michio Kimura
道男 木村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリアミド組成物の合成繊維の製造時にローラ
ー汚れの原因となるヨウ素化合物の一部を臭素化合物に
置き換えて銅化合物とともにポリアミド組成物に添加す
る添加方法であり、とくに紡糸の冷却過程において球晶
が多発して、糸切れや糸の強伸度低下などの原因となる
問題を解決した添加方法でポリアミド組成物を製造する
方法を提供する。 【解決手段】臭素化合物の存在下で液相重合して得られ
たポリアミドにヨウ素化合物および銅化合物を添加混合
することを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性の優れたポ
リアミド組成物の製造方法に関する。より詳しくは、紡
糸したときのローラー汚れが改善され、その結果糸切れ
が減少して、製糸操業性を良好に保持できるポリアミド
組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドからなる繊維は強靭性、接着
性、および耐疲労性などが優れており、ゴム補強用コー
ドやエアバッグなどの産業資材用途に用いられている。
しかしながら、これらのポリアミドからなる物品は比較
的酸化劣化しやすく、特に高温において酸素と接触する
ような場合には著しく酸化劣化され、重合度の低下や諸
物性の低下を引き起こす。この物性の低下を防止するた
め、これまでに種々の酸化防止剤が開発されている。そ
の中でも特に銅化合物が驚異的な効果を示すことが知ら
れている。さらに無機ハロゲン化物を併用すればその酸
化防止効果が増すことも知られている。また、これら無
機ハロゲン化物は銅化合物と反応して錯塩を形成し、熱
的に不安定な銅化合物の析出を抑えることができる。こ
のような無機ハロゲン化物は主にヨウ素化合物、臭素化
合物であり、例としてはヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリ
ウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化ナトリウ
ムが挙げられる。中でも銅化合物と錯塩を形成しやすい
ことからヨウ化カリウムが最も一般的に用いられてい
る。
【0003】しかしながら、これら耐熱剤のヨウ化物を
含有するポリアミド組成物を用いた合成繊維の製造時、
とくに繊維を熱延伸および/または熱処理する際、ヨウ
化物の析出のために油剤が劣化して延伸ローラーなどの
加熱体が汚れる原因となり、その結果として糸切れが多
く発生し、熱ローラーの清掃周期が短くなり、製糸操業
性が低下するという問題が生じていた。
【0004】米国特許第3947424号明細書にはヨ
ウ素化合物を減少させて臭素化合物に置き換え、銅化合
物とともにポリアミド原料の重合時に添加する方法が記
載されている。しかしながら、この方法ではポリアミド
原料の添加時に添加された銅化合物が熱履歴の繰り返し
によって劣化、析出して銅分が損失し、糸切れの原因に
なるので好ましくない。
【0005】この問題を解決する手段として、特開平6
−256649号公報には重合後のポリアミド組成物に
銅化合物の水溶液とヨウ素化合物の水溶液を添加混合す
ることが記載されている。この方法では、ポリアミドが
水溶液を均一にむらなく吸着するので、次工程で品質の
安定した製品が得られ、またポリアミドチップを風送し
てもチップから添加剤が脱落することがないことから工
程の合理化が容易となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法ではポリアミド組成物が高結晶性のときに、無機ハロ
ゲン化物として臭素化合物を使用した場合、再溶融した
ときに臭素化合物がポリアミドに溶け切らないため、冷
却過程でこれを核とする球晶が多発して、糸切れや糸の
強伸度低下が生じる問題があった。
【0007】本発明の課題は、ポリアミド組成物の合成
繊維の製造時にローラー汚れの原因となるヨウ素化合物
の一部を臭素化合物に置き換えて銅化合物とともにポリ
アミド組成物に添加する添加方法に関する。とくに紡糸
の冷却過程において球晶が多発して、糸切れや糸の強伸
度低下などの原因となる問題を解決した添加方法によっ
てポリアミド組成物を製造する方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
のポリアミド組成物の製造方法は、臭素化合物の存在下
で液相重合して得られたポリアミドにヨウ素化合物およ
び銅化合物を添加混合することを特徴とする。さらに、
(1)〜(2)の条件にすることにより、より効果が期
待できる。 (1)臭素化合物の添加量がポリアミド106g中の臭
素モル量として1〜12であり、ヨウ素化合物の添加量
がポリアミド106g中のヨウ素モル量として2.5〜
8であり、また臭素/ヨウ素モル比が0.33〜3であ
り、また銅化合物の添加量が銅量として30〜100p
pmであること。 (2)ポリアミドがポリヘキサメチレンアジパミドであ
ること。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明で用いることのできるポリアミドと
しては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6
6)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメ
チレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレ
ンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレン
ドデカミド、ポリウンデカメチレンアジパミド、ポリウ
ンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロ
ン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルア
ミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキ
サメチレンテレフタル/イソフタルアミド、ポリビス
(4−アミシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメ
タキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウ
ンデカメチレンテレフタルアミド、ポリウンデカメチレ
ンヘキサヒドロテレフタルアミド、などのホモポリマー
もしくはコポリマーまたはそれらの混合ポリアミドがあ
る。
【0011】とくに以下の式Iで表されるΔTmcが5
4以下のポリアミドが好ましく用いられる。 ΔTmc=Tm−Tc ・・・(I) ここで、ΔTmcとはポリマーの結晶化の難易性の指標
であり、示差走査熱量計で測定する。非晶状態の試料を
10℃/min.の昇温速度で昇温したときに観測され
る融解吸熱ピーク温度をTm、溶融状態から20℃/m
in.の降温速度で降温したときの結晶化発熱ピーク温
度をTcとするとΔTmc=Tm−Tcで表される。こ
の値が小さいと結晶化しやすいポリマーということであ
る。本発明における製造方法によって紡糸時の球晶抑制
の効果が見られるポリアミドはΔTmcが54以下の高
結晶性ポリアミドであり、その例としてはナイロン66
およびその共重合体、ナイロン610、ナイロン11、
ナイロン12、ナイロン46、ナイロンMXD6などで
あるが、とくにナイロン66およびその共重合体が望ま
しい。
【0012】本発明では、不溶物として球晶発生の原因
となりやすい臭素化合物を、上記に示すポリアミド原料
の重合時に添加することで臭素化合物をポリアミドに充
分に溶解させる。臭素化合物としては、例えば臭化カリ
ウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウムなどがあげら
れ、ポリマーに可溶性であればいかなるものでもよい。
臭素化合物の添加量は、銅化合物の析出を抑える目的か
ら、ポリアミド106g中の臭素モル量は1〜12であ
り、より好ましくは3〜 10である。ポリアミド106
g中の臭素モル量をかかる範囲にすることにより、銅化
合物が析出がなくポリアミドに溶解させることができ
る。
【0013】また、臭素化合物の添加時期についてはポ
リアミドの重合後でなければとくに限定されるものでは
なく、モノマー液の濃縮前、濃縮後、重合時の任意の時
期に添加することができる。
【0014】本発明において、原料をバッチ式重合缶、
連続式リアクターなどの公知の重合装置に供給し、加熱
して液相重合を行うことでポリアミドを得る。装置内の
温度はポリアミドの融点以上の温度であり、圧力状態は
加圧、常圧、減圧のいずれの状態でもよい。
【0015】このようにして得られたポリアミド組成物
の形状はいかなるものでもよいが、取扱い易さからペレ
ット状あるいはチップ状のものが好ましく用いられる。
また、ジアミンとジカルボン酸および/またはラクタム
のようなモノマーを重合して得られるポリアミドをその
まま用いてもよいし、さらに熱水で抽出後脱水した吸着
水含有のものを用いてもよい。
【0016】本発明では、前記の方法で得られたポリア
ミド組成物にヨウ素化合物および銅化合物を添加混合す
る。
【0017】本発明に用いるヨウ素化合物としては例え
ばヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどがあげられ、
とくに限定されるものではない。ヨウ素化合物の添加量
は、銅化合物の析出を抑える目的から、ポリアミド10
6g中のヨウ素モル量が2.5〜8であることが好まし
く、より好ましくは4〜7である。ポリアミド106
中のヨウ素モル量をかかる範囲にすることにより、銅化
合物の析出を抑えることができる。
【0018】また、臭素/ヨウ素モル比は0.33〜3
であることが好ましく、より好ましくは0.5〜 2で
ある。臭素/ヨウ素モル比をかかる範囲にすることによ
り、銅化合物と錯塩を形成するのに十分なヨウ素化合物
を得ることができ、銅化合物の析出を抑えることができ
る。
【0019】本発明に用いる銅化合物としては、例えば
塩化第二銅、塩化第二銅アンモニウム、臭化第二銅、硝
酸銅、硫酸銅、酢酸第二銅、蟻酸銅などがあげられる。
また、銅化合物のポリアミドに対する添加量は、ポリア
ミドに耐熱性を付与する目的から、銅量として30〜1
00ppmであることが好ましい。より好ましくは50
〜90である。銅量をかかる範囲にすることにより、
銅化合物の析出がなく、耐熱性の優れたポリアミド組成
物を得ることができる。
【0020】ヨウ素化合物および銅化合物は重合後に得
られたポリアミド原料に添加混合するが、これらの添加
形式はとくに限定されるものではない。しかし、ヨウ素
および銅化合物がポリアミド内部に浸透して後の工程で
の脱落がなくなる点から水溶液添加が望ましい。ヨウ素
化合物および銅化合物をポリアミドに添加混合する方法
としてはいかなる方法でもよく、通常のブレンダーなど
をもちいてポリアミドと耐熱剤とをブレンドしてもよい
し、回転式乾燥機で常圧にてブレンドしてもよい。
【0021】本発明におけるポリアミド組成物にはその
製糸操業性や物性を損なわない限りにおいて、任意の工
程において他の添加剤を添加することができる。例を挙
げると、重合触媒、末端基調整剤、分散剤、染色剤、耐
候剤、可塑剤、還元剤、その他補強材などの充填剤であ
る。
【0022】上記方法で製造することにより、耐熱剤の
添加されたポリアミドは後の紡糸工程においても球晶が
発生することがなく、製糸操業性が良好に保たれる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。本発明はこれらにより何ら制限されるもので
はない。実施例中で用いた物性値の測定方法は次の通り
である。 (イ)糸の繊度 延伸した糸の正量繊度をJIS Lー1017、7.3
に従って測定した。 (ロ)糸の強度と伸度 "テンシロンRTM”型引張試験機((株)エーアンド
デイ社製)を用い、JIS L−1017、7.5によ
って測定した。 (ハ)延伸性(単糸糸切れ回数) 延伸時の単糸糸切れ回数(回/107m)を肉眼により
測定した。 (ニ)ホットローラーの汚れ 延伸時のホットローラーにおける汚れの状態を肉眼観察
した。(○:汚れがない、×:汚れが多い)。 (ホ)糸の球晶 未延伸糸の断面を"オプティフォトUFX−II”型偏
光顕微鏡((株)ニコン社製)で415倍に拡大して、
球晶の発生状態を観察した(○:球晶が少ない、△:球
晶がやや多い、×:球晶が多い)。また、拡大した糸断
面の写真を撮影した(図1〜8)。図中で白く光る部分
が球晶を示す。
【0024】実施例1 50重量%ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート水
溶液を濃縮缶に仕込み、缶内において0.18MPaの
加圧条件下で150℃で加熱することで80重量%水溶
液になるまで濃縮した。濃縮したヘキサメチレンジアン
モニウムアジペート水溶液に対して800ppmの臭化
カリウムを30重量%水溶液として添加した。臭化カリ
ウムを添加した水溶液の全量を重合缶に移液し、300
℃で2時間加熱し重合を行った。得られたポリマーをペ
レット化し、直径2.5mm、長さ4.0mmのナイロ
ン66ペレットを得た(ペレットA)。
【0025】得られたペレットをブレンダーに仕込み、
次に酢酸第二銅1水和物250ppmを5重量%水溶液
として、ヨウ化カリウム1000ppmを50重量%水
溶液として加え、室温、常圧下で2分間混和した。次い
で、このペレットをステンレス製の貯槽中に室温で3時
間密閉して静置した(以後この操作をエージング処理と
いう名称で略す)。
【0026】次に、このペレットを160℃の窒素気流
下に静置して12時間固相重合した。このペレットを水
分率0.1重量%に調湿後、エクストルーダー型紡糸機
を用いてポリマー温度290℃に溶融し、0.3mmφ
の口金孔からポリマー吐出量を126g/min.にし
て紡糸した。紡出糸条をユニフローチムニーを通過させ
て急冷し、チオジプロピオン酸エステルと、硬化ヒマシ
油にエチレンオキサイド付加物を配合した処理剤を付与
し、240℃のホットローラーを用いる2段延伸によ
り、延伸速度3000m/min.で全延伸倍率5倍に
熱延伸した。
【0027】表1に得られた糸の特性を示す。強度、伸
度および延伸性(単糸切れ回数)は良好であり、ホット
ローラーの汚れは認められず良好であった。また、図1
に示すように球晶の発生は少なかった。
【0028】実施例2 実施例1と同様の条件で濃縮したヘキサメチレンジアン
モニウムアジペート水溶液に対して900ppmの臭化
カリウムを30重量%水溶液として添加した。その水溶
液を実施例1と同様の条件で重合、ペレット化し、ナイ
ロン66ペレットを得た。
【0029】得られたペレットに酢酸第二銅1水和物2
50ppmを5重量%水溶液として、ヨウ化カリウム8
00ppmを50重量%水溶液として実施例1と同様の
条件で混和した。次いで、このペレットをエージング処
理した後、実施例1と同様の条件で固相重合し、調湿し
た後、製糸工程で延伸紡糸した。
【0030】結果を表1に示す。強度、伸度および延伸
性(単糸切れ回数)は良好であり、ホットローラーの汚
れは認められず良好であった。また、図2に示すように
球晶の発生も少なかった。
【0031】実施例3 実施例1で得られたナイロン66ペレットをブレンダー
に仕込み、次にヨウ化第1銅粉末250ppmおよびヨ
ウ化カリウム800ppmを50重量%水溶液として加
え、実施例1と同様の条件で混和した。次いで、実施例
1と同条件でエージング処理、固相重合を行い、調湿し
た後、製糸工程で延伸紡糸した。結果を表1に示す。強
度、伸度および延伸性(単糸切れ回数)は良好であり、
ホットローラーの汚れは認められず良好であった。ま
た、図3に示すように球晶の発生も少なかった。
【0032】実施例4 実施例1と同様の条件で濃縮したヘキサメチレンジアン
モニウムアジペート水溶液に対して650ppmの臭化
カリウムを30重量%水溶液として添加した。その水溶
液を実施例1と同様の条件で重合、ペレット化し、ナイ
ロン66ペレットを得た。得られたペレットにヨウ化第
1銅粉末250ppmおよびヨウ化カリウム1100p
pmを50重量%水溶液として加え、実施例1と同様の
条件で混和した。次いで、このペレットをエージング処
理した後、実施例1と同様の条件で固相重合し、調湿し
た後、製糸工程で延伸紡糸した。結果を表1に示す。強
度、伸度および延伸性(単糸切れ回数)は良好であり、
ホットローラーの汚れは認められず良好であった。ま
た、図4に示すように球晶の発生も少なかった。
【0033】比較例1 臭化カリウムを添加しないこと以外は全て実施例1と同
じ原料を使用して、同条件で濃縮、重合を行い、ナイロ
ン66ペレットを得た。得られたペレットをブレンダー
に仕込み、次に酢酸第二銅1水和物250ppmを5重
量%水溶液として、ヨウ化カリウム2000ppmを5
0重量%水溶液として加え、実施例1と同様の条件で混
和した。次いで、このペレットを実施例1と同様の条件
でエージング処理、固相重合、調湿した後、製糸工程で
延伸紡糸した。結果を表1に示す。臭化カリウムを重合
時添加した場合に比べると延伸性(単糸切れ回数)が劣
っていた。また、ホットローラー汚れが認められた。
【0034】比較例2 比較例1で得られたナイロン66ペレットをブレンダー
に仕込み、次にヨウ化第1銅粉末250ppmおよびヨ
ウ化カリウム2000ppmを50重量%水溶液とし
て、実施例1と同様の条件で混和した。次いで、このペ
レットを実施例1と同様の条件でエージング処理、固相
重合、調湿した後、製糸工程で延伸紡糸した。結果を表
1に示す。臭化カリウムを重合時添加した場合に比べる
と延伸性(単糸切れ回数)は劣っており、また、強度、
伸度はやや劣っていた。また、ホットローラー汚れが認
められた。また、図6に示すように球晶がやや多かっ
た。
【0035】比較例3 比較例1で得られたナイロン66ペレットをブレンダー
に仕込み、次にヨウ化第1銅粉末250ppmおよびヨ
ウ化カリウム800ppmを50重量%水溶液として、
また臭化カリウム900ppmを30重量%水溶液とし
て加え、実施例1と同様の条件で混和した。次いで、こ
のペレットを実施例1と同様の条件でエージング処理、
固相重合、調湿した製糸工程で延伸紡糸した。結果を表
1に示す。臭化カリウムを重合時添加した場合に比べる
と強度、伸度および延伸性(単糸切れ回数)は劣ってい
た。また、図7に示すように球晶が非常に多く発生し
た。
【0036】比較例4 実施例1と同じ原料を使用して、同条件で濃縮を行って
得られた80重量%ヘキサメチレンジアンモニウム水溶
液に酢酸第二銅1水和物250ppmを5重量%水溶液
として、ヨウ化カリウム1000ppmを50重量%水
溶液として、臭化カリウム800ppmを30重量%水
溶液として添加した。その水溶液の全量を重合缶に移液
し実施例1と同条件で重合を行い、ナイロン66ペレッ
トを得た。得られたペレットを実施例1と同様の条件で
固相重合、調湿した後、製糸工程で延伸紡糸した。結果
を表1に示す。銅化合物を重合後に添加した場合に比べ
ると延伸性(単糸切れ回数)が劣っていた。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ポリアミド
組成物に添加するヨウ素化合物の一部を臭素化合物に置
き換えることで油剤の劣化が防止されるので、ローラー
汚れを改善することができる。したがって、糸切れが減
少し、熱ローラーの清掃周期が長くなり、製糸操業性を
改善することができる。また、臭素化合物をポリアミド
の原料の添加時に添加し、かつ銅化合物およびヨウ素化
合物を重合後に得られたポリアミドに添加すことで、臭
素化合物が紡糸時に球晶の核になることを抑制しつつ、
銅化合物にかかる熱履歴を最小限に抑えることで銅分の
劣化、析出による損失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図2】実施例2に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図3】実施例3に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図4】実施例4に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図5】比較例1に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図6】比較例2に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図7】比較例3に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
【図8】実施例4に記載の方法で得られた未延伸糸の結
晶構造を示すための糸断面写真。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CL001 CL011 CL031 DD006 DD027 DD078 DD086 DD088 DF038 DG048 EG048 GK01 4L035 AA05 BB31 BB40 BB60 BB77 BB81 BB89 BB91 EE01 GG01 JJ06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】臭素化合物の存在下で液相重合して得られ
    たポリアミドにヨウ素化合物および銅化合物を添加混合
    することを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】臭素化合物の添加量がポリアミド106
    中の臭素モル量として1〜12であり、ヨウ素化合物の
    添加量がポリアミド106g中のヨウ素モル量として
    2.5〜8であり、また臭素/ヨウ素モル比が0.33
    〜3であり、また銅化合物の添加量が銅量として30〜
    100ppmであることを特徴とする請求項1に記載の
    ポリアミド組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】ポリアミドがポリヘキサメチレンアジパミ
    ドであることを特徴とする請求項1または2に記載のポ
    リアミド組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10683407B2 (en) 2011-12-15 2020-06-16 Polytechnyl, Sas Process for preparing polyamide granules and uses
JPWO2021149674A1 (ja) * 2020-01-24 2021-07-29

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WO2021149674A1 (ja) * 2020-01-24 2021-07-29 東洋紡株式会社 ポリアミド樹脂組成物の製造方法
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