JP2002241525A - ハードコート被覆ポリオレフィン樹脂及びその製造方法 - Google Patents

ハードコート被覆ポリオレフィン樹脂及びその製造方法

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JP2002241525A
JP2002241525A JP2001036053A JP2001036053A JP2002241525A JP 2002241525 A JP2002241525 A JP 2002241525A JP 2001036053 A JP2001036053 A JP 2001036053A JP 2001036053 A JP2001036053 A JP 2001036053A JP 2002241525 A JP2002241525 A JP 2002241525A
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film
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Yasuto Sakai
康人 阪井
Hodaka Norimatsu
穂高 乗松
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ポリオレフィン樹脂に密着性、耐擦傷性の高
いハードコート被膜を形成する方法を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン樹脂の表面を親水化処理
した後、一般式(R Si(R4−n(1)、R
はメタクリロキシ基を有する有機官能基であり、R
はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれ
る1種もしくは複数の加水分解性基であり、nは3以下
の整数)で示される有機官能基を有する珪素化合物もし
くはその加水分解物を含む塗布液を塗布した後、乾燥さ
せて得られた一次被膜の上に、ハードコート被覆を施し
たポリオレフィン樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハードコート被覆
ポリオレフィン樹脂とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン樹脂は、その優れた性質
から広範囲な用途を持っている。例えば、特開平6−1
68625号公報記載のシクロペンテン系重合体から成
るポリオレフィン樹脂は電気絶縁性に優れ、低吸水性で
あるため、高湿度下でも寸法安定性が高い特徴を持って
いる。また特開平10−152549号公報記載のノル
ボルネン系開環重合体から成るポリオレフィン樹脂は透
明性、耐水性、複屈折性等の光学的性質に優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記ポリオレフィン樹
脂は前記した優れた性質から光学部品、電子部品、自動
車部品などに広範囲に用いられるが、官能基をもたず、
一般的には他の被膜もしくは材料と接着させることが非
常に困難であるため、その表面に被覆層を設けることが
難しいことから、前記した優れた特性を生かし切れない
問題点が有った。
【0004】特に、ポリオレフィン樹脂は前記した広範
囲の用途への利用可能性が高いが、表面の硬度が小さい
ため、外部からの擦りや打撃により容易に傷が付きやす
いという特性を有するので、その表面に密着性の高く、
かつ耐久性のあるハードコート被覆を形成して傷付きを
防止する機能を付与できれば、その利用可能性がさらに
高まる。
【0005】特に、屋外など傷が付きやすい環境で使用
されるような用途、例えば、携帯端末機器(携帯電話、
モバイル型コンピュータなど)の表示部のカバー、自動
車の前方・後方・側方視認用CCDカメラカバー、防犯
用監視カメラカバー、メガネレンズ、光学レンズなどの
部材として利用できるようになる。
【0006】また、さらにハードコート被膜の上に反射
防止機能、撥水・親水機能、防汚機能などを有する層を
形成した表示機器、撮像機器、または光学機器などの部
材が用途として考えられる。
【0007】そこで、本発明の課題はポリオレフィン樹
脂に密着性、耐久性、及び耐擦傷性の高いハードコート
被膜を形成する方法を確立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の
構成により解決できる。すなわち、ポリオレフィン樹脂
の表面を親水化処理した後、有機珪素化合物からなる第
一次被膜を塗布し、第一次被膜上にハードコート層を形
成させることを特徴とするハードコート被覆ポリオレフ
ィン樹脂の製造方法である。
【0009】上記第一次被膜は、次の一般式(1) R Si(R4−n (1) (Rはメタクリロキシ基を有する有機官能基であり、
はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選
ばれる1種もしくは複数の加水分解性基であり、nは3
以下の整数)で示される有機官能基を有する珪素化合物
もしくはその加水分解物を含む塗布液を塗布した後、乾
燥させて得られるものが望ましい。
【0010】また、本発明の上記第一次被膜としては、
一般式(2) R Si(R4−n (2) (Rはメタクリロキシ基、ビニル基、アリル基または
アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であ
り、Rはアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素か
ら選ばれる1種または複数の加水分解性基であり、nは
3以下の整数)で示される有機官能基を有する珪素化合
物もしくはその加水分解物の内の互いに異なる珪素化合
物もしくはその加水分解物を、複数含む塗布液を塗布し
た後、乾燥させて得られるものを用いるとさらに望まし
い。
【0011】本発明の上記第一次被膜としては、一般式
(2)の珪素化合物を複数含む塗布液から得られる第一
次被膜を用いると、前記一般式(1)の珪素化合物のみ
を含む塗布液から得られる第一次被膜を用いる場合に比
較して、ポリオレフィン樹脂への密着性等の性質が高く
なる。
【0012】上記ハードコート被膜は、一般式(3) R Si(R4−n (3) (Rは炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタク
リロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フ
ッ素または塩素を含有する有機官能基であり、Rはア
ルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1
種または複数の結合基であり、nは0〜4の整数)で示
される珪素化合物、それらの加水分解物、及びコロイダ
ルシリカよりなる群から選ばれた少なくとも1種の珪素
化合物を被覆、硬化させて得られることが望ましい。
【0013】また、本発明には、前記製造方法で得られ
るハードコート被覆ポリオレフィン樹脂も含まれる。
【0014】
【作用】本発明はポリオレフィン樹脂を親水化処理した
後、有機珪素被膜を形成し、さらに、この第一次被膜の
上にハードコート層を形成する。
【0015】また、前記製法によりポリオレフィン樹脂
の表面に有機珪素膜を介在させることにより、官能基を
持たないポリオレフィン樹脂とハードコート被膜の密着
性を向上させることができる。また、このとき、ポリオ
レフィン樹脂の表面を親水化処理した後に有機珪素膜を
介してハードコート被膜を形成させるとポリオレフィン
樹脂とハードコート被膜の密着性の向上をより一層確実
にすることができる。
【0016】基板として用いるポリオレフィン樹脂は、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリアルケンまたは
特開平6−168625号公報記載のシクロペンテン系
や特開平10−152549号公報記載のノルボルネン
系開環重合体を含むシクロオレフィン等を用いることが
できる。
【0017】ポリオレフィン樹脂の基板表面の親水化処
理は、樹脂基板表面を親水化できる処理ならばいずれの
方法でも構わないが、例えばコロナ放電処理、プラズマ
処理、UVオゾン処理、オゾン水洗浄など表面を酸化す
る処理が用いられる。この工程がないと、ハードコート
被膜の形成は可能であっても密着性が劣るために良好な
被膜を形成できない。UVオゾン洗浄、コロナ放電処
理、高周波プラズマ放電によるプラズマ処理等の処理や
オゾン水洗浄によりポリオレフィン樹脂の表面を劣化さ
せることなく、親水化することができる。また、これら
の処理にはポリオレフィン樹脂表面の酸化あるいは活性
化に加え、表面の汚れや油を除く機能がある。次に親水
化処理の具体例について説明する。
【0018】UVオゾン洗浄は酸素を含む雰囲気でポリ
オレフィン樹脂基板とUVランプとの距離を20〜50
mmとして20mW/cmで1〜20分間照射するこ
とにより行う。このときポリオレフィン樹脂基板は30
〜100℃に加熱すると迅速に親水化処理ができる。
【0019】また、コロナ放電は電極とポリオレフィン
樹脂基板との距離を0.5〜8mmの間隔に保ち、1〜
100mm/秒で前記基板を電極下で移動させながらコ
ロナ放電を電極と基板表面の間で生起させる。放電は周
期15kHz、電圧10〜30kVを印加することによ
り空気中で行う。
【0020】高周波プラズマ放電によるプラズマ処理は
減圧した酸素雰囲気下で電極と基板の間でグロー放電を
生起させ、ポリオレフィン樹脂表面を親水化する方法で
ある。
【0021】オゾン水洗浄は、酸化作用のある数ppm
程度のオゾンを溶存させた水で基板を数分間浸漬するこ
とで表面を親水化する方法である。
【0022】これらの処理を行うことにより、樹脂表面
は親水化される。XPSで表面の元素組成を見ると、親
水化処理前に比べて酸素量が多く、その酸素は水酸基、
カルボニル基、カルボキシル基の形で樹脂表面近傍にの
み導入されている。これらの官能基が被膜との結合部位
となることで、被膜の形成ができるようになる。XPS
によると樹脂表面での酸素と炭素の元素比(O/C)が
0.08以上あれば、密着性の良い被膜の形成が可能で
ある。なお、このとき処理後の基板表面の水滴接触角が
概ね60度以下となることが確認されている。ちなみに
未処理のポリオレフィン樹脂の水滴接触角は90度前後
である。
【0023】また、有機官能基を有する珪素化合物また
はその加水分解物を含む塗布液を塗布して得られる第一
次被膜の膜厚は2〜50nm厚であることが望ましい。
複雑な形状を有する基材でも均一に被膜ができること
と、ハードコート被膜の密着性の向上を図ることの両立
を考えると、上記の膜厚の範囲がより好ましい。
【0024】なお、第一次被膜の膜厚は、塗布液に含ま
れる有機珪素化合物の濃度や塗布条件で決定されるの
で、それらを適切に選択する必要がある。塗布液の溶媒
としてはアルコール等の有機溶媒のほか、水でも良い。
【0025】また、第一次被膜の塗布方法としては、デ
ィッピング法、スプレー法、フローコート法などいずれ
でも良い。
【0026】一般式(1)の珪素化合物は R Si(R4−n (1) (Rはメタクリロキシ基を有する有機官能基であり、
はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選
ばれる1種もしくは複数の加水分解性基であり、nは3
以下の整数)で表される。一般式(1)の珪素化合物の
具体例は次の通りである。
【0027】3−メタクリロキシプロピルメチルジクロ
ロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルメトキシ
エトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチル
アセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチル
ジアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチ
ルメトキシアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルメチルエトキシアセトキシシラン、3−メタクリロ
キシプロピルメトキシジエトキシシラン、3−メタクリ
ロキシプロピルメトキシジアセトキシシラン、
【0028】3−メタクリロキシプロピルメトキシエト
キシアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジ
メトキシアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルジメトキシエトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル
エトキシジアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルジエトキシアセトキシシラン、3−メタクリロキシ
プロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピ
ルトリクロロシラン
【0029】2−メタクリロキシエチルメチルジクロロ
シラン、2−メタクリロキシエチルトリクロロシラン、
2−メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2
−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタ
クリロキシエチルメチルジエトキシシラン、2−メタク
リロキシエチルトリエトキシシラン、2−メタクリロキ
シエチルメチルジアセトキシシラン、2−メタクリロキ
シエチルエチルジアセトキシシラン、
【0030】2−メタクリロキシエチルトリアセトキシ
シラン、2−メタクリロキシエチルメチルメトキシエト
キシシラン、2−メタクリロキシエチルジメチルアセト
キシシラン、2−メタクリロキシエチルメチルメトキシ
アセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメチルエ
トキシアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメ
トキシジエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメ
トキシジアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチル
メトキシエトキシアセトキシシラン、2−メタクリロキ
シエチルジメトキシアセトキシシラン、2−メタクリロ
キシエチルジメトキシエトキシシラン、2−メタクリロ
キシエチルエトキシジアセトキシシラン、2−メタクリ
ロキシエチルジエトキシアセトキシシラン、
【0031】メタクリロキシメチルメチルジクロロシラ
ン、メタクリロキシメチルトリクロロシラン、メタクリ
ロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシ
メチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルメチ
ルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキ
シシラン、メタクリロキシメチルジメトキシシラン、メ
タクリロキシメチルジエトキシシラン、メタクリロキシ
メチルメチルジアセトキシシラン、メタクリロキシメチ
ルメチルメトキシアセトキシシラン、
【0032】メタクリロキシメチルジメトキシアセトキ
シシラン、メタクリロキシメチルメトキシエトキシアセ
トキシシラン、メタクリロキシメチルジエトキシアセト
キシシラン、メタクリロキシメチルメチルメトキシエト
キシシラン、メタクリロキシメチルジメチルアセトキシ
シラン、メタクリロキシメチルメチルエトキシアセトキ
シシラン、メタクリロキシメチルメトキシジアセトキシ
シラン、メタクリロキシメチルジメトキシエトキシシラ
ン、メタクリロキシメチルエトキシジアセトキシシラ
ン、メタクリロキシメチルトリアセトキシシラン、
【0033】2−メタクリロキシエチルメチルメトキシ
アセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルジメトキ
シアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメチル
エトキシアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチル
ジエトキシアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチ
ルメチルジクロロシラン、2−メタクリロキシエチルメ
チルジメトキシシラン、
【0034】2−メタクリロキシエチルメチルメトキシ
エトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメチルジエ
トキシシラン、2−メタクリロキシエチルジメチルアセ
トキシシラン、2−メタクリロキシエチルメチルジアセ
トキシシラン、2−メタクリロキシエチルメトキシジエ
トキシシラン、2−メタクリロキシエチルメトキシジア
セトキシシラン、2−メタクリロキシエチルメトキシエ
トキシアセトキシシラン、2−メタクリロキシエチルジ
メトキシアセトキシシラン、
【0035】2−メタクリロキシエチルジメトキシエト
キシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシ
ラン、2−メタクリロキシエチルエトキシジアセトキシ
シラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラ
ン、2−メタクリロキシエチルトリアセトキシシラン、
2−メタクリロキシエチルトリクロロシラン
【0036】前記一般式(1)の化合物のRがメタク
リロキシプロピル基である珪素化合物またはその加水分
解生成物から得られる有機珪素含有被膜には、エステル
基が存在する。このエステル基が有機珪素含有膜中に含
まれると、その膜の上にハードコート被膜を形成するに
際し、理由は明確でないが密着性がよくなる。
【0037】また、一般式(2)の珪素化合物は R Si(R4−n (2) (Rはメタクリロキシ基、ビニル基、アリル基または
アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であ
り、Rはアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素か
ら選ばれる1種または複数の加水分解性基であり、nは
3以下の整数)で表される。一般式(2)の珪素化合物
の具体例は、先に挙げた一般式(1)の例に加え、次の
通りである。
【0038】ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリ
クロロシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、
【0039】アリルメチルジクロロシラン、アリルトリ
クロロシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリル
トリメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、
アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジアセトキシ
シラン、アリルトリアセトキシシラン、
【0040】3−(N−アリルアミノ)プロピルメチル
ジクロロシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルト
リクロロシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルメ
チルジメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロ
ピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プ
ロピルメチルジエトキシシラン、3−(N−アリルアミ
ノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−アリルア
ミノ)プロピルメチルジアセトキシシラン、3−(N−
アリルアミノ)プロピルトリアセトキシシラン、
【0041】3−アミノプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−アミノプロピルトリクロロシラン、3−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピル
トリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエト
キシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジアセトキシシラン、3−ア
ミノプロピルトリアセトキシシラン、
【0042】N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルメチルジクロロシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリクロロシラン、N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2
−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル
メチルジアセトキシシラン、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルトリアセトキシシラン
【0043】前記一般式(2)のRがアミノ基を有す
る珪素化合物であり、該珪素化合物から得られる第一次
被膜には、親水化処理されたポリオレフィン樹脂最表面
のカルボキシル基や水酸基と強い相互作用を示すアミノ
基が多く含まれるため、樹脂基板と第一次被膜との界面
の密着性は向上する。
【0044】例えば前記一般式(1)のRにメタクリ
ロキシ基を有する珪素化合物のみを含む第一次被膜で
も、その上にハードコート被膜を形成でき、先に述べた
ようにハードコート被覆の密着性を向上させることがで
きる。しかし、さらにハードコート被膜の密着性を向上
させるために本発明では一般式(2)の化合物の中の異
なる化合物の少なくと2種以上から形成される第一次被
膜を用いることができる。
【0045】前記一般式(2)のRはアミノ基を含む
珪素化合物を含むものを必ず使用する必要があるわけで
はなく、メタクリロキシ基、ビニル基、アリル基のいず
れか、複数の化合物の組み合わせで、使用しても良い。
この場合には一般式(2)のRがアミノ基を含む珪素
化合物を成分の一つとして使用する場合よりオレフィン
樹脂との密着性が少し劣る。
【0046】第一次被膜上に形成されるハードコート被
膜としては、次の一般式(3) R Si(R4−n (3) (Rは炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタク
リロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フ
ッ素または塩素を含有する有機官能基であり、Rはア
ルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1
種または複数の結合基であり、nは0〜4の整数)で示
される珪素化合物、それらの加水分解物、及びコロイダ
ルシリカよりなる群から選ばれた少なくとも1種の珪素
化合物を被覆硬化させたものが耐擦傷性の面で好まし
い。
【0047】ここで、ハードコート被膜として形成する
ための一般式(3)で示される珪素化合物としては、テ
トラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−ビス(β−ヒドロキシエ
チル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル(メチル)
ジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロ
ロシラン、トリメチルクロロシラン、テトラクロロシラ
ン等がその代表例として挙げられる。
【0048】また、これら一般式(3)で表される珪素
化合物の加水分解物とは、該珪素化合物中のアルコキシ
基、アシルオキシ基、塩素元素の一部または全部が水酸
基に置換されたもの、及び置換された水素基同士が一部
自然に縮合したものが含まれ、これらの加水分解物は、
例えば水及びアルコールのような混合溶媒中で酸の存在
下で加水分解することによって得ることができる。
【0049】また、コロイダルシリカとは、粒径1〜1
00μmのシリカの超微粒子を水又はアルコール系分散
媒に分散せしめたゾル又はこのゾルから分散基を除去し
た乾燥粉末であり、通常市販されているものが使用可能
である。
【0050】これらの珪素化合物を用いて樹脂基板上に
ハードコート被膜を形成する方法としては、上記珪素化
合物を塗料化し、この塗料を樹脂基板に塗布した後、
熱、紫外線、電子線等を用いて硬化させる湿式法、真空
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、プラズ
マ重合等の乾式法のいずれであっても良いが、大型、任
意形状の樹脂基板に形成するためには前記湿式法が好ま
しい。
【0051】このようにして形成されるハードコート被
膜の厚みは、0.5〜30μm、特に1.5〜5.0μ
mであることが好ましい。このハードコート被膜の厚み
が0.5μm未満では、十分な耐擦傷性を得ることがで
きず、30μmを越えるとハードコート被膜にクラック
が発生し易くなり好ましくない。
【0052】こうして、密着性の優れたハードコート被
膜をポリオレフィン樹脂表面に形成させることができる
ので、屋外など傷が付きやすい環境で使用されるような
用途にも利用できるようになる。
【0053】例えば、携帯端末機器(携帯電話、モバイ
ル型コンピュータなど)の表示部のカバー、自動車の前
方・後方・側方視認用CCDカメラカバー、防犯用監視
カメラカバー、メガネレンズ、光学レンズなどの部材と
して、好適に用いることができるようになる。
【0054】ポリオレフィン樹脂表面に傷付きを防止す
る機能を付与させたハードコート被膜の上に反射防止機
能を有する層を形成すれば、本発明のポリオレフィン樹
脂の利用可能性をさらに大きくすることができる。
【0055】本発明のポリオレフィン樹脂に反射防止機
能を付与して携帯端末機器の表示部のカバー部材として
用いれば、表示される情報の視認性は格段に向上する。
【0056】また、反射防止機能を付与して撮像機器の
カバー部材やメガネレンズ・光学レンズとして用いれ
ば、透過率が増大するので、取り込む情報の質を向上さ
せることができる。
【0057】本発明のハードコート被膜の上に、さらに
撥水性機能または親水性機能を有する層を形成すれば、
水の付着や結露による影響を受けない、端末表示機器、
撮像機器、光学機器の部材として利用することができ
る。
【0058】本発明のハードコート被膜の上に、さらに
光触媒作用を利用した防汚機能を有する層を形成すれ
ば、大気中に含まれる有機物による汚れに対する配慮を
必要としない端末表示機器、撮像機器または光学機器の
部材として利用することができる。
【0059】本発明のハードコート被膜は、酸化珪素を
主成分として含有するので、酸素結合を利用して、上記
した反射防止機能を有する層や撥水・親水機能、防汚機
能などを利用する層を密着性よく形成することは容易で
ある。
【0060】本発明で得られるハードコート被覆ポリオ
レフィン樹脂は上記した端末表示機器、撮像機器、光学
機器以外にも以下のような製品に適用できる。
【0061】ポリオレフィン樹脂は電気絶縁性に優れて
いることから、例えば、電線・ケーブル用被膜材料や、
複写機・コンピューター・プリンター等のOA機器、計
器類などの一般絶縁材料;硬質プリント基板、フレキシ
ブルプリント基板、多層プリント配線板などの回路基
板、特に高周波特性が要求される、衛星通信機器用など
の高周波回路基板;液晶基板・光メモリー・自動車や航
空機のデフロスタなどの面発熱体などの透明導電性フィ
ルムやシートの基材;トランジスタ・IC・LSI・L
EDなどの半導体封止材や部品;モーター・コンクター
・スイッチ・センサーなどの電気・電子部品の封止材
料;テレビやビデオカメラなどのボディ材料や各種計器
累のハウジング材料;パラボラアンテナ・フラットアン
テナ・レーダードームの構造部材;フィルム、シート、
ヘルメットなどに好適に用いることができる。
【0062】
【発明の実施の形態】実施例1 日本ゼオン(株)製のポリオレフィン(型番:1020
R)を射出成形して得られた基板(サイズ:100mm
×150mm×2mmt)に信光電気計装(株)製のコ
ロナ放電表面改質装置「コロナマスター」PS−1M型
を用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約
15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒5mmの速
度で実施し、ポリオレフィン基板表面の水の接触角が4
0度となるようにした。
【0063】次いで、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランを1質量%含むエタノール溶液を調製
し、さらにメトキシ基が加水分解するのに必要な量の水
を添加し、十分に攪拌して塗布液とした。コロナ放電処
理を実施した樹脂基板に対して、ディッピング法で前記
塗布液を塗布し、自然乾燥させて、厚み10nmの第一
次被膜を形成した。
【0064】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン350重量部、水分散コロイダルシリカ(日産化学
(株)製、商品名スノーテックス−C、固形分20%)
14重量部、蒸留水9重量部及び1.2mol/L
(1.2規定)塩酸水溶液3重量部を混合し、80℃で
4時間還流後、57重量部の溶媒を留出温度80〜90
℃で留去した。このようにして得られたコロイダルシリ
カを含むγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
の加水分解溶液66重量部にエチルセロソルブ100重
量部及び硬化触媒、フローコントロール剤を少量添加し
て塗料とした。第1次被膜を形成した樹脂基板に前記塗
料を浸漬法で塗布し、その後、80℃の熱風乾燥炉で4
時間熱処理することにより、5μmの厚みのハードコー
ト被膜を形成した。
【0065】次いで、ニチバン(株)製のセロハンテー
プをハードコート被膜上に貼り付けた後に、勢い良く引
き剥がす方法で、成膜直後(初期)と耐湿試験(40
℃、95%RH、200h)後の被膜の密着性を評価し
た。耐湿試験後に一部被膜の剥離が見られただけで初期
の密着性に問題はなかった。
【0066】上記の密着性を評価したサンプルとは別の
サンプルを作製して、耐擦傷性を評価した。
【0067】耐擦傷性はテーバー摩耗試験を行い、その
前後の可視光線による光学的濁度の増加を指標とした。
【0068】テーバー摩耗試験:JIS A5400
8.9に準じて加重250g−回転数500回転の摩耗 光学的濁度(%):(可視光線散乱透過率/全可視光線
透過率)×100 前述したような利用分野においては、濁度の増加が2%
以下であることが期待されている。本実施例で得られた
サンプルの濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問
題のない範囲であった。
【0069】実施例2 実施例1で使用した日本ゼオン(株)製ポリオレフィン
基板に(株)サムコインターナショナル研究所製のUV
ランプ(品番:SGL−18W18S−SA1)を用い
てランプ直下のUV照度が20mW/cmとなるよう
に、基板上にUV照射を行うと、基板上ではオゾンが発
生し、基板表面の油などのよごれを分解する。UVオゾ
ン洗浄処理を15分間実施し、樹脂基板表面の水の接触
角が13度となるようにした。
【0070】さらに、実施例1と同様の方法で第一次被
膜及びハードコート被膜を形成し、さらに実施例1と同
様の方法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後
に一部被膜の剥離が見られただけで初期の密着性に問題
はなかった。
【0071】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0072】実施例3 UVオゾン洗浄処理時間を5分間とした(基板表面の水
の接触角が47度)以外は実施例2と同様な方法でポリ
オレフィン基板表面を親水化処理をした後、第一次被膜
(膜厚10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)
を形成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性
を評価したところ、耐湿試験後に一部被膜の剥離が見ら
れただけで初期の密着性に問題はなかった。
【0073】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0074】実施例4 UVオゾン洗浄処理時間を2分間とした(基板表面の水
の接触角が60度)以外は実施例2と同様な方法でポリ
オレフィン基板表面を親水化処理をした後、第一次被膜
(膜厚10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)
を形成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性
を評価したところ、ごく一部に被膜の剥離が生じただけ
であった。
【0075】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.5%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0076】実施例5 UVオゾン洗浄処理時間を30分間とした(基板表面の
水の接触角が約5度)以外は実施例2と同様な方法でポ
リオレフィン基板表面を親水化処理をした後、第一次被
膜(膜厚2nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)
を形成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性
を評価したところ、耐湿試験後に一部被膜の剥離が見ら
れただけで初期の密着性に問題はなかった。
【0077】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0078】実施例6 UVオゾン洗浄処理時間を30分間とした(基板表面の
水の接触角が約5度)以外は実施例2と同様な方法でポ
リオレフィン基板表面を親水化処理をした後、第一次被
膜(膜厚50nm)及びハードコート被膜(膜厚5μ
m)を形成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密
着性を評価したところ、耐湿試験後に一部被膜の剥離が
見られただけで初期の密着性に問題はなかった。
【0079】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0080】実施例7 UVオゾン洗浄処理時間を5分間とした(基板表面の水
の接触角が47度)ことと3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランの代わりに3−メタクリロキシプロ
ピルトリエトキシシランを用いること以外は実施例2と
同様な方法でポリオレフィン基板表面を親水化処理をし
た後、第一次被膜(膜厚10nm)及びハードコート被
膜(膜厚5μm)を形成し、さらに実施例1と同様の方
法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後に一部
被膜の剥離が見られただけで初期の密着性に問題はなか
った。
【0081】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0082】実施例8 UVオゾン洗浄処理時間を5分間とした(基板表面の水
の接触角が47度)ことと3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシランの代わりに3−メタクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシランを用いること以外は実施例
2と同様な方法でポリオレフィン基板表面を親水化処理
をした後、第一次被膜(膜厚5nm)及びハードコート
被膜(膜厚5μm)を形成し、さらに実施例1と同様の
方法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後に一
部被膜の剥離が見られただけで初期の密着性に問題はな
かった。
【0083】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0084】実施例9 実施例1で使用した日本ゼオン(株)製ポリオレフィン
(型番:1020R)を射出成形して得られた基板にヤ
マト科学(株)製プラズマリアクター型式PR−501
Aを用いて、13.56MHzの高周波(出力100〜
200W)、使用ガスO(流速100ml/min)
の条件でプラズマ処理を2分間実施し、樹脂基板表面の
水の接触角が20度となるようにした。
【0085】実施例1と同様の方法で3−メタクリロキ
シプロピルトリメトキシシランからなる第一次被膜(膜
厚10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)を形
成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評
価したところ、耐湿試験後に一部被膜の剥離が見られた
だけで初期の密着性に問題はなかった。
【0086】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0087】実施例10 実施例1で使用した日本ゼオン(株)製ポリオレフィン
基板に(株)ササクラ製のオゾン水発生装置OM−2を
用いて、オゾン水に基板を室温で4分間浸漬する条件で
処理を行い、樹脂基板表面の水の接触角が48度となる
ようにした。
【0088】さらに、実施例1と同様の方法で第一次被
膜及びハードコート被膜を形成し、さらに実施例1と同
様の方法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後
に一部被膜の剥離が見られただけで初期の密着性に問題
はなかった。
【0089】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0090】実施例11 3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.2質量%
とビニルトリエトキシシランを1.0質量%含むエタノ
ール溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分解する
のに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液とし
た。
【0091】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0092】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0093】実施例12 コロナ放電処理速度を毎秒1mmとしたこと以外は実施
例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を親水
化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例11の塗
布液を用いて実施例1と同様の方法で第一次被膜(膜厚
10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0094】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0095】実施例13 コロナ放電処理速度を毎秒10mmとしたこと以外は実
施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を親
水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例11の
塗布液を用いて実施例1と同様の方法で第一次被膜(膜
厚10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)を形
成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評
価したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなか
った。
【0096】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0097】実施例14 実施例9と同様の方法でプラズマ処理装置を用いてポリ
オレフィン樹脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触
角が20度)、実施例11の塗布液を用いて実施例1と
同様の方法で第一次被膜(膜厚10nm)及びハードコ
ート被膜(膜厚5μm)を形成し、さらに実施例1と同
様の方法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後
も全く被膜の剥離は生じなかった。
【0098】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0099】実施例15 実施例10と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板をオ
ゾン水洗浄して、樹脂基板表面を親水化処理し(水滴接
触角が48度)、次いで実施例11の塗布液を用いて、
実施例1と同様の方法で第一次被膜及びハードコート被
膜を形成し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着
性を評価したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生
じなかった。
【0100】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0101】実施例16 実施例2と同様の方法でUVランプを用いてポリオレフ
ィン樹脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が1
3度)、実施例11の塗布液を用いて実施例1と同様の
方法で第一次被膜(膜厚10nm)及びハードコート被
膜(膜厚5μm)を形成し、さらに実施例1と同様の方
法で被膜の密着性を評価したところ、耐湿試験後も全く
被膜の剥離は生じなかった。
【0102】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0103】実施例17 処理時間を5分間とした以外は実施例2と同様の方法で
UVランプを用いてポリオレフィン樹脂基板表面を親水
化処理した後(水滴接触角が47度)、実施例11の塗
布液を用いて実施例1と同様の方法で第一次被膜(膜厚
10nm)及びハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0104】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0105】実施例18 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.
8質量%と3−アミノプロピルトリメトキシシランを
0.2質量%含むエタノール溶液を調製し、さらに加水
分解性基が加水分解するのに必要な量の水を添加し、十
分攪拌して塗布液とした。
【0106】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
した。耐湿試験後にヘイズ率が高くなるが、全く被膜の
剥離は生じなかった。
【0107】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0108】実施例19 N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメ
トキシシランを0.1質量%とビニルトリメトキシシラ
ンを1.0質量%含むエタノール溶液を調製し、さらに
加水分解性基が加水分解するのに必要な量の水を添加
し、十分攪拌して塗布液とした。
【0109】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0110】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0111】実施例20 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.3質量%
と3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトシキシラ
ンを0.7質量%含むエタノール溶液を調製し、さらに
加水分解性基が加水分解するのに必要な量の水を添加
し、十分攪拌して塗布液とした。
【0112】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0113】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0114】実施例21 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.7質量%
とビニルトリエトキシシランを0.3質量%含むファイ
ンエターA−10(上野化学薬品工業(株)製の混合ア
ルコール)溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分
解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液
とした。
【0115】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0116】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0117】実施例22 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.04質量
%とビニルトリエトキシシランを0.36質量%含むフ
ァインエターA−10(上野化学薬品工業(株)製の混
合アルコール)溶液を調製し、さらに加水分解性基が加
水分解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗
布液とした。
【0118】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0119】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0120】実施例23 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.01質量
%とビニルトリエトキシシランを1.0質量%含むファ
インエターA−10(上野化学薬品工業(株)製の混合
アルコール)溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水
分解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布
液とした。
【0121】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0122】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0123】実施例24 3−アミノプロピルトリエトキシシランを1.0質量%
とビニルトリエトキシシランを1.0質量%含むファイ
ンエターA−10(上野化学薬品工業(株)製の混合ア
ルコール)溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分
解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液
とした。
【0124】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0125】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0126】実施例25 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.0002
質量%とビニルトリエトキシシランを1.0質量%含む
エタノール溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分
解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液
とした。
【0127】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0128】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0129】実施例26 実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例22
の塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で厚み10n
mの第一次被膜を形成し、その後、実施例1と同様の方
法で厚み1.5μmのハードコート被膜を形成した。実
施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、
耐湿試験後もまったく被膜の剥離は生じなかった。
【0130】また、実施例1と同様の方法で耐擦傷性を
評価した。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問
題のない範囲であった。
【0131】本実施例では、ハードコート被膜の厚さを
好ましい範囲内で薄くしたが、密着性、耐擦傷性とも良
好であった。
【0132】実施例27 実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例22
の塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で厚み10n
mの第一次被膜を形成し、その後、実施例1と同様の方
法で厚み28μmのハードコート被膜を形成した。実施
例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、耐
湿試験後に基板の一部に微細なクラックが発生したが、
まったく被膜の剥離は生じなかった。
【0133】また、実施例1と同様の方法で耐擦傷性を
評価した。濁度の増加は1.0%であり、耐擦傷性は問
題のない範囲であった。
【0134】本実施例では、ハードコート被膜の厚さを
好ましい範囲内で厚くしたが、密着性、耐擦傷性とも良
好であった。
【0135】実施例28 実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例22
の塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で厚み10n
mの第一次被膜を形成し、その後、実施例1と同様の方
法で厚み0.6μmのハードコート被膜を形成した。実
施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、
耐湿試験後もまったく被膜の剥離は生じなかった。
【0136】また、実施例1と同様の方法で耐擦傷性を
評価した。濁度の増加は1.7%であり、他の実施例に
比べて耐擦傷性が劣る結果であるが、問題のない範囲で
あった。
【0137】本実施例では、ハードコート被膜の厚さを
好ましい範囲内で実施例26よりさらに薄くしたが、密
着性、耐擦傷性とも良好であった。
【0138】実施例29 3−アミノプロピルトリエトキシシランを0.2質量%
とビニルトリエトキシシランを1.0質量%含むエタノ
ール溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分解する
のに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液とし
た。
【0139】コロナ放電処理速度を毎秒100mmとし
たこと以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が60
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0140】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0141】実施例30 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.
4質量%とビニルトリエトキシシランを0.4質量%含
むエタノール溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水
分解するのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布
液とした。
【0142】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後に一部被膜の剥離が見られただ
けで初期の密着性に問題はなかった。
【0143】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.3%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0144】実施例31 3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.4質量%
とビニルトリエトキシシランを0.04質量%含むエタ
ノール溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分解す
るのに必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液とし
た。
【0145】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜(膜厚5μm)を形成
し、さらに実施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価
したところ、耐湿試験後も全く被膜の剥離は生じなかっ
た。
【0146】実施例1と同様の方法で耐擦傷性を評価し
た。濁度の増加は1.1%であり、耐擦傷性は問題のな
い範囲であった。
【0147】比較例1 日本ゼオン(株)製のポリオレフィン(型番:1020
R)を射出成形して得られた基板(サイズ:100mm
×150mm×2mmt)に実施例1で使用した装置を
用いて出力が最高約14000ボルトの可変電圧、約1
5kHzの周波数のコロナ放電処理を毎秒5mmの速度
で実施し、ポリオレフィン基板表面の水の接触角が約4
0度となるようにした。
【0148】次いで、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランの1%エチルアルコール溶液を作成し、さ
らにメトキシ基が加水分解するのに必要な量の水を添加
し、十分に攪拌して、塗布液とした。コロナ放電処理を
実施した樹脂基板に対して、ディッピング法で前記塗布
液を塗布し、自然乾燥させて、厚み10nmの第一次被
膜を形成した。
【0149】その後、実施例1と同様の方法で厚み5μ
mのハードコート被膜を形成し、実施例1と同様の方法
で被膜の密着性を評価したところ、セロハンテープを貼
り付けた部分のうち、ほぼ全面が剥離した。
【0150】耐湿試験、耐擦傷性評価は行わなかった。
【0151】比較例2 実施例1におけるコロナ放電による親水化処理を行わず
(樹脂基板表面の純水の接触角90度)、第一次被膜を
形成しないで、実施例1と同様の方法でハードコート被
膜を形成しようとしたが、被膜は形成できなかった。
【0152】比較例3 実施例1におけるコロナ放電による親水化処理をしない
こと(樹脂基板表面の純水の接触角90度)以外は実施
例1と同様な方法でポリオレフィン基板表面に第一次被
膜(膜厚10nm)を形成した後、ハードコート被膜
(膜厚5μm)を形成し、ハードコート被膜の密着性を
評価したところ、セロハンテープを貼り付けた部分のう
ちほぼ全面が剥離した。
【0153】比較例4 実施例1で使用した日本ゼオン(株)製ポリオレフィン
(型番:1020R)を射出成形して得られた基板に実
施例9と同じようにプラズマ処理を実施し、樹脂基板表
面の水の接触角が20度となるようにした。
【0154】比較例1の塗布液を用いて実施例1と同様
の方法で第一次被膜(膜厚10nm)及びハードコート
被膜(膜厚5μm)を形成し、実施例1と同様の方法で
密着性の評価を実施したところ、セロハンテープを貼り
付けた部分のうち、ほぼ全面が剥離した。
【0155】比較例5 実施例1で使用した日本ゼオン(株)製ポリオレフィン
(型番:1020R)を射出成形して得られた基板に実
施例1の装置を用いて出力が最高約14000ボルトの
可変電圧、約15kHzの周波数のコロナ放電処理を毎
秒5mmの速度で実施し、ポリオレフィン基板表面の水
の接触角が40度となるようにした。
【0156】次いで、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシランのSiO3/2換算重量(A)に対して
テトラエトキシシランSiO換算重量(B)をB/A
=0.2となる割合で両シランを混合し、1%エチルア
ルコール溶液を作成し、さらにメトキシ基が加水分解す
るのに必要な量の水を添加し、十分に攪拌して、塗布液
とした。コロナ放電処理を実施した樹脂基板に対して、
ディッピング法で前記塗布液を塗布し、自然乾燥させ
て、厚み10nmの第一次被膜を形成した。
【0157】その後は実施例1と同様の方法で厚さ5μ
mのハードコート被膜を樹脂基板上に形成し、実施例1
と同様の方法で密着性を評価したところ、セロハンテー
プを貼り付けた部分のうち、ほぼ全面で剥離した。
【0158】比較例6 コロナ放電処理速度を毎秒100mmとしたこと以外は
実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が60度)、実施例1に
おける3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
1.0%の代わりにビニルトリエトキシラン0.4%を
用いること以外は実施例1と同様の方法で第一次被膜
(膜厚10nm)を形成し、さらにハードコート被膜を
形成しようとしたが、ハードコート被膜は得られなかっ
た。
【0159】比較例7 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.
4質量%と3−アミノプロピルトリメトキシシランを
0.4質量%含むエタノール溶液を調製し、さらに加水
分解性基が加水分解するのに必要な量の水を添加し、十
分攪拌して塗布液とした。
【0160】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜を形成しようとした
が、ハードコート被膜は得られなかった。
【0161】比較例8 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.
4質量%と3−アミノプロピルトリメトキシシランを
0.04質量%含むエタノール溶液を調製し、さらに加
水分解性基が加水分解するのに必要な量の水を添加し、
十分攪拌して塗布液とした。
【0162】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜を形成しようとした
が、ハードコート被膜は得られなかった。
【0163】比較例9 ビニルトリエトキシシランを0.4質量%含むエタノー
ル溶液を調製し、さらに加水分解性基が加水分解するの
に必要な量の水を添加し、十分攪拌して塗布液とした。
【0164】実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹
脂基板表面を親水化処理した後(水滴接触角が40
度)、上記の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚
み10nmの第一次被膜を形成した。その後、実施例1
と同様の方法でハードコート被膜を形成し、さらに実施
例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、セ
ロハンテープを貼り付けた部分のうちほぼ全面が剥離し
た。
【0165】比較例10 実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例22
の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚み10nm
の第一次被膜を形成した。その後、実施例1と同様の方
法で厚み0.4μmのハードコート被膜を形成した。実
施例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、
耐湿試験後もまったく被膜の剥離は生じなかった。
【0166】次いで、実施例1と同様の方法で耐擦傷性
を評価した。濁度の増加は7.5%であり、耐擦傷性は
実用に供することができない程度であった。
【0167】本比較例では、ハードコート被膜の厚さを
好ましい範囲を超えて薄くしたので耐擦傷性が劣る結果
となった。
【0168】比較例11 実施例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂基板表面を
親水化処理した後(水滴接触角が40度)、実施例22
の塗布液を用いて実施例1と同様の方法で厚み10nm
の第一次被膜を形成した。その後、実施例1と同様の方
法で厚み35μmのハードコート被膜を形成した。実施
例1と同様の方法で被膜の密着性を評価したところ、セ
ロハンテープを貼り付けた部分のうち、一部が剥離し
た。
【0169】本比較例で得られたハードコート被膜はそ
の全面にクラックが発生し、使用できない程度であっ
た。
【0170】耐擦傷性は評価しなかった。
【0171】本比較例では、ハードコート被膜の厚さを
好ましい範囲を超えて厚くしたので、ハードコート被膜
の全面にクラックが生じた。
【0172】以上の実施例と比較例をそれぞれ表1から
表3にまとめて示す。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】表1〜表3の結果を見れば明らかなよう
に、本発明の実施例では、ポリオレフィン樹脂に対して
基板表面に非常に密着性が良好で、かつ耐擦傷性の良好
なハードコート被膜が形成できている。
【0177】特に、親水化処理は、水の接触角が5〜6
0度となるようにすることにより、良好な密着性が確保
できることがわかった。
【0178】
【発明の効果】本発明によればポリオレフィン樹脂に対
して基板表面に非常に密着性が良好で、かつ耐擦傷性の
良好なハードコート被膜が形成できるので、例えば屋外
など傷が付きやすい環境で使用される用途にも利用可能
性が高まる。さらに、機能性薄膜の下地膜として、また
接着剤の下地膜としても有効である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 23:00 C08L 23:00 Fターム(参考) 4F006 AA12 AB39 BA02 CA04 CA05 CA08 DA04 EA05 4J038 DL021 DL031 DL051 DL071 DL081 DL091 DL111 DL121 HA446 KA08 NA11 NA12 PA07 PB02 PB07 PB08 PB09 PC08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン樹脂の表面を親水化処理
    した後、有機珪素化合物からなる第一次被膜を塗布し、
    第一次被膜上にハードコート層を形成させることを特徴
    とするハードコート被覆ポリオレフィン樹脂の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記第一次被膜は、一般式(1) R Si(R4−n (1) (Rはメタクリロキシ基を有する有機官能基であり、
    はアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選
    ばれる1種または複数の加水分解性基であり、nは3以
    下の整数)で示される有機官能基を有する珪素化合物も
    しくはその加水分解物を含む塗布液を塗布した後、乾燥
    させて得られることを特徴とする請求項1に記載のハー
    ドコート被覆ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記第一次被膜は、一般式(2) R Si(R4−n (2) (Rはメタクリロキシ基、ビニル基、アリル基または
    アミノ基から選ばれる官能基を有する有機官能基であ
    り、Rはアルコキシル基、アセトキシル基及び塩素か
    ら選ばれる1種または複数の加水分解性基であり、nは
    3以下の整数)で示される有機官能基を有する珪素化合
    物もしくはその加水分解物の内の互いに異なる珪素化合
    物もしくはその加水分解物を複数含む塗布液を塗布した
    後、乾燥させて得られることを特徴とする請求項1に記
    載のハードコート被覆ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記塗布液に含まれる複数の珪素化合物
    のうち、少なくとも1種がアミノ基を有する珪素化合物
    である請求項1に記載のハードコート被覆ポリオレフィ
    ン樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記塗布液に含まれる複数の珪素化合物
    のうち、アミノ基を有する珪素化合物の割合が0.01
    〜70質量%である請求項1、3及び4のいずれかに記
    載のハードコート被覆ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ハードコート被膜は、一般式(3) R Si(R4−n (3) (Rは炭素数1〜6の炭化水素基、ビニル基、メタク
    リロキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、フ
    ッ素または塩素を含有する有機官能基であり、Rはア
    ルコキシル基、アセトキシル基及び塩素から選ばれる1
    種または複数の結合基であり、nは0〜4の整数)で示
    される珪素化合物、それらの加水分解物、及びコロイダ
    ルシリカよりなる群から選ばれた少なくとも1種の珪素
    化合物を被覆、硬化させて得られることを特徴とする請
    求項1に記載のハードコート被覆ポリオレフィン樹脂の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法で得られることを特徴とするハードコート被覆ポリオ
    レフィン樹脂の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006102698A (ja) * 2004-10-07 2006-04-20 Sekisui Chem Co Ltd イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
US7265486B2 (en) 2003-07-31 2007-09-04 Toshinobu Yoko Light emitting diode including a cover covering a light emitting diode element
JP2015051591A (ja) * 2013-09-06 2015-03-19 旭化成ケミカルズ株式会社 ハードコート被覆ポリオレフィン系樹脂シート
JP7406398B2 (ja) 2019-07-23 2023-12-27 株式会社アドマテックス 親水表面及びその製造方法

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JP2006102698A (ja) * 2004-10-07 2006-04-20 Sekisui Chem Co Ltd イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法
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