JP2009029108A - 積層フィルム、偏光板およびタッチパネル - Google Patents

積層フィルム、偏光板およびタッチパネル Download PDF

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【課題】 車載用タッチパネルのような厳しい耐熱性・耐湿性が求められる用途においても、透明導電層が長期に渡って亀裂を発生せず、かつ低抵抗値を保ち、高強度で機械的耐久性に優れた積層フィルムと、それを用いた透明導電層付きの偏光板と、当該偏光板を有するタッチパネルを提供すること。
【解決手段】 環状オレフィン系重合体層、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有するアンカーコート層および透明導電層がこの順に積層されてなることを特徴とする、積層フィルムを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明導電フィルムとして好適に用いられる積層フィルム、それを用いた偏光板、および当該偏光板を有するタッチパネルに関する。特に、車載用タッチパネルに好適に用いられる積層フィルム、偏光板およびそれを有するタッチパネルに関する。
指で押したり、専用ペンで描画したりすると、その部分が対面電極と接触、通電して信号が入力される抵抗膜式タッチパネルは、小型、軽量、薄型化に有利であることから、各種の家電や携帯端末の入力機器として広く用いられている。
抵抗膜式タッチパネルは、基板の上に透明導電層を形成してなる下部電極の上に、高分子フィルム上に透明導電層を形成してなる上部電極を、それぞれの透明導電層が対面するようにスペーサーを介して積層したものであり、上部電極の表示面を指やペンで押すと、上部電極と下部電極とが接触して通電し信号が入力される。また近年、タッチパネルの上部電極として透明導電層付き偏光板を用いる、偏光板一体型インナータッチパネルが提案されており(特許文献1参照)、視認性やコントラストに優れるという点で注目されている。
このようなタッチパネルでは、指やペンによる入力に伴って、上部電極の透明導電層と下部電極の透明導電層とが接触と非接触とを繰り返すこととなるが、透明導電層の形成材料であるITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電性材料は、耐擦傷性が低いために、透明導電層のうち、特にタッチパネルの入力時に繰り返し変形を受ける上部電極の透明導電層に亀裂が入り易く、また、同材質の透明導電層同士の接触、非接触で透明導電層が基材である高分子フィルムから剥離して脱落し易いという問題があった。特に、カーナビゲーションシステム等に用いられる車載用タッチパネルでは、より厳しい耐熱性・耐湿性が求められ、透明導電層の耐久性が問題になっていた。
また、特に偏光板一体型インナータッチパネルの場合、偏光膜の一方の面に偏光板保護層、他方の面に光等方性支持層が設けられ、その支持層の偏光膜側とは反対の面に透明導電膜が設けられた層構成を有するものである。透明導電層は通常、偏光板保護層に積層されるが、偏光板保護層として一般的に用いられるトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用いた場合、湿熱化の厳しい条件で長期間使用した場合にTACフィルムから酸が発生し、透明導電層が損傷するおそれがあるという問題があった。
上部電極の透明導電層が損傷したり、剥離したりすると、透明導電層面の電気抵抗値が変化し、また、その均一性が失われ、電気特性が損なわれることにより、正確な入力を行うことができなくなり、このことがタッチパネルの信頼性を損ない、損傷、欠陥、耐久性低下の原因となっていた。
特開平11−053118号公報
本発明は上記のような従来技術における問題点を解決するためになされたものであって、透明導電層が長期にわたって亀裂を発生せず、かつ低抵抗値を保ち、高強度で機械的耐久性に優れた透明導電フィルムとして好適に用いられる積層フィルム、それを用いた透明導電層付きの偏光板、および当該偏光板を有するタッチパネルを提供することを目的としている。
本発明によれば、車載用タッチパネルのような厳しい耐熱性・耐湿性が求められる用途においても、透明導電層が長期に渡って亀裂を発生せず、かつ低抵抗値を保ち、高強度で機械的耐久性に優れた積層フィルムと、それを用いた透明導電層付きの偏光板と、当該偏光板を有するタッチパネルを提供することができる。
本発明は、透明導電層の基板として、透明導電層や必要に応じて用いられるハードコート層との接着性に優れ、長期保存においても酸等の化学物質を発生しない環状オレフィン系重合体を用い、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有するアンカーコート層を用いることで、長期耐久性に優れた偏光板およびタッチパネルを提供することに成功したものである。
本発明の積層フィルムは、環状オレフィン系重合体層、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有するアンカーコート層および透明導電層がこの順に積層されてなることを特徴とする。
本発明の積層フィルムにおけるアンカーコート層は、(A)金属酸化物微粒子および(B)多官能性ポリシロキサンを含有し、(B)多官能性ポリシロキサン100重量部に対し、(A)金属酸化物微粒子が30重量部以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムにおける環状オレフィン系重合体層は、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体(以下、「特定単量体」ともいう)を(共)重合して得られた重合体からなることが好ましい。
Figure 2009029108
(式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;または酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含有していてもよい1価の基を表す。
とR、またはRとRとが相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、あるいは、RとR、RとR、またはRとRとが相互に結合して単環または多環の炭素環または複素環を形成してもよい。xは0または1〜3の整数、yは0または1を表す。)
本発明の偏光板は、本発明の積層フィルムが、偏光膜に積層されてなることを特徴とする。
本発明のタッチパネルは、本発明の偏光板を有することを特徴とする。
本発明のタッチパネルは、車載用タッチパネルであることが好ましい。
以下、本発明について具体的に説明する。
《積層フィルム》
本発明の積層フィルムは、環状オレフィン系重合体層、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有するアンカーコート層および透明導電層がこの順に積層されてなり、透明導電性フィルムとして、タッチパネルの透明電極などに好適に用いられる。
[環状オレフィン系重合体層]
本発明における環状オレフィン系重合体層は、環状オレフィン系重合体フィルムから得られる。当該環状オレフィン系重合体フィルムを構成する環状オレフィン系重合体としては、好ましくは、特定単量体由来の構造単位を有する環状オレフィン系重合体が挙げられる。
(環状オレフィン系重合体)
本発明に好適に用いられる環状オレフィン系重合体としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(a)特定単量体と、必要に応じてシクロアルケンなど他のシクロオレフィンとの開環(共)重合体。
(b)上記(a)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(c)特定単量体と、必要に応じて上記他のシクロオレフィン、α−オレフィン等との付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
これらのうち、光学特性および加工性の点から、(b)開環(共)重合体の水素添加(共)重合体が特に好ましい。
上記特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−8−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
これらは、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
特定単量体のうち好ましいのは、上記式(1)中、RおよびRが水素原子または炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R およびR が水素原子または一価の有機基であって、RおよびRの少なくとも一つは水素原子および炭化水素基以外の極性を有する極性基を示し、xは0〜3の整数、yは0〜3の整数であり、より好ましくはx+y=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはx=0、y=1であるものである。x=0、y=1である特定単量体は、得られる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基またはアリロキシカルボニル基が好ましい。
さらに、RおよびRの少なくとも一つが式−(CHCOORで表される極性基である単量体は、得られる環状オレフィン系重合体が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。また、nは、通常、0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、さらにnが0である特定単量体はその合成が容易である点で好ましい。
また、上記式(1)において、RまたはRがアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは1〜2のアルキル基、特にメチル基であることが好ましく、特に、このアルキル基が上記の式−(CHCOORで表される特定の極性基が結合した炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが、得られる環状オレフィン系重合体の吸湿性を低くできる点で好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、上記特定単量体および必要に応じて他の単量体を、公知の方法により開環(共)重合または付加(共)重合し、必要に応じて水素添加することにより得られる。
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体は、30℃のクロロホルム中における固有粘度〔η〕inhが好ましくは0.2〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.85dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が好ましくは5000〜100万、さらに好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1.5万〜25万であり、重量平均分子量(Mw)が1万〜200万、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜50万であることが望ましい。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあると、環状オレフィン系重合体は機械的強度に優れ、破損しにくい環状オレフィン系重合体フィルムが得られる。
また、前記環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常120℃以上、好ましくは130℃以上である。Tgが上記範囲内にあると、長期使用においても高い信頼性を有する環状オレフィン系重合体フィルムが得られる。
また、前記環状オレフィン系重合体の水蒸気透過度は、測定温度40℃、相対湿度90%RHの条件下で、JIS K7129の感湿センサー法に準拠して測定した値として、通常、300(g・25μm/m・24hr)以下であり、好ましくは5〜200(g・25μm/m・24hr)であり、特に好ましくは50〜150(g・25μm/m・24hr)である。水蒸気透過度が5(g・25μm/m・24hr)未満では、偏光板製造時に接着剤として水系接着剤を用いた場合、偏光膜の水分乾燥がうまくいかないため場合がある。また、200(g・25μm/m・24hr)を超えると、高温高湿雰囲気下で偏光板内部の偏光膜に水が浸入し、光学特性の悪化を招くために好ましくない。
環状オレフィン系重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、あるいは公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良い。
また、本発明に用いる環状オレフィン系重合体には、本発明の効果を損なわない範囲において、耐熱劣化性や耐光性の改良のために公知の酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤を添加することができる。
(環状オレフィン系重合体フィルムの製造方法)
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、前記環状オレフィン系重合体、または前記環状オレフィン系重合体と前記添加剤とを含有する樹脂組成物を直接溶融成形することにより、あるいは溶媒に溶解してキャスティング(キャスト成形)することにより好適に成形することができる。
(A)溶融成形
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、前記環状オレフィン系重合体、または前記環状オレフィン系重合体と前記添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融押出し成形することにより製造することができる。
(B)キャスティング
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、前記環状オレフィン系重合体および必要に応じて前記添加剤を溶媒に溶解した液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。たとえば、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、上記液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後、基材から塗膜を剥離することにより、環状オレフィン系重合体フィルムを得ることができる。
前記方法で得られた環状オレフィン系重合体フィルム中の残留溶剤量は可能な限り少ない方が好ましく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が上記範囲にあると、フィルムの経時的な変形や特性変化が起こりにくく、所望の機能を有する環状オレフィン系重合体フィルムを得ることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体フィルムの厚さは、特に限定されないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜100μmであることが望ましい。フィルムの厚さが上記範囲にあると、十分な強度のフィルムが得られ、また、複屈折性、透明性、外観性が良好なフィルムを得ることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、光透過性が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であるのが望ましい。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、アンカーコート層または必要に応じて用いられるハードコート層との接着性を高める目的で表面処理を施したものであってもよい。当該表面処理としては、プライマー処理、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。
上記表面処理のうち、とりわけコロナ処理を用いることにより、環状オレフィン系重合体フィルムと接着剤層を強固に密着することができる。この場合のコロナ処理条件としては、コロナ放電電子の照射量が1〜1000W/m/minが好ましく、10〜100W/m/minがより好ましい。照射量が上記範囲にあると、フィルムの内部にまで処理効
果が及ばず、フィルムを変質させずに十分な表面改質効果が得られる。また、このコロナ処理はアンカーコート層と当接する面のみならず、その反対側の面に施してもよい。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体フィルムは、延伸処理を施した、位相差フィルムとしての機能を有するものであってもよい。延伸処理の方法としては、樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸する方法が用いられる。一軸延伸処理の場合、延伸速度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、より好ましくは100〜1,000%/分である。二軸延伸処理の場合には、同時に二方向に延伸処理を行う方法、一軸延伸処理した後にこの延伸処理した方向と異なる方向に延伸処理する方法を適用することができる。このとき、2つの延伸軸の交わり角度は、目的とする光学フィルム(位相差フィルム)に要求される特性に応じて適宜決定され、特に限定されないが、通常、60〜120度の範囲である。また、延伸速度は、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分であり、各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよい。
延伸処理温度は、特に限定されるものではないが、用いる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度(Tg)を基準として、Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。延伸処理温度を上記範囲内に設定することにより、得られる延伸フィルムに位相差ムラが発生することを抑制することができ、また、屈折率楕円体の制御が容易となる点で好ましい。
延伸倍率は、目的とする光学フィルムに要求される特性に応じて適宜決定され、特に限定されないが、通常は1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が上記範囲にあると、得られる延伸フィルムの位相差を容易に制御することができる。延伸処理されたフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは1〜60分間保持した後に冷却することが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なくて安定した位相差フィルムが得られる。
上記のようにして延伸処理が施されたフィルムは、延伸処理により分子が配向した結果、透過光に位相差を付与することができるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度あるいはフィルムの厚さなどにより制御することができる。
位相差フィルムとして用いられる環状オレフィン系重合体フィルムの厚さは、特に限定するものではないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜100μmであることが望ましい。
[ハードコート層]
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体層は、アンカーコート層を積層する面に、あらかじめハードコート層を有していてもよい。ハードコート層は、アンカーコート層または透明導電層の形成やその後の加工あるいは装置組み立て時に、環状オレフィン系重合体層の表面に傷が生じ、これが原因で透明導電層積層体としての視認性が低下することを避けるために施されるものであり、微粒子を分散含有するものが好ましい。
ハードコート処理は、アンカーコート層形成前にフィルムの両面もしくは片面に実施することができるが、本発明では、ハードコート処理を、アンカーコート層形成前の光学フィルムの両面に形成することが好ましい。ハードコート層としては、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂に、微粒子を分散させた防眩作用を有するハードコート処理剤の硬化被膜が好ましく用いられる。上記活性エネルギー線硬化型樹脂のうちアクリル系樹脂は、透明導電層の密着性を高める効果も有するのでもっとも好適に用いられる。
ハードコート処理剤に混合する微粒子としては、特に限定されるものではないが、平均粒径(一次平均粒径)が、たとえば、1nm〜100nm程度、1nm〜50nm程度、さらに1nm〜25nm程度のものを主成分とするのが適当である。また、これに加えて、平均粒径が50nm〜800nm程度のもの、100nm〜3μm程度のものなど、主成分として添加する粒子とは粒径の異なる群の粒子を併用して保護層形成用組成物を調製することも好ましい。このような平均粒径を有することにより、白ぼけ及び/又は黒浮きというような部分的な表示むら又は背景画像の不鮮明な表示、ギラツキ及び/又はグレア等の不均一な表示、ニュートンリングという光の干渉作用という主に3種の不具合をバランスよく解消することができる。
また、ここで用いられる微粒子としては、シリカ粒子が好ましく、シリカとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。ここでいうヒュームドシリカとは、工業規模で生産されている最も粒子系の小さい粒子形(平均1次粒径が7〜40nm、比表面積が50〜380m/g)をもつ高純度(99.9%以上)の無水シリカをいい、通常、四塩化ケイ素の酸素/水素バーナー中、1000℃以上の高温下の加水分解法で製造される。
シリカは、表面のシラノール基を疎水性処理したものを用いることができ、好ましくは疎水性処理したものである。
シリカ粒子の配合割合は、樹脂100重量部に対してシリカ粒子が、0.1〜10重量部となるようにするのが好ましい。シリカ粒子の量が少ないと、防眩効果が劣り、多いと光透過率や被膜強度が低下する。
硬化被膜の形成に際しては、上述の活性エネルギー線硬化型樹脂および微粒子に、必要に応じて帯電防止剤、重合開始剤などの各種の添加物を加えてなる組成物を、通常溶剤で希釈して固形分が20〜80重量%となるように調製し、これを光学フィルムの一面に、一般的な溶液塗工手段であるグラビアコータ、リバースコータ、スプレーコータ、スロットオリフィスコータまたはスクリーン印刷などの手段により、乾燥硬化後の厚みが1〜15μm程度となるように塗布した後、加熱乾燥後紫外線照射や電子線照射により硬化させることができる。このハードコート処理層の形成に先立ち、被着面にコロナ放電、紫外線照射、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、プライマ処理などの易接着処理をすることで、透明フィルムとハードコート処理層との密着性をより高めることができる。
[アンカーコート層]
本発明におけるアンカーコート層は、環状オレフィン系重合体層と透明導電層との接着性を向上させるとともに、ガスバリア性を付与する、積層体における各層の線膨張の差による物理的・光学的歪みを緩和させるという目的で用いられるものである。当該アンカーコート層は、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有することを特徴とし、好ましくは(A)金属酸化物微粒子および(B)多官能性ポリシロキサンを含有する。通常、アンカーコート層は、金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物からなる塗工液を調製し、当該塗工液を環状オレフィン系重合体フィルムに塗工、乾燥することにより得られる。
((A)金属酸化物微粒子)
アンカーコート層に用いられる金属酸化物微粒子(A)は、金属元素の酸化物微粒子であればその種類は特に限定されないが、例えば、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化カルシウム、酸化ガリウム、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化タングステン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、およびこれらの複合体、ならびにインジウム−スズ複合酸化物などの上記金属2種以上の複合体の酸化物などが挙げられる。
上記金属酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.1〜70nm、特に好ましくは0.1〜50nmである。金属酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径が上記範囲にあると、光透過性に優れた積層フィルムを得ることができる。
金属酸化物微粒子(A)は、塗工液調製の際、溶媒に分散されていない粉体の状態で添加しても、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒中やトルエンなどの非極性溶媒中に分散した分散体の状態で添加してもよい。添加前の金属酸化物微粒子は、凝集して二次粒子を形成していてもよい。本発明では、ポリシロキサンの溶解性を考慮して適切な有機溶媒を適宜選択できる点で、粉体を使用することが好ましい。
(ポリシロキサン)
アンカーコート層に用いられるポリシロキサンは、多官能性ポリシロキサン(B)であることが好ましい。
多官能性ポリシロキサン(B)としては、(b1)ジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサンと、(b2)ポリジメチルシロキサンとを脱アルコール反応させて得られるポリシロキサンが好ましいものとして挙げられる。(b1)多官能ポリシロキサンと(b2)ポリジメチルシロキサンとは、末端官能基がアルコキシル基またはヒドロキシル基であることが好ましく、それぞれ異なる末端官能基を有する(b1)と(b2)とを脱アルコール反応させて、多官能性ポリシロキサン(B)が得られる。
(b1)多官能ポリシロキサン:
本発明に用いられる多官能ポリシロキサン(b1)は、下記平均組成式(b1)で表される。
SiO(OR (b1)
式(b1)中、Rはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、Rが複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、Rは水素原子またはアルキル基である。aは0を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である。
上記多官能ポリシロキサン(b1)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で、好ましくは3,000以上100,000以下、より好ましくは3,000以上80,000以下、特に好ましくは3,500以上50,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有する多官能ポリシロキサン(b1)を使用すると、アンカーコート層形成時におけるクラック発生の抑制と湿熱下における分解劣化の抑制とを両立できる。
上記1価の炭化水素基は、オキシアルキレン基を有しなければ特に限定されないが、置換または無置換の1価の炭化水素基が挙げられる。上記1価の無置換炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。また、上記1価の置換炭化水素基としては、炭素数1〜8の置換アルキル基が挙げられる。上記置換アルキル基の置換基としては、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基、ウレイド基などが挙げられる。
また、上記Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基が好ましい。
この多官能ポリシロキサン(b1)は、たとえば、上記平均組成式を満たすように、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランを適宜組み合わせて加水分解・縮合させることによって製造できる。ただし、テトラアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合、およびジアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合は除く。本発明では、金属酸化物微粒子(A)と水との存在下における耐分解性が優れる点から、3官能アルコキシシランおよび/または3官能クロロシランを50重量%以上用いて得られる多官能ポリシロキサンが特に好ましい。
上記多官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類が挙げられる。これらのアルコキシシラン類は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、多官能のアルコキシシランに加えて、1官能のアルコキシシランを併用することもできる。1官能のアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどが挙げられる。これらの1官能のアルコキシシランは、使用するアルコキシシラン全量に対して、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下で使用することが望ましい。
また、上記分子量を満たすアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)として、GE東芝シリコーン社製のXR31−B0270、XR31−B2733(以上、商品名)などの市販のシロキサンポリマーを用いることもできる。
なお、上記多官能ポリシロキサン(b1)は、本発明の効果を損なわない範囲でSi−OH結合を有していてもよい。
(b2)ポリジメチルシロキサン:
本発明に用いられるポリジメチルシロキサン(b2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が好ましくは2,000以上100,000以下、より好ましくは2,000以上80,000以下、特に好ましくは3,000以上70,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有するポリジメチルシロキサン(b2)を使用すると、柔軟性に優れた多官能ポリシロキサン(B)が得られ、アンカーコート層形成時におけるクラック発生の抑制と硬化性とを両立できるため、硬化体の厚膜化を図ることができる。
このポリジメチルシロキサン(b2)は、たとえば、ジメチルジアルコキシシランまたはジメチルジクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
上記ジメチルジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシランなどが挙げられる。これらのジメチルジアルコキシシランは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記ポリジメチルシロキサン(b2)は、環状オルガノシロキサンを開環縮合させることによっても製造できる。環状オルガノシロキサンとしては、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テチラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
また、上記分子量を満たすポリジメチルシロキサン(b2)として、GE東芝シリコーン社製のYF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3807、YF−3897、XF−3905(以上、商品名)などの市販のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを用いることもできる。
多官能ポリシロキサン(B)の製造方法:
多官能ポリシロキサン(B)は、上記多官能ポリシロキサン(b1)と上記ポリジメチルシロキサン(b2)とを脱アルコール反応させることにより製造できる。この多官能ポリシロキサン(B)は、通常水を添加した後、さらに加水分解・縮合させることが好ましい。これにより、多官能ポリシロキサン(B)が高分子量化し、得られるアンカーコート層の透明性が向上する。上記各反応は、通常、有機溶媒中で触媒を用いて行なわれる。
上記多官能ポリシロキサン(b1)と上記ポリジメチルシロキサン(b2)との混合比は、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)で、30/70〜95/5であり、好ましくは50/50〜95/5、より好ましくは50/50〜90/10である。(b1)と(b2)との混合比が上記範囲にあると、ポリジメチルシロキサンの劣化が抑制でき、耐熱性、耐紫外線性および耐湿熱性に優れたアンカーコート層を得ることができる。特に、多官能ポリシロキサン(b1)の割合が少ないと、耐熱性、耐紫外線性および耐湿熱性が低下するおそれがある。
上記脱アルコール反応の温度は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間、特に好ましくは1〜8時間である。また、脱アルコール反応は、各成分を反応容器に一括で仕込んで実施してもよいし、一方の成分に他方の成分を間欠的にもしくは連続的に添加しながら実施してもよい。上記脱アルコール反応により、ポリジメチルシロキサン(b2)の両末端に、多官能ポリシロキサン(b1)が結合した構造の多官能性ポリシロキサン(B)が形成される。
加水分解・縮合反応の際に添加される水の量は、多官能性ポリシロキサン(B)100重量部に対して、通常1〜500重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは20〜200重量部である。水の添加量が上記範囲にあると、加水分解・縮合反応が十分に進行するとともに、反応後に除去する水の量が少ないため好ましい。
上記加水分解・縮合反応の温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間、特に好ましくは1〜8時間である。
上記脱アルコール反応および加水分解・縮合反応において用いられる有機溶媒としては、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶媒のうち、脱アルコール反応では、反応を促進する観点から、アルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどを使用することが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
上記有機溶媒は、脱アルコール反応および加水分解・縮合反応のコントロール、得られる多官能性ポリシロキサン(B)を含む溶液の濃度もしくは粘度の調整、または硬化体製造時の厚み調整などを目的として適宜使用することができる。有機溶媒を使用する場合、その使用量は所望の条件に応じて適宜設定することができるが、たとえば、得られる多官能性ポリシロキサン(B)の濃度が、完全加水分解縮合物換算で、好ましくは5〜99重量%、より好ましくは7〜95重量%、特に好ましくは10〜90重量%となる量である。
上記脱アルコール反応または加水分解・縮合反応に用いられる触媒としては、たとえば、塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物が挙げられる。
上記塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアおよび有機アミン化合物が好ましい。有機アミンとしては、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルカノールアミン、アリールアミンなどが挙げられる。これらの塩基性化合物のうち、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。このような塩基性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。上記無機酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
このような酸性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、酢酸が特に好ましい。
上記金属キレート化合物としては、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という)が挙げられる。上記有機金属化合物類としては、たとえば、下記式(a)
M(OR(RCOCHCOR (a)
(式中、Mは、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムからなる群からを選択される少なくとも1種の金属原子を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、Rは、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に0〜4の整数であって、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす)
で表される化合物、
1つのスズ原子に炭素数1〜10個のアルキル基が1〜2個結合した4価のスズの有機金属化合物、あるいは、
これらの部分加水分解物などが挙げられる。
このような金属キレート化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいはこれらの部分加水分解物が好ましい。
塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物のうち、脱アルコール反応では金属キレート化合物が好ましく、加水分解・縮合反応では塩基性化合物が好ましい。金属キレート化合物は他の化合物に比べて脱アルコール反応性に優れ、また、水分存在下で塩基性化合物を触媒として使用すると縮合反応速度に比較し加水分解反応速度が早いため、得られるポリシロキサンの残存アルコキシル基を低減することができ、結果として得られるポリシロキサンの体積収縮を低減できるため、耐クラック性に優れるアンカーコート層を形成できる。
上記脱アルコール反応において、上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、多官能ポリシロキサン(b1)とポリジメチルシロキサン(b2)との合計100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部添加される。
上記加水分解・縮合反応において、上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、多官能ポリシロキサン(b1)とポリジメチルシロキサン(b2)との合計100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、より好ましくは3〜30重量部添加される。
上記で得られた多官能性ポリシロキサン(B)の貯蔵安定性、および以降の金属酸化物微粒子分散安定性確保の点から、加水分解縮合後に脱触媒工程として水洗を行うことが好ましい。特に加水分解縮合触媒として塩基性化合物を使用した場合、反応後に酸性化合物による中和を行った上で、水洗を行うことがより好ましい。
中和に使用する酸性化合物は上記例示した酸性化合物を使用することができる。酸性化合物の使用量は加水分解縮合に使用した塩基性化合物1モルに対し、通常0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.5モル、さらに好ましくは0.9〜1.3モルである。酸性化合物を水に溶解して使用する場合は、多官能ポリシロキサン(b1)とポリジメチルシロキサン(b2)との合計100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜300部、より好ましくは30〜200部の水に溶解する。中和後、十分に攪拌混合して静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去する。
中和後の水洗に使用する水は、多官能ポリシロキサン(b1)とポリジメチルシロキサン(b2)との合計100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜300部、より好ましくは30〜200部である。
水洗は、水を添加して十分に攪拌した後、静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去することにより行う。水洗回数は好ましくは1回以上、さらに好ましくは2回以上である。
上記方法により得られる多官能ポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で通常3,000〜200,000、好ましくは4,000〜150,000、より好ましくは5,000〜100,000である。
(金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の調製)
本発明に係る金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、金属酸化物微粒子(A)と多官能性ポリシロキサン(B)とを、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理を施すことにより得ることができる。
上記有機溶媒としては、上記多官能性ポリシロキサン(B)製造時の脱アルコール反応や加水分解・縮合反応において例示した有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、金属酸化物含有ポリシロキサン組成物の分散安定性および高粘度化が図れるという点でアルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、およびこれらの混合物などが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
上記有機溶媒の使用量は、金属酸化物微粒子(A)を均一に分散できる量であれば特に制限されないが、得られる金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の固形分濃度が、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは7〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%となる量である。
上記塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物としては、上記多官能性ポリシロキサン(B)製造時の脱アルコール反応や加水分解・縮合反応において例示した化合物が挙げられる。これらの塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物のうち、塩基性化合物および酸性化合物が好ましく、塩基性化合物がより好ましく、有機アミン化合物がさらに好ましく、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物に、上記金属酸化物微粒子(A)100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部含有されていることが望ましい。上記範囲にあると金属酸化物微粒子(A)の分散安定性と金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の粘度を容易に制御できる。
上記金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、有機溶媒に金属酸化物微粒子(A)と多官能性ポリシロキサン(B)と、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物とを添加し、これらを十分に混合して金属酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより調製することができる。このとき、ボールミル、サンドミル(ビーズミル、ハイシェアビーズミル)、ホジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、プロペラミキサー、ハイシェアミキサー、ペイントシェーカーなどの公知の分散機を用いることが好ましく、特に高分散の微粒子分散体ボールミル、サンドミル(ビーズミル、ハイシェアビーズミル)が好適に使用される。
金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、多官能性ポリシロキサン(B)の完全加水分解縮合物換算100重量部に対して、金属酸化物微粒子(A)が好ましくは30重量部以上、より好ましくは30〜2000重量部、特により好ましくは50〜1000重量部含有することが望ましい。
本発明におけるアンカーコート層は、上記金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物からなる塗工液を環状オレフィン系重合体フィルム状に、乾燥後の厚みが20〜200μm程度となるように塗布した後、加熱乾燥することにより得られるこのアンカーコート層の形成に先立ち、被着面にコロナ放電、紫外線照射、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、プライマー処理などの易接着処理をすることで、アンカーコート層の密着性をより高めることができる。
[透明導電層]
本発明に係る透明導電層は、可視光領域において透過度を有し、かつ導電性を有する層である。透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの従来公知の技術をいずれも使用できるが、膜の均一性やアンカーコート層への薄膜の密着性の観点から、スパッタリング法での薄膜形成が好ましい。また、用いる薄膜材料も特に制限されるものではなく、例えば、酸化錫を含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化錫などの金属酸化物のほか、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、コバルト、錫、亜鉛またはこれらの合金などが好ましく用いられる。中でも好ましいものとしては、酸化錫を含有する酸化インジウム(ITO)が挙げられる。
本発明における透明導電層の厚さは、30オングストローム以上とすることが必要で、これより薄いと表面抵抗が、1000Ω/□以下となる良好な導電性を有する連続被膜となり難い。一方、厚くしすぎると透明性の低下などをきたすために、好適な厚さとしては、50〜2000オングストローム程度である。
《偏光板》
本発明の偏光板は、本発明の積層フィルムが偏光膜に積層されてなり、具体的には、本発明の積層フィルムにおける環状オレフィン系重合体層の面を、接着剤等を介して偏光膜に積層することにより得られる。
[接着剤]
本発明では、通常、接着剤を用いて、本発明の積層フィルムと偏光膜とを接着させる。当該接着剤としては、特に限定されないが、紫外線重合性ポリマーおよび/または紫外線重合性モノマーと紫外線重合開始剤との組成物等の紫外線硬化性接着剤;ポリビニルアルコール水溶液や、ポリビニルアルコール、ポリウレタン系樹脂およびエポキシ硬化剤の水溶液等の水系接着剤などが特に好ましく用いられる。
[偏光膜]
本発明で用いられる偏光膜としては、偏光膜としての機能、すなわち、入射光を互いに直行する2つの偏光成分に分け、その一方のみを通過させ、他の成分を吸収または分散させる働きを有する膜であれば特に限定されず、いずれの偏光膜も用いることができる。
本発明で用いることのできる偏光膜としては、たとえば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略す)・ヨウ素系偏光膜;PVA系フィルムに二色性染料を吸着配向させたPVA・染料系偏光膜;PVA系フィルムの脱水反応やポリ塩化ビニルフィルムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン系偏光膜;分子内にカチオン性基を含有する変性PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性染料を有する偏光膜などが挙げられる。これらのうち、PVA・ヨウ素系偏光膜が好ましい。
本発明で用いられる偏光膜の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。たとえば、PVA系フィルムを延伸後、ヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムを二色性染料による染色後、延伸する方法、PVA系フィルムを延伸後、二色性染料で染色する方法、二色性染料をPVA系フィルムに印刷後、延伸する方法、PVA系フィルムを延伸後、二色性染料を印刷する方法などが挙げられる。より具体的には、ヨウ素をヨウ化カリウム溶液に溶解して、高次のヨウ素イオンを作り、このイオンをPVAフィルムに吸着させて延伸し、次いで1〜5重量%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して偏光膜を製造する方法;あるいは、PVAフィルムを上記と同様にホウ酸処理して一軸方向に3〜7倍程度延伸した後、0.05〜5重量%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して染料を吸着し、次いで80〜100℃で乾燥して熱固定して偏光膜を製造する方法などが挙げられる。
本発明で用いられる偏光膜の厚さは、特に限定されるものではないが、10〜50μm、好ましくは15〜45μmであることが望ましい。
これらの偏光膜は、そのまま本発明に係る偏光板の製造に用いてもよいが、接着剤層と接する面に、コロナ放電処理、プラズマ処理を施して用いることもできる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、通常、上記偏光膜の片面に、好ましくは上記接着剤を介して、本発明の積層フィルムの環状オレフィン系重合体層の面を接着して得られる。通常、偏光板一体型タッチパネルとした際に、後述するスペーサーと接する層に透明導電層が来るように、本発明の積層フィルムが用いられる。偏光膜のもう一方の面には重合体層が設けられ、当該重合体層は、通常、接着剤を介して重合体フィルムを積層して得られる。当該重合体フィルムを構成する重合体としては、上述した環状オレフィン系重合体、TAC、ポリカーボネートなどが挙げられ、中でも環状オレフィン系重合体が、光学特性と透明導電層のより長期に渡る耐久性の面から好ましい。当該重合体フィルムは、位相差フィルムであってもよい。また、偏光膜と本発明の積層フィルムとは、直接接着してもよいし、上記重合体フィルム、ハードコート層などを介して積層してもよい。
このような偏光板の製造方法は特に制限されず、たとえば、本発明の積層フィルムの環状オレフィン系重合体層の面または偏光膜の一表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面に他方のフィルム(膜)を重ね合わせてロール等により貼合し、必要に応じて加熱または露光する方法などが挙げられる。
このとき、接着剤は、乾燥後の接着剤層の厚さが好ましくは0.01〜50μm、より好ましくは0.01〜30μm、特に好ましくは0.01〜3μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥後の接着剤層の厚さが上記範囲にあると、偏光板の透明性が維持され、かつ十分な接着力で積層フィルムと偏光膜とが接着され、これらの層間剥離が起こりにくい。
上記接着剤塗布時の温度は、通常15〜40℃の範囲であり、貼合温度は通常15〜30℃程度の範囲である。接着剤として紫外線硬化性接着剤を用いた場合には、貼合後は露光処理を行い、接着剤を硬化させる。この際の露光光源は特に限定されないが、好ましくは紫外線である。また、露光量は、好ましくは1〜2000mJである。
なお、本発明の偏光板の好ましい層構成としては、例えば下記のような構成が挙げられる。(下記記載における「特定重合体層」は、「環状オレフィン系重合体層」を示す。「重合体層」としては、環状オレフィン系重合体層またはTAC層が特に好ましい。)
(1)重合体層/偏光膜/特定重合体層/アンカーコート層/透明導電層
(2)重合体層/偏光膜/特定重合体層/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
(3)重合体層/偏光膜/重合体層/ハードコート層/特定重合体層/アンカーコート層/透明導電層
(4)重合体層/偏光膜/重合体層/ハードコート層/特定重合体層/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
(5)ハードコート層/重合体層/偏光膜/特定重合体層/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
(6)ハードコート層/重合体層/偏光膜/重合体層/ハードコート層/特定重合体層/アンカーコート層/透明導電層
(7)ハードコート層/重合体層/偏光膜/重合体層/ハードコート層/特定重合体層/ハードコート層/アンカーコート層/透明導電層
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、上述した本発明の偏光板をスペーサーと対向配置し、透明電極として用いることを特徴とする。本発明のタッチパネルは、好ましくは表示装置の表示面側に設置されて用いられる。
具体的には、本発明の偏光板を4線式抵抗膜方式や5線式抵抗膜方式のタッチパネルの上部電極および/または下部電極として好適に用いることができる。そして、このタッチパネルを液晶ディスプレイの前面に配置することでタッチパネル機能を有する表示装置が得られることとなる。
本発明に係る偏光板は、良好な偏光機能を有し、耐熱性、耐薬品性などの特性にも優れており、長期使用においても剥離、変形、偏光度変化などが生じにくく、高い信頼性を有し、耐久性に優れている。また、偏光板に形成された透明導電層は、長期にわたって亀裂を発生せず、かつ低抵抗値を保ち、高強度で機械的耐久性に優れるため、当該偏光板を有する本発明のタッチパネルは、車載用等の高度な耐久性が要求される用途においても、好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下「部」はいずれも重量基準である。なお、各種物性は、次のようにして測定あるいは評価した。
(表面抵抗) 三菱化学(株)製の低抵抗率計「ロレスタ−GP」を用い、透明導電層の表面抵抗を測定した。
(乾熱試験) 偏光板を温度85℃、85%RHの環境下にて1000時間保存した後、抵抗値を測定した。
<環状オレフィン系重合体の合成>
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 227.5部とビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 22.5部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部、トルエン(開環重合反応用溶媒)750部とを窒素置換した反応容器内に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5モル/l)0.62部と、t−ブタノール/メタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
このようにして得られた開環共重合体溶液 4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C 0.48部を添加し、水素ガス圧力100kg/cm、反応温度160℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加された環状オレフィン系重合体Aを得た。
<作製例1(環状オレフィン系重合体フィルムの作製)>
重合体Aを、固形分濃度が30%となるようにトルエンに溶解した。得られた溶液の室温における溶液粘度は30,000mPa・sであった。この溶液に、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、重合体A100重量部に対して0.1重量部を添加し、得られた溶液を日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した後、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製の「INVEXラボコーター」を用い、アクリル酸系表面処理剤によって親水化(易接着性化)処理された、厚みが100μmのPETフィルム(東レ(株)製の「ルミラーU94」)に塗布した。次いで、得られた液層に対して、50℃で一次乾燥処理を行い、更に、90℃で二次乾燥処理を行った後、PETフィルムから剥離させることにより、厚さ188μmのフィルムA−1を形成した。得られたフィルムA−1の残留溶媒量は0.5重量%であり、光線透過率は93%以上であった。
<作製例2(環状オレフィン系重合体フィルムの作製)>
2軸押出機を用い、重合体A100部、ペンタエリスリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.3部、および、(2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]1.5部を270℃で溶融混練りした後、ストランド上に押出し、水冷後フィーダールーダーを通してペレットを得た。得られたペレットを、100℃、3時間、窒素下で循環除湿乾燥した後、ホッパーに送り、スクリュウ径75mmφの単軸押出機を用いて樹脂温度270℃で溶融させた。
この溶融樹脂を両軸排出型のギアポンプにより30kg/hrの割合で、280℃に加温したポリマーフィルター(目開き5μm)を介して700mm幅コートハンガーダイに導いた。フィルターの入口と出口との差圧は3MPaであった。また、ダイのヒーターにはアルミ鋳込みヒーターを使用して250℃に設定し、前面のリップ部には加えてリップヒーターを設置し、ダイリップ温度を250±0.4℃に制御した。
リップ開度は幅方向に0.5mmにセットし、微調整は溶融押出下流側に設置したオンライン厚み計にて厚みムラを計測して行なった。ダイから出た樹脂は250mmφのキャストロール(表面粗さ:0.1μ)の鉛直接線方向に落として圧着し、キャストロール軸に対し水平に設置した2本の冷却ロールで順に圧着した後剥離し、4kgfで張力制御して引取って、80μmの厚みのフィルムA−2を得た。
<作製例3(偏光膜の作製)>
ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略す)を、ヨウ素濃度が0.03重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5重量%である水溶液からなる温度30℃の染色浴中で、延伸倍率3倍で前延伸加工し、次いで、ホウ酸濃度が5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8重量%である水溶液からなる温度55℃の架橋浴中で、延伸倍率2倍で後延伸加工した後、乾燥処理することにより、偏光膜を得た。
<調製例1(接着剤の調製)>
ポリビニルアルコール系樹脂である和光純薬工業(株)製の163−03045(分子量:22,000、ケン化度:88モル%)に、水を加えて固形分濃度が7重量%の水溶液を調製した。一方、ポリウレタン系樹脂である大日本インキ化学工業(株)製のWLS−201(固形分濃度35重量%)100部に、ポリエポキシ系硬化剤である大日本インキ工業(株)製のCR−5L(有効成分100%品)5部を配合し、水で希釈して固形分濃度が20重量%の水溶液を調製した。得られたポリウレタン系樹脂水溶液とポリビニルアルコール系樹脂水溶液とを、重量比で1:1(固形分重量比で80:20)の割合で混合し、固形分濃度が15重量%の混合接着剤を調製した。
<調製例2(ハードコート処理剤の調製)>
ペンタエリスリトールアクリレートと水添キシレンジイソシアネートから得られたウレタンアクリレート100部と、イソシアヌル酸−トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]20部と、平均粒径が1〜3μmのシリカ粒子を全固形分に対して40重量%と、光重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを全固形分に対して3重量%とを、酢酸ブチル/メチルエチルケトン(1/2:重量比)の混合溶媒により固形分濃度が45重量%となるように希釈してハードコート処理剤を調製した。
<調製例3(アンカーコート層形成剤の調製)>
攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に、Mw=20,000のアルコキシ末端ポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XR31−B2733)60重量部と、Mw=4000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:YF−3800)40重量部と、トルエン42重量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2重量部とを入れて混合し、攪拌しながら80℃で3時間脱アルコール反応を行なった。
次いで、メチルイソブチルケトン288重量部、メタノール70重量部、水80重量部およびトリエチルアミン12重量部を添加して、60℃で3時間加水分解・縮合反応を行なった。その後、得られた反応液をシュウ酸で中和し、水相(下層)を除去した後に、水洗と水相除去を3回実施後、溶媒を留去してMw=30,000の多官能ポリシロキサンを得た。この多官能ポリシロキサンにメチルイソブチルケトン100重量部を添加し、固形分濃度50重量%のポリシロキサン溶液(I)を得た。
粉体状の酸化ジルコニウム微粒子(一次平均粒径:20nm)120重量部と、ポリシロキサン成分として上記ポリシロキサン溶液(I)160重量部(固形分換算で80重量部)と、トリエチルアミン0.1重量部と、ジイソブチルケトン720重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ペイントシェーカーを用いて6時間微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物からなる塗布液(1)を得た。
<調製例4(アンカーコート層形成剤の調製)>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン100部、メタノールシリカゾル(平均粒径10nm、固形分濃度30重量%)60部、i−プロピルアルコール15部を加え、60℃に加熱して4時間反応させたのち、25℃に冷却して第1段階の反応を行った。
次いで、メチルトリメトキシシラン150部、1/1,000N塩酸水60部を加え、室温下で2時間攪拌して第2段階の加水分解、重縮合反応を行ったのち、i−プロピルアルコール160部を加え、pH3.2、固形分濃度25%のシリカ含有ポリシロキサン組成物からなる塗布液(2)を得た。
<調製例5(アンカーコート層形成剤の調製)>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン80部、ジメチルジメトキシシラン20部、ポリアクリルシリコン(固形分濃度重量50%)400部、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート8部、i−プロパノール80部を加え混合したのち、イオン交換水20部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、アセチルアセトン30部を添加し、ポリシロキサン組成物からなる塗布液(3)を得た。
[実施例1]
(ハードコート層の形成)
調製例2で得られたハードコート処理剤を、グラビアリバース法にて、作製例1で得られたフィルムA−1の片面に塗布した。塗布面を80℃で60秒間乾燥し、150mJ/cmの紫外線を照射して、膜厚1.7μmのハードコート層を有するフィルムを得た。
次いで、反対面にも同様にしてハードコート層を形成し、膜厚1.7μmのハードコート層を両面に有するフィルムB−1を形成した。
(アンカーコート層の形成)
フィルムB−1に、大気中で50W・min/mのコロナ放電処理をおこない、調製例3で得られた塗布液(1)をウェット膜厚6μmのワイヤーバーにて塗工し、110℃で3分間乾燥させてアンカーコート層を形成した。
(透明導電層の形成)
形成したアンカーコート層の表面に、アルゴンガスおよび酸素ガス流入下でインジウムと錫を含んだターゲットを用いて、透明導電膜をスパッタリング法により形成させ、積層フィルムC−1を得た。得られた積層フィルムC−1の透明導電層における表面抵抗値を測定したところ、550Ω/□であった。当該積層フィルムC−1を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値を測定したところ605Ω/□であり、R/R=1.1であった。
(偏光板、タッチパネルの作製)
作製例3で得られた偏光膜の両面に、調製例1で得られた混合接着剤を介して、フィルムB−1とフィルムC−1を用い、フィルムC−1(ITO層は偏光膜と反対側)/偏光膜/フィルムB−1となるように積層して、本発明の偏光板を得た。
液晶表示素子上に、タッチパネル用のITO膜透明基板を、ITO膜が上になるように重ね合わせ、さらにその上に、スペーサーを介して、得られた偏光板を透明導電層側を下にして重ね合わせた。
得られたタッチパネル付き液晶表示素子を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値を測定したところ、627Ω/□であった。
[実施例2]
フィルムA−1の代わりにフィルムA−2を用いた以外は実施例1と同様にして、フィルムB−2および積層フィルムC−2を得た。積層フィルムC−2の透明導電層における表面抵抗値を測定したところ、490Ω/□であった。当該積層フィルムC−2を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値を測定したところ539Ω/□であり、R/R=1.1であった。
次に、フィルムB−1の代わりにフィルムB−2を用い、積層フィルムC−1の代わりに積層フィルムC−2を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の偏光板およびタッチパネル付き液晶表示素子を得た。得られたタッチパネル付き液晶表示素子を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値を測定したところ、554Ω/□であった。
[比較例1]
塗工液(1)の代わりに調製例4で得られた塗工液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、積層フィルムc−1を得た。積層フィルムc−1の透明導電層における表面抵抗値を測定したところ、500Ω/□であった。当該積層フィルムc−1を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の透明導電層表面を観察したところ、透明導電層の剥離が観察された。
[比較例2]
塗工液(1)の代わりに調製例5で得られた塗工液(3)を使用した以外は実施例1と同様にして、積層フィルムc−2を得た。積層フィルムc−2の透明導電層における表面抵抗値を測定したところ、500Ω/□であった。当該積層フィルムc−2を、85℃、85%RHに保たれた湿熱オーブンに入れ、1000時間後の抵抗値を測定したところ2500Ω/□であり、R/R=5であった。

Claims (6)

  1. 環状オレフィン系重合体層、金属酸化物微粒子を分散含有するポリシロキサンを有するアンカーコート層および透明導電層がこの順に積層されてなることを特徴とする、積層フィルム。
  2. アンカーコート層が、(A)金属酸化物微粒子および(B)多官能性ポリシロキサンを含有し、(B)多官能性ポリシロキサン100重量部に対し、(A)金属酸化物微粒子が30重量部以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 環状オレフィン系重合体層が、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体を(共)重合して得られた重合体からなる、請求項1乃至2に記載の積層フィルム。
    Figure 2009029108
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;または酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含有していてもよい1価の基を表す。
    1とR2、またはR3とR4とが相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、あるいは、R1とR2、R3とR4、またはR2とR3とが相互に結合して単環または多環の炭素環または複素環を形成してもよい。xは0または1〜3の整数、yは0または1を表す。)
  4. 請求項1に記載の積層フィルムが、偏光膜に積層されてなることを特徴とする、偏光板。
  5. 請求項4に記載の偏光板を有することを特徴とする、タッチパネル。
  6. 車載用タッチパネルであることを特徴とする、請求項5に記載のタッチパネル。
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