JP2002238545A - クロレラの製造方法及びその製造方法によって得られた高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質、リン脂質または糖脂質、食品、食品添加物 - Google Patents

クロレラの製造方法及びその製造方法によって得られた高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質、リン脂質または糖脂質、食品、食品添加物

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JP2002238545A JP2001039090A JP2001039090A JP2002238545A JP 2002238545 A JP2002238545 A JP 2002238545A JP 2001039090 A JP2001039090 A JP 2001039090A JP 2001039090 A JP2001039090 A JP 2001039090A JP 2002238545 A JP2002238545 A JP 2002238545A
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fatty acid
food
fatty acids
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Isao Maruyama
功 丸山
Kuniaki Tanaka
邦明 田中
Sumiko Kido
澄子 城戸
Yotaro Ando
洋太郎 安藤
Masahiro Hayashi
雅弘 林
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KURORERA KOGYO KK
Chlorella Industry Co Ltd
Japan Science and Technology Agency
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KURORERA KOGYO KK
Chlorella Industry Co Ltd
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度不飽和脂肪酸を複合脂質の形態でより多
くクロレラ細胞内に蓄積させることができるクロレラの
製造方法及びその製造方法によって得られた高度不飽和
脂肪酸を含有する複合脂質、リン脂質または糖脂質、食
品、食品添加物を提供する。 【解決手段】 クロレラを製造するに当たり、高度不飽
和脂肪酸化合物を添加した培養液中で従属栄養的にクロ
レラを培養し、従属栄養的に培養したクロレラを光合成
によって培養する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロレラの製造方
法及びその製造方法によって得られた高度不飽和脂肪酸
を含有する複合脂質、リン脂質または糖脂質、食品、食
品添加物に関する。更に詳しくは、ドコサヘキサエン酸
やエイコサペンタエン酸等の高度不飽和脂肪酸を複合脂
質の形態でより多くクロレラ細胞内に蓄積させる(ある
いは取り込む、吸収させる)ことができるクロレラの製
造方法及びその製造方法によって得られた高度不飽和脂
肪酸を含有する複合脂質、リン脂質または糖脂質、食
品、食品添加物に関する。
【0002】
【従来技術】ドコサヘキサエン酸(以下、主にDHAと
いう)やエイコサペンタエン酸(以下、主にEPAとい
う)などの高度不飽和脂肪酸は、グリーンランドエスキ
モー人の疫学的調査によって動脈硬化の進行を抑える働
きがあることが報告されて以来、その生理活性について
の研究が進み、食品や医薬品としての摂取に世界的な関
心が集まっている。
【0003】高度不飽和脂肪酸は、主に魚油などから精
製されるため、通常は中性脂質の形態となっている。し
かしながら、近年の高度不飽和脂肪酸化合物の研究によ
り、中性脂質の形態よりも、リン脂質や糖脂質などの複
合脂質の形態の方が生理活性が高いことが実証されてい
る。
【0004】例えば「食品と開発」(VOL.34,NO.8,P4
1-43,1999,健康産業新聞社発行)には、中性脂質形態
の高度不飽和脂肪酸を含む魚油に比べ、イカの外套膜か
ら抽出したリン脂質形態の高度不飽和脂肪酸や、魚油を
与えた鶏で生産した卵黄から抽出したリン脂質形態の高
度不飽和脂肪酸の方が、脳卒中自然発症高血圧ラットを
長生きさせる効果が高いことが報告されている。そし
て、文献には「体内で直接作用するリン脂質の形態で高
度不飽和脂肪酸を補給することが、脳卒中等の疾患の改
善及び予防につながる。」と記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イカの
外套膜は海産物であるイカから採取するため、常に安定
して入手できるとは限らず、工業的な生産に向かないと
いう難点があり、また鶏卵からリン脂質形態の高度不飽
和脂肪酸を抽出することも、生産効率の面から工業的な
生産には不向きである。
【0006】ところで、本発明者らは、高度不飽和脂肪
酸を添加した培養液中でクロレラを培養することによ
り、細胞中に高度不飽和脂肪酸を吸収させて強化したク
ロレラの製造方法を提案し(特許公報第3096654
号)、工業的な実用化に成功している。
【0007】そこで、本発明者らは、クロレラに吸収さ
せた高度不飽和脂肪酸がどのような形態で存在している
のかを確認するため、通常、工業的な生産で採用されて
いる従属栄養的培養によって高度不飽和脂肪酸を強化し
たクロレラを分析した。その結果、高度不飽和脂肪酸
は、生理活性が高いとされている複合脂質の形態ではな
く、主に中性脂質の形態で細胞内に取り込まれているこ
とが明らかとなった。
【0008】したがって、本発明者らは、中性脂質の形
態ではなく複合脂質の形態で高度不飽和脂肪酸をより多
くクロレラに吸収させれば、生理活性が高い高付加価値
のクロレラを生産できるのではないかと考えた。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、高度不飽和脂肪酸が複合脂質の形態でより多く吸
収されたクロレラを得るべく鋭意研究を進めた結果、本
発明者らは、従属栄養的な培養を行った後に、引き続き
光合成による培養を行うことが極めて有効な手段である
ことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】そこで、本発明の目的は、高度不飽和脂肪
酸を複合脂質の形態でより多くクロレラ細胞内に蓄積さ
せる(あるいは取り込む、吸収させる)ことができるク
ロレラの製造方法及びその製造方法によって得られた高
度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質、リン脂質または糖
脂質、食品、食品添加物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明
にあっては、高度不飽和脂肪酸化合物を添加した培養液
中で従属栄養的にクロレラを培養する工程と、従属栄養
的に培養した上記クロレラを光合成によって培養する工
程と、を含むことを特徴とする、クロレラの製造方法で
ある。
【0012】第2の発明にあっては、第1の発明に係る
方法で得られたクロレラから抽出したことを特徴とす
る、高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質である。
【0013】第3の発明にあっては、第1の発明に係る
方法で得られたクロレラから高度不飽和脂肪酸を含有す
る複合脂質を抽出し、当該複合脂質から分離精製したこ
とを特徴とする、リン脂質または糖脂質である。
【0014】第4の発明にあっては、第1の発明に係る
方法で得られたクロレラを含有することを特徴とする、
食品である。
【0015】第5の発明にあっては、第1の発明に係る
方法で得られたクロレラを含有することを特徴とする、
食品添加物である。
【0016】
【発明の実施の形態】高度不飽和脂肪酸とは、炭素原子
数20以上で、不飽和結合を1個以上有する脂肪酸をい
い、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサ
ペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、
アラキドン酸(ARA)等を挙げることができるが、特に
これらに限定するものではない。
【0017】脂肪酸の由来に特に制限はなく、例えば魚
介類の油脂、牛脂、オリーブ油、米糠油等を用いること
ができるが、特にこれらに限定するものではない。
【0018】高度不飽和脂肪酸化合物には、遊離の形
態、アルキルエステルの形態、塩の形態が含まれる。遊
離の形態の脂肪酸とは、飽和または不飽和の直鎖状また
は側鎖状の脂肪酸をいう。アルキルエステルの形態の脂
肪酸とは、上記遊離の脂肪酸とアルカノールとのエステ
ルをいう。エステルを形成することのできるアルカノー
ルとしては、例えば一価アルカノールのメタノール、エ
タノール等が挙げられる。塩の形態の脂肪酸とは、上記
遊離の脂肪酸の塩をいい、ナトリウム、カリウム等のよ
うなアルカリ金属、バリウム、カルシウム等のようなア
ルカリ土類金属の塩が含まれる。
【0019】使用するクロレラは、クロレラ属に属する
ものであれば、特に制限はない。クロレラの例として、
クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ
・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・
サッカロフィラ(Chlorella saccharophila)、クロレラ
・レギュラリス(Chlorella regularis)、クロレラ・ソ
ロキニアーナ(Chlorella sorokiniana)等が挙げられ
る。これらクロレラは、当業者が容易に入手することが
できる。例えば、東京大学IAMカルチャーコレクショ
ンから入手することができる。
【0020】本発明に係るクロレラの製造方法では、高
度不飽和脂肪酸化合物を添加した培養液中で、クロレラ
を従属栄養的に培養した後、引き続きクロレラを光合成
によって培養する。
【0021】(クロレラの従属栄養培養)従属栄養培養
時に使用する培養装置としては、クロレラを培養できる
装置で有れば制限はなく、培養スケールに応じて既知の
ものを用いることができる。例えば、小規模の培養に
は、小型ジャーファメンター、坂口フラスコ、振盪フラ
スコなどを用いることができる。大規模の培養(工業的
な大量培養)には、大型ジャーファメンターなどを用い
ることができる。
【0022】クロレラの培養に用いる培地としては、ク
ロレラが培養され得るものであれば特に制限されない。
培養には有機炭素の添加が必須であり、一般にはグルコ
ースや酢酸などが用いられるが、クロレラが利用できる
有機物であればその種類を問わず利用することができ
る。その他の培地成分として窒素、リン、カリウム、マ
グネシウムなどの多種類の元素が必要であるが、これら
もクロレラを培養できるものであれば制限はなく、例え
ばブリストール培地やソロキン・クラウス培地(「藻類
実験法」、田宮博、渡辺篤編集、南江堂、68〜104頁)
などを用いることができる。
【0023】培養温度は、特に制限しないが、一般には
20〜40℃で行われる。
【0024】従属栄養的な培養時に、照射装置によって
光を照射することも可能である。
【0025】脂肪酸をクロレラ培養液に添加する時期
は、脂肪酸の存在下にクロレラを培養できれば、特に制
限はなく、予め培養液に添加しておきクロレラを培養す
ることもできるし、培養の途中で添加することもでき、
また培養終了後の藻体に添加して再培養を行うこともで
きる。しかしながら、脂肪酸化合物を効率的に蓄積で
き、培養に要する作業を低減し、培養時間を短縮する観
点から、培養後期、具体的には、対数増殖期後半から対
数増殖期終了時に添加することが望ましい。
【0026】脂肪酸の添加量は、クロレラが取り込み得
る量であれば特に制限はないが、添加量が少なすぎると
取り込む効果が低くなり、添加量が多すぎると添加した
脂肪酸化合物の利用率が低下するので好ましくない。具
体的には、培養液中に存在するクロレラ藻体量に応じて
脂肪酸を調整するのが好ましく、実用的な範囲として
は、培養液のクロレラ藻体濃度が10g(乾燥重量)/Lの
とき、脂肪酸が0.05〜5g/Lである。
【0027】(クロレラの光合成培養)光合成培養の方
法としては、例えばプール(屋外培養池)を用いて太陽
光を利用する方法、透明な培養装置を用いて人工光を利
用する方法、培養槽内に光ファイバー等を設置して光を
照射する方法等を挙げることができるが、特にこれらに
限定するものではない。しかしながら、工業的な大量培
養の観点からプール(屋外培養池)を用いる方法が望ま
しい。
【0028】培地成分として窒素、リン、カリウム、マ
グネシウムなどの多種類の元素が必要であるが、これら
はクロレラを培養できるものであれば制限はなく、例え
ばブリストール培地や上記したソロキン・クラウス培地
などを用いることができる。
【0029】光合成培養のためには、二酸化炭素が必要
となる。空気からの二酸化炭素の溶解を期待することも
できるが、高い効果を得るためには人為的に二酸化炭素
を供給することが望ましい。使用できる二酸化炭素源の
種類は問わないが、例えば炭酸ガス、炭酸水素ナトリウ
ム、酢酸などを挙げることができる。炭酸水素ナトリウ
ムは、培養液のpHの上昇に伴って炭酸ガスを放出す
る。酢酸は、有機炭素としてクロレラに利用されるとき
に大量の炭酸ガスを放出する。
【0030】培養温度は、特に制限はなく、屋外大量培
養プールでは制御することも困難であるが、一般には10
〜30℃の範囲が望ましい。培養期間が長期になるとクロ
レラに強化した高度不飽和脂肪酸の含有量が減少するた
め、適当な光合成培養の培養時間は10時間〜数日間程度
であり、培養方法や培養温度によって培養時間を調整す
ることが好ましい。
【0031】また、クロレラから脂質を抽出し、更に精
製することによって、クロレラ由来の抽出脂質、精製複
合脂質、精製糖脂質、精製リン脂質などとして食品や医
薬品への利用も可能である。
【0032】培養を終了したクロレラは、例えば遠心分
離などで収穫し、噴霧乾燥や凍結乾燥などによって粉末
とすることができる。得られたクロレラ粉末は、そのま
ま食品として利用でき、油脂を添加しにくい食品に高度
不飽和脂肪酸を強化できる食品添加物として利用でき、
動物や魚類用の飼料添加物、ワムシ等の動物性プランク
トン用餌料及び動物性プランクトン用餌料添加物として
利用することができる。また、クロレラを粉体に加工せ
ずに生のままでワムシ等の動物性プランクトン用餌料や
動物性プランクトン用餌料添加物として利用することも
できる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】[実施例1] 小型ジャーファメンターと
扁平フラスコを用いた実験室レベルでのクロレラの培養 (従属栄養培養)まず、容量が2Lのジャーファメンター
を用いて、クロレラ(Chlorella vulgaris C-30,
東大IAMより入手)の従属栄養的な培養を行った。培地
は、水道水1L当たり、グルコース20g、尿素1.5g、リン
酸一カリウム1.2g、硫酸マグネシウム0.6g、EDTA-Na-Fe
0.015g、微量金属 A溶液2ミリリットル(以下、ミリ
リットルを「mL」と表記し、リットルを「L」と表記す
る)を添加したものを用いた。培養は、上記培養液1L中
にクロレラ2×1010細胞を加え、温度30℃において通気
攪拌培養を行った。
【0035】高度不飽和脂肪酸として、DHA及びDP
Aを濃縮した遊離形態の脂肪酸(総脂肪酸に占めるDH
Aの割合が60重量%、同じくDPAの割合が20重量%)
を用いた。クロレラの対数増殖期後期に、上記した高度
不飽和脂肪酸を培養液1L当たり1.1mL添加し、更に24時
間の培養を行った。培養を終了したクロレラは、遠心分
離によって濃縮、水洗いした。そして、水洗いしたクロ
レラの一部を凍結乾燥し、脂肪酸分析を行った。
【0036】脂肪酸分析は、全脂質をクロロホルム・メ
タノール混液で抽出後、粗抽出液をケン化し、酸性に
し、脂肪酸を回収した。更に脂肪酸をメチルエステル化
し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製)により分
析した。これについては、後述する脂肪酸分析について
同様である。
【0037】(光合成培養)上記した従属栄養的な培養
を終え、遠心分離によって濃縮、水洗いしたクロレラ
を、容量が2.5Lの扁平フラスコを用いて、引き続き光合
成により培養した。
【0038】培地は、水道水1L当たり、尿素3.0g、リン
酸一カリウム2.4g、硫酸マグネシウム1.2g、EDTA-Na-Fe
0.03g、微量金属 A溶液4mLを添加したものを用い
た。
【0039】培養は、上記培養液1L中にジャーファメン
ター培養終了時のクロレラ懸濁液1Lを加え、白色蛍光灯
にて約10000ルクスの照射を行い、30℃、2%の炭酸ガス
を含む空気を通気して10時間の培養を行った。光合成に
よる培養を終了したクロレラは、遠心分離によって濃
縮、水洗いした後、凍結乾燥し、脂肪酸分析を行った。
【0040】以下の表1に、従属栄養的な培養後のクロ
レラの脂肪酸を分析した結果と、光合成による培養後の
クロレラの脂肪酸を分析した結果を示す。
【0041】
【表1】
【0042】上記表1の結果から明らかなように、従属
栄養的な培養の終了時では、3.2重量%であった複合脂
質中のDHAの含量が、光合成による培養を行うことに
よって14.6重量%と、4倍以上に増加した。また、同様
にDPAについても、従属栄養的な培養の終了時では0.
6重量%であったものが、光合成による培養を行うこと
によって、2.9重量%と4倍以上に増加した。
【0043】この理由は定かではないが、従属栄養的な
培養後に光合成による培養を行うことによって、クロレ
ラ細胞に取り込まれた高度不飽和脂肪酸は従属栄養培養
時に中性脂質に変換され、その後の光合成培養時に光合
成によるクロレラの代謝能によって複合脂質に効率良く
移行したものではないかと思われる。
【0044】[実施例2] 大型ジャーファメンターと屋
外プールを用いたクロレラの大量培養 (従属栄養培養)まず、容量が12000Lのジャーファメン
ターを用いて、クロレラ(Chlorella vulgaris C-30,
東大IAMより入手)の従属栄養培養を行った。培地は、
水道水1L当たり、グルコース20g、尿素1.5g、リン酸一
カリウム1.2g、硫酸マグネシウム0.6、EDTA-Na-Fe 0.01
5g/L、微量金属 A溶液2mL/Lを添加したものを用い
た。培養は、上記培養液8000L中にクロレラ16×1013
細胞を加え、温度30℃において通気攪拌培養を行った。
【0045】高度不飽和脂肪酸として、DHA及びDP
Aを濃縮した遊離形態の脂肪酸(総脂肪酸に占めるDH
Aの割合が60重量%、同じくDPAの割合が20重量%)
を用いた。クロレラの対数増殖期後期に、上記した高度
不飽和脂肪酸を培養液1L当たり0.5mL添加し、更に24時
間の培養を行った。培養を終了したクロレラは、遠心分
離によって濃縮、水洗いした。そして、水洗いしたクロ
レラの一部を凍結乾燥し、脂肪酸分析を行った。
【0046】(光合成培養)上記した従属栄養培養を終
え、遠心分離によって濃縮、水洗いしたクロレラを、屋
外培養プールを用いて、引き続き光合成により培養し
た。
【0047】培地は、水道水1L当たり、尿素1.5g、リン
酸一カリウム1.2g、硫酸マグネシウム0.6g、EDTA-Na-Fe
0.015g、微量金属 A5溶液2mLを添加したものを用い
た。
【0048】培養は、屋外培養プール(直径20m、培養
液深10cm、培養液量30000L)において、ジャーファメン
ターで培養したクロレラ全量を加え、太陽光による照射
の下、日中のみpHの上昇に合わせて酢酸を添加して行
った。培養温度は18〜27℃であった。培養1日目及び培
養2日目終了時のクロレラを遠心分離によって濃縮、水
洗いした後、凍結乾燥し、脂肪酸分析を行った。
【0049】以下の表2に、従属栄養的な培養後のクロ
レラの脂肪酸を分析した結果と、光合成による培養後の
クロレラの脂肪酸を分析した結果を示す。
【0050】
【表2】
【0051】上記表2の結果から明らかなように、従属
栄養的な培養の終了時では、3.3重量%であった複合脂
質中のDHAの含量が、光合成による培養の終了時で
は、14.6重量%と、4倍以上に増加した。また、同様に
DPAについても、従属栄養的な培養の終了時では0.7
重量%であったものが、光合成による培養を行うことに
よって、2.9重量%と4倍以上に増加した。
【0052】なお、本明細書で使用している用語と表現
はあくまで説明上のものであって、限定的なものではな
く、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するもの
ではない。
【0053】
【発明の効果】(a)本発明に係るクロレラの製造方法
によれば、高度不飽和脂肪酸化合物を添加した培養液中
で従属栄養的にクロレラを培養した後、次いで光合成に
よって培養することにより、高度不飽和脂肪酸を複合脂
質の形態でより多くクロレラ細胞内に蓄積させたクロレ
ラを製造することができる。
【0054】(b)本発明に係るクロレラの製造方法に
よって得られたクロレラから高度不飽和脂肪酸を含有す
る複合脂質を抽出し、更に精製することによって、クロ
レラ由来の抽出脂質、精製複合脂質、精製糖脂質、精製
リン脂質などとして食品や医薬品への利用が可能であ
る。
【0055】(c)本発明に係るクロレラの製造方法に
よって得られたクロレラを食品または食品添加物として
用いることにより、高度不飽和脂肪酸を高濃度に摂取す
ることができる。更にクロレラは、それ自体がクロレラ
エキス、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、
葉緑素等の有効性分を含有しているので、これら有効性
分を同時に摂取することもできる。
【0056】(d)本発明に係るクロレラの製造方法に
よって得られたクロレラを食品添加物として用いると、
油脂を添加しにくい食品に対しても高濃度に高度不飽和
脂肪酸を添加することができ、更に添加される食品に緑
の色付けを行うこともできる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 19/44 C12P 19/44 //(C12N 1/12 (C12N 1/12 A C12R 1:89) C12R 1:89) (C12P 9/00 (C12P 9/00 C12R 1:89) C12R 1:89) (C12P 19/44 (C12P 19/44 C12R 1:89) C12R 1:89) (72)発明者 城戸 澄子 福岡県筑後市熊野1053−3 (72)発明者 安藤 洋太郎 愛知県春日井市下屋敷町61 (72)発明者 林 雅弘 宮崎県宮崎郡佐土原町下田島9246−9 Fターム(参考) 4B018 LB10 MD11 MD12 MD14 MD42 MD45 MD89 ME04 ME14 MF01 MF14 4B064 AE63 AF41 CA08 CC03 CC04 CC30 CD05 CD07 DA06 DA10 4B065 AA84X BB08 BB09 BC13 BC50 CA14 CA19 CA41 CA44 4H059 BA35 BA83 BB04 BB05 BB06 BB15 BB22 BB45 CA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高度不飽和脂肪酸化合物を添加した培養
    液中で従属栄養的にクロレラを培養する工程と、 従属栄養的に培養した上記クロレラを光合成によって培
    養する工程と、を含むことを特徴とする、 クロレラの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で得られたクロレラ
    から抽出したことを特徴とする、 高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法で得られたクロレラ
    から高度不飽和脂肪酸を含有する複合脂質を抽出し、当
    該複合脂質から分離精製したことを特徴とする、 リン脂質または糖脂質。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法で得られたクロレラ
    を含有することを特徴とする、 食品。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法で得られたクロレラ
    を含有することを特徴とする、 食品添加物。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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