JPH11290094A - アスタキサンチン脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

アスタキサンチン脂肪酸エステルの製造方法

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JPH11290094A
JPH11290094A JP9343998A JP9343998A JPH11290094A JP H11290094 A JPH11290094 A JP H11290094A JP 9343998 A JP9343998 A JP 9343998A JP 9343998 A JP9343998 A JP 9343998A JP H11290094 A JPH11290094 A JP H11290094A
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fatty acid
lipase
acid ester
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Yukihisa Tanaka
幸久 田中
Hidehiko Hibino
英彦 日比野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アスタキサンチン脂肪酸ジエステルの製造方法
の提供。 【解決手段】アスタキサンチンと脂肪酸を用いてエステ
ル化反応を行うに際して、リパーゼを用いることを特徴
とするアスタキサンチン脂肪酸をジエステルの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アスタキサンチン
脂肪酸モノエステルまたはアスタキサンチン脂肪酸ジエ
ステルの製造方法に関する。更に詳細には遊離アスタキ
サンチンまたはアスタキサンチン脂肪酸モノエステルと
脂肪酸とを用いてエステル化を行うに際して、リパーゼ
を用いて製造することを特徴とするアスタキサンチン脂
肪酸モノエステルまたはアスタキサンチン脂肪酸ジエス
テルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アスタキサンチンは一般には次式[1]
【0003】
【化1】
【0004】で示される色素である。アスタキサンチン
は食品や医薬品・化粧料(特開平8−245335号公
報)及びマダイ、サケ、マス、ハマチなどの養殖魚の色
揚げ剤(特開昭49−79895号公報、特開昭57−
58860号公報、特開平4−349856号公報)な
どに使用することが開示されている。最近、アスタキサ
ンチンには、酸化防止機能(特開平2−49091号公
報)、活性酸素フリーラジカルの消去作用(特開平6−
145062号公報)、抗腫瘍効果(Carcinog
esis,第15巻,第15頁,1994年)、抗スト
レス(特開平9−124470号公報)などの機能があ
ることが報告されている。これらアスタキサンチンは、
オキアミ、エビ、カニなどの甲殻類やイクラなどの魚卵
及び酵母や藻類あるいは遺伝子組み替え微生物(バイオ
サイエンスとインダストリー、第53巻,第1036
頁,1995年)などの体内に蓄積している。アスタキ
サンチンの製造方法としては甲殻類の殻より溶剤を用い
て抽出する方法(特開昭58−88353号公報、特開
平9−301950号公報)、オキアミ油から超臨界状
態で抽出する方法(特開昭60−35057号公報、特
開昭60−4558号公報、特開平6−200179号
公報)およびファフィア酵母などから溶剤抽出する方法
(月刊フードケミカル1994年(11月号),第63
頁,1994年、食品工業1994年.(12月号)第
30頁,第47頁、特開平8−283号公報)などが知
られている。また、アスタキサンチンの化学的な合成法
は、特開昭52−68157号公報、特開昭55−38
8号公報、特開平5−65290号公報などに開示され
ている。
【0005】生物中に蓄積されたアスタキサンチンは脂
肪酸が結合していない遊離アスタキサンチンあるいは1
分子の脂肪酸がエステル結合しているアスタキサンチン
脂肪酸モノエステル、2分子の脂肪酸が結合しているア
スタキサンチン脂肪酸ジエステルとして存在している。
例えば、オキアミやアメリカザリガニには遊離及びアス
タキサンチンの脂肪酸ジまたはモノエステルが、またフ
ァフィアやヘマトコッカスなど微生物の産生するアスタ
キサンチンは、そのほとんどが遊離アスタキサンチンで
ある(食品と開発第27巻(No.3),第38頁,1
992年)。アスタキサンチンの酸素や熱・光に対する
安定性はアスタキサンチン脂肪酸ジまたはモノエステル
の方が遊離アスタキサンチンに比べて安定である。腸管
における吸収効率はアスタキサンチン脂肪酸ジまたはモ
ノエステルの方が遊離アスタキサンチンよりも優れてい
る{食品と開発第27巻(No.3),第38頁,19
92年}。一重項酸素の消去能やフリーラジカル及び活
性酸素の捕捉・消去活性は遊離アスタキサンチンのみで
発現し、アスタキサンチン脂肪酸ジエステルにこの効果
はない{Food Style21.第1巻,第73
頁,1997年}。しかしながらアスタキサンチン脂肪
酸ジまたはモノエステルは腸管吸収時に酵素によって加
水分解され、体内で遊離アスタキサンチンとなり、一重
項酸素の消去や活性酸素の捕捉・消去効果が発揮される
{食品と開発,第27巻(No.3),第38頁,19
92年}。油脂への溶解性は、エステル型の方が優れて
いる。遊離アスタキサンチンが50ppm程度しか溶け
ないのに対して、エステル型のアスタキサンチンは10
0ppm程度でも容易に溶けるので食品、医薬品への用
途展開が広がる。このため、アスタキサンチンの持つ生
体内での抗酸化効果を期待してアスタキサンチン脂肪酸
ジエステルを経口摂取することには何ら問題はないと考
えられている。
【0006】アスタキサンチン脂肪酸ジエステルは、前
記のように有用であり、しかも安定性が高く吸収効率が
良く、医薬品や食品の分野で応用が期待できるが、その
製造法についての報告は少ない。天然資源から分画して
アスタキサンチンの脂肪酸エステルを製造する方法とし
て例えば、オキアミの抽出物から高速液体クロマトグラ
フィー(以下HPLCと略す。)を用いて分画すること
が知られているが(特開平7−300421号公報)、
この場合オキアミ由来の臭気を除くことはできず、前記
アスタキサンチン脂肪酸エステルは、食品、医薬品、化
粧品の原料としては好ましくない。HPLCで分画され
たアスタキサンチン脂肪酸ジエステルを水蒸気蒸留する
方法や活性炭・活性白土など吸着剤を用いる既知の脱臭
方法を行った場合には、アスタキサンチンは分解あるい
は吸着され、その含有率は著しく減少し、効果を十分発
揮できない。微生物由来のアスタキサンチンを抽出する
際には、微生物の細胞壁を破砕する必要があるために、
アスタキサンチンの抽出効率が悪い問題がある。また、
含有されるアスタキサンチンもそのほとんどが遊離アス
タキサンチンであり、アスタキサンチン脂肪酸ジまたは
モノエステルを得るには適当な原料ではない。また、遊
離アスタキサンチンの化学合成法についての報告は数多
くなされているが、アスタキサンチン脂肪酸ジまたはモ
ノエステルの化学的な合成法についての報告はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、医薬
品や食品の分野で応用が期待でき、しかも安定で吸収効
率が高い脂肪酸ジエステル型アスタキサンチンを効率的
に合成する方法を提供するものである。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み、アスタキサンチン脂肪酸ジエステルの合成
方法を鋭意検討した結果、脂肪酸と遊離アスタキサンチ
ンあるいはアスタキサンチン脂肪酸モノエステルと脂肪
酸とからアスタキサンチン脂肪酸ジエステルを合成する
に際して、酵素であるリパーゼを用いると収率よく合成
できる知見を得て、本発明を完成するに至った。即ち本
発明は、次の(1)〜(6)である。 (1)アスタキサンチンと脂肪酸を用いてエステル化反
応を行うに際してリパーゼを用いることを特徴とするア
スタキサンチン脂肪酸モノエステルまたはアスタキサン
チン脂肪酸ジエステルの製造方法。 (2)脂肪酸が炭素数14〜22の直鎖または分岐の飽
和もしくは不飽和の脂肪酸である前記のアスタキサンチ
ン脂肪酸モノエステルまたはアスタキサンチン脂肪酸ジ
エステルの製造方法。 (3)リパーゼがカンジダ属の微生物由来のリパーゼ、
クロモバクテリウム属の微生物由来のリパーゼ、動物の
膵臓由来のリパーゼから選ばれる1種以上を用いる前記
のアスタキサンチン脂肪酸モノエステルまたはアスタキ
サンチン脂肪酸ジエステルの製造方法。 (4)アスタキサンチンの脂肪酸モノエステルと脂肪酸
を用いてエステル化反応を行うに際してリパーゼを用い
ることを特徴とするアスタキサンチン脂肪酸ジエステル
の製造方法。 (5)アスタキサンチンの脂肪酸モノエステルと脂肪酸
を用いてエステル化反応を行うに際して、脂肪酸が炭素
数14〜22の直鎖または分岐の飽和もしくは不飽和の
脂肪酸である前記のアスタキサンチン脂肪酸ジエステル
の製造方法。 (6)アスタキサンチンの脂肪酸モノエステルと脂肪酸
を用いてエステル化反応を行うに際して、リパーゼがカ
ンジダ属の微生物由来のリパーゼ、クロモバクテリウム
属の微生物由来のリパーゼ、動物の膵臓由来のリパーゼ
から選ばれる1種以上を用いる前記のアスタキサンチン
脂肪酸ジエステルの製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いる原料のアスタキサ
ンチンは、遊離アスタキサンチンやアスタキサンチン脂
肪酸モノエステルであり、単品でもあるいは両者の混合
物であってもよい。遊離アスタキサンチンは化学合成に
よって得られたものでも、前記のように抽出等により得
られる天然物を用いてもよい。天然物のアスタキサンチ
ンとしては、遊離アスタキサンチンあるいはアスタキサ
ンチン脂肪酸モノエステルはファフィアやヘマトコッカ
スなど微生物が産生した油脂由来のアスタキサンチン、
さらには、エビ、カニ殻、オキアミなど甲殻類あるいは
魚卵などから抽出分画されたアスタキサンチン類などが
挙げられる。また、前述の微生物や甲殻類などから生産
された遊離、脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステルの
各アスタキサンチンが混在したものを用いることができ
る。
【0010】本発明で用いる原料の脂肪酸は、炭素数が
14〜22の直鎖または分岐の飽和あるいは不飽和脂肪
酸が好ましい。具体的には例えば、パルミチン酸、イソ
パミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレ
イン酸、バクセン酸、エライジン酸、リノール酸、α−
リノレン酸、γ−リノレン酸(γ−LN)、共役リノー
ル酸(CLA)、ビスホモ−γ−リノレン酸、アラキド
ン酸(AA)、イコサペンタエン酸(EPA)、ドコサ
ペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DH
A)などから選ばれる脂肪酸または2種以上の混合脂肪
酸が挙げられる。さらに、ハエカビ類(Entomop
hthoracea属)、海洋微細藻類(Isochr
ysis属)、ケカビ類(Mortierella属)
などの微生物油;オリーブ油、菜種油、紅花油、ヒマワ
リ油、トウモロコシ油などの植物油;イワシ油、カツオ
油、マグロ油、鯨油、イカ肝油、タラ肝油、サメ肝油、
魚卵油など海産動物油;あるいは卵黄油から精製濃縮し
て得られる混合脂肪酸や精製した脂肪酸を用いることが
できる。
【0011】本発明で用いるリパーゼは、カンジダ属の
微生物由来のリパーゼ{Candida cyndra
cea由来のリパーゼ(名糖産業(株)商品名:リパー
ゼOF)、Candida Antaretica由来
のリパーゼ(ノボインダストリー(株)商品名:リパー
ゼSP382)}、クロモバクテリウム属の微生物由来
のリパーゼ{Chromobacterium vis
cosum由来のリパーゼ、旭化成工業(株)商品名:
リパーゼAC}、動物の膵臓由来のリパーゼ等のリパー
ゼが好ましく挙げらる。微生物由来のリパーゼとして
は、前記の他に、糸状菌(Aspergillus n
iger)由来あるいはシュードモナス属(Pseud
omonas属)のリパーゼが挙げられる。また動物の
膵臓由来のリパーゼとしては、豚膵臓由来のアルドリッ
チ社製の市販品を挙げることができる。これらのリパー
ゼから選ばれる一種、あるいは二種以上のリパーゼを用
いてもよい。
【0012】本発明で用いるリパーゼは、粉末あるいは
担体に固定化した固定化リパーゼが用いることができ
る。リパーゼの固定化方法は公知の方法によって行わ
れ、固定化担体としてシリカゲル、セライト、к−カラ
ギナン、キチン、アルギン酸ナトリウムなど公知の担体
{バイオリアクター 福井三郎監修・編 講談社サイエ
ンティフィック(1985年)、実践バイオリアクタ
ー,食品産業バイオリアクターシステム技術研究組合編
食品化学新聞社(1990年)}が用いられる。
【0013】本発明で用いるアスタキサンチンと脂肪酸
のモル比は、遊離アスタキサンチンに対して2(〜20
倍モルの脂肪酸であり、好ましくは5〜10倍モルであ
る。2倍モルより少ない場合は高いアスタキサンチン脂
肪酸ジエステルの含量得られず、20倍モルより多くし
ても著しい効果の向上は期待できないので好ましくな
い。
【0014】本発明で用いるリパーゼの量は、アスタキ
サンチンに対して100u(=単位)/mmol〜50
00u/mmol、好ましくは500〜3000u/m
molであり、100u/mmolより少ないと、アス
タキサンチン脂肪酸ジエステルを高収率で得られず、5
000u/mmolより多く使用しても著しい効果の向
上は期待できないので好ましくない。
【0015】本発明のエステル化の反応温度は、20〜
50℃が好ましく挙げられる。本来酵素反応において
は、それぞれの酵素リパーゼの持つ至適温度や至適pH
等の条件において行うことが好ましい。しかしながら、
反応温度が50℃より高いと反応に用いる原料の遊離ア
スタキサンチンの劣化が促進されるので好ましくない。
また、反応温度が20℃より低いとリパーゼの活性が落
ち、反応速度が遅くなるために好ましくない。
【0016】本発明では反応時に有機溶媒を用いても差
し支えない。反応時のリパーゼの安定性から無極性溶媒
が好ましい。具体的には例えば、n−ヘキサン、ベンゼ
ン、四塩化炭素などが挙げられる。これらの溶媒を用い
ることができるが、毒性など安全性の面からn−ヘキサ
ンが好ましく挙げられる。特にパルミチン酸やステアリ
ン酸など融点が高い飽和脂肪酸を反応に用いる場合には
有効である。
【0017】本発明で行う酵素反応の反応時間は12時
間から48時間が望ましい。反応時間が12時間より短
いと反応が充分進まず、また、反応時間が48時間を超
えても著しい純度の向上したアスタキサンチン脂肪酸ジ
エステルを得ることはできないので好ましくない。本発
明では脂肪酸及びアスタキサンチンの酸化劣化反応を防
ぐために窒素やアルゴンなど不活性ガス気流下で行うこ
とも好ましく挙げられる。
【0018】本発明における反応は可逆的平衡反応のた
めに、反応の進行に伴って生成する水分が反応を妨げる
要因になる。本発明においては反応時における水分含量
は200ppm〜1000ppmが望ましい。水分含量
が1000ppmより多いと反応の中心が合成反応から
分解反応に移り、アスタキサンチン脂肪酸ジエステルの
純度は低くなり好ましくない。水分含量が200ppm
より少ないとリパーゼが安定に存在するために持ってい
る水和水までも除去することになり、リパーゼが不活性
化してしまうので好ましくない。この副生する水を除去
するために、有機溶剤を用いない場合には不活性ガスで
バブリングあるいは真空によって蒸散せしめるか、ある
いは有機溶媒を用いる場合にはモレキュラシーブスなど
で吸着除去することなどを行うことが好ましい。
【0019】
【発明の効果】本発明のアスタキサンチン脂肪酸エステ
ルの製造方法は、リパーゼを用いるので温和な条件下で
反応することができ、原料のアスタキサンチンの分解な
どを引き起こすことなく高い収率でアスタキサンチンの
脂肪酸エステルを製造することができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説
明する。次に用いた測定方法を示した。 <担体なしのリパーゼ活性の測定方法>リパーゼのエス
テル合成活性は次の方法により定めた。オレイン酸{純
度99%:日本油脂(株)製エキストラオレイン}1m
ol及び水分含量10%のグリセリン1molの混液に
100μLの酵素水溶液を添加し、37℃で500rp
mで10分間かき混ぜた時のオレイン酸の減少量より算
出した。1分間に1μmolのオレイン酸を消費する活
性を1u(=単位)とした。 <固定化リパーゼ活性の測定方法>リパーゼのエステル
合成活性は次の方法により定めた。オレイン酸{純度9
9%:日本油脂(株)製エキストラオレイン}1mol
及び水分含量10%のグリセリン1molの混液に10
mlのn−ヘキサンに溶解し、ここに1gの固定化リパ
ーゼを添加し、37℃で500rpmで10分間かき混
ぜた時のオレイン酸の減少量より算出した。1分間に1
μmolのオレイン酸を消費する活性を1u(=単位)
とした。 <アスタキサンチンの分析方法>アスタキサンチンの含
量の分析は高速液体クロマトグラフィーを用い以下に示
す条件で行った。 機種;高速液体クロマトグラフィー{以下、HPLCと
略す、Cica−Merck社製のHibar col
umn Lihrosorb Si 60のカラムを
装着した東ソー(株)社製、8020システム}、 移動相;n−ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=50:5
0:1(v:v:v) 流量;2ml/min 検出方法;紫外可視吸収スペクトル492nm。 前記の条件において分析した結果、アスタキサンチン脂
肪酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステ
ル、遊離アスタキサンチンはそれぞれ保持時間2.3,
3.9および5.2分付近に検出される。この3種類の
アスタキサンチンのピーク面積の合計を100重量%と
して、それぞれのピーク面積比をアスタキサンチン脂肪
酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステルお
よび遊離アスタキサンチンのそれぞれの組成比(重量
%)として算出した。次に実施例に用いた酵素リパーゼ
のエステル合成活性を表1に示した。
【0021】
【表1】 注;担体のあるもの、およびないものも示した。 担体のあるものは次の方法により固定化リパーゼを作成
した。 <セライトに固定化リパーゼ>前記の方法で測定して合
成活性が1000uに相当する重量のリパーゼを20m
lの精製水に溶解した。このリパーゼ水溶液を100g
のセライト535(関東化学(株)社製)と混和して固
定化を行った。固定化後リパーゼ水溶液とセライトの混
和物を2日間25℃で風乾した後、8時間真空乾燥して
固定化リパーゼとした。 <キトパールによる固定化リパーゼ>50g(湿重量)
のキトパールを400mlの12%グルタルアルデヒド
に懸濁し、0℃で60分間かき混ぜた。十分な精製水で
グルタルアルデヒドを洗浄除去した後、前記の方法で測
定した合成活性が1000uに相当する重量のリパーゼ
を100mlの精製水に溶解したリパーゼ水溶液を混和
して37℃、30分間かき混ぜて固定化を行った。固定
化後リパーゼの混和物を2日間25℃で風乾した後、8
時間真空乾燥して固定化リパーゼとした。
【0022】実施例1 遊離アスタキサンチン(ロッシュ社)0.12g(0.
2mmol)及び遊離脂肪酸としてオレイン酸0.28
2g(1.0mmol)を反応用ガラス瓶にとった。こ
こにカンジダ属由来のリパーゼOFを500uを加え、
かき混ぜながら反応した。24,48時間反応した後に
この溶液をとり、HPLCによってアスタキサンチンの
組成比を分析した。結果を表2に示した。
【0023】実施例2−8 表2および表3に示したように、遊離アスタキサンチン
の添加量及び遊離脂肪酸の種類、添加量、使用したリパ
ーゼの種類及び量、固定化の有無、溶剤の使用の有無、
反応温度などの条件を変えた以外は実施例1に準じて反
応を行って、HPLCによりアスタキサンチンの組成比
を分析した。結果を表2および表3に示した。
【0024】実施例9 エビ殻より抽出した下記の組成のアスタキサンチン溶液
(注1;日本キレート社製)20gとn−ヘキサン10
0mlを反応用のガラス容器にとり、リパーゼSP38
2を2000u加え、40℃に加温し、かき混ぜた。2
4,48時間後にこのアスタキサンチンヘキサン溶液を
採り、HPLCによってアスタキサンチンの組成比を分
析した。注1;アスタキサンチン溶液:アスタキサンチ
ン類の重量比は全容液の約0.2%である。また、その
中でアスタキサンチン類の組成比はアスタキサンチン脂
肪酸ジエステルが25重量%、アスタキサンチン脂肪酸
モノエステルが重量5%、遊離アスタキサンチンが70
重量%であった。アスタキサンチン類の他には約85重
量%の遊離脂肪酸、約15重量%のトリグリセライドが
含まれている。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】注* 脂肪酸の略号は次のとおり。 OA;オレイン酸、LA;リノール酸、EPA;イコサ
ペンタエン酸、DHA;ドコサヘキサエン酸、γ−LN
A:γ−リノレン酸、AA;アラキドン酸、PA;パル
ミチン酸、CO;トウモロコシ油より調整した脂肪酸
【0028】比較例1 遊離アスタキサンチン(ロッシュ社)0.12g(0.
2mmol)及び遊離脂肪酸としてオレイン酸0.28
2g(1.0mmol)、n−ヘキサン50mlを反応
用ガラス瓶にとった。ここに通常のエステル化触媒とし
てパラトルエンスルホン酸(PTS)0.1gを加え、
40℃でかき混ぜながら反応した。48時間反応した後
にこの溶液をとり、HPLCによってアスタキサンチン
の組成比を分析した。その結果、アスタキサンチン脂肪
酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステルに
相当する保持時間2.3,3.9分付近にはピークが検
出されなかった。原料のスタキサンチンの保持時間5.
2分にのみピークが検出さた。
【0029】比較例2 遊離アスタキサンチン(ロッシュ社)0.12g(0.
2mmol)及び遊離脂肪酸としてオレイン酸0.28
2g(1.0mmol)、n−ヘキサン50mlを反応
用ガラス瓶にとった。ここに通常のエステル化触媒とし
てパラトルエンスルホン酸(PTS)0.1gを加え、
68℃〜70℃の還流下でかき混ぜながら反応した。8
時間反応した後にこの溶液をとり、HPLCによってア
スタキサンチンの組成比を分析した。その結果、アスタ
キサンチンの組成比(重量%)はアスタキサンチン脂肪
酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステルお
よび遊離アスタキサンチンに相当するそれぞれの保持時
間2.3,3.9および5.2分付近に検出されなかっ
た。反応終了後、アスタキサンチンを抽出してその濃度
を測定したところ反応前に添加した21重量%まで減少
していた。
【0030】実施例10 遊離アスタキサンチン(ロッシュ社)0.12g(0.
2mmol)及び遊離脂肪酸としてオレイン酸0.28
2g(1.0mmol)を反応用ガラス瓶にとった。こ
こにカンジダ属由来のリパーゼOFを500uを加え、
かき混ぜながら反応した。12時間反応した後にこの溶
液をとり、HPLCによってアスタキサンチンの脂肪酸
モノエステルのみを分取したアスタキサンチンの脂肪酸
モノエステルを用いて、さらにリパーゼOFを500u
添加して24時間反応して前記と同様に分析した。その
結果は、アスタキサンチンの脂肪酸ジエステルが80重
量%であった。
【0031】以上の結果から本発明のリパーゼを反応に
用いる方法は、収率よくアスタキサンチン脂肪酸ジエス
テルが合成できることがわかる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスタキサンチンと脂肪酸を用いてエステ
    ル化反応を行うに際してリパーゼを用いることを特徴と
    するアスタキサンチン脂肪酸モノエステルまたはアスタ
    キサンチン脂肪酸ジエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】前記の脂肪酸が炭素数14〜22の直鎖ま
    たは分岐の飽和もしくは不飽和の脂肪酸である請求項1
    記載のアスタキサンチン脂肪酸モノエステルまたはアス
    タキサンチン脂肪酸ジエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】リパーゼがカンジダ属の微生物由来のリパ
    ーゼ、クロモバクテリウム属の微生物由来のリパーゼ、
    動物の膵臓由来のリパーゼから選ばれる1種以上を用い
    る請求項1または2のいずれか1項に記載のアスタキサ
    ンチン脂肪酸モノエステルまたはアスタキサンチン脂肪
    酸ジエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】アスタキサンチンの脂肪酸モノエステルと
    脂肪酸を用いてエステル化反応を行うに際してリパーゼ
    を用いることを特徴とするアスタキサンチン脂肪酸ジエ
    ステルの製造方法。
  5. 【請求項5】前記の脂肪酸が炭素数14〜22の直鎖ま
    たは分岐の飽和もしくは不飽和の脂肪酸である請求項4
    記載のアスタキサンチン脂肪酸ジエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】リパーゼがカンジダ属の微生物由来のリパ
    ーゼ、クロモバクテリウム属の微生物由来のリパーゼ、
    動物の膵臓由来のリパーゼから選ばれる1種以上を用い
    る請求項4または5に記載のアスタキサンチン脂肪酸ジ
    エステルの製造方法。
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