JP2002232242A - 歪補償増幅器 - Google Patents

歪補償増幅器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪検出ループにおける基本波成分信号のキャ
ンセル量を確保できるフィードフォワード歪補償増幅器
を提供する。 【解決手段】 歪検出ループにおいて、主増幅器13と
出力特性が同一である歪発生器18を主増幅器13とは
異なるルートに挿入することで、2トーンの搬送波や瞬
時のピーク電力を含む入力信号を増幅する場合でもキャ
ンセル量を確保することができる歪補償増幅器である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波無線装置に
おける基地局装置又は中継器に用いられるフィードフォ
ワード方式の歪補償増幅器に係り、特に安定して歪成分
を除去することができるフィードフォワード方式の歪補
償増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】形態電話等の移動無線通信システムで
は、基地局装置又は中継器において電波を増幅し、移動
局に対して電波を送出する。複数の移動局間の通信を行
うには多チャネルの電波を同時に増幅する必要があるた
め、基地局装置又は中継器の増幅器は高度の線形性が要
求されるが、素子の特性を考慮すればこれには限界があ
る。このため増幅器に多チャネルの電波に影響して瞬時
ピークによる過入力が入力されたような場合、増幅器の
非線型動作による歪成分の発生を減衰する増幅器とし
て、フィードフォワード方式の歪補償増幅器が用いられ
ている。
【0003】従来のフィードフォワード方式の歪補償増
幅器の構成及び動作について、図7を用いて説明する。
図7は、従来のフィードフォワード方式の歪補償増幅器
の構成ブロック図である。また図7では、歪補償増幅器
を構成する各素子におけるスペクトラム波形を合わせて
示している。図7の歪補償増幅器は機能上、入力信号を
分岐して一方の入力信号を増幅し、増幅入力信号と他方
の入力信号とを逆位相で合成させて歪成分信号を出力す
る歪検出ループと、歪成分信号と増幅入力信号とを合成
して歪成分を除去した結果を出力する歪補償ループとに
大別できる。図7において、分配器42から方向性結合
器44までが歪検出ループ、方向性結合器44から方向
性結合器46までが歪補償ループに該当する。
【0004】アンテナ(図示せず)で受信された無線入
力信号は、妨害波の影響を受けにくい、すなわちインタ
ーセプト・ポイント(以下IPという)の高い増幅器4
1において増幅される。増幅器41はプリアンプの役割
を果たすものである。増幅器41における増幅後、入力
信号は分配器42に入力され、それぞれ主増幅器43の
ルートと、遅延器47のルートとに分配される。主増幅
器43のルートでは、入力信号は主増幅器43によって
歪成分と共に増幅され、方向性結合器44に入力され
る。遅延器47のルートに入力された入力信号は、遅延
器47において遅延され、方向性結合器44に入力され
る。
【0005】方向性結合器44では入力された両ルート
の入力信号に基づいて二つの出力がなされる。一方の出
力は主増幅器43で増幅された入力信号がそのまま遅延
器45に出力され、他方の出力は主増幅器43で増幅さ
れた入力信号と、遅延器47で遅延された入力信号とが
逆位相で合成され、結果として歪成分信号が補助増幅器
48に出力される。
【0006】方向性結合器44から出力された、増幅さ
れた入力信号は、遅延器45で遅延され、方向性結合器
46に入力される。また歪成分信号は補助増幅器48で
遅延器45の入力信号と同レベルに増幅され、方向性結
合器46に入力される。方向性結合器46では、増幅さ
れた入力信号と増幅さえた歪信号成分とが逆位相で合成
されることで歪成分が相殺され、結果として増幅された
基本波、すなわち増幅信号を出力する。
【0007】また方向性結合器44から出力された歪成
分信号は、結合器49を経由して検波器50において振
幅値が検出され、A/D変換器51でデジタル変換され
る。図7のフィードフォワード歪補償増幅器では、検波
器50の検出結果に基づいて、歪成分信号が最小となる
よう主増幅器43の前段に可変位相器及び可変減衰器
(図示せず)を設け、入力信号の位相及び振幅の調整を
行っている。上述した動作によって図7のフィードフォ
ワード歪補償増幅器は、入力信号中の歪成分を除去し、
基本波に対して所望の増幅度で増幅された出力信号を出
力する。
【0008】近年の基地局装置又は中継器では、低出力
時での消費電力を低減するため、フィードフォワード形
式の歪補償増幅器における主増幅器又は補助増幅器のバ
ックオフ量を歪成分を除去できる限界まで低下させた
り、主増幅器又は補助増幅器を構成する素子のうち終段
の素子についてはAB級増幅器を用いるといった処置を
行っている。また、従来のフィードフォワード歪補償増
幅器としては他に、平成6年8月12日公開の特開平6
−224650号「歪補償増幅器」(出願人:富士通株
式会社、発明者:馬庭透他、以下、従来例という)等、
複数提案されている。
【0009】ここでキャンセル量について説明する。上
述したように、図7のフィードフォワード形式の歪補償
増幅器では歪検出ループにおいて、主増幅器43で増幅
された入力信号と、遅延器47で遅延された入力信号と
を逆位相で合成し、得られた歪成分信号が最小になるよ
うな制御が行われている。減衰した歪成分信号のレベル
を表す量はキャンセル量として示すことができ、キャン
セル量は以下の式で表されることが知られている。
【0010】
【数1】
【0011】(1)式より、振幅及び位相の調整量に基
づいてキャンセル量が求まることが明らかである。振幅
偏差及び位相偏差とキャンセル量の関係を示したグラフ
図は図8に示されている通りである。
【0012】フィードフォワード歪補償増幅器では、ネ
ットワークアナライザを用いることによって増幅帯域、
キャンセル量、振幅偏差、位相偏差及び遅延偏差を測定
し、これらの測定結果に基づいてこれらのパラメータを
調整し、結果としてキャンセル量の調整を行っている。
図9は、ネットワークアナライザでの測定方法及びキャ
ンセル量の測定結果を示した図である。図9(a)に示
すように、増幅器等の被測定デバイス(図ではDUT)
にネットワークアナライザを接続することによって、被
測定デバイスにおける各パラメータの測定を行う。ネッ
トワークアナライザによるキャンセル量の測定結果は図
9(b)に示されるようになり、対象周波数帯域内と帯
域外とのレベル差がキャンセル量となる。図9(b)に
示す例では、被測定デバイスはキャンセル量が40dB
であると測定されている。
【0013】図7のフィードフォワード歪補償増幅器で
は、増幅対象の入力信号が1トーンの搬送波を含む場
合、AB級増幅器を用いてもキャンセル量は確保でき
る。しかし増幅対象の入力信号が2トーンの搬送波を含
む場合、1トーンの場合と比較してキャンセル量に差が
ついてしまい、キャンセル量を確保できなくなる。例え
ば振幅偏差に0.5dBのエラーが発生した場合、
(1)式よりキャンセル量は約24.5dBになる。図
10は歪検出ループ及び歪補償ループで得られる2トー
ンの搬送波の入力信号のスペクトラム分布を示した図で
あり、左側が歪検出ループで、右側が歪補償ループで得
られるスペクトラム分布図である。図10では歪補償増
幅器は、常時40dB以上のキャンセル量を確保してい
るものとする。方向性結合器44における逆位相合成に
よって、歪成分信号は右上の分布図になるのが理想であ
るが、振幅偏差で0.5dBのエラーが発生するとキャ
ンセル量を確保できないため、実際には右下の分布図の
ような歪成分信号が出力されることになる。キャンセル
量に差がついてしまう原因は(1)式より、主増幅器4
3における入力信号の増幅の過程で、位相若しくは振幅
にエラーが発生したためと考えられる。以下、位相及び
振幅のエラーの発生の原因について説明する。
【0014】位相のエラーは、後述する要因により発生
する。一般に増幅器の非線型性による歪は、AM−AM
変換及びAM−PM変換によって発生する。図11は増
幅器におけるAM−AM変換とAM−PM変換のベクト
ル図及び増幅器の出力特性を示した図である。図11
(a)に示すように、線形成分V1に対して相互変調成
分V3が位相差Φ3で発生すると、出力信号V0はV1
とV3とのベクトル演算によって求められる。線形成分
V1から出力信号V0への変換は、AM−AM変換とA
M−PM変換の組み合わせによって導き出される。ま
た、増幅器の入出力特性は図11(b)に示される通り
である。図11(b)のグラフは、横軸が入力信号の、
縦軸が出力信号のレベルを表している。線形成分V1は
増幅器の理想線形ラインであり、増幅器の飽和レベルに
達すると、出力信号V0は理想線形ラインから外れたカ
ーブを描くようになる。このとき増幅器では、出力電圧
が抑制され、非線形性による歪みが発生する。
【0015】図12は2トーンの搬送波の入力信号を、
従来のフィードフォワード歪補償増幅器で増幅した場合
のスペクトラム分布の解析図である。フィードフォワー
ド形式の歪補償増幅器では、歪検出ループにおいて基本
波S1、S2をキャンセルし歪成分信号を出力すること
が目的であるが、基本波S1、S2中にも3次相互変調
歪みIM3と5次相互変調歪みIM5による歪成分A
3、A5が含まれている。このため増幅器を構成する素
子にAB級増幅器を用いた場合には、基本波に含まれる
歪成分も増加することになる。
【0016】一方、マルチキャリア信号又はCDMA
(Code Division Multiple Access:符号分割多元接
続)信号のように、瞬時のピーク電力を含むような入力
信号を増幅するような場合には、出力電圧が増幅器の動
作点から瞬時に飽和電力付近に移動するか、飽和電力を
超えてしまう事態が発生する。増幅器で発生する歪の補
償を行う装置として、増幅器で発生する歪をあらかじめ
逆位相で搬送波に加えておくことで増幅器で発生する歪
を相殺するRF−PD(Radio Frequency-Phase Detect
or)型リニアライザが従来用いられていた。しかしRF
−PD型リニアライザは、増幅器の飽和電力付近になる
と急激に歪補償量が減衰するため、ピーク電力によって
発生する歪補償を十分に行うことができない問題点があ
った。
【0017】上述したように、フィードフォワード歪補
償増幅器における振幅偏差はネットワークアナライザに
よって測定され、既に調整されているため、歪の発生の
原因は位相のエラーによるものであるといえる。すなわ
ち図11において示された相互変調成分IM3は、実際
には一定の位相差Φ3で発生しておらず、飽和電力付近
で急激に変化して発生したと考えられる。
【0018】振幅のエラーは、後述する要因により発生
する。マルチキャリア信号又はCDMA信号のように、
瞬時のピーク電力を含むような入力信号を増幅するよう
な場合には、ピーク電力が飽和されずに増幅されている
ことが歪みの発生に影響することからも重要である。最
近では入力信号の振幅偏差の分布を測定する方法とし
て、CCDF(Complementary Cumulative Distributio
n Function:相補累積分布機能)が用いられている。図
13は図7のフィードフォワード歪補償増幅器の歪検出
ループにおける主増幅器43のルートと、遅延器47の
ルートでの入力信号のCCDF特性を示した図である。
図13において、縦軸は分布率を、横軸は振幅偏差を示
している。また2つの曲線のうち、実線が主増幅器43
のルートの、点線が遅延器47のルートの入力信号のC
CDF特性を表している。
【0019】遅延器47は受動的な素子であるため、入
力信号も歪むことなくそのまま出力される。一方主増幅
器43のルートでは、主増幅器43は消費電力の低減の
ため、バックオフ量を数dBに設定しており、例えばC
DMA信号のように入力レベルのピーク時と平均値との
差が10dB以上もあるような入力信号の場合には、瞬
時に飽和電力近傍に出力レベルが移動することで抑圧が
発生し、図13に示されるような結果となる。これらの
曲線の差が、振幅エラーに反映される。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の歪補償増幅
器では、上述した通り、2トーンの搬送波を含んだり、
マルチキャリア信号又はCDMA信号のような瞬時のピ
ーク電力を含む入力信号を増幅する場合には、キャンセ
ル量が理想値の通り確保できないという問題点があっ
た。
【0021】このような問題を解決する方法として、主
増幅器のルートにRF−PD型リニアライザを挿入し、
AM/PM変換及びAM/AM変換の補正を行うことで
主増幅器で発生する歪を相殺する方法が従来用いられて
いる。しかし主増幅器のルートに挿入するPDとして入
力に対して出力が損失するPDを用いた場合には、この
損失を補償するための補正用の増幅器が必要になり、ま
た利得のあるPDを用いた場合には、利得を補償するた
めの減衰器を設置するか、出力先の方向性結合器の結合
量を疎結合に調整する必要がある。方向性結合器の結合
量を疎結合に調整すると、歪補償ループの補助増幅器に
おける増幅度をさらに増加しなければならない。したが
ってPDを挿入することにより、新たな素子又は調整が
必要となるため、歪補償増幅器の開発費用が増加すると
いう新たな問題が発生する。
【0022】また主増幅器は通常、数段階に渡ってカス
ケード接続された増幅器の集合体で構成されている。主
増幅器のルートにPDを挿入する場合、挿入箇所によっ
ては主増幅器中のある段階の増幅器の出力が歪んで見え
る現象が発生する。この現象はPDで発生した歪が、増
幅器において増幅された結果発生するものであるが、歪
を除去するための調整及び確認が困難であるという問題
点がある。
【0023】本発明は上記実情に鑑みて為されたもの
で、2トーンの搬送波や瞬時のピーク電力を含む入力信
号を増幅する場合でもキャンセル量を確保できる歪補償
増幅器を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記従来例の問題点を解
決するための本発明は、入力信号を2つのルートに分配
する分配器と、一方のルートに主増幅器を、他方のルー
トに第1の遅延器及び前記主増幅器と同一の出力特性を
有する歪発生器を設け、主増幅器によって増幅された入
力信号と、第1の遅延器及び歪発生器によって遅延かつ
増幅された入力信号とを逆位相で合成することで入力信
号中の基本波成分信号を相殺し、合成結果である歪成分
信号を一方の出力端子から出力し、他方の出力端子から
主増幅器によって増幅された入力信号を出力する第1の
方向性結合器とを備える歪検出ループと、一方のルート
に第2の遅延器を、他方のルートに補助増幅器を設け、
第2の遅延器によって遅延された、増幅された入力信号
と、補助増幅器によって、増幅された入力信号と同レベ
ルに増幅された歪成分信号とを逆位相で合成し、合成結
果である増幅された基本波成分信号を出力する第2の方
向性結合器とを備える歪補償ループとを有することを特
徴とするフィードフォワード歪補償増幅器であり、2ト
ーンの搬送波や瞬時のピーク電力を含む入力信号を増幅
する場合でもキャンセル量を確保することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る歪
補償増幅器は、受信した入力信号から歪成分信号を検出
する歪検出ループと、歪成分信号を除去して増幅された
基本波を出力する歪補償ループとで構成されるフィード
フォワード方式の歪補償増幅器において、歪検出ループ
に主増幅器と同一の出力特性を有し、かつ出力電力の小
さい歪発生器を遅延器側に設けたものであり、これによ
り2トーンの搬送波や瞬時のピーク電力を含む入力信号
に対して、キャンセル量を確保することができる。
【0026】尚、請求項における第1の遅延器は遅延器
19に相当し、第2の遅延器は遅延器19に、第1の方
向性結合器は方向性結合器14に、第2の方向性結合器
は方向性結合器17に、歪検知手段は図の結合器20及
び検波器21に、入力信号検知手段は結合器23及び検
波器24に、温度測定手段は温度センサ26に、パラメ
ータ記憶手段はパラメータ蓄積部27及び27´に、入
力信号調整手段は調整制御部28及び28´に、入力信
号調整回路は高速制御部30にそれぞれ相当する。
【0027】本発明の実施の形態の歪補償増幅器の構成
について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実
施の形態に係る歪補償増幅器の構成図である。尚、図1
と同様の構成をとる部分については同一の符号を付して
説明する。本発明の実施の形態に係る歪補償増幅器は、
分配器11と、増幅器12と、主増幅器13と、方向性
結合器14と、遅延器15と、補助増幅器16と、方向
性結合器17と、歪発生器18と、遅延器19と、結合
器20と、検波器21と、A/D変換器22とで構成さ
れる。また図1の歪補償増幅器において、分配器11か
ら方向性結合器14で歪検出ループを、方向性結合器1
4から方向性結合器17で歪補償ループを構成している
【0028】分配器11は、アンテナ(図示せず)で受
信されたアナログ入力信号を分配し、それぞれ増幅器1
2及び遅延器19に出力する。増幅器12は、分配器1
1から出力された入力信号を増幅し、主増幅器13に出
力する。増幅器12は図7の歪補償増幅器における増幅
器41と同様、プリアンプの役割を果たすものであり、
増幅器41と利得が同一であるが、IPが低い点が異な
る。主増幅器13は、増幅器12で増幅された入力信号
を更に高い増幅度で増幅し、方向性結合器14に出力す
る。方向性結合器14は、主増幅器13で増幅された入
力信号をそのまま遅延器15に出力する。また主増幅器
13で増幅された入力信号及び歪発生器18から出力さ
れた入力信号及び歪成分信号とを逆位相で合成し、合成
結果である歪成分信号を補助増幅器16に出力する。
【0029】遅延器15は、方向性結合器14から出力
された入力信号を遅延させ、方向性結合器17に出力す
る。補助増幅器16は、方向性結合器14から出力され
た歪成分信号を増幅し、方向性結合器17に出力する。
方向性結合器17は、遅延器15から出力された入力信
号及び補助増幅器16で増幅された歪成分信号とを逆位
相で合成し、合成結果である増幅信号を出力する。方向
性結合器17において、出力端子の一方は終端抵抗が接
続されている。歪発生器18は、AM−AM変換及びA
M−PM変換特性が主増幅器13と同一の増幅器であ
り、遅延器19から出力された入力信号を増幅して方向
性結合器14に出力する。遅延器19は、分配器11か
ら出力された入力信号及び歪成分信号を遅延し、歪発生
器18に出力する。
【0030】結合器20は、方向性結合器14における
合成によって得られた歪成分信号を検出し、検波器21
に出力する。検波器21は、結合器20で検出された歪
成分信号を検波し、振幅値をA/D変換器22に出力す
る。A/D変換器22は、検波器21で検波された歪成
分信号の検波結果をデジタル変換する。
【0031】次に、本発明の実施の形態の歪補償増幅器
の動作について図1及び図2を用いて説明する。アンテ
ナで受信されたアナログ入力信号は、図1の歪補償増幅
器において、まず歪検出ループの分配器11に入力され
る。分配器11は入力信号をそれぞれ増幅器12及び遅
延器19に分配して出力する。
【0032】主増幅器のルート、すなわち増幅器12に
出力された入力信号は、増幅器12においてプリアンプ
による増幅が行われた後、主増幅器13によって歪成分
と共に高い増幅度で増幅され、方向性結合器14の入力
端子に出力される。また、歪発生器のルート、すなわち
遅延器19に出力されて遅延された入力信号は、歪発生
器18に出力され、歪成分信号の増幅が行われる。歪発
生器18で増幅された歪成分信号は入力信号は、方向性
結合器14の他方の入力端子に出力される。遅延器19
は、主増幅器13における入力信号の増幅で入力信号が
遅延化されるため、これに同調させるため設けられたも
のである。
【0033】図2は、主増幅器13及び歪発生器18の
出力特性を示した特性図である。各特性図において、実
線がAM/PM変換の、破線がAM/AM変換の特性を
示している。図2より、主増幅器13と歪発生器18と
の両特性はまったく同一であることが分かる。一方、増
幅器で発生する歪を相殺するために従来用いられてきた
PDの特性は図2下段の通りであるが、増幅器の出力を
相殺するため、AM/AM変換及びAM/PM変換の特
性は増幅器とは相反する特性となる。また、歪発生器1
8において増幅される歪成分の量は、主増幅器のそれよ
りも相対的に低い値でよい。歪検出ループは、基本波の
みを除去することによって歪成分信号を抽出することを
目的としているためである。
【0034】主増幅器13から出力された増幅された入
力信号と、歪発生器18から出力された入力信号及び歪
成分信号は、方向性結合器14において逆位相で合成さ
れ、入力信号中の基本波が除去され、歪成分信号が歪補
償ループの補助増幅器16に出力される。また方向性結
合器14では、主増幅器13で増幅された入力信号がそ
のまま遅延器15に出力される。
【0035】歪補償ループにおいて、遅延器15に出力
された入力信号は、遅延化された後、方向性結合器17
の入力端子に出力される。また方向性結合器14におい
て検出された歪成分信号は、補助増幅器16において遅
延器15の入力信号と同レベルに増幅され、方向性結合
器17の他方の入力端子に出力される。遅延器15は、
補助増幅器16における歪成分信号の増幅で遅延化され
た歪成分信号と入力信号とを同調させるため設けられた
ものである。方向性結合器17では、遅延器15から出
力された入力信号と、補助増幅器16から出力された増
幅された歪成分信号とを逆位相で合成されることで歪成
分が相殺され、入力信号中の基本波のみを増幅した増幅
信号が出力される。
【0036】また方向性結合器14から出力された歪成
分信号は、結合器20で検知され、さらに検波器21に
おいて振幅値が検出され、A/D変換器22でデジタル
変換される。A/D変換器22でデジタル変換された検
波結果は、データ表示や制御部(図示せず)による主増
幅器13又は歪発生器18に入力される入力信号に対す
る位相制御又は振幅制御等に用いられる。
【0037】本発明の実施の形態の歪補償増幅器を用い
ることにより、2トーンの搬送波や瞬時のピーク電力を
含む入力信号に対して、キャンセル量を確保することが
できる。従来のフィードフォワード形式の歪補償増幅器
では、2トーンの搬送波や瞬時のピーク電力を含む入力
信号を増幅する際には、位相及び振幅のエラーが発生
し、必ずしも理想値通りのキャンセル量を確保できない
ことは上述した通りである。本発明の歪補償増幅器で
は、主増幅器13とAM/AM変換特性が等しい歪発生
器18を歪検出ループの遅延器側のルートに設けたこと
で、振幅の増幅度が同一となるため、振幅のエラーを補
正することができる。さらにCCDFを用いて特性を確
認し、特性に基づいて振幅を調整することで確実に振幅
のエラーを補正することができる。キャンセル量の算出
式(1)より、振幅のエラーがキャンセル量に多大に影
響することが明らかであり、振幅のエラーを補正するこ
とでキャンセル量の損失を大幅に低減することができ
る。また、位相のエラーについては、歪発生器19のバ
イアス点又は入力信号の入力レベル等を可変させること
により、相互変調成分の位相を回転させることができる
ため、位相のエラーを補正することができる。
【0038】図1の歪補償増幅器において、歪発生器1
8のIPが低いため、歪発生器18の出力は主増幅器と
比較して低い値、例えば数十dB以上小さくしてもよ
い。また、歪発生器18は主増幅器13よりも出力が小
さく済むため、例えば主増幅器13を実現する素子とし
て、GaAS(Gallium Arsenido)のFET(Field Ef
fect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いるも
のとすると、歪発生器18は同じGaASの小信号用の
MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circui
t:マイクロ波モノリシック回路)を用いて実現でき
る。本発明の実施の形態の歪補償増幅器では、従来プリ
アンプとして用いられてきたIPの高い増幅器が不要と
なり、この増幅器と利得が等しく、IPの低いMMIC
を、増幅器12及び歪発生器18に用いることにより、
歪補償増幅器全体の消費電力及び開発費用を低減するこ
とができる。
【0039】従来の技術で取り上げた従来例の歪補償増
幅器も、被補償増幅器とは別個に歪発生回路を設け、こ
れらの素子の出力を逆位相で合成することで歪成分を除
去する旨が記載されている。しかし歪発生回路には「被
補償増幅器の電力増幅器を構成する電力増幅器ユニット
と同じ増幅器」を用いており、被補償増幅器は本発明の
歪補償増幅器における主増幅器に該当するため、歪発生
回路の出力を小さくできる本発明の歪補償増幅器ほど消
費電力及び開発費用を低減できるとはいえない。
【0040】本発明の歪補償増幅器において、増幅器1
3の代わりにIPの高い図7の増幅器41を分配器11
の前段に挿入してもよい。図1の歪補償増幅器における
方向性結合器14の結合度がα(dB)である場合、こ
のような構成にするにあたって方向性結合器の結合度は
α−(歪発生器18の利得値)とする必要がある。よっ
て方向性結合器14の結合度を低減することができるた
め、方向性結合器14の作成が容易となり、開発費用を
低減することができる。
【0041】本発明の実施の形態に係る歪補償増幅器に
よれば、主増幅器とAM−AM特性及びAM−PM特性
が同一である歪発生器を歪検出ループの遅延器ルートに
挿入することにより、主増幅器で発生する位相及び振幅
のキャンセル量のエラーを補正できるため、2トーンの
搬送波や瞬時のピーク電力を含む入力信号の増幅の際に
従来よりキャンセル量を確保できる効果がある。また、
キャンセル量を確保できることにより、歪補償ループに
入力される電力を低減でき、歪補償増幅器の消費電力を
低減できる効果がある。さらに歪発生器にIPの低い増
幅器を用いることによって、消費電力及び開発費用を低
減できる効果がある。
【0042】本発明の実施の形態に係る歪補償増幅器
は、歪補償増幅器を構成する素子にアナログ回路又はデ
ジタル回路のいずれを用いても同様の効果を奏するもの
である。
【0043】上述したように、CDMA等の瞬時のピー
ク電力を含むような入力信号を増幅するような場合に
は、ピーク電力の増幅の際に非線型性の歪みが発生し、
キャンセル量を確保できなくなる。このため、歪成分信
号の振幅値に基づいて、歪発生器及び主増幅器に入力さ
れる入力信号に対して、位相及び振幅の制御を行うこと
によって、ピーク電力による歪みの発生を抑えることが
できる。また、一般に増幅器では、周囲の温度変化によ
って増幅時の位相又は振幅に変化が現れ、発生する歪み
が均等でなくなる現象が起きる。これに伴い、歪補償増
幅器における歪成分の相殺が十分に行われなくなる。正
しく歪補償を行うには、温度変化に対応して増幅器への
入力信号の位相又は振幅制御を行う必要がある。
【0044】図3は、本発明の第1の実施例の歪補償増
幅器の構成図である。以下、本発明の第1の実施例の動
作について、図3を用いて説明する。尚、図1の歪補償
増幅器と同一の構成をとる部分についての構成及び動作
については、説明は省略する。
【0045】図3の歪補償増幅器では、分配器11の前
段に結合器23が設けられており、さらに検波器24を
介して制御回路29に接続されている。アンテナ(図示
せず)で受信された入力信号は結合器23で検知される
と、検波器24において振幅値が検出され、検出結果は
制御回路29に出力される。制御回路29に入力された
検波器24の検出結果は、A/D変換器25でデジタル
変換され、パラメータ蓄積部27に出力される。また、
歪補償増幅器の近傍の温度を計測する温度センサ26
は、温度を計測し、デジタル値の計測結果を制御回路2
9のパラメータ蓄積部27に出力する。
【0046】パラメータ蓄積部27は、サンプリングさ
れた入力信号の振幅値及び温度計測結果に対してそれぞ
れの平均値を求め、順次記憶する。パラメータ蓄積部2
7にはメモリテーブルが設けられており、入力信号の振
幅値の平均値、温度計測結果の平均値及びこれらの値に
対応し歪検出ループにおいてキャンセル量が最大になる
ような入力信号の制御値のデータが組となって記憶され
ている。パラメータ蓄積部27は入力信号の振幅値及び
温度計測結果の平均値の算出の際に、メモリテーブルを
参照して出力する入力信号の制御値のデータを特定す
る。
【0047】方向性結合器14から出力された歪成分信
号は、結合器20で検知され、さらに検波器21におい
て振幅値が検出されると、検出結果は制御回路29に出
力される。制御回路29に入力された検波器21の検出
結果は、まずA/D変換器22においてデジタル変換さ
れ、さらに調整制御部28に出力される。
【0048】調整制御部28にもRAMのメモリテーブ
ルが設けられており、サンプリングされた歪成分信号の
振幅値を順次メモリテーブルに書き込んでいく。同時に
調整制御部28では、入力された歪成分信号の振幅値に
基づいて、前サンプルとの振幅差と数サンプル前の振幅
値の平均値とを算出し、メモリテーブルに書き込んでい
く。調整制御部28はパラメータ蓄積部27から入力信
号の振幅値及び温度計測結果の平均値に対応する入力信
号の制御値のデータを読み出し、算出された歪成分信号
の振幅値の平均値とに基づいて、主増幅器13及び歪発
生器18に入力される入力信号の位相及び振幅の調整制
御を行う。
【0049】調整制御部28における歪成分信号の振幅
の平均値算出において、入力された歪成分信号と前サン
プルとの振幅差が一定の値、すなわち閾値を超えた場
合、調整制御部28は入力信号に瞬時のピーク電力が含
まれているものとみなして、このとき入力された歪成分
信号の振幅値については演算処理の対象から外す。具体
的には振幅差の算出にはこの振幅値を用いずにその前の
振幅値によって、平均値の算出にはこの振幅値を除いた
前後の振幅値から行うようにする。前サンプルとの振幅
差が閾値を超えない場合、調整制御部28はこのとき入
力された歪成分信号の振幅値を演算対象として、新たに
振幅差及び平均値を算出する。
【0050】上述したように、本発明の実施例1の歪補
償増幅器では、制御回路29において瞬時のピーク電力
に対する振幅値を除いて主増幅器13及び歪発生器18
への入力信号の制御を行うようにしているため、瞬時の
ピーク電力による過大な歪信号成分によらず安定して入
力信号の制御を行うことができ、結果として安定した歪
補償増幅を行うことができる。歪発生回路18を挿入し
たことで歪成分信号のキャンセル量を確保できるため、
図1の歪補償増幅器と比較して一層歪成分信号を除去で
きる効果がある。また受信直後の入力信号の振幅値及び
温度測定結果の平均値を入力信号の制御のための入力パ
ラメータとしているため、環境に応じて安定した歪補償
増幅を行える効果がある。
【0051】上述したように、CDMA等の瞬時のピー
ク電力を有する信号では、入力レベルのピーク時と平均
値との差が10dB以上に及ぶ。このような入力信号に
対しては、歪補償増幅器において入力信号又は平均値の
ダイナミックレンジを広範囲に設定し、最適な動作点で
主増幅器及び歪発生器を動作させることで高精度の歪補
償を行うことができる。このため歪補償増幅器では、歪
成分信号だけでなく、入力信号及び温度測定結果を常に
監視し、監視結果に基づいて入力信号の調整制御を行う
ことが好適である。
【0052】図4は本発明の第2の実施例の歪補償増幅
器の構成図である。以下、本発明の第2の実施例の構成
及び動作について、図3の歪補償増幅器との相違点を中
心に図4を用いて説明する。尚、図3の歪補償増幅器と
同一の構成をとる部分についての構成及び動作について
は、説明は省略する。制御回路29において、検波器2
4で検出された受信直後の入力信号の振幅値はデジタル
変換後に調整制御部28´に出力される点、検波器21
で検出された歪成分信号の振幅値はデジタル変換後にパ
ラメータ蓄積部27´に出力される点が図3の歪補償増
幅器と相違する。
【0053】パラメータ蓄積部27´には受信直後の入
力信号の振幅値と、温度計測結果の他に、A/D変換器
22から歪成分信号の振幅値が入力される。パラメータ
蓄積部27´はこれら3種のパラメータ値をサンプリン
グし、順次記憶する。パラメータ蓄積部27´にはメモ
リテーブルが設けられており、入力信号の振幅値、温度
計測結果及びこれらの値に対応し歪検出ループにおいて
キャンセル量が最大になるような入力信号の制御値のデ
ータが組となって記憶されている。パラメータ蓄積部2
7´は、記憶されたパラメータ及びメモリテーブルを参
照して出力する入力信号の制御値のデータを特定する。
【0054】調整制御部28´では、入力された受信直
後の入力信号及び歪成分信号の振幅値を用いて、主増幅
器13及び歪発生器18への入力信号の調整制御を行っ
ている。調整制御部28´は受信直後の入力信号及び歪
成分信号の振幅値を時系列でサンプリングし、内部のメ
モリテーブルに書き込む。また調整制御部28´は、図
3の歪補償増幅回路の調整制御部28と同様の方法で、
歪成分信号の振幅値の平均値を算出し、メモリテーブル
に書き込む。調整制御部28´はパラメータ蓄積部27
´から入力信号の振幅値及び温度計測結果に対応する入
力信号の制御値のデータを読み出し、記憶されている入
力信号の振幅値及び歪成分信号の振幅値の平均値とに基
づいて、主増幅器13及び歪発生器18に入力される入
力信号の位相及び振幅の調整制御を行う。
【0055】図4の歪補償増幅器によれば、受信直後の
入力信号の振幅値を調整制御部28に入力することによ
って、常に受信直後の入力信号のレベルを監視しながら
主増幅器13及び歪発生器18への入力信号の制御を行
うことができるため、さらに高精度に歪補償増幅を行え
る効果がある。例えば増幅器の経年劣化により出力特性
が変化するような現象についても、入力信号を監視する
ことによって現状に則した制御を行うことができるた
め、さらに安定した入力信号の制御を行うことができ
る。
【0056】また、本発明の実施例1及び2の歪補償増
幅器において、制御回路29はアナログ回路又はデジタ
ル回路のいずれを用いても上述した効果を奏するもので
ある。
【0057】入力信号又は平均値のダイナミックレンジ
を広範囲に確保する制御方法では、温度計測結果、入力
信号及び歪成分信号の振幅値のパラメータを高速でサン
プリングするための演算処理媒体と、サンプリングに伴
う参照パラメータの数が膨大になるため、パラメータを
記憶するための大容量の記憶媒体を歪補償増幅器に用い
ることが高精度の歪補償を行う上で好ましい。
【0058】図5は、本発明の第3の実施例の歪補償増
幅器の構成図である。図5の歪補償増幅器では、第2の
実施例における制御回路29の代わりに高速DSP(Di
gital Signal Processor)を用いた高速制御部30を設
けており、高速サンプリングによる入力パラメータの記
憶及び演算処理を行っている。
【0059】図6は、高速制御部30の構成ブロック図
である。高速制御部30では、温度センサ26の温度測
定結果、検波器24からの受信直後の入力信号の振幅値
及び検波器21からの歪成分信号の振幅値がDSP31
に入力される。このうち受信直後の入力信号の振幅値、
歪成分信号の振幅値はそれぞれ、A/D変換器25、2
2でデジタル変換された後DSP31に入力される。D
SP31は、第2の実施例におけるパラメータ蓄積部2
7´及び調整制御部28´に相当し、高速でサンプリン
グされた入力パラメータを記憶し、これらに基づいて主
増幅器13及び歪発生器18に入力される入力信号の調
整制御を行っている。DSP31における入力信号の調
整動作は、図4のパラメータ蓄積部27´及び調整制御
部28´と同様であるので、説明は省略する。また高速
制御部30では、歪補償ループ中の歪成分信号が電力増
幅器(図ではPA)32に入力され、増幅された後、位
相特定器(図ではPD)33に出力される。位相特定器
33では、DSP31で出力される制御情報に基づいて
歪成分信号の位相を調整し、さらに電力増幅器34にお
いて増幅し、振幅の調整を行った後、主増幅器13及び
歪発生器18に出力することで入力信号の制御を行って
いる。
【0060】図5の歪補償増幅器によれば、高速演算を
行うDSPを制御回路として用いたことによって、入力
パラメータの高速サンプリングに対応して主増幅器13
及び歪発生器18への入力信号の調整制御を行うことが
できるため、さらに高精度に歪補償増幅を行うことがで
きる。すなわち多数の演算処理を高速に行い、かつ大量
の入力パラメータを記憶できるため、瞬時の入力信号の
レベルの変動にも対応でき一層高精度の歪補償増幅を行
うことができる効果がある。またDSPで制御回路を構
成したことによって、回路規模を縮小化できるため、歪
補償増幅器全体の回路規模を縮小できる効果がある。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、歪検出ループにおいて
歪成分を検出し、歪補償ループにおいて増幅した入力信
号と歪成分信号とを逆位相で合成し、基本波成分信号を
増幅するフィードフォワード歪補償増幅器において、主
増幅器と同じ出力特性を有する歪発生器を歪検出ループ
の主増幅器とは別のルートに設けたことにより、主増幅
器で発生する位相及び振幅のキャンセル量のエラーを補
正でき、2トーンの搬送波や瞬時のピーク電力を含む入
力信号の増幅の際に歪検出ループでの基本波成分信号の
キャンセル量を確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る歪補償増幅器の構成
図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る歪補償増幅器におけ
る主増幅器及び歪発生器の出力特性を示した特性図であ
る。
【図3】本発明の第1の実施例の歪補償増幅器の構成図
である。
【図4】本発明の第2の実施例の歪補償増幅器の構成図
である。
【図5】本発明の第3の実施例の歪補償増幅器の構成図
である。
【図6】本発明の第3の実施例の歪補償増幅器におけ
る、高速制御部の構成ブロック図である。
【図7】従来のフィードフォワード方式の歪補償増幅器
の構成ブロック図である。
【図8】振幅偏差及び位相偏差とキャンセル量の関係を
示したグラフ図である。
【図9】ネットワークアナライザでの測定方法及びキャ
ンセル量の測定結果を示した図である。
【図10】歪検出ループ及び歪補償ループで得られる2
トーンの搬送波の入力信号のスペクトラム分布を示した
図である。
【図11】増幅器におけるAM−AM変換とAM−PM
変換のベクトル図及び増幅器の出力特性を示した図であ
る。
【図12】従来のフィードフォワード歪補償増幅器で増
幅した場合のスペクトラム分布の解析図である。
【図13】従来の歪補償増幅器における、歪検出ループ
の遅延器のルートでの入力信号のCCDF特性を示した
図である。
【符号の説明】
11、42…分配器、 12、41…増幅器、 13、
43…主増幅器、 14、17、44、46…方向性結
合器、 15、19、45、47…遅延器、16、48
…補助増幅器、 18…歪発生器、 20、23…結合
器、 21、24…検波器、 22、25…A/D変換
器、 26…温度センサ、 27、27´…パラメータ
蓄積部、 28、28´…調整制御部、 29…制御回
路、30…高速制御部、 31…DSP、 32、34
…電力増幅器、 33…位相特定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 純一郎 東京都中野区東中野三丁目14番20号 株式 会社日立国際電気内 Fターム(参考) 5J090 AA01 AA41 CA02 CA27 CN04 FA07 FA08 FA19 FN07 FN09 FN14 GN02 GN04 GN07 HA19 HA43 HN08 HN20 KA15 KA34 KA55 MA14 SA14 TA01 TA02 TA03 5K060 BB07 CC04 DD04 EE05 FF06 HH06 JJ16 KK06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を2つのルートに分配する分配
    器と、 一方のルートに主増幅器を、他方のルートに第1の遅延
    器及び前記主増幅器と同一の出力特性を有する歪発生器
    を設け、 前記主増幅器によって増幅された入力信号と、前記第1
    の遅延器及び前記歪発生器によって遅延かつ増幅された
    入力信号とを逆位相で合成して前記入力信号中の基本波
    成分信号を相殺し、合成結果である歪成分信号を一方の
    出力端子から出力し、他方の出力端子から前記主増幅器
    によって増幅された入力信号を出力する第1の方向性結
    合器とを備える歪検出ループと、 一方のルートに第2の遅延器を、他方のルートに補助増
    幅器を設け、 前記第2の遅延器によって遅延された前記増幅された入
    力信号と、前記補助増幅器によって前記増幅された入力
    信号と同レベルに増幅された前記歪成分信号とを逆位相
    で合成し、合成結果である増幅された基本波成分信号を
    出力する第2の方向性結合器とを備える歪補償ループと
    を有することを特徴とするフィードフォワード歪補償増
    幅器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィードフォワード歪補
    償増幅器において、歪検出ループで検出された歪成分信
    号を検知し、前記歪成分信号の振幅値を検出する歪成分
    検知手段と、 入力信号を検知し、前記入力信号の振幅値を検出する入
    力信号検知手段と、 フィードフォワード歪補償増幅器の近傍の温度を計測
    し、温度測定結果を出力する温度測定手段と、 前記入力信号の振幅値及び前記温度測定結果についてそ
    れぞれの平均値及び歪発生器への入力信号の位相及び振
    幅の調整制御値を記憶するパラメータ記憶手段と、 歪検出ループで相殺される基本波成分信号のキャンセル
    量が最大となるように歪発生器への入力信号の位相及び
    振幅の調整制御を行う入力信号調整手段とを設け、 前記入力信号調整手段は、前記歪成分信号の振幅値を時
    系列でサンプリングし、前記歪成分信号の振幅値が規定
    値以下である場合、当該振幅値を含めた平均値を算出
    し、規定値より大である場合、前記規定値より小さい代
    替値を出力することによって振幅値の平均値をサンプル
    毎に算出し、前記入力信号の振幅値の平均値及び前記温
    度測定結果の平均値とに基づいて、歪検出ループにおけ
    る基本波成分信号のキャンセル量が最大となるような調
    整制御値を前記パラメータ記憶手段から読み出し、前記
    調整制御値及び前記歪成分信号の振幅値の平均値とに基
    づいて入力信号の位相又は振幅の調整制御を行う手段で
    あることを特徴とするフィードフォワード歪補償増幅
    器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフィードフォワード歪補
    償増幅器において、 歪検出ループで検出された歪成分信号を検知し、前記歪
    成分信号の振幅値を検出する歪成分検知手段と、 入力信号を検知し、前記入力信号の振幅値を検出する入
    力信号検知手段と、 フィードフォワード歪補償増幅器の近傍の温度を計測
    し、温度測定結果を出力する温度測定手段と、 前記歪成分信号の振幅値、前記入力信号の振幅値及び前
    記温度測定結果と、歪発生器への入力信号の位相及び振
    幅の調整制御値を記憶するパラメータ記憶手段と、 歪検出ループで相殺される基本波成分信号のキャンセル
    量が最大となるように歪発生器への入力信号の位相及び
    振幅の調整制御を行う入力信号調整手段とを設け、 前記入力信号調整手段は、前記歪成分信号の振幅値及び
    前記入力信号の振幅値を時系列でサンプリングし、前記
    歪成分信号の振幅値が規定値以下である場合、当該振幅
    値を含めた平均値を算出し、規定値より大である場合、
    前記規定値より小さい代替値を出力することによって振
    幅値の平均値をサンプル毎に算出し、前記入力信号の振
    幅値及び前記温度測定結果とに基づいて、歪検出ループ
    における基本波成分信号のキャンセル量が最大となるよ
    うな調整制御値を前記パラメータ記憶手段から読み出
    し、前記調整制御値、前記入力信号の振幅値及び前記歪
    成分信号の振幅値の平均値とに基づいて入力信号の位相
    又は振幅の調整制御を行う手段であることを特徴とする
    フィードフォワード歪補償増幅器。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のフィードフォワード歪
    補償増幅器において、 歪検出ループで検出された歪成分信号を検知し、前記歪
    成分信号の振幅値を検出する歪成分検知手段と、 入力信号を検知し、前記入力信号の振幅値を検出する入
    力信号検知手段と、 フィードフォワード歪補償増幅器の近傍の温度を計測
    し、温度測定結果を出力する温度測定手段と、 DSPで構成され、前記歪成分信号の振幅値、前記入力
    信号の振幅値、前記温度測定結果及び歪発生器への入力
    信号の位相及び振幅の調整制御値を記憶し、歪検出ルー
    プで相殺される基本波成分信号のキャンセル量が最大と
    なるように歪発生器への入力信号の位相及び振幅の調整
    制御を行う入力信号調整回路とを設け、 前記入力信号調整回路は、前記歪成分信号の振幅値、前
    記入力信号の振幅値及び前記温度測定結果とを時系列で
    サンプリングし、前記歪成分信号の振幅値が規定値以下
    である場合、当該振幅値を含めた平均値を算出し、規定
    値より大である場合、前記規定値より小さい代替値を出
    力することによって振幅値の平均値をサンプル毎に算出
    し、前記入力信号の振幅値及び前記温度測定結果とに基
    づいて、歪検出ループにおける基本波成分信号のキャン
    セル量が最大となるような調整制御値を読み出し、前記
    調整制御値、前記入力信号の振幅値及び前記歪成分信号
    の振幅値の平均値とに基づいて入力信号の位相又は振幅
    の調整制御を行う回路であることを特徴とするフィード
    フォワード歪補償増幅器。
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