JP2002229648A - 作業車 - Google Patents

作業車

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JP2002229648A JP2001026696A JP2001026696A JP2002229648A JP 2002229648 A JP2002229648 A JP 2002229648A JP 2001026696 A JP2001026696 A JP 2001026696A JP 2001026696 A JP2001026696 A JP 2001026696A JP 2002229648 A JP2002229648 A JP 2002229648A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポジション制御において、緩傾斜スタート流
量と急傾斜スタート流量とを使い分けて、迅速かつ円滑
に位置制御を行える昇降制御装置を有する作業車を提供
する点にある。 【解決手段】 作業機としてブームスプレアの昇降制御
時には、ショック等が出ないように、リフトシリンダ1
に投入する作動油量を、緩傾斜スタート流量QS' と急
傾斜スタート流量QS ''との一方を選択して、制御す
る。ポジション設定器を操作した場合には、急傾斜スタ
ート流量QS ''に基づいて位置修正制御をおこなう。リ
フトシリンダ1において作動油の流失によって位置修正
を行う必要がある場合には、緩傾斜スタート流量QS '
によって制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業装置の目標高
さを設定する設定器からの設定信号と、前記作業装置の
移動高さを検出する動作位置検出センサからの検出信号
とが入力する制御装置を備え、前記設定信号に基づいて
前記作業装置を目標高さに維持するように油圧アクチュ
エータを駆動制御すべく構成してある作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、作業装置が目標高さを外れてそれ
を目標高さに戻す場合には、予めきめられたスタート流
量に基づいて修正制御を行うようにしていた。このスタ
ート流量は図9に示すように、制御を開始した時点から
時間経過とともに流量が大になるように設定されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、作業装置と
して図13に示すようにブームスプレアを搭載した場合
には、1300リットルの容量を備えた、液肥や水等を
貯留する貯留タンクを昇降する必要がある。例えば、貯
留タンクに水を供給している作業中において、供給する
に連れて貯留重量が重くなる場合に、不測にリフトシリ
ンダにおいて作動油の流失等が起こると、作業装置が下
降して設定高さの不感帯域を越えるために、目標高さに
戻す制御が開始される。その制御は前記したようにスタ
ート流量特性に基づいて行われるが、このスタート流量
は時間当たり大量に投入されるように設定されているの
で、作業装置としてのブームスプレアが急速に駆動され
て、目標高さに戻す制御が行われる。そうすると、貯留
タンクの水面が揺れて供給口より給水が溢れ出す現象を
生じていた。本発明の目的は、リフトシリンダ等の作動
油の流失等に起因する目標高さへの修正制御において
も、昇降速度が大きくなりすぎることによる不都合を回
避する昇降制御を行うことのできる作業車を合理的に構
成する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】[構成]本発明の第1の
特徴(請求項1)は、前記油圧アクチュエータに対する
作動油の供給量を、時間の経過に伴って増加させる増加
割合が異なる大小複数のスタート流量特性を設定し、そ
のいずれか一つのスタート流量特性を選定し選定スター
ト流量特性で前記作動油の供給量を制御すべく構成する
とともに、前記設定器に対する設定値を変更する操作を
行って前記油圧アクチュエータへの動作指令が発せられ
た場合には、前記設定器への操作が行われずに前記動作
位置検出センサからの信号と前記目標位置とが異なるも
のに変動して前記油圧アクチュエータへの動作指令が発
せられる場合に比べて、大きな増加割合の特性のスター
ト流量で前記油圧アクチュエータを駆動制御するように
構成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通
りである。 [作用]つまり、スタート流量として複数の特性を持つ
ものを予め設定する。その特性は、油圧アクチュエータ
に対する作動油の供給量を、時間の経過に伴って増加さ
せる増加割合が異なるものである。作業装置が設定位置
より外れて修正制御を必要とする状況がもたらされた要
因によってスタート流量を使い分けることにする。要因
としては、作業者が設定器に対して操作を行って設定値
を変更することによって作業装置が設定位置より外れる
場合と、リフトシリンダからの作動油の流失により作業
装置が設定位置より外れる場合とがあり、リフトシリン
ダからの作動油の流失による場合は設定位置より大きく
外れることは少ない。したがって、前記した作動油の流
失に起因するような設定位置より大きく外れることのな
い場合には、作動油の供給増加割合の小さなスタート流
量によって制御を行い、設定位置より大きく外れること
の多い設定器への操作による場合には、作動油の供給増
加割合の大きなスタート流量によって制御を行うように
する。 [発明の効果]作業装置の位置を修正する制御を行う場
合に、複数の流量特性を有するスタート流量を用意し
て、修正する要因に基づいて使い分けることによって、
リフトシリンダにおける作動油流失に起因する場合は、
作動油の供給増加割合の小さなスタート流量特性によっ
て制御し、穏やかな制御を行うことができる。設定器へ
の変更操作による修正制御を行う場合は、作業者の意志
により修正を行うものであるので、作動油の供給増加割
合の大きなスタート流量特性によって迅速な制御を行う
ことができる。
【0005】[構成]本発明の第2の特徴(請求項2)
は請求項1において、作業装置の目標位置を設定する設
定器が、前記作業装置の対走行機体高さを設定するポジ
ション設定器である点にあり、その作用、及び、効果は
次の通りである。 [作用効果]つまり、ポジション設定器を操作する場合
は、作業装置を大きく昇降させることが多いので、作動
油の供給増加割合の大きなスタート流量で制御を行うこ
とになるが、そうすると作業者の操作感覚に沿った迅速
な制御を行うことができる。
【0006】[構成]本発明の第3の特徴(請求項3)
は請求項1において、作業装置の目標位置を設定する設
定器が、作業装置の対機体上昇限位置を設定する上限設
定器であり、前記作業装置を前記上限設定器で設定され
た対機体上限位置に強制的に上昇作動させる強制昇降手
段を設けてある点にあり、その作用、及び、効果は次の
通りである。 [作用効果]強制昇降手段によって、作業装置を対機体
上限位置まで強制的に上昇させることができるのである
が、上限設定器への操作によって対機体上限位置を変更
した場合には、大きく作業装置を昇降させる必要がある
ので、この場合は作動油の供給増加割合の大きなスター
ト流量で制御を行い、作業者の操作感覚に沿った迅速な
制御を行うことができる。
【0007】[構成]本発明の第4の特徴(請求項4)
は、油圧アクチュエータによって昇降駆動される作業装
置に対する基準作業負荷を設定する設定器からの設定信
号と、前記作業装置に作用する実作業負荷とを検出する
負荷検出センサからの検出信号とが入力する制御装置を
備え、前記設定信号に基づいて前記作業負荷を基準作業
負荷に維持するように前記作業装置を昇降制御すべくド
ラフト制御手段を構成してある作業車であって、前記油
圧アクチュエータに対する作動油の供給量を、時間の経
過に伴って増加させる増加割合が異なる大小複数のスタ
ート流量特性を設定し、そのいずれか一つのスタート流
量特性を選定し選定スタート流量特性で前記作動油の供
給量を制御すべく構成するとともに、前記ドラフト設定
器に対する設定値を変更する操作を行って前記油圧アク
チュエータへの動作指令が発せられた場合、及び、前記
設定器への操作が行われずに前記作業負荷検出センサか
らの信号と前記作業負荷の設定値とが異なるものに変動
して前記油圧アクチュエータへの動作指令が発せられる
場合のいずれの場合にも、大きな増加割合の特性のスタ
ート流量で前記油圧アクチュエータを駆動制御するよう
に構成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の
通りである。 [作用効果]ドラフト制御は作業装置に作用する作業負
荷を設定負荷に維持する制御であるので、設定負荷を越
える作業負荷を受けた場合には、作業装置を保護する必
要性から大きな作業負荷を受ける状態を迅速に回避する
必要がある。そこで、制御によって作業装置を昇降させ
る場合には、設定負荷から外れる状況を招いた原因が、
設定器への操作をするか否かに拘わらず生じた場合に
は、大きな増加割合のスタート流量で制御を行い、迅速
に過負荷状態を回避することができる。
【0008】[構成]本発明の第5の特徴(請求項5)
は、油圧アクチュエータによって昇降駆動される作業装
置に対する基準作業負荷を設定するドラフト設定器から
の設定信号と、前記作業装置に作用する実作動負荷とを
検出するドラフト負荷検出センサからの検出信号とが入
力する制御装置を備え、前記ドラフト設定信号に基づい
て前記作業負荷を基準作業負荷に維持するように前記作
業装置を昇降制御すべくドラフト制御手段を構成すると
ともに、前記作業装置を走行機体に対して任意の高さに
設定するポジション設定器からの設定信号と、前記作業
装置の対走行機体高さを検出する高さ検出センサからの
検出信号とを前記制御装置に投入し、前記ポジション設
定信号に基づいて前記作業装置の対走行機体高さを設定
高さに維持するポジション制御手段を構成してある作業
車であって、前記油圧アクチュエータに対する作動油の
供給量を、時間の経過に伴って増加させる増加割合が異
なる大小複数のスタート流量特性を設定し、そのいずれ
か一つのスタート流量特性を選定し選定スタート流量特
性で前記作動油の供給量を制御すべく構成するととも
に、前記ポジション設定器に対する設定値を変更する操
作を行って前記油圧アクチュエータへの動作指令が発せ
られた場合には、前記ポジション設定器への操作が行わ
れずに前記高さ検出センサからの信号と前記目標高さと
が異なるものに変動して前記油圧アクチュエータへの動
作指令が発せられる場合に比べて、大きな増加割合の特
性のスタート流量で前記油圧アクチュエータを駆動制御
するように構成し、前記ドラフト設定器に対する設定値
を変更する操作を行って前記油圧アクチュエータへの動
作指令が発せられた場合、及び、前記設定器への操作が
行われずに前記作業負荷検出センサからの信号と前記作
業負荷の設定値とが異なるものに変動して前記油圧アク
チュエータへの動作指令が発せられる場合のいずれの場
合にも、大きな増加割合の特性のスタート流量で前記油
圧アクチュエータを駆動制御するように構成してある点
にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。 [作用効果]請求項5では、ポジション制御とドラフト
制御とが伴に行われる場合についてのものであり、作業
装置の高さがポジション設定高さと一致しなくなった場
合には、ポジション設定器への操作の場合には、大きな
増加割合の特性のスタート流量で制御を行い、ポジショ
ン設定器への操作が行われていない場合には、増加割合
の小さな特性のスタート流量で制御を行う。ドラフト設
定値を外れた場合には、ドラフト設定器への操作如何に
拘わらず大きな増加割合の特性のスタート流量で制御を
行うことによって、夫々の制御に応じた修正作動を行わ
せることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1には作業車としての農用トラ
クタの後部が示されている。この農用トラクタの車体の
後部にはリフトシリンダ1(油圧アクチュエータの一
例)の駆動力で昇降作動する左右一対のリフトアーム2
を備え、単一のトップリンク3と、左右一対のロアーリ
ンク4とで成る3点リンク機構を介してロータリ耕耘装
置5(作業装置の一例)が連結支持されている。ロアー
リンク4とリフトアーム2とをリフトロッド6を介して
吊り下げ支持することで、リフトシリンダ1の駆動力で
ロータリ耕耘装置5の昇降を行えるよう構成してある。
右側のリフトロッド6に介装した複動型のローリングシ
リンダ7の伸縮作動によってロータリ耕耘装置5のロー
リング作動を行えるよう構成してある。
【0010】ここに、作業装置としては、上記ロータリ
耕耘装置5以外に、図12に示すプラウ作業装置25、
及び、図13に示す肥料散布用のブームスプレア20を
採用して、3点リンク機構に取り付けて使用できる。た
だし、プラウ作業装置25、及び、ブームスプレア20
については後記するので、当初はロータリ耕耘装置5を
主として記述する。
【0011】図2に示すように、リフトシリンダ1、及
び、ローリングシリンダ7に対する油圧系が形成されて
いる。つまり、エンジンEで駆動される油圧ポンプPか
らの作動油をフロープライオリティ弁10を介して分流
し、一定量の制御流を電磁操作型のローリング制御弁1
1に供給すると共に、フロープライオリティ弁10から
の余剰流を電磁比例型の昇降制御弁Vに供給する油路系
が構成されている。ローリング制御弁11は電気信号に
基づいてローリングシリンダ7を収縮作動させる収縮位
置と、伸張作動させる伸張位置と、伸縮を阻止する中立
位置とに切換自在に構成されている。
【0012】昇降制御弁Vは、リフトシリンダ1に対し
て作動油を供給する上昇制御弁12と、この上昇制御弁
12をパイロット圧で開閉操作する上昇用パイロット弁
12Pと、リフトシリンダ1から作動油を排出する下降
制御弁13と、この下降制御弁13をパイロット圧で開
閉操作する下降用パイロット弁13Pとを備えて構成さ
れている。上昇用パイロット弁12P及び下降用パイロ
ット弁13Pは夫々の電磁ソレノイド12S,13Sに
供給される電流値に正比例して開度が変化してパイロッ
ト圧を変化させ、上昇制御弁12、下降制御弁13夫々
の開度を調節できるよう構成されている。つまり、昇降
制御弁Vは電磁比例制御弁に構成されているのである。
【0013】このように構成されているので、ロータリ
耕耘装置5を上昇させる場合には上昇用パイロット弁1
2Pの電磁ソレノイド12Sに対して電流を供給し、こ
の電流の電流値を調節することで上昇用パイロット弁1
2Pの開度が電流値に正比例して変化して、この上昇用
パイロット弁12Pから上昇制御弁12に作用するパイ
ロット圧が変化して上昇制御弁12の開度が電流値と比
例した値に設定される結果、リフトシリンダ1に対して
開度に比例した量の作動油が供給されてロータリ耕耘装
置5の上昇速度が決まるものとなる。これと同様にロー
タリ耕耘装置5を下降させる場合には下降用パイロット
弁13Pの電磁ソレノイド13Sに対して電流を供給
し、この電流の電流値を調節することで下降用パイロッ
ト弁13Pの開度が電流値に正比例して変化して、この
下降用パイロット弁13Pから下降制御弁13に作用す
るパイロット圧が変化して下降制御弁13の開度が電流
値と比例した値に設定される結果、リフトシリンダ1か
ら開度に比例した量の作動油が排出されてロータリ耕耘
装置5の下降速度が決まるものとなっている。
【0014】図3に示すように、マイクロプロセッサを
備えた制御装置16に対して車体に備えたポジションレ
バー17(目標作動量を設定する設定器の一例)の操作
位置を計測するポテンショメータ型のレバーセンサ17
Sと、前記リフトアーム2の揺動量を計測するポテンシ
ョメータ型のリフトアームセンサ2S(油圧アクチュエ
ータの作動位置を検出する動作位置検出センサの一例)
と、ロータリ耕耘装置5の耕深を設定するようダイヤル
18で操作されるポテンショメータ型の耕深設定器18
S(目標作動量を設定する設定器の一例)と、前記ロー
タリ耕耘装置5の後カバー5Aの揺動量を計測して該ロ
ータリ耕耘装置5の耕深を計測するポテンショメータ型
のカバーセンサ5S(油圧アクチュエータの作動位置を
検出する動作位置検出センサの一例)との信号がA/D
変換器19を介して入力する系を形成すると共に、この
制御装置16から前記上昇用パイロット弁12P、下降
用パイロット弁13P夫々の電磁ソレノイド12S,1
3Sに電流を供給するための電力系を形成してある。
【0015】この農用トラクタではレバーセンサ17S
で設定されたロータリ耕耘装置5の対車体高さと、リフ
トアームセンサ2Sで計測されるロータリ耕耘装置5の
対車体高さが略一致するまでロータリ耕耘装置5の昇降
を行うポジション制御と、耕深設定器18で設定された
耕深と、カバーセンサ5Sで計測されるロータリ耕耘装
置5の耕深とが略一致するようロータリ耕耘装置5の昇
降を行う自動耕深制御との2種のフィードバック制御を
行う。
【0016】次に、ポジション制御について説明する。
スタート流量QS は、図9に示すように、時間に応じて
流量が増大する特性線に沿って選定され、偏差流量QH
は、図10に示すように、レバーセンサ17S等の設定
系における設定信号と、リフトアームセンサ2S等で成
るフィードバック系の検出信号とに基づいて、偏差が大
きくなる程大容量となるように特性線に沿って選定され
る。これら二つの流量によって基本的制御を行うには、
図5において昇降制御を行う部分を拡大した図6に示す
ように、制御開始時においては、スタート流量QS は零
値から僅かに大きな流量であり、ポジションレバー17
等の設定値とリフトアームセンサ2Sの検出値との偏差
は大であるので偏差流量QH は大となるところから、ス
タート流量QS で制御を開始することになる。
【0017】図5に示すものは、作業装置としてブーム
スプレア20を搭載した場合を想定しており、リフトシ
リンダ1において作動油の流失が起こりブームスプレア
20が下降して設定高さの不感帯域より外れた状態を人
為的に作り出した場合のテスト結果についてグラフ化し
たものである。つまり、ポジション制御によって所定高
さに作業装置を一旦設定した状態で、人為的にリフトシ
リンダ1より作動油を流失させて、10秒後に不感帯域
を越えて作業装置が下降するので、この時点より元の高
さに戻すように修正制御が行われる。つまり、図5及び
6に示すように、12.2秒過ぎを起点として偏差流量
H より少ない流量のスタート流量QSによって制御を
開始し、スタート流量QS が偏差流量QH より大きくな
る12.5秒過ぎまでの、0.21秒間においては、ス
タート流量QS を徐々に増加させてリフトシリンダ1を
伸長作動させる。以後は、スタート流量QS より小さく
なる偏差流量QH によって制御を行う。偏差流量QH
スタート流量QS も徐々に減少するように制御される。
したがって、運転流量を示す最終昇降流量Qe は運転前
半においてはスタート流量QS が該当し、0.21秒後
からの運転後半においては偏差流量QH で制御を行って
いる。この制御において使用したスタート流量QS は図
4に示すように、立ち上がりが急傾斜のものを使用した
ものである。
【0018】つまり、スタート流量QS として増加傾斜
の異なる二種類のものが設けてあり、緩傾斜のものは穏
やかに作業装置を昇降させる場合に使用されるものであ
り、急傾斜のものが作業装置を急速昇降させる場合に使
用されるものである。上記した図5及び6に示すグラフ
は前記した急傾斜のスタート流量QS ''を使用して行っ
たものであり、作業装置としてブームスプレア20を搭
載した場合には高さを修正する作業時に昇降速度が高速
になりすぎて、ブームスプレア20の貯留タンク21か
ら水が飛び出す等の不都合を来すことがある。
【0019】そこで、図5及び6に示す場合に使用した
急傾斜のスタート流量QS ''に代えて穏やかなスタート
流量QS ' でテストを行った結果が図7及び図8であ
る。ここでは、スタート流量QS ' の傾斜が穏やかであ
るので、昇降に必要な昇降流量が4.2リットルから
2.5リットルに少なくなり、その量を供給するのに
0.21秒から1.2秒かかることになって、穏やかに
作業装置を昇降させて高さ修正を行うことができるよう
になった。
【0020】次のテスト結果を踏まえて二種類のスター
ト流量QS ' ,QS ''を選択する制御形態をポジション
制御時のもので説明する。つまり、図5及び図11のフ
ローチャートに示すように、ポジションレバーセンサ1
7Sの設定値(信号値)Loとリフトアームセンサ2S
の検出値(信号値)LS との間に偏差が生じた場合に
は、ポジションレバー17が操作されたか否かを判定す
べく、レバーセンサ17Sの信号値Lo の変化率によっ
て判断する(#1〜#5)。レバーセンサ17Sの信号
値が変化したか否かを判断して、二種類あるスタート流
量QS ' ,QS ''のいずれを選択するか否かを決定す
る。つまり、レバーセンサ17Sの信号値に変化があれ
ば、運転者がポジションレバー17を操作したものと判
断でき、ポジションレバー17への操作があれば、急傾
斜のスタート流量QS ''を選択する(#7)。ポジショ
ンレバー17への操作が確認できないのに、リフトアー
ムセンサ2Sの信号値に変化が出たならば、前述したよ
うにリフトシリンダ1において作動油の流失があったも
のと判断して、穏やかな傾斜のスタート流量QS ' で制
御を行う(#6)。
【0021】スタート流量QS ' ,QS ''の選択が済む
と、次に偏差流量QH との大小を判断し、いずれか小さ
な流量で制御を開始する。選定された流量QS 、QH
対して昇降制御弁Vの駆動する為の目標電流値Iを求
め、この目標電流値Iを現出するに必要なデューティ比
Dを設定して、昇降制御弁Vによってリフトシリンダ1
を駆動する。
【0022】上記した二種類のスタート流量QS ' ,Q
S ''の一方を選択して制御を行う可能性のある制御形態
としては、プラウ作業におけるドラフト制御と自動耕深
制御における強制昇降スイッチ14とが挙げられる。こ
のドラフト制御を行う場合には、操縦部に設けたポテン
ショメータ型のドラフト設定器8の設定値と、プラウ等
の作業装置に作用する作業抵抗を検出すべく、ロアーリ
ンク4に設けたドラフトセンサ9の検出値とが一致する
ようにプラウ作業装置25を昇降させる制御を行う。ド
ラフト制御においては、過負荷を回避する必要があると
ころから、緩傾斜のスタート流量QS ' を使用せず、急
傾斜のスタート流量QS ''を使用する。一方、自動耕深
制御においては、強制昇降スイッチ14への操作によっ
てロータリ耕耘装置5の上昇作動と下降作動を繰り返さ
せるものであるが、ロータリ耕耘装置5の上昇限を設定
する上限設定器15を設けてある。したがって、上限設
定器15を操作して上限位置を変更した場合には、急傾
斜のスタート流量QS ''を使用して作業装置を昇降させ
て、上限位置を修正するように構成する。
【0023】次に、ブームスプレア20について説明す
る。図13に示すように、ブームスプレア20は、肥料
を貯留する貯留タンク21と、貯留タンク21からの液
剤を散布用のブーム22に送り込み、液剤を噴霧ノズル
23より噴出させる噴霧ポンプ24とを設けて構成して
ある。ブームスプレア20を取り付けた場合のポジショ
ン制御は図11のフローチャートによって行われる。
【0024】〔別実施の形態〕 イ. 本発明は上記実施の形態以外に、例えば、自動耕
深制御や、ローリング制御に適用することが可能であ
り、又、プラウ等の作業装置の昇降を行うドラフト制御
に適用することも可能である。 ロ. 上記実施例においては、リフトシリンダ1に供給
する作動油の流量を、スタート流量QS と偏差流量QH
とのいずれか小さい方の流量を採用することにしていた
が、スタート流量QS だけで制御を行ってもよい。 ハ. リフトシリンダ1 等の油圧アクチュエータの動作
位置を検出するセンサとしては、そのアクチュエータで
駆動されるリフトアーム2の動きを捉えるようにしてあ
るが、油圧アクチュエータそのものの動きを捉えるスト
ロークセンサ等を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】農用トラクタ後部の斜視図
【図2】油圧回路図
【図3】制御ブロックを示す図
【図4】特性の異なる二種類のスタート流量を示す図
【図5】急傾斜スタート流量を採用した場合における、
ポジションレバーセンサとリフトアームセンサとに偏差
が生じた場合のポジション制御におけるリフトアームに
投入される油量を示す図
【図6】図5における制御部分の拡大図
【図7】緩傾斜スタート流量を採用した場合における、
ポジションレバーセンサとリフトアームセンサとに偏差
が生じた場合のポジション制御におけるリフトアームに
投入される油量を示す図
【図8】図7における制御部分の拡大図
【図9】スタート流量の時間的変化を示す図
【図10】偏差流量と偏差との関係を示す図
【図11】緩傾斜スタート流量と急傾斜スタート流量と
の選択制御を示すフローチャート
【図12】プラウ作業装置を示す側面図
【図13】ブームスプレアを示す側面図
【符号の説明】
1 油圧アクチュエータ 2S,9 動作位置検出センサ 16 制御装置 8,15,17S 設定器 20,25 作業装置 QS ,QS ',QS '' スタート流量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B304 KA11 LA02 LA06 LA07 LB05 LB15 MA03 MA04 MA15 MB02 MC02 MD02 MD03 PA01 PA11 PD18 PD19 QA03 QA08 QA12 QB02 QB13 QB15 QC03 QC14 QC17 RA28 3H089 AA35 AA58 CC01 CC11 DA02 DA13 DB03 DB17 DB33 DB46 DB48 DB49 EE31 FF03 GG02 JJ01 JJ07 JJ17 5H303 AA08 BB06 BB11 CC08 DD07 EE01 EE03 EE08 FF03 JJ06 JJ09 JJ10 KK22 KK23 KK24 KK36 QQ02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業装置の目標位置を設定する設定器か
    らの設定信号と、前記作業装置の移動位置を検出する動
    作位置検出センサからの検出信号とが入力する制御装置
    を備え、前記設定信号に基づいて前記作業装置を目標位
    置に維持するように油圧アクチュエータを駆動制御すべ
    く構成してある作業車であって、 前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給量を、時
    間の経過に伴って増加させる増加割合が異なる大小複数
    のスタート流量特性を設定し、そのいずれか一つのスタ
    ート流量特性を選定し選定スタート流量特性で前記作動
    油の供給量を制御すべく構成するとともに、前記設定器
    に対する設定値を変更する操作を行って前記油圧アクチ
    ュエータへの動作指令が発せられた場合には、前記設定
    器への操作が行われずに前記動作位置検出センサからの
    信号と前記目標位置とが異なるものに変動して前記油圧
    アクチュエータへの動作指令が発せられる場合に比べ
    て、大きな増加割合の特性のスタート流量で前記油圧ア
    クチュエータを駆動制御するように構成してある作業
    車。
  2. 【請求項2】 作業装置の目標位置を設定する設定器
    が、前記作業装置の対走行機体高さを設定するポジショ
    ン設定器である請求項1記載の作業車。
  3. 【請求項3】 作業装置の目標位置を設定する設定器
    が、作業装置の対機体上昇限位置を設定する上限設定器
    であり、前記作業装置を前記上限設定器で設定された対
    機体上限位置に強制的に上昇作動させる強制昇降手段を
    設けてある請求項1記載の作業車。
  4. 【請求項4】 油圧アクチュエータによって昇降駆動さ
    れる作業装置に対する基準作業負荷を設定する設定器か
    らの設定信号と、前記作業装置に作用する実作業負荷と
    を検出する負荷検出センサからの検出信号とが入力する
    制御装置を備え、前記設定信号に基づいて前記作業負荷
    を基準作業負荷に維持するように前記作業装置を昇降制
    御すべくドラフト制御手段を構成してある作業車であっ
    て、 前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給量を、時
    間の経過に伴って増加させる増加割合が異なる大小複数
    のスタート流量特性を設定し、そのいずれか一つのスタ
    ート流量特性を選定し選定スタート流量特性で前記作動
    油の供給量を制御すべく構成するとともに、前記ドラフ
    ト設定器に対する設定値を変更する操作を行って前記油
    圧アクチュエータへの動作指令が発せられた場合、及
    び、前記設定器への操作が行われずに前記作業負荷検出
    センサからの信号と前記作業負荷の設定値とが異なるも
    のに変動して前記油圧アクチュエータへの動作指令が発
    せられる場合のいずれの場合にも、大きな増加割合の特
    性のスタート流量で前記油圧アクチュエータを駆動制御
    するように構成してある作業車。
  5. 【請求項5】 油圧アクチュエータによって昇降駆動さ
    れる作業装置に対する基準作業負荷を設定するドラフト
    設定器からの設定信号と、前記作業装置に作用する実作
    動負荷とを検出するドラフト負荷検出センサからの検出
    信号とが入力する制御装置を備え、前記ドラフト設定信
    号に基づいて前記作業負荷を基準作業負荷に維持するよ
    うに前記作業装置を昇降制御すべくドラフト制御手段を
    構成するとともに、 前記作業装置を走行機体に対して任意の高さに設定する
    ポジション設定器からの設定信号と、前記作業装置の対
    走行機体高さを検出する高さ検出センサからの検出信号
    とを前記制御装置に投入し、前記ポジション設定信号に
    基づいて前記作業装置の対走行機体高さを設定高さに維
    持するポジション制御手段を構成してある作業車であっ
    て、 前記油圧アクチュエータに対する作動油の供給量を、時
    間の経過に伴って増加させる増加割合が異なる大小複数
    のスタート流量特性を設定し、そのいずれか一つのスタ
    ート流量特性を選定し選定スタート流量特性で前記作動
    油の供給量を制御すべく構成するとともに、 前記ポジション設定器に対する設定値を変更する操作を
    行って前記油圧アクチュエータへの動作指令が発せられ
    た場合には、前記ポジション設定器への操作が行われず
    に前記高さ検出センサからの信号と前記目標高さとが異
    なるものに変動して前記油圧アクチュエータへの動作指
    令が発せられる場合に比べて、大きな増加割合の特性の
    スタート流量で前記油圧アクチュエータを駆動制御する
    ように構成し、 前記ドラフト設定器に対する設定値を変更する操作を行
    って前記油圧アクチュエータへの動作指令が発せられた
    場合、及び、前記設定器への操作が行われずに前記作業
    負荷検出センサからの信号と前記作業負荷の設定値とが
    異なるものに変動して前記油圧アクチュエータへの動作
    指令が発せられる場合のいずれの場合にも、大きな増加
    割合の特性のスタート流量で前記油圧アクチュエータを
    駆動制御するように構成してある作業車。
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