JP2002227854A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

Info

Publication number
JP2002227854A
JP2002227854A JP2001029103A JP2001029103A JP2002227854A JP 2002227854 A JP2002227854 A JP 2002227854A JP 2001029103 A JP2001029103 A JP 2001029103A JP 2001029103 A JP2001029103 A JP 2001029103A JP 2002227854 A JP2002227854 A JP 2002227854A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
rolling
bearing
life
rolling element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001029103A
Other languages
English (en)
Inventor
Susumu Tanaka
進 田中
Shigeru Okita
滋 沖田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2001029103A priority Critical patent/JP2002227854A/ja
Publication of JP2002227854A publication Critical patent/JP2002227854A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/32Balls
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/58Raceways; Race rings
    • F16C33/62Selection of substances
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/04Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
    • F16C19/06Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
    • F16C2204/60Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • F16C2204/70Ferrous alloys, e.g. steel alloys with chromium as the next major constituent

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 白色組織の発生に伴う剥離損傷を抑制でき、
かつ高温・高速等の過酷な環境下でも好適に使用できる
転がり軸受を提供する。 【解決手段】 転がり軸受の外輪28〜20重量%のC
rを含み、HRC57以上の硬度を有する高クロム鋼で
構成される。一方、転動体3は高炭素クロム軸受鋼で構
成され、転動体3の表面にはHv1100〜1310の
表面硬さを有する窒化層が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールベアリン
グ、ローラベアリング等の転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】オルタネータ、電磁クラッチ、水ポンプ
等のエンジン補機や無段変速機あるいはコンプレッサな
どで使用される転がり軸受は、一般に、支持すべき軸に
外嵌される内輪と、この内輪の外周に設けられた外輪と
を有し、例えば内輪が支持すべき軸と一体に回転する
と、内輪と外輪との間に配設された複数の転動体がその
表面を内輪の外周面や外輪の内周面に接触させながら転
動するとともに、転動体を保持する保持器が内輪と外輪
の周方向に回動するようになっている。従って、このよ
うな転がり軸受は転動体との接触による応力が内輪と外
輪に繰り返し作用するため、硬くて負荷に耐えられ、転
がり疲労寿命が長く、しかも滑りに対する耐摩耗性が良
好な材料で内輪や外輪および転動体を形成する必要があ
る。
【0003】そこで、一般的には、軸受鋼であれば日本
工業規格のSUJ2が内輪や外輪および転動体の構成材
料として用いられ、転がり疲労寿命を確保するために、
焼入れ・焼戻しが施されてHRC58〜64の硬度とさ
れている。このような転がり軸受を一般の機械に使用す
る場合にはあまり問題とならないが、オルタネータ等の
エンジン補機に使用する場合には、高温・高振動および
高荷重の環境下で使用されるため、計算で得た寿命に比
べて剥離損傷(フレーキング)が早期に発生することが
ある。ここで、剥離損傷はグリース等の潤滑剤中に含ま
れている水分あるいは結露により生じた水分が分解し、
これに伴って発生した水素イオンが内外両輪の軌道面に
吸着し、さらに水素原子となって高ひずみ場(最大せん
断応力位置近傍)へ集積されることにより、軌道面の金
属組織を白色組織(white structure)と呼ばれる金属
疲労組織に変化させることによって生じる現象であると
考えられている。このような白色組織は、転動体の表面
にも発生することがあるが、通常は固定輪(例えば外
輪)の軌道面に発生することが多い。
【0004】ところで、このような過酷な条件下で使用
される転がり軸受の寿命向上を図る従来技術としては、
特公平7−72556号公報および特開平2−1906
15号公報に開示されたものなどがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
7−72556号公報に開示されたものは、内外両輪の
軌道面下における残留オーステナイトの分解による塑性
変形を防止することを目的としており、白色組織による
剥離損傷の発生防止効果を期待することはできない。
【0006】また、特開平2−190615号公報に開
示されたものは、軌道面に黒染めと呼ばれる酸化鉄被膜
を形成して転がり軸受の寿命延長を図ろうとするもので
あり、高振動下または大きな滑りを伴う場合には、酸化
鉄被膜が容易に切断され、前者と同様に白色組織による
剥離損傷の発生防止効果を期待することはできない。ま
た、軸受を複列化して荷重条件等を緩和することも一つ
の改善策となり得るが、エンジンの小型化および軽量化
等の観点からは最善の策とは言えず、さらに前述した従
来技術を駆使しても白色組織の発生を完全に抑制するこ
とはできない。また、白色組織の発生に伴う早期剥離は
エンジン補機に使用される軸受に限らず、近年では各種
コンプレッサや無段変速機等で使用される転がり軸受に
おいても発生する現象であることが判明してきており、
今後、白色組織の発生を抑制し、高温・高負荷の条件下
でも長期の使用に耐え得る転がり軸受の要求が益々高く
なってくるものと考えられる。
【0007】そこで本発明の目的は、上記の問題点を解
決し、白色組織の発生に伴う剥離損傷を抑制でき、かつ
高温・高速等の過酷な環境下でも好適に使用できる転が
り軸受を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明者らは、先ず、転がり軸受の早期短寿命の
原因となる白色組織が微細なフェライト粒の集合体から
なり、その白色組織近傍のセメンタイト(Fe3C)が
消失しているという事実を考慮し、軌道面の金属組織が
白色組織へ変化する第1のステップが基地組織へのセメ
ンタイトの溶解にあると考えた。そして、このセメンタ
イトの溶解が侵入した水素により引き起こされるのか、
それとも高いせん断応力と高振動による複合応力場との
関係で引き起こされるのかは完全に明らかとなっていな
いが、基地組織にセメンタイトが溶解することにより炭
素濃度が局部的に高くなり、これに伴い炭素の拡散が起
こり易くなり、さらに極めて大きな加工エネルギを受け
ることにより、金属組織を白色組織へ変化させる駆動力
が高まり、炭素を過飽和に固溶したフェライト粒(厳密
には、微細フェライト粒の粒界に炭素が濃縮されている
ものと推定される)が生成されるものであると推定し
た。
【0009】このような見解に立脚して、本発明者ら
は、セメンタイトを基地組織中に溶解し難くする方法が
極めて有効であると考えた。そこで、先ず、鋼中に含有
する炭化物をセメンタイトの形態から(Fe,Cr)23
6、(Fe,Cr)73等の炭化物、つまりより安定な
高クロム系の材料に特有な炭化物の形態に変えることに
より、寿命延長効果を期待できないかを鋭意検討した。
そして、本発明者らは、CとCrの含有量が各々異なる
多数種類のクロム鋼を用いて軸受の寿命試験を行い、炭
化物を含有する鋼の中でCr含有量が8重量%以上であ
る鋼を軸受材料として用いると、白色組織が極めて起こ
り難くなるという知見を上記の寿命試験から得た。
【0010】このような高クロム鋼は、SUJ2のよう
な高炭素クロム軸受鋼に比較して耐熱性があり、より高
温下での使用にも耐え得るが、Cr含有量が高いと以下
の問題が生じる。すなわち、鋼中のCr含有量が高くな
ると、Crが炭素との親和性が高いということもあり、
炭素を多量に含有している鋼(例えばマルテンサイト系
ステンレス鋼であるSUS440C等)の場合、製鋼時
の凝固過程で長径20μmを超えるような粗大共晶炭化
物が生成され、これが応力起点となって転がり軸受の寿
命を低下させる。さらに、Cr含有量の増加に伴い鋼の
熱伝導率が低下するため、高温・高速下で使用される場
合には耐焼付性が問題となる。
【0011】したがって、SUS440C等の高炭素高
クロム鋼では、含有される炭化物が(Fe,Cr)23
6、(Fe,Cr)73等の炭化物であるため、白色組
織への変化に対しては高い抵抗性を示すものの、一般の
転がり寿命に関しては、前述した粗大共晶炭化物の影響
のために、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼には及ば
ず、必ずしも長寿命を達成できないこととなる。さら
に、耐焼付性の点でもSUJ2より極めて劣っている。
【0012】そこで、本発明者らは、さらに詳細な検討
を行い、Cr含有量が8〜20重量%であって、CとC
rの含有量がC%≦−0.05Cr%+1.41の関係
を満足し、かつHRC57以上の硬度を有する高クロム
鋼を外輪等の固定輪または転動体の構成材料として用い
れば、粗大共晶炭化物に起因した転がり寿命の低下を引
き起こすこともなく早期フレーキングを抑止できるとい
う知見を上記の寿命試験から得た。さらに、本発明者ら
は、固定輪または転動体と接触する相手部材(転動体ま
たは固定輪)を高炭素クロム軸受鋼で構成すれば、高ク
ロム鋼の欠点でもある耐焼付性の低下を効果的に抑制で
き、従来の軸受と同等の耐焼付性が得られるという知見
を実験により得た。なお、この場合において、相手部材
は従来の高炭素クロム軸受鋼で構成することとなるが、
前記高Cr鋼が相手部材である場合には、表面層のCr
酸化層の影響のためか、組織変化を遅滞させる効果があ
り、全体として長寿命化を達成できることとなる。さら
にまた、固定輪または転動体の表面に、Hv1100〜
1403程度の表面硬さを有する窒化層を形成すると、
白色組織による早期フレーキングを抑制できることは勿
論のこと、従来の軸受に比較して耐熱性だけでなく、耐
焼付性をも格段に向上させることができるという知見を
実験により得た。
【0013】このような理由により、本発明のうち請求
項1に係る発明は、支持すべき軸に外嵌される内輪と、
この内輪の外周に設けられた外輪と、この外輪の軌道面
および前記内輪の軌道面との間で転動自在に配設された
複数の転動体とを備えた転がり軸受において、前記外
輪、内輪のうちの少なくとも固定輪又は転動体のいずれ
かが8〜20重量%のCrを含む鋼からなり、かつHR
C57以上の硬度を有し、前記固定輪又は転動体の少な
くとも1つと接触する部材が高炭素クロム軸受鋼で構成
されることを特徴とする。
【0014】また、本発明のうち請求項2に係る発明
は、前記固定輪又は転動体の少なくとも1つが前記軌道
面および/又は前記転動体の表面にHv1100〜13
10の表面硬さを有する窒化層を有することを特徴とす
る。ここで高クロム鋼のCr含有量を8〜20重量%に
限定した理由は、Cr含有量が8%より少なくなると前
述の組織変化に対する遅滞理由が十分に得られず、Cr
含有量が20%を超えると前述の粗大共晶炭化物あるい
は靭性に有害なフェライトの生成を伴うという理由から
である。
【0015】また、HRC57以上の硬度を有する高ク
ロム鋼を用いる理由は、繰り返し応力に対する十分な疲
労強度を確保するためである。なお、その表面層に窒化
層を形成させた場合であっても、同様である。この場合
において、窒化層の表面硬さがHv1100より小さい
と、耐焼付性等に対する効果が不足するため、その下限
をHv1100以上とし、Hv1500を超える硬さを
得るには、現実的に難しく、実績を考慮して窒化層の硬
さをHv1100〜Hv1500とした。
【0016】本発明における高炭素クロム軸受鋼として
は、炭素含有量が過共析組成のクロム鋼あるいはクロム
・モリブデン鋼を意味し、具体的には、SUJ2、SU
J3等の一般軸受鋼やこれに類似の浸炭鋼あるいは高炭
素構造用鋼などを使用できる。また、耐熱性や耐焼付性
あるいは転がり寿命を向上させることを目的として、そ
の表面に浸炭窒化処理を施したものであっても良い。
【0017】また、高クロム鋼は軌道面等の金属組織が
白色組織へ変化することに伴う寿命低下を抑制するため
に、8〜20重量%のCrを含有し、十分な転がり寿命
も確保すために焼入れ焼戻し後において、HRC57以
上の硬化能を有する。ただし、前述した通り、Cr含有
量が多い鋼の場合であって、HRC57以上を満足しよ
うとする場合には、必然的に相当量の炭素濃度が必要と
され、その結果、凝固過程で20μmを超えるような粗
大共晶炭化物が生成される場合がある。このような粗大
共晶炭化物が生成された場合には、従来の高炭素クロム
軸受鋼の場合に比較して、軌道面等の金属組織変化に起
因する早期フレーキングにおいては抑止効果があるが、
粗大共晶炭化物が応力起点となるため、別の要因で転が
り疲労寿命が改善されないこととなる。したがって、C
とCrの含有量の関係がC%≦−0.05Cr%+1.
41を満足する高クロム鋼であることが好ましい。
【0018】また、高クロム鋼には、セメンタイトより
も安定な(Fe,Cr)236、(Fe,Cr)73
の炭化物が含まれており、水素が浸透した場合において
も白色組織への変化に対する抑止力が極めて高く、良好
な転がり疲労寿命特性を有する。また、炭素の一部を窒
素で置換した場合には、さらに炭化物の微細化が図れる
ことに加え、窒素の効果により耐食性も向上するので、
好ましくは、0.05〜0.2重量%程度の窒素を含む
鋼であることが好ましい。ただし、窒素濃度が0.2重
量%以上である場合(例えば0.3〜0.4重量%)に
は、一般の溶解法では、凝固過程でのブローホール等が
問題となり、実質不可能であるが、加圧エレクトロスラ
グ再溶解法(PESR)等の特殊溶解法によれば可能で
あるため、本願発明に含むものとすることができる。
【0019】本発明に係る転がり軸受においては、内輪
または外輪若しくは転動体を構成する材料の金属組織が
白色組織へ変化することによる早期フレーキングを効果
的に抑制するとともに、高クロム鋼の欠点である耐焼付
性を克服することが可能となる。また、外輪等の固定輪
または転動体のいずれかが、必然的に高炭素クロム軸受
鋼であることを要するため、それぞれの使用用途に応
じ、早期フレーキングが生じるような場合には、固定輪
または転動体のいずれかにHv1100〜1500の表
面硬さを有する窒化層を形成することにより解決するこ
とが可能となる。
【0020】また、内輪が固定輪である場合において
は、高クロム鋼の線膨張係数が高炭素クロム軸受鋼やそ
の他一般炭素鋼と比較しても小さく、且つ鋼中に残留オ
ーステナイトが存在する場合においてもそれが極めて安
定で分解しにくいため、内輪クリープやすきま減少等に
よる焼付き要因を抑えることができる。また、転動体が
高炭素クロム軸受鋼の場合、保持器をプラスチック製の
ものとすれば、スチール製のものに比較して、転動体に
起因した早期フレーキングを抑制できる傾向にあるた
め、好ましくは保持器をプラスチック製(耐熱性が求め
られる場合には、耐熱プラスチック製)のものにすると
良い。
【0021】よって、本発明の最も好ましい実施態様と
しては、固定輪に相当する外輪または内輪のいずれかが
高クロム鋼、転動体が高炭素クロム軸受鋼、保持器がプ
ラスチックからなる構成とすることが良い。もちろん、
転動体の早期フレーキングが特に問題となる場合には、
上記構成には限定されない。プラスチック製保持器を使
用することによって転動体に起因する早期フレーキング
を抑制できる理由としては、保持器がスチール製の場合
には保持器と転動体との高振動下での金属接触により新
生面が生じやすく、水素が容易に浸透しやすいのに対し
て、保持器がプラスチック製の場合には転動体と保持器
との金属接触がなくなったことにより、これが幾分抑制
されるためではないかと考えられる。また、静粛性等が
要求されるような場合においても保持器をプラスチック
製とすることが好ましい。
【0022】さらに、前記高クロム鋼の表面に、Hv1
100〜1500の窒化層を形成することにより、上記
の特性を維持したまま、従来の軸受よりさらに耐熱性お
よび耐焼付性を向上させることが可能となる。次に、上
述の窒化層について説明する。窒化処理にはガス窒化、
塩浴窒化、イオン窒化等があげられるが、一般の窒化処
理は処理温度が480〜600℃と比較的高く、その
際、芯部は焼戻し作用により軟化することとなり、転が
り軸受に高荷重が加わると、深さ方向に大きなせん断応
力を受けて十分な寿命を満足できないこととなる。
【0023】そこで、芯部硬度をHRC57以上確保で
きる条件下で窒化層の形成を行う。また、窒化処理温度
が高いと、窒化処理後において精度低下が著しく、軸受
の諸機能あるいはその後の追加工事において不具合を生
じる。したがって、窒化処理の温度は450℃以下、好
ましくは420℃以下とする。また、窒化層は処理温度
が低いほど緻密で、かつ粗悪なポーラス層は生成されな
い。
【0024】一般のガス窒化処理の場合は、Crを多量
に含有する鋼の場合には、表面層に緻密なCr層が形成
されているために、これが窒化を阻害し、均一な窒化層
を形成できなくなる場合があるため、例えば、Nv窒化
プロセス(大同ほくさん株式会社の商品名)等が好適に
使用できる。この処理は、窒化処理の前処理として、例
えばNF3(三フッ化窒素)等のフッ素系ガスを用いて
250〜400℃程度でフッ化処理を行うプロセスとN
3ガスによる窒化処理を行うプロセスとからなってい
る。フッ化処理によって、窒化反応を阻害するCr酸化
層が除去されて、表面層に極薄いフッ化層が形成されて
表面が極めて活性化し、その後の窒化処理によって40
0℃程度の低い温度でも非常に均一な窒化層を形成する
ことが可能となる。その結果、表面に形成された窒化層
は非常に緻密かつ硬質なものであって、かつ窒化処理後
に軸受部品の精度が劣化することも抑えられるという利
点もある。
【0025】また、上記のプロセスはあくまで例示であ
って、塩浴窒化であっても、塩浴の組成によっては、そ
の融点を420〜430℃とすることは一応可能であ
り、処理温度が450〜480℃程度の低温塩浴窒化
で、例えばパルソナイト処理(日本パーカライジング株
式会社の商品名)であっても良い。また、その他、浸硫
窒化処理等の窒化方法であっても、上記品質を達成でき
るものであれば良い。
【0026】その結果、表面層には、Hv1100以上
の窒化層が形成され、この窒化層には、(Fe,Cr)
24N、CrN、Cr2N等の微細な窒化物が多量に析
出した窒化層が形成されて、耐焼付性が飛躍的に向上す
る。特に、好ましくはHv1100〜1310程度とす
るのが良い。ここで、本発明における好ましい窒化層の
形態について説明する。
【0027】一般に、窒化処理後には、部材の表面に擬
似セラミックス層(Fe2N(ξ相)、Fe23N(ε
相)、Fe4N(γ‘相)等の窒化物層)からなる第1
層と、その直下の多量の窒化物(Fe23N、CrN、
Cr2N等)及び焼戻しマルテンサイトからなる第2層
とで構成されている。第1層の擬似セラミックス層は、
処理温度が高いほど厚く、膜状に形成されやすい。この
擬似セラミックス層は摺動性に優れるため、各種摺動部
材には好適に使用できる場合も多いが、第2層と比べて
非常に脆い性質を有している。したがって、大きなせん
断応力や高振動下で使用される転がり軸受の場合には、
このような層が出来るだけ無いことが好ましい。
【0028】本発明における窒化層は、窒化処理温度も
低く、比較的、前述した第1層が生成しにくいが、場合
によってはそのような窒化層が生成する場合も予想され
るため、窒化処理後にバレル加工、ドライホーニング加
工、あるいは研磨、ラップ加工によりそれらを除去し、
第2層の焼戻しマルテンサイトを含む窒化層とすること
が好ましい。さらに好ましくは、表面窒素濃度が3重量
%以上、鋼中のCr含有量との関係において、0.26
Cr重量%+4.42を超えない窒化層とする。
【0029】また、必要以上の厚い窒化層を設けること
は、すなわち窒化処理時間の延長につながり、処理コス
トおよび窒化処理後の精度低下、仕上げ加工時のコスト
増大、さらには表面組織が粗くなって諸特性が低下する
等、好ましくない。したがって、好ましくは、機能を十
分確保するために、その下限を10μm以上とし、前記
理由から窒化層の厚さを転動体直径Daの6%以下とす
る。
【0030】上述の通り、窒化層を形成させた場合に
は、白色組織変化を防止できて、且つ、耐焼付性をさら
に向上させることが可能となる。なお、この場合も、本
発明における第1の態様と同様、接触する相手部材が高
炭素クロム軸受鋼であることを要するが、両者が共に第
2の態様を満足する構成とした場合に限り、固定輪、転
動体ともに組織変化による早期フレーキングを防止でき
て、第1の態様と同等以上の特性が得られるため、コス
ト増は免れないが、本発明の範囲とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明に係る転がり軸受
の一実施形態を示す断面図である。同図において、転が
り軸受5は、回転軸等の支持すべき軸に外嵌される内輪
1と、この内輪1の外周に設けられた外輪2と、この外
輪2の軌道面および内輪1の軌道面に表面を接触させな
がら転動する複数の転動体3と、これらの転動体3を内
外両輪1,2の周方向にほぼ等間隔に保持する保持器4
とから構成されている。
【0032】この場合、外輪2は固定輪であって、8〜
20重量%のCrを含み、かつHRC57以上の硬度を
有する高クロム鋼で構成されている。一方、転動体3は
炭素含有量が過共析組成以上の高炭素クロム軸受鋼で構
成され、その表面にはHv1100〜1500、好まし
くはHv1100〜1430の表面硬さを有する窒化層
が形成されている。
【0033】このような構成において、転動体3および
外輪2を表1に示されるクロム鋼M−1〜M−7の中の
1つでそれぞれ構成し、その耐久性について寿命試験を
行った。
【0034】
【表1】
【0035】ここで、表1に示されるクロム鋼M−1〜
M−7のうちM−5、M−6を除くクロム鋼M−1〜M
−4及びM−7は、Cr含有量が8〜20重量%で、か
つCとCrの含有量がC%≦−0.05Cr%+1.4
1の関係を満たすものであり、この関係を満たす鋼中に
は長径20μm以上の粗大共晶炭化物が含まれていない
ことが判明した。なお、鋼中の酸素量はいずれも20p
pm以下である。
【0036】また、表1のクロム鋼M−1〜M−7のう
ちM−1〜M−5及びM−7は、900〜1060℃に
一旦保持した後、油焼入れを行い、引き続きサブゼロ処
理と焼戻しを行ったものである。さらにM−1について
は、別途、焼入れ硬化処理を施したものを410℃×2
4〜48時間の窒化処理を行い、表面をさらに硬質化し
たものも用意した。
【0037】一方、M−6については、820〜860
℃に一旦保持した後、油焼入れを行い、引き続き焼戻し
を行ったものと、820〜860℃で浸炭窒化処理した
後、油焼入れ及び焼戻しを施したものとを用意した。な
お、軸受の軌道面はすべて超仕上げに供し、0.1μm
Ra以下とした。また、寿命試験に関しては、以下の条
件で行った。
【0038】すなわち、第1の寿命試験は、エンジン補
機用の軸受を想定し、型番6303の日本精工株式会社
製深溝玉軸受を使用して、図2(a)に示す環境下、つ
まりグリース潤滑下で行った。ここでの寿命試験は回転
数を所定時間毎(例えば9秒毎)に9000rpmと1
8000rpmとに切替える急加減速試験であり、荷重
条件はP/C(P:動等価荷重、C:基本動定格荷重)
=0.1、潤滑剤にはウレア系グリースを使用した。な
お、試験打ち切りは1500時間とし、n=10評価、
10寿命により評価した。
【0039】また、第2の寿命試験は、使用環境で水が
混入した場合を想定し、型番6206の日本精工株式会
社製深溝玉軸受を使用して、図2(b)に示す環境下、
つまり潤滑油VG68中に水道水を5%混入させた環境
下で行った。ここでの試験荷重はFr=900kgfで
あり、回転数を3900rpmとし、n=10評価、試
験打ち切りは1000時間とした。
【0040】なお、上記の試験において、鋼製保持器を
使用した場合は転動体3に早期フレーキングが発生する
ことが認められたため、保持器14はいずれもプラスチ
ック製のものを使用し、試験はいずれも初期振動の3倍
となった時点で停止し、フレーキングの有無を確認する
ことで行った。また、型番6303に関しては、軸受外
輪温度を170℃、内輪回転速度を13000rpm、
ラジアル荷重20kgfの条件下で、n=3連続運転を
行い、焼付までの時間についてもあわせて評価した。さ
らに、上述の評価に合わせて、これらの軸受が屋外で使
用される装置に使用され、耐食性も求められることもあ
るため、温度70℃、湿度98%の環境に2週間保持し
て発錆の程度も確認した。なお、図2において、6はシ
ャフト、7はプーリ、8はベースプレート、9はサポー
トベアリング、10はアルミニウムハウジング、11は
軸受取付けボルト、12は振動センサ、13は潤滑油、
14は油槽、15はラジエータ、16はポンプ、17,
18はフィルタを示している。
【0041】このような寿命試験の評価結果を表2及び
表3に、また表2及び表3の耐久寿命(1)と焼付き寿
命との関係を図3に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2において、A−1は固定輪(この場合
は外輪2)を表1の高クロム鋼M−1(Cr含有量:1
3.00重量%、C含有量:0.45重量%、硬さ:H
RC61.2)で形成すると共に転動体3を表1の高炭
素クロム軸受鋼M−6(Cr含有量:1.51重量%、
C含有量:1.05重量%、硬さ:HRC63.2)で
形成した転がり軸受である。また、A−2は固定輪を表
1の高クロム鋼M−2(Cr含有量:12.98重量
%、C含有量:0.65重量%、硬さ:HRC60.
2)で形成すると共に転動体3を前記高炭素クロム軸受
鋼M−6で形成した転がり軸受、A−3は固定輪を表1
の高クロム鋼M−3(Cr含有量:8.00重量%、C
含有量:0.70重量%、硬さ:HRC61.7)で形
成すると共に転動体3を高炭素クロム軸受鋼M−6で形
成した転がり軸受、A−4は固定輪を表1の高クロム鋼
M−4(Cr含有量:20.00重量%、C含有量:
0.32重量%、硬さ:HRC57.1)で形成すると
共に転動体3を高炭素クロム軸受鋼M−6で形成した転
がり軸受、A−5は固定輪を前記高クロム鋼M−1で形
成すると共に転動体3を浸炭窒化処理した高炭素クロム
軸受鋼M−6で形成した転がり軸受、A−6は固定輪を
前記高クロム鋼M−1で形成すると共に転動体3を浸炭
窒化処理した高炭素クロム軸受鋼M−6で形成した転が
り軸受、A−7は固定輪を前記高クロム鋼M−2で形成
すると共に転動体3を高炭素クロム軸受鋼M−6を用い
浸炭窒化処理をした転がり軸受、A−8は固定輪を前記
高クロム鋼M−3で形成すると共に転動体3を高炭素ク
ロム軸受鋼M−6を用い浸炭窒化処理をした転がり軸
受、A−9は固定輪を前記高炭素クロム軸受鋼M−6を
用い浸炭窒化処理をして形成すると共に転動体3を前記
高クロム鋼M−1で形成した転がり軸受である。
【0045】さらに表2において、B−1は固定輪およ
び転動体3を前記高クロム鋼M−2で形成した転がり軸
受、B−2は固定輪および転動体3を前記高クロム鋼M
−5で形成した転がり軸受、B−3は固定輪および転動
体3を前記高炭素クロム軸受鋼M−6で形成した転がり
軸受、B−4は固定輪を前記高クロム鋼M−5で形成す
ると共に転動体3を高炭素クロム軸受鋼M−6を用い浸
炭窒化処理をして形成した転がり軸受、B−5は固定輪
を前記高クロム鋼M−7で形成すると共に転動体3を高
炭素クロム軸受鋼M−6を用い浸炭窒化処理をして形成
した転がり軸受である。
【0046】表2に示される耐久寿命(1)は前記した
型番6303の寿命試験結果を示し、耐久寿命(2)は
型番6206の寿命試験結果を示している。また、表2
の耐久寿命(1)、(2)及び焼付き寿命は、比較例B
−3を1としたときの寿命比で示してある。さらに、耐
食性評価試験の結果、全く発錆がなかったものは○、や
や発錆が認められたものを△、著しく発錆が認められた
ものを×で記載した。
【0047】表2のA−1からA−9は本発明の実施例
であり、耐久寿命(1)および耐久寿命(2)がともに
良好であり、また、焼付寿命試験の結果からも比較例B
−3とほぼ同等の耐焼付性を有していることが判る。ま
た、両試験の結果からは、白色組織等の組織変化は全く
確認できず、炭化物の消失等も認められなかった。これ
に対して、比較例B−1は固定輪及び転動体3を共に高
クロム鋼とした場合の例であり、耐久寿命(1)及び耐
久寿命(2)に関しては、本発明と同等の寿命を有して
いる。しかし、焼付寿命に関しては、接触する相手部材
が共に高クロム鋼となるように構成されているため、比
較例B−3と比較して非常に劣っている。
【0048】また、比較例B−2は固定輪及び転動体3
を共にSUS440Cで構成した場合の例であり、耐久
寿命(1)に関しては、やや比較例B−3と比較しても
良好な寿命を有している。しかし、鋼中に粗大共晶炭化
物が内在するため、本発明の実施例A−1〜A−9と比
較すると耐久寿命(1)に関して劣っており、さらに、
より荷重条件の厳しい耐久寿命(2)に関しては、転動
体にも粗大共晶炭化物起因の早期フレーキングが発生
し、比較例B−3と比較しても寿命が低下した。さら
に、比較例B−1と同様、接触する相手部材がともにS
US440Cとなるように構成されているため、焼付寿
命に関しても極めて劣っている。
【0049】比較例B−3は固定輪及び転動体3が共に
SUJ2の場合の例であり、耐久寿命(1)及び耐久寿
命(2)のいずれにおいても白色組織が認められ、極め
て短寿命となった。比較例B−4は、固定輪がSUS4
40Cで、転動体がSUJ2を浸炭窒化した場合の例で
あって、焼付寿命に関しては比較例B−2と比較して格
段に向上しているものの、やはり寿命的には不十分であ
る。
【0050】また、比較例B−5は、固定輪にSUS4
20J2、転動体にSUJ2を浸炭窒化したものの組合
せとした場合の例であるが、十分な硬さを有しておら
ず、本発明の実施例A−1〜A−9に比較して、やはり
いずれの寿命試験結果においても劣っている。したがっ
て、表2に示される試験結果から、転がり軸受の固定輪
(外輪2若しくは内輪1)をCr含有量が8〜20重量
%であって、CとCrの含有量がC%≦−0.05Cr
%+1.41の関係を満足し、かつHRC57以上の硬
度を有する高クロム鋼または高炭素クロム軸受鋼で構成
するとともに、転動体3を高炭素クロム軸受鋼または高
クロム鋼で構成することにより、白色組織に起因する早
期フレーキングを防止でき、耐久性と耐焼付性の向上を
図れることが判る。
【0051】次に、表3に示される寿命試験の評価結果
について説明する。表3において、A−10は高クロム
鋼M−1からなる固定輪(この場合は外輪2)の軌道面
にHv1310の表面硬さを有する窒化層を形成した転
がり軸受である。また、A−11は高クロム鋼M−1か
らなる固定輪の軌道面にHv1310の表面硬さを有す
る窒化層を形成すると共に高炭素クロム軸受鋼M−6を
用い浸炭窒化した転動体とした場合の転がり軸受、A−
12は高クロム鋼M−1からなる固定輪の軌道面にHv
1430の表面硬さを有する窒化層を形成すると共に浸
炭窒化処理した高炭素クロム軸受鋼M−6からなる転動
体3の表面にHv803の表面硬さを有する浸炭窒化層
を形成した転がり軸受、A−13は高炭素クロム軸受鋼
M−6を用い表面硬さをHv756とする固定輪にする
と共に高クロム鋼M−1からなる転動体3の表面にHv
1403の表面硬さを有する窒化層を形成した転がり軸
受、A−14は高クロム鋼M−1からなる固定輪の軌道
面にHv1310の表面硬さを有する窒化層を形成する
と共に高クロム鋼M−1からなる転動体3の表面にHv
1403の表面硬さを有する浸炭窒化層を形成した転が
り軸受、A−15は高クロム鋼M−3からなる固定輪の
軌道面にHv1100の表面硬さを有する窒化層を形成
すると共に転動体を高炭素クロム軸受鋼M−6を用い表
面硬さをHv778とした転がり軸受、A−16は高ク
ロム鋼M−3からなる固定輪の軌道面にHv1100の
表面硬さを有する窒化層を形成すると共に高クロム鋼M
−3からなる転動体3の表面にHv1210の表面硬さ
を有する窒化層を形成した転がり軸受である。
【0052】表3の実施例A−10〜A−16は、8〜
20重量%のCrを含有する高クロム鋼からなる固定輪
(この場合は外輪2)または転動体3の表面にHv11
00〜1310の窒化層を設けた場合の例を示したもの
である。なお、この場合の窒化層の厚さは、1〜2%D
a(Daは転動体直径)である。表3から明らかなよう
に、実施例A−10〜A−16の軸受寿命は十分に確保
できるのは勿論のこと、表2の実施例A−1〜A−9に
比較してさらに耐焼付性をも向上させることが可能とな
ることが判る。したがって、上記構成とすれば、組織変
化に起因する早期フレーキングを表2の実施例と同様、
極めて抑制できることとなる。また、この場合には、A
−14及びA−16に示すように、固定輪、転動体のい
ずれもが本構成となることを許容できるため、両者に白
色組織が生じる場合など、特に使用条件が厳しい場合に
も対処できることとなる。
【0053】表3に示される試験結果から明らかなよう
に、外輪2若しくは内輪1の軌道面および/又は転動体
3の表面にHv1100〜1310の表面硬さを有する
窒化層を形成すると、表2に示した実施例A−1〜A−
9のものに比べて、さらに耐焼付性を向上させることが
できる。また、窒化層の表面硬さをHv1200〜13
10にすることにより、コストの大幅な上昇を招くこと
なく早期フレーキングの発生防止や耐焼付性の向上等を
図ることができる。さらに、転動体3を保持する保持器
4をプラスチック製としたことにより、早期フレーキン
グの発生をより効果的に防止できる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
白色組織の発生に伴う剥離損傷を抑制でき、かつ高温・
高速等の過酷な環境下でも好適に使用できる転がり軸受
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態を示す断
面図である。
【図2】図1に示される転がり軸受に対して実施された
寿命試験を説明するための図で、(a)はグリース潤滑
下での寿命試験を示す図、(b)は水分が混入した潤滑
油中での寿命試験を示す図である。
【図3】図1に示される転がり軸受の耐久寿命と焼付寿
命との関係を示す図である。
【符号の説明】 1 内輪 2 外輪 3 転動体 4 保持器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持すべき軸に外嵌される内輪と、この
    内輪の外周に設けられた外輪と、この外輪の軌道面およ
    び前記内輪の軌道面との間で転動自在に配設された複数
    の転動体とを備えた転がり軸受において、前記外輪、内
    輪のうちの少なくとも固定輪又は転動体のいずれかが8
    〜20重量%のCrを含む鋼からなり、かつHRC57
    以上の硬度を有し、前記固定輪又は転動体の少なくとも
    1つと接触する部材が高炭素クロム軸受鋼で構成される
    転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記固定輪又は転動体の少なくとも1つ
    が前記軌道面および/又は前記転動体の表面にHv11
    00〜1310の表面硬さを有する窒化層を有すること
    を特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
JP2001029103A 2001-02-06 2001-02-06 転がり軸受 Pending JP2002227854A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001029103A JP2002227854A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 転がり軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001029103A JP2002227854A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 転がり軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002227854A true JP2002227854A (ja) 2002-08-14

Family

ID=18893488

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001029103A Pending JP2002227854A (ja) 2001-02-06 2001-02-06 転がり軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002227854A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004081156A1 (ja) * 2003-03-11 2004-09-23 Nsk Ltd. 樹脂潤滑用グリース組成物及び電動パワーステアリング装置
US7520675B2 (en) 2005-03-18 2009-04-21 Denso Corporation Rolling bearing assembly having magnet to prevent brittle flaking
US7535140B2 (en) 2005-06-13 2009-05-19 Denso Corporation On-vehicle belt-driven alternator

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004081156A1 (ja) * 2003-03-11 2004-09-23 Nsk Ltd. 樹脂潤滑用グリース組成物及び電動パワーステアリング装置
JPWO2004081156A1 (ja) * 2003-03-11 2006-06-15 日本精工株式会社 樹脂潤滑用グリース組成物及び電動パワーステアリング装置
JP4566909B2 (ja) * 2003-03-11 2010-10-20 日本精工株式会社 樹脂潤滑用グリース組成物及び電動パワーステアリング装置
US7520675B2 (en) 2005-03-18 2009-04-21 Denso Corporation Rolling bearing assembly having magnet to prevent brittle flaking
US7535140B2 (en) 2005-06-13 2009-05-19 Denso Corporation On-vehicle belt-driven alternator

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6290398B1 (en) Rolling bearing
JP5194532B2 (ja) 転がり軸受
JP4423754B2 (ja) 転動軸の製造方法
JP3435799B2 (ja) 転がり軸受
GB2346385A (en) Surface treated rolling bearing and manufacturing method thereof
JP3326912B2 (ja) 転がり軸受
JP4998054B2 (ja) 転がり軸受
JP3509803B2 (ja) 転がり軸受
JP2002364648A (ja) 転がり軸受
JP2001336538A (ja) 転がり軸受とその製造方法
JPH10131970A (ja) 転がり軸受とその製造方法
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP5076274B2 (ja) 転がり軸受
JP2002227854A (ja) 転がり軸受
JP3047088B2 (ja) 転動体を有する機械部品
JP2006071022A (ja) 転がり軸受
WO2000037813A1 (fr) Roulement a billes
JPH0596486U (ja) 液化ガスポンプモータ用軸受
JP2002188643A (ja) 針状ころ軸受
JP2003148488A (ja) 転動装置及びその製造方法
JP2009250371A (ja) 水素ガスコンプレッサ用転がり軸受
JP2000018255A (ja) 車両用トランスミッションの歯車軸支持装置
JP2004353742A (ja) 転がり軸受
JP7212100B2 (ja) 転がり軸受
JP2000234145A (ja) ころ軸受