JP2002226902A - 半硬質磁性材料の製造方法と該材料及び該材料を用いてなる磁性マーカ - Google Patents

半硬質磁性材料の製造方法と該材料及び該材料を用いてなる磁性マーカ

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JP2002226902A
JP2002226902A JP2001024452A JP2001024452A JP2002226902A JP 2002226902 A JP2002226902 A JP 2002226902A JP 2001024452 A JP2001024452 A JP 2001024452A JP 2001024452 A JP2001024452 A JP 2001024452A JP 2002226902 A JP2002226902 A JP 2002226902A
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義美 三森
Kazunori Tawara
一憲 田原
Morio Kotoji
盛夫 こと子
Ryozo Sawada
良三 沢田
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Hitachi Metals Magtech Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大口径長尺の半硬質磁性材料素材の製造方法
と、得られる優れた磁気特性の該材料及びこれを用いて
なる磁気マーカを提供する。 【解決手段】 Feを主体とする磁性マトリックスに、
Cu族非磁性金属の少なくとも1種類が分散した組織を
有する半硬質磁性材料であって、所要の粉末粒子を出発
原料とし、押出成形工程及び必要に応じてCIP処理を
含むことを特徴とする半硬質磁性材料素材の製造方法、
優れた磁気特性を有する該材料及びこれを用いて得られ
る磁気マーカよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マーカとなる磁歪
振動する金属片(以下磁歪素子と記す)にバイアス磁場
を印加する磁気マーカ用半硬質磁性材料及び磁気マーカ
並びに磁気マーカ用半硬質磁性材料の製造方法に係るも
のである。
【0002】
【従来の技術】盗難防止や物品の流れ、あるいは物品の
種類を把握する等の目的で磁気ラベルを付与し、そのラ
ベルをマーカとして検出する電子監視システムが提案さ
れている。その中で、磁歪材料をマーカとして用いたシ
ステムがある。例えば、特開平8−60312号にはア
モルファス磁歪材料を、特開平1−131995号には
微細結晶粒合金リボンをそれぞれマーカとして使用する
技術が提案されており、非晶質又は微細結晶質の磁歪素
子を交流磁場中で共鳴振動させることによって、磁場を
変化させ、ピックアップコイルにより検出するシステム
が開示されている。
【0003】また、特開平1−131995号や特開平
8−87237号には、磁歪材料に一定のバイアス磁場
を印加しておき、この状態で交流磁場を印加し、磁歪材
料が特定の共鳴周波数の振動を行うようにしたシステム
も提案されている。このようなバイアス磁場を印加する
方式によれば、バイアス磁場を消磁することによって、
マーカを取り外すことなく不活性化することができる。
したがって、物品にマーカを挿入又は貼り付けておけ
ば、例えば、正当に購入された物品に付与された磁気マ
ーカを不活性化でき、不当に持ち出そうとされた活性な
磁気マーカを付与された物品とを識別することができ
る。
【0004】上述した電子監視システムにおいては、マ
ーカとして用いられる磁歪材料も重要であるが、磁歪材
料にバイアス磁場を印加するバイアス用半硬質磁性材料
の選択も重要である。この半硬質磁性材料としては、磁
歪材料によって減磁されないように、磁歪材料よりも高
い保磁力を有することが必要であり、また、磁化(着
磁)と消磁(脱磁)が比較的容易に行える材料が求めら
れる。このような、磁化と消磁とが比較的容易に可能な
材料として、電磁リレー等に使用されるFe−Cr−C
o系半硬質磁性材料と、近年マーカ用バイアス材料とし
て注目されているFe−Cu系半硬質磁性材料とがあ
る。
【0005】しかし、Fe−25wt%Cr−10wt
%Co等に代表されるFe−Cr−Co系合金は、Co
を多量に含むため高価であり、保磁力Hcが、例えば7
200A/mと高く、また残留磁束密度Brが1.1T
程度であって、印加磁場8000A/mにおける磁束密
度(この値は、現実に飽和磁束密度と見なすことができ
るため、以下Bsと記す)とBrとの比で表される角型
比Br/Bsが0.8程度の材料である。上述のよう
に、バイアス材料は、磁化と消磁とを行う材料であっ
て、Hcが高すぎると消磁が十分に行い難いという問題
がある。消磁が十分に行われないと電子監視装置の誤動
作につながり好ましくない。
【0006】一方、Fe−Cu系半硬質磁性材料につい
ては、特許2983012号に示されるCu3〜35w
t%のマーカ用バイアス材料や特開平11−17662
4号に記載のCu3〜25wt%のバイアス材料が開示
されている。半硬質磁性材料としての磁気特性は、Cu
族非磁性金属元素等の含有率、塑性加工による磁気異方
性、時効処理条件により異なるが、例えば、Br1.3
〜1.6T、Hc1000〜3000A/m、角型性B
r/Bs0.85〜0.91程度の値を示し、バイアス
材料としてFe−Cr−Co合金よりも好適な値を示
す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】Fe−Cu族系半硬質
磁性材料を製造するためには、塑性加工等によって、薄
板又は線状にするための素材を作る必要があるが、最も
安価な溶製法により素材を作製することは下記理由によ
り好ましくない。図1に、Fe−Cu系の2元状態図を
示す。図から明らかなように、Fe−Cu合金相とし
て、最大のCuの固溶限は、1420℃でCu約13w
t%を含むγ−Feであるが、冷却とともにCuの固溶
度は急激に低下し、Cuを析出して2相分離が生じる。
また、α−Fe相内の660℃以下では、CuのFeに
対する固溶度は、ほとんどゼロとなる。同様の現象は、
Cu族の他の元素であるAgおよびAuにおいても生じ
る。状態図の影響を受ける溶製法では、Feを主体とす
る磁性マトリックス粒界に、Cu族非磁性元素が集中し
て析出するため、熱間における加工時に割れが発生する
だけでなく、所要の磁気特性を得ることが困難となる。
【0008】一方、粉末冶金法では、Cu族非磁性金属
の上記マトリックス粒界への凝集を防ぐことができ、種
々の方法が提案されている。具体的には、特許2983
012号では、ガスアトマイズ、水アトマイズといった
アトマイズ法で金属粉末を得た後、熱間静圧プレス(H
IP)によって圧密する方法、又はスプレーフォーミン
グによる積層法が提案されている。HIPで粉末の圧密
化を図る場合、鉄製容器などに粉末を真空状態で密閉し
たのち、800〜1100℃、1000〜2000at
m前後でArガス中により加熱・加圧を行うのが通常で
ある。HIPでは静圧的に加圧されるが、粉末間の摩擦
のため、内部に行く程伝達される圧力は低下するため、
その大きさには限界がある。また、加熱・加圧、保持、
冷却・減圧を経て素材を取り出すには、少なくとも8h
程度必要であり、容器等の補材も含め製造コストは高価
となる。
【0009】スプレーフォーミングの場合、一旦溶解し
た材料を半凝固状態にして噴霧し、粒子を積み重ね凝固
する方法である。類似のものに、粉末を少しづつ積層
し、レーザービームによって遂次溶融凝固しつつ素材を
形成する方法がある。いずれの場合にも、安価に量産す
る製造方法とは言い難い。
【0010】また、特開2000−150219号で
は、磁性を有するFeを主体とするA層とCu族非金属
元素を主体とするB層とを積層し、加熱によるB層の分
断化処理及び冷間での塑性加工を繰り返す、クラッド材
の製造法が開示されている。この方法は、出発原料が板
状ないしは薄板状であるため、粉末に比べて、A層マト
リックスの磁区の回転を、半硬質磁性材料としての好適
なHcが得られる程度にまで、B層を分断化するために
必要な工程時間数は大となり高価となる。
【0011】薄板を直接作製する方法としては、スパッ
タ法や蒸着法、及び特開平1−131995号に記載の
超急冷法による薄板リボンの製造法がある。しかし、後
工程での塑性加工は、単にその形状を薄板化、細線化す
るだけでなく、圧延又は引き抜きといった塑性加工によ
り伸展されることで、組織に異方性化が生じ、これによ
り磁気異方性が生じることになり、伸展されたCu族の
非磁性領域により、磁区の回転が防げられ、半硬質磁性
材料としての好ましい磁気特性を生じさせる必須の工程
である。これらの製造法は、磁歪材料の製造には好適で
あるにしても、Fe−Cu族系半硬質磁性材料の製造に
は適したものではない。
【0012】量産性を向上し、価格の低減を図るために
は、素材を大きくすることが特に望ましい。熱間及び冷
間加工に用いる圧延機、線材加工に用いる伸線機(引き
抜き機)やスウェジング装置などは、連続操業に適した
設備であり、特に長尺の素材に対して効果的である。本
発明での課題は、いかにして、安価に長尺の素材を製造
し、半硬質磁性材料として好適なFe−Cu族系の材料
及びこれを用いたマーカを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、後工程にお
いて、高いBrとB−H曲線上で高い角型性を生かし、
磁気マーカ用バイアス材として要求されるHcを実現で
きるFe−Cu族系半硬質材料について検討した結果、
押出成形法を用いることによって、塑性加工等の後工程
に好適で、同時に上記磁気特性を満足する長尺の素材を
作製できることに着目した。そして、更に検討を重ねた
結果、種々の方法で製造された、Fe粉、Cu族粉末、
Cu酸化物、Cuをメッキした鉄粉等を出発原料とし、
また必要に応じてHcの調整等を目的とした非磁性化合
物を分散した場合にも、所要の磁気特性を満足する大形
長尺素材が作製できることを見出し、本発明に到達し
た。
【0014】すなわち、本発明はFeを主体とするマト
リックスに、Cu族の非磁性体及び必要に応じた非磁性
体化合物が分散した組織を有する化合物が得られるよ
う、粉末原料を出発物として、これらを媒体及びバイン
ダーと共に混練、押出成形、乾燥、焼結を施す半硬質磁
性材料及びその製造方法である。また、成形体の密度を
高めるため、押出成形、乾燥後に冷間静水圧プレス(以
下CIPと記す)により、圧密化を行った後、焼結を施
すことができる。
【0015】本発明の素材は、押出成形法で成形される
ため、素材の直径又は幅及び板厚は押出成形機の押出能
力に応じた金型口径により調節することができる。ま
た、長尺方向については、連続押出成形機を用いること
によって、後工程の設備能力に応じて任意に切断、調節
することができる。更に必要によっては、CIPにより
成形体の更なる圧密化を促進することができる。
【0016】本発明においてCu族粉末は、金属に限定
されることなく、CuO、CuOの酸化物の少なくと
も1種を単独に又は金属粉末と混合して用いることがで
きる。また、Cu族の他の元素であるAg及び/又はA
uを単独に、あるいはCu及びその酸化物と混合して用
いることができる。
【0017】本発明の半硬質磁性材料用素材は、塑性加
工により平板化もしくは線状化される。またCu族非磁
性金属(酸化物については、焼結時に還元する)は塑性
加工により伸展され、これにより磁気異方性が生じる。
更に熱処理により角型性を改善し、マーカ用バイアス材
となり、マーカに使用することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の重要な特徴は、上記のよ
うに、Fe−Cu族系半硬質磁性材料の大形長尺の素材
を得るために、粉末原料を出発物質として、これらを媒
体及びバインダーと共に混練、押出成形することにあ
る。次いで、該成形体を乾燥、必要に応じてCIPで圧
密化を行った後焼結を施すが、Cu族非磁性金属成分が
CuO、CuOの等の酸化物の場合、焼結時に還元す
ることができる。焼結後の素材は、塑性加工により平板
化もしくは線状化される。Cu族非磁性金属は、塑性加
工によって伸展され、これにより磁気異方性が生じる。
以下に詳しく本発明を説明する。
【0019】Feを主体とする磁性を有するマトリック
スに対し、Cu族の元素即ちAu、Ag、Cuは、図1
にCuの状態図を示したように、ほとんど固溶せず、F
eを主体とする磁性を有するマトリックスとCu族元素
とが遊離した組織となる。ここで言う遊離とは、Feを
主体とする相とCu族の相とが2相に分離した状態を指
す。材料が磁化される際に、磁性を持ったマトリックス
の磁区の回転を、分散し存在する非磁性のCu族元素が
妨げるため、Hcが増大し、半硬質磁性を持たせること
ができる。
【0020】Cu族非磁性金属元素としては、Au、A
g、Cuの内、いずれの元素を用いても、又は複数種を
用いても有効であると思われるが、CuはCu族の内、
最も安価に入手することができるため、Cuを用いるこ
とが好ましい。Cu族金属は、バイアス材中に分散させ
て非磁性領域を形成させるものであるため、重量ではな
く体積で寄与する。従って、同等の効果を得るために
は、原子量の大きいAuやAgを用いるよりも、原子量
の小さいCuを用いる方が有利である。また、Cuの代
わりに、CuOやCuOの酸化物を出発原料に用いる
ことができる。Cuの酸化物は容易に還元されるため、
押出成形体を乾燥後、H中で焼結することにより、該
酸化物はCuにまで還元され、後工程に供することがで
きる。
【0021】本発明においては、特許2983012号
等に開示されているように、好ましくはCuを重量比率
で3〜35%含有させる。より好ましいCu量は、重量
比率で5〜25%である。更に好ましいCu量は重量比
率で8〜18%である。Cu OおよびCuO等酸化物
の場合には、分子量の比較により、上記Cu量に相当す
る重量比率を用いればよい。
【0022】本発明において、出発原料として用いるF
e粉粒子としては、水アトマイズやガスアトマイズ等の
アトマイズ法で得られた粉末、還元法で得られた還元鉄
粉、溶湯を高速回転する金属円盤上に適下し凝固させた
Fe粉末などであり、必ずしも純Feの必要はなく、市
販のFe粉末で十分に実用に供することができる。
【0023】Cu族非磁性粉末粒子としては、Cu、A
g、Auの粉末粒子及びCuO、CuOの内の少なく
とも1種を出発原料として用いることが特徴である。そ
の重量比率は上記に示す通りである。
【0024】本発明においては、Fe粉末及びCu族粉
末のそれぞれの粒子を混合して用いる代わりに、Fe粉
末粒子表面に、所要のCu族金属のメッキを施した粉末
粒子を原料として用いることも特徴の1つである。かか
る粉末粒子を原料として用いることにより、Fe,Cu
族の金属又は酸化物の単独粒子を混合して用いる場合に
比べて、均一性に優れたFe−Cu族系半硬質磁性材料
を得ることができる。
【0025】本発明においては、Cu族非磁性金属を平
衡状態における固溶限以上に含有させたFeを主体とす
る金属溶湯をアトマイズした金属粒子を出発原料として
用いることも特徴の一つである。このような粉末粒子を
出発原料として用いることにより、Fe粒子表面にCu
族金属をメッキした粒子を用いる場合と同様の効果を得
ることができる。
【0026】本発明において、非磁性化合物を強磁性マ
トリックスに分散することができる。上記のCu族の分
散は、高いBrを保ちつつHcを高め、B−H曲線の角
型性を向上するために有効であるが、Cu族はマトリッ
クスの粒界に析出しやすく、熱間加工性を劣化させる場
合が多い。そのため、Cu族でHcを調整するのに加え
て、非磁性化合物によるHcの向上作用を併用すること
が望ましい。
【0027】非磁性化合物としては、例えばAl
、SiO、MgO等の酸化物、3A、4A、5
A族(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,M
o,W)の炭化物等を使用することができる。選択する
非磁性化合物は、Feを主体とするマトリックスにでき
るだけ固溶しないことが望ましい。特に炭化物は、その
生成金属元素を合金元素として導入しておき、炭化物と
してマトリックスに微細に析出させることができ、製造
上都合が良い。但し、非磁性化合物は多すぎると加工性
を劣化させる。要求する磁気特性や加工条件に応じて分
散量を調整することが望ましい。なお、非磁性化合物
は、粉末粒子で配合を行う必要がある。
【0028】本発明で用いる押出成形機は、例えば屋根
瓦の成形に使用されている土練機と称されるものでも十
分である。構造的には、真空脱気装置の付置されている
ものが望ましい。然しながら、真空脱気装置の付置され
ていない機械でも、予め原料混練物を脱気することによ
って、成形することができる。押出成形後に成形体の脱
気が不十分な場合、巣穴、欠け、キレツなどを生じさせ
る可能性があるため好ましくない。
【0029】本発明で用いるバインダーとしては、メチ
ルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ、デンプ
ン、ポリビニルアルコール、小麦粉等が挙げられる。但
し、デンプンや小麦粉等、食料に供せられるものを用い
ると、特に夏期において、これらが腐敗し成形体の強度
が低下したり、破壊が生じる場合があるため、防腐処理
等が必要である。
【0030】本発明で用いる混練媒体は、アルコール、
アセトン、ヘキサンなどの有機媒体でもよいが水で十分
である。石油類のような比較的分子量の大きい媒体は、
焼結時の脱脂量が多くなること、局所排気装置などの余
分な設備が必要となり、好ましくない。水は、純水が好
ましいが、イオン交換樹脂で塩素イオン等のイオン分を
除去したいわゆるイオン交換水で良い。
【0031】押出成形で得た成形体は、自然乾燥又は加
湿乾燥等の乾燥工程を終えた後、必要であればCIP工
程を経て焼結するが、焼結は脱脂部の付置された炉が好
ましい。焼結温度は800〜1100℃、雰囲気はH
を用いることがCuO、CuOを原料とした場合にも
適用できるため好適であるが、Cu族金属の場合大気中
の雰囲気でも良い。
【0032】本発明の半硬質磁性材料は、優れた角型性
を得るため時効処理を施す必要がある。時効処理の保持
温度は400〜700℃が好ましい。保持温度が低すぎ
ると、磁性を有するFeを主体とするマトリックスの歪
を十分に除去することができない。従って、より好まし
い保持温度は450℃以上である。また、保持温度が高
すぎると、Cu族非金属を主体とする相が凝集して粗大
化し、磁壁の移動や磁区の回転を妨げる効果が十分に得
られなくなる恐れがある。従って、より好ましい保持温
度は450〜600℃である。
【0033】上記の半硬質磁性材料は、例えば、図2に
示すように、本発明の半硬質磁性材料をバイアス素子
(1)として、アモルファス又は超微細結晶(ファイン
メット)製の磁歪素子(2)と組み合わせて磁気マーカ
とすることができる。具体的な1例としては、厚さ0.
03mm、幅6mm、長さ38mmに磁歪素子(2)を
調整し、この磁歪素子(2)に対して、所望のバイアス
磁場を印加できるように、厚さ0.05mm、幅6m
m、長さ32mmにバイアス素子(1)を調整する。こ
のバイアス素子(1)を樹脂で裏打ちするか又は樹脂で
挟み込んだパック(3)を、磁歪素子(2)と互いに近
接するように配置し、くぼみを有する上蓋と平らな下蓋
とからなるプラスチックケース(4)に封入すること
で、磁気マーカとすることができる。磁歪素子として
は、USP5628840号に記載されるアモルファス合金
等、半硬質磁性材料で得られる磁場に合わせて選択する
必要がある。ここでは、薄板状バイアス素子及び磁気マ
ーカを示しているが、例えば、棒状、角柱状の形状でも
良い。
【0034】以下実施例により本発明の態様を示すが、
本発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
【0035】(実施例1)アトマイズ鉄粉表面に10w
t%のCuメッキを施したヘガネス社製ディスタロイA
Cu粉末73.3wt%、及び還元鉄粉表面に25wt
%のCuを被覆したヘガネス社製ディスタロイMH粉末
26.7wt%の比率に配合した原料粉末20kgに対
し、アルミナ粉末を0.5wt%添加、ヘンセルミキサ
で混合した。次に、メチルセルローズ(信越化学製メト
ローズSM−4000)1〜2kg、イオン交換水18
kgの比率からなるバインダー溶液を調製した。なお、
ママコの生成を防止するため、メチルセルローズは、予
め約90℃の湯に分散後、水を加えて定量とした。次い
で、原料粉末20kgに対し、10〜20wt%の割合
でバインダー溶液を加えながら、押出成形に適した粘度
となる様、Z型ニーダーで混練をおこなった。次いで、
石川時製V−75E型の真空脱気付スクリュー型押出成
形機により、幅90、厚さ20、長さ500mmの板状
試料を押出した後、自然乾燥により乾燥を行った。得ら
れた乾燥試料は、300〜400℃で脱脂後、1100
℃で40分焼結を行い、素材を得た。次いで、熱間圧延
にて塑性加工した後、850℃で1hの軟化焼鈍を施
し、熱間圧延にて板厚5mmにまで塑性加工した。その
後、軟化焼鈍と冷間圧延による塑性加工を繰り返して平
板化し、板厚50μmの薄板材を得た。この冷間圧延に
よりCu族非磁性金属相は展伸して、例えば特許298
3012号に開示されているように筋状に分散した相と
なる。展伸して筋状に分散したCu相と平行になるよ
う、圧延方向に平行に切り出し、磁気マーカ用バイアス
材の磁気特性測定用試験片とした。続いて400〜70
0℃で30分の時効処理を行い、磁気特性を測定した。
図3に概略の製造工程図を示す。
【0036】得られた磁気特性は、Br1.35T、H
c1880A/m、Bs1.51T、角型性Br/Bs
0.89であり、磁気マーカ用バイアス材の半硬質磁性
材料として好適な特性を得た。
【0037】(実施例2)重量比率で、Fe−9.5C
u−0.5C−1Moの組成となるよう溶解炉にて成分
調整した後、ガスアトマイズ法により略球状の粉末を得
て出発原料とした。次いで、実施例1と同様にして、図
3に示す工程に従い遂次、素材、板厚5mmの板状試
料、板厚50μの薄板材、及び磁気特性測定用試料を作
製した。得られた磁気特性は、Br1.59T、Hc1
780A/m、Bs1.77T、Br/Bs0.90の
角型性に優れ、高Brタイプの半硬質磁性材料を得た。
【0038】(実施例3)粒度分布150〜180μm
3.2wt%、106〜150μm18.1wt%、7
5〜106μm27.3wt%、63〜75μm9.8
wt%、45〜63μm17.5wt%、45μm以下
24.1wt%の粒度分布を有する川崎製鉄製Fe粉末
及び大成化学製の平均粒径5μmのCuOを出発原料と
し、重量組成比率がFe−23Cuとなるよう秤量後、
実施例1と同様にして試料作製を行った。但し、Cu族
非磁性材料として、CuOを用いたため、焼結条件は、
脱脂後、H中700℃で1h保持後、引き続き昇温を
行い、980℃で40分間保持する2段焼結を行い素材
を得た。実施例1及び2と同様にして得られた試料の磁
気特性は、Br1.25T、Hc3600A/m、Bs
1.52T、Br/Bs0.82の高Hc型の半硬質磁
性材料を得た。
【0039】(実施例4)実施例1と同様の原料粉末
を、実施例1と同様にして押出成形、乾燥した後、この
成形体をビニール袋により真空包装を行った。次いで、
CIPにより3t/cmの静水圧により更なる圧密化
を行った。この工程により、成形体密度は、4.5g/
cmから6.7g/cmへと高くすることができ
た。焼結以後の工程を実施例1と同様に行い、Br1.
45T、Hc1880A/m、Bs1.61T、Br/
Bs0.90の磁気特性を有する半硬質磁性材料を得
た。実施例1に比較してBr及びBsが高い理由は、C
IP処理により成形体の圧密化が促進されたためである
と考えられる。
【0040】本発明のバイアス用半硬質磁性材料を磁歪
素子と呼ばれる磁歪振動をする金属片とを組み合わせて
磁気マーカとした。図2に、本発明の磁気マーカの1例
を表す模式図を示す。磁化したバイアス材(1)を樹脂
で挟み込んだパック(3)を磁歪素子(2)に近接さ
せ、ケースに入れて磁気マーカとする。この磁気マーカ
は物品に挿入又は貼り付けて使用するものである。
【0041】
【発明の効果】本発明は、押出成形法を用い、更に必要
に応じてCIP処理を行うことにより、大口径長尺のF
e−Cu族系半硬質磁性材料の素材を得ることができる
ため、連続操業に適した、熱間及び冷間での塑性加工に
用いる圧延機や伸線機(引き抜き機)等への適用が容易
となる。また、マーカー用バイアス材料とした場合の磁
気特性も優れており、特に製品と共に消費されるような
マーカに対しては、製造価格を低減する上で極めて有効
な製造法であり、低価格のバイアス材料およびマーカを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−Cu系状態図を示す。
【図2】本発明の磁気マーカバイアス材を組み込んだ磁
気マーカの構造の1例を示す図である。
【図3】本発明の磁気マーカバイアス材用半硬質磁性材
料の製造工程の概略図である。
【符号の説明】
1 バイアス材、2 磁歪素子、3 パック、4 ケー
ス、5 原料粉末、6 混練、7 押出成形、8 乾
燥、9 焼結、10 熱間圧延、11 軟化焼鈍、12
冷間圧延、13 加工、14 時効処理、15 CI
P処理
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/12 H01L 41/12 41/20 41/20 (72)発明者 田原 一憲 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属マグ テック株式会社内 (72)発明者 こと子 盛夫 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属トレ ーディング株式会社熊谷営業所内 (72)発明者 沢田 良三 東京都新宿区西新宿3丁目7番1号新宿パ ークタワー日立金属トレーディング株式会 社内 Fターム(参考) 4K018 AA29 CA23 FA08 KA42 5C084 AA03 AA09 AA13 AA19 BB12 BB21 CC36 DD21 EE07 FF27

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主体とする磁性マトリックスに、
    Cu族非磁性金属の少なくとも1種類が分散した組織を
    有する半硬質磁性材料であって、所要の粉末粒子を出発
    原料とし、押出成形工程を含むことを特徴とする半硬質
    磁性材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 Feを主体とする磁性マトリックスにC
    u族非磁性金属の少なくとも1種及び非磁性無機酸化物
    が分散した組織を有する半硬質磁性材料であって、所要
    の粉末粒子を出発原料とし、押出し成形工程を含むこと
    を特徴とする半硬質磁性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の押出し成形工程
    を行った後、冷間静水圧プレスにより更なる圧密化を行
    うことを特徴とする半硬質磁性材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 Cu族非磁性粉末粒子として、Cu、A
    g、Auの粉末粒子及びCuO、CuOの内の少なく
    とも一種を出発原料として用いることを特徴とする上記
    請求項記載の半硬質磁性材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 Fe粉末粒子として、アトマイズ法及び
    /又は還元法によって得られた粉末粒子を用いることを
    特徴とする上記請求項記載の半硬質磁性材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 出発原料としてFe粉末粒子表面に、所
    要のCu族金属をメッキした粉末粒子を用いることを特
    徴とする請求項1又は2又は3に記載の半硬質磁性材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 Cu族非磁性金属を平衡状態における固
    溶限以上に含有させたFeを主体とする金属溶湯をアト
    マイズした金属粒子を出発原料として用いることを特徴
    とする請求項1又は2又は3に記載の半硬質磁性材料の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2に記載の押出し成形工程
    を行った後、焼結、必要に応じた熱間及び冷間圧延、軟
    化焼純及び角型性改善の時効処理を施したことを特徴と
    する半硬質磁性材料。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の冷間静水圧プレスによ
    る圧密化を行った後、焼結、必要に応じた熱間及び冷間
    圧延、軟化焼純及び角型性改善の時効処理を施したこと
    を特徴とする半硬質磁性材料。
  10. 【請求項10】 請求項1又は2又は3及び請求項8又
    は9により、平板化もしくは線状化してなることを特徴
    とする磁気マーカ。
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