JP2002224787A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】軸付き部材の閉塞鍛造・圧造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダイス側金型ユニット(1)と該ユニットに押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)との間に形成される閉塞型空間内で、軸状ブランクを軸付き部材に形成する閉塞鍛造・圧造方法であって、
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上を前後動可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)に向けてバネ付勢され軸心に軸孔(14)を有するダイス側金型(11)と、該金型(11)の軸孔(14)にスライド可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)から離れる方向への後退移動端を規制された突出しピン(5)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能であってパンチ側金型ユニット(7)から離間する方向に後退しつつ強制的に閉じて全閉状態で更に後退可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)側へ飛び出し方向にバネ付勢された割抱型(2)とを有し、
パンチ側金型ユニット(7)は、パンチ側金型(71)と、該金型(71)の軸心に貫通開設された軸孔(78)にスライド可能に配備されダイス側金型ユニット(1)に向けてバネ付勢され該ユニットから離れる方向への後退移動端が規制された突出し軸(76)とを有し、
ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)との間に供給された軸状ブランクを、パンチ側金型ユニット(7)のダイス側金型ユニット(1)側への前進によってパンチ側金型(71)とダイス側金型(11)の少なくとも何れか一方の軸孔に侵入させつつダイス側金型(11)を後退させ、更に該金型(11)の後退途上で割抱型(2)を後退させつつ強制的に閉じて該割抱型(2)でダイス側金型(11)とパンチ側金型ユニット(7)を挟圧して両金型(11)(71)の離間を阻止した状態にて、両金型(11)(71)間に形成された閉塞型空間に軸状ブランクの肉を移動させて軸部を具えた部材を成形することを特徴とする軸付き部材の閉塞鍛造・圧造方法。
【請求項2】軸状ブランクの両端面中央に凸部又は凹部が形成され、突出しピン(5)及び突出し軸(76)の先端面中央には、該凸部又は凹部に嵌まって突出し軸(78)と突出しピン(5)の軸心の延長上に軸状ブランクを芯合わせ及び軸状ブランクと閉塞型空間の位相合わせをするための凹部又は凸部が形成されている請求項1に記載の軸付き部材の閉塞鍛造・圧造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、閉塞鍛造・圧造法により、軸状ブランクから軸部を有する部材を成形する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
出願人は以前、閉塞鍛造・圧造において、図11、図12に示す様に、ダイス側金型ユニット(100)に対してパンチ側金型ユニット(200)を前進衝突させ、これによってダイス側金型ユニット(100)の割型(102)を半径方向に閉じ、且つ該割型(102)を閉じた状態で鍛造・圧造作業ができる型装置を提案した(特許第2501299号)。
【0003】
以下の説明中(本願発明部分も含む)、型装置の動きで、パンチ側金型ユニット(200)の前進とは、矢印Xで示す様にダイス側金型ユニット(100)に向かう方向に移動することであり、後退とはその逆方向の動きである。
ダイス側金型ユニット(100)の構成部品の前進とは、矢印Yで示す様にパンチ側金型ユニット(200)に向かう方向に移動することであり、後退とはその逆方向の動きである。即ち、パンチ側金型ユニット(200)とダイス側金型ユニット(100)では、前後の関係が逆である。
【0004】
ダイス側金型ユニット(100)は、ダイケース(101)と、該ダイケースの先端側にダイケースの軸心に沿って前後動可能且つ半径方向に開閉可能に配備された割型(102)と、ダイケース(15)の軸心に前後動可能に配備された型軸(106)と該型軸にスライド可能に嵌まった突出し筒軸(107)を有している。
ダイケース(101)の内面は、パンチ側金型ユニット(200)から順に第1テーパ孔部(110)、第1ストレート孔部(120)、第2テーパ孔部(130)及び第2ストレート孔部(140)が連続している。
【0005】
割型(102)は、両端に膨らみ部を有する筒状部材(成形すべき製品)の外周形状に対応する型孔(290)を軸心に形成しており、軸心を中心に周方向に4等分されている。
割型(102)は、隣合う割部材(102a)(102a)間に開きバネ(102b)が介装されて常時開き方向に付勢され、閉じ状態の割型(102)の外周面は、パンチ側金型ユニット(200)側から順に、第1円筒面(210)、後方に縮径する第1テーパ面(220)、第2円筒面(230)及び後方に縮径する第2テーパ面(240)が形成されている。
【0006】
図11に示す如く、割型(102)が無負荷の場合、割型(102)は押出しバネ(103)に押されてダイケース(101)の前端の抜止めリング(170)に当り、且つ開きバネ(102b)の開き力により、開いて待機している。
割型(102)の第1テーパ面(220)が第1テーパ孔部(110)に、第2テーパ面(240)が第2テーパ孔部(130)に、第2円筒面(230)が第1ストレート孔部(120)に接して、割型(102)の開き量が規制される。
【0007】
パンチ側金型ユニット(200)は、ホルダー(202)にスライド可能にパンチ(201)を配備している。
【0008】
ダイス側金型ユニット(100)とパンチ側金型ユニット(200)との間に筒状ブランクBを供給する。
パンチ側金型ユニット(200)の前進により、開状態で待機する割型(102)にブランクBを押し込む。
図12に示す如く、更にパンチ側金型ユニット(200)が前進してホルダー(202)が割型(102)を押圧する。パンチ(201)はホルダー(202)に対して相対的に後退す。
割型(102)は、その第1テーパ面(220)と第2テーパ面(240)がダイケース (101)の第1テーパ孔部(110)と第2テーパ孔部(130)に摺接して徐々に閉じつつ前進してブランクを挟む。
【0009】
割型(102)の各テーパ面(220)(240)が、ダイケース(101)のテーパ孔部(110)(130)から外れて、第1円筒面(210)が第1ストレート孔部(120)に、第2円筒面(230)が第2ストレート孔部(140)に侵入し、割型(102)は全閉状態に拘束されたまま、ストレート孔部(120)(140)に案内されて後退し、後退中にブランクの圧造がなされる。
即ち、ブランクに塑性変形のための圧力が作用する際、割型(102)は完全に閉じており、割型(102)のパーティングラインにブランクの肉が侵入する余地はなく、従って、バリが生じることを防止できる。
【0010】
上記割型(102)の動き、即ち、半径方向に全開状態で待機し、パンチ側金型ユニット(200)に押されて徐々に閉じ、全閉状態で更に後退し、この全閉状態で後退する間にブランクを加圧し成形することは画期的な技術であり、この技術を応用した型装置も提案されている(例えば、特開平9−295094、実用新案登録第3060612号)。
本発明は、上記割型の技術を生かして、軸状ブランクから軸部を具えた部材を閉塞鍛造・圧造成形する方法を明らかにするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明は、ダイス側金型ユニット(1)と該ユニットに押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)との間に形成される閉塞型空間内で、軸状ブランクを軸付き部材に形成する閉塞鍛造・圧造方法である。
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上を前後動可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)に向けてバネ付勢され軸心に軸孔(14)を有するダイス側金型(11)と、該金型(11)の軸孔(14)にスライド可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)から離れる方向への後退移動端を規制された突出しピン(5)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能であってパンチ側金型ユニット(7)から離間する方向に後退しつつ強制的に閉じて全閉状態で更に後退可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)側へ飛び出し方向にバネ付勢された割抱型(2)とを有している。
【0012】
パンチ側金型ユニット(7)は、パンチ側金型(71)と、該金型(71)の軸心に貫通開設された軸孔(78)にスライド可能に配備されダイス側金型ユニット(1)に向けてバネ付勢され該ユニットから離れる方向への後退移動端が規制された突出し軸(76)とを有している。
【0013】
ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)との間に供給された軸状ブランクを、パンチ側金型ユニット(7)のダイス側金型ユニット(1)側への前進によってパンチ側金型(71)とダイス側金型(11)の少なくとも何れか一方の軸孔に侵入させつつダイス側金型(11)を後退させ、更に該金型(11)の後退途上で割抱型(2)を後退させつつ強制的に閉じて該割抱型(2)でダイス側金型(11)とパンチ側金型ユニット(7)を挟圧して両金型(11)(71)の離間を阻止した状態にて、両金型(11)(71)間に形成された閉塞型空間に軸状ブランクの肉を移動させて該空間に対応する瘤部を形成して、軸部を具えた部材を成形する。
【0014】
【作用及び効果】
軸状ブランクから、軸部を具えた部材を簡単に且つ能率的に生産できる。
閉塞型空間の形状を、歯車、多角形、円盤、星形等にすることにより、それに対応した形状の瘤部を有する軸付き部材を成形できる。
ダイス側金型(11)とパンチ側金型(71)とで閉塞型空間を形成する直前に、ブランクB4の両端軸部(91)(92)の少なくとも一方の軸部を金型の軸孔に侵入させ、この状態でブランクを軸方向に加圧して、パンチ側金型(71)の型穴(75)にブランクの肉を逃がして歯車(瘤部)を形成するため、即ち、ブランクの端部を金型の軸孔に嵌めて支持した状態で加圧するため、加圧中にブランクが振れることはなく、ブランクの肉の逃げが安定する。従って、品質の安定した軸付き部材を成形できる。
【0015】
【実施例】
図10は、所定の長さに剪断された円柱状ブランクB1を5つの工程により、両端に軸部を有する軸付き歯車(9)を成形する鍛造・圧造工程を示している。
鍛造・圧造は、パーツホーマと称される横型トランスファープレスを使用して行なわれ、該プレスの5つの圧造ステーションNo.1〜No.5に型装置が配備される。
公知の如く、各圧造ステーションの型装置は、トランスファープレスのダイブロックに取り付けたダイス側金型ユニットと、トランスファープレスのラムに取り付けたパンチ側金型ユニットとによって構成される。
図10において、下側はダイス側、上側はパンチ側である。
【0016】
No.1圧造ステーションでは、円筒状ブランクB1のダイス側先端外周に小さく面取りを施す。
No.2圧造ステーションでは、上記一端に面取りを施したブランクを180°反転させて他端にも面取りを施す。
No.3圧造ステーションでは、両端に面取りを施したブランクB3のダイス側を小径に絞り、且つ小径軸部(91)先端側を断面十字状に絞る。この十字状絞り部(93)は、別の部品を取り付けるためのものである。
No.4ステーションは、No.3ステーションのブランクB4を180゜反転させるためのものである。
No.5ステーションでは、ブランクB4の大径軸部(92)の小径軸部(91)側を膨らませて平歯車(94)を成形する。
上記No.2からNo.4の工程中に、軸状ブランクB4の両端面の中央にNo.5ステーションでの、後記するダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)の位相合わせと芯合わせのための凹部(90)(95)が形成される。
実施例では軸付き歯車の十字状絞り部(93)と平歯車(94)との位相を一定にするために、十字状絞り部(93)側端面の凹部(95)は略十字状に施されている。
該凹部(95)は、中心部が徐々に深くなっている。
【0017】
No.5ステーションに用いる型装置を説明する。
型装置は、図1に示す如く、ダイブロックの型穴(何れも図示せず)に取り付けたダイス側金型ユニット(1)と、図2示す如く、ラム(図示せず)に取り付けられダイス側金型ユニット(1)に押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)とによって構成される。
【0018】
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上に前後動可能に配備されたダイス側金型(11)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能に配備された筒状の割抱型(2)とを有している。
【0019】
ダイス側金型(11)は、ニブ(12)と該ニブ(12)を保持したニブホルダー(13)とによって構成され、軸心に軸孔(14)が貫通開設され、ニブホルダー(13)の外周面に外周を一周する複数条の凸条(10)が等間隔に平行に形成されている。
各凸条(10)は、夫々ダイス側金型(11)の軸心に直交する面内で無端状に繋がっている。
ダイス側金型(11)の軸孔(14)に突出しピン(5)がスライド可能に配備され、該ピンの後端拡大頭部(51)がダイス側金型(11)の後端面に当たって突出しピン(5)のパンチ側金型ユニット(7)側への抜出しが防止される。
突出しピン(5)の前端中央に、前記軸状ブランクB4の端面の大径軸部(92)側の凹部(90)に係合する凸部(50)が形成されている。
【0020】
ダイケース(15)のダイス側金型(11)と割抱型(2)が嵌まる内孔の前部は、パンチ側から順に第1ストレート孔部(16)、奥が縮径する第1テーパ孔部(16a)、第2ストレート孔部(16b)、奥が縮径する第2テーパ孔部(16c)及び第3ストレート孔部(16d)となっている。
ダイケース(15)の後端にはバネ受けブロック(6)がネジ止め固定されている。
【0021】
図8、図9に示す如く、割抱型(2)は、軸心を中心に周方向に4等分されており、隣う割部材(20)(20)の互いの対向面に穴(25)が開設され、対向する2つの穴(25)に跨がってスリーブ(26)がガタなくスライド可能に嵌められる。スリーブ(26)内に開きバネ(27)が挿入され、該バネ(27)によって、隣合う割抱型部材(20)(20)が開き方向に付勢され、従って割抱型(2)全体は常時拡径方向に付勢されている。
【0022】
割抱型(2)の外周面には前部から順に、第1円筒面(21)、第1テーパ面(21a)、第2円筒面(21b)及び第2テーパ面(21c)が形成されており、図9に示す如く、隣合う各割部材(20)が密着した全閉状態にて、図5に示す如く、第1円筒面(21)はダイケース(15)の第2ストレート孔部(16b)、第2円筒面(21b)は第3ストレート孔部(16d)に緊密に摺動可能に嵌まる。第1テーパ面(21a)は第2テーパ孔部(16c)に対応する。
【0023】
割抱型(2)の内孔には、内孔を一周する複数条の凹条(29)が平行に等間隔に開設されている。
上記凹条(29)は、割抱型(2)が全閉状態で前記ダイス側金型(11)の凸条(10)及び後記するパンチ側金型ユニット(7)の凸条(70)に噛合可能である。
割抱型(2)は、ダイケース(15)の前端面にネジ止めした抜止めリングによって前方への抜け止めが画られる。
【0024】
図1に示す如く、上記割抱型(2)の後方に筒状のスライド受台(3)が配備され、該受台(3)は、上記ダイケース(15)の第3ストレート孔部(16d)にガタなくスライド可能に嵌まり、後端に突設した鍔部(31)をダイケース(15)の内孔の抜止め段部(15a)に当ててパンチ側金型ユニット(7)側への抜止めが画られる。
スライド受台(3)と前記バネ受けブロック(6)との間にバネ(32)が配備され、該バネ(32)によってスライド受台(3)及び割抱型(2)はパンチ側金型ユニット(7)側へ付勢される。
【0025】
前記ダイス側金型(11)の後端にガイド台(4)がネジ止め固定され、該ガイド台(4)はスライド受台(3)に相対的にスライド可能に嵌まり、後端に突設した段部(40)をスライド受台(3)の後端縁に当ててパンチ側金型ユニット(7)側への抜止めが画られる。
ガイド台(4)は軸心に貫通軸孔(42)、該軸孔(42)の周囲に複数のバネ収容孔(43)を開設している。
軸孔(42)に中間ピン(53)がスライド可能に配備される。
バネ収容孔(43)にはダイス側金型(11)を前方に付勢する押出しバネ(44)が収容されている。
前記バネ受けブロック(6)の軸心をスライド可能に貫通して蹴出しピン(54)が配備される。
【0026】
図1は、パンチ側金型ユニット(7)がダイス側金型ユニット(1)側へ前進する前のダイス側金型ユニット(1)の状態であり、ダイス側金型(11)、割抱型(2)及び突出しピン(5)の夫々前端の面が揃っている。
又、割抱型(2)は全開し、第1円筒面(21)は第1ストレート孔部(16)に、第1テーパ面(21a)は第1テーパ孔部(16a)に、第2円筒面(21b)は第2ストレート孔部(16b)に対応している。
【0027】
図2に示す如く、パンチ側金型ユニット(7)の金型(71)は、ニブホルダー(72)の前部に型ニブ(73)と台ニブ(74)を保持して構成され、ダイス側金型ユニット(1)に向けて、成形すべき軸付き歯車(9)の平歯車(94)に対応する型穴(75)を開口している。
ニブホルダー(72)は主ホルダー(8)にネジ止め固定される。
【0028】
上記パンチ側金型(71)の軸心には軸孔(78)が貫通開設され、突出し軸(76)がスライド可能に配備される。
突出し軸(76)は、前記軸付き平歯車(9)の十字状絞り部(93)に対応して断面十字状に形成されており、台ニブ(74)の軸孔も十字状を呈しており、突出し軸(76)は軸孔(78)に対して回転はしない。
突出し軸(76)の先端面には、前記ブランクB4の十字状凹み(95)に対応する十字状凸部(77)が突設されている。
【0029】
主ホルダー(8)の後端にはバックブロック(83)がネジ止め固定される。
主ホルダー(8)内には、バックブロック(83)に当接して前記突出し軸(76)の後退位置を規制する後退規制軸(81)がスライド可能に嵌まり、該後退規制軸(81)はバネ(82)によって前進方向に付勢されている。
突出し軸(76)の後部には該軸を安定してスライドさせるためのスライドブロック(76a)が圧入固定されている。
【0030】
パンチ側金型ユニット(7)が前進してダイス側金型ユニット(1)に当接し、パンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)が後退して台ニブ(74)に生じる空間及び前記ダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)が後退してダイス側金型(11)に生じる空間が連続して閉塞型空間を形成する。
【0031】
然して、図1に示す如く、トランスファプレスのチャック爪(図示せず)によって、ブランクB4が第5圧造ステーションS5に運ばれるタイミングに合わせて、パンチ側金型ユニット(7)が前進し、前進途上で突出し軸(76)はブランクB4に当りバネ(82)に抗して後退する。
軸状ブランクB4の小径軸部(91)はパンチ側金型ユニット(7)の型穴(75)及び軸孔(78)に侵入する。
このとき、ダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)先端の凸部(50)と、パンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)先端の略十字凸部(77)が、軸状ブランクB4の両端の凹部 (90)(95)に嵌まって、突出しピン(5)及び突出し軸(76)に対する軸状ブランクB4の芯ズレ及び回転は防止される。
【0032】
パンチ側金型ユニット(7)の後退規制軸(81)がバックブロック(83)に当接して突出し軸(76)のパンチ側金型(71)に対する相対的な後退が阻止されても、パンチ側金型ユニット(7)が前進を続け、突出し軸(76)が軸状ブランクB4をダイス側金型(11)に突き込みつつ、パンチ側金型(71)がダイス側金型(11)を押し込む(図3)。
ダイス側金型(11)は後退し、又、突出し軸(76)による軸状ブランクB4のダイス側金型(11)への突き込みにより、突出しピン(5)が後退して軸孔(14)に軸状ブランクB4の大径軸部(92)が侵入する。
更に、パンチ側金型ユニット(7)が前進して割抱型(2)を後退させる(図5)。
【0033】
割抱型(2)は、ダイケース(15)の第1テーパ孔部(16a)及び第2テーパ孔部(16c)に摺接して縮径し、このとき、割抱型(2)の内面凹条(29)がパンチ側金型(71)外周の凸条(70)とダイス側金型(11)外周の凸条(10)に噛合し、両金型(11)(71)の離間は確実に阻止される。即ち、両金型(11)(71)の間に形成される閉塞型空間が変化することはない。
割抱型(2)は、閉じた状態で第1円筒面(21)が第2ストレート孔部(16b)を摺接可能な距離だけ後退する。
この割抱型(2)の後退途上で中間ピン(53)がバネ受けブロック(6)に当たって突出しピン(5)の後退位置が規制される。従って、軸状ブランクB4のダイス側金型(11)の軸孔(14)に侵入した大径軸部(92)の肉は、パンチ側金型ユニット(7)の型ニブ(73)の型穴(75)に逃げることになり、この部分が平歯車(94)となるのである。
【0034】
パンチ側金型ユニット(7)が後退すると、図7に示す如く、軸付き平歯車(9)の大径軸部(92)をダイス側金型(11)の軸孔(14)に嵌めたままダイス側金型(11)が押しバネ(44)の付勢力により前進し、待機位置に復帰する。バネ(32)により割抱型(2)及びスライド受台(3)も元位置に復帰する。
蹴出しピン(54)が前進して、中間ピン(53)及び突出しピン(5)を介して軸付き平歯車(9)を突き出す。
上記動作の繰り返しにより、軸付き歯車を能率的に製造できる。
【0035】
上記の如く、ダイス側金型(11)とパンチ側金型(71)とで閉塞型空間を形成する直前に、ブランクB4の両端軸部(91)(92)を各金型(11)(71)の軸孔(14)(78)に侵入させ、この状態でブランクを軸方向に加圧して、パンチ側金型(71)の型穴(75)にブランクの肉を逃がして歯車(瘤部)を形成するため、即ち、ブランクの両端を金型(11)(71)で支持した状態で加圧するため、加圧中にブランクが振れることはなく、ブランクの肉の逃げが安定する。従って、品質の安定した軸付き歯車を成形できる。
【0036】
又、ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)とでブランクB4を挟んだ瞬間に、ブランク両端の凹部(90)(95)がダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)及びパンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)先端の凸部(50)(77)に嵌まり合って、ブランクの芯ブレ及び型穴に対する位相のズレが阻止された状態でダイス側金型ユニット(1)が前進してブランクを加圧するため、位相の異なる製品を排出することはない。
【0037】
実施例では、歯車部分に対する型穴(75)をパンチ側金型(71)に形成したが、ダイス側金型(11)に型穴を形成することもでき、或いは両金型に跨って型穴を形成することが出来る
又、実施例では、ブランク両端に凹部(90)(95)、ダイス側金型(11)の突出しピン(5)とパンチ側金型(71)の突出し軸(76)の先端面に凸部(50)(77)を設けて、ブランクの芯ブレ及び位相ズレを防止したが、ブランクの両端に凸部、突出しピン(5)と突出し軸(76)の先端に該凸部に嵌まる凹部を形成して同様の効果を奏することができる。
【0038】
尚、実施例は、両端に軸部を具えた歯車について説明したが、ダイス側金型ユニット(1)、パンチ側金型ユニット(7)の何れか一方だけに軸部を突出した片側軸付き歯車の成形も可能であり、この場合、軸部を成形しない方の金型の突出しピン(5)或いは突出し軸(76)を軸孔から後退させない様にすればよい。或いは軸部を成形しない方の金型から軸孔を省略すればよい。
又、軸付き部品であれば鍛造・圧造によって膨らませる瘤部は歯車に限定されないのは勿論である。
【0039】
本発明は、上記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイス側金型ユニットの断面図である。
【図2】パンチ側金型ユニットの断面図である。
【図3】パンチ側金型ユニットがダイス側金型を押し込んだ状態のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図4】同上のパンチ側金型ユニットの断面図である。
【図5】パンチ側金型ユニットがダイス側金型を最大押し込んだ状態のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図6】同上のパンチ側金型ユニットの断面図である。
【図7】製品を排出する直前のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図8】割抱型の斜面図である。
【図9】一部を断面で表した割抱型の正面図である。
【図10】圧造工程の説明図である。
【図11】出願人が以前提案した型装置の断面図である。
【図12】同上の圧造状態の断面図である。
【符号の説明】
(1) ダイス側金型ユニット
(11) ダイス側金型
(2) 割抱型
(7) パンチ側金型ユニット
(71) パンチ側金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダイス側金型ユニット(1)と該ユニットに押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)との間に形成される閉塞型空間内で、軸状ブランクを軸付き部材に形成する閉塞鍛造・圧造方法であって、
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上を前後動可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)に向けてバネ付勢され軸心に軸孔(14)を有するダイス側金型(11)と、該金型(11)の軸孔(14)にスライド可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)から離れる方向への後退移動端を規制された突出しピン(5)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能であってパンチ側金型ユニット(7)から離間する方向に後退しつつ強制的に閉じて全閉状態で更に後退可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)側へ飛び出し方向にバネ付勢された割抱型(2)とを有し、
パンチ側金型ユニット(7)は、パンチ側金型(71)と、該金型(71)の軸心に貫通開設された軸孔(78)にスライド可能に配備されダイス側金型ユニット(1)に向けてバネ付勢され該ユニットから離れる方向への後退移動端が規制された突出し軸(76)とを有し、
ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)との間に供給された軸状ブランクを、パンチ側金型ユニット(7)のダイス側金型ユニット(1)側への前進によってパンチ側金型(71)とダイス側金型(11)の少なくとも何れか一方の軸孔に侵入させつつダイス側金型(11)を後退させ、更に該金型(11)の後退途上で割抱型(2)を後退させつつ強制的に閉じて該割抱型(2)でダイス側金型(11)とパンチ側金型ユニット(7)を挟圧して両金型(11)(71)の離間を阻止した状態にて、両金型(11)(71)間に形成された閉塞型空間に軸状ブランクの肉を移動させて軸部を具えた部材を成形することを特徴とする軸付き部材の閉塞鍛造・圧造方法。
【請求項2】軸状ブランクの両端面中央に凸部又は凹部が形成され、突出しピン(5)及び突出し軸(76)の先端面中央には、該凸部又は凹部に嵌まって突出し軸(78)と突出しピン(5)の軸心の延長上に軸状ブランクを芯合わせ及び軸状ブランクと閉塞型空間の位相合わせをするための凹部又は凸部が形成されている請求項1に記載の軸付き部材の閉塞鍛造・圧造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、閉塞鍛造・圧造法により、軸状ブランクから軸部を有する部材を成形する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
出願人は以前、閉塞鍛造・圧造において、図11、図12に示す様に、ダイス側金型ユニット(100)に対してパンチ側金型ユニット(200)を前進衝突させ、これによってダイス側金型ユニット(100)の割型(102)を半径方向に閉じ、且つ該割型(102)を閉じた状態で鍛造・圧造作業ができる型装置を提案した(特許第2501299号)。
【0003】
以下の説明中(本願発明部分も含む)、型装置の動きで、パンチ側金型ユニット(200)の前進とは、矢印Xで示す様にダイス側金型ユニット(100)に向かう方向に移動することであり、後退とはその逆方向の動きである。
ダイス側金型ユニット(100)の構成部品の前進とは、矢印Yで示す様にパンチ側金型ユニット(200)に向かう方向に移動することであり、後退とはその逆方向の動きである。即ち、パンチ側金型ユニット(200)とダイス側金型ユニット(100)では、前後の関係が逆である。
【0004】
ダイス側金型ユニット(100)は、ダイケース(101)と、該ダイケースの先端側にダイケースの軸心に沿って前後動可能且つ半径方向に開閉可能に配備された割型(102)と、ダイケース(15)の軸心に前後動可能に配備された型軸(106)と該型軸にスライド可能に嵌まった突出し筒軸(107)を有している。
ダイケース(101)の内面は、パンチ側金型ユニット(200)から順に第1テーパ孔部(110)、第1ストレート孔部(120)、第2テーパ孔部(130)及び第2ストレート孔部(140)が連続している。
【0005】
割型(102)は、両端に膨らみ部を有する筒状部材(成形すべき製品)の外周形状に対応する型孔(290)を軸心に形成しており、軸心を中心に周方向に4等分されている。
割型(102)は、隣合う割部材(102a)(102a)間に開きバネ(102b)が介装されて常時開き方向に付勢され、閉じ状態の割型(102)の外周面は、パンチ側金型ユニット(200)側から順に、第1円筒面(210)、後方に縮径する第1テーパ面(220)、第2円筒面(230)及び後方に縮径する第2テーパ面(240)が形成されている。
【0006】
図11に示す如く、割型(102)が無負荷の場合、割型(102)は押出しバネ(103)に押されてダイケース(101)の前端の抜止めリング(170)に当り、且つ開きバネ(102b)の開き力により、開いて待機している。
割型(102)の第1テーパ面(220)が第1テーパ孔部(110)に、第2テーパ面(240)が第2テーパ孔部(130)に、第2円筒面(230)が第1ストレート孔部(120)に接して、割型(102)の開き量が規制される。
【0007】
パンチ側金型ユニット(200)は、ホルダー(202)にスライド可能にパンチ(201)を配備している。
【0008】
ダイス側金型ユニット(100)とパンチ側金型ユニット(200)との間に筒状ブランクBを供給する。
パンチ側金型ユニット(200)の前進により、開状態で待機する割型(102)にブランクBを押し込む。
図12に示す如く、更にパンチ側金型ユニット(200)が前進してホルダー(202)が割型(102)を押圧する。パンチ(201)はホルダー(202)に対して相対的に後退す。
割型(102)は、その第1テーパ面(220)と第2テーパ面(240)がダイケース (101)の第1テーパ孔部(110)と第2テーパ孔部(130)に摺接して徐々に閉じつつ前進してブランクを挟む。
【0009】
割型(102)の各テーパ面(220)(240)が、ダイケース(101)のテーパ孔部(110)(130)から外れて、第1円筒面(210)が第1ストレート孔部(120)に、第2円筒面(230)が第2ストレート孔部(140)に侵入し、割型(102)は全閉状態に拘束されたまま、ストレート孔部(120)(140)に案内されて後退し、後退中にブランクの圧造がなされる。
即ち、ブランクに塑性変形のための圧力が作用する際、割型(102)は完全に閉じており、割型(102)のパーティングラインにブランクの肉が侵入する余地はなく、従って、バリが生じることを防止できる。
【0010】
上記割型(102)の動き、即ち、半径方向に全開状態で待機し、パンチ側金型ユニット(200)に押されて徐々に閉じ、全閉状態で更に後退し、この全閉状態で後退する間にブランクを加圧し成形することは画期的な技術であり、この技術を応用した型装置も提案されている(例えば、特開平9−295094、実用新案登録第3060612号)。
本発明は、上記割型の技術を生かして、軸状ブランクから軸部を具えた部材を閉塞鍛造・圧造成形する方法を明らかにするものである。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明は、ダイス側金型ユニット(1)と該ユニットに押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)との間に形成される閉塞型空間内で、軸状ブランクを軸付き部材に形成する閉塞鍛造・圧造方法である。
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上を前後動可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)に向けてバネ付勢され軸心に軸孔(14)を有するダイス側金型(11)と、該金型(11)の軸孔(14)にスライド可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)から離れる方向への後退移動端を規制された突出しピン(5)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能であってパンチ側金型ユニット(7)から離間する方向に後退しつつ強制的に閉じて全閉状態で更に後退可能に配備されパンチ側金型ユニット(7)側へ飛び出し方向にバネ付勢された割抱型(2)とを有している。
【0012】
パンチ側金型ユニット(7)は、パンチ側金型(71)と、該金型(71)の軸心に貫通開設された軸孔(78)にスライド可能に配備されダイス側金型ユニット(1)に向けてバネ付勢され該ユニットから離れる方向への後退移動端が規制された突出し軸(76)とを有している。
【0013】
ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)との間に供給された軸状ブランクを、パンチ側金型ユニット(7)のダイス側金型ユニット(1)側への前進によってパンチ側金型(71)とダイス側金型(11)の少なくとも何れか一方の軸孔に侵入させつつダイス側金型(11)を後退させ、更に該金型(11)の後退途上で割抱型(2)を後退させつつ強制的に閉じて該割抱型(2)でダイス側金型(11)とパンチ側金型ユニット(7)を挟圧して両金型(11)(71)の離間を阻止した状態にて、両金型(11)(71)間に形成された閉塞型空間に軸状ブランクの肉を移動させて該空間に対応する瘤部を形成して、軸部を具えた部材を成形する。
【0014】
【作用及び効果】
軸状ブランクから、軸部を具えた部材を簡単に且つ能率的に生産できる。
閉塞型空間の形状を、歯車、多角形、円盤、星形等にすることにより、それに対応した形状の瘤部を有する軸付き部材を成形できる。
ダイス側金型(11)とパンチ側金型(71)とで閉塞型空間を形成する直前に、ブランクB4の両端軸部(91)(92)の少なくとも一方の軸部を金型の軸孔に侵入させ、この状態でブランクを軸方向に加圧して、パンチ側金型(71)の型穴(75)にブランクの肉を逃がして歯車(瘤部)を形成するため、即ち、ブランクの端部を金型の軸孔に嵌めて支持した状態で加圧するため、加圧中にブランクが振れることはなく、ブランクの肉の逃げが安定する。従って、品質の安定した軸付き部材を成形できる。
【0015】
【実施例】
図10は、所定の長さに剪断された円柱状ブランクB1を5つの工程により、両端に軸部を有する軸付き歯車(9)を成形する鍛造・圧造工程を示している。
鍛造・圧造は、パーツホーマと称される横型トランスファープレスを使用して行なわれ、該プレスの5つの圧造ステーションNo.1〜No.5に型装置が配備される。
公知の如く、各圧造ステーションの型装置は、トランスファープレスのダイブロックに取り付けたダイス側金型ユニットと、トランスファープレスのラムに取り付けたパンチ側金型ユニットとによって構成される。
図10において、下側はダイス側、上側はパンチ側である。
【0016】
No.1圧造ステーションでは、円筒状ブランクB1のダイス側先端外周に小さく面取りを施す。
No.2圧造ステーションでは、上記一端に面取りを施したブランクを180°反転させて他端にも面取りを施す。
No.3圧造ステーションでは、両端に面取りを施したブランクB3のダイス側を小径に絞り、且つ小径軸部(91)先端側を断面十字状に絞る。この十字状絞り部(93)は、別の部品を取り付けるためのものである。
No.4ステーションは、No.3ステーションのブランクB4を180゜反転させるためのものである。
No.5ステーションでは、ブランクB4の大径軸部(92)の小径軸部(91)側を膨らませて平歯車(94)を成形する。
上記No.2からNo.4の工程中に、軸状ブランクB4の両端面の中央にNo.5ステーションでの、後記するダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)の位相合わせと芯合わせのための凹部(90)(95)が形成される。
実施例では軸付き歯車の十字状絞り部(93)と平歯車(94)との位相を一定にするために、十字状絞り部(93)側端面の凹部(95)は略十字状に施されている。
該凹部(95)は、中心部が徐々に深くなっている。
【0017】
No.5ステーションに用いる型装置を説明する。
型装置は、図1に示す如く、ダイブロックの型穴(何れも図示せず)に取り付けたダイス側金型ユニット(1)と、図2示す如く、ラム(図示せず)に取り付けられダイス側金型ユニット(1)に押圧離間可能なパンチ側金型ユニット(7)とによって構成される。
【0018】
ダイス側金型ユニット(1)は、ダイケース(15)と、該ダイケースの軸心上に前後動可能に配備されたダイス側金型(11)と、ダイケース(15)とダイス側金型(11)との間にて前後動可能且つ半径方向に開閉可能に配備された筒状の割抱型(2)とを有している。
【0019】
ダイス側金型(11)は、ニブ(12)と該ニブ(12)を保持したニブホルダー(13)とによって構成され、軸心に軸孔(14)が貫通開設され、ニブホルダー(13)の外周面に外周を一周する複数条の凸条(10)が等間隔に平行に形成されている。
各凸条(10)は、夫々ダイス側金型(11)の軸心に直交する面内で無端状に繋がっている。
ダイス側金型(11)の軸孔(14)に突出しピン(5)がスライド可能に配備され、該ピンの後端拡大頭部(51)がダイス側金型(11)の後端面に当たって突出しピン(5)のパンチ側金型ユニット(7)側への抜出しが防止される。
突出しピン(5)の前端中央に、前記軸状ブランクB4の端面の大径軸部(92)側の凹部(90)に係合する凸部(50)が形成されている。
【0020】
ダイケース(15)のダイス側金型(11)と割抱型(2)が嵌まる内孔の前部は、パンチ側から順に第1ストレート孔部(16)、奥が縮径する第1テーパ孔部(16a)、第2ストレート孔部(16b)、奥が縮径する第2テーパ孔部(16c)及び第3ストレート孔部(16d)となっている。
ダイケース(15)の後端にはバネ受けブロック(6)がネジ止め固定されている。
【0021】
図8、図9に示す如く、割抱型(2)は、軸心を中心に周方向に4等分されており、隣う割部材(20)(20)の互いの対向面に穴(25)が開設され、対向する2つの穴(25)に跨がってスリーブ(26)がガタなくスライド可能に嵌められる。スリーブ(26)内に開きバネ(27)が挿入され、該バネ(27)によって、隣合う割抱型部材(20)(20)が開き方向に付勢され、従って割抱型(2)全体は常時拡径方向に付勢されている。
【0022】
割抱型(2)の外周面には前部から順に、第1円筒面(21)、第1テーパ面(21a)、第2円筒面(21b)及び第2テーパ面(21c)が形成されており、図9に示す如く、隣合う各割部材(20)が密着した全閉状態にて、図5に示す如く、第1円筒面(21)はダイケース(15)の第2ストレート孔部(16b)、第2円筒面(21b)は第3ストレート孔部(16d)に緊密に摺動可能に嵌まる。第1テーパ面(21a)は第2テーパ孔部(16c)に対応する。
【0023】
割抱型(2)の内孔には、内孔を一周する複数条の凹条(29)が平行に等間隔に開設されている。
上記凹条(29)は、割抱型(2)が全閉状態で前記ダイス側金型(11)の凸条(10)及び後記するパンチ側金型ユニット(7)の凸条(70)に噛合可能である。
割抱型(2)は、ダイケース(15)の前端面にネジ止めした抜止めリングによって前方への抜け止めが画られる。
【0024】
図1に示す如く、上記割抱型(2)の後方に筒状のスライド受台(3)が配備され、該受台(3)は、上記ダイケース(15)の第3ストレート孔部(16d)にガタなくスライド可能に嵌まり、後端に突設した鍔部(31)をダイケース(15)の内孔の抜止め段部(15a)に当ててパンチ側金型ユニット(7)側への抜止めが画られる。
スライド受台(3)と前記バネ受けブロック(6)との間にバネ(32)が配備され、該バネ(32)によってスライド受台(3)及び割抱型(2)はパンチ側金型ユニット(7)側へ付勢される。
【0025】
前記ダイス側金型(11)の後端にガイド台(4)がネジ止め固定され、該ガイド台(4)はスライド受台(3)に相対的にスライド可能に嵌まり、後端に突設した段部(40)をスライド受台(3)の後端縁に当ててパンチ側金型ユニット(7)側への抜止めが画られる。
ガイド台(4)は軸心に貫通軸孔(42)、該軸孔(42)の周囲に複数のバネ収容孔(43)を開設している。
軸孔(42)に中間ピン(53)がスライド可能に配備される。
バネ収容孔(43)にはダイス側金型(11)を前方に付勢する押出しバネ(44)が収容されている。
前記バネ受けブロック(6)の軸心をスライド可能に貫通して蹴出しピン(54)が配備される。
【0026】
図1は、パンチ側金型ユニット(7)がダイス側金型ユニット(1)側へ前進する前のダイス側金型ユニット(1)の状態であり、ダイス側金型(11)、割抱型(2)及び突出しピン(5)の夫々前端の面が揃っている。
又、割抱型(2)は全開し、第1円筒面(21)は第1ストレート孔部(16)に、第1テーパ面(21a)は第1テーパ孔部(16a)に、第2円筒面(21b)は第2ストレート孔部(16b)に対応している。
【0027】
図2に示す如く、パンチ側金型ユニット(7)の金型(71)は、ニブホルダー(72)の前部に型ニブ(73)と台ニブ(74)を保持して構成され、ダイス側金型ユニット(1)に向けて、成形すべき軸付き歯車(9)の平歯車(94)に対応する型穴(75)を開口している。
ニブホルダー(72)は主ホルダー(8)にネジ止め固定される。
【0028】
上記パンチ側金型(71)の軸心には軸孔(78)が貫通開設され、突出し軸(76)がスライド可能に配備される。
突出し軸(76)は、前記軸付き平歯車(9)の十字状絞り部(93)に対応して断面十字状に形成されており、台ニブ(74)の軸孔も十字状を呈しており、突出し軸(76)は軸孔(78)に対して回転はしない。
突出し軸(76)の先端面には、前記ブランクB4の十字状凹み(95)に対応する十字状凸部(77)が突設されている。
【0029】
主ホルダー(8)の後端にはバックブロック(83)がネジ止め固定される。
主ホルダー(8)内には、バックブロック(83)に当接して前記突出し軸(76)の後退位置を規制する後退規制軸(81)がスライド可能に嵌まり、該後退規制軸(81)はバネ(82)によって前進方向に付勢されている。
突出し軸(76)の後部には該軸を安定してスライドさせるためのスライドブロック(76a)が圧入固定されている。
【0030】
パンチ側金型ユニット(7)が前進してダイス側金型ユニット(1)に当接し、パンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)が後退して台ニブ(74)に生じる空間及び前記ダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)が後退してダイス側金型(11)に生じる空間が連続して閉塞型空間を形成する。
【0031】
然して、図1に示す如く、トランスファプレスのチャック爪(図示せず)によって、ブランクB4が第5圧造ステーションS5に運ばれるタイミングに合わせて、パンチ側金型ユニット(7)が前進し、前進途上で突出し軸(76)はブランクB4に当りバネ(82)に抗して後退する。
軸状ブランクB4の小径軸部(91)はパンチ側金型ユニット(7)の型穴(75)及び軸孔(78)に侵入する。
このとき、ダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)先端の凸部(50)と、パンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)先端の略十字凸部(77)が、軸状ブランクB4の両端の凹部 (90)(95)に嵌まって、突出しピン(5)及び突出し軸(76)に対する軸状ブランクB4の芯ズレ及び回転は防止される。
【0032】
パンチ側金型ユニット(7)の後退規制軸(81)がバックブロック(83)に当接して突出し軸(76)のパンチ側金型(71)に対する相対的な後退が阻止されても、パンチ側金型ユニット(7)が前進を続け、突出し軸(76)が軸状ブランクB4をダイス側金型(11)に突き込みつつ、パンチ側金型(71)がダイス側金型(11)を押し込む(図3)。
ダイス側金型(11)は後退し、又、突出し軸(76)による軸状ブランクB4のダイス側金型(11)への突き込みにより、突出しピン(5)が後退して軸孔(14)に軸状ブランクB4の大径軸部(92)が侵入する。
更に、パンチ側金型ユニット(7)が前進して割抱型(2)を後退させる(図5)。
【0033】
割抱型(2)は、ダイケース(15)の第1テーパ孔部(16a)及び第2テーパ孔部(16c)に摺接して縮径し、このとき、割抱型(2)の内面凹条(29)がパンチ側金型(71)外周の凸条(70)とダイス側金型(11)外周の凸条(10)に噛合し、両金型(11)(71)の離間は確実に阻止される。即ち、両金型(11)(71)の間に形成される閉塞型空間が変化することはない。
割抱型(2)は、閉じた状態で第1円筒面(21)が第2ストレート孔部(16b)を摺接可能な距離だけ後退する。
この割抱型(2)の後退途上で中間ピン(53)がバネ受けブロック(6)に当たって突出しピン(5)の後退位置が規制される。従って、軸状ブランクB4のダイス側金型(11)の軸孔(14)に侵入した大径軸部(92)の肉は、パンチ側金型ユニット(7)の型ニブ(73)の型穴(75)に逃げることになり、この部分が平歯車(94)となるのである。
【0034】
パンチ側金型ユニット(7)が後退すると、図7に示す如く、軸付き平歯車(9)の大径軸部(92)をダイス側金型(11)の軸孔(14)に嵌めたままダイス側金型(11)が押しバネ(44)の付勢力により前進し、待機位置に復帰する。バネ(32)により割抱型(2)及びスライド受台(3)も元位置に復帰する。
蹴出しピン(54)が前進して、中間ピン(53)及び突出しピン(5)を介して軸付き平歯車(9)を突き出す。
上記動作の繰り返しにより、軸付き歯車を能率的に製造できる。
【0035】
上記の如く、ダイス側金型(11)とパンチ側金型(71)とで閉塞型空間を形成する直前に、ブランクB4の両端軸部(91)(92)を各金型(11)(71)の軸孔(14)(78)に侵入させ、この状態でブランクを軸方向に加圧して、パンチ側金型(71)の型穴(75)にブランクの肉を逃がして歯車(瘤部)を形成するため、即ち、ブランクの両端を金型(11)(71)で支持した状態で加圧するため、加圧中にブランクが振れることはなく、ブランクの肉の逃げが安定する。従って、品質の安定した軸付き歯車を成形できる。
【0036】
又、ダイス側金型ユニット(1)とパンチ側金型ユニット(7)とでブランクB4を挟んだ瞬間に、ブランク両端の凹部(90)(95)がダイス側金型ユニット(1)の突出しピン(5)及びパンチ側金型ユニット(7)の突出し軸(76)先端の凸部(50)(77)に嵌まり合って、ブランクの芯ブレ及び型穴に対する位相のズレが阻止された状態でダイス側金型ユニット(1)が前進してブランクを加圧するため、位相の異なる製品を排出することはない。
【0037】
実施例では、歯車部分に対する型穴(75)をパンチ側金型(71)に形成したが、ダイス側金型(11)に型穴を形成することもでき、或いは両金型に跨って型穴を形成することが出来る
又、実施例では、ブランク両端に凹部(90)(95)、ダイス側金型(11)の突出しピン(5)とパンチ側金型(71)の突出し軸(76)の先端面に凸部(50)(77)を設けて、ブランクの芯ブレ及び位相ズレを防止したが、ブランクの両端に凸部、突出しピン(5)と突出し軸(76)の先端に該凸部に嵌まる凹部を形成して同様の効果を奏することができる。
【0038】
尚、実施例は、両端に軸部を具えた歯車について説明したが、ダイス側金型ユニット(1)、パンチ側金型ユニット(7)の何れか一方だけに軸部を突出した片側軸付き歯車の成形も可能であり、この場合、軸部を成形しない方の金型の突出しピン(5)或いは突出し軸(76)を軸孔から後退させない様にすればよい。或いは軸部を成形しない方の金型から軸孔を省略すればよい。
又、軸付き部品であれば鍛造・圧造によって膨らませる瘤部は歯車に限定されないのは勿論である。
【0039】
本発明は、上記実施例の構成に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイス側金型ユニットの断面図である。
【図2】パンチ側金型ユニットの断面図である。
【図3】パンチ側金型ユニットがダイス側金型を押し込んだ状態のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図4】同上のパンチ側金型ユニットの断面図である。
【図5】パンチ側金型ユニットがダイス側金型を最大押し込んだ状態のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図6】同上のパンチ側金型ユニットの断面図である。
【図7】製品を排出する直前のダイス側金型ユニットの断面図である。
【図8】割抱型の斜面図である。
【図9】一部を断面で表した割抱型の正面図である。
【図10】圧造工程の説明図である。
【図11】出願人が以前提案した型装置の断面図である。
【図12】同上の圧造状態の断面図である。
【符号の説明】
(1) ダイス側金型ユニット
(11) ダイス側金型
(2) 割抱型
(7) パンチ側金型ユニット
(71) パンチ側金型
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