JP2002224557A - 半導体超微粒子の製造方法 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法

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JP2002224557A
JP2002224557A JP2001025742A JP2001025742A JP2002224557A JP 2002224557 A JP2002224557 A JP 2002224557A JP 2001025742 A JP2001025742 A JP 2001025742A JP 2001025742 A JP2001025742 A JP 2001025742A JP 2002224557 A JP2002224557 A JP 2002224557A
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Soichiro Saida
壮一郎 齊田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶成長後の半導体超微粒子を含有する有機
液層から該半導体超微粒子を効率よく分離する方法を提
供する。 【解決手段】 化合物半導体結晶または単体半導体結晶
を有機液相媒質中で成長させて得られる半導体超微粒子
を含有する有機液相中から半導体超微粒子を分離する際
に、該有機液相中に水を含有させた後、半導体超微粒子
を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体超微粒子の製
造方法に関する。詳しくは、結晶成長後の半導体超微粒
子を含有する有機液層から該半導体超微粒子を効率よく
分離する方法に関するものである。本発明の製造方法に
より得られる半導体超微粒子は、高い発光効率を示す特
性を有し、ディスプレイや発光ダイオード等の光学部材
の原料として好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】半導体材料はその材料特有の光吸収及び
発光を与える特徴を持っており、既に発光材料として広
く使用されている。粒径が1nmから100nm程度の
半導体超微粒子は量子閉じこめ効果によりバルクとは異
なる性質を示すことが知られている。かかる性質を有す
る超微粒子は、コロイド粒子、ナノ結晶(Nanocr
ystals)、ナノ粒子(Nanoparticle
s)、或いは量子ドット(Quantum Dot)等
とも呼称される場合がある。
【0003】従来、半導体超微粒子は例えば下記の方法
で製造されてきた。 (a)分子ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の
高真空プロセス。この方法により組成が高度に制御され
た高純度の半導体超微粒子が得られるが、ホスフィンや
アルシン等の有毒気体を原料とする場合があり、且つ高
価な製造装置を要するので生産性の点で産業上の利用に
制限があった。 (b)熱分解性の半導体原料を高温の液相有機媒体に注
入して半導体結晶を成長させる方法(以下、ホットソー
プ法と呼ぶ)。例えばC.B.Murrayら;J.A
m.Chem.Soc.,115巻8706−8715
(1993)に報告されている方法である。この方法に
は、粒径分布が極めて狭く、また不純物の少ない優れた
半導体超微粒子が得られる特徴がある。 (c)2種類の反応性の半導体原料を順番に溶媒中に注
入し半導体結晶を成長させる方法(以下、均一溶媒法と
呼ぶ)。例えばD.Diazら;J.Phys.Che
m.,103巻B9854−9858(1999)に報
告されている方法である。この方法には、10〜30℃
程度の室温で簡便に製造できる特徴がある。 (d)半導体原料水溶液を疎水性有機溶媒中の逆ミセル
として存在させ該逆ミセル同士の衝突に伴う物質移動を
利用して該逆ミセル相中にて半導体結晶を成長させる方
法(以下、逆ミセル法と呼ぶ)。例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻、4
39−450(1999)に報告されている方法であ
る。汎用的な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術
が利用でき、しかも水の関与した反応であり、比較的低
温で行われるなめ簡便な方法である。
【0004】前記(b)、(c)あるいは(d)の液相
製造法は前記(a)の高真空プロセスよりも工業的生産
に適した方法であり、中でも(b)のホットソープ法は
高い発光効率を有する、発光材料として有利に使用でき
る超微粒子を製造することができるが、製造した超微粒
子を高濃度で含有する液相と、貧溶媒として使用するメ
タノールを混合し超微粒子を沈降させ遠心分離または濾
過等により溶媒と分離する工程を含み、この分離工程で
生じる上澄み液または濾液に超微粒子が多量に残存して
しまうため、超微粒子の回収率が低下してしまうという
欠点があった。また、かかる上澄み液または濾液には半
導体結晶成長が不十分な望ましくない吸発光特性を示す
副生成物が通常多量に含まれているので、ここから目的
とする超微粒子を敢えて回収するには、貧溶媒の逐次添
加等の煩雑な分画沈殿操作が必要であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、望ましくない吸
発光特性を示す副生成物の混入を極力排除することによ
り半導体超微粒子の吸発光特性を損なうことなくこれを
効率よく分離する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、合成した半導体超
微粒子を分離する際の各種条件、特に分離工程に水を使
用することにより、高収率で半導体超微粒子を回収する
ことが可能になることを見いだし本発明に到達した。即
ち本発明の要旨は、化合物半導体結晶または単体半導体
結晶を有機液相媒質中で成長させて得られる半導体超微
粒子を含有する有機液相中から半導体超微粒子を分離す
る際に、該有機液相中に水を含有させた後、半導体超微
粒子を分離することを特徴とする半導体超微粒子の製造
方法、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。 [半導体超微粒子]本発明において対象とする半導体超
微粒子は、電気陰性度が2.0以下である陽性元素及び
該電気陰性度が1.9以上である陰性元素を主体とする
化合物半導体、あるいは半導体性を有する単体を主体と
する単体半導体のいずれかである。ここで、半導体性と
は、室温における電気伝導率が、金属と絶縁体の中間の
103〜10-10S/cm程度である性質あるいは電気伝
導率が温度とともに上昇する性質を意味する。かかる原
料化合物の具体例は後述する。なお、本発明における電
気陰性度は、例えば理化学辞典,第5判,912頁(岩
波書店;1998年)に記載の表のように、ポーリング
の定義による数値である。本発明の製造方法により得ら
れる半導体超微粒子とは、後述するように粒径が数nm
〜数10nm程度の大きさを有する半導体結晶を主体と
するものであり、該半導体結晶の組成は半導体性を有す
る元素単体あるいは複数種元素からなる化合物半導体の
いずれでも構わない。ここで言う半導体超微粒子の主体
とは、後述する超微粒子表面の有機成分を除いた中心部
分を意味する。また、製造に用いられる液相媒質の構成
成分、配位子、界面活性剤等の有機分子あるいはこれら
が何らかの化学変化を受けて生成する有機構造等の有機
成分をその表面に保持していても構わない。かかる粒子
表面に保持される有機成分と半導体組成との結合様式に
制限はないが、例えば配位結合、共有結合、イオン結合
等の比較的強い化学結合、あるいはファンデアワールス
力、水素結合、疎水−疎水相互作用、分子鎖の絡み合い
効果等の比較的弱い可逆的な引力相互作用等が例示され
る。該有機成分の含量は、生成する半導体超微粒子の表
面積(即ち粒径にも関連)にもよるが、後述する単離精
製工程を経て十分に精製された状態で、半導体超微粒子
中、通常1〜90重量%、半導体超微粒子を分散する実
用上重要な各種媒体(例えば溶媒や樹脂バインダ等)の
有機マトリクス物質への分散性や化学的安定性の点で好
ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜70重
量%、最も好ましくは15〜60重量%程度である。該
有機成分含量は、例えば各種元素分析や熱重量分析等に
より測定される。また、該有機成分の化学種や化学的環
境についての情報を赤外吸収スペクトル(IR)や核磁
気共鳴(NMR)スペクトルから得られる。本発明の製
造方法により得られる半導体超微粒子の大きさは、透過
型電子顕微鏡(TEM)で観察される平均粒径として、
通常0.5〜10nm、好ましくは1〜7nm、更に好
ましくは2〜5nm程度となる。この範囲よりも超微粒
子が小さい場合は分離工程で水を使用しても分離不能な
領域であり、またこの範囲よりも超微粒子が大きい場合
は分離工程で水を使用しなくても従来法で高い率で分離
できる。本発明の製造方法で得られる半導体超微粒子
は、前記のようにその表層として有機成分を含有する場
合があるが、TEMで観察される粒子像はかかる有機成
分を含まない部分、即ち比較的原子番号の高い元素を含
む半導体組成の部分に由来するものと考えられる。電子
顕微鏡で観察困難な原子番号の小さい元素で構成される
半導体超微粒子の場合には、おおよその粒径は原子間力
顕微鏡(AFM)等により見積もることができる。半導
体超微粒子の量子効果により生ずる量子準位での電子遷
移に起因する光吸収及び/又は発光の波長は、その粒子
の大きさにより決まるので、前記の平均粒子直径が上記
の範囲外の場合には実用的に重要な発光波長が得られな
いだけでなく、反応後の単離精製に支障を来す場合があ
る。なお、半導体結晶構造の生成は、前記のTEM観察
における半導体結晶格子像の観察の他、超微粒子の粉末
X線回折、元素分析、あるいはXAFS(X−ray
absorption fine structur
e)による元素分析と原子間距離測定等の分析手段で確
認可能である。
【0008】[半導体結晶組成]本発明の製造方法によ
り得られる半導体結晶組成の例を組成式で挙げると、
C、Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の単体
(本発明においてはIV族半導体と称する)、P(黒リ
ン)等の周期表第15族元素の単体、Se、Te等の周
期表第16族元素の単体、SiC等の複数の周期表第1
4族元素からなる化合物、SnO2、Sn(II)Sn(I
V)S3、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、Pb
S、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期
表第16族元素との化合物、BN、BP、BAs、Al
N、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、G
aAs、GaSb、InN、InP、InAs、InS
b等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化
合物(本発明においてはIII−V族化合物半導体と称す
る)、Al23、Al2Se3、Ga23、Ga2Se3
Ga2Te3、In23、In23、In2Se3、In2
Te3等の周期表第13族元素と周期表第16族元素と
の化合物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表第1
3族元素と周期表第17族元素との化合物、ZnO、Z
nS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdS
e、CdTe、HgS、HgSe、HgTe等の周期表
第12族元素と周期表第16族元素との化合物(本発明
においてはII−VI族化合物半導体と称する)、Sb
23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi23、Bi 2
3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期表第1
6族元素との化合物、Cu2O等の周期表第11族元素
と周期表第16族元素との化合物、CuCl、CuB
r、CuI、AgCl、AgBr等の周期表第11族元
素と周期表第17族元素との化合物、NiO等の周期表
第10族元素と周期表第16族元素との化合物、Co
O、CoS等の周期表第9族元素と周期表第16族元素
との化合物、Fe34、FeS等の周期表第8族元素と
周期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7
族元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、W
2等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化
合物、VO、VO2、Ta25等の周期表第5族元素と
周期表第16族元素との化合物、TiO2、Ti25
Ti23、Ti59等の周期表第4族元素と周期表第1
6族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2
族元素と周期表第16族元素との化合物、CdCr
24、CdCr2Se4、CuCr24、HgCr2Se4
等のカルコゲンスピネル類、BaTiO3等が挙げられ
る。これらのうち重要なものは、SiやGe等のIV族半
導体、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、Pb
S、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期
表第16族元素との化合物、AlAs、AlSb、Ga
N、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、I
nAs、InSb等のIII−V族化合物半導体、Al2
3、Al2Se3、Ga23、Ga2Se3、Ga2Te3
In23、In 2Se3、In2Te3等の周期表第13族
元素と周期表第16族元素との化合物、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、
HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体、Sb2
3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi23、Bi2
3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期表第1
6族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2
族元素と周期表第16族元素との化合物であり、中で
も、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、I
nP、InAs、InSb等のIII−V族化合物半導
体、Ga23、Ga2Se3、Ga2Te3、In23、I
2Se3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表
第16族元素との化合物、ZnS、ZnSe、ZnT
e、CdS、CdSe、CdTe等のII−VI族化合物半
導体が最も重要である。本発明の製造方法により得られ
る半導体結晶組成は、その主体となる有機成分を除いた
中心部分及び該中心部分の外殻部分に任意の付活物質が
ドープ(故意に添加する事を意味する)されていても構
わない。かかる付活物質の例としては、マンガン、銅、
アルミニウム、銀、テルビウム、ツリウム、エルビウ
ム、セリウム、ユーロピウム、塩素、フッ素が挙げられ
る。
【0009】[結晶成長]半導体超微粒子を得る上で好
ましい本発明の製造方法の結晶成長方式は、半導体原料
を液相媒質中に注入する方式である。
【0010】かかる結晶成長の代表例として、前記のホ
ットソープ法が挙げられる。以下、本発明の製造法にお
いてこれらの方法を適用する場合の結晶成長条件につい
て詳しく説明する。
【0011】[ホットソープ法]ホットソープ法は、半
導体原料の少なくとも1種を高温に加熱された配位性有
機化合物中で熱分解させた結果開始する反応により半導
体結晶の核生成と結晶成長を進行させる方法である。か
かる結晶核生成と結晶成長の過程の反応速度を望ましく
制御する目的で、半導体構成元素に適切な配位力のある
配位性有機化合物が液相媒体を構成する必須成分として
使用される。かかる配位性有機化合物が、半導体結晶に
配位して安定化する状況が石鹸分子が油滴を水中で安定
化する状況に似ているため、この反応形式はホットソー
プ(Hot soap)法と呼ばれる。
【0012】[ホットソープ法に使用される配位性有機
化合物]原料液に使用される配位性有機化合物が、高温
液相において微結晶に配位して安定化する物質の例とし
ては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、
トリデシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物、オ
クチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラ
デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミ
ン等のω−アミノアルカン類、ピリジン、ルチジン、コ
リジン、キノリン類の含窒素芳香族化合物等の有機窒素
化合物、ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド
類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等の
ジアルキルスルホキシド類、チオフェン等の含硫黄芳香
族化合物等の有機硫黄化合物等が代表的であり、これら
のうち、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィ
ン等のトリアルキルホスフィン類、トリブチルホスフィ
ンオキシドやトリオクチルホスフィンオキシド等のトリ
アルキルホスフィンオキシド類、ドデシルアミン、ヘキ
サデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素数12以
上のω−アミノアルカン類等の分子構造中に窒素原子又
はリン原子を含む化合物が好適であり、中でもトリブチ
ルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキ
ルホスフィン類、トリブチルホスフィンオキシドやトリ
オクチルホスフィンオキシド等のトリアルキルホスフィ
ンオキシド類等の炭素−リン単結合を有する化合物は更
に好適であり、トリオクチルホスフィンオキシド等のト
リアルキルホスフィンオキシド類は最適である。かかる
配位性有機化合物は、単独で前記の液相媒質を構成して
も、必要に応じ複数種を混合して使用しても構わず、更
に適当な有機溶剤(例えばトルエン、キシレン、ナフタ
レン等の芳香族炭化水素、オクタン、デカン、ドデカ
ン、オクタデカン等の長鎖アルカン類等)で希釈して使
用しても構わない。
【0013】[ホットソープ法に使用される半導体原
料]ホットソープ法に用いられる半導体原料は、製造操
作上の簡便性の理由で液状であるのが好ましい。原料物
質自身が常温で液体であればそのまま使用して良く、必
要に応じて適当な有機溶媒の溶液としても構わない。か
かる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等のアル
カン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等
の芳香族炭化水素、あるいは前記に例示の配位性有機化
合物等が例示される。これらのうち好ましく用いられる
のは、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イ
ソオクタン等のアルカン類、あるいはトリブチルホスフ
ィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィ
ン等のトリアルキルホスフィン類である。前記の電気陰
性度が2.0以下である陽性元素を含有する第1物質の
例としては、マグネシウム、チタン、バナジウム、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、
鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、水
銀、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲ
ルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ビスマス等の単体、
あるいは、ジエチルマグネシウムやジ−n−ブチルマグ
ネシウム等の周期表第2族元素のジアルキル化物、塩化
メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化
メチルマグネシウム、塩化エチニルマグネシウム等の周
期表第2族元素のアルキルハロゲン化物、ヨウ化マグネ
シウム等の周期表第2族元素のジハロゲン化物、四塩化
チタン(IV)、四臭化チタン(IV)、四ヨウ化チタン
(IV)等の周期表第4族元素のハロゲン化物、二塩化バ
ナジウム(II)、四塩化バナジウム(IV)、二臭化バナ
ジウム(II)、四臭化バナジウム(IV)、二ヨウ化バナ
ジウム(II)、四ヨウ化バナジウム(IV)、五塩化タン
タル(V)、五臭化タンタル(V)、五ヨウ化タンタル
(V)等の周期表第5族元素のハロゲン化物、三臭化ク
ロム(III)、三ヨウ化クロム(III)、四塩化モリブデ
ン(IV)、四臭化モリブデン(IV)、四ヨウ化モリブデ
ン(IV)、四塩化タングステン(IV)、四臭化タングス
テン(IV)等の周期表第6族元素のハロゲン化物、二塩
化マンガン(II)、二臭化マンガン(II)、二ヨウ化マ
ンガン(II)等の周期表第7族元素のハロゲン化物、二
塩化鉄(II)、三塩化鉄(III)、二臭化鉄(II)、三
臭化鉄(III)、二ヨウ化鉄(II)、三ヨウ化鉄(III)
等の周期表第8族元素のハロゲン化物、二塩化コバルト
(II)、二臭化コバルト(II)、二ヨウ化コバルト(I
I)等の周期表第9族元素のハロゲン化物、二塩化ニッ
ケル(II)、二臭化ニッケル(II)、二ヨウ化ニッケル
(II)等の周期表第10族元素のハロゲン化物、ヨウ化
銅(I)等の周期表第11族元素のハロゲン化物、ジメ
チル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイ
ソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜
鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛、ジシクロヘキシル亜鉛、ジ
メチルカドミウム、ジエチルカドミウム、ジメチル水銀
(II)、ジエチル水銀(II)等の周期表第12族元素の
ジアルキル化物、塩化メチル亜鉛、臭化メチル亜鉛、ヨ
ウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、塩化メチルカドミ
ウム、塩化メチル水銀(II)等の周期表第12族元素の
アルキルハロゲン化物、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二ヨ
ウ化亜鉛、二塩化カドミウム、二臭化カドミウム、二ヨ
ウ化カドミウム、二塩化水銀(II)、塩化ヨウ化亜鉛、
塩化ヨウ化カドミウム、塩化ヨウ化水銀(II)、臭化ヨ
ウ化亜鉛、臭化ヨウ化カドミウム、臭化ヨウ化水銀(I
I)等の周期表第12族元素のジハロゲン化物、トリメ
チルホウ素、トリ−n−プロピルホウ素、トリイソプロ
ピルホウ素、トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−
ヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ト
リ−n−ブチルガリウム(III)、トリ−n−ブチルイ
ンジウム(III)等の周期表第13族元素のトリアルキ
ル化物、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアル
ミニウム、塩化ジ−n−ブチルアルミニウム、臭化ジエ
チルアルミニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム、塩化
ジ−n−ブチルガリウム(III)、塩化ジ−n−ブチル
インジウム(III)等の周期表第13族元素のジアルキ
ルモノハロゲン化物、二塩化メチルアルミニウム、二塩
化エチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二
ヨウ化エチルアルミニウム、二塩化n−ブチルアルミニ
ウム、二塩化n−ブチルガリウム(III)、二塩化n−
ブチルインジウム(III)等の周期表第13族元素のモ
ノアルキルジハロゲン化物、三塩化ホウ素、三臭化ホウ
素、三ヨウ化ホウ素、三塩化アルミニウム、三臭化アル
ミニウム、三ヨウ化アルミニウム、三塩化ガリウム(II
I)、三臭化ガリウム(III)、三ヨウ化ガリウム(II
I)、三塩化インジウム(III)、三臭化インジウム(II
I)、三ヨウ化インジウム(III)、二塩化臭化ガリウム
(III)、二塩化ヨウ化ガリウム(III)、塩化二ヨウ化
ガリウム(III)、二塩化ヨウ化インジウム(III)等の
周期表第13族元素のトリハロゲン化物、四塩化ゲルマ
ニウム(IV)、四臭化ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲ
ルマニウム(IV)、二塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、
二臭化錫(II)、四臭化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、
四臭化錫(IV)、二塩化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫
(IV)、二塩化鉛(II)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛
(II)等の周期表第14族元素のハロゲン化物、トリメ
チルアンチモン(III)、トリエチルアンチモン(II
I)、トリ−n−ブチルアンチモン(III)、トリメチル
ビスマス(III)、トリエチルビスマス(III)、トリ−
n−ブチルビスマス(III)等の周期表第15族元素の
トリアルキル化物、二塩化メチルアンチモン(III)、
二臭化メチルアンチモン(III)、二ヨウ化メチルアン
チモン(III)、二ヨウ化エチルアンチモン(III)、二
塩化メチルビスマス(III)、二ヨウ化エチルビスマス
(III)等の周期表第15族元素のモノアルキルジハロ
ゲン化物、三塩化アンチモン(III)、三臭化アンチモ
ン(III)、三ヨウ化アンチモン(III)、三塩化ビスマ
ス(III)、三臭化ビスマス(III)、三ヨウ化ビスマス
(III)等の周期表第15族元素のトリハロゲン化物等
が挙げられる。これらのうち好適なのは、ジエチルマグ
ネシウムやジ−n−ブチルマグネシウム等の周期表第2
族元素のジアルキル化物、塩化メチルマグネシウム、臭
化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム等の
周期表第2族元素のアルキルハロゲン化物、ジメチル亜
鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロ
ピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ
−n−ヘキシル亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカ
ドミウム等の周期表第12族元素のジアルキル化物、塩
化メチル亜鉛、臭化メチル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨ
ウ化エチル亜鉛、塩化メチルカドミウム等の周期表第1
2族元素のアルキルハロゲン化物、三ヨウ化アルミニウ
ム、三塩化ガリウム(III)、三臭化ガリウム(III)、
三ヨウ化ガリウム(III)、三塩化インジウム(III)、
三臭化インジウム(III)、三ヨウ化インジウム(III)
等の周期表第13族元素のトリハロゲン化物等であり、
中でもジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル
亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジメ
チルカドミウム、ジエチルカドミウム等の周期表第12
族元素のジアルキル化物、三塩化ガリウム(III)、三
塩化インジウム(III)等の周期表第13族元素のトリ
ハロゲン化物等が最適である。なお、四塩化ゲルマニウ
ム(IV)、四臭化ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマ
ニウム(IV)、二塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、二臭
化錫(II)、四臭化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭
化錫(IV)、二塩化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(I
V)、二塩化鉛(II)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(I
I)等の周期表第14族元素のハロゲン化物は、単独で
ゲルマニウムや錫等の周期表第14族元素の単体半導体
の原料となる場合もある。前記の電気陰性度が1.9以
上である陰性元素を含有する第2物質の例としては、窒
素、リン、砒素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、
セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の周期
表第15〜17族元素の単体、アンモニア、ホスフィン
(PH3)、アルシン(AsH3)、スチビン(Sb
3)等の周期表第15族元素の水素化物、トリス(ト
リメチルシリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)
ホスフィン、トリス(トリメチルシリル)アルシン等の
周期表第15族元素のシリル化物、硫化水素、セレン化
水素、テルル化水素等の周期表第16族元素の水素化
物、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、ビス(トリ
メチルシリル)セレニド等の周期表第16族元素のシリ
ル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナトリウム、テルル
化ナトリウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属
塩、硫化アンモニウム、セレン化アンモニウム等の周期
表第16族元素のアンモニウム塩、水硫化ナトリウム、
水セレン化ナトリウム等の周期表第16族元素のモノ水
素化モノアルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフ
ィド、トリヘキシルホスフィンスルフィド、トリオクチ
ルホスフィンスルフィド、トリブチルホスフィンセレニ
ド、トリヘキシルホスフィンセレニド、トリオクチルホ
スフィンセレニド等のトリアルキルホスフィンカルコゲ
ニド類、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素
等の周期表第17族元素の水素化物、トリメチルシリル
クロリド、トリメチルシリルブロミド、トリメチルシリ
ルヨージド等の周期表第17族元素のシリル化物が挙げ
られる。これらのうち、反応性や化合物の安定性・操作
性の点で、リン、砒素、アンチモン、ビスマス、硫黄、
セレン、テルル、ヨウ素等の周期表第15〜17族元素
の単体、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水
素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレ
ニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリ
ウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16族元素のア
ルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフィド、トリ
ヘキシルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィ
ンスルフィド、トリブチルホスフィンセレニド、トリヘ
キシルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセ
レニド等のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類、ト
リメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、
トリメチルシリルヨージド等の周期表第17族元素のシ
リル化物等が好適に用いられ、中でもリン、砒素、アン
チモン、硫黄、セレン等の周期表第15及び16族元素
の単体、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィ
ド、ビス(トリメチルシリル)セレニド等の周期表第1
6族元素のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナト
リウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリ
ブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィン
スルフィド、トリブチルホスフィンセレニド、トリオク
チルホスフィンセレニド等のトリアルキルホスフィンカ
ルコゲニド類等が特に好適に用いられる。なお、一方の
半導体原料が気体である場合、半導体原料を注入した反
応液相中に該気体を直接導入することも可能である。か
かる気体の直接導入法に用いられる気体半導体原料は、
アンモニア、ホスフィン(PH3)、アルシン(As
3)、スチビン(SbH3)等の周期表第15族元素の
水素化物、トリス(トリメチルシリル)アミン、トリス
(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(トリメチル
シリル)アルシン等の周期表第15族元素のシリル化
物、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、ビス(トリ
メチルシリル)セレニド等の周期表第16族元素のシリ
ル化物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素等の周
期表第16族元素の水素化物、塩化水素、臭化水素、ヨ
ウ化水素等の周期表第17族元素の水素化物である。化
合物半導体超微粒子を本発明のホットソープ法で得る場
合、使用する半導体原料における前記の陽性元素の陰性
元素に対するモル比は、通常0.5〜5、好ましくは
0.7〜4、更に好ましくは0.8〜3、最も好ましく
は0.9〜2.5程度とする。
【0014】[ホットソープ法に使用される有機液相]
本発明におけるホットソープ法に用いられる有機液相
は、遷移金属元素等の陽性元素への配位力を有する配位
性有機化合物を含有する。かかる配位性有機化合物とし
ては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド
(以下TOPOと略記)、トリデシルホスフィンオキシ
ド等の有機リン化合物、オクチルアミン、デシルアミ
ン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシ
ルアミン、オクタデシルアミン等のω−アミノアルカン
類、ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含窒
素芳香族化合物等の有機窒素化合物、ジブチルスルフィ
ド等のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシド
やジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド
類、チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化
合物等が代表的であり、これらのうち、トリブチルホス
フィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホス
フィン類、トリブチルホスフィンオキシドやTOPO等
のトリアルキルホスフィンオキシド類、ドデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素
数12以上のω−アミノアルカン類等の分子構造中に窒
素原子又はリン原子を含む化合物が好適であり、中でも
トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のト
リアルキルホスフィン類、トリブチルホスフィンオキシ
ドやTOPO等のトリアルキルホスフィンオキシド類等
の炭素−リン単結合を有する化合物は更に好適であり、
TOPO等のトリアルキルホスフィンオキシド類は最適
である。かかる配位性有機化合物は、単独で前記の有機
液相を構成しても、必要に応じ複数種を混合して使用し
ても構わず、更に適当な有機溶剤(例えばトルエン、キ
シレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、オクタン、デ
カン、ドデカン、オクタデカン等の長鎖アルカン類等)
で希釈して使用しても構わない。
【0015】[有機液相からの半導体超微粒子の分離]
本発明の製造方法は、前述の結晶成長法により製造した
超微粒子を、有機液相中の半導体超微粒子以外の成分か
ら分離し、回収する方法である。ここで分離法として好
ましく用いられるのは、遠心分離、浮上分離、泡沫分離
等の沈降分離法、ケークろ過、清澄ろ過等のろ過法、圧
搾法が挙げられる。ここで遠心分離法は化学工学便覧
(化学工学会編改訂第五版)750頁に記載されている
とおり、重力の代わりに遠心力を利用する沈降法であ
り、遠心分離機の主要部は回転する容器、円筒である。
このとき使用する容器、円筒を選定することにより遠心
分離とそれに続くデカンテーションによる上澄み液と超
微粒子の分離操作後得られた超微粒子を掻き出して別の
容器に移送する必要なくそのまま使用できる利点を持
ち、本発明における製造方法に好適に用いられる。ここ
で、本発明における半導体超微粒子のように、粒子の大
きさが極めて小さい場合、個々の粒子単独では重力また
は遠心力場では沈降困難である。このため半導体超微粒
子を均一に含有する有機液相と貧溶媒とを混合して半導
体超微粒子凝集体を生成させこれを沈降可能ならしめる
必要がある。 本発明において対象とする半導体超微粒
子をホットソープ法により製造した場合を例にとって説
明すると、かかる半導体超微粒子はTOPOに代表され
る配位性有機化合物を表面に有しており、その有機化合
物の疎水部が粒子の外側に向いていると考えられるため
有機液相中の半導体超微粒子以外の部分に対して高い親
和性を持ち、有機液相中に均一に存在している。この有
機液相と、親水性の高い貧溶媒を混合することで配位性
有機化合物の疎水部が凝集し半導体超微粒子凝集体を形
成する。即ち、取り扱う超微粒子が表面に有する配位性
有機化合物の化学的性質に応じて、それが含有されてい
る有機液相の親水−疎水性をコントロールすることによ
り沈降分離法による回収率が変動する。ここで使用する
貧溶媒の成分として水が有効である。前記のホットソー
プ法等有機液相において製造される半導体超微粒子を凝
集沈降せしめる従来技術における親水性貧溶媒(例えば
メタノール等の低級アルコール類)は、通常0.1%以
下程度の水分をもともと含んでいたり製造過程での吸湿
による水の混入を受ける場合があったが、本発明の製造
方法で使用する水の量はかかる微量の水分よりもはるか
に大きい。ここで使用される水の種類には、製造される
半導体超微粒子の必要とする物性を著しく損なわない限
りにおいて制限はないが、通常例えば水道水、上水、蒸
留水、脱イオン水、工業用水、超純水等が挙げられる。
水を貧溶媒として使用するのに適した重量範囲は、液相
中に含まれる半導体結晶組成部の重量に対して10〜2
0000倍、好ましくは100〜10000倍、更に好
ましくは1000〜5000倍である。この範囲よりも
水の量が少ないと半導体超微粒子凝集体を形成しない場
合がある。またこの範囲よりも水の量が多いと、プロセ
ス負荷が大きくなる等生産性が極端に悪化する場合があ
る。
【0016】前記の有機液相と水を混合した場合に2相
分離が生じても本発明の効果が生じる場合があるが、回
収率を向上させるため、その様な場合はメタノールやエ
タノールのような水にも有機液相にも溶解可能な貧溶媒
(以下「水以外の貧溶媒」と称する)を混合して該有機
液相の含水率を可及的大きくするのが好ましい。使用さ
れる水以外の貧溶媒の例としては炭素数1〜4のアルコ
ール類、炭素数1〜4のアルデヒド類、炭素数3〜5の
ケトン類、炭素数2〜4のエーテル類、炭素数1〜4の
有機含窒素化合物が挙げられる。例えば、炭素数1〜4
のアルコール類としては、メタノール、エタノール、n
−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第2ブチル
アルコール、第3ブチルアルコール等、炭素数1〜4の
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアル
デヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等、炭素数
3〜45のケトン類としては、アセトン、メチルエチル
ケトン、ジエチルケトン等が挙げられ、炭素数2〜4の
エーテル類としては、ジメチルエーテル、メチルエチル
エーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が
挙げられ、炭素数1〜4の有機含窒素化合物としては、
メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジ
メチルホルムアミド等が挙げられ、なかでもメタノー
ル、エタノール等のアルコール類は水にも有機液相にも
容易に溶解するので、該有機液相中の含水率を可及的大
きくするのに適した貧溶媒である。本発明においては、
この中の1種類のみを使用しても良いが、2種類以上を
混合して使用してもよい。水に対する水以外の貧溶媒の
量が少なすぎると前述の2相分離を防ぐことが困難とな
る場合がある。逆に多過ぎると有機液相の親水性が不十
分となり回収率は向上しないので適した重量範囲が存在
する。本製造法で使用する水以外の貧溶媒の重量は、水
に対して0.1〜100倍、好ましくは0.5〜10
倍、最も好ましくは1〜5倍である。また、水と有機液
相の混合は分離工程のうちどの段階で行っても良い。つ
まり有機液相中に先に水のみを含有させ、その後で水以
外の貧溶媒を含有させてもても良いし、先に水以外の貧
溶媒を含有させ、その後水を含有させても良い。さらに
水、または水と水以外の貧溶媒との混合液中に有機液相
を添加しても良い。また、水以外の貧溶媒のみを用いて
先に超微粒子凝集体を作製し、超微粒子を分離した後の
上澄み液と水を混合して更に超微粒子凝集体を作製して
も良い。これらのうち、水以外の貧溶媒中に有機液相を
添加して先に超微粒子凝集体を作製し、該超微粒子凝集
体を分離した後の上澄み液に、更に水のみを添加し、そ
の後、再度水以外の貧溶媒を添加して超微粒子凝集体を
作製し、この超微粒子凝集体を分離する方法が、前述の
2相分離を起こしたかどうかを確認し易く、該有機液相
中の含水率を可及的大きくするのに適した方法であるた
め好ましい。
【0017】[回収率]本発明の半導体超微粒子の製造
方法は高い回収率を確保するものである。ここでいう回
収率とは回収した半導体超微粒子中の半導体組成部の重
量に対する、半導体原料中の電気陰性度2.0以下の陽
性元素(以下Pと略記)と電気陰性度1.9以上の陰性
元素(以下Eと略記)の重量の和であり、下記の式で表
される。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は、特に記載がない限り、Aldric
h社より供給されるものを精製を加えず使用した。以下
の実施例及び比較例において、合成反応終了後の遠心分
離を除く全ての操作(懸濁液の生成、トルエンへの再溶
解、水の添加)は乾燥窒素雰囲気において行った。
【0019】実施例1 (1)硫化カドミウム超微粒子の合成と精製 空冷式のリービッヒ冷却管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明の容量100mLのパイレックス
ガラス製4口フラスコに純度90%グレードのトリオク
チルホスフィンオキシド(以下TOPOと略記;13
g)を入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら2
0mmHgの減圧下で140℃に加熱した。この状態を
3時間継続し、TOPO中の水分と酸素を出来る限り除
去した。その後300℃まで昇温し、乾燥アルゴンで常
圧に戻した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス
内でガラス瓶中に、トリブチルホスフィン(以下TBP
と略記;5.625g)とジメチルカドミウム(Str
emChemical社;97%ヘキサン中10wt%
1.400g)を混合し、この液にヘキサメチルジシ
ラチアン(69.8mg)を添加し混合した。この液を
原料溶液Aと呼ぶ。原料溶液Aを、ゴム栓(Aldri
ch社から供給されるセプタム)で封をしグローブボッ
クスから取り出した。この原料溶液Aの一部(6.0m
L)を、前記のTOPOの入ったフラスコに注射器で一
気に注入し、この時点を反応の開始時刻とした。反応開
始7分後に熱源を除去し、約50℃に冷却された時点で
乾燥メタノール(1.2mL)を添加し固化するのを防
いだ後、25℃の室温まで冷却した。フラスコの内容物
を一部注射器で抜き出し、蛍光スペクトルを日立製作所
(株)製のF2500分光蛍光光度計で測定したとこ
ろ、521.5nmに最大ピーク、約416nmに2番
目に大きなピークを持つ硫化カドミウム超微粒子特有の
スペクトルを与えた。フラスコの内容物を乾燥メタノー
ル(45mL)中に注ぎ5分間混合撹拌したところ、硫
化カドミウム超微粒子凝集体を含む、黄白色の懸濁液が
得られた。この懸濁液を4000rpmで6分間遠心分
離し薄黄色透明の上澄み液を100mL三角フラスコに
保存し、残った遠心沈降物に蒸留精製したトルエン2m
を添加し、黄色透明なトルエン溶液を得た。このトルエ
ン溶液を乾燥メタノール(30mL)中に注ぎ、5分間
混合撹拌したところ、硫化カドミウム超微粒子を含む、
黄白色の懸濁液を得たので前記と同条件で遠心分離後、
薄黄色透明の上澄み液を前記で保存した上澄み液に合わ
せた。(以下これを「上澄み液A」と呼ぶ。)上澄み液
Aをトルエンで希釈した液の吸収スペクトルをヒューレ
ットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度
計で測定したところ、380nmにピークを持つ、硫化
カドミウム超微粒子特有のスペクトルを与え、上澄み液
A中には硫化カドミウム超微粒子が残存していることが
確認された。このスペクトルを図1に太実線で示した。
なお、他のスペクトルとの混乱を避けるため、図1中で
は縦軸方向にずらして表記してある。遠心分離で残った
遠心沈降物に乾燥窒素を30分間吹き付けて粗く乾燥さ
せた後、5mmHgの減圧下、1昼夜乾燥させたところ
11.2mgの硫化カドミウム超微粒子が得られた。熱
重量分析法を用いて、超微粒子の半導体結晶組成部以外
の成分を除去して得られた、超微粒子中の硫化カドミウ
ムの組成を求めたところ、約70重量%であった。 (2)硫化カドミウム超微粒子を含む液相への水の添加 乾燥メタノール(5.1mL)中に前述の上澄み液A
(1mL)を添加したところ、かすかに濁った液が得ら
れた。この中に窒素バブリングにより溶存酸素を除去し
た蒸留水1.2mLをゆっくり滴下し撹拌したところ、
薄黄白色の懸濁液が得られた。この懸濁液を4000r
pmで6分間遠心分離して得た無色透明な上澄み液(以
下「上澄み液B」と呼ぶ)の吸収スペクトルを測定した
ところ、硫化カドミウム超微粒子特有の吸収は観測され
なかった。この上澄み液Bの吸収スペクトルを図1に破
線で示した。遠心分離で残った沈降物に乾燥窒素を30
分間吹き付けて粗く乾燥させた後、5mmHg減圧下、
1昼夜乾燥させたところ1.5mgの硫化カドミウム超
微粒子が得られ前記の熱重量分析法による硫化カドミウ
ムの組成は、約40重量%であり、トルエン溶液の吸収
スペクトルは382nmにピークを持つ硫化カドミウム
超微粒子特有の吸収帯を与えた。また確認のため蛍光ス
ペクトルを測定したところ、514.5nmに最大ピー
ク、413.5nmに第2ピークを持つ、硫化カドミウ
ム超微子特有のスペクトルを与えたので、水の添加によ
り超微粒子表面状態が変わることなく回収できたことが
明らかとなった。この水を添加後の遠心沈降物の吸収ス
ペクトルを図1に細実線で示した。なお、他のスペクト
ルとの混乱を避けるため、図1中では縦軸方向にずらし
て表記してある。同様の操作で上澄み液Aの全量を処理
したと仮定して超微粒子の回収率を計算したところ、約
62%であった。
【0020】比較例1 乾燥メタノール(10mL)中に実施例1で得た上澄み
液A(1mL)を添加したところ、かすかに濁った液が
得られたので4000rpmで6分間遠心分離したとこ
ろかすかに濁った上澄み液(以下「上澄み液C)と呼
ぶ」とバイヤル瓶の内壁の僅かな付着物(つまり遠心分
離沈降物)を得た。上澄み液Cの吸収スペクトルを測定
したところ379nmにピークを持つ硫化カドミウム超
微粒子特有の吸収帯を与えたので、硫化カドミウム超微
粒子を多量に残存することがわかった。この上澄み液C
の吸収スペクトルを図2に破線で示した。遠心分離で得
られた遠心沈降物はほとんどなく、その重量は検出限界
以下であったので、回収率は高くないことを示唆した。
遠心分離によるバイヤル瓶の内壁の僅かな付着物つまり
遠心沈降物をトルエンに溶解させ吸収スペクトルを測定
したところ上澄み液Bと同様に、391nmにピークを
持つ、硫化カドミウム超微粒子特有の吸収帯を与え、こ
の付着物が実際に硫化カドミウム超微粒子であることが
確認された。この、メタノール添加後の沈降物の吸収ス
ペクトルを図2に細実線で示した。なお、他のスペクト
ルとの混乱を避けるため、図2中では縦軸方向にずらし
て表記してある。比較例1の操作で上澄み液Aの全量を
処理したと仮定しても、回収量は実質的に実施例1記載
の最初の遠心分離によるもののみであり、約9.2%で
あった。
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、結晶成長後
の半導体超微粒子を望ましくない吸発光特性を示す副生
成物の混入を極力排除して効率よく分離することができ
る。分離された半導体超微粒子は、高い発光効率を示
し、ディスプレーや発光ダイオード等に応用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で測定された吸収スペクトル図。
【図2】比較例1で測定された吸収スペクトル図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化合物半導体結晶または単体半導体結晶
    を有機液相媒質中で成長させて得られる半導体超微粒子
    を含有する有機液相中から半導体超微粒子を分離する際
    に該有機液相中に水を含有させた後、半導体超微粒子を
    分離することを特徴とする、半導体超微粒子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】有機液相中に、炭素数1〜4のアルコール
    類、炭素数1〜4のアルデヒド類、炭素数3〜5のケト
    ン類、炭素数2〜4のエーテル類、及び炭素数1〜4の
    有機含窒素化合物から選ばれる少なくとも1種の水以外
    の貧溶媒を含有させる、請求項1に記載の半導体超微粒
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 水以外の貧溶媒の重量が水の重量の
    0.1〜100倍である、請求項1〜2に記載の半導体
    超微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】半導体超微粒子の平均粒径が0.5〜10
    nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体超
    微粒子の方法。
  5. 【請求項5】該有機液相に含有させる水の重量が、該有
    機液相中に含まれる半導体結晶組成部の重量に対して1
    0〜20000倍である、請求項1〜4のいずれかに記
    載の半導体超微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】半導体超微粒子を含有する有機液相が、ホ
    ットソープ法による半導体超微粒子の合成により得られ
    るものである、請求項1〜5のいずれかに記載の半導体
    超微粒子の製造方法。
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