JP2001302399A - 半導体超微粒子の製造方法 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法

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JP2001302399A
JP2001302399A JP2000117802A JP2000117802A JP2001302399A JP 2001302399 A JP2001302399 A JP 2001302399A JP 2000117802 A JP2000117802 A JP 2000117802A JP 2000117802 A JP2000117802 A JP 2000117802A JP 2001302399 A JP2001302399 A JP 2001302399A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外界の光による着色や沈殿生成等の好まし
くない副反応が抑制され、色調、溶解性、粒径制御性が
優れた半導体超微粒子の製造方法を提供する。 【解決手段】 半導体原料を液相において結晶成長させ
て半導体超微粒子を製造するにあたり、半導体結晶を成
長させる過程を遮光条件下で行う半導体超微粒子の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体超微粒子の
製造方法に関する。詳しくは、半導体超微粒子の製造過
程において光が誘起する副反応による該超微粒子の着色
等の変質や沈殿性粒子の生成を回避し、高品質の半導体
超微粒子を高収率で得ることのできる製造方法に関す
る。
【0002】かかる良質の半導体超微粒子は、優れた発
光特性を有するのでディスプレイや照明器具等に用いら
れ、また透明樹脂との組成物の色調が良好であるので、
産業上有用である。
【0003】
【従来の技術】半導体超微粒子は、量子閉じこめ効果に
よるバルク材料では見られない吸光発光特性を有するた
め、新しい光機能材料としての産業上の利用が強く求め
られている。かかる性質を有する超微粒子は、コロイド
粒子、ナノ結晶(Nanocrystal)、ナノ粒子
(Nanoparticle)、あるいは量子ドット
(Quantum dot)等とも呼称される場合があ
る。
【0004】従来、半導体超微粒子は例えば下記の方法
で作製されてきた。 (a)分子ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の
高真空プロセス。この方法により組成が高度に制御され
た高純度の半導体超微粒子が得られるが、ホスフィンや
アルシン等の有毒気体を原料とする場合があり、且つ高
価な製造装置を要するので生産性の点で産業上の利用に
制限があった。 (b)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以
下、逆ミセル法と呼ぶ)であり、例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,4
39−450(1999)に報告されている方法であ
る。汎用的な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術
が利用でき、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行
われるため工業生産に適した方法である。 (c)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)であ
り、例えばJ.E.B.Katariら;J.Phy
s.Chem.,98巻,4109−4117(199
4)に報告されている方法である。逆ミセル法に比べて
粒径分布と純度に優れた半導体超微粒子が得られる特徴
がある。 (d)前記のホットソープ法と類似の半導体結晶成長を
伴う溶液反応であるが、酸塩基反応を駆動力として比較
的低い温度で行う方法が報告されている。例えば、D.
Diazら;J.Phys.Chem.B,103巻,
9854頁(1999)には、カドミウム(II)のカル
ボン酸塩と硫化ナトリウムとを原料としジメチルスルホ
キシド(DMSO)を溶媒とした硫化カドミウム(Cd
S)ナノ結晶の合成が例示される。
【0005】液相化学反応である前記(b)の逆ミセル
法、前記(c)のホットソープ法、あるいは前記(d)
の酸塩基溶液反応は、生産性の高い産業利用に適した半
導体超微粒子製造方法であるが、これらの液相合成法で
は溶媒や配位子等の液相を構成する成分に起因すると考
えられる望まない副反応(例えば、生成物の着色や沈殿
性粗大粒子の生成等)が問題となる場合があった。一
方、半導体表面が光触媒作用を有することは、例えば特
定の結晶構造を有するチタニアが紫外〜可視光の照射下
その表面で有機物を分解する作用を利用して、自動車道
路のトンネル内壁等にこれを塗布して自己浄化作用を持
たせるような応用で広く知られている。即ち、詳細な機
構は未だ明らかではないが、半導体は光の吸収により表
面での化学反応を促進する性質を有する場合があること
が既に知られている。しかし、前記の液相合成における
望ましくない副反応の進行に関して、主反応である半導
体の結晶核生成と結晶成長の過程における反応系外から
の光の入射の影響はこれまで調べられていなかった。
【0006】半導体超微粒子の物性に対する遮光効果の
報告例として、例えば前記のD.Diazら著の文献で
は、結晶成長の終了したCdSナノ結晶が反応終了直後
は510nmにピークを持ち半値幅が100nmのブロ
ードな発光帯を示すものの、該反応終了後の溶液を暗所
で室温保存すると3週間程度かけて402nmにピーク
を持ち半値幅が40nmの鋭い発光帯に変化することが
報告されている。CdSナノ結晶では、例えばMat.
Res.Soc.Symp.Proc.,435巻,6
43頁(1996)に報告されているように、350n
m〜500nmにかけて現れる短波長側の発光帯と、こ
れより長波長側に現れるブロードな発光帯の2種類ある
ことが一般的である。この現象は、短波長側の発光帯は
量子閉じこめ効果により生ずる量子準位からの発光、長
波長側のブロードな発光帯は該ナノ結晶表面に存在する
結晶格子欠陥や有機物の配位等の外因による表面準位と
呼ばれる量子準位よりも低いエネルギー準位からの発光
とそれぞれ解釈されている。
【0007】従って、前記のD.Diazら著の文献で
の遮光の効果は、すでに結晶成長が終了したCdSナノ
結晶の表面準位からのブロードな発光が何らかの機構で
極めてゆっくりと消失する現象と考えられ、結晶核生成
と結晶成長のような比較的速い変化過程における光の入
射の制御による効果とは言えない。また、産業上の利用
の観点で、3週間にも渡る長期暗所保存を必要とするな
ど工業生産性の点に問題を残していた。
【0008】また、超微粒子の製造方法として、米国特
許5652192号(1997年)には、原料溶液を反
応器に連続的に流通させ次いでこれに加圧と加熱を施
し、該加熱の結果起こる化学反応により核生成と粒子形
成を進行させる方法が開示されている。この発明は、触
媒能を有する遷移金属酸化物の水を流通溶媒とした水熱
合成法の提供を趣旨とし、実施例にはSUS316鋼製
の管状反応器を用いた実質的に遮光条件でのかかる水熱
合成の例が開示されている。しかし、この発明の教示す
る手順を前記のホットソープ法による半導体超微粒子の
製造に適用しようとすると、原料溶液自体を加熱するた
め特に核生成速度を好適に制御することはできず、狭い
粒径分布を有する良好な半導体超微粒子は得られないと
いう欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、工業生産に適し
た液相化学反応による半導体超微粒子の製造において、
溶媒や配位子等の液相を構成する成分に起因すると考え
られる望まない副反応の弊害、例えば生成物の着色や沈
殿性粗大粒子の生成、あるいは超微粒子の粒径制御性
(粒径分布や可変な粒径範囲等)の悪化等を回避する方
法の提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成すべく鋭意検討を重ねた結果、液相反応系を遮光す
ることにより、半導体種の光反応と考えられる副反応を
大幅に抑制可能であることを見いだして本発明に到達し
た。即ち本発明の要旨は、半導体原料を液相中において
結晶成長させて半導体超微粒子を製造するにあたり、半
導体結晶を成長させる過程を遮光条件下で行うことを特
徴とする半導体超微粒子の製造方法、に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明につきさらに詳細に
説明する。 [半導体超微粒子]本発明の製造方法により得られる半
導体超微粒子とは、後述するように粒径が数nm〜数1
0nm程度の大きさを有する半導体結晶であり、その組
成は半導体性を有する元素単体あるいは複数種元素から
なる化合物半導体のいずれでも構わない。
【0012】また、液相での製造反応に用いられる溶
媒、配位子、界面活性剤等の有機分子あるいはこれらが
何らかの化学変化を受けて生成する有機構造等の有機成
分をその表面に保持していても構わない。かかる粒子表
面に保持される有機成分と半導体組成との結合様式に制
限はないが、例えば配位結合、共有結合、イオン結合等
の比較的強い化学結合、あるいはファンデアワールス
力、水素結合、疎水−疎水相互作用、分子鎖の絡み合い
効果等の比較的弱い可逆的な引力相互作用等が例示され
る。
【0013】該有機成分の含量は、生成する半導体超微
粒子の表面積(即ち粒径にも関連)にもよるが、後述す
る単離精製工程を経て十分に精製された状態で、通常1
〜90重量%、実用上重要な超微粒子の各種媒体、例え
ば溶媒や樹脂バインダ等の有機マトリクス物質への分散
性や化学的安定性の点で好ましくは5〜80重量%、更
に好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは15〜
60重量%程度である。該有機成分含量は、例えば各種
元素分析や熱重量分析等により測定される。また、該有
機成分の化学種や化学的環境についての情報を赤外吸収
スペクトル(IR)や核磁気共鳴(NMR)スペクトル
から得られる。
【0014】本発明の製造方法により得られる半導体超
微粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察
される平均粒子直径として、通常1〜20nm、好まし
くは1.5〜15nm、更に好ましくは2〜12nm、
最も好ましくは2.5〜10nm程度となる。本発明の
製造方法で得られる半導体超微粒子は、前記のようにそ
の表層として有機成分を含有する場合があるが、TEM
で観察される粒子像はかかる有機成分を含まない部分、
即ち比較的原子番号の高い元素を含む半導体組成の部分
に由来するものと考えられる。電子顕微鏡で観察困難な
原子番号の小さい元素で構成される半導体超微粒子の場
合には、おおよその粒径は原子間力顕微鏡(AFM)等
により見積もることができる。
【0015】半導体超微粒子の量子閉じこめ効果による
光吸収・発光波長はその粒子の大きさにより決まるの
で、この平均粒子直径が上記の範囲外の場合には実用的
に重要な発光波長が得られないだけでなく、反応後の単
離精製に支障を来す場合がある。なお、半導体結晶構造
の生成は、超微粒子の粉末X線回折、元素分析、あるい
はXAFS(X−ray absorption fi
ne structure)による元素分析と原子間距
離測定等の分析手段で確認可能である。
【0016】かかる半導体超微粒子の大きさの分布には
前記の平均粒径の範囲内である限りにおいて制限はな
く、例えば、該超微粒子の量子効果による光吸収・発光
特性を利用する場合、かかる分布を変えることで必要と
する光吸収・発光波長幅を変化させることができる。な
お、かかる波長幅を狭くする必要がある場合には、半導
体超微粒子の粒径分布を狭くするが、通常、標準偏差と
して±40%以内、好ましくは±30%以内、更に好ま
しくは±20%以内、最も好ましくは±10%以内とす
る。この標準偏差の範囲を超えた粒子直径分布の場合、
量子効果による光吸収・発光波長幅を狭くする目的を十
分に達成することが困難となる。
【0017】[半導体組成]半導体組成の例としては、
炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表第14族元
素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単
体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭
化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素から
なる化合物、酸化錫(IV)(SnO2)、硫化錫(II,I
V)(Sn(II)Sn(IV)S3)、硫化錫(IV)(Sn
2)、硫化錫(II)(SnS)、セレン化錫(II)
(SnSe)、テルル化錫(II)(SnTe)、硫化鉛
(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テ
ルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と
周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、
リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化ア
ルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(Al
P)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化ア
ルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リ
ン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、
アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム
(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジ
ウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InS
b)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との
化合物、硫化アルミニウム(Al23)、セレン化アル
ミニウム(Al2Se3)、硫化ガリウム(Ga23)、
セレン化ガリウム(Ga2Se3)、テルル化ガリウム
(Ga2Te3)、酸化インジウム(In23)、硫化イ
ンジウム(In23)、セレン化インジウム(In2
3)、テルル化インジウム(In2Te3)等の周期表
第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タ
リウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(Tl
Br)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第
13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛
(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(Zn
Se)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム
(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カド
ミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdT
e)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgS
e)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元
素と周期表第16族元素との化合物、硫化砒素(III)
(As23)、セレン化砒素(III)(As2Se3)、
テルル化砒素(III)(As2Te3)、硫化アンチモン
(III)(Sb23)、セレン化アンチモン(III)(S
2Se3)、テルル化アンチモン(III)(Sb2
3)、硫化ビスマス(III)(Bi23)、セレン化ビ
スマス(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(II
I)(Bi2Te3)等の周期表第15族元素と周期表第
16族元素との化合物、酸化銅(I)(Cu2O)等の
周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、
塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuB
r)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgC
l)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周
期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(N
iO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素と
の化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバル
ト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第1
6族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe34)、硫化鉄
(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16
族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の
周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫
化モリブデン(IV)(MoS2)、酸化タングステン(I
V)(WO2)等の周期表第6族元素と周期表第16族元
素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バ
ナジウム(IV)(VO2)、酸化タンタル(V)(Ta2
5)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との
化合物、酸化チタン(TiO2、Ti25、Ti23
Ti59等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元
素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化
マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期
表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロ
ム(III)(CdCr24)、セレン化カドミウム(I
I)クロム(III)(CdCr2Se4)、硫化銅(II)ク
ロム(III)(CuCr24)、セレン化水銀(II)ク
ロム(III)(HgCr2Se4)等のカルコゲンスピネ
ル類、バリウムチタネート(BaTiO3)等が挙げら
れる。
【0018】これらのうち、本発明の半導体超微粒子の
製造方法に適したものは、酸化物以外のもの、例えば、
硫化錫(IV)(SnS2)、硫化錫(II)(SnS)、
セレン化錫(II)(SnSe)、テルル化錫(II)(S
nTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)
(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期
表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、砒化
アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム
(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウ
ム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン
化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、
リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InA
s)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表
第13族元素と周期表第15族元素との化合物、硫化ア
ルミニウム(Al23)、セレン化アルミニウム(Al
2Se3)、硫化ガリウム(Ga23)、セレン化ガリウ
ム(Ga2Se3)、テルル化ガリウム(Ga2Te3)、
硫化インジウム(In23)、セレン化インジウム(I
2Se3)、テルル化インジウム(In2Te3)等の周
期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、硫
化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル
化亜鉛(ZnTe)、硫化カドミウム(CdS)、セレ
ン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(C
dTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgS
e)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元
素と周期表第16族元素との化合物、硫化砒素(III)
(As23)、セレン化砒素(III)(As2Se3)、
テルル化砒素(III)(As2Te 3)、硫化アンチモン
(III)(Sb23)、セレン化アンチモン(III)(S
2Se3)、テルル化アンチモン(III)(Sb2
3)、硫化ビスマス(III)(Bi23)、セレン化ビ
スマス(III)(Bi2Se3)、テルル化ビスマス(II
I)(Bi2Te3)等の周期表第15族元素と周期表第
16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、
セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元
素と周期表第16族元素との化合物であり、中でも、窒
化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒
化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(Ga
Sb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム
(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン
化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周
期表第15族元素との化合物、硫化ガリウム(Ga
23)、セレン化ガリウム(Ga2Se3)、テルル化ガ
リウム(Ga2Te3)、硫化インジウム(In23)、
セレン化インジウム(In2Se3)、テルル化インジウ
ム(In2Te3)等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜
鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、硫化カド
ミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、
テルル化カドミウム(CdTe)等の周期表第12族元
素と周期表第16族元素との化合物が最も適している。
【0019】[遮光条件]本発明の半導体超微粒子の製
造方法は、半導体原料を液相に供給し半導体結晶を成長
させる過程を遮光条件下で行うことを特徴とするもので
ある。ここで言う「遮光」とは、前記に例示した任意の
半導体原料が液相において該半導体組成の核を生成する
過程、及びこの核を中心として該半導体組成の結晶が成
長する過程のいずれかにおいて、前記のような光が関与
する望まない化学変化を実用上問題とならない程度に抑
制するに必要な光線の遮断措置を意味する。
【0020】本発明の製造方法の遮光条件の対象となる
光の波長範囲は、後述する半導体表面での光触媒反応を
惹起する波長範囲であるが、通常200〜700nm、
光エネルギーの大きさからより重要なのは200〜60
0nm、更に重要なのは200〜500nm、最も重要
なのは200〜450nmであり、また、汎用的な照明
装置や太陽光の波長スペクトルから実用的に最も重要な
遮光必要波長は、250〜450nmの範囲である。
【0021】本発明の製造方法に適用可能な遮光手段に
は、非遮光状態の外界から反応液相への前記波長範囲の
光の入射の一部又は全部を妨げる手段である限りにおい
て制限はないが、具体的には、反応器を遮光性の材質で
構成する方法、遮光性の材質で構成された箱や容器で反
応器を包含する方法、反応器を設置する部屋や建物を遮
光性の材質で構成する方法等が例示できる。なお、ここ
で非遮光状態の外界とは、前記波長範囲の光の一部ある
いは全部を含む常識的な白色光源(例えば太陽光、ある
いは白熱電球、蛍光灯、水銀灯等の照明器具等)が特に
遮蔽措置のない状態で照射している状態を意味し、具体
的には昼間の屋外、白色照明器具の点灯した室内等が該
当する。
【0022】以下、反応器の遮光を例として本発明の製
造方法の遮光条件をより具体的に説明する。反応器が非
遮光状態の外界に暴露されていると仮定した場合、後述
する任意の液相反応を行うに当たり、該液相の体積V
(単位:立方メートル)と、該液相が通過あるいは滞留
する反応器が有する光線透過可能な窓(例えば、300
nm〜650nm程度の紫外〜可視波長領域の光線透過
率が20%以上、窓の機能として好ましくは35%以
上、最も好ましくは50%以上有するガラスあるいは透
明樹脂等の材料で作られたのぞき窓、壁面、パイプ、液
溜め槽等の構造物、あるいは原料投入等の目的で大気に
解放された穴等)の面積の総和A(単位:平方メート
ル)との関係が、該反応器の容積をT(単位:立方メー
トル)とした場合、下記式(1)右辺の係数Z(以下
「遮光係数」と呼ぶ)が0≦Z≦0.5、好ましくは0
≦Z≦0.4、更に好ましくは0≦Z≦0.3、最も好
ましくは0≦Z≦0.2となる条件が本発明の製造方法
の遮光条件となる。
【0023】
【数1】 A = Z(T/V)2/3(36πV21/3 (1) 但し、上記式(1)の右辺においてπは円周率であり、
T/Vは反応器と液相の容積比であり、(36πV2
1/3なる量は体積V(単位:立方メートル)の球の表面
積(単位:平方メートル)に該当する。なお、前記の
「液相が通過あるいは滞留する反応器」(以下、単に反
応器と呼ぶ)とは、少なくとも1種の半導体原料が添加
された履歴のある液相にその内壁で直接接触し、外界と
の熱の出入りや攪拌作用等の目的とする半導体結晶を生
成させる過程に必要な物理的作用を該液相に直接与える
機能を具備した装置範囲に限定される。従って、反応器
と連続した内部空間を形成するがかかる反応器の具備す
べき機能を持たない付帯設備、例えば該液相に直接接触
しない冷却管や圧抜き管、溶媒等の貯槽やその配管、不
活性ガスの流路、あるいはバルブ類等はここで定義され
る反応器に該当せず、必ずしも遮光条件下にある必要は
ない。
【0024】反応器だけでなく、前記で例示した反応液
相と非遮光状態の外界とを隔離する任意の構造物(反応
器、箱、容器、部屋、建物等;以下「遮光構造物」と呼
ぶ)においても、前記式(1)が同様に適用される。つ
まり、任意の1つの遮光構造物の容積とこれが有する光
線透過可能な窓の面積の総和をそれぞれ前記式(1)に
おけるT及びAとおく。
【0025】また、複数の遮光構造物の遮光効果の総和
で本発明の製造方法に必要な遮光効果を発揮せしめる場
合は、以下のように考える。即ち、反応液相と非遮光状
態の外界との間に存在する遮光構造物の総数を自然数n
とし、m番目の遮光構造物の容積をTm(単位:立方メ
ートル)、これが有する光線透過可能な窓の面積の総和
をAm(単位:平方メートル)とした場合、m番目の遮
光構造物の遮光係数Zmは下記式(2)で定義され、下
記式(3)で定義される全遮光構造物の遮光係数の総和
Σが0≦Σ≦0.5、好ましくは0≦Σ≦0.4、更に
好ましくは0≦Σ≦0.3、最も好ましくは0≦Σ≦
0.2となる条件が本発明の製造方法の遮光条件とな
る。
【0026】
【数2】 Zm = Am(Tm/V)3/2(36πV23 (2)
【0027】
【数3】 Σ = Z1 + Z2 + ・・・ + Zm + ・・・ Zn (3) 但し、上記式(2)においてmは1≦m≦nなる整数で
あり、π及びVは前記式(1)の場合と同一である。自
然数nの値には制限はないが、実用上、通常は1≦n≦
20、製造装置の簡便性から好ましくは1≦n≦15、
更に好ましくは1≦n≦10、最も好ましくは1≦n≦
5とする。
【0028】前記の遮光を実施するには、具体的には光
を遮断する材料(以下、遮光材料と呼ぶ)を用いた遮光
構造物を使用する必要がある。遮光材料としては、金属
材料(鋼、チタン、アルミニウム、白金、SUS鋼やハ
ステロイ等の合金、これらの蒸着膜、あるいはこれら金
属材料の内壁をテフロン(登録商標)等の耐熱・耐薬品
性に優れた樹脂で被覆した材料等)、半導体材料(ケイ
素やゲルマニウム等の単体、化合物半導体、あるいはこ
れらの蒸着膜等)、結晶性樹脂等の300nm〜650
nm程度の紫外〜可視波長領域の光線透過率が低い樹脂
材料(例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、
ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリブ
チレンテレフタレートやポリエチレンテレフテレート等
の芳香族ポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン等のポ
リアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド等のポリ
アリーレンスルフィド樹脂等)、任意の熱可塑性あるい
は硬化性樹脂マトリクスに異種成分を分散あるいは共重
合して前記波長領域の光線透過率を低減した樹脂材料
(例えばABS樹脂等の相分離性共重合体、ポリオレフ
ィン/ポリアミド系や芳香族ポリカーボネート/ポリブ
チレンテレフタレート系等の相分離性ポリマーアロイ材
料、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土鉱物、タルク、
カオリン、黒鉛、カーボンブラック、金属粉等のフィラ
ーを配合した樹脂材料、色素や顔料を配合した樹脂材料
等)、炭素繊維や炭素蒸着膜等の炭素材料、褐色ガラス
等の遷移金属元素等を配合して着色(即ち特定波長領域
の光の吸収)処理をした前記波長領域の光線透過率を低
減した無機ガラス材料、塗膜化された顔料、染料、カー
ボンブラック等の光吸収性塗膜等が使用され、遮光性の
箱や容器、あるいは部屋や建物を作る場合にはコンクリ
ート、モルタル、セメント、大理石等の無機材料、スレ
ート板、瓦、ブリキ板、樹脂板、あるいはベニヤ板等の
木材等、汎用の建材等も使用される。これらの遮光材料
は、それ自身を用いて遮光構造物を形成しても良いし、
フィルムや金属箔等の薄膜状として任意の基板と貼り合
わせて積層して用いても良い。また、耐熱性や耐薬品性
等、装置上の必要に応じて複数種の遮光材料を併用して
反応器を形成しても構わない。
【0029】なお、製造上必要な照明装置の発光体(例
えば白熱電球や蛍光灯等)に前記波長範囲の光を遮断あ
るいは減衰する遮光光学装置(例えばカラーフィルタ
ー、NDフィルター、誘多膜フィルター、誘多膜ダイク
ロイックミラー、干渉フィルター、フロスト型やオパー
ル型等の拡散板、偏光板、褐色ガラス等)を付設する方
法を併用しても構わない。かかる遮光光学装置の材質に
は制限はないが、通常無機ガラス製あるいは樹脂フィル
ム性である。なお、かかる遮光光学装置の遮光効果が十
分高い場合には、前記の遮光構造物は必ずしも必要ない
場合もある。
【0030】[反応形式と原料]前記のチタニア表面で
の光触媒有機物分解作用に見られるように、任意の半導
体結晶構造はそれがたとえ数ナノメートル単位の超微粒
子であっても光励起による電子−正孔電荷分離対(励起
子あるいはエキシトン)を内部で生成することができる
ので、かかる活性種が任意の半導体表面において未知の
有機物分解反応を触媒する可能性も同様に予想される。
かような意図しない光副反応が液相での半導体結晶の生
成過程で進行すれば、正常な半導体結晶構造の成長に望
ましくない影響、例えば結晶格子欠陥や液相有機物由来
の不純物の混入等を与える可能性が予測される。
【0031】本発明者は、かかる副反応、例えば生成物
の着色や沈殿性粗大粒子の生成等は、前記の励起子生成
を経る機構によるとの作業仮説に立ち鋭意検討した結
果、前記の遮光措置によりこうした副反応を著しく抑制
可能であることを初めて実証した。具体的には、色調や
溶剤溶解性が優れた超微粒子が得られ、しかも超微粒子
の粒径制御性が優れる(例えば狭い粒径分布や可変な粒
径範囲の拡大等)といった効果が得られる。
【0032】また、一般に光化学反応は熱化学反応と異
なった原理、即ち光による電子遷移を含む機構により進
行するので、反応に関わる化学種の液相拡散速度は反応
温度に左右されるものの、半導体結晶表面での光触媒反
応の有無は原理的に光照射の有無で決まるもので、系の
温度条件によらないものと考えられる。従って、任意の
半導体超微粒子の製造方法が液相反応であり且つ前記で
規定した遮光条件に該当する場合には、本発明の効果が
得られるものと論理的に予想できる。
【0033】従って、いずれの液相反応形式において
も、半導体原料の反応液相への注入の時点から半導体結
晶を所定の粒径まで成長させるまでの過程の一部又は全
部において前記の遮光措置を施す製造方法は、全て本発
明の製造方法の技術思想の範囲内である。本発明の半導
体超微粒子の製造方法は、一定容量の反応器中に一定量
の原料を仕込む回分(バッチ)法、あるいは管状反応器
中に液相を所定の速度で流して一定の反応滞留時間を確
保しながら連続的に原料を供給する流通法のいずれにも
適用可能である。いずれの場合も、生成する超微粒子の
粒径は、例えば少量の反応液を適宜抜き出し無水のトル
エンやヘキサン等で希釈して吸収スペクトルや発光スペ
クトルを測定することで監視することが可能である。
【0034】以下、本発明者がこれまでに実証した好適
な反応形式とそれに用いられる原料を詳しく説明する。
即ち、半導体原料化合物を、その少なくとも1種が熱分
解可能な温度にあらかじめ調整された有機液相に注入
し、該原料の熱分解により生成する活性種の反応により
半導体超微粒子の結晶核生成と結晶成長を行う方法であ
る。
【0035】かかる結晶核生成と結晶成長の過程の反応
速度を望ましく制御する目的で、半導体構成元素に適切
な配位力のある有機化合物が液相成分として選択され
る。かかる配位性有機化合物が、高温液相において微結
晶に配位して安定化する状況が石鹸分子が油滴を水中で
安定化する状況に似ているため、この反応形式はホット
ソープ(Hot soap)法とも呼ばれる。液相成分
として好適に使用される物質の例としては、トリブチル
ホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホ
スフィン等のトリアルキルホスフィン類、トリブチルホ
スフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、
トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィ
ンオキシド等のトリアルキルホスフィンオキシド類、オ
クチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラ
デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミ
ン等のω−アミノアルカン類、ジメチルスルホキシドや
ジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類等
が挙げられる。これらのうち、トリブチルホスフィンオ
キシドやトリオクチルホスフィンオキシド等のトリアル
キルホスフィンオキシド類やドデシルアミン、ヘキサデ
シルアミン、オクタデシルアミン等の炭素数12以上の
ω−アミノアルカン類等が好適であり、中でもトリオク
チルホスフィンオキシド等のトリアルキルホスフィンオ
キシド類、及びヘキサデシルアミン等の炭素数16以上
のω−アミノアルカン類は最適である。
【0036】ホットソープ法に用いられる原料には、適
度な熱分解性あるいは活性種との反応性を有する限りに
おいて特に制限はないが、例えば複数種の構成元素から
なる化合物半導体の超微粒子は、周期表第2〜15族か
ら選ばれる陽性元素を含有する化合物と、周期表第15
〜17族から選ばれる陰性元素を含有する化合物とを原
料として合成される。なお周期表第15族元素は、例え
ば理化学辞典(第4版、岩波書店、1987年)に記載
の硫化ビスマスやテルル化ビスマスのように3価の陽性
元素としても半導体を構成することが知られている。つ
まり、周期表第15族元素は、本発明の製造方法に用い
られる陽性元素及び陰性元素の双方になる場合がある。
【0037】ホットソープ法に用いられる原料が複数種
ある場合、これらをあらかじめ混合しておいても良く、
あるいはこれらをそれぞれ単独で有機液相に注入しても
良い。これら原料は、適当な希釈溶媒を用いて溶液にし
て使用しても構わない。一般に好ましい原料の注入方法
は、適当な溶媒(例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン等
の脂肪族炭化水素、トリオクチルホスフィン等のトリア
ルキルホスフィン等)に溶解した溶液として行う。
【0038】ホットソープ法において原料が注入される
有機液相は、乾燥アルゴン等の乾燥希ガスや乾燥窒素等
の不活性気体雰囲気下とするのが、大気の混入による熱
酸化や加水分解を防ぐ目的で好ましい。通常、あらかじ
め原料の少なくとも1種を熱分解するに足る温度に調整
しておくが、必要に応じ、原料の一部あるいは全部を室
温付近の定温で加えた後加熱しても構わない。原料の熱
分解温度はその原料物質により異なるが、有機金属試薬
を用いる場合は、通常150〜400℃、好ましくは1
80〜370℃、更に好ましくは200〜350℃、最
も好ましくは220〜330℃程度とする。有機液相の
温度は、原料の注入後、必要に応じて連続的あるいは段
階的に変化させても構わない。
【0039】ホットソープ法による半導体超微粒子の合
成原料となる陽性元素含有化合物の例としては、ジエチ
ルマグネシウムやジ−n−ブチルマグネシウム等の周期
表第2族元素のジアルキル化物、塩化メチルマグネシウ
ム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウ
ム、塩化エチニルマグネシウム等の周期表第2族元素の
アルキルハロゲン化物、ヨウ化マグネシウム等の周期表
第2族元素のジハロゲン化物、四塩化チタン(IV)、四
臭化チタン(IV)、四ヨウ化チタン(IV)等の周期表第
4族元素のハロゲン化物、二塩化バナジウム(II)、四
塩化バナジウム(IV)、二臭化バナジウム(II)、四臭
化バナジウム(IV)、二ヨウ化バナジウム(II)、四ヨ
ウ化バナジウム(IV)、五塩化タンタル(V)、五臭化
タンタル(V)、五ヨウ化タンタル(V)等の周期表第
5族元素のハロゲン化物、三臭化クロム(III)、三ヨ
ウ化クロム(III)、四塩化モリブデン(IV)、四臭化
モリブデン(IV)、四ヨウ化モリブデン(IV)、四塩化
タングステン(IV)、四臭化タングステン(IV)等の周
期表第6族元素のハロゲン化物、二塩化マンガン(I
I)、二臭化マンガン(II)、二ヨウ化マンガン(II)
等の周期表第7族元素のハロゲン化物、二塩化鉄(I
I)、三塩化鉄(III)、二臭化鉄(II)、三臭化鉄(II
I)、二ヨウ化鉄(II)、三ヨウ化鉄(III)等の周期表
第8族元素のハロゲン化物、二塩化コバルト(II)、二
臭化コバルト(II)、二ヨウ化コバルト(II)等の周期
表第9族元素のハロゲン化物、二塩化ニッケル(II)、
二臭化ニッケル(II)、二ヨウ化ニッケル(II)等の周
期表第10族元素のハロゲン化物、ヨウ化銅(I)等の
周期表第11族元素のハロゲン化物、ジメチル亜鉛、ジ
エチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜
鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−
ヘキシル亜鉛、ジシクロヘキシル亜鉛、ジメチルカドミ
ウム、ジエチルカドミウム、ジメチル水銀(II)、ジエ
チル水銀(II)、ジベンジル水銀(II)等の周期表第1
2族元素のジアルキル化物、塩化メチル亜鉛、臭化メチ
ル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、塩化メ
チルカドミウム、塩化メチル水銀(II)等の周期表第1
2族元素のアルキルハロゲン化物、二塩化亜鉛、二臭化
亜鉛、二ヨウ化亜鉛、二塩化カドミウム、二臭化カドミ
ウム、二ヨウ化カドミウム、二塩化水銀(II)、塩化ヨ
ウ化亜鉛、塩化ヨウ化カドミウム、塩化ヨウ化水銀(I
I)、臭化ヨウ化亜鉛、臭化ヨウ化カドミウム、臭化ヨ
ウ化水銀(II)等の周期表第12族元素のジハロゲン化
物、トリメチルホウ素、トリ−n−プロピルホウ素、ト
リイソプロピルホウ素、トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、
トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミ
ニウム、トリ−n−ブチルガリウム(III)、トリメチ
ルインジウム(III)、トリエチルインジウム(III)、
トリ−n−ブチルインジウム(III)等の周期表第13
族元素のトリアルキル化物、塩化ジメチルアルミニウ
ム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−ブチルア
ルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、ヨウ化ジエチ
ルアルミニウム、塩化ジ−n−ブチルガリウム(II
I)、塩化ジ−n−ブチルインジウム(III)等の周期表
第13族元素のジアルキルモノハロゲン化物、二塩化メ
チルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化
エチルアルミニウム、二ヨウ化エチルアルミニウム、二
塩化n−ブチルアルミニウム、二塩化n−ブチルガリウ
ム(III)、二塩化n−ブチルインジウム(III)等の周
期表第13族元素のモノアルキルジハロゲン化物、三塩
化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、三塩化アル
ミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウ
ム、三塩化ガリウム(III)、三臭化ガリウム(III)、
三ヨウ化ガリウム(III)、三塩化インジウム(III)、
三臭化インジウム(III)、三ヨウ化インジウム(II
I)、二塩化臭化ガリウム(III)、二塩化ヨウ化ガリウ
ム(III)、塩化二ヨウ化ガリウム(III)、二塩化ヨウ
化インジウム(III)等の周期表第13族元素のトリハ
ロゲン化物、四塩化ゲルマニウム(IV)、四臭化ゲルマ
ニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマニウム(IV)、二塩化錫
(II)、四塩化錫(IV)、二臭化錫(II)、四臭化錫
(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭化錫(IV)、二塩化二
ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(IV)、二塩化鉛(II)、
二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(II)等の周期表第14族
元素のハロゲン化物、トリメチルアンチモン(III)、
トリエチルアンチモン(III)、トリ−n−ブチルアン
チモン(III)、トリメチルビスマス(III)、トリエチ
ルビスマス(III)、トリ−n−ブチルビスマス(III)
等の周期表第15族元素のトリアルキル化物、二塩化メ
チルアンチモン(III)、二臭化メチルアンチモン(II
I)、二ヨウ化メチルアンチモン(III)、二ヨウ化エチ
ルアンチモン(III)、二塩化メチルビスマス(III)、
二ヨウ化エチルビスマス(III)等の周期表第15族元
素のモノアルキルジハロゲン化物、三塩化砒素(II
I)、三臭化砒素(III)、三ヨウ化砒素(III)、三塩
化アンチモン(III)、三臭化アンチモン(III)、三ヨ
ウ化アンチモン(III)、三塩化ビスマス(III)、三臭
化ビスマス(III)、三ヨウ化ビスマス(III)等の周期
表第15族元素のトリハロゲン化物等が挙げられる。
【0040】これらのうちホットソープ法の原料に好適
なのは、ジエチルマグネシウムやジ−n−ブチルマグネ
シウム等の周期表第2族元素のジアルキル化物、塩化メ
チルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メ
チルマグネシウム等の周期表第2族元素のアルキルハロ
ゲン化物、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロ
ピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、
ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛、ジメチルカ
ドミウム、ジエチルカドミウム等の周期表第12族元素
のジアルキル化物、塩化メチル亜鉛、臭化メチル亜鉛、
ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、塩化メチルカド
ミウム等の周期表第12族元素のアルキルハロゲン化
物、三ヨウ化アルミニウム、三塩化ガリウム(III)、
三臭化ガリウム(III)、三ヨウ化ガリウム(III)、三
塩化インジウム(III)、三臭化インジウム(III)、三
ヨウ化インジウム(III)等の周期表第13族元素のト
リハロゲン化物等であり、中でもジメチル亜鉛、ジエチ
ル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、
ジ−n−ブチル亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカ
ドミウム等の周期表第12族元素のジアルキル化物、三
塩化ガリウム(III)、三塩化インジウム(III)等の周
期表第13族元素のトリハロゲン化物等が最適である。
【0041】なお、四塩化ゲルマニウム(IV)、四臭化
ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマニウム(IV)、二
塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、二臭化錫(II)、四臭
化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭化錫(IV)、二塩
化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(IV)、二塩化鉛(I
I)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(II)等の周期表第
14族元素のハロゲン化物は、単独でゲルマニウムや錫
等の周期表第14族元素の単体半導体の超微粒子の原料
とすることができる。
【0042】ホットソープ法による半導体超微粒子の合
成原料となる陰性元素含有化合物の例としては、窒素、
リン、砒素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレ
ン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第
15〜17族元素の単体、アンモニア、ホスフィン(P
3)、アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3)等
の周期表第15族元素の水素化物、トリス(トリメチル
シリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィ
ン、トリス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第
15族元素のシリル化物、硫化水素、セレン化水素、テ
ルル化水素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス
(トリメチルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシ
リル)セレニド等の周期表第16族元素のシリル化物、
硫化ナトリウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16
族元素のアルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフ
ィド、トリヘキシルホスフィンスルフィド、トリオクチ
ルホスフィンスルフィド、トリブチルホスフィンセレニ
ド、トリヘキシルホスフィンセレニド、トリオクチルホ
スフィンセレニド等のトリアルキルホスフィンカルコゲ
ニド類、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素
等の周期表第17族元素の水素化物、トリメチルシリル
クロリド、トリメチルシリルブロミド、トリメチルシリ
ルヨージド等の周期表第17族元素のシリル化物が挙げ
られる。これらのうち、反応性や化合物の安定性・操作
性の点で、リン、砒素、アンチモン、ビスマス、硫黄、
セレン、テルル、ヨウ素等の周期表第15〜17族元素
の単体、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水
素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレ
ニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリ
ウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16族元素のア
ルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフィド、トリ
ヘキシルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィ
ンスルフィド、トリブチルホスフィンセレニド、トリヘ
キシルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセ
レニド等のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類、ト
リメチルシリルクロリド、トリメチルシリルブロミド、
トリメチルシリルヨージド等の周期表第17族元素のシ
リル化物等が好適に用いられ、中でもリン、砒素、アン
チモン、硫黄、セレン等の周期表第15及び16族元素
の単体、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィ
ド、ビス(トリメチルシリル)セレニド等の周期表第1
6族元素のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナト
リウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリ
ブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィン
スルフィド、トリブチルホスフィンセレニド、トリオク
チルホスフィンセレニド等のトリアルキルホスフィンカ
ルコゲニド類等が特に好適に用いられる。
【0043】ホットソープ法における前記の原料の反応
液相への供給速度には制限はないが、生成する半導体超
微粒子の粒径分布を狭くする場合には0.1〜60秒程
度の短時間に所定量を注入することが好適な場合があ
る。また、原料溶液の注入後の適切な結晶成長反応時間
(流通法の場合には滞留時間)は、半導体種や所望の粒
径あるいは反応温度により変動するが、代表的な条件と
しては200〜350℃程度の反応温度で1分〜10時
間程度である。
【0044】反応系の内圧は、通常1〜130気圧、好
ましくは1〜70気圧、より好ましくは1〜30気圧、
最も好ましくは1〜10気圧の範囲とする。 [超微粒子の単離精製方法]ホットソープ法では半導体
超微粒子の成長反応終了後、通常単離精製を行う。この
方法としては、液相成分の濃縮、あるいは沈殿法が好適
である。沈殿法の好ましい代表的な手順は以下の通りで
ある。即ち、反応液の固化温度に至らない程度に冷却後
トルエンやヘキサン等を添加して室温での固化性を抑制
し、次いで半導体超微粒子の貧溶媒、例えばメタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアル
コール、n−ブタノール等の低級アルコール類、あるい
は水と混合して半導体超微粒子を析出せしめ、これを遠
心分離やデカンテーション等の物理的な手段で分離する
手順である。こうして得られる析出物をトルエンやヘキ
サン等に再度溶解し析出・分離の手順を繰り返すことで
更に精製度を上げることが可能である。沈殿溶媒は混合
溶媒としても構わない。
【0045】[超微粒子の用途例]本発明の製造方法によ
り得られる半導体超微粒子は、成形して様々な用途に応
用可能であるが、一例としては薄膜状成形体が挙げられ
る。本発明の製造方法により得られる半導体超微粒子を
含有する吸発光性薄膜状成形体は、該超微粒子の発光特
性を生かしたディスプレイや照明器具等に用いられる面
状発光体、あるいは吸発光特性を生かした高密度記録層
等として産業上有用である。
【0046】かかる薄膜状成形体は、半導体超微粒子を
適当な溶剤(例えばトルエン等の芳香族系溶剤、ヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素、アセトン等のケトン系溶剤、テ
トラヒドロフラン等のエーテル系溶剤等)に溶解し、こ
れを所望の基板、例えばガラス基板、インジウムドープ
錫酸化物(通称ITO)や金属あるいはグラファイト等
の導電性基板、シリコン等の半導体基板、ポリメチルメ
タクリレート(PMMA)やポリスチレンあるいは芳香
族ポリカーボネート等の樹脂基板等の上に流延塗布して
成形可能である。
【0047】かかる流延塗布による成形時、あらかじめ
適当な有機バインダ成分、例えばポリメチルメタクリレ
ート(PMMA)やポリスチレンあるいは芳香族ポリカ
ーボネート等の樹脂類、ワックス類やシリコーン油脂等
を溶液に溶解させておくことも可能である。この場合の
有機バインダ成分の量は、半導体超微粒子との総和に対
して通常1〜90重量%、膜の機械的強度や輝度・吸光
度・光線透過度等の光学特性の点で好ましくは5〜80
重量%、更に好ましくは10〜70重量%、最も好まし
くは15〜60重量%とする。
【0048】該薄膜状成形体は、平面状あるいは任意曲
率の曲面状に成形されていても構わない。その膜厚には
制限は特にないが、例えば0.003〜5000μm程
度、輝度や吸光度あるいは光線透過度の点で好ましくは
0.004〜1000μm程度、更に好ましくは0.0
05〜500μm程度、最も好ましくは0.005〜1
00μm程度とする。
【0049】該薄膜状成形体の片側あるいは両側に追加
機能を有する層(例えば機械的損傷に対する保護層、ガ
スバリアー層、光線遮断層、断熱層、電極層等)を必要
に応じ設けても構わない。本発明の製造方法により得ら
れる半導体超微粒子を含有する吸発光性薄膜状成形体に
は、その効果を著しく損なわない限りにおいて、任意の
添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、酸素捕捉剤、吸
湿剤等を添加することも可能である。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は特に記載がない限り、Aldrich
社から供給されるものを精製を加えず使用した。
【0051】スペクトル測定と精製に使用したトルエン
は、濃硫酸、水、飽和重曹水、更に水の順序で洗浄後、
無水硫酸マグネシウムで乾燥次いで濾紙で濾過し、五酸
化二リン(P25)から蒸留した脱水精製品を使用し
た。精製に使用したメタノールは、硫酸カルシウムと水
素化カルシウムで乾燥した後更に水素化ナトリウムを加
えて直接蒸留した乾燥精製品を使用した。精製に使用し
たn−ブタノールは、硫酸カルシウムと酸化カルシウム
で乾燥した後、直接蒸留した乾燥精製品を使用した。 [実施例1:遮光条件でのZnSe超微粒子の合成例]
空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した3口フラスコにヘキサデシルアミン(HD
Aと略、9.290g)を入れ、真空下125℃に加熱
しながらマグネティックスターラーで3時間攪拌して予
備乾燥した。この間数回、乾燥アルゴンガスで内部を置
換した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボックス内
で、ジエチル亜鉛の1規定濃度n−ヘキサン溶液(0.
99mL)、セレンのトリオクチルホスフィン(TOP
と略)溶液(6.16重量%、1.588g)、及び追
加のTOP(4mL)を、アルミニウム箔ですき間なく
包んで遮光したガラス容器中で混合し原料溶液とした。
【0052】HDAの入ったフラスコと還流管はともに
アルミニウム箔ですき間なく包んで遮光し、アルゴンガ
ス雰囲気下で大気圧に保ちながら320℃に昇温した。
攪拌を継続しながら該原料溶液を注射器で一気に注入
し、この時点を反応時間の開始とした。この時、n−ヘ
キサンや原料からの分解生成物等の低沸点有機物が一気
に気化して還流管を通過するので注意を要する。その後
直ちに温度を290℃に設定した。反応開始後166分
の時点で、あらかじめ別途125℃真空下で加熱攪拌し
て乾燥しておいたトリオクチルホスフィンオキシド(T
OPOと略、5mL)を注射器で加えて熱源を除去して
空冷した。60℃程度まで空冷冷却された溶液は無色透
明であり、ここにトルエン(8mL)を注射器で加えて
希釈し室温まで放冷した。この均一溶液を、メタノール
とn−ブタノールの同容量混合溶媒(50mL)中に乾
燥窒素雰囲気下で攪拌しながら滴下し、不溶物を遠心分
離(4000回転/分、3分間)した。デカンテーショ
ンにより上澄み液を除去して得た沈殿物は、前記の混合
溶媒で洗浄し、再度デカンテーションにより上澄み液を
除去して沈殿した超微粒子を得た。この単離された沈殿
生成物はトルエンへの再溶解性が良好であり、均一溶液
を与えた。
【0053】こうして得た超微粒子を乾燥固化させた粉
末について、X線回折測定をリガク(株)製RINT1
500(X線源:銅Kα線、波長1.5418Å)にて
行ったところ、ZnSe結晶の220面と311面に帰
属される回折ピークを観測したことからZnSeナノ結
晶の生成を確認した。このZnSe超微粒子を日立製作
所(株)製H−9000UHR型透過電子顕微鏡(加速
電圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9To
rr)で観察したところ、平均粒子径5nmの超微粒子
であった。
【0054】またこのZnSe超微粒子中の熱重量分析
をセイコー(株)TG−DTA320熱重量分析計(窒
素気流下室温〜600℃、20℃/分昇温)により行っ
たところ、灰分が37重量%であったので、このZnS
e超微粒子の有機物含量は63重量%と考えられた。 [比較例1:非遮光条件でのZnSe超微粒子の合成
例]実施例1において、アルミニウム箔による反応系の
遮光を行わずに同様の反応を白色蛍光灯の点灯した実験
室において開始した。その結果、原料溶液注入後120
分程度までに顕著な黄着色があり、同160分程度には
該黄着色のいっそうの進行とともに反応液の濁りが顕著
となった。同166分の時点で、実施例1同様にあらか
じめ別途125℃真空下で加熱攪拌して乾燥しておいた
TOPO(5mL)を注射器で加えて熱源を除去して空
冷した。60℃程度まで空冷冷却された溶液は濃い黄色
で若干の濁り感があり、ここにトルエン(8mL)を注
射器で加えて希釈し室温まで放冷した。この溶液につい
て、以下実施例1同様の精製操作を行った。最終的に単
離された沈殿生成物はトルエンへの再溶解性が不十分で
あり、不溶成分があった。
【0055】こうして得た超微粒子を乾燥固化させた粉
末について、実施例1同様のX線回折測定を行ったとこ
ろ、ZnSe結晶の220面と311面に帰属される回
折ピークを観測したことからZnSeナノ結晶の生成を
確認した。 [実施例2:遮光条件でのCdS超微粒子の合成例]空
冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電対
を装着した3口の褐色ガラス製フラスコにトリオクチル
ホスフィンオキシド(TOPOと略、4.00g)を入
れ、内部を乾燥アルゴン雰囲気に置換した。その後、反
応温度を300℃に設定しマグネティックスターラーで
攪拌を開始した。反応系は、還流管も実施例1同様にア
ルミニウム箔で包んで遮光した。液相のTOPOが30
0℃に安定したところで、別途乾燥窒素雰囲気のグロー
ブボックス内でジメチルカドミウムの10%濃度n−ヘ
キサン溶液(0.56g)とビス(トリメチルシリル)
スルフィド(0.028g)をトリブチルホスフィン
(2.55g)に溶解した原料溶液を注射器で一気に注
入した。この時点を反応時間の開始とした。この時、n
−ヘキサンや原料からの分解生成物等の低沸点有機物が
一気に気化して還流管を通過するので注意を要する。
【0056】注射器で反応液を時々少量サンプリングし
トルエンで希釈した希薄溶液の発光スペクトルを測定し
て、発光帯の長波長側へのシフト(超微粒子の粒径成長
に対応する)をモニターしたところ、反応開始後1時間
の時点で発光帯の波長シフトは依然として継続している
ものの非常に遅くなったことを認めたので、ここで熱源
を除去して空冷した。50℃程度まで空冷冷却されたと
ころでメタノール(0.5mL)を加えて室温まで放冷
した。この均一溶液を、メタノール(15mL)中に乾
燥窒素雰囲気下で攪拌しながら滴下し、5分間攪拌を継
続した。不溶物を遠心分離(4000回転/分、0.5
分間)し、デカンテーションにより上澄み液を除去して
得た沈殿物を、トルエン(1mL)に再溶解した。この
溶液をメタノール(10mL)中に前記同様に滴下して
沈殿を生じさ、遠心分離、次いでデカンテーション操作
を行って沈殿物を得た。
【0057】この単離された沈殿生成物はトルエンへの
再溶解性が良好であり均一溶液を与え、このトルエン溶
液を366nmの紫外光で励起した場合、443nmに
ピークを有し半値幅が26nmの発光帯を与えた。図1
にこの発光スペクトルを示した。こうして得た超微粒子
を乾燥固化させた粉末について、X線回折測定をリガク
(株)製RINT1500(X線源:銅Kα線、波長
1.5418Å)にて行ったところ、CdS結晶の00
2面に帰属される回折ピークを観測したことからCdS
ナノ結晶の生成を確認した。このCdS超微粒子を実施
例1同様に透過電子顕微鏡観察したところ、平均粒子径
6nmの超微粒子であった。
【0058】またこのCdS超微粒子中の有機物含量を
実施例1の場合と同様に熱重量分析により測定したとこ
ろ、55重量%であった。 [比較例2:非遮光条件でのCdS超微粒子の合成例]
実施例2において、反応容器として褐色ガラス製フラス
コの代わりに無色透明なパイレックス(登録商標)ガラ
ス製フラスコを用い、還流管のアルミニウム箔による遮
光措置も行わずに、白色蛍光灯の点灯した実験室におい
て同様の反応を開始した。実施例2同様に発光帯の波長
シフトをモニターしたところ、反応開始後20分で発光
帯の波長シフトはほぼ停止したので、熱源を除去して空
冷した後、実施例2同様の精製操作を行った。単離され
た沈殿生成物はトルエンへの再溶解性が良好であり、均
一溶液を与えたが、このトルエン溶液を366nmの紫
外光で励起した場合、431nmにピークを有し半値幅
が31nmの発光帯を与えた。図1にこの発光スペクト
ルを示した。
【0059】半値幅が実施例2の場合に比べて大きいこ
とから、CdS超微粒子の粒径等の品質の均一性が実施
例2の場合に比べて劣っていることがわかる。また、発
光帯の波長シフトが同じ温度と濃度での反応にもかかわ
らず実施例2に比べてはるかに早い時点で停止したこと
から、これ以上のCdSナノ結晶の成長が何らかの原因
で阻害されており、粒径の制御性が遮光措置を施した実
施例2の場合に比べて劣っていることがわかる。
【0060】なお、こうして得た超微粒子を乾燥固化さ
せた粉末について、実施例1同様のX線回折測定を行っ
たところ、CdS結晶の002面に帰属される回折ピー
クを観測したことからCdSナノ結晶の生成を確認し
た。
【0061】
【発明の効果】本発明の半導体超微粒子の製造方法は、
該超微粒子の半導体結晶成長の過程を遮光条件で行うた
め、外界の光による着色や沈殿生成等の好ましくない副
反応が抑制される。これにより、色調や溶解性が優れた
超微粒子が得られ、しかも超微粒子の粒径制御性が優れ
る(例えば狭い粒径分布や可変な粒径範囲の拡大等)と
いった効果が得られる。こうして得られる半導体超微粒
子は、その発光特性及び吸発光性特性を利用して面状発
光体及び高密度記録層等の光学材料として応用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2及び比較例2で合成した2種のCd
S超微粒子の発光スペクトルである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体原料を液相中において結晶成長さ
    せて半導体超微粒子を製造するにあたり、半導体結晶を
    成長させる過程を遮光条件下で行うことを特徴とする半
    導体超微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 半導体原料として、少なくとも周期表第
    2〜15族から選ばれる陽性元素を含有する化合物と周
    期表第15〜17族から選ばれる陰性元素を含有する化
    合物とを用いる請求項1に記載の半導体超微粒子の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 陽性元素を含有する化合物が、陽性元素
    のアルキル化物又はハロゲン化物である請求項2に記載
    の半導体超微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 陽性元素が周期表第12又は13族元素
    である請求項2又は3に記載の半導体超微粒子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 陰性元素を含有する化合物が下記(1)
    〜(4)のいずれかに該当するものである請求項2〜4
    のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。 (1)陰性元素単体。 (2)トリアルキルホスフィンカルコゲニド類。 (3)陰性元素が水素原子又はケイ素原子との結合を有
    する化合物。 (4)周期表第16族元素(カルコゲン)のアルカリ金
    属塩。
  6. 【請求項6】 半導体原料の熱分解反応工程を含む請求
    項1〜5に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方
    法により得られる半導体超微粒子を含有する薄膜状成形
    体。
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