JP2002052336A - 半導体超微粒子の製造方法及び製造装置 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法及び製造装置

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JP2002052336A
JP2002052336A JP2001154764A JP2001154764A JP2002052336A JP 2002052336 A JP2002052336 A JP 2002052336A JP 2001154764 A JP2001154764 A JP 2001154764A JP 2001154764 A JP2001154764 A JP 2001154764A JP 2002052336 A JP2002052336 A JP 2002052336A
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liquid phase
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JP2001154764A
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Soichiro Saida
壮一郎 齊田
Kenichi Yoshie
建一 吉江
Manabu Kawa
学 加和
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒径分布が狭く且つ吸発光特性の優れた半導
体超微粒子を生産性良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 半導体原料を反応器中の液相媒質に注入
し、該液相媒質中で半導体結晶を成長させる方法におい
て、反応器が管状流通反応器であり、かつ半導体原料を
注入した時点の液相媒質のレイノルズ数が30以上であ
ることを特徴とする半導体超微粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体超微粒子の製
造法に関する。詳しくは、半導体原料を管状流通反応器
に連続的に供給することで半導体超微粒子を工業的に有
利に製造する方法である。本発明の製造方法により得ら
れる半導体超微粒子は、粒径分布が狭いため、ディスプ
レイや発光ダイオード等の光学部材の原料として好適に
利用される。また、吸発光帯の波長半値幅が狭いという
特徴を有するので、蛍光免疫分析や細胞マーカー等、発
光性の生物学的分析試薬としても利用可能である。更
に、着色した半導体超微粒子は顔料等の色材としても利
用可能である。
【0002】
【従来の技術】半導体材料はその材料特有の吸発光能を
持っており、既に発光体材料として広く使用されてい
る。粒径が1〜30nm程度の半導体超微粒子は量子効
果によりバルクとは異なる性質を示すことが知られてい
る。例えば、半導体結晶のエキシトン準位への電子励起
に起因する光吸収(エキシトン吸収)及び該準位からの
発光(エキシトン発光)は、該粒径の関数としてその吸
発光帯波長を精密に制御可能である点が有用である。し
かも該粒径分布を狭くすることでエキシトン吸発光帯の
波長半値幅が小さくなる、つまり吸発光の色純度やエネ
ルギー分布の特定波長領域への集中性が向上するという
特徴がある。かかる性質を有する超微粒子は、コロイド
粒子、ナノ結晶(Nanocrystal)、ナノ粒子
(Nanoparticle)、或いは量子ドット(Q
uantum dot)等とも呼称される場合がある。
【0003】従来、半導体超微粒子は例えば下記の方法
で製造されてきた。 (a)分子ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の
高真空プロセス。この方法により組成が高度に制御され
た高純度の半導体超微粒子が得られるが、原理的に基板
上に堆積し固着したものであり分散性(即ち溶媒や合成
樹脂等の媒質への分散可能性)が極端に悪いものであっ
た。しかもホスフィンやアルシン等の有毒気体を原料と
する場合があり、且つ高価な製造装置を要するので生産
性の点で産業上の利用に制限があった。 (b)半導体原料を高温の液相有機媒体に注入して熱分
解させて各種溶媒への優れた分散性を有する半導体結晶
を成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)。例
えばC.B.Murrayら;J.Am.Chem.S
oc.,115巻8706−8715(1993)に報
告されている方法である。この方法には、粒径分布が極
めて狭く結晶性が良く、発光能に優れた半導体超微粒子
が得られる特徴がある。 (c)半導体原料水溶液を疎水性有機溶媒中の逆ミセル
として存在させ該逆ミセル同士の衝突に伴う物質移動を
利用して該逆ミセル相中にて比較的粒径分布が狭く各種
溶媒への優れた分散性を有する半導体結晶を成長させる
方法(以下、逆ミセル法と呼ぶ)。例えばB.S.Zo
uら;Int.J.Quant.Chem.,72巻、
439−450(1999)に報告されている方法であ
る。汎用的な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術
が利用でき、しかも水の関与した反応であり、比較的低
温で行われるため簡便な方法である。 (d)金属アルコキシド類や酢酸塩等の金属塩類を、水
や硫化水素等の水素化カルコゲニド類やその金属塩(例
えばアルカリ金属水酸化物やアルカリ金属硫化物等)と
溶液反応させ、各種溶媒への優れた分散性を有する金属
酸化物や金属硫化物の結晶を生成させる方法(以下、ゾ
ル−ゲル法と呼ぶ)。例えば酸化亜鉛ナノ結晶を製造す
る場合に酢酸亜鉛と水酸化リチウムとをエタノール中で
反応させる方法がL.Spanhelら;J.Am.C
hem.Soc.,113巻,2826頁(1991)
において知られている。かかるゾル−ゲル法の特徴は、
安価で取り扱いの容易な金属原料を用いて比較的簡便に
ナノ結晶を合成するところにあり、前記逆ミセル法のよ
うに界面活性剤を使用しないため不純物が比較的少ない
製品が得られることも長所である。
【0004】従って、前記(b)、(c)、(d)の液
相製造法は前記(a)の高真空プロセスに比べて各種溶
媒への優れた分散性を有する製品を与えしかも工業的生
産に適した方法であると考えられるが、従来いずれも主
にバッチ(回分)式反応器を使用した比較的小規模の反
応スケールでのみ検討されてきた。発光能に優れた半導
体結晶超微粒子(ナノ結晶)を前記ホットソープ法で得
る反応は、結晶核生成とその成長の各速度を好適に制御
する必要があるため、これをバッチ式反応器で行う場
合、特に反応のスケールアップを図る場合には、一般の
化学反応にない下記3点の特有の問題点があった。
【0005】第1の問題点は、半導体原料を注入してか
ら反応系全体が均一な濃度に達するまでに要する時間を
可及的短くすることが致命的に重要であることに起因す
る。該ホットソープ法は、原料及び/又は結晶核の濃度
並びに温度が最も重要な反応パラメータであり、これら
の制御が不十分であると粒径分布が大きくなるばかりか
極端な場合には粗大凝集粒子の沈殿に終わる場合もあ
る。実際の操作においては、特に半導体原料の高温液相
への注入速度が非常に重要な製造条件パラメータであ
り、従来のバッチ式合成法では例えばシリンジによる注
入速度の実験者間のばらつきに起因する再現性不良が問
題となり、具体的には可及的短時間で原料の注入を完結
することが製品の狭い粒径分布の達成に好適であること
が知られていた。これは、該注入速度が、反応系に原料
が均一に分散するまでの速度(つまり好適な濃度条件に
達するまでの時間)を支配する操作要因であることによ
る。かかる特性を有する反応であるため、バッチ式反応
器におけるスケールアップを図る場合、反応液相が大容
積になればなるほど可及的短時間に原料を均一に分散す
ることが困難になるというバッチ式反応器に共通な制約
が致命的に製品の粒径分布を大きくする原因となる、と
いう問題があった。
【0006】第2の本質的な問題点は、前記のような可
及的短時間での原料注入は濃度条件的に好ましいが、一
方で低温の原料の短時間注入による急激な反応温度低下
が避けられない点にあった。かかる温度低下を避けよう
として原料をあらかじめ加熱しておくと、注入以前に該
原料が変質してしまう。第3の実際の操作上の問題点
は、半導体原料の熱分解や含有されている有機溶媒等が
急激に気化して噴出するという安全上の点である。この
点は、バッチ式反応器での大スケール反応において現実
的な制限となる。
【0007】以上のようなホットソープ法をバッチ式反
応器で行う際の問題点から、かかる問題点を克服する高
速製造方法が求められていた。超微粒子の製造方法とし
て、米国特許5652192号(1997年)公報に
は、原料溶液を流通反応器に連続的に供給し、次いでこ
れを加圧と加熱を施す反応ゾーンに移送せしめる結果起
こる化学反応により超微粒子の核生成と粒子成長を進行
させる方法が開示されている。この発明は、触媒能を有
する遷移金属酸化物を、水を流通溶媒とした水熱合成法
の提供を趣旨とし、実施例にはSUS316鋼製の管状
反応器を用いた水熱合成の例が開示されている。しか
し、この発明の教示する手順を例えば前記ホットソープ
法による半導体超微粒子の製造に適用しようとすると、
半導体原料の攪拌効率が不十分であるため製品の粒径分
布が広がる点、及び原料溶液が低温から徐々に昇温され
ることにより原料の熱分解が徐々に起こるため、核生成
速度を好適に制御することができない点に問題があり、
ホットソープ法の特徴である狭い粒径分布を有する良好
な半導体超微粒子は得られない。また、前記逆ミセル法
による半導体超微粒子の製造にこの方法を適用しようと
すると、生成した半導体結晶が前記の加圧と加熱を施す
反応ゾーンを通過する際に、界面活性剤の変性等望まし
くない化学変化を受ける場合があるだけでなく、逆ミセ
ルの不安定化等による粒径分布の悪化が問題となる場合
がある。更に、前記ゾル−ゲル法による半導体超微粒子
の製造にこの方法を適用しようとすると、半導体原料の
攪拌効率が不十分であるため製品の粒径分布が広がる
点、前記の加圧と加熱を施す反応ゾーンを通過するため
急激な核発生や結晶成長により粒径分布の制御性が極端
に悪化する場合がある点、及び該加熱のためエタノール
等の水よりも低沸点の好ましい溶媒の使用に制限が生じ
る点に問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、粒径分布が狭い半導体超微粒
子を前記液相製造法により連続的かつ高速に製造する工
業的に有利な方法とこれに用いられる製造装置を提供す
ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため鋭意検討を重ねた結果、管状流通反応器を
用いて半導体超微粒子を製造する際の各種条件、特に、
半導体結晶の原料(以下「半導体原料」と称する)が液
相に注入される際の攪拌効率を制御することにより粒径
分布の狭い半導体超微粒子を連続的かつ高速に製造でき
る事を見いだし本発明に到達した。
【0010】一般に、半導体超微粒子の液相製造反応に
おいて、半導体原料の液相への注入直後の条件(例えば
温度や攪拌条件)が製品の粒径分布に大きな影響を与え
る。従って、バッチ式反応器における反応の大スケール
化に際して一般的に生じる問題である攪拌効率や反応温
度制御性の低下が、かかる半導体超微粒子の液相製造反
応における粒径分布に致命的な悪影響を与える。本発明
の製造方法は特に半導体原料の液相への注入直後の攪拌
効率を制御した管状流通反応器による連続反応であるた
め、高速製造時においても半導体原料の液相への注入直
後の速やかな物質移動が確保される特徴、その時の温度
条件の主たる支配要因である異なる初期温度と熱容量を
有する複数液相間での熱交換及び発生する反応熱を好ま
しく制御可能である特徴、更に供給された物質系が連続
に引き延ばされた反応液に均質に分布し物質移動や熱交
換が起きる空間がバッチ式反応に比べて極度に制限され
たまま反応器中を移動してゆく品質均一性の特徴を有す
る。かかる特徴により、液相媒質と半導体原料との混合
量比の可変範囲を非常に大きくとれしかも反応熱を連続
的に分散させることが可能となるので製品の狭い粒径分
布と高速生産性とが両立される。
【0011】即ち、本発明の第1の要旨は、半導体原料
を反応器中の液相媒質に注入し、該液相媒質中で半導体
結晶を成長させる方法において、反応器が管状流通反応
器であり、かつ半導体原料を注入した時点の液相媒質の
レイノルズ数が30以上であることを特徴とする半導体
超微粒子の製造方法、に存する。
【0012】本発明の第2の要旨は、管状流通反応器に
液相媒質を流通させ、該液相媒質中に半導体原料を注入
する製造装置において、半導体原料注入以前に液相媒質
を予備加熱する機構を有することを特徴とする前記製造
方法に使用される管状流通反応器、に存する。
【0013】
【発明実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。 [製造工程]本発明の半導体超微粒子の製造方法は、液
相媒質を流通させた管状流通反応器において、少なくと
も下記の2工程、即ち、半導体原料を管状流通反応器に
注入する工程、及び半導体結晶を液相媒質中で成長させ
る工程、を含むものであり、後述するレイノルズ数の要
件を満たす限りにおいて、使用する製造装置、半導体結
晶の生成反応の種類や反応形式に制限はない。
【0014】本発明の製造方法に用いられる製造装置の
構造は、必要に応じ、これら2種類の工程がそれぞれ複
数箇所存在しかつ連通した管状反応器であってもよい。
つまり、例えば複数のパイプに半導体原料を注入しこれ
らを1本のパイプに集約して半導体結晶を成長させる並
列注入法も可能である。
【0015】[半導体原料と液相媒質]本発明における
半導体原料とは、製造目的の半導体種を構成する元素を
含有し、後述する液相媒質中で半導体結晶を成長させる
に必要な物質である。従って、製造目的の半導体種が単
体半導体の場合には半導体原料は1種の物質の場合もあ
り、製造目的の半導体種が化合物半導体の場合にはその
複数の構成元素それぞれについて1つの物質を用いる必
要があれば複数種の物質を半導体原料とする場合もあ
る。かかる半導体原料である物質の一部又は全部は必要
に応じて予め溶液として使用してもよく、半導体原料で
ある物質の一部又は全部が気体の場合には後述する液相
媒質中にこれを吹き込んでもよい。また、後述するコア
シェル型半導体超微粒子を製造するに当たり、コアとな
る半導体結晶(コア結晶)を予め調製しこれを液相媒質
に含有させておく場合には、該コア結晶は新たに半導体
結晶を成長させるに必要な物質ではないので、ここでい
う半導体原料には当たらない。
【0016】本発明における液相媒質とは、全ての半導
体原料の注入の完了により半導体結晶の成長(結晶核生
成とこれを起点とする結晶成長の2つの素過程を含む)
を開始する以前の液体であって、該半導体原料の一部を
あらかじめ含有していてもよいものである。以下、後述
するホットソープ法と逆ミセル法の2つの例によりこれ
を説明する。
【0017】第1例であるホットソープ法として、ジメ
チルカドミウム等の有機金属化合物とセレン等の陰性元
素とを含有する半導体原料の溶液を溶融したトリオクチ
ルホスフィンオキシド(TOPO)中に注入する方法を
考えると、該半導体原料の溶液を注入しない限りセレン
化カドミウム(CdSe)結晶の成長は開始しないので
溶融したTOPOがこの場合の液相媒質となる。
【0018】第2例として逆ミセル法により硫化カドミ
ウム(CdS)結晶を成長させる場合を挙げると、硝酸
カドミウム等のカドミウム塩の水溶液と硫化ナトリウム
等の硫化物の水溶液とをそれぞれ別々にイソオクタン等
の疎水性有機溶媒中に分散安定化されて得る2種の逆ミ
セル液体をまず調製し、このうち一方の逆ミセル液体
(「逆ミセル1」とする)を管状流通反応器に流通させ
ながらここにもう一方の逆ミセル液体(「逆ミセル2」
とする)を注入する方法が好適に行われる。この場合、
逆ミセル2を注入しない限りCdS結晶の成長は開始し
ないので、逆ミセル1が液相媒質となる。従って、本発
明における液相媒質とは、分子レベルで溶質が溶解した
溶液である必要はなく、前記逆ミセル液体のように、n
mオーダーでの不均一性を有するが巨視的には透明な液
体の性状を有するものであってもよい。
【0019】[攪拌効率を表すレイノルズ数]本発明に
おいては、管状反応器内部を液相が満たしこれが流通す
る場合の攪拌効率を見積もる指標として下記式(3)で
定義するレイノルズ数Reを導入する。本発明の製造方
法は、半導体原料を注入した時点の反応液相の該Reが
30以上であることを特徴とするものである。
【0020】
【数3】Re=Duρ/μ (3) 但し前記式(3)においてDは液相が流通する流路の断
面積と同面積の円の直径(単位はメートル:m)を、u
は液相の流速(単位はメートル毎秒:m/sec)を、
ρは液相の密度(単位:キログラム毎立方メートル:g
/m3)を、μは液相の粘度(単位:ポアズ)を、それ
ぞれ表す。前記Dは通常使用される巻き尺、定規、ノギ
ス等の測量手法で測ることができ、前記uは送液ポンプ
の供給量を測定すればD値から計算できる。前記ρは液
相を一定体積分取し重量を測定することで求めることが
できる。前記μは粘度測定から実測することができる。
実際の製造に使用される高温におけるこれら諸量の実測
が困難な場合でも、低温での複数の値から外挿すること
で見積もることが可能であり、この数値を使用する。
【0021】例えば、前記ホットソープ法で重要な液相
媒質物質であるトリオクチルホスフィンオキシド(以下
TOPOと略記)は後述するように通常150〜400
℃の温度範囲における融液としてホットソープ法におい
て好適に使用される。かかるホットソープ法におけるT
OPOを液相媒質とする反応液相の構成成分は、後述す
る実施例に典型的に例示されるように通常70〜95体
積%程度のTOPOの他、トリブチルホスフィンやトリ
オクチルホスフィン等のホスフィン類と非常に低濃度の
半導体原料やその反応生成物であるので、本発明の製造
方法においてはかかる反応液相の密度ρと粘度μは大半
を占める構成成分であるTOPOの外挿値で近似するこ
とができる。
【0022】前記外挿値の算出方法は、密度ρについて
は、温度に対する密度の実測値のプロットを市販の表計
算ソフトウエア等を必要に応じて利用して行い、ここか
ら求まる近似式から所望の温度における計算値を算出す
る。粘度μについては、絶対温度の逆数に対する粘度の
実測値の対数のプロットを市販の表計算ソフトウエア等
を必要に応じて利用して行い、ここから求まる近似式か
ら所望の温度における計算値を算出する。なお、絶対温
度の逆数と液体の粘度の対数とが比例するという理論式
が化学便覧・基礎編(改訂4版、丸善(株)、1993
年)のII−36頁に記載されている。
【0023】前記の通り攪拌効率の低下は半導体超微粒
子の粒径分布に悪影響を与えるので、製品の粒径分布を
狭くする目的では前記レイノルズ数Reは可及的大きい
ことが望ましく、好ましくは100以上、より好ましく
は500以上、更に好ましくは1000以上、最も好ま
しくは1500以上である。 [攪拌機構]反応液相の攪拌効率を向上して製品の粒径
分布を好ましく制御するために、前記レイノルズ数Re
の効果だけでなく、適当な攪拌機構を設計し液相の流路
に設置することがしばしば好ましい結果を与える。これ
は、流路の立体形状を好ましく制御することによる乱流
効果、あるいは攪拌機構の運動によるせん断効果(前記
式(3)における流速uを増大する因子とも考えられ
る)の2つの効果によるものと考えられる。
【0024】液相媒質を攪拌する機構には、前記のレイ
ノルズ数の条件を満たす限りにおいて制限はなく、例え
ば化学工学便覧(丸善)に記載のような公知の任意の方
法が適用可能であり、例えば、タービン翼、ファンター
ビン翼、湾曲羽根ファンタービン翼、矢羽根タービン
翼、ファウドラー翼、ブルマージン翼、傾斜羽根タービ
ン翼、プロペラ翼、螺旋帯、螺旋軸、いかり型、パドル
型、くし型等任意形状の翼を持った攪拌翼やスクリュー
等の任意形状の攪拌機構を、軸回転運動、軸方向の往復
運動等任意の運動をさせて構わず、かかる攪拌機構の設
置方式は反応器内部空間において偏心傾斜攪拌、側面攪
拌等任意の位置が可能である。前記の任意の攪拌機構に
ドラフトチューブやじゃま板等の任意の補助攪拌機構を
併用しても構わない。この他、液体の噴射攪拌や流体進
行経路の分岐と再合流を繰り返す方法等、運動性を持た
ないの攪拌機構の使用も可能である。
【0025】本発明の製造方法は、例えば前記ホットソ
ープ法のような高温の液相反応を使用し空気(特に酸素
ガス)や水の混入を極度に嫌いしかも高圧の発生も予想
される反応形式を用いる場合、前記運動性の攪拌機構を
設置すると、管状反応器と攪拌駆動部とのシーリング
(密封)性を高度に保つ必要が生じる、という装置上の
新たな技術的課題が生じる。従って、かかる場合には静
置型スクリュを反応液相の流路に設置することが好適で
ある。
【0026】本発明における静置型スクリュとは、反応
液相又は液相媒体が流通する流路に静置され該液相中で
の乱流の発生を目的とし、全体として棒状の形状を持つ
攪拌装置であってその形状の空間的広がりが占める最大
径が管状反応器の流路の内径以下の物体を意味する。例
えば、棒状の軸の表面に任意の凹凸立体形状を設けたも
の、棒状の軸に多くのじゃま板をつけたもの、湾曲又は
屈曲を連続させた軸もしくはかかる軸を複数組み合わせ
たもの等が具体的に挙げられる。設置部の流路が湾曲も
しくは屈曲している場合には、この形状に沿って静置型
スクリュを湾曲もしくは屈曲させてよい。静置型スクリ
ュの断面積は、設置部の流路断面積の通常1〜99%で
あり、この下限は機械的強度の点で好ましくは5%、更
に好ましくは10%であり、この上限は流通量Qを大き
くする点で好ましくは90%、更に好ましくは80%で
ある。かかる静置型スクリュの反応液相又は液相媒体が
流通する流路内での設置場所に制限はないが、製品の粒
径分布に最も大きな影響を与える半導体原料の注入部
(半導体原料流路が管状反応器に合流する地点)への設
置が効果的である。
【0027】なお、前記任意の攪拌機構を流路に設置し
た場合の前記レイノルズ数Reの算出に用いるDは対象
とする地点での流路の断面図において流路の断面積から
攪拌機構の断面積を差し引いた面積と同面積の円の直径
とする。 [流通量と反応液相の吸発光帯の半値幅]高速製造性の
点から前記流通量Qは可及的大きいことが望ましいが、
具体的な目安として、全半導体原料の注入が完了した時
点の反応液相の流通量Qが10cm3/h以上であるこ
とが好ましい。この流通量Qは、より好ましくは100
cm3/h以上、更に好ましくは500cm3/h以上、
最も好ましくは1000cm3/h以上である。
【0028】前記流通量Qの条件が、以下に説明する流
出する反応液相が与える吸発光帯の半値幅(即ち生成す
る半導体結晶の粒径分布を反映)の条件と両立すること
が、前記攪拌効率の効果の主たるものである。まず第1
に、管状流通反応器から吐出する反応液相の流通量Qが
10cm3/h以上であり、しかもその吸収スペクトル
において半導体結晶に由来するエキシトン吸収帯が観測
されることが本発明の製造方法の望ましい状態である。
ここでいう「エキシトン吸収帯が観測される」状態と
は、該吸収スペクトルの長波長端にエキシトン吸収帯に
よる極大もしくは肩が観測される状態である。かかる極
大もしくは肩がエキシトン吸収帯によるものであること
は、運転条件を変えて製品の粒径や粒径分布を変えた場
合に、該極大もしくは肩の波長が変動することにより確
認される。かかる吸収スペクトルの測定は、必要に応じ
て採取する反応液相を適当な溶媒で希釈して行ってもよ
い。
【0029】本発明の製造方法の更に望ましい状態は、
前記エキシトン吸収帯において、そのピーク波長λAp
λApより長波長側で該吸収帯強度がそのピーク強度の半
分となる波長λAhにより下記式(1)で定義される吸収
半値幅ΔλAが80nm以下である状態である。
【0030】
【数4】ΔλA=2(λAh−λAp) (1) 該ΔλAは、より好ましくは70nm以下、更に好まし
くは60nm以下、最も好ましくは55nm以下であ
る。
【0031】管状流通反応器から吐出する反応液相の流
通量Qが10cm3/h以上であり、しかもその発光ス
ペクトルにおいて半導体結晶に由来するエキシトン発光
帯が観測される場合には、該エキシトン発光帯におい
て、そのピーク波長λLpとλLpより長波長側で該発光帯
強度がそのピーク強度の半分となる波長λLhにより下記
式(2)で定義される発光半値幅ΔλLが80nm以下
であることが望ましい。
【0032】
【数5】ΔλL=2(λLh−λLp) (2) 但し、観測された発光帯がエキシトン発光帯であること
は、運転条件を変えて製品の粒径や粒径分布を変えた場
合に、該発光帯の極大もしくは肩の波長が変動すること
により確認される。かかる発光スペクトルの測定は、必
要に応じて採取する反応液相を適当な溶媒で希釈して行
ってもよい。該ΔλLは、より好ましくは60nm以
下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは45
nm以下である。
【0033】流通量Q(単位:cm3/h)と前記吸収
半値幅ΔλA(単位:nm)との比Q/ΔλAが1以上で
あることが、本発明の製造方法の新規性である攪拌効率
による優れた効果を特徴づける指標である。かかるQ/
ΔλAの値は、より好ましくは5以上、更に好ましくは
10以上、最も好ましくは15以上である。但し、後述
する比較例2のように、反応液相の半導体原料濃度を低
くして半導体超微粒子の製造速度を低下させると見かけ
上該Q/ΔλAの値は大きくなる場合があるので、本発
明の製造方法の好ましい要件である後述する反応液相中
の半導体組成の濃度条件を満たすことが実際には好まし
いことは言うまでもない。
【0034】[生産性指数]本発明の半導体超微粒子の
製造方法の生産性を評価するために、反応器の内容積1
cm3当たり、24時間(1日)に生産可能な半導体超
微粒子重量(単位:g)で定義される生産性指数Z(単
位:g/cm3/日)を定義する。例えば、バッチ(回
分)法の場合、ある反応器を使用して1回の反応が2時
間で終了し、これにより0.3gの超微粒子を得ること
ができるとすると、24時間当たりの生産可能な重量は
0.3×(24/2)=3.6(g)となり、これを反
応器の内容積(単位:cm3)で除することでZが算出
される。
【0035】反応器の内部空間が完全に反応液相で満た
されない場合には、全反応時間における該反応液相の平
均体積を反応器の内容積に代用する。本発明の半導体超
微粒子の製造方法は、通常、Zが0.001〜20程度
となるが、この値は大きいほど好ましい。具体的には、
Zの値は好ましくは0.005〜20程度、更に好まし
くは0.01〜20程度、最も好ましくは0.03〜2
0程度である。
【0036】[半導体原料と半導体超微粒子]本発明の
製造方法で使用される半導体原料としては、通常、電気
陰性度が2.0以下である陽性元素を含有する第1物質
及び該電気陰性度が1.9以上である陰性元素を含有す
る第2物質からなる2元物質系、あるいは単体が半導体
性を有する元素を含有する化合物、のいずれかを使用す
る。前記2元物質系の場合の陽性元素と陰性元素の可能
な電気陰性度の範囲が一部重複しているが、1組の2元
物質系における前者の電気陰性度は後者のそれよりも必
ず小さい必要があり、その差は少なくとも0.1であ
る。例えば後述する半導体結晶組成の例に挙げたAs2
Te3、の場合、陽性元素はAs、陰性元素はTeであ
り、電気陰性度はそれぞれ2.0と2.1である。ま
た、InSbの場合、陽性元素はIn、陰性元素はSb
であり、電気陰性度はそれぞれ1.7と1.9である。
ここで、半導体性とは、室温における電気伝導率が、金
属と絶縁体の中間の103〜10-10S/cm程度である
性質あるいは電気伝導率が温度とともに上昇する性質を
意味する。かかる原料化合物の具体例は後述する。な
お、本発明における電気陰性度は、例えば理化学辞典,
第5版,912頁(岩波書店;1998年)に記載の表
のように、ポーリングの定義による数値である。前記半
導体原料には、必要に応じて追加の半導体原料(例えば
他の陽性元素や陰性元素を含有する物質)を添加しても
よい。
【0037】本発明において対象とする半導体超微粒子
は、前記陽性元素及び陰性元素を主体とする化合物半導
体、あるいは半導体性を有する単体を主体とする単体半
導体のいずれかである。本発明の製造方法により得られ
る半導体超微粒子とは、後述するように粒径が数nm〜
数10nm程度の大きさを有する半導体結晶を主体とす
るものであり、該半導体結晶の組成は半導体性を有する
元素単体あるいは複数種元素からなる化合物半導体のい
ずれでもよく、後述するコアシェル型等の複数組成が分
布した半導体結晶であってもよい。ここで言う半導体超
微粒子の主体とは、後述する超微粒子表面の有機成分を
除いた中心部分を意味する。
【0038】また、製造に用いられる液相媒質の構成成
分、配位子、界面活性剤等の有機分子あるいはこれらが
何らかの化学変化を受けて生成する有機構造等の有機成
分をその表面及び表面近傍に保持していても構わない。
かかる粒子表面及び表面近傍に保持される有機成分と半
導体組成との結合様式に制限はないが、例えば配位結
合、共有結合、イオン結合等の比較的強い化学結合、あ
るいはファンデアワールス力、水素結合、疎水−疎水相
互作用、分子鎖の絡み合い効果等の比較的弱い可逆的な
引力相互作用等が例示される。
【0039】該有機成分の含量は、生成する半導体超微
粒子の表面積(即ち粒径にも関連)にもよるが、後述す
る単離精製工程を経て十分に精製された状態で、半導体
超微粒子中、通常1〜90重量%、半導体超微粒子の分
散性や化学的安定性の点で好ましくは5〜80重量%、
更に好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは15
〜60重量%程度である。該有機成分含量は、例えば各
種元素分析や熱重量分析等により測定される。また、該
有機成分の化学種や化学的環境についての情報を赤外吸
収スペクトル(IR)や核磁気共鳴(NMR)、あるい
はXAFS(X−ray absorption fi
ne structure)等スペクトルから得られ
る。
【0040】本発明の製造方法により得られる半導体超
微粒子の粒径に制限はないが、透過型電子顕微鏡(TE
M)で観察される数平均粒径として、通常1〜20n
m、量子効果による吸発光能制御の顕著な発現とその制
御性の点で好ましくは1.5〜15nm、更に好ましく
は2〜12nm、最も好ましくは2.5〜10nm程度
となる。本発明の製造方法で得られる半導体超微粒子
は、前記のようにその表層として有機成分を含有する場
合があるが、TEMで観察される粒子像はかかる有機成
分を含まない部分、即ち比較的原子番号の高い元素を含
む半導体組成の部分に由来するものと考えられる。電子
顕微鏡で観察困難な原子番号の小さい元素で構成される
半導体超微粒子の場合には、おおよその粒径は原子間力
顕微鏡(AFM)又は高分解能走査型電子顕微鏡(SE
M)等により見積もることができる。
【0041】前記数平均粒径の決定に当たり使用する各
粒子の粒径は、与えられたTEM観察により得られる半
導体結晶粒子像と同面積の円の直径を該粒子像の粒径と
定義し、例えば公知の画像データの統計処理手法により
前記数平均粒径を算出するが、かかる統計処理に使用す
る観察像の数(統計処理データ数)は可及的多いことが
当然望ましく、本発明においては、再現性の点で無作為
に選ばれた該観察像の個数として最低でも50個以上、
好ましくは80個以上、更に好ましくは100個以上と
する。
【0042】半導体超微粒子の量子効果により生ずるエ
キシトン準位での電子遷移に起因する吸発光帯(以下
「エキシトン吸発光帯」と称する)の波長は、前記数平
均粒径の関数でありこれが前記範囲外の場合には実用的
に重要な吸発光波長が得られないだけでなく、反応後の
単離精製に支障を来す場合がある。なお、半導体結晶構
造の生成は、前記のTEM観察における半導体結晶格子
像の観察の他、超微粒子の粉末X線回折、元素分析、あ
るいはXAFSによる元素分析と原子間距離測定等の分
析手段で確認可能である。
【0043】[半導体超微粒子の粒径分布]本発明の製
造方法により得られる半導体超微粒子の粒径分布に制限
はないが、例えば、半導体結晶の量子効果により制御さ
れる前記エキシトン吸発光帯の特性を利用する場合、該
粒径分布を変えることで必要とする吸発光帯の波長幅を
変化させることが可能であり、用途にもよるが該波長幅
を狭くすることが好ましい場合が多い。
【0044】本発明の製造方法により得られる半導体超
微粒子の主体である半導体結晶の粒径分布は、通常、前
記数平均粒径に対する標準偏差として±40%以内、好
ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内、
最も好ましくは±10%以内とする。この標準偏差の範
囲を超えた粒子直径分布の場合、量子効果によりエキシ
トン吸発光帯の波長幅を狭くする目的を十分に達成する
ことが困難となる。
【0045】[半導体結晶組成]本発明の製造方法によ
り得られる半導体結晶組成の例を組成式で表すと、C、
Si、Ge、Sn等の周期表第14族元素の単体、P
(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、SeやTe
等の周期表第16族元素の単体、SiC等の複数の周期
表第14族元素からなる化合物、SnO2、Sn(II)
Sn(IV)S3、SnS2、SnS、SnSe、SnT
e、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元
素と周期表第16族元素との化合物、BN、BP、BA
s、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、G
aP、GaAs、GaSb、InN、InP、InA
s、InSb等の周期表第13族元素と周期表第15族
元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、
Al23、Al2Se3、Ga23、Ga2Se3、Ga2
Te3、In23、In23、In2Se3、In2Te3
等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合
物、TlCl、TlBr、TlI等の周期表第13族元
素と周期表第17族元素との化合物、ZnO、ZnS、
ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、Cd
Te、HgS、HgSe、HgTe等の周期表第12族
元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI
族化合物半導体)、As23、As2Se3、As2
3、Sb23、Sb 2Se3、Sb2Te3、Bi23
Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期
表第16族元素との化合物、Cu2O、Cu2Se等の周
期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、C
uCl、CuBr、CuI、AgCl、AgBr等の周
期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、N
iO等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との
化合物、CoO、CoS等の周期表第9族元素と周期表
第16族元素との化合物、Fe34等の酸化鉄類、Fe
S等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合
物、MnO等の周期表第7族元素と周期表第16族元素
との化合物、MoS2、WO2等の周期表第6族元素と周
期表第16族元素との化合物、VO、VO2、Ta25
等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合
物、TiO2、Ti25、Ti23、Ti59等の酸化
チタン類(結晶型はルチル型、ルチル/アナターゼの混
晶型、アナターゼ型のいずれでも構わない)、ZrO2
等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合
物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第
16族元素との化合物、CdCr24、CdCr2
4、CuCr24、HgCr2Se4等のカルコゲンス
ピネル類、あるいはBaTiO3等が挙げられる。な
お、G.Schmidら;Adv.Mater.,4
巻,494頁(1991)に報告されている(BN)75
(BF21515や、D.Fenskeら;Ange
w.Chem.Int.Ed.Engl.,29巻,1
452頁(1990)に報告されているCu146Se73
(トリエチルホスフィン)22のように構造の確定されて
いる半導体クラスターも同様に例示される。
【0046】これらのうち実用的に重要なものは、例え
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga23、Ga23、Ga2
Se3、Ga2Te3、In23、In23、In2
3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導
体、As23、As23、As2Se3、As2Te3、S
23、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi
23、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、Fe34
等の酸化鉄類やFeS等の周期表第8族元素と周期表第
16族元素との化合物、前記の酸化チタン類やZrO2
等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合
物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第
16族元素との化合物である。
【0047】これらの中でも、SnO2、GaN、Ga
P、In23、InN、InP、Ga23、Ga23
In23、In23、ZnO、ZnS、CdO、Cd
S、前記の酸化チタン類やZrO2、MgS等は高い屈
折率を有ししかも毒性の高い陰性元素を含まないので耐
環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、この観点
ではSnO2、In23、ZnO、ZnS、前記の酸化
チタン類やZrO2等の毒性の高い陽性元素を含まない
組成は更に好ましく、中でもZnO、あるいは前記の酸
化チタン類(高屈折率性のためにはルチル型結晶が特に
好ましい)やZrO 2等の酸化物半導体結晶は最も好ま
しい。なお、ルチル型酸化チタン結晶粒子の長波長側吸
収端はバルク状態では通常400nm付近であるが、該
結晶粒子の数平均粒径を本発明の範囲である0.5〜3
0nm程度とすることで該長波長側吸収端波長をより短
波長にずらすことが可能となり、可視領域での無色性を
向上させる長所が生じる場合がある。また、酸化鉄類
等、可視領域に吸収能のある着色した半導体結晶は、顔
料等の色材用途に重要である。
【0048】実用的に重要な可視領域とその近傍に発光
帯を有するGaN、GaP、GaAs、InN、InP
等のIII−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、
HgO、HgS等のII−VI族化合物半導体、In2
3、In23等が重要であり、中でも半導体結晶の粒
径の制御性と発光能から好適なのはZnO、ZnS、Z
nSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe等のII
−VI族化合物半導体であり、特にZnSe、CdS、
CdSe等がこの目的では更に好適に用いられる。
【0049】前記で例示した任意の半導体結晶の組成に
は、必要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不
純物の意味)として例えばAl、Mn、Cu、Zn、A
g、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても
構わない。 [コアシェル型半導体結晶]前記の半導体結晶は、例え
ばA.R.Kortanら;J.Am.Chem.So
c.,112巻,1327頁(1990)あるいは米国
特許5985173号公報(1999)に報告されてい
るように、その半導体結晶の電子励起特性を改良する目
的で内核(コア)と外殻(シェル)からなるいわゆるコ
アシェル構造とすると、該コアを成す半導体結晶の量子
効果の安定性が改良される場合があるので、エキシトン
吸発光帯を利用する用途に好適な場合がある。この場
合、シェルの半導体結晶の組成として、禁制帯幅(バン
ドギャップ)がコアよりも大きなものを起用することに
よりエネルギー的な障壁を形成せしめることが一般に有
効である。これは、外界の影響や結晶表面での結晶格子
欠陥等の理由による望ましくない表面準位等の影響を抑
制する機構によるものと推測される。
【0050】かかるシェルに好適に用いられる半導体結
晶の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップに
もよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300K
において2.0電子ボルト以上であるもの、例えばB
N、BAs、GaNやGaP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS等のII−VI族化合物半導体、MgSやMgSe等の
周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等が
好適に用いられる。これらのうちより好ましいシェルと
なる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等のIII
−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnSe、Cd
S等のII−VI族化合物半導体、MgS、MgSe等の周
期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等のバ
ルク状態のバンドギャップが温度300Kにおいて2.
3電子ボルト以上のものであり、最も好ましいのはB
N、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnSe、Mg
S、MgSe等のバルク状態のバンドギャップが温度3
00Kにおいて2.5電子ボルト以上のものであり、化
学合成上ZnSは最も好適に使用される。
【0051】本発明の半導体結晶本体に用いられる特に
好適なコア−シェル組成の組み合わせ例を組成式で表現
すると、CdSe−ZnS、CdSe−ZnO、CdS
e−CdS、CdS−ZnS、CdS−ZnO等が挙げ
られる。 [反応形式]粒径分布の狭い半導体超微粒子を得る上で
好ましい本発明の製造方法の反応形式は、有機化合物が
連続相をなす液相媒質を管状流通反応器内部に流通させ
る方法である。ここで言う有機化合物とは、分子構造に
炭素原子を含有し分子として挙動可能な化合物である。
【0052】かかる反応形式の代表例として、前記のホ
ットソープ法、逆ミセル法、ゾル−ゲル法の3種が挙げ
られるが、以下、本発明の製造方法に特に好適であるホ
ットソープ法について詳しく説明する。 [ホットソープ法による製造装置]ホットソープ法は、
半導体原料の少なくとも1種を液相媒体中で熱分解させ
た結果開始する反応により半導体結晶の核生成と結晶成
長を進行させる方法である。 かかる結晶核生成と結晶
成長の過程の反応速度を望ましく制御する目的で、半導
体構成元素に適切な配位力のある配位性有機化合物が液
相媒体を構成する必須成分として使用される。かかる配
位性有機化合物が、高温液相において半導体結晶に配位
して安定化する状況が石鹸分子が油滴を水中で安定化す
る状況に似ているため、この反応形式はホットソープ
(Hot soap)法と呼ばれる。
【0053】ホットソープ法を利用した代表的な製造装
置の概念図を図1に示す。かかる装置は、大別して液相
媒質供給系、半導体原料供給系、反応系、及び製品貯蔵
系の4つの部分から通常構成されるが、かかる概念図の
構成に制限されるものではない。以下、これを例として
順次説明する。 (a)液相媒質供給系・・・媒質漕1に蓄えられた液相
媒質2は媒質保温装置3でその融点以上の温度に保温さ
れ液相を保つが、その保温温度は通常20〜350℃、
好ましくは30〜250℃、更に好ましくは40〜20
0℃、最も好ましくは50〜150℃程度である。該保
温温度がこの温度範囲に満たないと液相媒質が反応系に
至る以前に固化して送液できない場合があり、逆にこの
温度範囲を超えると含まれている配位性有機化合物の熱
劣化を引き起こす場合がある。液相媒質2は、媒質流路
4から媒質送液ポンプ5を経て媒質注入流路6を通って
反応器7に注入される。媒質保温装置3により加熱を受
ける部分は媒質槽1の他に媒質流路4、媒質送液ポンプ
5、及び媒質注入流路6が含まれて良い。この際、液相
媒質2を媒質予備加熱装置8により反応に適した温度に
予備加熱される。該予備加熱温度に制限はないが、通常
150〜400℃、好ましくは200〜380℃、更に
好ましくは250〜360℃、最も好ましくは270〜
350℃程度とする。但し、前記コアシェル型半導体結
晶のシェルを形成する場合には、通常、液相媒質にコア
とする半導体結晶を含有させシェルを形成する半導体原
料を注入するが、かかる場合の液相媒質の予備加熱温度
は通常150℃から300℃、好ましくは170〜27
0℃程度とやや低めの温度設定となる。液相媒質が複数
成分で構成される場合、かかる複数成分の一部あるいは
全部に対応する液相媒質供給系を別々に設置しても良
く、これらの一部あるいは全部は反応系に注入される前
に混合されても、あるいは反応系に別々に注入されても
構わない。また任意の液相媒質供給系は、必要に応じて
独立に加熱されても構わない。また、良好な送液性を確
保する目的で、任意の箇所に、液相媒質の固化や析出を
防ぐ追加の加熱機構を設置しても構わない。 (b)半導体原料供給系・・・半導体原料は、後述する
ように液状に調製するのが好ましい。原料漕9に蓄えら
れた半導体原料10は原料流路11を通って原料送液ポ
ンプ12に供給される。原料送液ポンプ12から吐出さ
れた半導体原料10は原料注入流路13を通って反応器
7に供給される。半導体原料が複数成分で構成される場
合、かかる複数成分の一部あるいは全部に対応する原料
供給系を別々に設置してもよく、これらの一部あるいは
全部は反応系に注入される前に混合されても、あるいは
反応系に別々に注入されてもよい。前記コアシェル型半
導体結晶を生成させる場合には、コア原料となる半導体
結晶を液相媒体に含有させて流通させ、ここにシェルと
なる半導体原料を注入する方法が好適である。また任意
の原料供給系は、必要に応じて予備温度調節装置14に
より独立に加熱または冷却されてもよい。該温度調節を
受ける領域は反応器7に注入されるできるだけ直前まで
が好ましい。これは、温度調節を受ける領域が早い時点
で終了してしまうと、反応器7の熱が伝熱により原料供
給系に伝わり好ましくない場合があるためである。特に
後述するように、原料の熱劣化が閉塞トラブルを誘発す
る場合があるので、できるだけ反応器直前まで温度調節
されるのが好ましい。該温度調節を受ける領域は、通
常、反応器に注入される時点の少なくとも10秒前ま
で、好ましくは少なくとも5秒前まで、より好ましくは
少なくとも1秒前まで、更に好ましくは少なくとも0.
1秒前まで、最も好ましくは少なくとも0.01秒前ま
でである。かかる時間は、流路の断面積と流速から算出
決定される。
【0054】また、該予備加熱温度が低すぎると、反応
系内の温度が著しく下がり、反応速度を低下させたり製
品の粒径分布を悪化させる場合がある。また、該予備加
熱温度が高すぎると半導体原料が望ましくない副反応を
起こす場合があり、極端な場合は原料供給系内部でかか
る副反応により生じる析出固形物が副生し、原料供給系
を閉そくさせてしまう場合がある。従って、該予備温度
調節温度は使用する半導体原料により変化するが、通
常、−20〜200℃、好ましくは−10〜180℃、
より好ましくは0〜150℃、更に好ましくは5〜13
0℃、最も好ましくは10〜100℃である。かかる原
料供給系の温度調節機構に制限はないが、例えば、シー
スヒータやリボンヒータ等の加熱機構、冷媒循環機構等
の冷却機構、又はこれらの併用等が例示される。 (c)反応系・・・反応器7は反応加熱装置15により
加熱され、反応に適した温度を保っている。液相媒質2
及び半導体原料10は反応器内の地点16で合一、混合
され、反応が開始される。地点16の形状は、通常T字
型又はY字型ジャンクションとする。地点16で混合さ
れる半導体原料の反応液相中の濃度は、目的とする半導
体組成の組成式の濃度として、通常0.001〜0.5
モル/L、好ましくは0.005〜0.2モル/L、更
に好ましくは0.01〜0.1モル/L、最も好ましく
は0.03〜0.08モル/L程度に調整される。反応
加熱装置15により加熱を受ける部分は、反応器7の他
に媒質注入流路6及び反応流路18が含まれていても良
い。こうして生成する反応液相17は反応流路18を流
れ、製品貯漕19に蓄えられる。この間、反応液相17
は熟成加熱装置20により加熱され、反応後期の熟成を
受けても良い。かかる熟成加熱は、複数の熟成加熱装置
の設置により複数の温度条件の結合で構成されても良
く、各温度条件での熟成時間も任意に設定して構わな
い。
【0055】なお、本発明の製造方法の最も顕著な特徴
と効果は、地点16とその直後の反応条件、即ち温度と
物質混合の高度の制御性にあり、その好ましい温度範囲
は生成させる半導体結晶種及びそれがコアであるかシェ
ルであるかにもよるが通常150〜350℃、好ましく
は180〜330℃、更に好ましくは200〜330℃
である。
【0056】特にコア結晶を生成させることを目的とす
る場合、その半導体原料を注入した時点の反応液相の温
度(装置の設定温度でなく該地点における反応液相の実
測温度)が230〜350℃であることが、本発明の製
造方法による製品の粒径分布の点で好適である。これ
は、かかる温度条件における半導体原料の十分な反応速
度及び前記攪拌効率条件による半導体原料の液相媒体へ
の速やかな混合の複合効果により、狭い粒径分布を実現
する結晶核生成条件を可能とするためであると推定され
る。前記コア結晶を生成させる好適な温度範囲は、目的
とする半導体結晶種や使用する半導体原料の熱分解性に
より鋭敏に変動するので該原料条件に応じて詳細な最適
化が必要であるが、代表的なホットソープ法反応である
II-VI族化合物半導体を生成するジメチルカドミウムや
ジエチル亜鉛等の有機金属類を原料とする場合等を例に
とると、更に好ましくは250〜330℃、最も好まし
くは280〜320℃程度である。
【0057】なお、前記の地点16における液相媒質と
半導体原料との混合(即ち物質移動)の効率が高いこと
が製品の粒径分布を狭くする上で好ましいので、液相媒
質を攪拌する機構をここに設置することが好ましい。混
合効率が低い場合は半導体原料の熱分解により生成した
結晶核に配位性有機化合物が配位して安定化する前に結
晶核同士で凝集してしまい、該粒径分布が大きくなるも
のと推定される。混合の攪拌条件については、前記攪拌
効率(レイノルズ数Re)及び攪拌機構に関する記述の
とおりである。
【0058】TOPO等のホスフィンオキシド類を液相
媒質として使用する場合、これの誘導体である微量の低
沸点不化合物が含有されている場合があり、かかる低沸
点化合物が半導体結晶生成反応に好ましく作用すること
がある。かかる低沸点化合物として、例えばホスフィン
酸類やホスホン酸類等の酸化度が高いリン化合物が挙げ
られる。これらは使用するホスフィンオキシド類に元々
含有されている場合も有れば、ホットソープ法の加熱反
応系、例えば150℃以上の温度条件での1時間以上の
加熱を受けて副生してくる場合もあるが、これらの生成
機構は定かではない。ホットソープ法による半導体超微
粒子の従来技術文献に記載されているバッチ法において
は、かかる低沸点化合物はフラスコ上部の気相部分に揮
散したり、あるいは昇華して反応器上部の気相に接する
壁面に付着して逃げてしまい、反応液相の該低沸点化合
物濃度が低下するが、本発明の製造方法の場合反応器内
部は反応液相で満たされるのでその様な気相は通常存在
せず、たとえ多少の気相が存在しても全体として密封さ
れた管状反応器内部の反応液相にいずれ取り込まれるの
で濃度の低下は生じない利点がある。 (d)製品貯蔵系・・・製品貯漕19は製品温度調節装
置21により加熱または冷却されており、意図した反応
や熟成加熱が終了した反応液17が安定に存在できるよ
う温度調整される。この温度が高すぎると製品貯漕19
中で反応が意図せず継続する場合があるので、通常10
0℃以下、好ましくは60℃以下、更に好ましくは50
℃以下とする。製品貯漕19は、アルゴン等不活性ガス
や製造工程で発生する気体を流出させるガス抜き口を通
常有する。
【0059】[反応器各部の詳細]前記ホットソープ法
装置の概要において液相が流通あるいは滞留する内部空
間は、製品の劣化を抑制する目的で、通常少なくとも加
熱部分を乾燥した不活性ガス(例えばアルゴンや窒素
等)雰囲気下とし、好ましくは全系をかかる不活性ガス
雰囲気下とする。また、同じ理由で遮光措置が好ましい
場合もある。
【0060】前記ホットソープ法装置中の任意の流路、
反応器、送液ポンプ、あるいは貯漕の材質は、その内容
物に対して化学的に安定であり10気圧程度の内圧に耐
え、500℃以下の耐熱性があればよい。また、任意の
流路や反応器の形状に制限はなく、例えば、均一内径の
管状、均一内厚の板状、内径や内厚が連続変化するくさ
び型、流路断面積に周期を持たせた蛇腹型等の断面形状
の制御が可能であるが、通常管状が反応条件の制御性の
点で最も好ましい。更に、流路の進行方式には、直進、
蛇行、曲がり角、分岐及び合流、流路を波打たせた波
型、ループ形状等が可能であり、その進行方向として
は、重力方向に対して垂直、水平、あるいは任意角度を
有する傾斜等が可能である。
【0061】任意の貯漕の形状にも制限はなく、例え
ば、球形、楕円球形、円筒形、円錐形、直方体等が可能
である。貯漕が有する内容物の流出入口の位置にも制限
はなく、例えば貯漕の底部、壁面部、天井部等が可能で
ある。なお半導体原料の貯槽を送液ポンプの入り口より
も高い位置に設置することにより、重力を利用した好適
な注入が可能となる場合がある。この効果は、特に高速
製造において半導体原料の注入に使用する送液ポンプの
安定な高速送液性を助ける場合に有効となる。該貯槽の
位置は注入先に対してサイホンの原理で重力送液が可能
であればよく、具体的には、両者の液面高度差として通
常5mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましく
は100mm以上である。この高度差条件を逸脱する
と、前記安定送液性が顕著でなくなる場合がある。
【0062】こうした液相の安定送液性は、粒径分布の
制御を目的とする本発明の製造方法においてとりわけ重
要であるので、半導体原料及び/又は液相媒質の注入に
定常流ポンプを使用することが好ましい。ここでいう定
常流ポンプとは、例えばピストン機構を有する脈動送液
方式でなく連続した送液が可能なポンプを意味し、その
送液速度のふれ幅は平均値の±30%以内、好ましくは
±15%以内、更に好ましくは±5%以内である。この
ふれ幅を逸脱すると、前記脈動送液に近づき製品の粒径
分布への悪影響が顕著となる場合がある。
【0063】前記のホットソープ法装置中の任意の流路
や反応器の途中、あるいは任意の貯漕内容物の流出入口
付近に、任意の形状・材質の弁(バルブ)を付設しても
よい。また、任意の流路や反応器、あるいは任意の貯漕
に内圧を制御する圧力弁を設置してもよい。前記のホッ
トソープ法装置中の任意の加熱機構には、適切な発熱量
と温度調整性を具備する限りにおいて制限はないが、オ
イルバス、温水浴、電熱加熱ヒーターやマイクロウェー
ブヒーター、電気誘導コイル型ヒーター、燃焼型ヒータ
ー、加熱蒸気コイル型ヒーター等の使用が例示される。
これらの加熱機構は、加熱を目的とする装置部分に対し
て、主に伝熱を意図して直接接触させてもあるいは主に
熱輻射を意図して一定距離をおいて設置してもよい。ま
た、任意の送液ポンプはプランジャーポンプ、ダイヤフ
ラムポンプ、遠心ポンプ等の汎用の機械的なポンプであ
って良いが、適切な送液性を確保可能である限りにおい
てポンプを使用しないいかなる方法(例えば高低差を利
用して送液する方法や加圧ガスを吹き込んで液を圧送す
る方法等)を併用あるいは代用してもよい。
【0064】前記のホットソープ法反応系において、必
要に応じて反応液を加圧又は減圧してもよい。半導体原
料の供給流路、液相媒質の供給流路、及び半導体原料が
注入された後の反応液相の流路のいずれかが予備流路を
有することが好ましい。これは、本発明の製造方法の性
能を本質的に規定する装置構造条件ではないが、現実的
な安定高速生産性の確保において産業上重要な点であ
る。つまり、例えば後述する好適な液相媒質であるTO
POのように40℃以下で固化する性質を有する有機化
合物を含有する液相を送液又は流通させる場合、前記い
ずれかの流路において、当業者が熟知する予期困難だが
起こりうる故障であるかかる固化性物質の閉塞等が生じ
た場合、これを復旧しながら該予備流路を使用して製造
活動を継続することが可能となるからである。従って、
かかる予備流路の分岐点は、予備管の接続作業等装置上
の待ち時間を最小として直ちに該予備流路の使用が可能
となるように、ボールバルブ等のバルブ操作が可能な接
続とすることが望ましい。また、かかる予備流路の本数
に制限はなく、これらの設置位置は必ずしも同じ分岐点
を有さなくともよい。分岐した予備流路に更に補足的な
予備流路を設けてもよい。
【0065】[ホットソープ法に用いられる液相媒質]
本発明におけるホットソープ法に用いられる液相媒質
は、遷移金属元素等の陽性元素への配位力を有する配位
性有機化合物を含有する。かかる配位性有機化合物とし
ては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィ
ン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド
(TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド等の有機
リン化合物、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシル
アミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オ
クタデシルアミン等のω−アミノアルカン類、ピリジ
ン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含窒素芳香族化
合物等の有機窒素化合物、ジブチルスルフィド等のジア
ルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシドやジブチル
スルホキシド等のジアルキルスルホキシド類、チオフェ
ン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物等が代表
的であり、これらのうち、トリブチルホスフィン、トリ
オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、ト
リブチルホスフィンオキシドやTOPO等のトリアルキ
ルホスフィンオキシド類、ドデシルアミン、ヘキサデシ
ルアミン、オクタデシルアミン等の炭素数12以上のω
−アミノアルカン類等の分子構造中に窒素原子又はリン
原子を含む化合物が好適であり、中でもトリブチルホス
フィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホス
フィン類、トリブチルホスフィンオキシドやTOPO等
のトリアルキルホスフィンオキシド類等の炭素−リン単
結合を有する化合物は更に好適であり、TOPO等のト
リアルキルホスフィンオキシド類は最適である。かかる
配位性有機化合物は、単独で前記の液相媒質を構成して
も、必要に応じ複数種を混合して使用しても構わず、更
に適当な有機溶剤(例えばトルエン、キシレン、ナフタ
レン等の芳香族炭化水素、オクタン、デカン、ドデカ
ン、オクタデカン等の長鎖アルカン類等)で希釈して使
用しても構わない。
【0066】[ホットソープ法に使用される半導体原
料]ホットソープ法に用いられる半導体原料は、製造操
作上の簡便性の理由で液状であるのが好ましい。原料物
質自身が常温で液体であればそのまま使用して良く、必
要に応じて適当な有機溶媒の溶液としても構わない。か
かる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等のアル
カン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等
の芳香族炭化水素、あるいは前記に例示の配位性有機化
合物等が例示される。これらのうち好ましく用いられる
のは、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イ
ソオクタン等のアルカン類、あるいはトリブチルホスフ
ィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィ
ン等のトリアルキルホスフィン類である。
【0067】前記の電気陰性度が2.0以下である陽性
元素を含有する第1物質の例としては、マグネシウム、
チタン、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、
タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、
銅、亜鉛、カドミウム、水銀、ホウ素、アルミニウム、
ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチ
モン、ビスマス等の単体、あるいは、酸化マグネシウム
等の周期表第2族元素の酸化物、ジエチルマグネシウム
やジ−n−ブチルマグネシウム等の周期表第2族元素の
ジアルキル化物、塩化メチルマグネシウム、臭化メチル
マグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、塩化エチニ
ルマグネシウム等の周期表第2族元素のアルキルハロゲ
ン化物、ヨウ化マグネシウム等の周期表第2族元素のジ
ハロゲン化物、酸化チタン等の周期表第4族元素の酸化
物、四塩化チタン(IV)、四臭化チタン(IV)、四ヨウ
化チタン(IV)等の周期表第4族元素のハロゲン化物、
酸化バナジウム、酸化タンタル等の周期表第5族元素の
酸化物、二塩化バナジウム(II)、四塩化バナジウム
(IV)、二臭化バナジウム(II)、四臭化バナジウム
(IV)、二ヨウ化バナジウム(II)、四ヨウ化バナジウ
ム(IV)、五塩化タンタル(V)、五臭化タンタル
(V)、五ヨウ化タンタル(V)等の周期表第5族元素
のハロゲン化物、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タ
ングステン等の周期表第6族元素の酸化物、三臭化クロ
ム(III)、三ヨウ化クロム(III)、四塩化モリブデン
(IV)、四臭化モリブデン(IV)、四ヨウ化モリブデン
(IV)、四塩化タングステン(IV)、四臭化タングステ
ン(IV)等の周期表第6族元素のハロゲン化物、酸化マ
ンガン等の周期表第7族元素の酸化物、二塩化マンガン
(II)、二臭化マンガン(II)、二ヨウ化マンガン(I
I)等の周期表第7族元素のハロゲン化物、酸化鉄等の
周期表第8族元素の酸化物、二塩化鉄(II)、三塩化鉄
(III)、二臭化鉄(II)、三臭化鉄(III)、二ヨウ化
鉄(II)、三ヨウ化鉄(III)等の周期表第8族元素の
ハロゲン化物、酸化コバルト等の周期表第9族元素の酸
化物、二塩化コバルト(II)、二臭化コバルト(II)、
二ヨウ化コバルト(II)等の周期表第9族元素のハロゲ
ン化物、酸化ニッケル等の周期表第10族元素の酸化
物、二塩化ニッケル(II)、二臭化ニッケル(II)、二
ヨウ化ニッケル(II)等の周期表第10族元素のハロゲ
ン化物、酸化銅、酸化銀、酸化金等の周期表第11族元
素の酸化物、ヨウ化銅(I)等の周期表第11族元素の
ハロゲン化物、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化水銀等
の周期表第12族元素の酸化物、ジメチル亜鉛、ジエチ
ル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、
ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキ
シル亜鉛、ジシクロヘキシル亜鉛、ジメチルカドミウ
ム、ジエチルカドミウム、ジメチル水銀(II)、ジエチ
ル水銀(II)等の周期表第12族元素のジアルキル化
物、塩化メチル亜鉛、臭化メチル亜鉛、ヨウ化メチル亜
鉛、ヨウ化エチル亜鉛、塩化メチルカドミウム、塩化メ
チル水銀(II)等の周期表第12族元素のアルキルハロ
ゲン化物、二塩化亜鉛、二臭化亜鉛、二ヨウ化亜鉛、二
塩化カドミウム、二臭化カドミウム、二ヨウ化カドミウ
ム、二塩化水銀(II)、塩化ヨウ化亜鉛、塩化ヨウ化カ
ドミウム、塩化ヨウ化水銀(II)、臭化ヨウ化亜鉛、臭
化ヨウ化カドミウム、臭化ヨウ化水銀(II)等の周期表
第12族元素のジハロゲン化物、酸化ホウ素、酸化アル
ミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム等の周期表第
13族元素の酸化物、トリメチルホウ素、トリ−n−プ
ロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリメチルア
ルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチ
ルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ト
リオクチルアルミニウム、トリ−n−ブチルガリウム
(III)、トリ−n−ブチルインジウム(III)等の周期
表第13族元素のトリアルキル化物、塩化ジメチルアル
ミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−ブ
チルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、ヨウ化
ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−ブチルガリウム
(III)、塩化ジ−n−ブチルインジウム(III)等の周
期表第13族元素のジアルキルモノハロゲン化物、二塩
化メチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二
臭化エチルアルミニウム、二ヨウ化エチルアルミニウ
ム、二塩化n−ブチルアルミニウム、二塩化n−ブチル
ガリウム(III)、二塩化n−ブチルインジウム(III)
等の周期表第13族元素のモノアルキルジハロゲン化
物、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、三
塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アル
ミニウム、三塩化ガリウム(III)、三臭化ガリウム(I
II)、三ヨウ化ガリウム(III)、三塩化インジウム(I
II)、三臭化インジウム(III)、三ヨウ化インジウム
(III)、二塩化臭化ガリウム(III)、二塩化ヨウ化ガ
リウム(III)、塩化二ヨウ化ガリウム(III)、二塩化
ヨウ化インジウム(III)等の周期表第13族元素のト
リハロゲン化物、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化鉛等
の周期表第14族元素の酸化物、四塩化ケイ素、四塩化
ゲルマニウム(IV)、四臭化ゲルマニウム(IV)、四ヨ
ウ化ゲルマニウム(IV)、二塩化錫(II)、四塩化錫
(IV)、二臭化錫(II)、四臭化錫(IV)、二ヨウ化錫
(II)、四臭化錫(IV)、二塩化二ヨウ化錫(IV)、四
ヨウ化錫(IV)、二塩化鉛(II)、二臭化鉛(II)、二
ヨウ化鉛(II)等の周期表第14族元素のハロゲン化
物、フェニルシランやジフェニルシラン等の周期表第1
4族元素の水素化物又は該水素原子の一部又は全部が有
機基に置換された化合物、酸化アンチモン、酸化ビスマ
ス等の周期表第15族元素の酸化物、トリメチルアンチ
モン(III)、トリエチルアンチモン(III)、トリ−n
−ブチルアンチモン(III)、トリメチルビスマス(II
I)、トリエチルビスマス(III)、トリ−n−ブチルビ
スマス(III)等の周期表第15族元素のトリアルキル
化物、二塩化メチルアンチモン(III)、二臭化メチル
アンチモン(III)、二ヨウ化メチルアンチモン(II
I)、二ヨウ化エチルアンチモン(III)、二塩化メチル
ビスマス(III)、二ヨウ化エチルビスマス(III)等の
周期表第15族元素のモノアルキルジハロゲン化物、三
塩化アンチモン(III)、三臭化アンチモン(III)、三
ヨウ化アンチモン(III)、三塩化ビスマス(III)、三
臭化ビスマス(III)、三ヨウ化ビスマス(III)等の周
期表第15族元素のトリハロゲン化物等が挙げられる。
これらのうち好適なのは、酸化マグネシウム等の周期表
第2族元素の酸化物、ジエチルマグネシウムやジ−n−
ブチルマグネシウム等の周期表第2族元素のジアルキル
化物、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウ
ム、ヨウ化メチルマグネシウム等の周期表第2族元素の
アルキルハロゲン化物、酸化亜鉛、酸化カドミウム等の
周期表第12族元素の酸化物、ジメチル亜鉛、ジエチル
亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ
−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシ
ル亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウム等の
周期表第12族元素のジアルキル化物、塩化メチル亜
鉛、臭化メチル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル
亜鉛、塩化メチルカドミウム等の周期表第12族元素の
アルキルハロゲン化物、酸化アルミニウム、酸化インジ
ウム等の周期表第13族元素の酸化物、三ヨウ化アルミ
ニウム、三塩化ガリウム(III)、三臭化ガリウム(II
I)、三ヨウ化ガリウム(III)、三塩化インジウム(II
I)、三臭化インジウム(III)、三ヨウ化インジウム
(III)等の周期表第13族元素のトリハロゲン化物等
であり、中でも酸化亜鉛、酸化カドミウム等の周期表第
12族元素の酸化物、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ
−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブ
チル亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウム等
の周期表第12族元素のジアルキル化物、酸化ガリウ
ム、酸化インジウム等の周期表第13族元素の酸化物、
三塩化ガリウム(III)、三塩化インジウム(III)等の
周期表第13族元素のトリハロゲン化物等が最適であ
る。
【0068】なお、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム
(IV)、四臭化ゲルマニウム(IV)、四ヨウ化ゲルマニ
ウム(IV)、二塩化錫(II)、四塩化錫(IV)、二臭化
錫(II)、四臭化錫(IV)、二ヨウ化錫(II)、四臭化
錫(IV)、二塩化二ヨウ化錫(IV)、四ヨウ化錫(I
V)、二塩化鉛(II)、二臭化鉛(II)、二ヨウ化鉛(I
I)等の周期表第14族元素のハロゲン化物、ジフェニ
ルシラン等の周期表第14族元素の水素化物又は該水素
原子の一部又は全部が有機基に置換された化合物は、単
独でケイ素、ゲルマニウムや錫等の周期表第14族元素
の単体半導体の原料となる場合もある。
【0069】前記の電気陰性度が1.9以上である陰性
元素を含有する第2物質の例としては、窒素、リン、砒
素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テル
ル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第15〜1
7族元素の単体、アンモニア、ホスフィン(PH3)、
アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3)等の周期表
第15族元素の水素化物、トリス(トリメチルシリル)
アミン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水
素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレ
ニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリ
ウム、セレン化ナトリウム、テルル化ナトリウム等の周
期表第16族元素のアルカリ金属塩、硫化アンモニウ
ム、セレン化アンモニウム等の周期表第16族元素のア
ンモニウム塩、水硫化ナトリウム、水セレン化ナトリウ
ム等の周期表第16族元素のモノ水素化モノアルカリ金
属塩、トリブチルホスフィンスルフィド、トリヘキシル
ホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフ
ィド、トリブチルホスフィンセレニド、トリヘキシルホ
スフィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニド等
のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類、フッ化水
素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の周期表第17
族元素の水素化物、トリメチルシリルクロリド、トリメ
チルシリルブロミド、トリメチルシリルヨージド等の周
期表第17族元素のシリル化物が挙げられる。これらの
うち、反応性や化合物の安定性・操作性の点で、リン、
砒素、アンチモン、ビスマス、硫黄、セレン、テルル、
ヨウ素等の周期表第15〜17族元素の単体、トリス
(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(トリメチル
シリル)アルシン等の周期表第15族元素のシリル化
物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素等の周期表
第16族元素の水素化物、ビス(トリメチルシリル)ス
ルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレニド等の周期
表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン
化ナトリウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属
塩、トリブチルホスフィンスルフィド、トリヘキシルホ
スフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィ
ド、トリブチルホスフィンセレニド、トリヘキシルホス
フィンセレニド、トリオクチルホスフィンセレニド等の
トリアルキルホスフィンカルコゲニド類、トリメチルシ
リルクロリド、トリメチルシリルブロミド、トリメチル
シリルヨージド等の周期表第17族元素のシリル化物等
が好適に用いられ、中でもリン、砒素、アンチモン、硫
黄、セレン等の周期表第15及び16族元素の単体、ト
リス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリス(トリメ
チルシリル)アルシン等の周期表第15族元素のシリル
化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィド、ビス(ト
リメチルシリル)セレニド等の周期表第16族元素のシ
リル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナトリウム等の周
期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリブチルホスフ
ィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド、
トリブチルホスフィンセレニド、トリオクチルホスフィ
ンセレニド等のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類
等が特に好適に用いられる。
【0070】なお、一方の半導体原料が気体である場
合、半導体原料を注入した反応液中に該気体を直接導入
することも可能である。かかる気体の直接導入法に用い
られる気体半導体原料は、アンモニア、ホスフィン(P
H3)、アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3)等
の周期表第15族元素の水素化物、トリス(トリメチル
シリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィ
ン、トリス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第
15族元素のシリル化物、ビス(トリメチルシリル)ス
ルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレニド等の周期
表第16族元素のシリル化物、硫化水素、セレン化水
素、テルル化水素等の周期表第16族元素の水素化物、
塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の周期表第17族元
素の水素化物である。
【0071】化合物半導体超微粒子を本発明のホットソ
ープ法で得る場合、使用する半導体原料における前記の
陽性元素の陰性元素に対するモル比は、通常0.5〜
5、好ましくは0.7〜4、更に好ましくは0.8〜
3、最も好ましくは0.9〜2.5程度とする。但し、
かかる半導体原料における元素比がそのまま製品の半導
体超微粒子中の半導体結晶組成に反映されるとは限らな
い。
【0072】[逆ミセル法]逆ミセル法は、特に化合物
半導体の超微粒子の製造に好適である。本発明における
逆ミセルとは、化学の話シリーズ8コロイドの話,58
頁(北原文雄著、培風館、1984年)に解説されてい
るように、炭化水素等の疎水性有機溶剤に溶解した界面
活性剤を、その親水基を内側に疎水基(親油基)を外側
にした集まり方をとらせ、該親水基の集まりの中に水溶
液を可溶化した状態を言う。
【0073】本発明においては、化合物半導体の各構成
元素を含有する半導体原料の水溶液をそれぞれ調製し、
それぞれの水溶液を適当な界面活性剤の存在下別々に疎
水性有機溶剤に分散して該有機溶剤が連続相をなす逆ミ
セル液体を調製する。そして異種の逆ミセル液体を混合
することにより、これらに分散している異種の逆ミセル
粒の衝突と合一による溶質の移動により難溶性の半導体
結晶を生成させる。
【0074】逆ミセル液体の原料となる1種の半導体原
料の水溶液の濃度は、通常0.001〜10モル濃度、
好ましくは0.01〜6モル濃度、更に好ましくは0.
05〜4モル濃度、最も好ましくは0.1〜2モル濃度
程度とする。また、1種の半導体原料から得られた逆ミ
セル液体中の該半導体原料の濃度は、通常0.001〜
1000ミリモル濃度、好ましくは0.01〜500ミ
リモル濃度、更に好ましくは0.05〜100ミリモル
濃度、最も好ましくは0.1〜50ミリモル濃度程度と
する。逆ミセル液体中の水溶液相の体積百分率(Vol
%)は、通常0.01〜10Vol%、好ましくは0.
05〜7Vol%、更に好ましくは0.1〜5Vol
%、最も好ましくは0.5〜3Vol%程度の範囲とす
る。
【0075】本発明において前記の逆ミセル液体の調製
に使用する界面活性剤は、後述する疎水性有機溶剤に可
溶である必要があり、例としてはジオクチルスルホスク
シネートナトリウム塩(AOT)、ドデシル硫酸ナトリ
ウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(DBS)、ラウリン酸ナトリウム等のカチオン系界
面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタ
デシルトリメチルアンモニウムブロミド等のアニオン系
界面活性剤、炭素数6〜20程度のアルキル基(以下R
と略記)と重合度が2〜20程度のポリエチレングリコ
ール(以下PEGと略記)とがエーテル結合した一般式
R−O−PEGで表されるノニオン系界面活性剤(但
し、Rとして好ましくは炭素数8〜18、更に好ましく
は炭素数10〜16、最も好ましくは炭素数12〜14
程度、一方PEGの重合度として好ましくは3〜18、
更に好ましくは4〜14、最も好ましくは5〜10程
度)等が挙げられる。かかる界面活性剤の逆ミセル液体
中の濃度は、通常0.001〜5モル濃度、好ましくは
0.005〜3モル濃度、更に好ましくは0.01〜2
モル濃度、最も好ましくは0.05〜1モル濃度とす
る。
【0076】前記の逆ミセル液体の調製に使用する疎水
性有機溶剤として用いられるものは、上記界面活性剤を
溶解することができるもの、例えばn−ヘキサン、n−
ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、デカ
ン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ク
ロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲ
ン化アルキル等が挙げられる。これらのうち好ましく用
いられるのは、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオク
タン等の脂肪族炭化水素、トルエンやキシレン等の芳香
族炭化水素であり、中でもn−オクタンやイソオクタン
等の脂肪族炭化水素は最も好適である。なお、長鎖4級
アンモニウム塩等のアニオン系界面活性剤を使用する場
合、溶解性の点で、疎水性有機溶剤として前記の炭化水
素の一部又は全部を、1−プロパノール、イソプロピル
アルコール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、
1−ヘキサノール、イソヘキシルアルコール、1−オク
タノール、イソオクチルアルコール、1−デカノール、
1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール等の炭素数が
3〜16程度のアルコール類に代替すると好適な場合が
あり、この場合に好ましく用いられるのは1−ブタノー
ル、イソブチルアルコール、1−ヘキサノール、イソヘ
キシルアルコール、1−オクタノール、イソオクチルア
ルコール、1−デカノール、1−ドデカノール等の炭素
数が4〜12のアルコール類、更に好ましく用いられる
のは1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノ
ール、1−デカノール等の炭素数が4〜10の直鎖アル
コール類、最適なのは1−ブタノール、1−ヘキサノー
ル、1−オクタノール等の炭素数が4〜8の直鎖アルコ
ール類である。
【0077】逆ミセル液体に分散した逆ミセル粒の平均
直径は、通常1〜1000nm、好ましくは10〜60
0nm、更に好ましくは20〜300nm、最も好まし
くは30〜100nm程度の範囲とする。逆ミセル液体
におけるミセル安定化等の目的で、メタノールやエタノ
ール等の低級アルコール類、蟻酸や酢酸等の低級脂肪酸
類等の水溶性補助添加剤を併用しても良い。
【0078】逆ミセル法を利用した代表的な製造装置の
概念図を図2に示す。かかる装置は、大別して半導体原
料供給系、反応系、及び製品貯蔵系の3つの部分から通
常構成されるが、かかる概念図の構成に制限されるもの
ではない。以下、これを例として順次説明する。 (a)半導体原料供給系・・・第1原料漕22に蓄えら
れた電気陰性度が2.0以下である陽性元素を含有する
第1物質の水溶液の逆ミセル液体23は、第1原料流路
24を通って第1原料送液ポンプ25に供給・吐出さ
れ、第1原料注入流路26を通って反応器27に供給さ
れる。一方、漕28に蓄えられた電気陰性度が1.9以
上である陰性元素を含有する第2物質の水溶液の逆ミセ
ル液体29は、同様に第2原料流路30、第2原料送液
ポンプ31、第2原料流路32を順に経て反応器27に
供給される。なおここで第1物質と第2物質とを入れ替
えて反応系への供給順序を逆にしても構わない。 (b)反応系・・・2種の逆ミセル液体23及び29は
反応器内の地点33で合一、混合され、反応が開始され
る。地点33の形状は、通常T字型又はY字型ジャンク
ションとする。生成する反応液相34は反応流路35を
流れ、製品貯漕36に蓄えられる。この間、反応液相3
4は、反応流路35中で任意時間の反応後期の熟成を受
けても良い。
【0079】なお、前記のホットソープ法の場合同様、
逆ミセル法においても本発明の製造方法の最も顕著な特
徴と効果は、地点33とその直後の反応条件、即ち温度
と物質混合の高度の制御性にある。地点33とその直後
の反応液相の好ましい温度範囲は、目的とする半導体結
晶種にもよるが通常−30〜150℃、更に好ましくは
−10〜120℃、最も好ましくは0〜100℃であ
る。混合の攪拌条件については後述する。 (c)製品貯蔵系・・・製品貯漕36は、アルゴン等不
活性ガスや製造工程で発生する気体を流出させるガス抜
き口を通常有する。
【0080】前記の逆ミセル法装置において液相が流通
あるいは滞留する内部空間は、製品の劣化を抑制する目
的で、通常乾燥した不活性ガス(例えばアルゴンや窒素
等)雰囲気下とするのが望ましく、遮光措置が好ましい
場合もある。また、逆ミセル法装置中の任意の流路、反
応器、送液ポンプ等の送液方法、あるいは貯漕の材質
は、その内容物に対して化学的に安定であり10気圧程
度の内圧に耐え、300℃以下の耐熱性があればよい。
【0081】前記の逆ミセル法装置において、任意の流
路や反応器についての可能な形状・進行方式・進行方
向、任意の貯漕についての可能な形状や該貯漕が有する
内容物の流出入口の位置、各種弁(バルブ)の設置、任
意の送液ポンプについては、前記のホットソープ法装置
の場合の説明がそのまま適用される。前記の逆ミセル法
装置の任意の部分において、必要に応じて前記のホット
ソープ法装置において例示した任意の加熱機構を設置し
て構わない。これらの加熱機構は、加熱を目的とする装
置部分に対して、主に伝熱を意図して直接接触させても
あるいは主に熱輻射を意図して一定距離をおいて設置し
ても構わない。
【0082】前記の逆ミセル法の反応系において、必要
に応じて反応液相を加圧又は減圧しても構わない。 [逆ミセル法に使用される半導体原料]逆ミセル法に使
用される電気陰性度が2.0以下である陽性元素を含有
する第1物質は、通常水溶性である必要がある。その例
としては、前記のホットソープ法の第1物質の例示に表
れた陽性元素の陽イオンの塩、例えば、過塩素酸マグネ
シウム、過塩素酸カルシウム、過過塩素酸銅、過過塩素
酸亜鉛、過塩素酸カドミウム、過塩素酸水銀等の過塩素
酸塩、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化銅、塩
化亜鉛、塩化カドミウム、塩化水銀等の塩化物、硫酸マ
グネシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸
カドミウム、硫酸水銀等の硫酸塩、硝酸マグネシウム、
硝酸カルシウム、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸銀、硝酸カド
ミウム、硝酸水銀等の硝酸塩、リン酸マグネシウム、リ
ン酸三カルシウム、リン酸銅、リン酸亜鉛、リン酸カド
ミウム等のリン酸塩、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸カドミウム、酢酸水銀、蟻
酸亜鉛、蟻酸カドミウム等の有機酸塩、水酸化マグネシ
ウム、水酸化カルシウム等の水酸化物等が挙げられる。
これらのうち、過過塩素酸亜鉛や過塩素酸カドミウム等
の過塩素酸塩、硝酸マグネシウム、硝酸銅、硝酸亜鉛、
硝酸銀、硝酸カドミウム、硝酸水銀等の硝酸塩、酢酸マ
グネシウム、酢酸亜鉛、酢酸カドミウム等の酢酸塩等が
好適に用いられ、中でも硝酸亜鉛や硝酸カドミウム等の
硝酸塩は最も好適である。なお、過塩素酸塩や硝酸塩は
爆発性を有し、特に過塩素酸塩は爆発危険性が大きいの
で取り扱いに厳重な注意が必要である。
【0083】逆ミセル法に使用される電気陰性度が1.
9以上である陰性元素を含有する第2物質として前記の
ホットソープ法の第2物質の例示が通常そのまま適用可
能であるが、中でも、アンモニア、ホスフィン(P
3)、アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3)等
の周期表第15族元素の水素化物、トリス(トリメチル
シリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィ
ン、トリス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第
15族元素のシリル化物、硫化ナトリウム、セレン化ナ
トリウム、テルル化ナトリウム等の周期表第16族元素
のアルカリ金属塩、硫化アンモニウム、セレン化アンモ
ニウム等の周期表第16族元素のアンモニウム塩、水硫
化ナトリウム、水セレン化ナトリウム等の周期表第16
族元素のモノ水素化モノアルカリ金属塩、ビス(トリメ
チルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セ
レニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナト
リウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16族元素の
アルカリ金属塩、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨ
ウ化水素等の周期表第17族元素の水素化物等が好適で
ある。これらのうち、反応性や化合物の安定性・操作性
の点で、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、トリ
ス(トリメチルシリル)アルシン等の周期表第15族元
素のシリル化物、硫化水素、セレン化水素、テルル化水
素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セレ
ニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリ
ウム、セレン化ナトリウム等の周期表第16族元素のア
ルカリ金属塩、硫化アンモニウム等の周期表第16族元
素のアンモニウム塩、水硫化ナトリウム等の周期表第1
6族元素のモノ水素化モノアルカリ金属塩等が特に好適
に用いられる。
【0084】なお、一方の半導体原料が気体である場
合、他種の半導体原料を含有する逆ミセル液体中に該気
体を直接導入することも可能である。かかる気体の直接
導入法に用いられる気体半導体原料は、アンモニア、ホ
スフィン(PH3)、アルシン(AsH3)、スチビン
(SbH3)等の周期表第15族元素の水素化物、トリ
ス(トリメチルシリル)アミン、トリス(トリメチルシ
リル)ホスフィン、トリス(トリメチルシリル)アルシ
ン等の周期表第15族元素のシリル化物、ビス(トリメ
チルシリル)スルフィド、ビス(トリメチルシリル)セ
レニド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化水
素、セレン化水素、テルル化水素等の周期表第16族元
素の水素化物、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の周
期表第17族元素の水素化物である。
【0085】化合物半導体超微粒子を本発明の逆ミセル
法により得る場合、使用する半導体原料における前記の
陽性元素の陰性元素に対するモル比は、通常0.6〜
4、好ましくは0.7〜3、更に好ましくは0.8〜
2、最も好ましくは0.9〜1.5程度とする。但し、
かかる半導体原料における元素比がそのまま製品の半導
体超微粒子中の半導体結晶組成に反映されるとは限らな
い。
【0086】[逆ミセル法の液相媒質を攪拌する機構]
前記の地点33において、有機液相媒質中に分散した逆
ミセル粒の混合(即ち物質移動)の効率が高いことが製
品の半導体超微粒子の粒径分布を狭くする上で好ましい
ので、液相媒質を攪拌する機構をここに設置することが
好ましい。好適な攪拌条件としては、前記レイノルズ数
Reの好ましい条件を地点33において達成することで
ある。該レイノルズ数Reの定義の詳細、攪拌方法、及
び測定方法は、前記ホットソープ法における説明と同様
である。
【0087】
【実施例】以下、実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。 [測定装置] (1)透過型電子顕微鏡(TEM):日立製作所(株)
製、H−9000UHR型透過電子顕微鏡(加速電圧3
00kV、観察時の真空度約7.6×10-9Tor
r)。 (2)発光スペクトル:日立製作所(株)製のF250
0分光蛍光光度計。 (3)吸収スペクトル:ヒューレットパッカード社製H
P8453型紫外・可視吸光光度計。
【0088】[管状流通反応器の寸法]反応に使用した
反応器の外観の寸法は断面部が1辺2.5×10-2メー
トルの正方形、長さが2.4×10-1メートルであり、
断面の中心部から反応器の長さ方向に内径4.2×10
-3メートルの穴を貫通させた。反応液が流れる方向の穴
はそのまま反応流路に通じているが、反応液が流れる逆
方向の穴はネジ栓で封鎖した。撹拌棒を使用する場合は
撹拌棒付きのネジ栓で封鎖した。
【0089】[送液ポンプ]反応に使用した送液ポンプ
は島津製作所製高速液体クロマトグラフィ用送液ポンプ
LC−6Aを転用し、定常流を実現した。流路を保温す
るため、LC−6Aを分解して流路全てにリボンヒータ
ーを巻き付け加熱した。 [媒質槽と原料漕の位置]媒質槽と原料漕は送液ポンプ
の入り口まで確実に送液するよう、槽の下部に液の抜き
出し口を設け、抜き出し口が送液ポンプの入り口より高
くなる位置に設置した。媒質槽の抜き出し口は送液ポン
プの入り口より1×10-1メートル高い位置に、原料漕
の抜き出し口は送液ポンプの入り口より2×10-1メー
トル高い位置に設置した。
【0090】[予備流路]室温において固化する物質
や、異常反応により固形物を副生する可能性が有る原料
を送液する場合、媒質槽と原料漕の流路にはバルブの切
り替え式で溶媒による反応器の置換が簡単にできるよ
う、予備流路を設置した。溶媒のみを送液した後に徐々
に原料送液に切り替えてゆくことで反応をゆっくり立ち
上げることができるようになり、異常反応を防ぐことが
できた。また、反応後に溶媒のみを送液することで流路
の残存物を洗い流すことができ、洗浄が容易になった。
【0091】[TOPOの密度ρと粘度μの実測]以下
の実施例と比較例におけるレイノルズ数Reの計算に使
用するそれぞれの反応液相の温度における外挿値を求め
る基礎データを採取した。密度ρ(単位:g/cm3
の測定は、それぞれの温度におけるTOPOの体積と質
量の実測値から、粘度μ(単位:センチポアズ;cPと
表示)の測定は東京計器(株)製円錐平板型回転式粘度
計VISCONIC ED形により、それぞれ行った。
結果を下記表1に記載した。この結果より、密度ρと絶
対温度T(単位:ケルビン;Kと表示)との関係につい
て下記式(4)を、粘度μの対数logμと絶対温度の
逆数T-1との関係について下記式(5)を、それぞれ得
た。
【0092】
【表1】 表−1 絶対温度(K) 密度ρ(単位:g/cm3) 粘度μ(単位:cP) 327.5 −−− 14.6 328 −−− 14.2 333 −−− 12.9 343 0.85 9.14 353 0.83 6.69 363 0.82 5.15 373 0.82 −−− 423 0.79 −−− 473 0.75 −−−
【0093】
【数6】 ρ = 6.6003T-0.3524 (4)
【0094】
【数7】 logμ = 1540.5T-1 − 3.5293 (5) [ホットソープ法によるCdSe超微粒子の連続流通製
造] 実施例1:攪拌機構を設置し原料供給系を予備温度調節
する製造方法 (1)原料液の作製 室温下、空気中でAldrich社から供給されたTO
PO(純度90%;350g)を、液相媒質を構成する
配位性有機化合物として500mLねじ口びん中に分取
し、乾燥アルゴンガスラインとガス抜き口がついた蓋を
してアルゴンガスを1時間流通させ、内部をアルゴン雰
囲気に置換した。これを図1記載の媒質漕1に相当する
部分に装入し、80℃のオイルバス中で加熱して融解し
た。
【0095】一方、室温下、乾燥窒素雰囲気に保たれた
グローブボックス中にて、Aldrich社から供給さ
れたセレン(単体)粉末(純度99.999%、1.2
0g)を別の500mLねじ口びん中に分取した。この
中にStrem Chemicals社から供給された
トリ−n−ブチルホスフィン(純度99%、52.05
g)を投入した。この混合物をマグネチックスターラー
で10分間攪拌して、セレンが溶解した無色透明な液体
が得た。大部分のセレンはトリn−ブチルホスフィンセ
レニドになったと推定された。この中にStrem C
hemicals社から供給されたジメチルカドミウム
(純度99+%)ヘキサン希釈液(10重量%、26.
17g;0.01833モル)を投入し、3分間攪拌を
継続したところ無色透明な溶液が得られた。これをグロ
ーブボックスから取り出し、半導体原料として図1記載
の原料漕9部分に装入した。 (2)流通法によるCdSe超微粒子の製造 図1において媒質予備加熱装置8、原料供給系予備温度
調節装置14、反応加熱装置15、及び熟成加熱装置2
0にそれぞれ相当する温度調節部分の温度設定を、それ
ぞれ350℃、20℃、350℃、及び300℃とし
た。温度調節を受ける領域は、半導体原料10が反応器
7に注入される6.7秒前までであった。また循環高温
水槽19を60℃に設定し、反応液出口付近を60℃に
保った。媒質送液ポンプを毎分10.6mL、原料送液
ポンプを毎分3.7mLの能力でそれぞれ駆動し、送液
を開始した(各ポンプは図1における5及び12にそれ
ぞれ相当する)。撹拌効率を上げるため、図1における
反応器7内部の流路に、スクリュー型の撹拌棒を挿入し
た。撹拌棒のスクリューは地点16の液相媒質側1.5
×10-2メートルから、地点16の反応流路側5×10
-2メートルまで存在した。地点16に相当する部分で前
記の液相媒質と半導体原料とが合流しこの地点での定常
運転時の反応液相温度の実測値は302℃、前記式
(3)におけるD値は1.38×10-3メートルであっ
たので、前記式(4)及び(5)を利用して計算したレ
イノルズ数Reは約1900であった。また、地点16
における反応液相中の半導体組成濃度は約0.06モル
/Lと計算された。CdSe超微粒子を含む、赤色の反
応混合液を、製品貯漕19に相当するガラス製1000
mLねじ口ビンに回収した。 (3)CdSe超微粒子の濃縮 得られたCdSe超微粒子を濃縮するために、前記の製
品貯漕19に相当するガラス製1000mLねじ口ビン
中の反応液4mLを分取し、これに和光純薬社から供給
されるメタノール10mLを添加し、5分間攪拌して、
赤色の析出物を含んだ懸濁液を得た。この懸濁液の全部
を5mLのバイヤル瓶数本に移送し、3000rpmで
15分間遠心分離した。遠心分離後、上澄み液は廃棄
し、残った沈殿物に乾燥窒素ガスを吹き付け予備乾燥
し、次いで室温で15時間真空乾燥した。このようにし
て約60mgの濃縮されたCdSe超微粒子を得た。こ
のことから、実施例1によるCdSe超微粒子の製造速
度は、24時間当たり142gと計算され、前記で定義
された生産性指数Z(g/cm3/日)は49.0であ
った。
【0096】この超微粒子の平均粒径をTEM観察した
ところ約4nmであり、標準偏差は約20%であった。
電子顕微鏡による超微粒子像(半導体結晶部分を線で囲
ったもの)を図3に示す。 (4)発光スペクトルの測定 前記濃縮されたCdSe超微粒子を乾燥トルエン中に
0.03重量%程度の濃度で分散させた透明溶液につい
て測定した。励起光は400nmの波長を用いた。得ら
れた発光スペクトルを図4に示す。図4より、前記式
(2)で定義される最大ピーク波長543nmの発光帯
の発光半値幅ΔλLは44nmであった。
【0097】実施例2:攪拌機構を設置しない製造方法 実施例1で使用した製造装置において、温度調節を受け
る領域が図1における半導体原料10が反応器7に注入
される13秒前まで、媒質送液ポンプを毎分5.4m
L、原料送液ポンプを毎分1.9mLの能力で駆動し、
反応器内部の流路からスクリュー型の撹拌棒を取り外
し、反応器7内部の地点16に相当する部分でのレイノ
ルズ数Reが235であること以外は実施例1と同じ条
件と手順でCdSe超微粒子を製造した。但し、地点1
6における定常運転時の反応液相温度の実測値は300
℃、前記式(3)におけるD値は4.2×10-3メート
ルであった。TEM観察により、濃縮されたCdSe超
微粒子の数平均粒径は約4nmであり、標準偏差は約4
0%であり、粒径が10nm前後の大きな粒子を若干含
むCdSe超微粒子であることがわかった(図3参
照)。また、発光スペクトルより、前記式(2)で定義
される最大ピーク波長562nmの発光帯の発光半値幅
ΔλLは66nmであり、実施例1の製品よりも粒径分
布が広いことがわかった。得られた発光スペクトルの実
施例1との比較を図4に示す。
【0098】実施例3:原料供給系を予備温度調節しな
い製造方法 原料供給系予備温度調節装置を作動させないこと以外は
実施例2と同じ装置条件と手順でCdSe超微粒子を製
造した。運転開始後50分経った時点で製品貯漕19に
相当するガラス製1000mlねじ口ビン中に流出して
きた反応液を分取した。地点16におけるレイノルズ数
は実施例2と同一と計算された。濃縮されたCdSe超
微粒子の発光スペクトルを前記同様に測定したところ、
最大ピーク波長599nmの発光帯の半値幅は61nm
であり、実施例1の製品よりも粒径分布が広いことがわ
かった。さらに運転開始後60分経った時点で原料供給
に支障が発生し、それ以上の運転は続行できなかった。
反応器を分解したところ、原料供給系内に黒色の固形物
が固着していた。反応器7の熱が伝熱により原料注入流
路13の一部に伝わり、部分的に300℃程度に加熱さ
れた結果、半導体原料の一部が熱劣化を起こしたことが
原因と推定された。
【0099】[ホットソープ法によるCdS超微粒子の
連続流通製造] 実施例4:攪拌機構を設置し原料供給系を予備温度調節
する製造方法 (1)原料液の作製 実施例1で使用したTOPO(350g)を、室温の大
気下で液相媒質を構成する配位性有機化合物として50
0mLねじ口びん中に分取し、乾燥アルゴンガスライン
とガス抜き口がついた蓋をしてアルゴンガスを1時間流
通させ、内部をアルゴン雰囲気に置換した。これを図1
記載の媒質漕1に相当する部分に装入し、80℃のオイ
ルバス中で加熱して融解した。
【0100】一方、東京化成社から供給されたトリ−n
−ブチルホスフィン(純度90+%)を減圧蒸留により
精製したもの(54.55g)を室温下、乾燥窒素雰囲
気に保たれたグローブボックス中にて、別の500mL
ねじ口びん中に分取した。この中に実施例で使用したジ
メチルカドミウムのヘキサン希釈液(13.58g)を
投入し、マグネチックスターラーで3分間攪拌した。さ
らにこの中にAldrich社から供給されたヘキサメ
チルジシルチアン(0.68g)を投入し、10分間撹
拌を継続して、無色透明な液体が得た。これをグローブ
ボックスから取り出し、半導体原料として図1記載の原
料漕9部分に装入した。 (2)流通法によるCdS超微粒子の製造 実施例1同様に図1における反応器7内部の流路にスク
リュー型の撹拌棒を挿入し、図1において媒質予備加熱
装置8、原料供給系予備温度調節装置14、反応加熱装
置15、及び熟成加熱装置20にそれぞれ相当する温度
調節部分の温度設定を、それぞれ300℃、20℃、3
00℃、及び300℃とした。温度調節を受ける領域
は、半導体原料10が反応器7に注入される8.3秒前
までであった。また循環高温水槽19を60℃に設定
し、反応液出口付近を60℃に保った。媒質送液ポンプ
を毎分7.7mL、原料送液ポンプを毎分3.0mLの
能力でそれぞれ駆動し、送液を開始した(各ポンプは図
1における5及び12にそれぞれ相当する)。図1にお
ける反応器7内部の地点16に相当する部分で前記の液
相媒質と半導体原料とが合流しこの地点でのレイノルズ
数Reは900であった。但し、地点16における定常
運転時の反応液相温度の実測値は252℃、前記式
(3)におけるD値は1.38×10-3メートルであっ
た。CdS超微粒子を含む、黄色の反応混合液が、製品
貯漕19に相当するガラス製1000mLねじ口ビンに
回収された。 (3)CdS超微粒子の濃縮 得られたCdS超微粒子を濃縮するために、前記の製品
貯漕19に相当するガラス製1000mLねじ口ビン中
の反応液20mLを分取し、これに和光純薬社から供給
されたメタノール(10mL)を添加し、5分間攪拌し
て黄色の析出物を含んだ懸濁液を得た。この懸濁液を3
000rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後、上
澄み液は廃棄し、残った沈殿物に乾燥窒素ガスを吹き付
け予備乾燥し、次いで室温で15時間真空乾燥した。こ
のようにして約30mgの濃縮されたCdS超微粒子を
得た。このことから、実施例4によるCdS超微粒子の
製造速度は、24時間当たり11gと計算され、前記で
定義された生産性指数Z(g/cm3/日)は3.79
であった。濃縮される前の超微粒子のTEM観察より、
数平均粒径は約2.6nmであった。こうして得た製品
の発光スペクトルにおいてエキシトン発光帯は観測され
ず、表面準位等からの発光と考えられる長波長かつブロ
ードな発光帯のみが観測されたので、下表2において発
光半値幅の数値は示すことができなかった。 (4)吸収スペクトルの測定 前記濃縮される前のCdS超微粒子を乾燥トルエン中に
約1重量%の濃度で分散させ測定したところ、380n
mにピークを持つ、CdS超微粒子特有の吸収スペクト
ルを与えた。吸収半値幅ΔλAは53nmであった。得
られた吸収スペクトルを図5に示す。
【0101】[コアシェル型半導体結晶の製造] 実施例5:CdSe/ZnSコアシェル型超微粒子の連
続流通製造 室温下、前記グローブボックス中で実施例1で得たCd
Se超微粒子(6.01g)とAldrich社から供
給されたトリオクチルホスフィン(純度90%;62
g、以下TOPと略記)、及び前記TOPO(620
g)を、1000mLねじ口ビン中に分取し、これをコ
アシェル第1原料とし図1記載の漕1に相当する部分に
装着し、210℃のオイルバス中で加熱して撹拌、溶解
する。一方、グローブボックス中でTOP(416g)
を1000mLねじ口ビン中に分取し、この中にAld
rich社から供給されたジエチル亜鉛ヘキサン希釈液
(1モル濃度溶液、49.4g)、実施例4で使用した
ヘキサメチルジシルチアン(13.4g)を投入し、3
分間撹拌を継続して無色透明な溶液を得る。これをコア
シェル第2原料とし、グローブボックスから取り出し、
図1記載の漕9部分に装入する。図1において予備加熱
装置8、予備温度調節装置14、反応加熱装置15、及
び熟成加熱装置20に相当する温度調節部分の温度設定
を、それぞれ210℃、20℃、210℃、90℃とし
温度調節を受ける領域は、コアシェル第2原料が反応器
7に注入される4.2秒前までとした。コアシェル第1
原料送液ポンプを毎分9mL、コアシェル第2原料送液
ポンプを毎分6mLの能力でそれぞれ駆動し、送液を開
始すると(各ポンプは図1における5及び12にそれぞ
れ相当する)、図1における地点16に相当する部分で
前記コアシェル第1原料とコアシェル第2原料とが合流
しこの地点でのレイノルズ数Reは38になる。得られ
るCdSe/ZnSコアシェル型超微粒子を濃縮するた
めに、前記の製品貯漕19に相当するガラス製1000
mLねじ口ビン中の反応液4mLを分取し、これに前記
メタノール10mLを添加し、5分間攪拌して、赤色の
析出物を含んだ懸濁液を得るので、この懸濁液の全部を
3000rpmで15分間遠心分離する。遠心分離後、
上澄み液は廃棄し、残った沈殿物に乾燥窒素ガスを吹き
付け予備乾燥し、次いで室温で15時間真空乾燥して濃
縮されたCdSe/ZnSコアシェル型超微粒子を得
る。
【0102】[比較例1:バッチ法製造例]前記のC.
B.Murrayら;J.Am.Chem.Soc.,
115巻8706−8715(1993)に報告されて
いる方法に従い、フラスコを使用するバッチ法によりC
dSe超微粒子を合成した。即ち、TOPO(73m
L)をフラスコに仕込んで200℃で約20分間真空乾
燥し、これを大気圧の乾燥アルゴン雰囲気下300℃に
加熱し、ここに下記の半導体原料の溶液を50mLの注
射器で加えた。但しここで半導体原料の溶液とは、ジメ
チルカドミウム(1.0mL;13.35ミリモル)を
トリオクチルホスフィン(25mL、以下TOPと略
記)に溶解した溶液、セレン(単体;10ミリモル)を
溶解したTOP溶液(10mL)、及び追加のTOP
(15mL)、をドライボックス内で混合調製したもの
である(総体積は51mL)。この原料溶液を加えると
180℃程度まで反応温度が低下したが、その後250
℃程度まで上昇し、原料注入後延べ2時間反応を継続し
た。その後、実施例1同様の濃縮操作(量比に応じて使
用する溶媒等の量を比例計算した)を行って、300m
gの超微粒子を得た。こうして得た超微粒子は、発光ス
ペクトルが前記の文献と一致したので、目的とするCd
Se超微粒子であるものと確認した。反応器の内容積の
代わりに反応液の総体積(124mL)を使用して前記
で定義された生産性指数Z(g/cm3/日)を算出す
ると、0.029であったことから、前記実施例に示し
た本発明の製造方法に比べると、本比較例1のバッチ法
装置をたとえスケールアップしたとしてもその生産性は
はるかに劣るものであることがわかる。前記実施例1〜
4の結果の一覧を下記表−2にまとめた。
【0103】
【表2】 表−2 実験番号 半導体種 流通量Q レイノルス゛数 吸収半値幅 発光半値幅 Q/ΔλA (cm3/h) Re ΔλA(nm) ΔλL(nm) 実施例1 CdSe 858 1900 52 44 16.5 実施例2 CdSe 438 235 75 66 5.8 実施例3 CdSe 438 235 68 61 6.4 実施例4 CdS 642 900 53 --- 12.1
【0104】
【発明の効果】本発明の半導体超微粒子の製造方法は、
粒径分布が狭い良質の半導体超微粒子を従来にない高い
生産性で与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホットソープ法の製造装置例を表す略図であ
る。
【図2】逆ミセル法の製造装置例を表す略図である。
【図3】実施例1及び実施例2において得られたCdS
e超微粒子の電子顕微鏡による像のスケッチである。
【図4】実施例1及び実施例2において得られたCdS
e超微粒子の発光スペクトル図である。
【図5】実施例4において得られたCdS超微粒子の吸
収スペクトル図である。
【符号の説明】
1 媒質漕 2 液相媒質 3 媒質保温装置 4 媒質流路 5 媒質送液ポンプ 6 媒質注入流路 7 反応器 8 媒質予備加熱装置 9 原料漕 10 半導体原料 11 原料流路 12 原料送液ポンプ 13 原料注入流路 14 原料供給系予備温度調節装置 15 反応加熱装置 16 合一地点 17 反応液 18 反応流路 19 製品貯漕 20 熟成加熱装置 21 製品温度調節装置 22 第1原料漕 23 第1物質の水溶液の逆ミセル液体 24 第1原料流路 25 原料送液ポンプ 26 第1原料注入流路 27 反応器 28 漕 29 第2物質の水溶液の逆ミセル液体 30 第2原料流路 31 第2原料送液ポンプ 32 第2原料流路 33 合一地点 34 反応液 35 反応流路 36 製品貯漕
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加和 学 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4G070 AA03 AB10 BA02 BB11 CA06 CA07 CA21 CB05 CB30 CC02 CC03 CC06 DA30 4G075 AA27 AA62 AA63 BB05 BB10 BD16 BD22 CA02 DA01 EA06 EB21 EC06 EC11

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体原料を反応器中の液相媒質に注入
    し、該液相媒質中で半導体結晶を成長させる方法におい
    て、反応器が管状流通反応器であり、かつ半導体原料を
    注入した時点の液相媒質のレイノルズ数が30以上であ
    ることを特徴とする半導体超微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 管状流通反応器が、液相媒質を攪拌する
    機構を有するものである請求項1に記載の半導体超微粒
    子の製造方法。
  3. 【請求項3】 液相媒質が、有機化合物が連続相をなす
    ものである請求項1又は2に記載の半導体超微粒子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 有機化合物が、その分子構造中に窒素原
    子、リン原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1
    種を含む配位性有機化合物である請求項3に記載の半導
    体超微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 半導体原料が、液相媒質に注入される時
    点から該時点の少なくとも10秒前までの領域において
    温度調節されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の半
    導体超微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 温度調節が、−20〜200℃の範囲で
    ある請求項5に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 半導体原料を、150〜400℃の液相
    媒質に注入する請求項1〜6のいずれかに記載の半導体
    超微粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 数平均粒径が1〜20nmの半導体結晶
    を予め液相媒質に含有させ、該半導体結晶をコアとする
    コアシェル型半導体超微粒子を製造する請求項1〜7の
    いずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 全半導体原料の注入が完了した時点の反
    応液相の流通量Qが10立方センチメートル毎時(cm
    3/h)以上である請求項1〜8のいずれかに記載の半
    導体超微粒子の製造方法。
  10. 【請求項10】 管状流通反応器から吐出する反応液相
    の吸収スペクトルにおいて半導体結晶に由来するエキシ
    トン吸収帯が観測される請求項1〜9のいずれかに記載
    の半導体超微粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】 エキシトン吸収帯において、そのピー
    ク波長λApとλApより長波長側で該吸収帯強度がそのピ
    ーク強度の半分となる波長λAhにより下記式(1)で定
    義される吸収半値幅ΔλAが80nm以下である請求項
    10に記載の半導体超微粒子の製造方法。 【数1】ΔλA=2(λAh−λAp) (1)
  12. 【請求項12】 管状流通反応器から吐出する反応液相
    の吸収スペクトルにおいて半導体結晶に由来するエキシ
    トン発光帯が観測され、該エキシトン発光帯において、
    そのピーク波長λLpとλLpより長波長側で該発光帯強度
    がそのピーク強度の半分となる波長λLhにより下記式
    (2)で定義される発光半値幅ΔλLが80nm以下で
    ある請求項10または11に記載の半導体超微粒子の製
    造方法。 【数2】ΔλL=2(λLh−λLp) (2)
  13. 【請求項13】 流通量Q(単位:cm3/h)と吸収
    半値幅ΔλA(単位:nm)との比Q/ΔλAが1以上で
    ある請求項9〜12のいずれかに記載の半導体超微粒子
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 反応液相中の半導体組成の濃度が0.
    01モル/L以上である請求項1〜13のいずれかに記
    載の半導体超微粒子の製造方法。
  15. 【請求項15】 管状流通反応器に液相媒質を流通さ
    せ、該液相媒質中に半導体原料を注入する製造装置にお
    いて、半導体原料注入以前に液相媒質を予備加熱する機
    構を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか
    に記載の製造方法に用いる管状流通反応器。
  16. 【請求項16】 半導体原料が液相媒質に注入される時
    点と該時点から少なくとも10秒前までの領域におい
    て、該半導体原料を温度調節する機構を有する請求項1
    5に記載の管状流通反応器。
  17. 【請求項17】 半導体原料及び/又は液相媒質の注入
    部位に定常流ポンプを有する請求項15又は16に記載
    の管状流通反応器。
  18. 【請求項18】 半導体原料の注入部に静置型スクリュ
    を有する請求項15〜17のいずれかに記載の管状流通
    反応器。
  19. 【請求項19】 半導体原料の供給流路、液相媒質の供
    給流路、及び半導体原料が注入された後の反応液相の流
    路のいずれかが予備流路を有する請求項15〜18のい
    ずれかに記載の管状流通反応器。
  20. 【請求項20】 半導体原料を含有する液相の貯槽がこ
    れを送液する送液ポンプの入り口よりも高い位置に設置
    されてなる請求項15〜19のいずれかに記載の管状流
    通反応器。
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