JP4486305B2 - 半導体超微粒子の製造方法および製造装置 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体超微粒子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
米国特許第5652192号公報
【特許文献2】
特開2002−52336号公報
粒径が1〜30nm程度の超微粒子はバルクの有する性質とは異なる性質をもつことが知られており、機能性材料としての応用が期待されている。例えば、半導体超微粒子では、粒径が小さくなるにしたがって光吸収帯、光発光帯が高エネルギー側へシフトする量子サイズ効果が発生する。このような半導体超微粒子はディスプレイや発光ダイオード等の光学部材の原料、蛍光免疫分析や細胞マーカー等の発光性の生物学的分析試薬、顔料等の色材としての利用や、超高速の光スイッチや光制御素子への応用が期待されている。
【0003】
半導体超微粒子の製造方法としては、(1)分子ビームエピタキシー法やCVD法等の高真空プロセス、(2)半導体原料を高温の液相媒質に注入して熱分解させることにより、各種溶媒への優れた分散性を有する半導体結晶を成長させる方法、(3)半導体原料水溶液を疎水性有機溶媒中に逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル同士の衝突に伴う物質移動を利用して逆ミセル相中に比較的粒径分布が狭く各種溶媒への優れた分散性を有する半導体結晶を成長させる方法、(4)金属アルコキシド類や酢酸塩等の金属塩類を、水や硫化水素等の水素化カルコゲニド類やその金属塩と溶液反応させ、各種溶媒への優れた分散性を有する金属酸化物や金属硫化物の結晶を生成させる方法等が挙げられる。上記の(2)、(3)、(4)の液相製造方法は、(1)の高真空プロセスに比べて各種溶媒への優れた分散性を有する半導体結晶を得ることができ、また、工業的生産に適した方法である。例えば、原料溶液を流通反応器に連続的に供給し、次いで、これを加圧と加熱を施す反応ゾーンに移送して超微粒子の核生成と粒子成長を進行させる製造方法が特許文献1に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の半導体超微粒子の製造方法では、半導体原料の攪拌効率が悪く、得られる製品の粒径分布が広いという問題があった。このような問題を解消するために、管状流通反応器に半導体原料を注入した時点での液相媒質のレイノルズ数を30以上とすることにより、半導体原料の攪拌効率を高めて粒径分布を狭くする製造方法が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献2に開示される製造方法では、管状流通反応器内における反応停止の制御が難しく、このため得られる半導体超微粒の粒径分布の幅が十分に狭いとは言えず、特に、粒径が小さく蛍光発光波長が550nm以下の超微粒子を製造することが困難であるという問題があった。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、狭い粒径分布をもち吸発光特性に優れた半導体超微粒子を高い生産性で製造することが可能な製造方法と製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は液相媒質中で半導体原料を加熱して半導体結晶を発生、成長させる半導体超微粒子の製造方法において、半導体原料と液相媒質とを発熱している反応板上に滴下し、該反応板上を流下させることにより半導体結晶を発生、成長させ、その後、前記反応板を通過した反応溶液を回収する工程を有し、平板形状または凹型形状である前記反応板を液相媒質の流下方向に直列に複数配列するとともに、液相媒質の流下方向に向け、150〜400℃の範囲内で各反応板の表面温度が段階的に低くなるように調整し、前記反応板上において液相媒質が有機化合物の連続相となるように液相媒質を滴下するような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記反応板を通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶を反応容器中において加熱することにより半導体結晶を更に成長させ、その後、反応溶液を回収するような構成とした。
【0006】
本発明の好ましい態様として、前記有機化合物は分子構造内に窒素原子、リン原子、および、硫黄原子から選ばれた少なくとも1種を含む配位性有機化合物であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記反応板上に滴下する時点から5秒前までの時間内に前記半導体原料を所望の温度に調整するような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記半導体原料を−20〜250℃の範囲内に調整するような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記反応容器は液相媒質を攪拌する機構を備えた管状加熱反応器であるような構成とした。
【0007】
本発明の好ましい態様として、前記反応容器を150℃以上であって前記反応板の表面温度以下の範囲で温度制御するような構成とした。
本発明の好ましい態様として、回収した前記反応溶液の吸収スペクトルにおいて、半導体結晶に由来するエキシトン吸収帯が観測されるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記エキシトン吸収帯のピークの波長をλApとし、該ピークよりも長波長側で吸収帯強度がピーク強度の半分となる波長をλAhとしたときに、式ΔλA=2(λAh−λAp)で算出される吸収半値幅ΔλAが50nm以下であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、回収した前記反応溶液の発光スペクトルにおいて、半導体結晶に由来するエキシトン発光帯が観測されるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記エキシトン発光帯のピークの波長をλEpとし、該ピークよりも長波長側で発光帯強度がピーク強度の半分となる波長をλEhとしたときに、式ΔλE=2(λEh−λEp)で算出される発光半値幅ΔλEが50nm以下であるような構成とした。
【0008】
また、本発明は液相媒質中で半導体原料を加熱して半導体結晶を発生、成長させて半導体超微粒子を製造するための装置において、液相媒質の流下方向に直列に複数配列され、液相媒質の流下方向に向け、150〜400℃の範囲内で各反応板の表面温度が段階的に低くなるように発熱を調整可能な反応板と、該反応板上に半導体原料を滴下するための供給装置と液相媒質が有機化合物の連続相となるように液相媒質を滴下するための供給装置と、前記反応板上を流下して通過した反応溶液を回収するための回収容器とを備え、前記反応板は平板形状または凹型形状であるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記回収容器は、前記反応板を流下して通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを加熱して半導体結晶を更に成長させるための反応容器を兼ねるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記反応板を流下して通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを加熱して半導体結晶を更に成長させるための反応容器を前記反応板と前記回収容器との間に備えるような構成とした。
本発明の好ましい態様として、前記反応容器は液相媒質を攪拌する機構を備えた管状加熱反応器であるような構成とした。
【0009】
上記の本発明では、加熱された反応板上を流下する間に核となる半導体結晶が発生し成長し、この反応板を通過した時点で反応溶液が回収され反応が停止するので、反応を任意のところで停止して粒径を制御することが容易となり、所望の狭い粒径分布をもつ半導体超微粒子の製造が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
[半導体超微粒子の製造方法]
本発明の半導体超微粒子の製造方法は、半導体原料と液相媒質とを加熱された反応板上に滴下し、この反応板上を流下させることにより半導体結晶を発生、成長させ、その後、反応板を通過した反応溶液を回収するものである。
本発明で使用する反応板としては、セラミックス発熱板、ステンレス発熱板、遠赤外線放熱板、ペルチェ素子、シリコンラバーヒーター、カートリッジヒーター、ファイヤーバーヒーター、セラミックファイバーヒーター、フランジヒーター、マイクロウェーブヒーター、電磁誘導ヒーター等を挙げることができる。また、反応板の形状は平板形状、U字形状、V字半円筒等の凹型形状および凸型形状、液体が通過可能な穴を有した筒型形状等であってよく、後述するように、液相媒質の連続相が形成されるものであれば特に制限はない。このような反応板は、使用する半導体原料に応じて、表面温度を150〜400℃、好ましくは、250〜380℃の範囲内で調整する。表面温度が150℃未満であると半導体結晶の生成反応が停止してしまい、また、400℃を超えると半導体原料が望ましくない副反応を起こすことがある。
【0011】
本発明の製造方法では、上記のような反応板の配設数は1個であってもよく、また、液相媒質の流下方向に直列に反応板を複数配列してもよい。複数の反応板を使用することにより、粒子の成長を制御可能とすることができ好ましい。また、反応板を複数配列する場合、液相媒質の流下方向に向け、150〜400℃の範囲内で各反応板の表面温度が段階的に低くなるように調整する。これにより、半導体原料の不要な副反応を防止することができる。
【0012】
本発明において使用する半導体原料は、製造目的の半導体超微粒子の構成元素を含有し、かつ、後述する液相媒質中にて半導体結晶を発生、成長させることが可能な物質である。本発明では、半導体原料は常温で液状であればそのまま使用することができ、また、必要に応じてn−ヘキサン、n−ヘプタン等の有機溶媒の溶液としてもよい。
半導体原料としては、例えば、電気陰性度が2.0以下である陽性元素を含有する物質と、電気陰性度が1.9以上である陰性元素を含有する物質とからなる2元物質系を使用することができる。
【0013】
上記の電気陰性度が2.0以下である陽性元素を含有する物質としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、水銀、マグネシウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、ホウ素、アルミニウム、インジウム、アンチモン等の単体、酸化マグネシウム等の周期表第2族元素の酸化物、ジエチルマグネシウム等の周期表第2族元素のジアルキル化合物、塩化メチルマグネシウム等の周期表第2族元素のアルキルハロゲン化物、酸化チタン等の周期表第4族元素の酸化物、四塩化チタン等の周期表第4族元素のハロゲン化物、酸化バナジウム等の周期表第5族元素の酸化物、四塩化バナジウム等の周期表第5族元素のハロゲン化物、酸化クロム等の周期表第6族元素の酸化物、四塩化モリブデン等の周期表第6族元素のハロゲン化物、酸化マンガン等の周期表第7族元素の酸化物、二塩化マンガン等の周期表第7族元素のハロゲン化物、酸化鉄等の周期表第8族元素の酸化物、二塩化鉄等の周期表第8族元素のハロゲン化物、酸化コバルト等の周期表第9族元素の酸化物、二塩化コバルト等の周期表第9族元素のハロゲン化物、酸化ニッケル等の周期表第10族元素の酸化物、二臭化ニッケル等の周期表第10族元素のハロゲン化物、酸化銅等の周期表第11族元素の酸化物、ヨウ化銅等の周期表第11族元素のハロゲン化物、酸化亜鉛等の周期表第12族元素の酸化物、ジメチル亜鉛等の周期表第12族元素のジアルキル化物、塩化メチル水銀等の周期表第12族元素のアルキルハロゲン化物、二塩化亜鉛等の周期表第12族元素のジハロゲン化物、酸化インジウム等の周期表第13族元素の酸化物、トリメチルホウ素等の周期表第13族元素のトリアルキル化物、塩化ジメチルアルミニウム等の周期表第13族元素のジアルキルモノハロゲン化物、二塩化メチルアルミニウム等の周期表第13族元素のモノアルキルハロゲン化物、三臭化ホウ素等の周期表第13族元素のトリハロゲン化物、酸化ゲルマニウム等の周期表第14族元素の酸化物、四塩化ケイ素等の周期表第14族元素のハロゲン化物、フェニルシラン等の周期表第14族元素の水素化物(水素原子の一部または全部が有機基に置換された化合物を含む)、酸化アンチモン等の周期表第15族元素の酸化物、トリメチルアンチモン等の周期表第15族元素のトリアルキル化物、二臭化メチルアンチモン等の周期表第15族元素のモノアルキルジハロゲン化物、三塩化アンチモン等の周期表第15族元素のトリハロゲン化物等が挙げられる。
【0014】
また、上記の電気陰性度が1.9以上である陰性元素を含有する物質としては、窒素、リン、砒素、アンチモン、ビスマス、酸素、硫黄、セレン、テルル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第15〜17族元素の単体、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン等の周期表第15族元素のシリル化物、硫化水素等の周期表第16族元素の水素化物、ビス(トリメチルシリル)スルフィド等の周期表第16族元素のシリル化物、硫化ナトリウム等の周期表第16族元素のアルカリ金属塩、トリブチルホスフィンスルフィド等のトリアルキルホスフィンカルコゲニド類、トリメチルシリルクロリド等の周期表第17族元素のシリル化物等が挙げられる。
また、単独で半導体性を有する元素を含有する化合物を半導体原料として使用することもできる。このような化合物としては、例えば、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四臭化ゲルマニウム、四ヨウ化ゲルマニウム、二塩化錫、四塩化錫、二臭化錫、四臭化錫、二塩化鉛、二臭化鉛等の周期表第14族元素のハロゲン化物、ジフェニルシラン等の周期表第14族元素の水素化物、または、水素原子の一部または全部が有機基に置換された化合物等を挙げることができる。
【0015】
上記のような半導体原料は、反応板上に滴下する時点から5秒前、好ましくは3秒前までの時間内に所望の温度に調整することが好ましい。これは、例えば、加熱によって半導体原料が熱劣化を生じ、反応板上に半導体原料を滴下するためのノズル等の供給系が閉塞されるのを防止するためである。また、半導体原料の温度調整は、使用する半導体原料により適宜設定することができ、例えば、−20〜250℃、好ましくは150〜230℃の範囲内とすることができる。
【0016】
反応板上への半導体原料の滴下は、反応板上に連続相が形成されている液相媒質上に滴下するものであってよく、また、液相媒質と同時に滴下してもよい。半導体原料の滴下流量は、反応板の形状、長さ、材質、設定温度、および、半導体原料と液相媒質の滴下流量、材料、さらに、製造目的の半導体超微粒子の大きさ等に応じて適宜設定することができ、例えば、0.1〜100ml/分、好ましくは1〜10ml/分程度とすることができる。また、半導体原料の滴下位置は、使用する反応板の長さ、設定温度、液相媒質の材料、温度、および、製造目的の半導体超微粒子の大きさ等に応じて適宜設定することができる。尚、本発明で使用する「滴下」の用語は、液滴状態のみではなく、連続相状態で反応板上に供給される場合も含むものである。
【0017】
本発明において使用する液相媒質は、半導体原料の注入により半導体結晶の発生、成長が可能な液体であり、反応板上において連続相となるものを使用することができる。このような液相媒質としては、有機化合物、特に、分子構造内に窒素原子、リン原子、および、硫黄原子から選ばれた少なくとも1種を含む配位性有機化合物を含有するものが好ましい。配位性有機化合物としては、例えば、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、オクチルアミン、テトラデシルアミン等のω−アミノアルカン類、ピリジン、ルチジン等の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物、ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類、チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等を挙げることができる。また、これらの配位性有機化合物は、単独で液相媒質として使用してもよく、あるいは、有機溶媒で希釈して使用してもよい。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、オクタン、デカン、ドデカン等の長鎖アルカン類等を使用することができる。
【0018】
このような液相媒質は、反応板に滴下する前に所定の温度に調整しておくことが好ましく、例えば、100〜400℃、好ましくは250〜350℃の範囲で設定することができる。また、反応板上への液相媒質の滴下流量は、液相媒質が連続相を形成するように設定し、例えば、0.2〜250ml/分、好ましくは1〜30ml/分程度とすることができる。また、液相媒質の滴下位置は、通常は傾斜して配設されている反応板の上流側端部の近傍であるが、使用する反応板の長さ、設定温度、使用する半導体原料や液相媒質の材料、温度、および、製造目的の半導体超微粒子の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0019】
本発明の半導体超微粒子の製造方法では、反応板を通過した半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを反応容器中において加熱することにより半導体結晶を更に成長させ、その後、反応溶液を回収するようにしてもよい。これにより、狭い粒径分布で大きな粒径をもつ半導体超微粒子を製造することができる。このような反応容器は、回収容器を兼ねるものであってもよく、また、例えば、液相媒質を攪拌する機構を備えたを管状加熱反応器であってもよい。このような反応容器における加熱温度は150℃以上であって反応板の表面温度以下の範囲で温度制御することが好ましく、反応板が複数配列されている場合、加熱温度は、最下流側の反応板の表面温度以下とすることが好ましい。反応容器における加熱温度が150℃未満であると半導体結晶の生成反応が停止し、また、反応板の表面温度を超えると新たに結晶核が生成して、粒径分布が多分散になることがあり好ましくない。
【0020】
本発明の半導体超微粒子の製造方法では、回収した反応溶液の吸収スペクトルにおいて、長波長端に半導体結晶に由来するエキシトン吸収帯が観測されることが望ましい。そして、エキシトン吸収帯のピークの波長をλApとし、該ピークよりも長波長側で吸収帯強度がピーク強度の半分となる波長をλAhとしたときに、式ΔλA=2(λAh−λAp)で算出される吸収半値幅ΔλAが50nm以下、好ましくは40nm以下となる。
【0021】
また、本発明の半導体超微粒子の製造方法では、回収した前記反応溶液の発光スペクトルにおいて、長波長端に半導体結晶に由来するエキシトン発光帯が観測されることが望ましい。そして、エキシトン発光帯のピークの波長をλEpとし、該ピークよりも長波長側で発光帯強度がピーク強度の半分となる波長をλEhとしたときに、式ΔλE=2(λEh−λEp)で算出される発光半値幅ΔλEが50nm以下となる。
上記のように、エキシトン吸発光帯が観測され、吸発光半値幅が50nm以下となるのは、本発明において、加熱された反応板上で核となる半導体結晶が発生し成長し、この反応板を通過した時点で反応溶液が回収され反応が停止するので、不要な副反応等が防止され、狭い粒径分布をもつ半導体超微粒子が得られることによる。
【0022】
[半導体超微粒子の製造装置]
以下、本発明の製造装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の半導体超微粒子の製造装置の一実施形態を示す構成図である。図1において、製造装置1は、回収容器3内に配設された反応板2と、この反応板2上に液相媒質を滴下するための供給装置11と、半導体原料を滴下するための供給装置21とを備えている。
【0023】
反応板2は、セラミックス発熱板、ステンレス発熱板、遠赤外線放熱板、ペルチェ素子、シリコンラバーヒーター、カートリッジヒーター、ファイヤーバーヒーター、セラミックファイバーヒーター、フランジヒーター、マイクロウェーブヒーター、電磁誘導ヒーター等で構成することができ、図示していない温度制御装置により表面温度を150〜400℃、好ましくは、250〜380℃の範囲内で調整可能とする。この反応板2の形状は、図示例では平板形状であるが、これに限定されるものではなく、断面U字形状、V字半円筒等の凹型形状および凸型形状、液体が通過可能な穴を有した筒型形状等であってもよく、後述するように、液相媒質の連続相が形成されるものであれば特に制限はない。このような反応板2は、半導体原料と液相媒質が流下する面が水平方向に対してなす角度を0〜45°の範囲内とするように設置する。この設置角度は使用する反応板2の形状、長さ、材質、設定温度、および、半導体原料と液相媒質の材料、滴下流量、さらに、製造目的の半導体超微粒子の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
【0024】
回収容器3は反応板2を通過した反応溶液を底部に回収するものであり、図示例では密閉系で内部に反応板2が配置されているものであるが、これに限定されるものではない。
液相媒質を滴下するための供給装置11は、図示例では、液相媒質タンク12、ポンプ13、加熱装置14、滴下ノズル15、媒質搬送パイプ16からなっているが、これに限定されるものではない。液相媒質タンク12は液相媒質を所定の温度、例えば、20〜350℃の範囲の所定の温度に保温するための保温装置を備えるものであってもよい。また、加熱装置14は、反応板2に滴下される液相媒質を予め加熱するものであり、例えば、150〜400℃の範囲の所定の温度に加熱する。この加熱装置14は、例えば、オイル、熱水、スチーム、電熱ヒーター、マイクロウェーブヒーター、電磁誘導ヒーター等で構成することができる。また、滴下ノズル15は、注射針、インクジェットノズル、ディスペンサー型ノズル、ピペット先端部のような構成のものを使用することができる。この滴下ノズル15は固定式であってもよく、また、反応板2の任意の位置に移動可能として、滴下位置の変更が容易なものとしてもよい。
【0025】
半導体原料を滴下するための供給装置21は、図示例では、原料タンク22、ポンプ23、温度調整装置24、滴下ノズル25、原料搬送パイプ26からなっているが、これに限定されるものではない。温度調整装置24は、反応板2に滴下される半導体原料の温度を調整するものであり、例えば、−20〜250℃の範囲の所定の温度に調整する。この温度調整装置24は、例えば、オイル、熱水、スチーム、電熱ヒーター、マイクロウェーブヒーター、電磁誘導ヒーター等で構成することができる。このような温度調整装置24による半導体原料の温度調整は、半導体原料が反応板2上に滴下される時点から5秒前、好ましくは3秒前に行われるように設定することが好ましい。このため、原料搬送パイプ26内を流れる半導体原料の流量等に応じて、滴下ノズル25の先端から温度調整装置24までの距離を最適に設定することが望まれる。また、滴下ノズル25は、注射針、インクジェットノズル、ディスペンサー型ノズル、ピペット先端部のような構成のものを使用することができる。この滴下ノズル15は固定式であってもよく、また、反応板2の任意の位置に移動可能なものであってもよい。
【0026】
図2は本発明の半導体超微粒子の製造装置の他の実施形態を示す構成図である。図2において、製造装置1′は、回収容器3内に配設された2個の反応板2A,2Bと、反応板2A上に液相媒質を滴下するための供給装置11と、半導体原料を滴下するための供給装置21とを備えている。この製造装置1′は液相媒質の流下方向に2個の反応板2A,2Bを直列に備え、上流側の反応板2Aに液相媒質や半導体原料を滴下するように構成した他は、上述の製造装置1と同様である。尚、製造装置1′と製造装置1に共通する部材は同じ部材番号を付して示し、説明は省略する。
【0027】
製造装置1′を構成する反応板2A,2Bは、上述の反応板2と同様の材質、形状とすることができる。この反応板2A,2Bは同じ反応板であってもよく、また、異なる材質、形状としてもよい。この製造装置1′のように、2個の反応板2A,2Bを備えることにより、粒径分布が狭いまま粒径を大きくすることができ好ましい。このような反応板2A,2Bは、図示していない温度制御装置により表面温度を150〜400℃、好ましくは、250〜380℃の範囲内で調整可能とするが、下流側の反応板2Bの表面温度は上流側の反応板2Aの表面温度よりも低いものとする。これにより、半導体材料の不要な副反応を防止することができる。
また、反応板2A,2Bは、半導体原料と液相媒質が流下する面が水平方向に対してなす角度を0〜45°の範囲内とするように設置することができ、反応板2A,2Bを同一の条件で設置してもよく、異なる条件で設置してもよい。さらに、反応板2Bを移動可能とし、必要に応じて反応板2Aのみを使用することができるように構成してもよい。
【0028】
図3は本発明の半導体超微粒子の製造装置の他の実施形態を示す構成図である。図3において、製造装置1″は、容器5内に配設された反応板2と、反応板2上に液相媒質を滴下するための供給装置11と、半導体原料を滴下するための供給装置21と、反応板2の下流側に開口部32が位置するように配設された反応容器31と、反応容器31を通過した反応溶液を回収する回収容器41を備えている。この製造装置1″は反応容器31を備え、反応板2が配設された容器5とは別体で回収容器41を備える他は、上述の製造装置1と同様である。尚、製造装置1″と製造装置1に共通する部材は同じ部材番号を付して示し、説明は省略する。
容器5は反応板2と反応容器31の開口部32側を内部に備えるものであり、図示例では密閉系であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
製造装置1″を構成する反応容器31は反応板2を通過した半導体原料と液相媒質と半導体結晶を加熱して半導体結晶を更に成長させものである。図示例では、反応容器31は管状加熱反応器であり、開口部32が容器5内の反応板2の下流側に位置し、反応板2を流下して通過した半導体原料と液相媒質と半導体結晶が受液部32から反応容器31内に送られるように構成されている。反応容器31は図示しない加熱装置により内部を所定の温度、例えば、150℃以上であって、反応板2の表面温度以下の温度に加熱される。また、反応容器31は液相媒質と半導体原料、半導体結晶を十分混合するために、攪拌機構を備えるものであってもよい。攪拌機構には特に制限はなく、種々の形状の攪拌翼やスクリューによる攪拌、あるいは、反応容器内部に形成したじゃま板による攪拌等であってよい。
また、この製造装置1″においても、複数の反応板を直列に備えることができる。
【0030】
尚、本発明の半導体超微粒子の製造装置では、例えば、図1に示される製造装置1において、反応板2を通過した半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを加熱して半導体結晶を更に成長させるための反応容器を、回収容器3が兼ねるものであってもよい。この場合、回収容器3は底部に加熱装置、攪拌機構等を備えるものであてよい。
【0031】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
(半導体原料の調製)
アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内でセレン粉末(Aldrich社製、純度99.99%)0.6gをセブタム栓つき50mlサンプル瓶に分取した。これにトリ−n−ブチルホスフィン(Strem Chemicals社製、純度99%)25gを加え、10分間マグネチックスターラーにて攪拌し、セレン粉末を溶解させた。その後、ジメチルカドミウム(Strem Chemicals社製、10重量%ヘキサン溶液)12gを加え、5分間マグネチックスターラーにて攪拌し、均一溶液を得た。
【0032】
(液相媒質の調製)
アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス内でトリオクチルフォスフィン(TOPO)(Aldrich社製、純度90%)60gをセブタム栓つき100mlサンプル瓶に分取した。その後、サンプル瓶を80℃に加熱してTOPOを溶融状態にした。
【0033】
(半導体超微粒子の製造)
図1に示されるような製造装置を準備した。この製造装置では、反応板として長さ20mm、幅10mmであるセラミックス発熱板を使用し、このセラミックス発熱板を水平方向に対して10°傾斜した状態で配設した。また、回収容器は耐熱ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)製のものを使用した。
上記の製造装置のセラミックス発熱板を350℃(表面温度)に設定し、上記の液相媒質を250℃に加温し、また、半導体原料は常温状態とした。次いで、半導体原料と液相媒質をセラミックス発熱板の上流側端部から3mmの位置に同時に滴下した。この場合の滴下流量は、半導体原料7ml/分、液相媒質18ml/分とした。セラミックス発熱板上に滴下された液相媒質は連続相をなして流下し、反応溶液はセラミックス発熱板の下流側端部から回収容器の底部に落下して回収された。
【0034】
回収した反応溶液(60ml)を精製するために、これを10mlのトルエン(関東化学(株)製、特級)に溶解し、この溶解液を攪拌状態の100mlのメタノール(関東化学(株)製、特級)に滴下して懸濁液を得た。次いで、この懸濁液を遠心分離(3000rpm、10分間)し、上澄み液を廃棄した。得られた沈殿物を乾燥窒素雰囲気中で乾燥後、真空乾燥(10時間)を行って半導体超微粒子を得た。
【0035】
(粒径分布の測定)
上記のように製造した半導体超微粒子の粒径を透過型電子顕微鏡(TEM)で測定し、平均粒径と粒径分布幅(3σの範囲)を下記の表1に示した。
【0036】
(吸収スペクトルの測定)
上記のように製造した半導体超微粒子を乾燥トルエンに約1重量%の濃度となるように分散させ、吸収スペクトルを日立製作所(株)製U4100型分光光度計にて測定した。測定した吸収スペクトルから、半導体超微粒子を励起するのに起因していると思われる吸収ピークのピーク波長λApと、このピーク強度が長波長側で半減する波長λAhから式ΔλA=2(λAh−λAp)で算出される吸収半値幅ΔλAとを下記の表1に示した。
【0037】
(蛍光発光スペクトルの測定)
上記のように製造した半導体超微粒子を乾燥トルエンに約1重量%の濃度となるように分散させ、蛍光発光スペクトルを日本分光(株)製FP6500DS型分光蛍光光度計にて測定した。測定した蛍光発光スペクトルの発光ピーク波長λEpと、このピーク強度が長波長側で半減する波長λEhから式ΔλE=2(λEh−λEp)で算出される発光半値幅ΔλEとを下記の表1に示した。
【0038】
[実施例2]
まず、実施例1と同様にして半導体原料、液相媒質を調製した。
(半導体超微粒子の製造)
図2に示されるような製造装置を準備した。この製造装置では、反応板として長さ20mm、幅10mmであるセラミックス発熱板を2枚使用し、水平方向に対して15°傾斜した状態で配設した1枚目のセラミックス発熱板の下端側の下方に、同じ傾斜角度で直列に2枚目のセラミックス発熱板を配設した。
このような製造装置を使用し、実施例1と同様の条件で半導体原料と液相媒質を1枚目のセラミックス発熱板に同時に滴下し、2枚目のセラミックス発熱板の下流側端部から回収容器に反応溶液を回収した。
この反応溶液に対して実施例1と同様の精製処理を施して半導体超微粒子を得た。
また、上記のように製造した半導体超微粒子について、実施例1と同様に、平均粒径、粒径分布幅、吸収ピーク波長、吸収半値幅、発光ピーク波長、発光半値幅を測定して下記の表1に示した。
【0039】
[実施例3]
まず、実施例1と同様にして半導体原料、液相媒質を調製した。
(半導体超微粒子の製造)
実施例2と同様の製造装置を準備した。ただし、回収容器は反応容器を兼ねるものとし、底部が加熱可能なものを使用した。
このような製造装置を使用し、実施例2と同様の条件で半導体原料と液相媒質を1枚目のセラミックス発熱板に同時に滴下し、2枚目のセラミックス発熱板の下流側端部から反応容器に反応溶液を回収した。その後、反応容器の底部を300℃に加熱し、20分間経過後に加熱を終了して反応容器全体を空冷した。
この反応溶液に対して実施例1と同様の精製処理を施して半導体超微粒子を得た。
また、上記のように製造した半導体超微粒子について、実施例1と同様に、平均粒径、粒径分布幅、吸収ピーク波長、吸収半値幅、発光ピーク波長、発光半値幅を測定して下記の表1に示した。
【0040】
[実施例4]
まず、実施例1と同様にして半導体原料、液相媒質を調製した。
(半導体超微粒子の製造)
図3に示されるような製造装置を準備した。この製造装置では、反応板として長さ20mm、幅10mmであるセラミックス発熱板を実施例1と同様の条件で配設し、このセラミックス発熱板の下端側の下方に、開口部が位置するように管状加熱反応器を配設し、この管状加熱反応器の下流側に回収容器を設置した。
【0041】
このような製造装置を使用し、実施例1と同様の条件で半導体原料と液相媒質をセラミックス発熱板に同時に滴下し、このセラミックス発熱板を通過した反応溶液を管状加熱反応器内に導き、管状加熱反応器の下流側端部から反応溶液を回収した。尚、管状加熱反応器は300℃に加熱し、内部にスクリュー型の攪拌棒を配設して攪拌を行った。
この反応溶液に対して実施例1と同様の精製処理を施して半導体超微粒子を得た。
また、上記のように製造した半導体超微粒子について、実施例1と同様に、平均粒径、粒径分布幅、吸収ピーク波長、吸収半値幅、発光ピーク波長、発光半値幅を測定して下記の表1に示した。
【0042】
[比較例1]
ジメチルカドミウム(Strem Chemicals社製、10重量%ヘキサン溶液)5gとセレン粉末0.25gを10gのトリ−n−ブチルホスフィン((Strem Chemicals社製、純度99%))に溶解して半導体原料とした。
次に、TOPO(Aldrich社製、純度90%)8gをフラスコへ投入し、200℃、20分間真空乾燥を行った。その後、大気圧下で乾燥アルゴン雰囲気にしてTOPOを350℃に加熱し、このTOPOに上記の半導体原料5mlを注射器で一気に注入した。
半導体原料を注入したことによりフラスコ内の液温は200℃程度まで低下したが、その後数分で300℃まで上昇した。半導体原料の注入後30分間反応を継続し、その後、空冷により反応溶液を冷却した。
この反応溶液に対して実施例1と同様の精製処理を施して半導体超微粒子を得た。
また、上記のように製造した半導体超微粒子について、実施例1と同様に、平均粒径、粒径分布幅、吸収ピーク波長、吸収半値幅、発光ピーク波長、発光半値幅を測定して下記の表1に示した。
【0043】
[比較例2]
大気圧下で乾燥アルゴン雰囲気にしてTOPOを300℃に加熱し、このTOPOに半導体原料5mlを注射器で一気に注入した他は、比較例1と同様にして、半導体超微粒子を得た。尚、半導体原料を注入したことによりフラスコ内の液温は180℃程度まで低下したが、その後数分で280℃まで上昇した。
また、上記のように製造した半導体超微粒子について、実施例1と同様に、平均粒径、粒径分布幅、吸収ピーク波長、吸収半値幅、発光ピーク波長、発光半値幅を測定して下記の表1に示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004486305
【0045】
表1に示されるように、本発明により製造した各半導体超微粒子(実施例1〜4)は、いずれも狭い粒径分布(0.70nm以下)であり、かつ、蛍光発光波長が550nm以下のものであった。また、反応板の数、反応容器での半導体結晶の成長の有無により、得られる半導体超微粒子の平均粒径を任意に制御可能であることが確認された。
これに対して、バッチ式により製造した半導体超微粒子(比較例1、2)は、粒径分布が広く、また、半導体結晶の成長を制御することが難しく、平均粒径が比較的大きなものであり、蛍光発光波長は550nmを超えるものであった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば加熱された反応板上で核となる半導体結晶が発生し成長し、この反応板を通過した時点で反応溶液が回収され反応が停止するので、反応板の長さ、温度条件等により反応を任意のところで停止させることが容易となり、所望の狭い粒径分布をもつ半導体超微粒子、例えば、蛍光発光波長が550nm以下の半導体超微粒子を高い生産性で製造することが可能となる。また、反応板を通過した半導体原料と液相媒質と半導体結晶を反応容器中において加熱して半導体結晶を更に成長させ、その後、反応溶液を回収することにより、より大きな粒径をもつ半導体超微粒子を狭い粒径分布で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体超微粒子の製造装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の半導体超微粒子の製造装置の他の実施形態を示す構成図である。
【図3】本発明の半導体超微粒子の製造装置の他の実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1,1′,1″…半導体超微粒子の製造装置
2,2A,2B…反応板
3,41…回収容器
5…容器
11…液相媒質の供給装置
15…滴下ノズル
21…半導体原料の供給装置
25…滴下ノズル
31…管状加熱反応器

Claims (15)

  1. 液相媒質中で半導体原料を加熱して半導体結晶を発生、成長させる半導体超微粒子の製造方法において、
    半導体原料と液相媒質とを発熱している反応板上に滴下し、該反応板上を流下させることにより半導体結晶を発生、成長させ、その後、前記反応板を通過した反応溶液を回収する工程を有し、平板形状または凹型形状である前記反応板を液相媒質の流下方向に直列に複数配列するとともに、液相媒質の流下方向に向け、150〜400℃の範囲内で各反応板の表面温度が段階的に低くなるように調整し、前記反応板上において液相媒質が有機化合物の連続相となるように液相媒質を滴下することを特徴とする半導体超微粒子の製造方法。
  2. 前記反応板を通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶を反応容器中において加熱することにより半導体結晶を更に成長させ、その後、反応溶液を回収することを特徴とする請求項1に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  3. 前記有機化合物は分子構造内に窒素原子、リン原子、および、硫黄原子から選ばれた少なくとも1種を含む配位性有機化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  4. 前記反応板上に滴下する時点から5秒前までの時間内に前記半導体原料を所望の温度に調整することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  5. 前記半導体原料を−20〜250℃の範囲内に調整することを特徴とする請求項4に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  6. 前記反応容器は液相媒質を攪拌する機構を備えた管状加熱反応器であることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  7. 前記反応容器を150℃以上であって前記反応板の表面温度以下の範囲で温度制御することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  8. 回収した前記反応溶液の吸収スペクトルにおいて、半導体結晶に由来するエキシトン吸収帯が観測されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  9. 前記エキシトン吸収帯のピークの波長をλApとし、該ピークよりも長波長側で吸収帯強度がピーク強度の半分となる波長をλAhとしたときに、式ΔλA=2(λAh−λAp)で算出される吸収半値幅ΔλAが50nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  10. 回収した前記反応溶液の発光スペクトルにおいて、半導体結晶に由来するエキシトン発光帯が観測されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の半導体超微粒子の製造方法。
  11. 前記エキシトン発光帯のピークの波長をλEpとし、該ピークよりも長波長側で発光帯強度がピーク強度の半分となる波長をλEhとしたときに、式ΔλE=2(λEh−λEp)で算出される発光半値幅ΔλEが50nm以下であることを特徴とする請求項10に記載の半導体超微粒子の製造方法。
  12. 液相媒質中で半導体原料を加熱して半導体結晶を発生、成長させて半導体超微粒子を製造するための装置において、
    液相媒質の流下方向に直列に複数配列され、液相媒質の流下方向に向け、150〜400℃の範囲内で各反応板の表面温度が段階的に低くなるように発熱を調整可能な反応板と、該反応板上に半導体原料を滴下するための供給装置と液相媒質が有機化合物の連続相となるように液相媒質を滴下するための供給装置と、前記反応板上を流下して通過した反応溶液を回収するための回収容器とを備え、前記反応板は平板形状または凹型形状であることを特徴とする半導体超微粒子の製造装置。
  13. 前記回収容器は、前記反応板を流下して通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを加熱して半導体結晶を更に成長させるための反応容器を兼ねることを特徴とする請求項12に記載の半導体超微粒子の製造装置。
  14. 前記反応板を流下して通過した前記半導体原料と液相媒質と半導体結晶とを加熱して半導体結晶を更に成長させるための反応容器を前記反応板と前記回収容器との間に備えることを特徴とする請求項12に記載の半導体超微粒子の製造装置。
  15. 前記反応容器は液相媒質を攪拌する機構を備えた管状加熱反応器であることを特徴とする請求項14に記載の半導体超微粒子の製造装置。
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