JP2002221434A - 歩数計 - Google Patents

歩数計

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JP2002221434A JP2001016247A JP2001016247A JP2002221434A JP 2002221434 A JP2002221434 A JP 2002221434A JP 2001016247 A JP2001016247 A JP 2001016247A JP 2001016247 A JP2001016247 A JP 2001016247A JP 2002221434 A JP2002221434 A JP 2002221434A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造で部品点数が少なく、歩数を確実
に計測することができる腕時計式の歩数計を提供する。 【解決手段】 揺動自在な振子41と、この振子41の
振動を検出する接点部90と、前記振子41を復帰方向
に付勢するばね51と、前記接点部90側に位置する重
り43とで回転体14を構成する。基板(13B)と回
転体14との間に衝撃付与手段100を配設し、回転体
14の回動を一定角度範囲内に規制する。衝撃付与手段
100を、基板側に設けたピン101と、重り43に設
けた凹部102とで構成し、回転体14が回動するとピ
ン101と凹部102が当たって回転体14に衝撃を発
生させる。歩行(走行)時の足の接地による衝撃による
加速度と、腕の振りによる衝撃加速度が振子41に加わ
るが、そのタイミングが略同じになるため、振子41を
確実に動作させることができ、正確な歩数計測を行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩行(走行)時の
歩数を計測する歩数計に関し、特に腕を殆ど振らないで
歩行したりあるいはジョギングしているときであっても
歩数を確実に計測することができる腕時計式の歩数計に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歩行(走行)時の歩数を計測する
この種の歩数計は、身体の上下運動により振子を上下方
向に振動させ、ばねにより重力に抗して上方へ復帰させ
るようにしているため、通常スラックスやスカートのベ
ルトの表面(または裏面)に略垂直になるように固定さ
れて使用されるものが最も一般的であった(例えば、特
開昭59−109987号公報、特開昭59−2020
16号公報、実開平2−50615号公報等)。
【0003】しかしながら、スラックスやスカートのベ
ルトに装着した場合、表裏面方向(厚さ方向)または周
方向(幅方向)に一定角度(15〜20°)以上傾いて
装着されると、振子が正常に振動せず計測誤差が生じ、
装着箇所の自由度が狭いという問題があった。したがっ
て、これらの歩数計を時計と兼用させるために腕時計に
組み込んだ場合、腕に装着したままでは歩数を計測する
ことができないために、ベルトに装着しなおさなければ
ならなかった。
【0004】そこで、本発明者は、このような問題を解
決するものとして、振子、接点部および重りを備えた回
転自在な振子式検出器と、マグネットとリードスイッチ
からなる回転センサをケース内に配設した運動量計(特
願2000−239581号)を既に提案した。このよ
うな運動量計によれば、周方向に傾いたり、上下逆の姿
勢になった場合であっても重りが振子式検出器を計測可
能な姿勢に自動的に復帰させるため、スラックスやスカ
ートのベルトに限らず、ポケット、鞄、ハンドバックの
中などに入れた状態で使用したり、あるいは腕に装着し
て使用しても正確に歩数を計測することができ、装着姿
勢および装着箇所の自由度を大幅に拡大させることがで
きる。また、上記回転センサは、振子式検出器が軸回り
に回転または一定角度以上回動すると、リードスイッチ
とマグネットが互いに近接してリードスイッチがONと
なり、振子式検出器の回転または回動を検出するため、
非歩行時であっても身体の各部の運動回数または運動量
を検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た運動量計は、マグネットと複数個のリードスイッチか
らなる回転センサを設けているため、部品点数が増加し
製造コストが高くなるばかりか、リードスイッチを振子
式検出器の周りに離間させて設ける必要があるため、運
動計自体の外形寸法が大きくなり、小型化する上で大き
な障害になるという問題があった。
【0006】本発明は上記した従来の問題を解決するた
めになされたもので、その目的とするところは、簡単な
構造で部品点数が少なく、歩数を確実に計測することが
できる腕時計式の歩数計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、揺動自在な振子、この振子を復帰方
向に付勢するばね、前記振子の振動を検出する接点部、
この接点部側に位置する重りとを有し、基板に回転自在
に配設された回転体と、前記接点部からの信号により少
なくとも前記振子の振動回数を演算処理する演算処理回
路を有する配線板と、前記回転体および配線板を収納す
る腕時計式バンド付きケースと、前記演算処理回路によ
って演算した少なくとも振動回数と時刻を表示する表示
手段とを備え、前記回転体と前記基板との間に前記回転
体の回動を制限しかつ回転体に衝撃を付与する衝撃付与
手段を設けたものである。
【0008】第2の発明は、上記第1の発明において、
衝撃付与手段を、時計における文字板の2時から3時の
間に設けたものである。
【0009】第1、第2の発明において、回転体は基板
に対して回転自在ではあるが、衝撃付与手段によって一
定の角度範囲内の回動のみを許容されている。したがっ
て、腕を振ると、回転体はこの角度範囲内で回動し、突
起部と回動規制部が当たるとその衝撃により振子が動作
して接点部に接触し、スイッチがONになる。また、振
子は足の接地による衝撃を感知することによっても動作
して接点部に接触する。つまり、本発明においては、地
面に靴が接地したときの衝撃加速度によって振子を動作
させるとともに、腕の振りによって発生する衝撃加速度
で振子を動作させることになる。しかし、靴の接地によ
る衝撃による加速度が振子に加わる時と、腕の振りによ
る加速度が振子に加わる時が略同じタイミングであるた
め、振子と回転体の重りがもつ慣性質量により、振子が
接点部に接触しても直ぐに離れず(直ぐに離れると2回
動作して接点部と接触するおそれがある)、タイミング
が少しずれてもそれに追従して動作することがない。つ
まり、手と足の運動がバラバラで不規則な場合は、足か
らの衝撃加速度と腕からの衝撃加速度のタイミングがず
れるため振子が動作したり動作しなかったりするが、実
際には手と足が略同期して運動するため、両加速度が振
子に加わる時が略同じタイミングとなり、2回動作した
りすることがなく、「1」としてカウントし、歩数を確
実に計測することができる。
【0010】接点部は振子が接触すると信号を発生し、
この信号に基づいて振子の振動回数を計測し、表示手段
に表示する。接点部としては、接片または圧電素子が用
いられる。表示手段としては、液晶表示装置が用いら
れ、歩数、時刻、消費カロリー等を表示する。
【0011】衝撃発生手段を時計における文字板の2時
から3時の間に設けておくと、腕を下方に伸ばした状態
で歩行するときおよび肘を折り曲げてジョギングすると
き、衝撃付与手段が回転体の中心を通る水平線より下方
に位置して回転体を歩数計測可能な姿勢に保持するた
め、振子を上下方向に確実に動作させることができる。
すなわち、腕を振る歩行の場合、腕の付け根を支点とし
て円周方向に前後一定角度(例えば、45°)に振って
歩行する。腕を振ると、バンド付きケースは腕と一体に
運動する。このとき、回転体は突起部と回動規制部との
係合によってケースと一体的に運動するが、最大角度振
って腕を止めたとき、慣性によってなおも回動し続けよ
うとする。この回動は回動規制部によって一定角度内に
規制されているため、一定角度回動すると突起部と回動
規制部が当たり、その衝撃により振子を動作させる。ま
た、歩行せずに腕だけ振っても回転体が一定角度回動す
るため、振子は動作する。
【0012】ジョギング時は肘を折り曲げるため、腕が
「肘鉄」スタイルの形となり、時計の文字板における9
〜12時の位置が重力方向となる。腕を略水平にすると
衝撃付与手段は回転体の中心を通る水平線より下方(1
2時〜3時の位置が鉛直下方)位置し、回転体を歩数計
測可能な姿勢に保持する。この状態で腕を前後に略水平
に振ってジョギングを行う場合、腕は円運動にならず、
前後方向の往復運動となるが、腕を振ると、上記した腕
を振って歩行するときと同様に回転体は衝撃付与手段に
よって許容された角度範囲内で回動し、突起部と回動規
制部が当たるとその衝撃により振子を動作させる。腕を
略45°に折り曲げると9時〜12時の位置が鉛直下方
となり、衝撃付与手段は回転体の中心を通る水平線より
下方に位置する。このため、回転体の重りが回転体の中
心を通る水平線より上方に位置し、振子が重りより下方
に位置する。したがって、回転体としては歩数計測不能
な姿勢となるが、この状態で腕を前後に振って円運動さ
せジョギングを行うと、回転体が一定角度回動し、突起
部と回動規制部が当たる。振子は重りに比べて十分に慣
性質量が小さいため突起部と回動規制部とが当たったと
きの衝撃により重力に抗して動作する。
【0013】第3の発明は、上記第1または第2の発明
において、衝撃付与手段を、基板と回転体のいずれか一
方に設けた突起部と、他方に設けた回動規制部とで構成
し、突起部と回動規制部が当たることにより回転体の回
動を一定角度範囲内に規制するものである。この発明に
おいて、突起部としてはピン状のものが考えられ、回動
規制部としては前記ピン状の突起部が挿入される孔(貫
通孔または不貫通孔のいずれであってもよい)、凹部等
が考えられる。また、回転規制部を回転体の回動方向に
離間する2つの突起で構成してもよい。この場合は、2
つの突起間にピン状の突起部を位置させればよい。
【0014】第4の発明は、上記第3の発明において、
衝撃付与手段の突起部を時計における文字板の2時20
(時針)分近傍に設けたものである。この発明におい
て、突起部を時計の文字板の時針における2時20分
(3時の位置から2時方向に20°傾いた位置)の近傍
に設けると、地面に靴が接地したときの衝撃加速度と、
腕の振りによって発生する衝撃加速度のタイミングが最
もよく一致することが実験の結果明らかにされた。
【0015】第5の発明は、上記第3または第4の発明
において、衝撃付与手段の突起部を、基板に突設したピ
ンで構成し、回動規制部を重りに設けた孔または凹部で
構成したものである。この発明においては、突起部をピ
ンで構成し、回動規制部を孔または凹部で構成している
ので、衝撃付与手段の構成が簡単である。重りとして
は、比重が大きい鉛等が用いられる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る歩
数計の一実施の形態を示す正面図、図2は図1のII−II
線拡大断面図、図3は図1のIII −III 線拡大断面図、
図4は図1のIV−IV線拡大断面図、図5は図1のV
−V線拡大断面図である。図6(a)、(b)、(c)
は回転体の正面図、背面図および側面図、図7(a)、
(b)は振子の正面図および底面図、図8は接点部の平
面図である。
【0017】これらの図において、全体を符号1で示す
歩数計は、歩行(走行)時の歩数とそのときの消費カロ
リーの計測と時刻を表示することができ、一般の腕時計
と同様に腕(通常左腕)に装着されて使用される。この
ため、外観形状が腕時計の胴(ケース)と略同じ形状の
腕時計式バンド付きケース2を備えている。
【0018】前記ケース2は、前面中央に形成された円
形の開口部4を有し、この開口部4を透明なガラス5に
よって気密に閉塞している。ガラス5はケース2の前面
に超音波溶着によって固定されている。また、ケース2
の前面側の外周面には、リング6が嵌合され、超音波溶
着等によって固定されている。さらに、ケース2の上下
面にはバンド7の取付部8がそれぞれ一体に延設され、
裏面側開口部に裏蓋10がパッキン11を介して取付け
られ、右側面には同一構造からなるモードボタン(モー
ド切替手段)12Aと設定ボタン12Bが取付けられて
いる。
【0019】上側のモードボタン12Aは、歩数計1の
使用モードを切り替える。使用モードは、歩行モード
と時計モードの2種類であるが、これ以外のモード、
例えば消費カロリーモードを組込むことも可能である。
歩行モードは、歩行時の歩数を表示する。時計モード
は、時刻を表示する。下側の設定ボタン12Bは、歩数
および歩幅から歩行距離を算出表示する。また、時計モ
ードにおいて時刻の修正を行う。
【0020】そして、ケース2の内部には、内ケース1
3内に回転自在に収納された回転体14と、表示手段と
しての液晶表示装置(以下、LCDという)16と、配
線板17と、電源としてのリチウム電池18等が組み込
まれている。
【0021】前記内ケース13は、背面が開放するカッ
プ状に形成されたケース本体13Aと、このケース本体
13Aの背面開口部を閉塞するカバー13Bとからな
り、前記ケース2内に固定されることにより前記回転体
14が取付けられる基板を構成している。ケース本体1
3Aとカバー13Bの中心には、軸孔21,22がそれ
ぞれ貫通して形成されており、これらの軸孔によって前
記回転体14の軸20(20A,20B)をそれぞれ回
転自在に軸支している。また、ケース本体13Aの前面
側には、前記LCD16、配線板17および通電板ばね
23が配設されている。前記カバー13Bの背面側に
は、前記リチウム電池18、通電接片24、プラス電池
接片25およびマイナス電池接片26が配設されてい
る。
【0022】前記LCD16は、第1〜第3の表示部2
7A〜27Cからなる表示部27(図1)を有し、この
表示部27が前記ケース2の前面側開口部4に臨むよう
に前記配線板17の前面に配設され、ゼブラコネクタ2
8(図2)を介して配線板17に電気的に接続されてい
る。上段の第1の表示部27Aは歩数を表示し、中段の
第2の表示部27Bは時刻を表示し、下段の第3の表示
部27Cは使用日数を表示する。これらの表示は、いず
れも複数個からなる日の字形のセグメントによって行わ
れる。中段の第2の表示部27Bは、第1、第3の表示
部27A,27Cに比べて使用頻度が高いため、大きな
セグメントで構成されている。
【0023】前記配線板17は、ケース本体13Aの前
面に突設した基板取付部29にビス止めされており、前
記LCD16、マイクロコンピュータ等が搭載されると
ともに、歩数計測に必要な演算処理回路が設けられてい
る。
【0024】前記リチウム電池18は、前記カバー13
Bの背面に着脱可能に固定され、前記プラス電池接片2
5とマイナス電池接片26の一端がそれぞれ接続されて
いる。プラス電池接片25とマイナス電池接片26の他
端は、前記内ケース13を貫通して内ケース13の前面
側に導かれ、前記配線板17にそれぞれ半田付けによっ
て接続されている。
【0025】さらに前記内ケース13の外周には、図5
に示すように電池の消耗等による計測したデータの消去
を防止するためにメモリ(E2 PROM)32(または
スーパーコンデンサ)を搭載した配線板33と、モード
切替用の通電接片34(図1、図4)が取付けられてい
る。前記配線板33は、前記配線板17に電気的に接続
されている。
【0026】前記通電接片34は、中央部が前記内ケー
ス13の外周に固定されており、両端部34a,34b
が弾性を有して前記モードボタン12Aと設定ボタン1
2Bの内端面にそれぞれ圧接されている。一方、前記配
線板17の端面で前記通電接片34の各端部34a,3
4bに対応する部位には、所定のパターンがそれぞれ形
成されている。モード切替時にモードボタン12Aを圧
縮コイルばね36に抗して押し込み通電接片34の一端
部34aを前記パターンに押し付けると、歩行モードか
ら時計モードまたはこの逆のモードに切り替えられる。
なお、時計モードにおいて時刻を修正するときは、設定
ボタン12Bを同じく図示しない圧縮コイルばねに抗し
て押し込み通電接片34の他端部34bを配線板17の
パターンに所定の時刻になるまで繰り返し押し付ければ
よい。
【0027】図2および図3において、前記通電板ばね
23は、細長い金属片からなり、基端側がケース本体1
3Aの前面外周部寄りに固定されるとともに前記配線板
17に半田付けによって電気的に接続され、自由端側が
ケース本体13Aの中心部にまで延在して前記回転体1
4の一方の軸20Aの先端面に圧接されている。
【0028】前記通電接片24は、L字状に折り曲げら
れた細長い金属片からなり、屈曲部が前記カバー13B
の背面外周部寄りに固定され、一端部がケース本体13
Aの中心部にまで延在して前記回転体14の他方の軸2
0Bの先端面に圧接されている。一方、他端部は前記内
ケース13を貫通して内ケース13の前面側に導かれ、
前記配線板17に半田付けによって電気的に接続されて
いる。
【0029】図5〜図7において、前記回転体14は、
合成樹脂によって形成された回転ケース40を有してい
る。この回転ケース40は、所定の間隔をおいて前後に
対向しかしめ等によって一体的に結合された第1、第2
ケース40A,40Bとで形成され、その回転中心に前
記軸20A,20Bが圧入によってそれぞれ取付けられ
ている。これらの軸20A,20Bはりん青銅等によっ
て形成されて表面がNiめっきされており、前記通電板
ばね23、通電接片24にそれぞれ電気的に接続されて
いる。回転ケース40の内部上方には、加速度センサを
構成する振子41が配設され、中央部には配線板42が
配設され、さらに下部には重り43がそれぞれ配設され
ている。
【0030】前記振子41は、SUS等の薄い金属板に
よって形成されることにより細長いアーム部41Aと、
このアーム部41Aの回動端側に設けられた接触子取付
部41Bとからなり、アーム部41Aの基端部に筒状の
軸受部材44が取付けられている。この軸受部材44
は、前記第1のケース40Aの内側面に突設した水平な
軸47によって上下方向に回動自在に軸支されている。
【0031】前記振子41の接触子取付部41Bには、
振子錘49が固定されている。振子錘49は、真鍮等の
非磁性材によって形成され、下面側に導電ゴムからなる
接触子48が一体的に設けられている。さらに、接触子
取付部41Bの上端にはばね係止部52が設けられてお
り、これによって線ばね51の上端を係止している。線
ばね51は、ばね用鋼材等からなり、下端側が前記第2
ケース40Bに設けたばね係止部53によって係止され
ることにより、振子41を重力に抗して上方に付勢して
いる。
【0032】前記第2ケース40Bは、上下方向に長い
ガイド孔54を有し、このガイド孔54に前記接触子取
付部41Bに突設したピン55が摺動自在に挿入されて
いる。このような振子41は、前記第1ケース40Aの
上端に設けたストッパ56に前記線ばね51によって通
常圧接されることにより、図6(a)、(b)に示すよ
うに前記重り43が鉛直下方、つまり真下に位置した状
態において上方に所定角度傾斜した状態に保持される。
【0033】図8において、前記配線板42の上面で前
記振子41が下方に回動したとき前記接触子48が接触
する部位には、接点部90が形成されている。この接点
部90は、互いに離間した2つの接片、すなわちプラス
側接片91とマイナス側接片92とからなり、これらの
接片91,92が前記接触子48の接触によって互いに
導通し、その導通回数を上記した演算処理回路によって
演算処理し、振子41の振動回数として計測する。そし
て、その振動回数を前記LCD16に表示する。
【0034】前記プラス側接片91とマイナス側接片9
2は、銅箔等によって形成され、表面が金めっきされて
いる。また、プラス側接片91とマイナス側接片92
は、それぞれ櫛歯状に形成されることにより、同一ピッ
チからなる細長い接点片91a〜91c、92a〜92
dをそれぞれ有し、電気回路部に接続されている。ま
た、プラス側接片91の接点片91a〜91cと、マイ
ナス側接片92の接点片92a〜92dは、半ピッチず
れて互いに噛み合うように形成されている。接点片91
a〜91c、接点片92a〜92dの幅および隣り合う
接点片どうしの間隔は、0.2mm程度である。接点片
91a〜91cと接点片92a〜92dの長手方向にお
いて噛み合う部分の長さXは、2mm程度である。この
ようなプラス側接片91とマイナス側接片92は、周知
の印刷配線技術によって形成されている。
【0035】前記接触子48は、振子41が下方へ振動
した時プラス側接片91とマイナス側接片92の接点片
91a〜91c、接点片92a〜92dのうち、少なく
とも一対の接点片、例えば図8においては接点片91a
と92a、接点片91bと92bの2対に対して接触
し、両接片91,92を電気的に導通させる。この場
合、接触子48の接触面の長さを長くすると、プラス側
接片91とマイナス側接片92の接触箇所が増加するた
め、歩数計測の信頼性を高めることができる。すなわ
ち、接触箇所が多くなると、いずれか1つの接触箇所が
金属酸化物や塵埃等の付着によって接触不良を起こして
も、全ての接触箇所が接触不良を起こすまでは計測可能
であるため、計測の信頼性は向上する。
【0036】再び図1および図6において、前記重り4
3は、三日月形に形成されたダイキャスト製の鉛からな
り、第1、第2ケース40A,40Bの下部間に挾持、
接着剤等によって固定されている。重り43の重心は、
回転体14の回転中心を通る垂直線上に位置している。
【0037】前記重り43と前記内ケース13との間に
は、前記回転体14の回動を一定角度内に制限し回転体
14に衝撃を付与する衝撃付与手段100が設けられて
いる。この衝撃付与手段100は、前記内ケース13の
内部に突設したピン(突起部)101と、前記重り43
の中央に設けた凹部(回動規制部)102とで構成され
ている。ピン101は、直径が例えば1.5mmφ程度
で、図1に示すようにアナログ式時計における文字板の
2時と3時の間に位置するように、望ましくは時計の2
時20分の位置付近、言い換えれば3時の位置から2時
方向にθ=20°程度回転した位置に設けられ、前記凹
部102に後方(または前方)から挿入されている。前
記凹部102は、重り43の下面および表裏面に開放す
るように形成された、溝幅が4.5mm程度の逆U字状
溝で構成されている。したがって、回転体14は、凹部
102の溝幅の範囲内において回動が許容されている。
【0038】ここで、本実施の形態においては、衝撃付
与手段100の突起部を内ケース13に突設したピン1
01で構成し、回動規制部を重り43に設けた凹部10
2で構成した例を示したが、本発明はこれに何等限定さ
れるものではなく、種々の変形、変更が可能である。例
えば、回動規制部を凹部102の代わりに貫通孔または
不貫通孔で構成してもよい。また、図9に示すように重
り43の周面に2つの突起105を周方向に離間させて
突設して回動規制部とし、これらの突起105間にピン
101を挿入してもよい。また、ピン101を重り43
側に設け、凹部102を内ケース13側に設けてもよ
い。さらに、重り43に限らず回転体14を構成する回
転ケース40にピン101または凹部102を設けるこ
とも可能である。
【0039】このような構造からなる歩数計1は、腕時
計と同様にバンド7によって使用者の腕(通常左腕)に
装着されて使用される。腕を真下に下げた状態において
は、時計の表示板の3時の位置が重力方向を指向してい
るため、回転体14は真下より2時側に角度θだけ傾
き、ピン101と凹部102の右内側面とが当接するこ
とにより初期位置に停止している。このとき、振子41
は重り43よりも上方に位置し、線ばね51により重力
に抗して上方に押し上げられストッパ56に圧接される
ことにより、歩数計測可能な状態に保持されている。
【0040】この状態において、使用者が腕の付け根を
支点として両腕を前後に一定角度(例えば、45°)振
って歩行すると、内ケース13(ピン101)が腕と一
体に運動し、これに伴いと回転体14も回動する。すな
わち、腕を鉛直下方となっている3時の位置を基点とし
て前方(図1においてプラス方向)に振って円運動させ
ると、内ケース13の12時の位置が鉛直下方に移動す
るように3時の位置が徐々に上昇しながら回動するた
め、ピン101も内ケース13と一体に回動する。腕を
振ると回転体14も回動するが、重りの慣性質量が大き
いため、内ケース13より遅れて回動し、ピン101が
凹部102の右側面から離れて左内側面に当たることに
より、ピン101によって回動される。腕を前方へ最大
角度、例えば90°振り上げると、12時の位置が鉛直
下方になり、内ケース13およびピン101が停止する
が、回転体14は慣性によってなおも回動しようとする
ため、凹部102の右内側面がピン101に当たり、そ
れ以上の回動を規制される。凹部102の右内側面がピ
ン101に当たると、回転体14に衝撃が発生し、この
衝撃により振子41を動作させる。また、靴が地面に接
地すると、その衝撃が体を介して腕に伝達されるとた
め、振子41はこのときの衝撃加速度によっても動作す
る。つまり、振子41は、地面に靴が接地したときの衝
撃加速度と、腕の振りによって発生する衝撃加速度によ
って動作するが、腕と足が略同期して運動するため、足
の接地による衝撃加速度が体を介して腕に伝わり振子4
1に加わる時と、腕の振りによる衝撃加速度が振子41
に加わる時が略同じタイミングとなる。また、タイミン
グが少しずれていても、振子41と重り43がもつ慣性
質量により、振子41はタイミングの早い衝撃加速度に
よって接点部90に接触しても直ぐには離れず、遅いタ
イミングの衝撃加速度に追従することがない。つまり、
振子41は1歩進む毎に1回動作して接点部90に接触
し、プラス側接片91とマイナス側接片92を電気的に
導通させる。これらの接片91,92が接触子48を介
して電気的に導通すると、パルス状の信号が演算処理回
路に入力され、その信号を振子41の振動回数「1」と
して計測し、LCD16に表示する。また、衝撃加速度
によって振子41が2回動作する、例えば、腕を最大角
度振ったとき、凹部102の右内側面がピン101に当
たり、その反動により回転体14が反対方向に回動して
左内側面がピン101に当たると、その衝撃により振子
41が続けて2回動作して接点部90に2回接触する
が、その場合接点部90に接触する間隔が一定時間以内
であれば、演算処理回路が1回としてカウントする。
【0041】さらに一歩前進して最初の一歩で前方に振
った腕を後方(マイナス側)に戻すと、内ケース13と
回転体14は上記したと同じ円運動をする(ただし、回
転方向は反対となる。したがって、腕を後方に最大角度
振ると、凹部102の左側面がピン101に当たり、そ
の衝撃によって振子41が動作して接点部90と接触す
る。また、振子41は地面に靴が接地したときの衝撃加
速度によっても動作する。つまり、連続歩行はこのよう
な動作の繰り返しとなるが、手を後に振った時も前に振
ったときと同様に、足の接地による衝撃による加速度が
体を介して腕に伝わり振子41に加わる時と、腕の振り
による加速度が振子41に加わる時が略同じタイミング
になるため、振子41はその都度1回動作して接点部9
0に接触し、その信号を演算処理回路が振子41の振動
回数として計測し、LCD16に表示する。したがっ
て、誤動作することが少なく歩数を正確に計測すること
ができる。
【0042】腕を振らないで歩行するときは、回転体1
4とピン101の回動は生じず、回転体14を初期位置
に停止したままの状態に保持する。このときは、地面に
靴が接地したときまたは蹴ったときの衝撃加速度のみが
体を介して腕に伝えられ、振子41を振動させる。した
がって、このときも歩数を正確に計測することができ
る。
【0043】ジョギング時に肘を略90°折り曲げる
と、腕は「肘鉄」スタイルの形となる。この状態におい
ては、時計の文字板の12時の位置が重力方向を指向し
ているため、回転体14は12時の位置から2時側に角
度70°程度(90ーθ)傾き、ピン101と凹部10
2の左内側面とが当接することにより初期位置に停止し
ている。このとき、振子41は下方に傾いているが重り
43よりも上方に位置し、線ばね51により重力に抗し
て上方に押し上げられストッパ56に圧接されることに
より、歩数計測可能な状態に保持されている。
【0044】この状態で腕を前後に略水平に振ってジョ
ギングを行うと、回転体14とピン101は前方へ移動
する。腕を前方へ最大ストローク移動させると、ピン1
01はその位置で停止するが、回転体14は慣性により
なおも前進しようとするため一定角度回動して凹部10
2の右内側面がピン101に当たり、それ以上の回動を
規制される。ピン101と凹部102が当たると回転体
14に衝撃が発生し、その衝撃加速度により振子41を
動作させる。また、振子41は地面に靴が接地したとき
の衝撃加速度によっても動作する。したがって、振子4
1はジョギング時においても上記した連続歩行と同様
に、腕の振りによる衝撃加速度と、地面に靴が接地した
ときの衝撃加速度によって動作するが、足の接地による
衝撃による加速度が振子41に加わる時と、腕の振りに
よる衝撃加速度が振子41に加わる時が略同じタイミン
グとなり、また振子41と重り43がもつ慣性質量によ
り振子41が接点部90に接触しても直ぐには離れない
ため、若干タイミングがずれたとしても振子41は一歩
進む毎に1回動作して接点部90に接触する。そして、
振子41の接触による接点部90からの信号を演算処理
回路が振子41の振動回数として計測し、LCD16に
表示する。したがって、ジョギング時においても誤動作
することが少なく歩数を正確に計測することができる。
【0045】歩数計1を右腕に装着して使用するとき
は、腕を下げると時計の文字板の9時の位置が重力方向
を指向し、3時の位置が上方を指向し、重り41が回転
体14の中心を通る水平線より上方に位置し、振子41
が上下反転するため、歩行時の歩数計測が困難になる。
ジョギング時の歩数計測も同様な理由から困難になる。
このような場合は、予め内ケース13をケース2に対し
て回転可能に組み込んでおき、180°回転させて使用
すればよい。
【0046】
【実施例】ピン101の外径を1.5mmφ、凹部10
2の溝幅を4.5mm、ピン101を時計の文字板の2
時20分(時針)の位置に設けた歩数計を製作し、腕に
装着して歩数を測定した結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】この表1から明らかなように、本発明によ
る歩数計は計測誤差が極めて小さく、スラックスやベル
トに装着される従来の歩数計(測定誤差:±5%程度)
に比べて優れていることが実証された。
【0049】なお、上記した実施の形態は、接点部90
を櫛歯状に形成したプラス側接片91とマイナス側接片
92とで構成した例を示したが、これに限らず直線状の
接片であってもよい。さらに、圧電素子を接点部として
用い、接触子48がこれを叩いたときに圧電素子自らが
発生するパルス状の電圧に基づいて振子41の振動回数
を計数するようにしてもよい。その場合は、電力消費が
軽減され、リチウム電池18を長く使用することができ
る利点がある。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る歩数計
によれば、回転自在な回転体の回動を衝撃付与手段によ
って一定角度範囲内に規制するとともに、衝撃付与手段
を時計の文字板における2時と3時の間(時針)に設け
たので、腕に装着した状態で歩行したり、ジョギングし
たときの歩数を正確に計測することができ、ベルト等に
装着して使用する場合に比べて時刻、歩数の確認が容易
で、紛失したりすることが少なく、利便性に優れた腕時
計式の歩数計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る歩数計の一実施の形態を示す正
面図である。
【図2】 図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】 図1のIII −III 線拡大断面図である。
【図4】 図1のIV−IV線拡大断面図である。
【図5】 図1のV−V線拡大断面図である。
【図6】 (a)、(b)、(c)は回転体の正面図、
背面図および側面図である。
【図7】 (a)、(b)は振子の正面図および底面図
である。
【図8】 接点部の平面図である。
【図9】 衝撃付与機構の他の実施の形態を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…歩数計、2…ケース、14…回転体、16…液晶表
示装置、40…内ケース(基板)、41…振子、43…
重り、48…接触子、81…マグネット、83a〜83
d…リードスイッチ、90…接点部、91…プラス側接
片、92…マイナス側接片、100…衝撃付与手段、1
01…ピン(突起部)、102…凹部(回動規制部)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揺動自在な振子、この振子を復帰方向に
    付勢するばね、前記振子の振動を検出する接点部、この
    接点部側に位置する重りとを有し、基板に回転自在に配
    設された回転体と、 前記接点部からの信号により少なくとも前記振子の振動
    回数を演算処理する演算処理回路を有する配線板と、 前記回転体および配線板を収納する腕時計式バンド付き
    ケースと、 前記演算処理回路によって演算した少なくとも振動回数
    と時刻を表示する表示手段とを備え、 前記回転体と前記基板との間に前記回転体の回動を制限
    しかつ回転体に衝撃を付与する衝撃付与手段を設けたこ
    とを特徴とする歩数計。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の歩数計において、 衝撃付与手段を、時計における文字板の2時から3時の
    間に設けたことを特徴とする歩数計。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の歩数計におい
    て、 衝撃付与手段を、基板と回転体のいずれか一方に設けた
    突起部と、他方に設けた回動規制部とで構成し、突起部
    と回動規制部が当たることにより回転体の回動を一定角
    度範囲内に規制することを特徴とする歩数計。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の歩数計において、 衝撃付与手段の突起部を、時計における文字板の2時2
    0分(時針)近傍に設けたことを特徴とする歩数計。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の歩数計におい
    て、 衝撃付与手段の突起部を、基板に突設したピンで構成
    し、回動規制部を重りに設けた孔または凹部で構成した
    ことを特徴とする歩数計。
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