JP4274755B2 - 1軸腕時計式歩数計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振り子検出スイッチを用いて歩数を計測表示可能な腕時計式歩数計に係り、特に一定方向の振動を検知する1軸方式を採用して小型化,低コスト化及び計測性能の向上化を図ることができる1軸腕時計式歩数計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、歩行(走行)時の歩数を計測する歩数計が数多く提案がなされており、そのセンサの構造によって大別すると機械式と電子式の2種類がある。電子式は小型化に適した構造であることから、一般に歩数計には、主に電子式のものが多く採用されている。
【0003】
電子式歩数計は、振り子検出スイッチを備え、該振り子検出スイッチを用いて歩数を計測表示可能なもので、詳しくは振り子をばねにより重力に抗して上方に付勢しておき、使用者が歩くとその上下振動に伴い振り子が上下方向に振動し、下方への揺動時に接点部(導電部)が接触すると通電して信号を出力し、これを電子回路で電気的に処理して計測し、LCD等の表示部によって表示するように構成したものが最も一般的である。
【0004】
また、前記振り子検出スイッチによる検知方法としては、該振り子検出スイッチにより一定方向の振動を検知するように構成された1軸方式と、該振り子検出スイッチにより常に上下方向の振動を検知するように構成された2軸方式とがある。
【0005】
ところで、この種の歩数計の構造を大きく分類すると、スラックスやスカートのベルト等を介して腰に装着するタイプと、腕時計タイプとの2種類のものがある。
【0006】
腰に装着するタイプの歩数計は、上述したように振り子検出スイッチにより一定方向の振動を検知する1軸方式を採用したものが主流である。つまり、歩数計を腰に固定することができるので1軸方式でも精度良く振動を検出し歩数をカウントすることができる。
【0007】
一方、腕時計タイプの歩数計は、歩行中(走行中)に装着した腕が前後するため、前記1軸方式では振動をうまく検出することができない。このため、この種の歩数計は、従来、振り子検出スイッチにより常に上下方向の振動を検知する2軸方式が採用されていた。
【0008】
電子式歩数計の先行技術としては、例えば上下逆の姿勢や傾いた場合であっても正確に歩数を計測でき、装着姿勢及び装着箇所の自由度を拡大するとともに、安価で消費電力を少なくすることを目的とした、特開2001−133284号公報に記載の歩数計がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の歩数計では、腰に装着するタイプの場合、スラックスやスカートのベルト等を介して腰に歩数計を固定すると、目立ち易く、また衣服で覆ったとしても体裁が悪く、ファッション性を損なってしまう不都合がある。
【0010】
そこで、上記問題点を解消するために、ファッション性もあり腕に簡単に装着可能な腕時計タイプの歩数計が提案され既に実用化されているが、この種の歩数計は、2軸方式が採用されているため、その構造も繁雑であることから小型・軽量化が困難であり、また、製造コストも高価になってしまうといった問題点があった。
【0011】
また、前記特開2001−133284号公報に記載の従来の歩数計では、スラックスやスカートのベルトに限らず、ポケット、鞄の中など、歩行時に身につけるものや携帯できるものであれば、何れのものでも使用可能な構成となっている。しかしながら、腕時計タイプの歩数計を構成するものではなく、また、2軸方式を採用しているため、小型、軽量化が困難で製造コストも高くなるといった不都合があった。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたもので、歩数の計測制度を向上することができ、小型、軽量化及び低コスト化を図ることができる1軸腕時計式歩数計を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様による1軸腕時計式歩数計は、ケースと、
このケース内に配置され、基端側を該ケースに設けた振り子軸に軸支して該軸を支点に時計回り方向及び反時計回り方向へ揺動する先端側に錘を設けた振り子と、
この振り子を前記振り子軸を支点に時計回り方向に付勢するバネと、
前記バネにより時計回り方向に付勢された振り子の背面側を当接させる前記ケースに設けた係合部と、
前記振り子の反背面側である先端側に設けた可動側接点部と、
前記振り子が振り子軸を支点に前記バネの付勢力に抗して反時計回り方向へ揺動して該振り子の可動側接点部が当接することにより導通し、該可動側接点部の当接を検出する前記ケースに配置した基板上の固定側接点部と、
を備え、
前記振り子は、先端側の可動側接点部が反時計回り方向へ揺動するときは、前記ケースを手の甲側の左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に揺動するよう配置し、
振り子軸の方向から見たときに、前記固定側接点部は、前記振り子が振り子軸を支点に反時計回り方向へ揺動する側の前記ケース内において、基板のラインが該ケースを手の甲側の左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に対して略45度の角度をなすように配置され、該固定側接点部が配置される基板のラインが、前記左腕を前方に略45度方向に振り上げたときには略水平方向に位置し、前記左腕が前記前方略45度方向から後方に略45度方向に振り上げられたときには略鉛直方向に位置するようになっており、
かつ、先端側に可動側接点部を設けた振り子、付勢バネ、固定側接点部を配置した前記ケースの外周に設けられて、常時外周方向に突出するよう付勢され突没自在な突起部と、この突起部を係合する係合部を内周面の周方向に形成して前記ケースを間欠的に回動可能に収納配置した外ケースとを備えて、前記ケースに配置した固定側接点部が配置される基板の略45度の配置角度を、最大±15度の範囲内で調整可能にしている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1の実施の形態:
(構成)
図1乃至図6は本発明に係る1軸腕時計式歩数計の第1の実施の形態を示し、図1は該1軸腕時計式歩数計の主要構成部材を示す分解組立て斜視図、図2は図1に示すケース本体の構成を示す分解斜視図、図3は本実施の形態の特徴となる構成を説明するための配置形態を示す説明図、図4は組立て後のケース本体の構成を示す斜視図、図5は該1軸腕時計式歩数計の振り子感度調整を説明するものでケース本体のアームバネの取付位置調整状態を示す説明図、図6は図2の振り子部の導電ゴムの構成を示す斜視図であり、図6(a)は通常使用されている角形状の導電ゴムを示し、図6(b)は接触面に複数の突起形状の凸凹部を設けた導電ゴムを示し、図6(c)は接触面に複数の溝形状の凸凹部を設けた導電ゴムを示している。
【0017】
本実施の形態の1軸腕時計式歩数計1は、図1に示すように、主にハウジング2,該ハウジング2内に配設される本体ケース6,歩数計測等の各種表示を行う液晶表示部(以下、LCDと称す)7,本体ケース6等の各種構成部品を下部から覆うとともに、前記ハウジング2に固定される裏蓋5等を備えて構成されている。
【0018】
ハウジング2は、軽量化に最適な合成樹脂を用いて腕時計タイプの外観を主に形成するもので、内部には円形状の開口が設けられ、この開口の上部には透明なガラス3を有する回転ベゼル4が回転可能に取付けられている。なお、図示はしないがハウジング2の側面側には、セットボタン,リセットボタン、表示切り替えボタン等の各種ボタンが設けられている。
【0019】
ハウジング2の内部には、図1に示すように、LCD7が前記ガラス3に対応するように内側から配され、次いでインターコネクタ8,下部に負極電池接片10Aが配されたケース本体6,電池9,正極電池接片10,裏蓋パッキン14の順序で積層するように収容した状態で裏蓋5の取付穴5aを介して止めねじ15により対応するハウジング2のねじ孔(図示せず)に螺合することにより、該裏蓋5をハウジング2の下部に固定している。
【0020】
前記LCD7は、ケース本体6内の主要電子回路に電気的に接続されており、上記の如く歩数計測等の各種表示を行うものである。このLCD7は、ハウジング2の内側に配設され、その下部には緩衝剤である例えばゴム形状のインターコネクタ8を介してケース本体6が配されるようになっている。
【0021】
ケース本体6は、本実施の形態の特徴となる主要構成部材であり、詳細な構成については後述するが、内部に歩数計測するのに必要な振り子式検出部16や該1軸腕時計式歩数計の各種制御を行う電子回路を有する電子基板(図示せず)等の主要構成部材を内装して構成されている。
【0022】
このケース本体6の底面は、図示はしないが電池9を位置決め可能な程度に凹部が設けられており、この凹部には前記電子基板と電気的に接続する負極電池接片10Aが配設されている。組立て時には、この負極電池接片10Aに電池9が配された状態で、絶縁体である2つのインシュレータ11a,11b,通電接片12を挟持するように正極電池接片10の取付穴10aを介して止めねじ13にてケース本体6の底面の取付孔(図示せず)に螺合することにより、該正極電池接片10を前記ケース本体6の底面に固定している。なお、2つのインシュレータ11a,11bは緩衝剤としての機能も有しており、また通電接片12は正極電池接片10とケース本体6内の電子基板とを電気的に接続するものである。
【0023】
また、裏蓋パッキン14は、弾性作用を有するゴム部材で構成されたもので、裏蓋5をハウジング2に取付けた際に、水の進入を防止する防水効果を得るものである。
【0024】
次に、本実施の形態の1軸腕時計式歩数計の特徴となるケース本体6の構成を図2〜図4を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
本実施の形態の1軸腕時計式歩数計1は、歩数の計測精度を向上することができ、小型・軽量化及び低コスト化を図るのに好適な1軸方式を採用して構成されている。
【0026】
具体的には、ケース本体6は、図2に示すように、円形状の上板6Aと、主にケース本体6の外観を構成するケース6Bと、このケース6Bの所定の配置位置に配設された振り子式検出部16と、センサ基板17とを備えて構成される。
【0027】
上板6Aは、前記振り子式検出部16を内装した状態でケース6Bの上側に取付けられ、図示はしないがこの上板6A上に該1軸腕時計式歩数計の各種制御を行う電子回路等を有する回路基板が装着されるようになっている。
【0028】
ケース6Bは、図2に示すように、前記振り子式検出部16を内部に保持固定するホルダ部材であり、内部の所定領域には振り子16aが回動可能な空間と、中央部に設けられ2軸方式構成時に使用する回転軸受け6aと、周面内側の一部に設けられた振り子軸6bと、該振り子軸6bと回転軸受け6aとの間に介在し、アームバネ調整部16dがスライド可能に配設される取付用部6cと、前記振り子16aの接点部(導電部)とは逆側の背面部が当接する係合ピン6dとを設けて構成されている。
【0029】
係合ピン6dには、図2,図4に示すように円筒形状の弾性部材であるクッションチューブ18が嵌装されるようになっている。つまり、このクッションチューブ18には、振り子式検出部16の振り子16aの背面部(図示せず)が当接して上死点で静止することになるが、このクッションチューブ18を設けたことにより、このときの振り子16aの振動やぶれを吸収して、常に安定した回動動作、即ち歩数カウント動作を実行することができるようになっている。
【0030】
振り子式検出部16は、前記振り子軸6bに振り子軸受け16cを嵌入し装着することにより、該振り子軸6bを軸にして振り子16aが回動可能となるようにケース6B内に取付けられる。
【0031】
この振り子式検出部16は、真鍮等の材質で板状に形成され、振り子軸6b近傍からアーム形状に延設され先端側が幅広形状の振り子16aと、該振り子16aの先端側の幅広部部に積層される中板16g、押え板16fと、振り子16aのアーム形状部分の基端部に設けられた振り子軸受け16cを有する筒状の振り子固定パイプ16bと、振り子16aの幅広部分の先端側面に設けられた接点部(導電部)である導電ゴム16hと、振り子16aの幅広部分上に設けられた図示しない円形状の錘を装着するための第1及び第2の振り子ピン16i、16jと、該振り子16aを常に上方向(係合ピン6d側方向、振り子軸6bを支点に時計回り方向)へ付勢するアームバネ16kとを含んで構成されている。
【0032】
アームバネ16kは、線形状のばねであり、例えば該アームバネの径が0.1乃至0.13mmのものが用いられている。また、前記振り子16aの先端部の重さが、1.4g乃至1.6gとなるように振り子ピン16i,16jに錘が装着されるようになっている。
【0033】
また、前記アームバネ16kの基端部が係合するアームバネ調整部16dが振り子16aの下側に配されるように、ケース6Bの取付用部6cにスライド可能に装着されている。
【0034】
このアームバネ調整部16dは、図2,図4に示すように、ケース6Bの所定位置に設けられたガイドネジ19が摺動可能なガイド溝16nが基端部に設けられ、また中央部分の下端面にはラックギア16eが形成されている。また、前記ガイド溝16nとは逆側の基端部分には、アームバネ16kの基端部を係止する2つの係合部6i,6hが並設されている。つまり、アームバネ16kの先端部を上記係合部6i,6hのいずれかに係合させることにより、該アームバネ16kの付勢力を簡単に調節することができるようになっている。
【0035】
また、前記ラックギア16e近傍のケース6Bには、調節孔6g(図5参照)が設けられており、この調節孔6gには、該ラックギア16eと係合するピニオン50aを先端部に形成された調整治具50が嵌入されるようになっている。
【0036】
つまり、本実施の形態では、製造時において、振り子式検出部16による検出感度調整を容易にし、さらにばらつきを少なくするために、ラックギアとピニオンギアとを採用し、アームバネ16kの固定位置を左右自在に微調整できるように構成されており、また、固定位置を少なくとも2カ所で簡単に取り外し変更可能な構成となっている。これにより、振り子感度調整時において、複数種のアームバネ16kを装着することができ、またこの場合のアームバネ16kの長さ及び線形の違いを容易に吸収することができるので、最適な振り子感度調整を行うことができる。
【0037】
また、前記振り子16aの導電ゴム16hが当接するケース6Bの位置には、図4に示すように前記センサ基板17が配設されている。このセンサ基板17の上面には前記導電ゴム16hとの接触を検出するための配線パターン17aが配されており、前記振り子16aの回動に伴い、導電ゴム16hと当接して接触すると、通電してこれを検出し、図示しない回路基板の電子回路へと検出信号を出力するようになっている。
【0038】
すなわち、ケース本体6においては、振り子16aがアームバネ16kにより重力に抗して常に上方(係合ピン6d側方向、振り子軸6bを支点に時計回り方向)に付勢されており、使用者が歩くとその上下振動に伴い振り子16aが上下方向(係合ピン6d側方向及びセンサ基板17側方向)に揺動し、下方(振り子軸6bを支点に反時計回り方向)への揺動時に導電ゴム16hがセンサ基板17の配線パターン17aに接触することにより、上記の如く、該センサ基板17により図示しない回路基板の電子回路へと出力された検出信号が、該電子回路にて電気的に処理されて計測され、図1に示すLCDに計測結果が表示されることになる。
【0039】
また、本実施の形態においては、例えば1軸腕時計式歩数計1内部の空気が湿気が多い場合を想定すると、この湿気により振り子16aの導電ゴム16hがセンサ基板17の配線パターン17aに対して接触した際に貼り付いてしまう虞れが考えられるが、本実施の形態では、これを防止するための改良が成されている。
【0040】
つまり、通常の導電ゴム16hは、図6(a)に示すように接触面が平面形状で構成されたものであるが、例えば図6(b)に示すように、接触面16L1が複数の突起形状の凸凹部を設けて凸凹形状(シボともいう)に形成された導電ゴム16Lや、あるいは、図6(c)に示すように接触面16M1が複数の溝形状の凸凹部を設けて凸凹形状に形成された導電ゴム16Mを用いることにより、湿気が多い場合でも配線パターン17a上に貼り付くことはなく、確実に電気的接触を行うことができるようになっている。
【0041】
本実施の形態の1軸腕時計式歩数計1では、上記構成のケース本体6をハウジング2内に固定する際に、図3に示すように、ケース本体6内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17の配置方向を、前記ハウジング2を左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向を示すx軸と直角なy軸との角度θが略45度(前記ハウジング2を左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に対して略45度の角度)となるように配置したことが特徴である。
【0042】
この場合、図3に示すように、振り子16aの回動軸である振り子軸6bはケース本体の上部方向に配置されるとともに、該振り子16aの先端部が前記x軸方向に回動するよう、すなわち、振り子16aの先端側の導電ゴム16hが、反時計回り方向へ揺動するときは、前記ハウジングを左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に揺動するよう振り子16aが配置されている。
【0043】
また、図3に示す状態は、該1軸腕時計式歩数計1を使用者の左手に装着し、重力に沿って真っ直ぐに左手を下ろした状態である。つまり、本実施の形態では、該1軸腕時計式歩数計を使用者の左手に装着することが必須条件となる。
【0044】
なお、上記配置条件となるように逆向きで各種部品を構成し右手仕様に応じた配置形態とすれば、勿論、右手仕様タイプの1軸腕時計式歩数計を構成することも可能である。
【0045】
(作用)
次に、図3を参照しながら本実施の形態の1軸腕時計式歩数計1の作用を説明する。
【0046】
いま、図3に示す状態で使用者の左手に本実施の形態の1軸腕時計式歩数計を装着し、使用者の歩数を計測するものとする。すると、使用者が右足から一歩歩き、該左手を振り上げた場合には、センサ基板17のラインは、略重力と鉛直な水平ライン上に配されることになる。この場合、振り子16aはアームバネ16kの上方への付勢力により、その背面側が係合ピン6dに嵌装されたクッションチューブ18に当接した上死点の位置にある。
【0047】
その後、左足を一歩踏み出した際に、使用者の左手は後方側に振られ、この左手の動きに伴い生じる慣性により、振り子16aは、振り子軸6bを支点としてアームバネ16kの付勢力に抗して反時計回り方向に揺動することで、導電ゴム16hがセンサ基板17の配線パターン17aに接触することになる。
すなわち、前記センサ基板17は、前記振り子16aが振り子軸6bを支点に反時計回り方向へ揺動する側の前記ケース本体6内であって、前記ハウジング2を左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に対して略45度の角度を以て配置され、該センサ基板17の配置方向が、左足を一歩踏み出して前記左腕を前方に略45度の方向に振り上げたときには略水平方向に位置し、前記左腕が前記略45度の方向から鉛直方向を経て後方に略45度の方向に振り上げられたときには略鉛直方向に位置することになり、この略鉛直方向に位置するセンサ基板17の配線パターン17a方向に振り子16aが揺動して先端側の導電ゴム16hが該導電パターン17aに接触することになる。
【0048】
こうして、該センサ基板17は、その接触により導通した検出信号を図示しない回路基板の電子回路へと出力し、該電子回路にて電気的に処理がなされて計測された後、図1に示すLCDに計測結果、すなわち“1”が表示されることになる。
【0049】
この場合、使用時に湿気が多い場合でも、本実施の形態では、上述したように凸凹形状の導電ゴム16L(または導電ゴム16M)を用いているので、センサ基板17の配線パターン17aに貼り付くことはなく、確実にカウントすることができる。
【0050】
また、振り子16aが上死点で静止する位置に係合ピン6dに嵌装されたクッションチューブ18が配置されているので、該振り子16aの背面部が該クッションチューブ18に当接することで該振り子16aの振動やぶれを吸収して、常に安定した歩数カウント動作を実行することができる。
【0051】
また、本実施の形態の1軸腕時計式歩数計の製造時に、振り子式検出部16の検出感度を調整する場合には、図5に示すように、ケース6Bの調節孔6gに、調整治具50の先端部に設けられたピニオンギア50aを嵌入し、該ピニオンギア50aとラックギア16eと係合させた状態で該調整治具50を適宜回転調整する。これにより、ラックギア16eを介してアームバネ調整部16dは適宜スライド動作することにより、アームバネ16kの付勢力を自在に調整することができ、また、装着されたアームバネ16kの種類(長さや線径)に応じて最適な調整を容易に行うことができる。また、同じアームバネ16kの場合でも、アームバネ16kの先端部を係合部6i,6hのいずれかに係合させることにより、該アームバネの16kの付勢力を簡単に調節することができる。
つまり、本実施の形態にでは、製造時において、簡単な調整にて振り子式検出部16による検出感度調整を行うことができる。
【0052】
実際に、上記実施の形態の1軸腕時計式歩数計を用いて歩数計測を行い、正規なカウンター及び従来の腰に装着するタイプの歩数計との比較結果が、下記の表1に示されている。なお、表1においては、使用者は一般男子とし、通常歩行及びジョキングとの2つの歩行形態について、各種歩数計を用いて3回の実験を行った。
【0053】
【表1】
上記表1の45゜の計測結果からもわかるように、使用者が通常歩行、腕を平行まで振った場合のジョキング時、及び腕を大振りにした場合のジョキング時のいずれの場合でも、高精度に歩数計測を行うことができた。
【0054】
(効果)
したがって、本実施の形態によれば、簡単な構成で歩数の計測精度を向上することができ、小型・軽量化及び低コスト化を図ることのできる1軸腕時計式歩数計を実現することが可能となる。
【0055】
第2の実施の形態:
ところで、本発明の1軸腕時計式歩数計1は、ケース本体6内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θが45゜となるようにケース本体6を配置し固定した構成のみではなく、この角度θ45゜の±15゜の範囲内で自在に調節可能に構成することもできる。このような実施の形態を図7乃至図11に示す。
【0056】
(構成)
図7乃至図11は本発明に係る1軸腕時計式歩数計の第2の実施の形態を示し、図7は該1軸腕時計式歩数計の主要構成部材を示す分解組立て斜視図、図8は図7に示す外ケースの構成を示す分解斜視図、図9は図8に示すケース本体の構成を示す分解斜視図、図10は組立て後のケース本体の構成を示す斜視図、図11はケース本体の角度調整時を説明するための説明図を示している。なお、図7乃至図11は、前記第1の実施の形態と同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0057】
本実施の形態では、外ケース20内において、ケース本体21内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θが45゜の±15゜の範囲内で自在に調節可能に構成したことが特徴である。
【0058】
具体的には、図7に示すように、センサ基板17のラインとy軸との角度θが45゜の±15゜の範囲内で自在に調節可能とするケース本体21を有する外ケース20が設けられている。その他の構成については、前記第1の実施の形態と略同様である。
【0059】
外ケース20は、図8に示すように、外ケース板20Aと、前記第1の実施の形態と略同様に構成されたケース本体21と、該ケース本体21を所定の角度で回転自在に収容し保持するケース20Bと、該ケース20B内でケース本体21の回動を保持固定するブレーキ接片24と、リング形状の絶縁体及び緩衝剤としての作用を有するインシュレータ26と、電子回路等を搭載した電気基板27とで構成されている。
【0060】
なお、ブレーキ接片24は、平板形状で鉛直方向に所定の押圧力を有する弾性作用を備えて形成されたもので、左右両端側にはセットピン25a,25bにてケース20Bの底面上にかしめるための取付け孔24a,24bが設けられている。また、中央部分には、ケース本体21の回転軸を押圧するための押圧部24cが設けられ、かしめ固定した場合には、本実施の形態においては、該押圧部24cにてケース本体21の回転を抑制する。また、一方の取付け孔24bは長穴形状となっており、セットピン25bとの固定位置を調節することで回転軸への押圧力を調整可能である。
【0061】
前記外ケース20の外周の一部には、ケース本体21が60度の範囲で回動可能となるような寸法で切り欠き20bが形成されており、この切り欠き20bにはケース本体21の回転調整用のリブ21Cが配された状態で、且つ、該ケース本体21の中心軸が外ケース20の底面及び外ケース板20Aに装着される上下ブッシュ22,23にて回動自在に軸支された状態で外ケース20内に収容されるようになっている。
【0062】
この場合、外ケース20の内周面には、凸凹面で形成した係合部20eが形成されており、一方、この係合部20eに係合してその回転角度を保持するための突起部21eがケース本体21の外周の所定カ所に設けられている。すなわち、この突起部21eは、突没自在で且つその弾性作用により常時外周方向に付勢された構成となっており、該突起部21eが設けられていても該ケース本体21は、外ケース20内にて自在に回動させることが可能である。
【0063】
これにより、所定角度でケース本体21を回動させた場合には、該突起部21eが対応する係合部20eの凹部と係合すると同時にその弾性作用により、ケース本体21をその角度で確実に保持することができる。
【0064】
ケース本体21の構成は、前記第1の実施の形態と略同様な構成ではあるが、該ケース本体21が外ケース内で回転可能とするために軸センサ28が設けられ、該軸センサ28の軸28aを介して該ケース本体21が外ケース20内に軸支されることになる(図9参照)。
【0065】
なお、軸センサ28のセンサ接片28bは、センサ基板17の配線パターン17aと電気的に接続され、該ケース本体21が回転してもその検出信号を電気基板27の電子回路へ確実に出力するためのものである。
【0066】
また、ケース本体21において、前記第1の実施の形態と同様に、アームバネ調整部16dのガイド溝16nに嵌合されるガイドネジ19,アームバネ16kの基端部を係止する2つの係合部21i,21h,調節孔21gが設けられており、その作用についても前記第1の実施の形態と同様である(図9参照)。
【0067】
その他の構成、及び作用については前記第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0068】
(作用)
いま、使用者の腕の振り上げ状態に応じて、ケース本体21内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θを例えば60゜に設定して歩数計測を行うものとする。
【0069】
この場合、外ケース20において、ケース本体21のリブ21Cを、図11に示す状態で回動させることでセンサ基板17のラインと、y軸との角度θを60゜に設定し、上記したように突起部21e及び係合部20e(図8参照)にてその角度状態が保持される。
【0070】
このように角度調整した後、前記第1の実施の形態と同様に作用して歩数計測がなされる。
【0071】
一方、ケース本体21内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θを例えば30゜に設定して歩数計測を行うものとする。
【0072】
この場合、外ケース20において、ケース本体21のリブ21Cを、図11に示す状態から図中に示す矢印方向に回動させ、該リブ21Cが切り欠き20bの基端部と当接することでセンサ基板17のラインと、y軸との角度θを30゜に設定し、上記同様に突起部21e及び係合部20e(図8参照)にてその角度状態が保持される。
【0073】
その後、このように角度調整した後、前記第1の実施の形態と同様に作用して歩数計測がなされる。
【0074】
なお、使用者の腕の振りの状態に応じて、任意な角度で調整し歩数計測を行うようにしても良い。
【0075】
実際に、角度θを30゜,60゜にそれぞれ設定した場合の1軸腕時計式歩数計を用いて歩数計測を行い、正規なカウンター及び従来の腰に装着するタイプの歩数計との比較結果が、上記表1に示されている。なお、本実施の形態においても、使用者は一般男子とし、通常歩行及びジョキングとの2つの歩行形態について、各種歩数計を用いてそれぞれ3回の実験を行った。
【0076】
したがって、上記表1の30゜,60゜の計測結果からもわかるように、使用者が通常歩行、腕を平行まで振った場合のジョキング時、及び腕を大振りにした場合のジョキング時のいずれの場合でも、前記第1の実施の形態例と同様に高精度に歩数計測を行うことができた。
【0077】
(効果)
したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果が得られる他に、外ケース20内において、ケース本体21内の振り子16aの導電ゴム16hが接触するセンサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θが45゜の±15゜の範囲内で自在に調節可能に構成したことにより、簡単な構成で、使用者のニーズに応じた、歩数計測の高精度な1軸腕時計式歩数計を実現することができる。
【0078】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、これらの実施の実施の形態の組み合わせや応用も本発明に適用される。
【0079】
また、前記第2の実施の形態においては、センサ基板17のラインと、重力線を示すx軸と鉛直なy軸との角度θが45゜の±15゜の範囲内で自在に調節可能に構成したことについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば必要に応じて前記角度θが45゜の±30゜の範囲内で自在に調節可能に構成しても良い。
【0080】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、歩数の計測精度を向上することができ、小型・軽量化及び低コスト化を図ることのできる1軸腕時計式歩数計を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1軸腕時計式歩数計の第1の実施の形態を示し、該1軸腕時計式歩数計の主要構成部材を示す分解組立て斜視図。
【図2】図2は図1に示すケース本体の構成を示す分解斜視図。
【図3】本実施の形態の特徴となる構成を説明するための配置形態を示す説明図。
【図4】組立て後のケース本体の構成を示す斜視図。
【図5】1軸腕時計式歩数計の振り子感度調整を説明するものでケース本体のアームバネの取付位置調整状態を示す説明図。
【図6】図2の振り子部の導電ゴムの構成を示す斜視図。
【図7】本発明の1軸腕時計式歩数計の第2の実施の形態を示し、該1軸腕時計式歩数計の主要構成部材を示す分解組立て斜視図。
【図8】図7に示す外ケースの構成を示す分解斜視図。
【図9】図8に示すケース本体の構成を示す分解斜視図。
【図10】組立て後のケース本体の構成を示す斜視図。
【図11】本実施の形態のケース本体の角度調整時を説明するための説明図。
【符号の説明】
1…1軸腕時計式歩数計、
2…ハウジング、
3…ガラス、
4…回転ベゼル、
5…裏蓋、
6…ケース本体、
6A…上板、
6B…ケース、
6a…回転軸受け、
6b…振り子軸、
6c…取付用部、
6d…係合ピン、
6g…調整孔、
7…LCD、
8…インターコネクタ、
9…電池、
10…正極電池接片、
10a…取付穴、
10A…負極電池接片
11a,11b…インシュレータ、
12…通電接片、
13,15…止めねじ、
14…裏蓋パッキン、
16…振り子式検出部、
16a…振り子、
16b…振り子固定パイプ、
16c…振り子軸受け、
16d…アームバネ調整部、
16e…ラックギア、
16f…押え板、
16g…中板、
16h…導電ゴム、
16i,16j…振り子ピン、
16k…アームバネ、
16L,16M…導電ゴム(凸凹面形状)、
16n…ガイド溝、
17…センサ基板、
17a…配線パターン、
18…クッションチューブ、
19…ガイドネジ、
20…外ケース、
21…ケース本体、
21C…リブ、
50…調整治具、
50a…ピニオンギア。
Claims (1)
- ケースと、
このケース内に配置され、基端側を該ケースに設けた振り子軸に軸支して該軸を支点に時計回り方向及び反時計回り方向へ揺動する先端側に錘を設けた振り子と、
この振り子を前記振り子軸を支点に時計回り方向に付勢するバネと、
前記バネにより時計回り方向に付勢された振り子の背面側を当接させる前記ケースに設けた係合部と、
前記振り子の反背面側である先端側に設けた可動側接点部と、
前記振り子が振り子軸を支点に前記バネの付勢力に抗して反時計回り方向へ揺動して該振り子の可動側接点部が当接することにより導通し、該可動側接点部の当接を検出する前記ケースに配置した基板上の固定側接点部と、
を備え、
前記振り子は、先端側の可動側接点部が反時計回り方向へ揺動するときは、前記ケースを手の甲側の左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に揺動するよう配置し、
振り子軸の方向から見たときに、前記固定側接点部は、前記振り子が振り子軸を支点に反時計回り方向へ揺動する側の前記ケース内において、基板のラインが該ケースを手の甲側の左腕に装着して該左腕を真下におろしたときの鉛直方向に対して略45度の角度をなすように配置され、該固定側接点部が配置される基板のラインが、前記左腕を前方に略45度方向に振り上げたときには略水平方向に位置し、前記左腕が前記前方略45度方向から後方に略45度方向に振り上げられたときには略鉛直方向に位置するようになっており、
かつ、先端側に可動側接点部を設けた振り子、付勢バネ、固定側接点部を配置した前記ケースの外周に設けられて、常時外周方向に突出するよう付勢され突没自在な突起部と、この突起部を係合する係合部を内周面の周方向に形成して前記ケースを間欠的に回動可能に収納配置した外ケースとを備えて、前記ケースに配置した固定側接点部が配置される基板の略45度の配置角度を、最大±15度の範囲内で調整可能にしたことを特徴とする1軸腕時計式歩数計。
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