JP2002219198A - ゴルフクラブヘッドおよびそれを装着したゴルフクラブおよびそれらからなるゴルフクラブセット - Google Patents

ゴルフクラブヘッドおよびそれを装着したゴルフクラブおよびそれらからなるゴルフクラブセット

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JP2002219198A
JP2002219198A JP2001017525A JP2001017525A JP2002219198A JP 2002219198 A JP2002219198 A JP 2002219198A JP 2001017525 A JP2001017525 A JP 2001017525A JP 2001017525 A JP2001017525 A JP 2001017525A JP 2002219198 A JP2002219198 A JP 2002219198A
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hosel hole
club head
around
center
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JP2001017525A
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Goro Hisamatsu
久松  吾郎
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Mizuno Corp
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Mizuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッド重心G回りの慣性モーメントの増加
と、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)の
減少を両立させて、ゴルフクラブヘッドの打撃時の安定
性と、打球方向の正確性の向上を図る。 【解決手段】 ドライバーで、ヘッド質量(M)を0.
20(kg)、ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフク
ラブヘッド重心回りの慣性モーメント(Ig)を0.0
0018(kgm)、ホーゼル孔中心軸回りの相当単
振り子長(Lp)を0.06(m)、重軸距離(r)を
0.03(m)とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インパクト時の挙
動を改善したゴルフクラブヘッドおよびそれを装着した
ゴルフクラブおよびそれらからなるゴルフクラブセット
に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフクラブヘッドには様々な性能が要
求されるが、特に重要な要素は、打撃時の安定性と、打
球方向の正確性である。
【0003】打撃時の安定性の向上は、ゴルフクラブヘ
ッドの重心まわりの慣性モーメントを大きくすることに
より達成されることは公知である。
【0004】図1〜図4はゴルフクラブをスイングする
ことによるゴルフクラブヘッドの原理を説明するための
図で、図1はゴルフククラブの外観図、図2はヘッドの
概略説明図、図3はスイング状態の説明図、図4は図3
の一部を抜粋した説明図である。図1、図2に示すよう
に、ゴルフクラブヘッド10には、シャフト6を挿入し
て固着するためのホーゼル孔2が設けられている。ボー
ルを打撃する場合には、スイートスポット4(ゴルフク
ラブヘッド重心(G)からフェース面1に垂線を引き、
該フェース面1に交わる点)でボールを打撃するのが理
想的であるが、当然、外す場合が多い。その際、ボール
の撃力によりゴルフクラブヘッド10は、ゴルフクラブ
ヘッド重心(G)回りに回転運動をする。これが打球の
方向を狂わせ、また振動を誘発し、安定性を低化させ
る。ゴルフクラブヘッド10のホーゼル孔中心軸に垂直
方向のゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント
(Ig)が大きければ、このゴルフクラブヘッド10
は、ゴルフクラブヘッド重心(G)回りの回転運動が抑
制され、安定性が増す。
【0005】このため、ホーゼル孔中心軸に垂直方向の
ゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント(Ig)
を大きくしようとする種々の提案がなされている。例え
ば、特開平11−4919号に記載されたものがある。
これは、重心を通る鉛直軸回りの慣性モーメントが4×
10−4kg・m以上であるゴルフクラブヘッドを開
示しており、打撃時のヘッドの回転(いわゆるブレ)と
慣性モーメントの相関が明示されている。また、特開平
8−126723では、ヘッド慣性モーメントを増大さ
せるために、部分的にマグネシウム合金を使用したり、
特開平8−257175では、同じくヘッド慣性モーメ
ントを増大させるために、部分的な肉厚を制限している
ものが見られる。
【0006】打球方向の正確性は、一般的に「ヘッドの
返り具合」や「ボールの捕まりの良さ」と呼称されてい
る。
【0007】ゴルフクラブ20のスイングとは、図3に
示すように、バックスイングBを始動し、トップTで回
転を切り返し、ダウンスイングDで腕の回転角速度を増
加させ、インパクトPの直前で、腕の回転角速度を減少
させると同時にコックを開放させ、ゴルフクラブの回転
角速度がピークを迎えたところで打撃するという一連の
運動である。このダウンスイングD中に、ヘッド重心G
の位置はシャフト6に対し打撃方向の後方に位置してお
り、フェース面1はスイングプレーンに対し該フェース
面1とヘッド重心Gとの成す角度αを保っている。つま
り、ゴルフクラブヘッド10は前記ゴルフスイング時の
スイングプレーンに乗って、打撃方向に対し並進運動し
ている。そしてコック開放と同時にスイングプレーンを
外れ、図4に模式的に示すように、シャフト中心軸5
(ホーゼル孔中心軸3)を軸として回転運動し、インパ
クトPの瞬間にフェース面1が打撃方向に対し直角にな
る。よって、目標方向の打球が得られる。
【0008】この際のホーゼル孔中心軸3を軸とするゴ
ルフクラブヘッド10の回転が遅れれば、フェース面1
は目標方向より右(右利きの場合)を向いた状態で打撃
することになり、当然打球は目標より右にそれる。これ
がゴルフクラブヘッド10の返りが悪く、捕まらないと
いう典型例である。つまり、打球方向の正確性は、イン
パクトP直前のホーゼル孔中心軸3を軸とするゴルフク
ラブヘッド10の回転運動の速度(ヘッド回転速度)と
強く関連している。前記ヘッド回転速度が遅ければ、打
球が右を向くか、もしくは、何らかの力を加えて修正し
なければならず、いずれにしても方向正確性が悪化す
る。
【0009】このように、ヘッドの返りを向上させ、ス
ライス等を防いで打球の方向性を安定させるために、例
えば、特開平2000−288131号に記載されたも
のがある。これは、ゴルフクラブヘッドを、体積が30
0cc以上と大型にして、かつ、重心距離Lを31mm
以下という小さな値に設定することにより、ボールを打
撃する際、ヘッド2の返りを向上させることができ、フ
ェース面4aがアドレスした状態に戻りやすくしたもの
が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のような
重心回りの慣性モーメントを増大させる発明は、いずれ
もインパクト時のみに有効な特性に着目したものであ
り、インパクトに至るまでのヘッドの挙動についは関与
していない。
【0011】また、前記重心距離Lの値を小さくする発
明は、逆に重心距離Lを小さくすることにより、体積が
大きなヘッドの特長である大きな重心回りの慣性モーメ
ントが減少してしまうことについて対策が取られていな
い。さらに、ヘッドの返りと重心距離Lとの相関は経験
によってのみ導かれている。
【0012】さらにまた、打球方向の正確性の向上は、
単にヘッドの重心距離Lを短くすることだけでは達成さ
れない。あくまでヘッドの挙動は力学的に慣性特性によ
って制御される。よって、重心距離Lを短くした場合の
質量分布が重要である。重心距離と質量分布の両者によ
って、1次、2次モーメントあるいはその割合(相当単
振り子長)が決定するからである。
【0013】したがって、前記した従来技術のゴルフク
ラブでは、前者は打撃時の安定性を向上させようとして
おり、後者は打球方向の正確性の向上を図るものである
というように個々に改良しようとしているもので、何れ
もその両立が成されていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明の請求項1に係る発明は、シャフトに取り付け
られるためのホーゼル孔を有するゴルフクラブヘッドで
あって、該ゴルフクラブヘッド質量(M)が0.23
(kg)以上0.35(kg)以下、ホーゼル孔中心軸
回りの相当単振り子長(Lp)が0.035(m)以上
0.065(m)以下であり、前記ホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸からゴ
ルフクラブヘッドの重心までの垂直距離である重軸距離
(r)とが、Lp=2r±0.003の関係を満たすゴ
ルフクラブヘッドである。
【0015】請求項2に係る発明は、シャフトに取り付
けられるためのホーゼル孔を有するゴルフクラブヘッド
であって、該ゴルフクラブヘッド質量(M)が0.15
(kg)以上0.21(kg)以下、ホーゼル孔中心軸
回りの相当単振り子長(Lp)が0.030(m)以上
0.060(m)以下であり、前記ホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸からゴ
ルフクラブヘッドの重心までの垂直距離である重軸距離
(r)が、Lp=2r±0.003の関係を満たすゴル
フクラブヘッドである。
【0016】請求項3に係る発明は、請求項1または2
に記載のゴルフクラブヘッドを装着したゴルフクラブで
ある。
【0017】請求項4に係る発明は、パターやロブウエ
ッジなどの短い特殊なクラブを除いた複数のゴルフクラ
ブからなるセットであって、前記ゴルフクラブが異なる
長さを有し、それぞれのゴルフクラブヘッドに関して、
該ゴルフクラブヘッドはシャフトに取り付けられるため
のホーゼル孔を有し、該ホーゼル孔中心軸回りの相当単
振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸からゴルフクラブ
ヘッドの重心までの垂直距離である重軸距離(r)と
が、Lp=2r±0.003の関係を満たし、かつ、ホ
ーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が0.0
30(m)以上0.065(m)以下の一定値を有する
ゴルフクラブヘッドを装着したゴルフクラブセットであ
る。
【0018】請求項5に係る発明は、パターやロブウエ
ッジなどの短い特殊なクラブを除いた複数のゴルフクラ
ブからなるセットにおいて、前記ゴルフクラブが異なる
長さを有し、それぞれのゴルフクラブヘッドに関して、
該ゴルフクラブヘッドはシャフトに取り付けられるため
のホーゼル孔を有し、該ホーゼル孔中心軸回りの相当単
振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸からゴルフクラブ
ヘッドの重心までの垂直距離である重軸距離(r)と
が、Lp=2r±0.003の関係を満たし、かつ、ホ
ーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が0.0
30(m)以上0.065(m)以下であって、前記ホ
ーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が各ゴル
フクラブヘッド質量に比例して異なるゴルフクラブヘッ
ドを装着したことを特徴とするゴルフクラブセットであ
る。
【0019】請求項6に係る発明は、請求項4または請
求項5記載のゴルフクラブセットにおいて、前記ホーゼ
ル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)は0.030
(m)以上0.060(m)以下としたゴルフクラブセ
ットである。
【0020】前記関係式Lp=2r±0.003におけ
る「±0.003」は製造上の回避せざるバラツキであ
り、この範囲内であれば本発明の目的を達成することが
できる。ゴルフクラブヘッド質量が0.21〜0.23
(kg)のヘッドについては、本発明の主旨がある程度
満たされていると言えるので、改良の余地は大きくない
ため、本発明のゴルフクラブヘッド及びそれらを装着し
たゴルフクラブからは除外した。
【0021】ゴルフクラブヘッド質量が0.23(k
g)以上であるものは、一般的にはアイアンクラブと呼
ばれるゴルフクラブに装着されるヘッドである場合が多
く、質量が0.23(kg)以上で、0.35(kg)
まで位のものである。このようなヘッドを装着したゴル
フクラブでは、該ゴルフクラブの長さが短くて重量ヘッ
ドを装着したゴルフクラブほどいわゆる引っかける(打
球が大きく左方向(右利きの場合)にそれる)ことが多
いため、それを補正するためには、ホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)が0.035(m)以上
0.065(m)以下とすることが好適である。すなわ
ち、基本的に相当単振り子長(Lp)は,短い方がヘッ
ドの返りを早めるために好ましいが、ゴルフクラブの長
さが短くて重量ヘッドを装着したゴルフクラブについて
は、いわゆる引っかける(打球が大きく左方向(右利き
の場合)にそれる)という弊害もあり得るために、0.
035(m)以上0.065(m)以下を満たすことが
好適である。また、0.035(m)を下回ると明らか
にヘッドが返り過ぎるために、好ましくない。
【0022】ゴルフクラブヘッド質量が0.21(k
g)以下であるものは、一般的にはウッドクラブと呼ば
れる比較的長いゴルフクラブに装着されるヘッドで、通
常、質量が0.21(kg)以下で、0.15(kg)
まで位のものである。このようなヘッドを装着したゴル
フクラブでは、該ゴルフクラブの長さが長いクラブほど
いわゆるプッシュアウト(打球が大きく右方向(右利き
の場合)にそれる)が多い為、これを補正するために
は、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が
0.030(m)以上0.060(m)以下とすること
が好適である。すなわち、前記の質量が0.21(k
g)以下で比較的長いゴルフクラブの返りの悪さ、遅さ
を、ゴルフクラブの長さが短くて重量ヘッドを装着した
ゴルフクラブ並みに良くする為には、0.060(m)
を下回ることが必要である。また、0.030(m)を
下回ると明らかにヘッドが返り過ぎるために、好ましく
ない。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に基づき具体的
に説明する。図1〜図4に示すようにゴルフクラブ20
はゴルフクラブヘッド10に設けられたホーゼル孔2に
シャフト6の先端が挿入固着され、後端にはグリップ7
が挿入固着されて形成される。このようなゴルフクラブ
20でのスイングにおいて、インパクトP時には、シャ
フト6が打撃方向に先反りしていることが分かってお
り、したがって、インパクトP直前にシャフト6(特に
グリップ部)には打撃方向と逆方向の加速度が加わって
いる。よってこの反力としてのゴルフクラブヘッド10
の慣性力の下で、ゴルフクラブヘッド10はインパクト
Pの直前にホーゼル孔中心軸3を軸として振り子運動し
ていることになる(図3)。振り子運動の周期・速度は
振り子の長さのみに比例するので、ヘッドのホーゼル孔
中心軸3回りの相当単振り子長(Lp)が小さければ、
ヘッド回転速度が大きくなり、ホーゼル孔中心軸3を中
心に速く回転する。
【0024】また逆にヘッド回転速度が速すぎる場合も
考えられるが、この場合は経験的に、プレイヤーによる
修正が容易である。よって回転の遅れを無くすことの方
が重要である。
【0025】一般的に、並進運動する物体が、回転運動
に変換する際の、並進速度と回転速度の比率を決定する
要素が相当単振り子長(Lp)である。この様にインパ
クトP直前のゴルフクラブヘッド10の回転速度を増加
させるには、ゴルフクラブヘッド10のホーゼル孔中心
軸回りの相当単振り子長(Lp)を小さくすることが必
要である。
【0026】くわえて、ホーゼル孔中心軸に垂直方向の
ゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント(Ig)
の増大は、打撃時の安定性を向上させるために必要であ
ることから、ゴルフクラブヘッド10の打撃時の安定性
と、打球方向の正確性の向上は、ホーゼル孔中心軸に垂
直方向のゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント
(Ig)の増加と、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り
子長(Lp)の減少により達成されることを解明した。
しかし従来例では両者を両立できていない。
【0027】本発明の要旨とするところは、ゴルフクラ
ブヘッド10の重要な性能である打撃時の安定性と、打
球方向の正確性の両者を向上させるために、ゴルフクラ
ブヘッド10のホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
(Lp)を小さくすることと、ホーゼル孔中心軸に垂直
方向のゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント
(Ig)を大きくすることを両立させようとするもので
ある。
【0028】本発明者は、ホーゼル孔中心軸回りの相当
単振り子長(Lp)を小さくすることと、ホーゼル孔中
心軸に垂直方向のゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モ
ーメント(Ig)を大きくすることを両立させるため
に、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)と
ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフクラブヘッド重心
回りの慣性モーメント(Ig)の関係を以下のように求
めた。 ホーゼル孔中心軸回りの慣性モーメント(I) ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフクラブヘッド重心
回りの慣性モーメント(Ig) ゴルフクラブヘッド質量(M) ホーゼル孔中心軸からゴルフクラブヘッド重心までの垂
直距離を重軸距離(r)とした時、ホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)、ホーゼル孔中心軸に垂直
方向のゴルフクラブヘッド重心回り慣性モーメント(I
g)は Lp=I/(Mr) :式(1) Ig=I−Mr :式(2) で表される。
【0029】そこで、ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴ
ルフクラブヘッド重心回りの慣性モーメント(Ig)の
式(2)(Ig=I−Mr)を変形し、I=Ig+M
とし、これを式(1)(Lp=I/(Mr))に代
入した。 Lp=Ig/(Mr)+r :式(3)
【0030】式(3)から、Lpとrの関係は次の図5
のグラフに表すことができる。この曲線は、r=0とr
=Lpを漸近線とする双曲線である。この時Ig/Mは
定数0.001としている。
【0031】
【図5】
【0032】式(3)をrで微分し、 Lp’=-Ig/(Mr)+1 左辺を0とすると、 r=√(Ig/M) が得られる。また両辺を2乗すると、 r=Ig/M となる。これよりIg/(Mr)=rとして、これを式
(3)に代入すると、 Lp=2r となる。つまり式(3)の関係から、r=√(Ig/
M)のときにLpは最小値2r持つことが分かる。
【0033】さらに式(3)を変形すると、次の式
(4)になる。 Ig/M=Lp×r−r :式(4) 式(4)から、Ig/Mとrの関係は次の図6に示すグ
ラフで表すことが出来る。この時Lpは定数0.05と
している。
【0034】
【図6】
【0035】式(4)をrで微分し、 (Ig/M)’=−2r+Lp 右辺を0とすると、Lp=2rが得られる。これを式
(4)に代入すると、Ig/M=rとなる。つまり式
(4)の関係から、Lp=2rのときにIg/Mは最大
値rを持つことが分かる。
【0036】先の結果と総合すれば、r=√(Ig/
M)の時に、Lpは最小値2rとなり、またこのとき同
時にIg/Mは最大値rとなる。さらにはr=√(I
g/M)の両辺を2乗すればIg/M=rとなる。よ
って、Ig/M=rもしくはLp=2rを満たせば、
自動的に、その系はLpの最小値とIg/Mの最大値を
同時に満たしていることになる。
【0037】本発明の目的は、ゴルフクラブヘッド10
のホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)を小
さくすることと、ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフ
クラブヘッド重心回りの慣性モーメント(Ig)を大き
くすることを両立させようとするものであるが、ゴルフ
クラブヘッド質量(M)はゴルフクラブトータルの性能
を決定する要素として既に任意に決定されているので、
本発明の目的は、ゴルフクラブヘッド10のホーゼル孔
中心軸回りの相当単振り子長(Lp)を小さくすること
と、ホーゼル孔中心軸に垂直方向の重心回りの慣性モー
メント(Ig)をゴルフクラブヘッド質量(M)で除し
た、単位ゴルフクラブヘッド質量あたりのホーゼル孔中
心軸に垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig/
M)を大きくすることを両立させようとするものと言い
換えることができる。つまり、Lp=2rもしくはIg
/M=rを満たせば本発明の目的を達成できる。
【0038】ここでは、前記のようにLp=2rとIg
/M=rは同義である。よって、簡略のためにLp=
2rを満たすことに絞って、以下の考察をした。Lp=
2rが満たされれば、自動的にIg/M=rも満たさ
れるからである。
【0039】具体的には、本発明はホーゼル孔中心軸3
回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸に垂
直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)から発展し
た、単位ゴルフクラブヘッド質量あたりのホーゼル孔中
心軸に垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig/
M)を改良するものであり、Lpは式(1):Lp=I
/(Mr)から、Igは式(2):Ig=I−Mr
ら算出される。Iはホーゼル孔中心軸3からのゴルフク
ラブヘッド各質点までの距離の2乗と各質点の質量を掛
算し、これをゴルフクラブヘッド全体で積分して求める
ことができる。つまり、ホーゼル孔中心軸3を中心に質
量が同心円方向にどのように分布しているかが分かれ
ば、算出することが出来る。またrも質量分布で決定す
る重心位置から判明し、さらにMも分布する質量の合計
で求めることができる。したがって、本発明の目的は、
ホーゼル孔中心軸3を中心とした同心円方向の質量分布
の改良で達成することができる。
【0040】そこで、次のような仮想ゴルフクラブヘッ
ドを用いてLp=2rを満たす線密度分布への改良を試
みた。
【0041】単純化のため、ゴルフクラブヘッドはある
線密度を持った直線であるとする。ただしその直線は、
ホーゼル孔中心軸に対して垂直であり、ホーゼル孔中心
軸を「0(mm)」とした時、該ホーゼル孔中心軸から
フェースが存在する側と反対側に7(mm)の位置を一
端「−7(mm)」とし、ホーゼル孔中心軸と交差し、
ホーゼル孔中心軸からフェースが存在する他端側に95
(mm)の位置まで存在するとする。前記ヘッドの線密
度は一端である「−7(mm)」の位置から、他端95
(mm)まで、最小値としてある一定の線密度c(kg
/m)があるとする。そして、現状の一般的なアイアン
用のゴルフクラブヘッドの外形状とかけ離れない形状と
するために、前記「−7(mm)」の位置から、ホーゼ
ル孔中心軸の他端側に7(mm)の位置(合計距離14
mm)までは、前記一定の線密度c(kg/m)にある
線密度a(kg/m)を加えてあり、他端側に85(m
m)の位置から他端95(mm)までは、前記一定の線
密度c(kg/m)にある線密度b(kg/m)を加え
てあるとする。この時ヘッド質量M(kg)は次の式
(5)で求まる。
【0042】 M=0.014(a+c)+0.078c+0.010(b+c) :式(5 )
【0043】また、ホーゼル孔中心軸回りの慣性モーメ
ント(I)は I=∫0.007 −0.007axdx+∫0.095 −0.007cxd x+∫0.095 0.085bxdx で求めることができる。これを展開すると、 I=0.0000002a+0.0000810b+0.0002857c :式(6) となる。
【0044】また、重軸距離r(m)は、仮想ゴルフク
ラブヘッドの他端側のある点をxとした時、 ∫0.007 −0.007a(r−x)dx+∫ −0.007c(r−x)d x=∫0.095 c(x−r)dx+∫0.095 0.085b(x−r)d x を満たすことから、これを変形すると、 r=(0.0009b+0.004488c)/(0.014a+0.01b+ 0.102C) :式(7) となる。
【0045】前記したようにゴルフクラブヘッド質量M
(kg)は任意に決定されており、この場合、後述する
比較例のヘッドの質量と同じ 0.2772(kg)で
あるとする。この時、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振
り子長Lpは0.065(m)以下を満たしていて、例
えば、0.0645(m)でこれを満たしているとす
る。そうすると、このLpのままLp=2rを満たすに
は、重軸距離r(m)は0.03225(m)となる。
また式(1):Lp=I/(Mr)を変形するとI=M
rLpとなり先の数値を代入すると、I=0.0005
77(kgm)となる。よって、これらを式(5)、
(6)、(7)に代入すると、 0.2772=0.014(a+c)+0.078c+
0.010(b+c)0.000578=0.0000
002a+0.0000810b+0.0002857
c 0.0323=(0.0009b+0.004488)
/(0.014a+0.01b+0.102c) の連立方程式が得られる。係数a、b、cを解くと、 a= 5.4718 b=0.2467 c
=1.9424 が得られる。これを線密度分布に示すと、次の図7に示
すグラフになる。
【0046】
【図7】
【0047】比較例として、一般的6番アイアンヘッド
のホーゼル孔中心軸を中心した同心円方向の質量分布を
検証する。図8示すグラフは、一般的6番アイアンヘッ
ド(商品名 T−ZOID COMP)をホーゼル孔中
心軸を中心とした半径1mm毎の同心円(円柱)で分割
し、それぞれの質量を測定して、ホーゼル孔中心軸を中
心とした同心円方向の線密度分布に表したものである。
現実的に、スチール製アイアンヘッドを半径1mm毎の
同心円で分割することは困難なので、ヘッドの3次元形
状データを利用してCAD(computer aid
ed design)システムでシミュレーションして
いる。
【0048】
【図8】
【0049】前記比較例のゴルフクラブヘッド質量
(M)は0.2772(kg)、ホーゼル孔中心軸から
ヘッド最遠方部位までの距離は0.0950(m)、重
軸距離(r)は0.0403(m)、ホーゼル孔中心軸
回りの慣性モーメント(I)は0.000721(kg
)である。式(1)からホーゼル孔中心軸回りの相
当単振り子長(Lp)は0.0645(m)、式(2)
からホーゼル孔中心軸垂直方向の重心回りの慣性モーメ
ント(Ig)は0.0002709(kgm)とな
る。
【0050】図8のグラフから分かるように、比較例の
従来ゴルフクラブヘッドはシャフトと連結するホーゼル
孔を形成している部分で線密度が大きく、他端部分(ト
ウ)は小さく、またその他の部分はある程度の範囲の中
でばらついていることが分かる。意匠性などを優先させ
て、ホーゼル孔中心軸同心円方向の線密度分布は設計要
素として考慮されていないことが予測できる。また、本
比較例の従来ゴルフクラブヘッドは前記した従来例にも
れずLp=2rを満たすことはできていない。
【0051】以上のことから、実施例のゴルフクラブヘ
ッドの線密度分布を表す図7のグラフと比較例の従来ゴ
ルフクラブヘッドの線密度分布を表す図8に示すグラフ
と比較すると、比較例のゴルフクラブヘッドは、ホーゼ
ル孔形成部分で線密度を大きくし、他端部分(トウ)で
少し大きくし、その他の部分で小さくしなければならな
いことが分かる。そして実施例のゴルフクラブヘッドの
線密度分布の場合、比較例の従来ゴルフクラブヘッド質
量(M)、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(L
p)を維持しながら、ホーゼル孔中心軸垂直方向の重心
回りの慣性モーメント(Ig)は0.0002709
(kgm)から6.4%増加し、0.0002883
(kgm)(式(2)より算出する)となる。このI
gは前記した通り、Lp=2rを満たしているので、同
ヘッド質量(M)、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り
子長(Lp)の条件下で、最大値である。こうして線密
度の改良を達成することができる。
【0052】以上は、直線状の仮想ゴルフクラブヘッド
を用いた実施例であるが、これを基にして、より具体的
なゴルフクラブヘッド形状の設計を容易に実施すること
ができる。ホーゼル孔中心軸〜ゴルフクラブヘッド直線
軸平面の形状、すなわち打撃方向から見た形状は、ボー
ルを打撃するフェイス面を確保する為に任意に設計すれ
ば良く、また設計した形状により、ホーゼル孔中心軸か
らの距離に対する高さ分布が決定する。先の線密度分布
をこの高さ分布で除すれば、ホーゼル孔中心軸からの距
離に対するヘッド肉厚分布が算出される。よって、この
肉厚分布を堅持しながら、高さ方向の肉厚配分など、細
部を任意に設計することができる。
【0053】ただし、ロフト角が大きな場合や、ウッド
型ヘッドのように、打撃方向のヘッドの幅が大きい場合
は、線密度分布(ホーゼル孔中心軸同心円方向の質量分
布)を堅持していても、重軸距離は、打撃方向のヘッド
の幅が小さな場合と異なっている。(閉じた扇子の軸か
ら重心位置までの距離が、扇子を開くとともに変化する
ことと同様)よって、その都度線密度分布を微修正しな
ければならない。いうまでもなく、Lp=2rを堅持す
るためである。以上の実施例および設計方法は、これに
限らずどのゴルフクラブヘッドについても汎用的に用い
ることができる。
【0054】更に具体的に上記理論に基づき、例えば、
9番アイアン用ゴルフクラブヘッドとして、ヘッド質量
(M)を0.29(kg)、ホーゼル孔中心軸回りの相
当単振り子長(Lp)を0.06(m)、重軸距離
(r)を0.03(m)とした改良ヘッドは、ホーゼル
孔中心軸垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)
が0.000261(kgm)となり、従来例に無い
高い安定性を実現した。また、3番アイアン用ゴルフク
ラブヘッドとして、ヘッド質量(M)を0.25(k
g)、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)
を0.06(m)、重軸距離(r)を0.03(m)と
した改良ヘッドは、ホーゼル孔中心軸垂直方向の重心回
りの慣性モーメント(Ig)が0.000225(kg
)となり、同じく従来例に無い高い安定性を実現し
た。
【0055】また、ドライバー用ゴルフクラブヘッドと
して、ヘッド質量(M)を0.20(kg)、ホーゼル
孔中心軸に垂直方向の重心回りの慣性モーメント(I
g)を0.00018(kgm)、ホーゼル孔中心軸
回りの相当単振り子長(Lp)を0.06(m)、重軸
距離(r)を0.03(m)とした改良ヘッドは、従来
例に無い「ヘッドの返り・捕まり」を体感することがで
き、打球方向の正確性向上を実現した。これらの実施例
として挙げたゴルフクラブの、前述した特徴を図11に
ドライバーを、図12に3番アイアンを、図13に9番
アイアンを示す。
【0056】また、同時に、市販されているゴルフクラ
ブについて調査した。図9は、無作為に収集したゴルフ
クラブヘッドについての図である。内訳はドライバー1
11個(質量0.184kg〜202kg)、フェアウ
ェイウッド82個(質量0.197kg〜0.220k
g)、3番アイアン43個(質量0.230kg〜0.
255kg)、6番アイアン43個(質量0.241k
g〜0.274kg)、9番アイアン43個(質量0.
258kg〜0.295kg)の合計322個のゴルフ
クラブヘッドの、それぞれのホーゼル孔中心軸回りの相
当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸に垂直方向の
重心回りの慣性モーメント(Ig)を縦軸に、横軸をゴ
ルフクラブヘッド質量とした散布図である。ホーゼル孔
中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心
軸に垂直方向のゴルフクラブヘッド重心回り慣性モーメ
ント(Ig)は実施例と同様の次の様に測定・計算し
た。まず、慣性モーメント測定機によりホーゼル孔中心
軸回りの慣性モーメント(I)を測定する。次に、秤で
ゴルフクラブヘッド質量(M)を測定する。次にバラン
ス測定機により重心位置を測定し、ホーゼル孔中心軸に
垂直方向の重心位置との距離(重軸距離)(r)を算定
する。そしてホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
(Lp)、ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフクラブ
ヘッド重心回り慣性モーメント(Ig)を前述した慣性
モーメントの式により算出した。 Lp=I/(Mr) :式(8) Ig=I−Mr :式(9)
【0057】
【図9】
【0058】この図9から、質量の小さなゴルフクラブ
ヘッド(ドライバー)は、質量の大きなゴルフクラブヘ
ッド(例えばここではアイアン)に比べて相当単振り子
長(Lp)と重心回り慣性モーメント(Ig)がともに
大きく、質量の大きなゴルフクラブヘッド(アイアン)
はその逆であることが分かる。したがって、これらのこ
とから現在市販されているゴルフクラブでは、質量の小
さなゴルフクラブヘッドを装着した“ウッドクラブ”は
打撃時の安定性はよいがヘッドの返り・捕まりが悪く、
質量の大きなゴルフクラブヘッドを装着した“アイアン
クラブ”は逆に返り・捕まりは良いが、スイートスポッ
トを少しでも外すと手にしびれると言われていることで
分かるように打撃時の安定性が悪く、さらにはアイアン
クラブの中ではショートアイアンほど安定しているとい
う一般的な傾向を、容易に理解することができる。
【0059】つぎに、図9に示した322個について、
ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)を縦軸
に、重軸距離(r)を横軸にして表した散布図(図1
0)により示し、現状を確認する。なおアイアンを丸、
ドライバーを四角、フェアウェイウッドを三角で示す。
またLp=2rの関係を示す直線を実線で、Lp=2r
±0.003の関係を示す直線を点線で示した。
【0060】
【図10】
【0061】図10から、まずアイアンヘッド(重量ヘ
ッド)がLp=2rの関係からかけ離れていることが分
かる。例えばこれらのアイアンで、ホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)をその値のままにして、重
軸距離(r)をLp/2の値にすることができれば、そ
のLp値を条件とした中で、Ig/Mを最大にすること
ができる。あるいは、重軸距離(r)の値をそのままに
して、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)
を2rの値にすることができれば、そのLp値を条件と
した中で、Ig/Mを最大にすることができる。ただし
この場合、小さなホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子
長(Lp)をわざわざ大きくすることになり、本発明の
主旨にそぐわない。
【0062】また、ドライバーヘッドとフェアウェイウ
ッドヘッドの一部に、Lp=2rを満たしている、ある
いはそれに近いものがあることが分かる。詳細に観察す
ると、Lp=2r±0.003の範囲に入るゴルフクラ
ブヘッドは、ドライバー46個、フェアウェイウッド1
3個の合計59個である。これらのゴルフクラブヘッド
は、そのゴルフクラブヘッドが持つホーゼル孔中心軸回
りの相当単振り子長(Lp)の値の条件の下で、Ig/
Mが最大値あるいは最大値に近く、打撃時の安定性が非
常に高いといえる。これらのヘッドが、そのゴルフクラ
ブヘッドが持つホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
(Lp)の値をそのままにして、重軸距離(r)の値を
大きくしても小さくしても、Ig/Mの値は小さくな
り、打撃時の安定性が低化する。
【0063】しかし、問題は前記した通り、ドライバ
ー、フェアウェイウッドなどの軽量ゴルフクラブヘッド
は、アイアンヘッドなどの重いゴルフクラブヘッドと比
較して基本的にホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
(Lp)の値が大きいことにある。よって打球方向の正
確性を向上させるためにLp=2rの関係を維持しなが
らLpの値を小さくしなければならないことがわかる。
【0064】この点を詳細に観察するために、図9のL
p=2r±0.003の範囲に入る59個のゴルフクラ
ブヘッドについて、このうち、ドライバー、3番アイア
ン、9番アイアンを取り出し、縦軸にホーゼル孔中心軸
回りの相当単振り子長(Lp)の値と、横軸をホーゼル
孔中心軸垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)
の値として散布図にしたものが以下の図11、図12、
図13である。
【0065】
【図11】
【0066】
【図12】
【0067】
【図13】
【0068】図10に示すアイアン(合計129個)の
ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)は、平
均が0.0598(m)である。これに対し、図11、
12、13に示すLp=2r±0.003を満たす59
個のヘッドは、いずれも0.21(kg)よりヘッド質
量が小さいものでは、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振
り子長(Lp)の値が0.06(m)より小さいものは
存在しない。つまり、Ig/Mの値が大きく打撃時の安
定性が高いゴルフクラブヘッドは、やはりLpの値が大
きく、打球方向の正確性はアイアンクラブより低い。
【0069】以上のように、本実施例品のドライバー、
3番アイアン、9番アイアンのゴルフクラブヘッドは、
従来品に比べてLpの値が小さく、かつ、その値におい
て、Igの値が大きいため、このような構成のゴルフク
ラブヘッドを異なる長さを有するシャフトに装着してゴ
ルフクラブとすれば、それらのゴルフクラブの持つ長
さ、質量等の特性を効果的に発現できるので、打撃時の
安定性と打球方向の正確性が向上したゴルフクラブとな
ることが明らかである。
【0070】また、このようなゴルフクラブを用いてゴ
ルフクラブセットとすることができる。このような場合
には、パターやロブウエッジなどの短い特殊なクラブを
除いたセット中のゴルフクラブは種々のパターンに設計
することができる。たとえば、いくつかのゴルフクラブ
を組み合わせてセットとする時、セット中のクラブで、
ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が0.
030(m)以上0.065(m)以下、さらに好まし
くは、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)
が0.030(m)以上0.060(m)以下の略同一
の値とすることができる。このようなセットとすれば、
セット中のゴルフクラブに対して、同じタイミングのス
イングをする人に対しては、ヘッドの返りが同じになる
ため、スイングし易く、それぞれのゴルフクラブの特性
を効果的に発揮できる。
【0071】また、ゴルフクラブヘッドのホーゼル孔中
心軸回りの相当単振り子長(Lp)が0.030(m)
以上0.065(m)以下であって、さらに好ましく
は、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が
0.030(m)以上0.060(m)以下で、ゴルフ
クラブヘッドの質量が大きくなるに従い、順次増加する
構成とすることができる。このようなセットとすれば、
例えば、長いクラブほどゆっくりスイングする人に対し
ては、ヘッドの返りが同じになるため、スイングし易
く、それぞれのゴルフクラブの特性を効果的に発揮でき
る。上記、いずれの場合も、パターやロブウエッジなど
の短い特殊なクラブを除いた複数のゴルフクラブからな
るセットにおいて、セット中のすべてのゴルフクラブに
共通して実施することが重要である。
【0072】
【発明の効果】ゴルフクラブヘッドのホーゼル孔中心軸
回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心軸から
ゴルフクラブヘッドの重心位置までの垂直距離である重
軸距離(r)について、Lp=2rの関係を満たすよう
に質量分布を改良することにより、打撃時の安定性と打
球方向の正確性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフクラブの外観図。
【図2】スイングによるゴルフクラブヘッドおよびゴル
フクラブの原理を説明する図。
【図3】スイング状態の説明図。
【図4】スイング時のゴルフクラブヘッドの動作を説明
する図。
【図5】Lpとrの関係を表すグラフ。
【図6】Ig/Mとrの関係を表すグラフ。
【図7】Lp=2rを満たす仮想ゴルフクラブヘッドの
線密度分布を表すグラフ。
【図8】一般的6番アイアンヘッドの線密度分布を表す
グラフ。
【図9】市販されているゴルフクラブについてホーゼル
孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中
心軸に垂直方向のゴルフクラブヘッド重心回りの慣性モ
ーメント(Ig)を測定して表した散布図。
【図10】市販されているゴルフクラブについて、ホー
ゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)と重軸距離
(r)を表した散布図。
【図11】従来例と実施例のドライバーの、ホーゼル孔
中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中心
軸垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)を表し
た散布図。
【図12】従来例と実施例の3番アイアンの、ホーゼル
孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中
心軸垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)を表
した散布図。
【図13】従来例と実施例の9番アイアンの、ホーゼル
孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホーゼル孔中
心軸垂直方向の重心回りの慣性モーメント(Ig)を表
した散布図。
【符号の説明】
1 フェース面 2 ホーゼル孔 3 ホーゼル孔中心軸 4 スィートスポット 5 シャフト中心軸 6 シャフト 7 グリップ 10 ゴルフクラブヘッド 20 ゴルフクラブ α フェース面とヘッド重心Gとの成す角度 M ゴルフクラブヘッド質量 Lp ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長 r 重軸距離 G ゴルフクラブヘッド重心 Ig ホーゼル孔中心軸に垂直方向のゴルフクラブヘッ
ド重心回りの慣性モーメント I ホーゼル孔中心軸回りの慣性モーメント

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シャフトに取り付けられるためのホーゼ
    ル孔を有するゴルフクラブヘッドであって、該ゴルフク
    ラブヘッド質量(M)が0.23(kg)以上0.35
    (kg)以下、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
    (Lp)が0.035(m)以上0.065(m)以下
    であり、前記ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
    (Lp)とホーゼル孔中心軸からゴルフクラブヘッドの
    重心までの垂直距離である重軸距離(r)とが、Lp=
    2r±0.003の関係を満たすことを特徴とするゴル
    フクラブヘッド。
  2. 【請求項2】 シャフトに取り付けられるためのホーゼ
    ル孔を有するゴルフクラブヘッドであって、該ゴルフク
    ラブヘッド質量(M)が0.15(kg)以上0.21
    (kg)以下、ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
    (Lp)が0.030(m)以上0.060(m)以下
    であり、前記ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長
    (Lp)とホーゼル孔中心軸からゴルフクラブヘッドの
    重心までの垂直距離である重軸距離(r)が、Lp=2
    r±0.003の関係を満たすことを特徴とするゴルフ
    クラブヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のゴルフクラブ
    ヘッドを装着したことを特徴とするゴルフクラブ。
  4. 【請求項4】 パターやロブウエッジなどの短い特殊な
    クラブを除いた複数のゴルフクラブからなるセットであ
    って、前記ゴルフクラブが異なる長さを有し、それぞれ
    のゴルフクラブヘッドに関して、該ゴルフクラブヘッド
    はシャフトに取り付けられるためのホーゼル孔を有し、
    該ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)とホ
    ーゼル孔中心軸からゴルフクラブヘッドの重心までの垂
    直距離である重軸距離(r)とが、Lp=2r±0.0
    03の関係を満たし、かつ、ホーゼル孔中心軸回りの相
    当単振り子長(Lp)が0.030(m)以上0.06
    5(m)以下の一定値を有するゴルフクラブヘッドを装
    着したゴルフクラブからなることを特徴とするゴルフク
    ラブセット。
  5. 【請求項5】 パターやロブウエッジなどの短い特殊な
    クラブを除いた複数のゴルフクラブからなるセットにお
    いて、それぞれのゴルフクラブヘッドに関して、該ゴル
    フクラブヘッドはシャフトに取り付けられるためのホー
    ゼル孔を有し、該ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り子
    長(Lp)とホーゼル孔中心軸からゴルフクラブヘッド
    の重心までの垂直距離である重軸距離(r)とが、Lp
    =2r±0.003の関係を満たし、かつ、ホーゼル孔
    中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が0.030
    (m)以上0.065(m)以下であって、前記ホーゼ
    ル孔中心軸回りの相当単振り子長(Lp)が各ゴルフク
    ラブヘッド質量に比例して異なるゴルフクラブヘッドを
    装着したゴルフクラブからなることを特徴とするゴルフ
    クラブセット。
  6. 【請求項6】 前記ホーゼル孔中心軸回りの相当単振り
    子長(Lp)は0.030(m)以上0.060(m)
    以下であることを特徴とする請求項4または請求項5記
    載のゴルフクラブセット。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011235024A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Mizuno Corp ゴルフクラブ
JP2016512155A (ja) * 2013-03-14 2016-04-25 カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション 最適化特性を備えたゴルフクラブヘッド及び関連方法

Cited By (3)

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