JP2002214844A - 電子写真用キャリアとその製造方法 - Google Patents

電子写真用キャリアとその製造方法

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JP2002214844A
JP2002214844A JP2001011796A JP2001011796A JP2002214844A JP 2002214844 A JP2002214844 A JP 2002214844A JP 2001011796 A JP2001011796 A JP 2001011796A JP 2001011796 A JP2001011796 A JP 2001011796A JP 2002214844 A JP2002214844 A JP 2002214844A
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Yoshihiro Sato
祐弘 佐藤
Yuzo Tokunaga
雄三 徳永
Shinya Mayama
進也 間山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッジ効果のない高画質画像を得ることがで
きる電子写真用キャリアを提供すること。 【構成】 キャリア芯材が樹脂により被覆された電子写
真用キャリアにおいて、被覆樹脂を少なくとも熱硬化性
樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂にて構成し、前記熱可塑
性樹脂の軟化点を熱硬化性樹脂の硬化温度以上とし、キ
ャリアの比抵抗が1012Ωcm以上で、芯材表面の樹脂
被覆率が90%以上のキャリア粒子が全体の80個数%
以上であるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナーと混合して
静電荷像現像剤を構成する電子写真用キャリアとその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法として米国特許第2,29
7,691号明細書、特公昭42−23910号公報、
特公昭43−24748号公報等に種々の方法が記載さ
れているが、これらの方法は、何れも光導電層に原稿に
応じた光像を照射することにより静電潜像を形成し、次
いで該静電潜像上にこれとは反対の極性を有するトナー
と呼ばれる着色微粉末を付着させて該静電潜像を現像
し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した
後、熱、圧力或は溶剤蒸気等によりトナー画像を転写材
に定着して複写物を得るものである。
【0003】静電潜像を現像する工程は、潜像とは反対
の極性に帯電させたトナー粒子を静電引力により吸引し
て静電潜像上に付着させるものであるが(反転現像の場
合は、潜像の電荷と同極性の摩擦電荷を有するトナーを
使用)、一般に斯かる静電潜像をトナーを用いて現像す
る方法としてトナーをキャリアと呼ばれる媒体に小量分
散させた所謂二成分系現像剤を用いる方法が知られてい
る。
【0004】ところで、電子写真法は、文書複写として
はほぼ満足できるレベルに到達しているが、近年、コン
ピュータ、ハイビジョン等の発達により、更に高精細
で、且つ、フルカラー画像の出力が要望されている。こ
うした要望に対して、プロセス的にはデジタル画像処
理、或は現像時交番電界印加等の種々の手法が試みられ
てきている。
【0005】又、材料サイドとして特に現像剤の改良が
試みられている。例えば、現像剤を構成するトナーを小
粒径化したり、或はキャリアを低磁気力化する等の技術
により対応がなされてきた。今後も更なる高画質化、高
品位化が望まれており、現像剤も機能部材としての重要
性が一層増すと考えられる。
【0006】一般に斯かる二成分系現像剤を構成するキ
ャリアは鉄粉に代表される導電性キャリアと鉄粉、ニッ
ケル、フェライト等の表面を絶縁性樹脂により被覆した
所謂絶縁性キャリアとに大別される。高画質化を図るた
めに交番電界を印加する場合、現像剤キャリアの抵抗が
低いと潜像電位がキャリアを介してリークし、良好な画
像を得られなくなる。
【0007】この対策としてはキャリアが或る程度以上
の抵抗を有することが必要であり、特にキャリアコア材
が導電性の場合、樹脂をコートして用いるのが好まし
い。又、抵抗が或る程度高いフェライトがコア材として
好ましく用いられている。
【0008】高画質用キャリアとして見た場合、鉄粉は
高磁気力のため、現像領域において硬い現像剤ブラシを
形成し、ハキ目やガサツキ等を生じ、良好な画像を得る
ことができない。そこで、キャリアの磁気力を低くし、
現像剤ブラシを柔らかくして高画質化を図るという目的
でフェライトが好ましく用いられている。
【0009】又、高画質画像形成のために、キャリアの
種々の特性を改良する試みもなされている。例えば、磁
気力をコントロールする技術として特開昭59−104
663号公報においてはキャリアの飽和磁化の値を50
emu/g以下にすることでハキ目の無い良好な画像を
得ることができることが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、飽和磁化の値
を徐々に小さくしたキャリアを用いると細線の再現性は
良好になる反面、磁極から離れるに従ってキャリアが静
電荷像担持体である感光ドラム上に付着する現象(キャ
リア付着)が顕著になってくる。
【0011】又、キャリア粒径を小さくして高画質化す
る試みとして、特開昭60−131549号公報におい
ては、微粒子化したキャリアとトナーを用いて現像する
方法が提案されている。ここでは、微粒子キャリアの使
用により高画質を達成しつつ、そのとき顕著となるキャ
リア付着を高電界下においてもキャリアが絶縁性を保持
する機能を付与することによってクリアすることを提案
している。
【0012】しかしながら、高画質化するためにキャリ
アを微粒子化することは、キャリアが担持できるトナー
量が増えるためにトナー飛散が生じ易く、又、トナー粒
子間の接触機会が増えるために本来トナーが持つべき帯
電極性と反対極性のトナーを生じ易く、画像にカブリが
生じ易い。
【0013】以上のように、高画質化を図るために種々
の技術が試みられてはいるものの、キャリアサイドから
高画質化を達成し、且つ、カブリやキャリア付着の抑制
を同時に満足するような現像剤キャリアは未だ十分なも
のが得られていないのが現状である。
【0014】又、現像剤の寿命を向上させる目的でフェ
ライトの表面に樹脂被覆等の処理を施すことが行われて
おり、一般にこのような樹脂被覆キャリアの製造方法と
しては流動床コーティング装置を用いてキャリア表面に
樹脂液をコーティングする方法が知られている。
【0015】特開昭59−202457号公報には、流
動化ベッド法によりキャリア芯材を浮遊させながらコー
ト液を噴霧し、高温にて乾燥後、再びコート液の噴霧と
乾燥を繰り返してキャリアを製造する方法が提案されて
いる。又、特開昭62−153962号公報には、キャ
リア芯材を浮遊流動又は流動させながら被覆液をスプレ
ー或は浸漬して剪断を加えながらキャリア芯材に被覆層
を形成させる方法が提案されている。
【0016】又、特開平3−140969号公報には、
流動床コーティング装置の給気温度と被覆樹脂液の樹脂
濃度を制御してコーティングする方法が提案されてい
る。更に、特開平5−216284号及び特開平5−2
16285号公報には、流動床コーティング装置の流動
床内の雰囲気温度を制御しつつ間欠的に樹脂液をスプレ
ーする方法や流動床内の雰囲気温度と流動エアー量を制
御してスプレーを行う方法が提案されている。
【0017】しかしながら、流動床を形成させながらス
プレーコーティングする際の問題点としてスプレー状
態、流動床の形成状態よってキャリア粒子の造粒が生じ
たり、或はスプレー時に被覆樹脂がキャリア芯材に付着
しないで単独で樹脂粉を生成してしまうことがあり、こ
うした傾向は被覆樹脂量が多くなるに連れて顕著にな
る。
【0018】上記提案されている方法では何れもキャリ
ア芯材を或る程度の樹脂被覆状態とすることは可能であ
るが、キャリア芯材が殆ど露出することがない表面性の
均一な樹脂被覆を達成することは困難であり、たとえ被
覆状態が均一なコーティングができたとしても、得られ
たキャリアはコーティング後の収率が低くなる傾向があ
った。
【0019】特に、被膜の強度、密着性、耐トナースペ
ント性等の向上のために熱硬化性樹脂を用いる場合、被
覆量が上がるに連れて樹脂の粘性によるキャリア粒子間
の凝集力が高まるために造粒が顕著となり、均一な被膜
のキャリアを得ることは可成り困難であり、通常、コー
ト後に解砕等の工程を加える必要が生じる。
【0020】又、解砕工程を加えた場合に得られるキャ
リアは解砕面にキャリア芯材が露出してしまうことが多
く、均一な被覆膜を有するキャリアが得られないという
欠点があった。
【0021】更に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合
樹脂を用いた場合、それぞれの樹脂の混合比率を制御し
て被覆時の樹脂粘性を下げて造粒を防ぎつつスプレー塗
布することも可能であるが、塗布後に熱硬化性樹脂の硬
化温度で熱処理した場合、熱可塑性樹脂の軟化による造
粒が発生してしまうという問題があった。
【0022】又、上記方法で得られたキャリアを用いて
現像剤を作製した場合、カブリやトナー飛散が生じ易
く、特に小粒径のキャリアや低磁気力のキャリアの場合
は感光ドラム上へのキャリア付着を生じ、画質が劣化す
るという問題があった。
【0023】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、エッジ効果のない高画質画像
を得ることができる電子写真用キャリアとその製造方法
を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、キャリア芯材が樹脂により被覆された電
子写真用キャリアにおいて、被覆樹脂を少なくとも熱硬
化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂にて構成し、前記熱
可塑性樹脂の軟化点を熱硬化性樹脂の硬化温度以上と
し、キャリアの比抵抗が1012Ωcm以上で、芯材表面
の樹脂被覆率が90%以上のキャリア粒子が全体の80
個数%以上であることを特徴とする。
【0025】又、本発明は、キャリア芯材を撹拌羽根に
より剪断応力を加えて浮遊流動させながら被覆樹脂溶液
をスプレーにより塗布する流動床コーティング装置を用
いるキャリア製造方法において、前記被覆樹脂を少なく
とも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂にて構成
し、前記熱可塑性樹脂を軟化点が熱硬化性樹脂の硬化温
度以上であるものを用い、且つ、製造工程において被覆
樹脂溶液のスプレー塗布終了後に熱硬化性樹脂の硬化温
度で熱処理を行うことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0027】本発明が従来のキャリアの持つ諸欠点を改
善し、交番電界の現像において潜像に忠実な現像で高画
質を達成しつつカブリ、キャリア付着の少ない優れた現
像剤キャリア及び現像剤用キャリアの製造方法を提供で
きるのは以下の理由によるものと考えられる。
【0028】即ち、本発明の特長である潜像に対して忠
実な現像が行えるのは、キャリアの比抵抗を1012Ωc
m以上となるように樹脂で被覆しつつ、且つ、樹脂被覆
率が90%以上のキャリア粒子が全体の80個数%以上
とすることによる。
【0029】つまり、キャリアの比抵抗を1012Ωcm
と高く設定しつつ樹脂被覆が本発明の範囲の分布を有す
るキャリアを用いることで本発明の効果が得られる。通
常、交番電界を印加する現像において現像スリーブ上に
形成された現像剤ブラシは感光ドラムと接触している場
合、キャリアの抵抗が低いとドラム上の潜像電位がキャ
リアを介してリークしてしまい、画像を乱してしまうこ
とがある。
【0030】従って、本発明のキャリアにおいては樹脂
被覆状態が被覆率90%以上と非常に良好にして更にそ
うしたキャリアが80個数%以上という分布を有するこ
とで、従来のコートキャリアに比べて格段に潜像電位の
リークを抑制し、画質を向上させることが可能となる。
【0031】即ち、コートキャリアにおいて、樹脂被覆
率が低下すると、本来、低抵抗のキャリアコア材表面が
露出する割合が増すこととなり、潜像電位を乱す度合い
が大きくなる。又、たとえ被覆率の高いキャリアが存在
したとしても、或る個数%以上存在しないと潜像電位は
現像剤ブラシ中に存在する抵抗の低いキャリアを介して
導電路を形成してリークしてしまい、画像が乱れてしま
う。
【0032】又、本発明のキャリアにおいてキャリア付
着が少ないのはキャリアの比抵抗を1012Ωcm以上に
高くしたこと及び前述の被覆率と存在割合を示すキャリ
アを用いたことによる。即ち、キャリア付着の原因とし
て現像バイアス電圧印加時に現像スリーブからキャリア
ヘの電荷注入が支配的因子と考えられるが、本発明のキ
ャリアにおいては従来のコートキャリアに比ベてキャリ
ア粒子個々において高抵抗化することで電荷注入を抑え
てキャリア付着を低減することが可能になったと考えら
れる。
【0033】即ち、測定上は比抵抗が高くても、実際の
現像においてキャリア付着が生じてしまう場合がある。
キャリア付着するコートキャリアのコート状態を分析し
たところ、コートにムラが認められた。従って、現像バ
イアス電圧の印加によりキャリア上のミクロ的な低抵抗
部位が電荷注入サイトとなった可能性がある。そこで、
キャリア表面の微小レベルでの抵抗コントロールし、且
つ、そうしたコートムラを有するキャリアの存在割合が
ポイントと考え、コア材の表面を完全に、且つ、均一に
樹脂被覆したところ、顕著にキャリア付着を低減するこ
とができた。
【0034】本発明においては、特にコア材の樹脂被覆
率を90%以上、且つ、キャリア粒子全体の80個数%
以上を有するキャリアを用いることによって満足のいく
レベルに到達した。
【0035】走査型電子顕微鏡によりキャリアの表面観
察を行ったところ、本発明のコートキヤリアはコア材表
面がほぼ完全に樹脂により被覆されていた。
【0036】従って、本発明において重要なのは、現像
剤用キャリアの樹脂被覆率を高め、且つ、その存在割合
を高めたキャリアを用いることによって潜像電位を乱す
ことなく高画質化を達成すると同時に、電荷注入を抑制
してキャリア付着を起こさないようにしていることであ
る。
【0037】又、本発明のキャリアが長期に亘って高画
質画像を得ることができるのは、被覆樹脂として熟硬化
性樹脂と熱可塑性樹脂の混合樹脂を用いたことによる。
即ち、熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に混合して用いるこ
とで熱可塑性樹脂単独で用いた場合に比べて被膜強度や
キャリア芯材との密着性が大幅に向上する。従って、長
期の使用によるキャリアの劣化、例えばキャリア表面へ
のトナースペントや被覆樹脂の剥がれ等によるトナーヘ
の帯電付与能力の低下が生じないため、安定して良好な
現像を行うことができる。
【0038】又、本発明のキャリア製造方法が優れるの
は以下の理由による。
【0039】即ち、流動床を用いるキャリアのコーティ
ングにおいては、流動床の形成状態とスプレー塗布する
樹脂の特性を組み合せることが特に重要である。
【0040】つまり、本発明のキャリアの製造方法にお
いてはキャリア芯材に攬件羽根により剪断応力を加えな
がら浮遊流動させつつ、被覆樹脂液をスプレーにより塗
布する流動床コーティング装置に行う。ここで、前記被
覆樹脂は少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合
樹脂から構成されており、且つ、熱可塑性樹脂の軟化点
は熱硬化性樹脂の硬化温度以上であるものを用いる。
【0041】又、製造工程において被覆樹脂溶液のスプ
レー塗布終了後にキャリアの浮遊流動床を形成させなが
ら連続的に熱硬化性樹脂の硬化温度で熱処理を行うこと
ことで本発明の樹脂被覆キャリアを製造することが可能
となる。
【0042】更に、本発明は上述のコーティング装置に
おいてスプレーノズルを流動化ベッド室壁面に配置し、
且つ、スプレーノズルに供給される空気圧が2.5kg
f/cm2 以上、流量が35l/min以上で且つ被覆
樹脂溶液の送液速度が15ml/min以下の条件下で
行うことで可能となる。
【0043】図1は本発明のキャリアコーティングの実
施に用いられる流動床スプレーコーティング装置の概念
図である。
【0044】給気ブロワー1により供給された空気はヒ
ーター10で加熱後に多孔性の回転ディスク4及び撹拌
羽根5が配置されている流動化ベッド室2に多孔性の回
転ディスク4の下側より供給され、流動化ベッド室2内
のキャリア芯材3を浮遊流動させる。更に、流動化ベッ
ド室2の底部に配置された撹拌羽根5と多孔性の回転デ
ィスク4を高速で回転させることでキャリア芯材3は旋
回しながら浮遊流動する。
【0045】被覆樹脂溶液4はポンプ5により流動化ベ
ッド室2の壁面に設置されたスプレーノズル6に送られ
てノズル6から圧縮空気7と共に流動化ベッド室2にス
プレーされる。ノズル6からスプレーされた被覆樹脂溶
液4はキャリア芯材3の表面に付着、乾燥しながら被覆
膜を形成する。
【0046】流動化ベッド室2に送り込まれた空気及び
スプレーされた被覆樹脂溶液4の溶媒の揮発分は排気ブ
ロワー9に引かれて上部のバグフィルター8を通過して
排出される。
【0047】本発明においてはキャリア芯材としては鉄
粉、フェライト粉等の一般に使用されているものが使用
でき、その粒径は10〜1000μm、好ましくは20
〜100μmが適当である。
【0048】本発明による被覆樹脂のキャリア芯材に対
する塗布量は1.0〜20重量%であり、好ましくは
2.0〜5.0重量%である。1.0重量%未満の被覆
樹脂量では均一な被覆膜を得るのが困難であり、又、2
0重量%以上の被覆樹脂量は実質的にコーティングの効
果に変化がないばかりか、樹脂粉が生成したり造粒等の
弊害が目立ってくる。
【0049】又、スプレー時の被覆樹脂溶液は樹脂固形
分濃度が2〜20重量%であり、好ましくは5〜10重
量%である。2重量%未満の濃度の被覆樹脂溶液では生
産効率の点から十分ではなく、又、20重量%以上の濃
度の被覆樹脂溶液では溶液の粘性が高くなるために造粒
が発生したり、スプレーノズルが詰まり易くなる等の問
題がある。
【0050】本発明に使用できるキャリア被覆樹脂とし
ては、熱硬化性樹脂としては、具体的には例えばフェノ
ール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸
−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得ら
れる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿
素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グア
ナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナ
ミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、エポキシシ
リコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アルキッドシ
リコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げるこ
とができる。上述した樹脂は単独でも使用できるが、そ
れぞれを混合して使用しても良い。
【0051】又、熱可塑性樹脂としては具体的には、例
えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレ
ン−アクリレート系共重合体やスチレン−メタクリレー
ト系共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロ
カーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パ
ーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セ
ルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセ
ルロース誘導体、ノポラック樹脂、低分子量ポリエチレ
ン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレ
ートのような芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
エーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げ
ることができる。上述の樹脂は単独で使用しても、2種
以上を混合しても用いることができる。
【0052】本発明においては、上述の熱硬化性樹脂及
び熱可塑性樹脂には硬化剤等を混合して使用することも
できる。
【0053】上述の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合
比率(重量%)は熱硬化性樹脂:熱可塑性樹脂=10:
90〜90:10、好ましくは20:80〜60:40
である。混合比率(重量%)における熱硬化性樹脂の割
合が10重量%未満では熱硬化性樹脂の特性である被膜
強度の向上、耐トナースペント性等が十分なものとなら
ず、又、混合比率80重量%以上の割合ではスプレー塗
布時にキャリア粒子表面の樹脂の粘性が増すために造粒
が発生する。
【0054】又、本発明の製造方法においては、被覆樹
脂溶液のスプレー塗布終了時に熱硬化性樹脂の硬化温度
で熱処理を行うため、この時の温度で熱可塑性樹脂が軟
化、若しくは溶融しないことが必須である。即ち、熱硬
化性樹脂の硬化温度で熱処理する際に熱可塑性樹脂が軟
化若しくは溶融してしまうと樹脂が粘性を帯びるために
キャリアの造粒が起きてしまうことになる。
【0055】従って、樹脂の選択に当たっては熱硬化性
樹脂の硬化温度と熱可塑性樹脂の軟化若しくは溶融温度
の特性の組み合わせが重要となってくる。本発明で使用
する樹脂の軟化点、硬化温度の測定方法については後述
する。
【0056】又、本発明においては流動化ベッド室内に
おいて撹拌羽根を回転させてキャリア芯材に剪断応力を
加えつつ、流動化ベッド室底部からの送風により浮遊流
動させた状態で流動化ベッド室壁面に配置されたスプレ
ーノズルから被覆樹脂溶液をスプレーしてコーティング
を行う。このとき、スプレーの条件はノズルに供給され
る空気圧が2.5kg/cm2 以上で、且つ、流量が3
5l/min以上であり、スプレーノズルヘの被覆樹脂
溶液供給速度が15ml/min以下であることが望ま
しい。
【0057】又、撹拌羽根は流動化ベッド室内の底部に
配置されており、400〜1000rpmの高速で回転
させることが必要である。即ち、コーティング量が増え
ていくに連れてキャリア粒子間の凝集性が高まるため、
装置底部に据え付けられた撹拌羽根によりキャリア芯材
に常に剪断応力が慟かせることで造粒が防止される。
又、撹拌羽根は予め所定の角度を有しており、キャリア
芯材を上方に舞い上げる力と適度の剪断応力の慟く形状
のものが好ましい。例えば、撹件羽根の設置面に対する
羽根の仰角が10〜80°、好ましくは30〜70°で
設計されているものを挙げることができる。
【0058】又、スプレー条件をスプレーノズルに供給
される圧縮空気が2.5kg/cm 2 以上で且つ流量を
35ml/min以上、又、被覆樹脂溶液の供給速度を
15ml/min以下の範囲に設定することによってス
プレーノズルからスプレーされた被覆樹脂溶液がキャリ
ア芯材表面で付着後に迅速に乾燥し、造粒や被覆樹脂粉
の生成が起きない。
【0059】圧縮空気が2.5kg/cm2 未満の場合
はノズルからスプレーされる被覆樹脂溶液が十分に小さ
な液滴とならず、キャリア表面での乾燥速度が遅くなる
ために造粒してしまう。又、圧縮空気の流量が35ml
/min未満でもスプレーされる被覆樹腸液滴の乾燥が
遅くなり、造粒が発生する傾向にある。同様の理由で被
覆樹脂溶液の供給速度も15ml/min未満とする必
要がある。
【0060】又、スプレーノズルが流動化ベッド室の壁
面に配置されていることから、キャリアが流動しながら
ノズル先端を常に擦るため、被覆樹脂が析出してノズル
に詰まったり、或はノズル近傍にキャリアが付着して造
粒物を生成することがない。更に、キャリアがノズルを
擦る状態で被覆樹脂溶液がスプレーされるために極めて
効率良くキャリア表面に塗布されるため、被覆樹脂溶液
が単独で樹脂粉を生成することもない。本発明では生産
効率の点からスプレーノズルを更に複数個配置して用い
ることもできる。
【0061】又、本発明では被覆樹脂スプレー時の流動
化ベッド室への給気温度は20〜90℃であり、好まし
くは30〜80℃であり、風量は排気ブロワーに通じる
排気口に取り付けられた弁の開閉を調節することによっ
て制御することができる。
【0062】又、被覆樹脂溶液のスプレー終了後に熱硬
化性樹脂が硬化する温度で熱処理を行うが、このときの
温度は硬化性樹脂の選択にもよるが、通常、約80℃〜
200℃である。但し、硬化剤の添加によっては常温で
も硬化可能であるため、特に上記の硬化温度に限定され
るものではない。
【0063】本発明の方法は感光ドラムヘのキャリア付
着が生じ易い低磁気力のキャリアに均一な樹脂被覆を施
し、高抵抗化することでキャリア付着を抑制しようとす
る場合、或は長寿命のコートキャリアを得る場合に特に
その効果が発揮される。
【0064】以下に本発明で使用した種々の測定方法に
ついて説明する。
【0065】本発明のキャリアの樹脂被覆率は画像処理
解析装置Luzex3(ニレコ社製)を用いてキャリア
粒子1個の電子顕微鏡による観察像を2次元的に樹脂被
覆部分の面積とキャリア粒子面積をそれぞれ求め、2値
化処理により2次元的にキャリア粒子面積に対する樹脂
被覆部分の面積比率を樹脂被覆率として算出した。本発
明のキャリアにおいてはランダムに300個以上のキャ
リアを抽出、測定した。
【0066】本発明に使用する熱可塑性樹脂の軟化点は
島津フロテスターCFT500型を用いて測定される。
【0067】即ち、ダイ穴径1mm、ダイ長さlmmの
ダイを装着したシリンダ内に200kgfでプレス成型
した樹脂サンプル1.0gを充填した後、10kgfの
荷重を掛けながら40℃から昇温速度3℃/minで昇
温を行う。所定の温度に到達し、樹脂が軟化してダイ穴
から流出が始まってから終了に至る領域から求められる
温度T1/2(1/2法温度)を軟化点とする。
【0068】又、熱硬化性樹脂の硬化温度の測定方法と
しては、2mmのガラス板上に粘度を調整した硬化性樹
脂溶液をワイヤーバーで塗布して膜厚10μmのコート
膜を形成する。このコートガラス板を所定の温度に設定
した乾燥機内に10分間放置した後、樹脂被膜の表面硬
度をペンドラム硬度計(エリクセン社製)で測定する。
熱処理の温度を上げていったときに対する硬度変化が±
20%以内の領域に入り始める温度を硬化温度とした。
【0069】又、本発明のキャリアの比抵抗の測定には
図3に示す測定方法を用いた。
【0070】即ち、セルAにキャリアを充填し、該充填
キャリアに接するように下部電極21と上部電極22を
配し、該電極21,22間に電圧を印加し、そのとき流
れる電流を測定することにより比抵抗を求める方法を用
いた。尚、図3において、23は絶縁物、24は電流
計、25は電圧計、26は定電圧装置、27はキャリ
ア、28はガイドリングである。
【0071】上記測定方法においては、キャリアが粉末
であるために充填率に変化が生じ、それに伴い比抵抗が
変化する場合があるため注意を要する。本発明における
比抵抗の測定条件は、 充填キャリアと電極との接触面積S=約2.3cm2 厚みd=約1mm 上部電極2の荷重275g 印加電圧100Vとした。
【0072】又、キャリアの樹脂コート量はパーキンエ
ルマー社製TGA−7を用いて熱重量分析を行って定量
した。
【0073】以下に本発明を実施例をもって説明する
が、本発明は実施例よって制限されるものではない。
【0074】<実施例1> 熱硬化性樹脂:熱硬化性フェノール樹脂(硬化温度:1
20℃) 熱可塑性樹脂:フェノールノボラック樹脂(軟化点:1
60℃) 上記2種類の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を固形分とし
てそれぞれ30重量部と70重量部の割合で混合した
後、メチルセロソルブ溶液で希釈して10重量%の被覆
樹脂溶液を作製した。この被覆樹脂溶液を図1に示す流
動床コーティング装置を用いて平均粒径50μm、飽和
磁化20emu/gの球形フェライト粒子1.5kgに
スプレー塗布した。このとき、流動化ベッド室への送風
温度を40℃に設定し、又、このときの撹拌羽根の回転
速度は450rpmであり、スプレー条件はスプレーノ
ズルヘの空気圧が3.4kg/cm2 であり、流量が4
8l/min、被覆樹脂溶液の供給速度8.0ml/m
inで行った。スプレー終了後、得られたキャリアを流
動化ベッド室中で温度140℃で20分間保持して熱硬
化性樹脂を硬化させ、樹脂被覆キャリアを得た。
【0075】流動化ベッド室から取り出したキャリアは
造粒が認められず、又、被覆樹脂成分の微粉も認められ
なかった。得られたキャリアの樹脂被覆量を熱天秤(T
GA−7:パーキンエルマー社製)を用いて定量したと
ころ、キャリア芯材に対して2.04重量%であった。
【0076】又、キャリア粒子の表面を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、キャリア芯材がほぼ完全に樹脂で
被覆されていることが判明した。そのときのキャリアの
比抵抗は2.9×1013Ωcmであり、芯材表面の樹脂
被覆率が90%以上のキャリア粒子が全体の94個数%
であった。
【0077】一方、 プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を 縮合して得られたポリエステル樹脂 100重量部 銅フタロシアニン顔料 5重量部 ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 4重量部 を十分予備混合を行った後、溶融混練し、冷却後にハン
マーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。
次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕し
た。更に、得られた微粉砕物をエルボージェット分級機
を用いて分級し、重量平均粒径が8.3μmの負帯電性
のシアン色の微粉体を得た。
【0078】上記シアン微粉体100重量部と、ヘキサ
メチルジシラザンで疎水化処理したシリカ微粉体0.5
重量部とアルミナ微粉体0.3重量部とをヘンシェルミ
キサーにより混合してシアントナーを調製した。
【0079】上記キャリアとトナーとをトナー濃度5.
0重量%となるように混合して現像剤を得た。この現像
剤をキヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−50
0改造機を用いて1万枚の画像出し耐久試験を行った。
このとき、現像器の現像剤担持体(現像スリーブ)と現
像剤規制部材(磁性ブレード)との距離を600μm、
現像スリーブと静電潜像担持体(感光ドラム)との距離
を450μm、又、現像スリーブと感光ドラムとの周連
比が1.5:1、現像スリーブの現像極の磁場が100
0ガウス、更に現像条件は、交番電界1800Vp-p 、
周波数2000Hzとなるように設定した。
【0080】この結果、初期から1万枚に至るまでベタ
画像の濃度1.5〜1.6と安定して高く、又、カブリ
もなく、ハーフトーン部の再現性、ライン画像の再現性
も良好であった。又、画像上にはキャリア付着がなく、
現像時のトナー飛散も認められなかった。又、1万枚画
像出し終了後に現像器から現像剤を取り出して走査型電
子顕微鏡(FE−SEM)でキャリア表面を観察したと
ころ、トナーのスペントや被覆樹脂の剥がれは認められ
なかった。
【0081】<実施例2>実施例1で用いたキャリア芯
材1.5kgにスプレー条件と用いる樹脂を以下のもの
にすること以外は実施例1と同様にしてキャリアを作製
した。
【0082】熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(硬化温度
120℃) 熱可塑性樹脂:ポリ−α−メチルスチレン(軟化点22
0℃) 上記樹脂固形分濃度でそれぞれ50重量%の割合で混合
した後、メチルセロソルブに溶解して10重量%の被覆
樹脂溶液を調製した。この溶液をスプレー条件としてス
プレーノズルへの空気圧3.8kg/cm2 、流量45
l/minとし、被覆樹脂溶液供給速度6.0ml/m
inとして塗布した。スプレー終了後、キャリアを流動
化ベッド室への送風温度を140℃に設定して30分間
保持してフェノール樹脂を硬化させた後、空冷して流動
化ベッド室内が50℃となったところで取り出して樹脂
被覆キャリアを得た。
【0083】流動化ベッド室から取り出したキャリアは
殆ど造粒がなく、又、被覆樹脂粉の生成も認められなか
った。得られたキャリアの樹脂被覆量を熱天秤(TGA
−7:パーキンエルマー社製)で定量したところ、キャ
リア芯材に対して3.14重量%であった。又、キャリ
アの表面を走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し
たところ、キャリア芯材の露出は殆ど認められず、均一
に樹脂で被覆されていた。このキャリアの比抵抗は6.
2×1013Ωcm、芯材表面の樹脂被覆率が90%以上
のキャリア粒子が全体の97個数%であった。
【0084】このキャリアを用いて実施例1と同様にし
て画像耐久試験を行なった。この結果、初期から1万枚
に至るまでベタ画像の濃度1.5〜1.6と安定して十
分高く、又、カブリもなく、ハーフトーン部の再現性、
ライン画像の再現性も良好であった。又、画像上へのキ
ャリア付着はなく、現像時のトナー飛散も認められなか
った。又、1万枚画像出し終了後に現像器から現像剤を
取り出して走査型電子顕微鏡(FE−SEM)でキャリ
ア表面を観察したところ、トナーのスペントや被覆樹脂
の剥がれは認められなかった。
【0085】<比較例1>実施例1で用いたキャリア芯
材1.5kgに被覆樹脂として以下の樹脂を用いること
以外は実施例1と同様にしてキャリアを作製した。
【0086】熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(硬化温度
120℃) 上記樹脂を1−メトキシ−2−プロパノールに溶解して
10重量%の被覆樹脂溶液を作製した。この溶液を実施
例1と同様の条件でスプレー塗布したところ、被覆樹脂
量が0.7重量%塗布したところで造粒が激しくなった
ためにコーティングを中止した。
【0087】<比較例2>実施例1で用いたキャリア芯
材1.5kgにスプレー条件と用いる樹脂を以下のもの
にすること以外は実施例1と同様にしてキャリアを作製
した。
【0088】熱可塑性樹脂:フェノールノボラック樹脂
(軟化点220℃) スプレー終了後、得られたキャリアを流動化ベッド室中
で温度140℃で20分間保持して溶剤を除去した後、
樹脂被覆キャリアを得た。
【0089】流動化ベッド室から取り出したキャリアは
造粒が認められず、又、被覆樹脂成分の微粉も認められ
なかった。得られたキャリアの樹脂被覆量を熱天秤(T
GA−7:: パーキンエルマー社製)を用いて定量した
ところ、キャリア芯材に対して2.08重量%であっ
た。
【0090】又、キャリア粒子の表面を走査型電子顕微
鏡(FE−SEM)で観察したところ、キャリア芯材が
ほぼ完全に樹脂で被覆されていることが判明した。この
ときのキャリアの比抵抗は6.3×1013Ωcmであ
り、被覆率は95%であった。
【0091】このキャリアを用いて実施例1と同様にし
て1万枚の画像出し耐久試験を行なった。この結果、画
像濃度が耐久が進むに連れて次第に低下する傾向が認め
られ、ベタ画像の濃度は初期1.6であったが、1万枚
画像出し後には1.38と低下していた。又、耐久が進
むに連れて非画像部へのカブリが悪化する傾向が認めら
れた。又、1万枚画像出し終了後に現像器から現像剤を
取り出して走査型電子顕微鏡(FE−SEM)でキャリ
ア表面を観察したところ、キャリアの被覆樹脂が剥離し
て芯材が一部露出していた。
【0092】<実施例3>キャリア芯材として50μm
の球形マグネタイトを用い、スプレー条件を空気圧4.
0kg/cm2 、流量50l/min、被覆樹脂溶液供
給速度8.2ml/minとすること以外は実施例2と
同様にしてキャリアを製造した。得られたキャリアは造
粒もなく、又、被覆樹脂の微粉も認められなかった。
【0093】又、得られたキャリアの樹脂被覆量を熱天
秤(TGA−7:パーキンエルマー社製)で定量したと
ころ、2.98重量%であった。又、走査型電子顕微鏡
でキャリア表面の観察を行ったところ、キャリア芯材の
露出は全く認められず、均一な樹脂被膜が形成されてい
ることが分かった。このキャリアの比抵抗は8.7×1
13Ωcm、被覆率98%であった。
【0094】このキャリアを用いて実施例1と同様にし
て現像剤を作製した後、画像出し試験を行った。その結
果、初期から1万枚に至るまでベタ画像濃度は1.6〜
1.7と安定して十分高く、又、ハーフトーン部やライ
ン画像の再現性も良好であった。又、画像上にはカブリ
やキャリア付着も無く、トナー飛散もなかった。又、1
万枚画像出し終了後に現像器から現像剤を取り出して走
査型電子顕微鏡でキャリア表面を観察したところ、トナ
ーのスペントや被覆樹脂の剥がれは認められなかった。
【0095】<実施例4>実施例1で用いたキャリア芯
材1.5kgg に以下の樹脂を用い、装置条件を以下の
設定とすること以外は実施例1と同様にしてキャリアを
作製した。
【0096】熱硬化性樹脂:シリコーンエポキシ樹脂
(硬化温度140℃) 熱可塑性樹脂:ポリ−α−メチルスチレン(軟化点22
0℃) 上記樹脂固形分濃度で熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混
合比率(重量%)を熱硬化性樹脂:熱可塑性樹脂=3
0:70の割合で混合した後、キシレンで希釈して10
重量%の被覆樹脂溶液を調製した。この溶液をスプレー
条件としてスプレーノズルヘの空気圧3.8kg/cm
2 、流量50l/minとし、被覆樹脂溶液供給速度
6.0ml/minとして塗布した。スプレー終了後、
流動化ベッド室への送風温度を150℃として60分間
保持してシリコーンエポキシ樹脂を硬化させた後、空冷
して流動化ベッド室内が40℃となったところで取り出
して樹脂被覆キャリアを得た。
【0097】流動化ベッド室から取り出したキャリアは
殆ど造粒がなく、又、被覆樹脂粉の生成も認められなか
った。得られたキャリアの樹脂被覆量を熱天秤(TGA
−7:パーキンエルマー社製)で定量したところ、キャ
リア芯材に対して2.01重量%であった。
【0098】又、キャリアの表面を走査型電子顕微鏡
(FE−SEM)で観察したところ、キャリア芯材の露
出は殆ど認められず、均一に樹脂で被覆されていた。キ
ャリアの比抵抗は9.2×1012Ωcm、被覆率95で
あった。
【0099】このキャリアを用いて実施例1と同様にし
て画像出しを行なった。この結果、初期から1万枚に至
るまで安定してベタ画像の濃度1.5と高く、又、カブ
リもなく、ハーフトーン部の再現性、ライン画像の再現
性も良好であった。又、画像上へのキャリア付着はな
く、現像時のトナー飛散も認められなかった。又、1万
枚画像出し終了後に現像器から現像剤を取り出して走査
型電子顕微鏡でキャリア表面を観察したところ、トナー
のスペントや被覆樹脂の剥がれは認められなかった。
【0100】<比較例3>スプレー条件を空気圧2.8
kg/cm2 、流量30l/min、被覆樹脂供給液速
度8.0ml/minとすること以外は実施例1と同様
にしてキャリアの作製を行なった。その結果、スプレー
塗布後、熱硬化処理して得られたキャリアは可成りの造
粒が認められた。又、走査型電子顕微鏡(FE−SE
M)で表面観察を行なったところ、樹脂の被覆ムラがあ
り、所々にキャリア芯材が露出していた。このキャリア
のコート量は2.35%、比抵抗1.3×1011Ωc
m、被覆率79%であった。
【0101】このキャリアを用いて実施例1と同様にし
て現像剤を作製した後、画像出し耐久試験を行なった。
その結果、初期は画像濃度1.64と高いものの、次第
に低下して傾向が認められ、1万枚後には1.22まで
低下した。又、初期からカブリやトナー飛散が認めら
れ、画像上の白地部にはキャリア付着が認められた。
又、1万枚画像出し終了後に現像器から現像剤を取り出
して走査型電子顕微鏡でキャリア表面を観察したとこ
ろ、被覆樹脂の剥がれが認められた。
【0102】<比較例4>流動化ベッド室内の撹拌羽根
を取り外したこと以外は実施例1と同様にしてキャリア
を作製した。コート終了後に流動化ベッド室から取り出
したキャリアは可成り造粒しており、200メッシュで
櫛分けしたところ、収率が20%であった。又、走査型
電子顕微鏡(FE−SEM)で表面観察を行なったとこ
ろ、樹脂の被覆にムラがあり、所々にキャリア芯材が露
出していた。櫛分け後のキャリアの樹脂被覆量を熱天秤
(パーキンエルマー社製:TGA−7)を用いて定量し
たところ、1.46重量%であった。このキャリアの比
抵抗は8.6×1010Ωcm、被覆率53%であった。
【0103】又、このキャリアを用いて実施例1と同様
にして現像剤を調製し、画像出し耐久試験を行なったと
ころ、初期から1万枚に至るまで反射画像濃度1.0〜
1.2と低く、ハーフトーン部にガサツキが認められ、
又、非画像部にはカブリがあった。又、画像の白地部に
はキャリア付着が生じていた。又、1万枚画像出し終了
後に現像器から現像剤を取り出して走査型電子顕微鏡で
キャリア表面を観察したところ、芯材の凸部に被覆樹脂
の剥がれが顕著に認められた。
【0104】<比較例5>実施例1で用いたキャリア芯
材1.5kgに被覆樹脂として以下のものを用いること
以外は実施例1と同様にしてキャリアを作製した。
【0105】熱硬化性樹脂:フェノール樹脂(硬化温度
120℃) 熱可塑性樹脂:スチレン−アクリル酸ブチル共重合体
(軟化点:90℃) 上記樹脂を樹脂固形分濃度として熱硬化性樹脂:熱可塑
性樹脂=20:80の比率(重量%)で混合した後、メ
チルセロソルブで希釈して10重量%の被覆樹脂溶液を
作製した。この溶液を実施例1と同様にしてスプレー塗
布した。スプレー終了直後に流動化ベッド室内の剤の状
態を観察したところ、造粒は殆ど無く、又、コートキャ
リアを一部取り出して走査型電子顕微鏡(FE−SE
M)により表面観察を行なったところ、ほぼ均一に樹脂
被覆されていた。
【0106】次に、コーティング装置の送風温度を硬化
性樹脂の硬化温度である120℃に設定して運転を行な
ったところ、次第に粒子の造粒が激しくなり、30分後
に取り出した剤は直径1〜2mmの大きさで殆ど造粒し
ていた。
【0107】<比較例6>流動化ベッド室のスプレーノ
ズルの設置位置を図2に示すように配置して実施例1と
同様にしてキャリアを作製した。乾燥後に流動化ベッド
を見ると、スプレーノズル先端付近にキャリア付着が認
められた。又、得られたキャリアには造粒が認められ、
バグフィルターには被覆樹脂粉が可成り付着していた。
被覆後のキャリアを走査型電子顕微鏡で表面観察したと
ころ、樹脂の被覆ムラがあり、又、表面への樹脂微粉の
付着が認められた。このキャリアのコート量は1.38
%、比抵抗4.8×1011Ωcm、被覆率75%であっ
た。
【0108】このキャリアを用いて実施例1と同様に画
像出し耐久試験を行なった。その結果、初期から1万枚
に至るまで画像濃度は反射画像濃度1.7〜1.9と高
いものの、カブリが悪く、又、トナー飛散も認められ
た。又、画像上の白地部へのキャリア付着が認められ
た。又、1万枚画像出し終了後に現像器から現像剤を取
り出して走査型電子顕微鏡でキャリア表面を観察したと
ころ、トナーのスペントが生じていた。
【0109】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、電子写真用キャリアは高抵抗且つ高被覆率であ
るため、電荷注入によるキャリア付着や潜像リークを生
じさせることがなく、潜像に忠実な現像が可能となって
ハーフトーン部、ライン画像の再現性に優れた高画質画
像を得ることができる。
【0110】又、耐久性に優れた樹脂膜を有するため、
長期に亘って安定した画像を得ることができる。
【0111】更に、本発明の製造方法によれば、キャリ
アの造粒や被覆樹脂粉の発生が無く、均一な被覆膜を有
するキャリアを効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動床スプレーコーティング装置の断面図であ
る。
【図2】流動床スプレーコーティング装置の断面図であ
る。
【図3】キャリアの比抵抗を測定する装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 給気ブロワー 2 流動化ベッド室 3 キャリア芯材 4 多孔性回転ディスク 5 撹拌羽根 6 スプレーノズル 7 圧縮空気 8 バグフィルター 9 排気ブロワー 10 ヒーター 11 被覆樹脂溶液 21 下部電極 22 上部電極 23 絶縁物 24 電流計 25 電圧計 26 定電圧装置 27 キャリア 28 ガイドリング
フロントページの続き (72)発明者 間山 進也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 BA06 BA11 CA03 CA12 CA15 CA17 EA01 EA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリア芯材が樹脂により被覆された電
    子写真用キャリアにおいて、 被覆樹脂を少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混
    合樹脂にて構成し、前記熱可塑性樹脂の軟化点を熱硬化
    性樹脂の硬化温度以上とし、キャリアの比抵抗が1012
    Ωcm以上で、芯材表面の樹脂被覆率が90%以上のキ
    ャリア粒子が全体の80個数%以上であることを特徴と
    する電子写真用キャリア。
  2. 【請求項2】 キャリア芯材を撹拌羽根により剪断応力
    を加えて浮遊流動させながら被覆樹脂溶液をスプレーに
    より塗布する流動床コーティング装置を用いるキャリア
    製造方法において、 前記被覆樹脂を少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
    の混合樹脂にて構成し、前記熱可塑性樹脂を軟化点が熱
    硬化性樹脂の硬化温度以上であるものを用い、且つ、製
    造工程において被覆樹脂溶液のスプレー塗布終了後に熱
    硬化性樹脂の硬化温度で熱処理を行うことを特徴とする
    電子写真キャリアの製造方法。
  3. 【請求項3】 スプレーノズルを流動化ベッド室壁面に
    配置し、スプレーノズルに供給される空気圧を2.5k
    g/cm2 以上、流量を35l/min以上、被覆樹脂
    溶液のスプレーノズルヘの供給液速度を15ml/mi
    n以下に設定することを特徴とする請求項2記載の電子
    写真用キャリアの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010016602A1 (ja) * 2008-08-04 2010-02-11 キヤノン株式会社 磁性キャリア及び二成分系現像剤
CN114292660A (zh) * 2021-12-07 2022-04-08 西安近代化学研究所 一种沥青成型进料器装置及工艺方法

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