JP3883408B2 - 電子写真用現像剤、キャリア及びその製造方法並びに画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用現像剤、キャリア及びその製造方法並びに画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真用現像剤としてキャリアとトナーからなる二成分現像剤が多く使用されている。この二成分現像剤は比較的大きなキャリア粒子表面上に微小なトナー粒子が両粒子の摩擦により発生した電気力により保持されており、感光体上の静電潜像に近接されると、静電潜像が形成する電界によるトナー粒子に対する静電潜像方向への吸収力がトナー粒子とキャリア粒子間の結合力に打ち勝って、トナー粒子は静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるものである。
【0003】
従って、キャリア粒子は長期間の使用中、粒子間の衝突又は粒子と現像機械との衝突等の機械的衝突又はこれらの衝突による発熱でキャリア粒子表面にトナー膜が形成される、いわゆるスペント化が生じ、キャリアの帯電特性が使用時間と共に低下し、現像剤全体を取り換える必要が生じる。
【0004】
このようなスペント化を防止するために、従来よりキャリア表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されている。この樹脂被覆によりスペントの防止が効果的になり、特にシリコーン樹脂はスペント化防止効果が高い優れた被覆材である。しかし、スペント化防止のために樹脂被覆したキャリアは、耐スペント性は向上するがキャリア抵抗が高くなり、このため、(1)エッジ効果が強くなり広い黒部領域の再現性が劣る、(2)キャリア表面からトナーが脱離したときのカウンターチャージが過大となり、非画像部へのキャリア付着が発生する、(3)カウンターチャージの蓄積により、経時で現像剤帯電量が上昇する、等の欠点があった。
【0005】
これを改善する方法として、キャリア被覆樹脂中に導電性物質を添加する方法が提案されている。例えば、特開昭56−126843号公報にはカーボンブラックと樹脂とを主成分とする材料を被覆したキャリアが開示され、特開昭56−75659号公報には多孔性カーボンブラックを被覆層に含有させたキャリアが開示され、特開平3−2766号公報には、カーボンブラックと酸化チタンが含有されたキャリアが開示されている。
【0006】
このように、樹脂被覆層にカーボンブラックを含有させたキャリアは、カーボンブラック未添加キャリアに比べ、上記(1)〜(3)の欠点を改善できる。しかし、キャリア抵抗はコート樹脂被覆層内に分散されたカーボンブラック間の接触確率に依存するが、カーボンブラックのコート樹脂被覆層中の分散制御は困難なため依然問題が残る。
【0007】
そこで、特開昭54−78137号公報、特開昭58−216260号公報、特開昭61−158339号公報、特開平4−93954号公報に磁性コア粒子の凹部に樹脂層を設ける、又は部分的に樹脂被覆層を設けることで、キャリア抵抗を下げる方法が提案されている。
【0008】
しかし、凹部に樹脂を充填したキャリアは平坦部や凸部におけるトナーのスペント化が発生し、キャリア帯電特性の低下が問題トナーとなる。また、凸部の樹脂被覆層を削り取る方法は、削り取った樹脂粉が現像剤中に混入し、感光体への付着による黒ポチ画像等の異常画像が発生する。
【0009】
さらに、特開平6−202381公報において、樹脂コート表面に無機微粉末を含有するキャリアと、キャリアに含有される無機微粉末と同一の無機微粉末を含有するトナーからなる現像剤が提案されている。
このキャリアではトナーがキャリア表面に移行することが防止されるため、キャリアの帯電特性が維持されるが、耐久性において未だ不充分である。
【0010】
また、特開平9−160304号公報において、樹脂コート層厚みよりも大きい導電性粉末を表面に有するキャリアが提案されている。
このキャリアは導電性粉末がキャリア表面に露出し存在するため、カーボンブラックのように樹脂被覆中の分散制御を必要とせず、キャリア抵抗を下げることができ、耐久性、エッジ効果の少ない画像を得るには有効な手段である。しかし、複写機に代表される連続印刷においては効果を発揮するが、プリンタ−に代表される低速度印刷、例えば1枚印刷毎に数分間から1時間程度の待機時間をおくような場合には現像剤の帯電量が減衰し、地肌汚れが発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記欠点を克服し、広範囲な印刷速度において耐久性のある電子写真用現像剤、キャリア及びその製造方法並びに画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「少なくとも、結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子と、芯材粒子表面に粉末粒子を含む樹脂を被覆してなるキャリアからなる電子写真用現像剤において、該芯材粒子がフェライトであり、該粉末粒子が少なくともアルミナ粒子であって、該粉末粒子の体積平均粒径(dr)とトナーの体積平均粒径(dt)が下記式(1)の関係にあることを特徴とする電子写真用現像剤;
【0013】
【数4】
」、(2)「少なくとも、結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子と、芯材粒子表面に粉末粒子を含む樹脂を被覆してなるキャリアからなる電子写真用現像剤において、該芯材粒子がフェライトであり、該粉末粒子が少なくともアルミナ粒子であって、該粉末粒子の体積平均粒径(dr)とトナーの体積平均粒径(dt)が下記式(2)の関係にあり、トナーの体積平均粒径が6〜10μmであり、2μm以下のトナー粒子の個数%と4μm以下のトナー粒子の個数%の比率が、下記式(3)の関係にあるトナーであることを特徴とする電子写真用現像剤;
【0014】
【数5】
【0015】
【数6】
【0016】
(3)「粉末粒子の抵抗が107Ωcm以上であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真用現像剤」、(4)「前記樹脂がメラミン樹脂で架橋されたアクリル樹脂であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の電子写真用現像剤」により達成される。
【0024】
更にまた、上記課題は、本発明の(5)「潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤を用いてトナー像を形成する工程、トナー像を転写体上に直接または間接的に転写する工程、転写体上のトナー像を熱及び圧力で定着する工程を有する画像形成方法において、前記第(1)項または第(2)項の何れか1に記載の電子写真用現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法」により達成される。
【0025】
本発明の現像剤は、少なくとも、結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子と、芯材粒子表面に樹脂と粉末粒子を有するキャリアからなる現像剤において、粉末粒子平均粒径とトナー平均粒径が、drを粉末粒子の体積平均粒径、dtをトナーの体積平均粒径としたときに、dt/dr≧10、好ましくは10≦dt/dr≦30またはdt/dr≧1であることを特徴とする。
【0026】
dt/dr≧10であることで、芯材粒子表面の粉末粒子が複写機現像部内でのトナーとの摩擦、キャリア同士の摩擦による樹脂被覆層への衝撃を緩和することが可能となり、連続印刷時のキャリア表面へのトナースペントが防止され、現像剤帯電量が維持される。さらに低速印刷では印刷間隔があるため、従来の現像剤では帯電量が低下するが、粉末粒子とトナーとの電荷移動が速やかに行なわれることで、現像剤の帯電量が現像部内の攪拌によりすみやかに復帰し、地肌汚れのない良好な画像が得られる。
dt/drが10未満の場合、粉末粒子からの電荷量のリークが発生しやすく、低速度印刷において現像剤帯電量が復帰しにくく、地肌汚れが発生する。
【0027】
さらには、体積平均粒径が6〜10μmであり、2μm以下のトナー粒子の個数%と4μm以下のトナー粒子の個数%の比率が(3)式の関係にあるトナーでは、dt/dr≧1でトナースペント防止効果と低速度印刷での現像剤帯電量の復帰が可能となる。
【0028】
【数7】
【0029】
式(3)の関係を満足するトナーは微粉トナー中に添加剤微粉の含有が多いことを表わしており、添加剤微粉がキャリアとトナー母体とのスペーサーとして作用することでトナーの樹脂被覆層への衝撃を緩和することができる。また、添加剤微粉が多いことで現像剤帯電量が速やかに復帰する。
【0030】
また、芯材粒子表面の前記粉末粒子による被覆率が下記式(4)において30以上であることを特徴とする電子写真用現像剤である。
【0031】
【数8】
Cは粉末粒子の芯材粒子に対する重量%、ρcは芯材粒子の真比重、ρrは粉末粒子の真比重、dcは芯材粒子の体積平均粒径、drは粉末粒子の体積平均粒径を表わす。
【0032】
粉末粒子による被覆率が30以上であることで、粉末粒子による樹脂被覆層への衝撃緩和の効果をより向上させることができ、結果としてトナースペント防止効果、トナーとの摩擦帯電性が向上し、広範囲な印刷速度において、現像剤の帯電量が維持され、耐久性のある現像剤が得られる。
【0033】
芯材粒子表面の粉末粒子は、、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化鉄、硫酸バリウム、酸化錫、酸化マグネシウム等が挙げられる。特に、アルミナ粒子を用いると、キャリア表面へのトナースペント防止効果が向上する。アルミナ粒子はモース硬度が9とダイアモンドに次いで硬く、キャリア表面にスペントしたトナーを研磨することができる。
【0034】
また、上記粉末粒子の抵抗は107Ωcm以上が好ましい。粉末粒子粒径がキャリア表面に被覆されているため、粉末粒子の抵抗がキャリア抵抗を支配する。粉末粒子の抵抗が107Ωcm未満の場合、現像中に電荷リークが発生し、複写中に現像部からのトナー飛散の原因となり、好ましくない。
【0035】
また、抵抗調節用に、カーボンブラック等の導電性粉末を添加しても良い。カーボンブラックは従来より、公知のもので良く、コンタクトブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックが挙げられるが、比表面積800m2/g以上のカーボンブラックがより好ましい。その理由として、粒径が細かく、樹脂への分散安定性に優れており、長期使用においてもキャリア被覆層からのカーボンブラックの脱離がない。
【0036】
本発明で使用される樹脂としては、公知のものでよく、種々の樹脂を用いることができる。具体的にはスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。また、これらを組み合わせても良い。
【0037】
これら樹脂の中でメラミン樹脂で架橋されたアクリル樹脂がより好ましい。メラミン樹脂で架橋されたアクリル樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦或いはキャリア同士の摩擦で発生する、樹脂被覆層への強い衝撃を吸収することができ、コート膜を破損することなく維持することが可能となる。
また、樹脂中種々の添加剤を添加しても良い。具体的には、芯材粒子と樹脂被覆層との接着性を良くするためのシランカップリング剤等が用いられる。
【0038】
本発明において樹脂で被覆される芯材粒子としては、公知のものでよく、種々の粒子を用いることができるが、特に好ましくはフェライトが選ばれる。他の芯材粒子としてはマグネタイト、鉄粉等が知られているが、マグネタイトの場合、抵抗制御が難しく、また磁化が高いため、画質が粗くなる。鉄粉の場合は比重が大きいためにトナーや外添剤が付着しやすい。芯材粒子の平均粒径は通常30〜150μmである。
【0039】
芯材表面に樹脂被覆層を形成する方法は、被覆層を構成する各成分を適当な溶媒に溶解もしくは分解して被覆樹脂溶液を作成し、それを回転円盤による遠心転動と空気流による浮遊流動による流動床中で、芯材粒子に被覆樹脂溶液をコーティングする。その際、下記式(5)、式(6)を満足することを特徴とする。
【0040】
【数9】
Z=π2N2r/8820、Nは回転円盤の回転数(r/min)、rは回転円盤の半径(m)、Sは空気流量(Nm2/min)を表わす。
【0041】
【数10】
Wは芯材粒子の重量(kg)を表わす。
【0042】
図1はその概念図である。給気ブロワー(1)により供給される空気は、ヒーター(2)で加熱後に多孔性のスリット(3)、回転円盤(4)が配置されている流動層室(5)へと回転円盤(4)の下部より供給され、流動層室(5)内で芯材粒子を浮遊流動させる。さらに、回転円盤(4)を回転させることで芯材粒子を旋回させながら遠心転動させる。
【0043】
被覆樹脂溶液(6)はポンプにより流動層室(5)の壁面に設置された、スプレーノズル(7)に送られ、ノズルから圧縮空気(8)と共に流動層室(5)にスプレーされる。ノズル(7)からスプレーされた被覆樹脂溶液(6)は芯材粒子(9)の表面に付着、乾燥を繰り返しながら被覆層を形成する。被覆樹脂溶液の揮発溶剤分は排気ブロワー(10)によりバグフィルター(11)を通過して外部へと排出される。
【0044】
式(5)は、芯材粒子に働く回転円盤による遠心力と重力の比(Z)を表わしている。式(5)においてZが13.0を超える場合、回転円盤による遠心力が重力に比べて強く作用するため、芯材粒子がコーター壁面に集中して流動層を形成するため、ノズル(7)から供給された樹脂被覆溶液と芯材粒子との接触確率が低くなり、粉末粒子の芯材粒子への被覆率が低下する。
式(5)においてZが0.8未満の場合、ノズル(7)から供給された樹脂被覆溶液と芯材粒子との接触確率は高くなり、粉末粒子の芯材粒子への被覆率は高くなり、粉末粒子の芯材粒子への被覆率が100%を超えるため、現像中に脱離が起こり、好ましくない。
【0045】
さらに、式(6)が0.3から0.5の範囲であることが必要である。0.3未満の場合、空気流量が少ないため、芯材粒子の浮遊流動が得られない。0.5を超えると、浮遊力が過度トナーとなり、芯材粒子に働く、遠心力、重力、浮遊力のバランスが崩れ、好ましくない。
【0046】
上記コーティング方法により、粉末粒子の被覆率を制御することが可能となり、本発明のキャリアを得ることが可能となる。
本発明のキャリアは粉末を芯材表面に被覆しているため、コーティング中に脱離しやすく、その結果、粉末被覆率が減少する。これを防止するには、コーティング温度を被覆樹脂のTg以上Tg+50℃以下とし、コーティング終了後被覆樹脂のTg+20℃以下の温度で乾燥処理する方法が有効である。
コーティング温度をTg以上に加熱することで芯材粒子と被覆樹脂との親和性が高まって付着性が向上する。コーティング温度がTg未満の場合、被覆樹脂分子の歪みが残り、樹脂が脆くなり、粉末粒子の脱離が発生し、好ましくない。Tg+50℃を超えると被覆樹脂が軟化し、キャリア同士の凝集が発生し、好ましくない。
【0047】
さらに、コーティング終了後被覆樹脂のTg+20℃以下の温度で乾燥処理することで、キャリア同士の凝集が防止され、凝集体を篩分けする際の粉末粒子の脱離がなくなる。Tg+20℃を超えると、樹脂硬化反応が進むため、キャリア同士の凝集が発生する。
【0048】
本発明に使用されるトナー用樹脂としては、公知のもので良く、例えばスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオ−ル樹脂等が挙げられる。トナーの製造方法としては、従来公知の方法で良く、例えば、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤より成るトナー組成物をヘンシェルミキサー等で乾式混合し、一軸或いは二軸混練機、二本ロール等で溶融混練し、気流式、機械式の粉砕機で粉砕、分級し、必要に応じて外添剤混合を行なう。
【0049】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0050】
(比較例1)
スチレンメタクリレ−ト共重合体(Tg=95℃)0.75重量、酸化チタン末粒子(0.27μm,固有抵抗106Ω・cm)2.3重量部、トルエン14重量部、カーボンブラック0.1重量部をホモミキサーで10分間分散して樹脂被覆形成液を調合した。この樹脂被覆形成液を平均粒径65μmのマグネタイト100重量部の表面に回転円盤による遠心転動と空気流による浮遊流動により流動層を形成した流動床式塗布装置を用いてスプレーコーティングを行なった。
このとき、コーティング温度は100℃、式(5)においてZ=25.6、(6)式いてS/W=0.36とした。
【0051】
コーティング終了後、100℃で乾燥処理を行なった後、電気炉を用いて静置焼成を行ない、樹脂硬化処理を行なったのち、篩でキャリアの凝集体を除去しキャリアを得た。
上記キャリアを以下のトナーと混合してトナー濃度5%の現像剤を作成した。ポリオール樹脂100重量部、サリチル酸亜鉛2重量部、マゼンタ顔料4.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、二本ロ−ルで溶融混練し、気流式粉砕、分級後、体積平均粒径7.0μmとし、これに疎水性シリカ1重量部、酸化チタン0.85重量部をヘンシェルミキサーにて混合し、超音波振動篩にて凝集体を除去してトナーとした。体積平均粒径は7.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.35であった。
【0052】
(比較例2)
比較例1において、式(6)においてZ=10.2に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0053】
(比較例3)
比較例1において、トナーの体積平均粒径を10.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.30に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0054】
(比較例4)
比較例1において、トナーの体積平均粒径を5.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.37、式(5)においてZ=5.1に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0055】
(比較例5)
比較例1において、式(5)においてZ=6.4、粉末粒子をアルミナ粒子(0.45μm,固有抵抗106Ω・cm)、スチレンメタクリレート共重合体(Tg=95℃)1.25重量、トナー体積平均粒径を9.5μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.30に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0056】
(比較例6)
比較例1において、酸化チタン粒子の抵抗を107Ωcm、式(6)においてZ=6.4に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0057】
(比較例7)
アクリル樹脂(Tg=30℃)1.1重量部、グアナミン樹脂0.3重量部、酸化チタン粒子(0.27μm,固有抵抗106Ω・cm)2.3重量部、トルエン10部、ブチルソルセルブ3重量部をホモミキサーで10分間分散して樹脂被覆形成液を調合した。この樹脂被覆形成液を平均粒径65μmのマグネタイト100重量部の表面に回転円盤による遠心転動と空気流による浮遊流動により流動層を形成した流動床式塗布装置を用いてスプレーコーティングを行なった。このときコーティング温度は50℃、式(5)においてZ=5.1、式(6)においてS/W=0.36とした。
コーティング終了後、50℃で乾燥処理を行なった後、電気炉を用いて静置焼成を行ない、樹脂硬化処理を行なったのち、篩でキャリアの凝集体を除去しキャリアを得た。さらに比較例1と同じトナーを用いて現像剤を作成した。
【0058】
(比較例8)
比較例1において、芯材粒子を平均粒径65μmのCu−Znフェライト、式(5)においてZ=12.8に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0059】
(実施例1)
比較例7において、粉末粒子をアルミナ粒子(0.45μm,固有抵抗107Ω・cm)、芯材粒子を平均粒径65μmのCu−Znフェライト、アクリル樹脂を1.8重量部、グアナミン樹脂を0.5重量部、式(5)においてZ=3.2に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0060】
(比較例9)
比較例1において粉末粒子を酸化チタン粒子(1.00μm、固有抵抗106Ω・cm)、トナーの体積平均粒径を9.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.40、式(5)においてZ=3.7に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
【0061】
(実施例2)
比較例1において、粉末粒子をアルミナ粒子(1.00μm,固有抵抗107Ω・cm)0.5重量部、芯材粒子を平均粒径50μmCu−Znフェライト、スチレンメタクリレート共重合体(Tg=95℃)を2.0重量部、式(5)においてZ=2.7、式(6)においてS/W=0.30、トナーの体積平均粒径を7.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.45に変え、他条件は全て同一し、現像剤を作成した。
【0062】
(比較例10)
シリコーン樹脂溶液0.7重量部、カーボンブラック0.06重量部、トルエン10重量部、ブチルソルセルブ3部をホモミキサーで10分間分散して樹脂被覆形成液を調合した。この樹脂被覆形成液を平均粒径50μmのCu−Znフェライト100重量部の表面に回転円盤による遠心転動と空気流による浮遊流動により流動層を形成した流動床式塗布装置を用いてスプレーコーティングを行なった。このときコーティング温度は70℃、式(5)においてZ=5.0、式(6)においてS/W=0.30とした。
コーティング終了後、70℃で乾燥処理を行なった後、電気炉を用いて静置焼成を行ない、樹脂硬化処理を行なったのち、篩でキャリアの凝集体を除去しキャリアを得た。
さらに、比較例1と同じトナーを用いて現像剤を作成した。
【0063】
(比較例11)
実施例2において、トナーの体積平均粒径を7.0μm、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%=0.35に変え、他条件は全て同一とし、現像剤を作成した。
これら現像剤を、デジタルフルカラー複写機(リコー社製imagio Color2800)にセットし、マゼンタ単色による15万枚の印刷評価を行なった。なお、評価方法は次の通りである。
【0064】
(1)粉末粒子付着量測定:予め粉末粒子付着量が異なるサンプルを用意し、そのサンプルを適当な溶剤(トルエン、MEK等)に溶解させ、溶出した粉末粒子の重量を求め、その重量と蛍光X線強度との検量線を作成する。蛍光X線装置でキャリア表面の粉末粒子の蛍光X線強度を求め、上記検量線からその付着量を求めた。
(2)トナー平均粒径及び個数%、粉末平均粒径:コールター法により求めた。(3)現像剤帯電量測定:ブローオフ法により、帯電量を測定した。
(4)キャリア被覆樹脂の厚み測定:透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することで厚み測定を行なった。
(5)印刷評価:連続印刷は、毎分28枚の速度で連続して画像出力を行なうこととした。また、低速印刷は1枚印刷毎に5分間のインターバルを設けて画像出力を行なうこととした。
(6)トナー飛散:連続印刷時の15万枚後の現像部からのトナーの飛散状況を目視判定する。飛散がない場合を○、飛散はあるが使用上問題がない場合を△、飛散が激しい場合を×と判定した。
(7)地肌汚れ:連続印刷、低速印刷において、非画像上のトナーの汚れを観察する。汚れがない良好な画像の場合を○、汚れはあるが使用上問題ない場合を△、使用上問題がある場合を×と判定した。
(8)画像ムラ:連続印刷において、ベタ部画像の濃度ムラを観察する。濃度ムラがない良好な画像の場合を○、濃度ムラはあるが使用上問題ない場合を△、濃度ムラがあり、使用上問題がある場合を×と判定した。
【0065】
以下にその評価結果を記載する。
現像剤帯電量値は(初期現像剤帯電量)/(15万枚印刷後の現像剤帯電量)として記載する。
【0066】
【表1】
【0067】
上記表1から明らかなとおり、実施例1〜2、比較例1〜9では、15万枚印刷を繰り返した場合、1枚印刷毎に5分間のインタ−バルを設けた低速印刷から毎分28枚の連続印刷において、現像剤帯電量の低下が小さい。さらに、現像部からのトナー飛散、画像品質も使用上問題ないレベルである。
一方、比較例10では、連続印刷において現像剤帯電量が上昇し、画像濃度ムラが発生、またトナー飛散も激しい。比較例11は、連続印刷では問題ないが、低速印刷において、現像剤帯電量の低下が大きく、地肌汚れが発生する。
【0068】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の電子写真用現像剤は、粉末粒子の平均粒径とトナー平均粒径との関係がdt/dr≧10、またはdt/dr≧1であり、かつ体積平均粒径が6〜10μmであり、2μm以下のトナー粒子個数%/4μm以下のトナー粒子個数%≧0.4の関係を満たすトナーを用いることにより、キャリア樹脂被覆層へのトナースペントを防止することが可能となり、さらには、現像剤帯電量が速やかに復帰することにより広範囲な印刷速度において現像剤帯電量が維持され高耐久性が得られ、粒子表面の前記粉末粒子による被覆率が30以上であることで、さらに良好な効果が得られる。また、本発明の電子写真現像剤用キャリアの製造方法によれば、芯材粒子に作用する遠心力、重力、浮遊力が最適となり、粉末粒子の被覆率を制御することができ、本発明のキャリアを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における芯材表面に樹脂被覆層を形成する方法の概念図である。
【符号の説明】
1 給気ブロワー
2 ヒータ
3 多孔性のスリット
4 回転円盤
5 流動層室
6 被覆樹脂溶液
7 スプレーノズル
8 圧縮空気
9 芯材粒子
10 排気ブロワー
11 バグフィルター
Claims (5)
- 粉末粒子の抵抗が107Ωcm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用現像剤。
- 前記樹脂がメラミン樹脂で架橋されたアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用現像剤。
- 潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤を用いてトナー像を形成する工程、トナー像を転写体上に直接または間接的に転写する工程、転写体上のトナー像を熱及び圧力で定着する工程を有する画像形成方法において、前記現像剤が請求項1または2に記載の電子写真用現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
Priority Applications (1)
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