JP2002214038A - 焦電型赤外線検出素子の製造方法 - Google Patents

焦電型赤外線検出素子の製造方法

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JP2002214038A
JP2002214038A JP2001008489A JP2001008489A JP2002214038A JP 2002214038 A JP2002214038 A JP 2002214038A JP 2001008489 A JP2001008489 A JP 2001008489A JP 2001008489 A JP2001008489 A JP 2001008489A JP 2002214038 A JP2002214038 A JP 2002214038A
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slit
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pyroelectric
pyroelectric infrared
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JP2001008489A
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Tsutomu Nakanishi
努 中西
Koji Nomura
幸治 野村
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、焦電体を用いて赤外線の検出が可
能な焦電型赤外線検出素子の製造方法に関するもので、
赤外線検出素子の高歩留および1基板あたりの検出素子
の取れ数向上による低コスト化を実現できる焦電型赤外
線検出素子の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 第一の電極12aと薄膜焦電体13と第
二の電極12bから構成される赤外線受光部とこの受光
部を支える保持体とから大きく構成される焦電型赤外線
検出素子において、これら複数の検出素子を小片分割す
るために、基板11の裏面側にスリットを形成し、赤外
線受光部を有する基板表面側から前記スリットに沿って
基板分割するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焦電体を用いて赤
外線の検出が可能な焦電型赤外線検出素子の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、焦電体を用いて赤外線の検出が可
能な焦電型赤外線検出素子としては、特開平7−055
577号公報に記載されたものが知られている。焦電型
赤外線検出素子は強誘電体の焦電効果を利用したセンサ
で、焦電体材料は一様に分極する性質を有し、一様に分
極した状態では正および負の電荷を帯びている。焦電型
赤外線検出素子は、定常状態では大気中に浮遊する電荷
と結合して電気的に中性状態を保ち、全ての物体が放出
する温度に応じた赤外線エネルギーを焦電体で構成され
る赤外線受光部で受けると、焦電体自身に温度変化が生
じ、それに対応した分極変化が起こり、焦電体表面に電
荷が誘発される。このとき誘発された電荷を電圧または
電流として検出するものである。
【0003】従来の焦電型赤外線検出素子は、入射する
赤外線エネルギーの熱応答性を上げるために図5に示す
ように、微小空洞54を有する基板51に電極52a,
52b、焦電体薄膜53、有機系保持膜55を備えてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の焦電型赤外線検
出素子の製造方法では、基板上に形成された複数の赤外
線検出素子を小片分割する方法として半導体プロセスで
一般に知られているダイシング加工を用いていた。この
時、ダイシング加工では金属または樹脂をベースにダイ
ヤモンド粉体を含浸したブレードを用いて基板を切断す
るために、少なくともブレード厚の1.5倍程度の切断
幅を前記検出素子間に設ける必要があり、1基板当たり
の検出素子の取れ数が大きくロスするという欠点があ
る。また、焦電型赤外線検出素子は、NaCl型結晶系
の単結晶基板のへき開面上に形成している。この基板
は、検出素子形成面に対してX軸、Y軸、Z軸全方位軸
においてへき開性が高く、さらに検出素子形成面に平行
な面にもへき開性が強いため、ダイシング加工のような
基板に応力を加えた切断方法では、ダイシングの直進方
向に加えて検出素子形成面と厚み方向に平行な面へも同
時に応力がかかるため、へき開による層状破壊が発生し
やすくなり、検出素子を破損するといった不具合を招き
やすいという課題がある。以上のことから焦電型赤外線
検出素子の製造方法では、基板上に形成された赤外線検
出素子の破損を抑えて歩留を高めていくことと、1基板
当たりの検出素子の取れ数向上による低コスト化が要求
されている。
【0005】上記問題点を解決するために本発明は、小
片分割に必要な切断幅の縮小化と同時に低ストレスで割
断可能な工法により、基板上に形成された赤外線検出素
子の破損を抑えて歩留を高めていくことと、1基板当た
りの検出素子の取れ数向上による低コスト化が実現でき
る焦電型赤外線検出素子の製造方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、以下の構成を有する。
【0007】本発明の請求項1に記載の発明は、複数の
検出素子を小片分割するために、前記基板裏面側にスリ
ットを形成し、前記赤外線受光部を有する基板表面側か
ら前記スリットに沿って基板分割するもので、小片分割
に必要な切断幅の縮小化と低ストレスによる割断を実現
することができ、複数の赤外線検出素子の小片分割を高
精度化できるという作用を有する。
【0008】請求項2に記載の発明は、基板が、NaC
l型結晶系と同一の単結晶材料からなり、へき開面上に
赤外線受光部を形成するもので、焦電型赤外線検出素子
の高感度化を促進することができるという作用を有す
る。
【0009】請求項3に記載の発明は、スリットが、基
板の結晶異方性エッチングにより形成されるもので、高
精度かつ微小な切断幅を実現することが可能であり、ま
た低ストレス加工ができ、さらに大量に複数の基板を一
括処理できるという作用を有する。
【0010】請求項4に記載の発明は、スリットが、酸
性成分の溶液と粘性の高い緩衝溶液を主成分とするエッ
チング溶液により結晶異方性エッチングされるものであ
り、深さ方向のエッチング速度に対して幅方向のエッチ
ング速度を抑制でき、高アスペクトエッチング加工がで
きるという作用を有する。
【0011】請求項5に記載の発明は、異方性エッチン
グに用いるエッチング液が、酸性成分溶液として燐酸を
用い、その濃度が5vol%以上30vol%以下と
し、次に前記緩衝溶液としてグリセリンを用い、その濃
度が5vol%以上50vol%以下の混合組成からな
るもので、深さ方向のエッチング速度の高速化と高アス
ペクトエッチング加工ができるという作用を有する。
【0012】請求項6に記載の発明は、スリットが、レ
ーザを用いて形成されるもので、熱分解または光化学反
応を利用するため、機械的加工に比べて微小な切断幅を
実現することが可能であり、また低ストレス加工ができ
るという作用を有する。
【0013】請求項7に記載の発明は、レーザの中心発
振波長が、193nm,248nm,265nm,53
0nm,1.06μm、もしくは10.6μmのいずれ
かであるものである。
【0014】請求項8に記載の発明は、空洞が、スリッ
ト加工後に形成されるものであり、前記赤外線受光部が
基板と一体構造のままなので基板裏面側に前記スリット
を形成するとき、検出素子の破壊を抑制できプロセスを
安定化できるという作用を有する。
【0015】請求項9に記載の発明は、基板裏面側に設
けたスリットと交わる基板表面側の端部に、鋭利な刃先
を力点としてスリット方向にへき開分割し、次に90度
方向に設けたスリットに沿って前記へき開分割または基
板表面側から前記スリットに沿って基板長全面に渡って
鋭利な刃先を力点として分割することにより、検出素子
を小片分割するもので、前記検出素子形成に用いる単結
晶基板のへき開性を有効活用できるために、低ストレス
による割断が可能となり、基板厚み方向での層状破壊を
抑制できるので歩留のさらなる向上を実現できるという
作用を有する。
【0016】請求項10に記載の発明は、空洞の一方向
が開口している構造体の基板分割方法として、はじめに
前記検出素子の短辺方向を前記へき開分割し、次に空洞
と平行をなす前記検出素子の長辺方向について、短冊状
に整列させ、へき開分割またはスリットに沿って基板長
全面に渡って鋭利な刃先を力点として分割するもので、
特に空洞と平行をなす前記検出素子の長辺方向において
空洞形成過程でのエッチング除去により、検出素子割断
ラインの基板厚が薄くなるためより一層低ストレスでの
小片分割を可能にするという作用を有する。
【0017】請求項11に記載の発明は、前記刃先の角
度が45度以下であり、基板端部と前記刃先との接触角
が、20〜45度以下であるもので、基板終端まで効率
的に切断応力を伝播できるため、小片分割工程の歩留の
安定化を図るという作用を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態にお
ける焦電型赤外線検出素子の製造方法について、図面を
用いて説明する。
【0019】図1(a)は本発明の一実施の形態におけ
る焦電型赤外線検出素子の製造方法における小片分割前
の焦電型赤外線検出素子の斜視図、図1(b)は同図1
(a)A−A線における断面図、図2は同焦電型赤外線
検出素子の製造方法におけるフローチャートを示す図で
ある。
【0020】図に示すように焦電型赤外線検出素子は、
基板11、第一の電極12a、薄膜焦電体13、第二の
電極12b、空洞14、保持体15、外部接続端子1
6、及びスリット17から構成される。
【0021】基板11は、第一の電極12a及び薄膜焦
電体13をそれぞれ配向性薄膜として成長させる作用を
有するもので、好ましくはNaCl系単結晶材料から構
成される。NaCl系単結晶材料としては、例えば酸化
マグネシウムが使用でき、特に(100)酸化マグネシ
ウムは第一の電極12aおよび薄膜焦電体13それぞれ
の格子定数と整合しやすく、さらに薄膜焦電体13の熱
膨張係数に比べて大きいことから、薄膜焦電体13を配
向性薄膜としての成長を促進する点と、酸性溶液では結
晶面(100)に比べ結晶面(111)のエッチング速
度が低く、異方性エッチング効果が得られ、制御よく空
洞14の形成ができることと、さらに前記NaCl系単
結晶材料の(100)面はへき開性が高く、低コスト、
高歩留で小片分割できる点で好ましい。
【0022】第一の電極12aは、赤外線受光部に入射
した赤外線エネルギによって薄膜焦電体自身に温度変化
が生じるときに誘発される薄膜焦電体表面の電荷を電気
的に取り出し、外部回路に伝達するもので、好ましくは
単結晶成長した高融点金属材料から構成される。単結晶
成長した高融点金属材料としては、結晶面(100)に
成長した白金薄膜が使用でき、薄膜焦電体13との格子
整合性に優れ、さらに耐熱性及び耐酸化性に優れている
ので薄膜焦電体13の薄膜形成工程での薄膜焦電体13
に含まれる酸素による酸化および格子の乱れを起こさな
い点で好ましい。
【0023】薄膜焦電体13は、絶対零度以上の物体か
ら放出される温度に応じた赤外線エネルギを薄膜焦電体
13で構成する赤外線受光部に入射されると、焦電効果
を利用してその物体を検出するもので、好ましくはチタ
ン酸鉛系強誘電体材料から構成される。チタン酸鉛系強
誘電体材料としては、(化1)に示す組成のものが、高
い材料性能を有する点で好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】第二の電極12bは、第一の電極12aと
同様に赤外線受光部に入射した赤外線エネルギによって
薄膜焦電体自身に温度変化が生じるときに誘発される薄
膜焦電体13の表面の電荷を電気的に取り出し、外部回
路に伝達するもので、好ましくは入射赤外線エネルギが
反射しない程度の膜質を有する金属を主成分とする材料
から構成される。
【0026】空洞14は、赤外線受光部と基板11を熱
絶縁することで、基板11方向への熱の逃げを抑え、同
時に赤外線受光部のみの熱容量を確保できることから高
感度、高速応答を実現させるためのものである。
【0027】保持体15は、第一の電極12a、薄膜焦
電体13及び第二の電極12bから構成される赤外線受
光部を基板11上の外部接続端子16で支持するための
ものであると同時に、第一の電極12aと第二の電極1
2bとの間の電気的絶縁を行うもので、機械的強度に優
れた絶縁材料により構成される。絶縁材料としては、例
えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、酸化シリコ
ン、窒化シリコン等を使用することができ、特にポリイ
ミド系樹脂は、薄膜形成及びパターニング等の加工性に
優れ、さらに耐熱性、耐薬品性に優れている点で好まし
い。
【0028】外部接続端子16は、外部回路と電気的接
続して、赤外線受光部に入射した赤外線エネルギによっ
て薄膜焦電体自身に温度変化が生じるときに誘発される
薄膜焦電体13の表面の電荷を伝達するためのもので、
比較的比抵抗が低く、メッキ性またはボンディング性の
高い無機系材料で構成される。外部接続端子の材料とし
ては、Cu,Al,Ni,AuまたはPt等が使用で
き、特にPtは、第一の電極材料として用いられるもの
であり、耐酸性、耐薬品性に優れ、素子形成工程で用い
られる酸性もしくはアルカリ性の薬液に侵されないので
ワイヤボンド等のボンディング性に優れている点と、第
一の電極12aの形成工程と同時形成できるため、工程
の簡便化および低コスト化が図れるという作用を有する
点で好ましい。
【0029】スリット17は小片分割のために用いるも
ので、高精度かつ微小な切断幅が実現可能となり、また
低ストレス加工ができ、高歩留かつ低コスト化が図れる
点で好ましい。
【0030】本実施の形態では、図1に示すように、赤
外線受光部を構成する基板11の裏面側にスリット17
を設けて基板11の表面側より小片分割する焦電型赤外
線検出素子の製造方法であり、スリット17を高アスペ
クト比で作製できるので小片分割に必要な切断幅を50
μm以下のサイズまで実現可能となり、このスリットを
核にして基板11の表面部からへき開性を利用して低ス
トレスで小片分割していくので、基板11の厚み方向で
の層状破壊による赤外線検出素子の破損を抑えることが
可能となるため、歩留を高めていくことと、1基板当た
りの検出素子の取れ数向上による低コスト化が実現でき
る焦電型赤外線検出素子の製造方法が得られるものであ
る。
【0031】また、図2に示す本発明の実施の形態1に
おける焦電型赤外線検出素子の製造方法におけるフロー
チャートの中で、空洞14を形成する前にスリット17
を形成した例を用いているが、スリット加工中の赤外線
検出素子の破損を抑え、プロセスの安定性を高めるもの
で、赤外線検出素子の赤外線受光部がスリット加工時保
護できる形態を取れば、空洞14加工後、スリット17
を形成しても同様にプロセスの安定化が図れる。
【0032】また、保持体15の材料としてポリイミド
系樹脂を用いた例で説明したが、比抵抗が1013Ω−c
m以上、熱膨張係数が4×10-51/K以下で、伸びが
6%以上、さらに熱伝導率が0.17W/mK以下の物
性を備えた他の有機系または無機系材料を用いた場合に
ついても同様に実施可能である。
【0033】また、外部接続端子16として第一の電極
と同一材料のPtを用いた例で説明したが、比較的比抵
抗が低く、メッキ性またはボンディング性の高い金属材
料、例えばCu,Al,NiまたはAu等を用いた場合
についても同様に実施可能である。
【0034】さらに空洞14として赤外線受光部の接す
る基板11の表面直下を中空構造にした場合について説
明したが、空洞14が従来の焦電型赤外線検出素子の構
造同様に赤外線受光部の接する基板11の表面からその
対向面にかけて貫通状態にあっても同様の効果が得られ
る。また特開平8−313355号公報を例とする従来
の焦電型赤外線検出素子の構造同様に微小空洞14の一
部が開口されている状態にあっても同様の効果が得られ
る。
【0035】最後に、本発明の焦電型赤外線検出素子で
は、赤外線受光部またはその周辺部に赤外線受光表面お
よび第二の電極12bの保護の役割を担う上層保持体を
設けているが、前記赤外線受光部またはその周辺部に赤
外線吸収量を高める機能を有する赤外線吸収層が形成さ
れている構造であっても、素子構造の劣化が発生しない
ことは確認済みである。この時、この赤外線吸収層の材
質としては有機系、無機系いずれのものでも良い。
【0036】以上のように構成された焦電型赤外線検出
素子について、以下にその製造方法について説明する。
【0037】まず基板11として(100)MgOを用
い、前記(100)MgO基板11上に第一の電極12
aとして200nm程度の膜厚を有する白金(以下、P
tと略す)薄膜をマグネトロンスパッタ法により、基板
温度:600℃、入射電力密度:0.16W/cm2、ス
パッタガス雰囲気:Ar/O2=2/1、ガス圧:1.
06Paの成膜条件のもとエピタキシャル成長させた
後、その上層に薄膜焦電体13として2ないし3μm程
度の膜厚を有するPbTiO3あるいはPb1-xLa x
1-x/43等の焦電材料からなる薄膜を高周波マグネト
ロンスパッタ法により、基板温度:600℃、入射電力
密度:1.6W/cm2、スパッタガス雰囲気:Ar/O2
=9/1、ガス圧:1Paの成膜条件のもとエピタキシ
ャル成長させる。このとき(100)MgO基板11と
薄膜焦電体13の熱膨張係数の差により、薄膜焦電体1
3の結晶格子がキュリー点を境に歪み、基板面に対して
垂直方向にC軸が伸びることにより−方向の自発分極が
現れる。
【0038】次に薄膜焦電体13をフォトリソグラフィ
および湿式エッチングで所定の形状にパターニング形成
し、続いて第一の電極12aおよび外部接続端子16も
フォトリソグラフィおよび乾式エッチングで所定の形状
にパターニング形成する。
【0039】次に保持体15として感光性を有するポリ
イミド系樹脂を用いて、その前駆体をフォトリソグラフ
ィで所定の形状にパターニングし、300℃程度の温度
雰囲気でイミド化を促進し、熱硬化させる。このとき形
成する保持体15は赤外線受光部の第一の電極12aと
第二の電極12bの電気的絶縁体としての機能を有す
る。
【0040】次にそれら上層に第二の電極12bとして
20nm程度の膜厚を有するNi−Cr合金薄膜を真空
蒸着法により、基板温度200℃の成膜条件下で形成す
る。その後、フォトリソグラフィおよび湿式エッチング
により、所定の形状にパターニング形成する。
【0041】次に保持体15として感光性を有するポリ
イミド系樹脂を用いて、その前駆体をフォトリソグラフ
ィで所定の形状にパターニングし、300℃程度の温度
雰囲気でイミド化を促進し、熱硬化させる。このとき形
成する保持体15は赤外線受光部および第二の電極12
bと外部接続端子16との給電ラインを保護する機能を
有する。
【0042】次にスリット17として赤外線受光部未形
成側の(100)MgO基板11裏面側の特定領域にフ
ォトリソグラフィで作製したエッチング用保護マスクを
介して、湿式エッチング除去により形成する。この時用
いるエッチング液は、燐酸濃度10vol%、グリセリ
ン濃度50vol%の組成比のもので、液温65℃のも
のを用いた。スリットアスペクト比5倍程度の結果が得
られている。
【0043】次に、空洞14は、赤外線受光部と同一表
面上から(100)MgO基板11の特定領域にフォト
リソグラフィで作製したエッチング用保護マスクを介し
て、燐酸溶液をエッチング液として用いて湿式エッチン
グ除去により形成する。
【0044】最後に、図3に示すように赤外線受光部を
構成する基板11表面部のスリット17の直上の一方の
端部にブレイキング装置の刃先18を斜めにセットし、
荷重を加えて一次分割をする。続いてもう一方の方向に
ブレイキングの刃先をスリット17に沿って基板全辺に
渡って平行にセットし、荷重を加えて二次分割する。
【0045】本実施の形態の焦電型赤外線検出素子の製
造方法によれば、前記赤外線受光部を構成する基板11
の裏面側にスリット17を設けて基板11の表面側より
小片分割するもので、スリット17を高アスペクト比加
工で作製できるので小片分割に必要な切断幅を50μm
以下のサイズまで実現可能となり、このスリットを核に
して基板11の表面部からへき開性を利用して低ストレ
スで小片分割していくので、基板11の厚み方向での層
状破壊による赤外線検出素子の破損を抑えることが可能
となるため、歩留を高めていくことと、1基板当たりの
検出素子の取れ数向上による低コスト化が実現できる。
【0046】今回、スリット形成時のエッチング液とし
て燐酸とグリセリンの混合液を用いているが、燐酸に限
らず塩酸、硫酸、硝酸等の酸性溶液を用いても同様の効
果が得られる。さらに、無機系レジスト材料として第二
の電極12bと同じNi−Crを用いても同様の効果が
得られ、同時に安価なプロセスを実現できる。
【0047】また、保持体15として感光性を有するポ
リイミド系樹脂を用いているが、これに限るものではな
く、感光基を有しないポリイミド系樹脂、その他有機系
樹脂または無機系樹脂を用いた場合についても同様の効
果が得られる。
【0048】他の製造方法として、本発明の実施の形態
と異なるのは、スリット17の形成工程としてレーザ加
工を用いる点である。使用レーザとして中心発振波長5
30nmの第二高調波のYAGレーザを用い、切断幅5
0μm程度のスリット17を形成する。
【0049】この焦電型赤外線検出素子の製造方法によ
れば、熱分解または光化学反応のメカニズムでスリット
加工できるのでスリット幅20μmと微小サイズの切断
幅を実現できるため、基板当たりの赤外線検出素子の取
れ数を高めることができるものである。
【0050】今回、レーザとして中心発振波長530n
mの第二高調波のYAGレーザを用いているが、エキシ
マレーザ、基本波および第三高調波のYAGレーザ、ま
たはCO2レーザ等を用いても同様の効果が得られる。
【0051】また、図4に示す。他の製造方法は、基本
的に本発明の実施の形態で示したものと同様である。本
発明の実施の形態と異なるのは、小片分割の形成工程と
して一次分割後短冊状に配列し直して一次分割と同様に
へき開性を利用して短冊毎に二次分割していく点であ
る。
【0052】本実施の形態の焦電型赤外線検出素子の製
造方法によれば、低ストレスで小片分割できるので、基
板厚み方向での層状破壊による素子破損を効率的に抑え
ることができる。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明は、赤外線受光部を
構成する基板の裏面側にスリットを設けて基板の表面側
より小片分割するもので、スリットを高アスペクト比で
作製できるので小片分割に必要な切断幅の微小化が実現
可能となる。このスリットを核にして赤外線受光部を構
成する基板表面部からへき開性を利用して低ストレスで
小片分割していくので、基板の厚み方向での層状破壊に
よる赤外線検出素子の破損を抑えることが可能となるた
め、歩留を高めていくことと、1基板当たりの検出素子
の取れ数向上による低コスト化が実現できる焦電型赤外
線検出素子の製造方法が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態における焦電型赤
外線検出素子の斜視図 (b)同図1(a)のA−A線における断面図
【図2】同製造方法を説明するフローチャート
【図3】(a)本発明の一実施の形態における焦電型赤
外線検出素子の要部である個片分割工程を説明する図 (b)同要部である個片分割工程を説明する図
【図4】(a)本発明の他の実施の形態における焦電型
赤外線検出素子の要部である個片分割工程を説明する図 (b)同要部である個片分割工程を説明する図
【図5】従来の焦電型赤外線検出素子の断面図
【符号の説明】
11 基板 12a 第一の電極 12b 第二の電極 13 薄膜焦電体 14 空洞 15 保持体 16 外部接続端子 17 スリット
フロントページの続き Fターム(参考) 2G065 AA04 AB02 BA13 BA32 CA13 2G066 BA02 BA55 BB11 4M118 AA10 AB10 BA01 CA16 CB12 GA10 HA11 HA14 HA25 HA30 HA40

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に設けた第一の電極
    と、前記第一の電極上に設けた配向性薄膜焦電体と、前
    記薄膜焦電体上に設けた第二の電極を有する赤外線受光
    部と、前記赤外線受光部が接する前記基板の表層部に設
    けた空洞と、前記赤外線受光部が前記基板で支えられる
    ように設けた保持体とを備えた焦電型赤外線検出素子に
    おいて、これら複数の検出素子を小片分割するために、
    前記基板裏面側にスリットを形成し、前記赤外線受光部
    を有する基板表面側から前記スリットに沿って基板分割
    する焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板が、NaCl型結晶系と同一の単結
    晶材料からなり、へき開面上に赤外線受光部を具備する
    請求項1記載の焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 スリットが、前記基板の結晶異方性エッ
    チングにより形成される請求項1記載の焦電型赤外線検
    出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 スリットが、酸性成分の溶液と粘性の高
    い緩衝溶液を主成分とするエッチング溶液により結晶異
    方性エッチングで形成する請求項3記載の焦電型赤外線
    検出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 異方性エッチングに用いるエッチング液
    が、酸性成分溶液として燐酸を用い、その濃度が5vo
    l%以上30vol%以下とし、次に前記緩衝溶液とし
    てグリセリンを用い、その濃度が5vol%以上50v
    ol%以下の混合組成からなる請求項4記載の焦電型赤
    外線検出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 スリットが、レーザを用いて形成される
    請求項3記載の焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 レーザの中心発振波長が、193nm,
    248nm,265nm,530nm,1.06μm、
    もしくは10.6μmのいずれかである請求項6記載の
    焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 空洞が、スリット加工後に形成される請
    求項1記載の焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板裏面側に設けたスリットと交わる基
    板表面側の端部に、鋭利な刃先を力点としてスリット方
    向にへき開分割し、次に90度方向に設けたスリットに
    沿って前記へき開分割または基板表面側から前記スリッ
    トに沿って基板長全面に渡って鋭利な刃先を力点として
    分割することにより、検出素子を小片分割する請求項1
    記載の焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 空洞の一方向が開口している構造体の
    基板分割方法として、はじめに前記検出素子の短辺方向
    を前記へき開分割し、次に空洞と平行をなす前記検出素
    子の長辺方向について、短冊状に整列させ、へき開分割
    またはスリットに沿って基板長全面に渡って鋭利な刃先
    を力点として分割することにより、検出素子を小片分割
    する請求項1記載の焦電型赤外線検出素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 刃先の角度が45度以下であり、基板
    端部と前記刃先との接触角が、20〜45度以下である
    請求項9または10記載の焦電型赤外線検出素子の製造
    方法。
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