JP2002213621A - 変速機のグリース封止構造 - Google Patents

変速機のグリース封止構造

Info

Publication number
JP2002213621A
JP2002213621A JP2001007648A JP2001007648A JP2002213621A JP 2002213621 A JP2002213621 A JP 2002213621A JP 2001007648 A JP2001007648 A JP 2001007648A JP 2001007648 A JP2001007648 A JP 2001007648A JP 2002213621 A JP2002213621 A JP 2002213621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grease
case member
transmission
gap
annular portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001007648A
Other languages
English (en)
Inventor
Sueo Fukaya
末男 深谷
Takashi Hatanaka
貴志 畠中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2001007648A priority Critical patent/JP2002213621A/ja
Publication of JP2002213621A publication Critical patent/JP2002213621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Retarders (AREA)
  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速機構部にグリースが添加・塗布され、下
方突出軸を備えた変速機の機械効率を向上させることが
できると共に、該変速機とモータ等との結合作業を容易
にすることができるグリース封止構造を提供する。 【解決手段】 ケース部材14の貫通孔14aと下方突
出軸16との間に、ケース部材14と下方突出軸16と
が干渉することなく相対回転可能で、且つ、少なくとも
ケース部材14と下方突出軸16とが相対回転している
ときにおいては、グリースの流出が不能な微小寸法に設
定された隙間部32を形成すると共に、ケース部材14
及び下方突出軸16に、隙間部32の近傍で該隙間部3
2と同軸的に上方に突出する円環部34、36を設け、
該円環部34、36における隙間部32と反対側に、ケ
ース部材14と下方突出軸16とが相対回転していない
ときを含めて変速機構部12から落下したグリースの貯
留が可能なグリース溜り38、40を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業機器、輸送機
器等の駆動のために用いられる変速機のグリース封止構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】産業機器、輸送機器等の駆動のために用
いられる変速機の中には、例えば図3に示される変速機
100のように、グリースが添加・塗布される変速機構
部101を収納するケース部材102と、該ケース部材
102に形成された貫通孔102aを貫通してケース部
材102の内側から外側下方に突出すると共に、該ケー
ス部材102と相対回転可能に支持された下方突出軸1
04と、を備えたものがある。
【0003】グリースは液体状の潤滑油と比較して流動
性が低いが、貫通孔102aの近傍には、変速機構部1
01から落下・飛散するグリースが溜り易く、一部のグ
リースがケース部材102と下方突出軸104との隙間
から外部に流出して変速機100の周辺のモータ110
等を汚す恐れがある。
【0004】このため、ケース部材102と下方突出軸
104との間にオイルシール108(グリース封止構
造)を設け、溜まったグリースの外側への流出を確実に
防止している。
【0005】オイルシール108は、外周部108aに
おいて貫通孔102aに嵌着すると共に、自身の緊縛力
により軸中心側に付勢されたリップ108bの先端にお
いて下方突出軸104の外周部104aに密着してグリ
ースの流出を遮断している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようにオイルシー
ル108は、貫通孔102a近傍に溜るグリースの下方
への流出を確実に防止することができる反面、以下のよ
うな問題を有している。
【0007】まず第1に、オイルシール108のリップ
108bの先端は緊縛力により付勢されて、下方突出軸
104の外周部104aに密着しているので、該リップ
108bが下方突出軸104の回転の抵抗となって動力
損失を生じさせ、変速機100の機械効率を低下させる
一因となっている。
【0008】更に、下方突出軸104とケース部材10
2との間に存在するオイルシール108のために、下方
突出軸104を支持する変速機100とモータ110と
の結合作業を容易に行うことができないという問題があ
る。
【0009】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであって、変速機構部にグリースが添加・塗布さ
れ、下方突出軸を備えた変速機の機械効率を向上させる
とともに、該変速機とモータ等との結合作業を容易にす
ることができるグリース封止構造を提供することを課題
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、グリースが添
加・塗布される変速機構部を収納するケース部材と、該
ケース部材に形成された貫通孔を貫通してケース部材の
内側から外側下方に突出すると共に該ケース部材と相対
回転可能に支持された下方突出軸と、を備えた変速機の
グリース封止構造において、前記ケース部材の貫通孔と
前記下方突出軸との間に、該ケース部材と下方突出軸と
が干渉することなく相対回転可能とする隙間部を形成す
ると共に、前記ケース部材又は下方突出軸のうち、少な
くとも一方側に、前記隙間部の近傍で該隙間部と同軸的
に上方に突出する円環部を設けることにより、該円環部
における前記隙間部と反対側に、前記変速機構部から落
下したグリースの貯留が可能なグリース溜りを形成した
ことにより、上記課題を解決したものである。
【0011】このようにすることで、グリース溜りが変
速機構部から落下したグリースを貯留し、この貯留した
グリースは円環部により隙間部から隔離されて流出する
ことがない。なお、グリース溜りを避けて隙間部近傍に
落下・飛散するグリースの一部が該隙間部から流出し得
るが、微小な隙間部から流出するグリースの量は実用上
問題ない程度の量である。
【0012】又、下方突出軸とケース部材とが隙間部を
介して干渉することなく相対回転するので、該隙間部に
おける動力損失がほとんどなく、変速機の機械効率が良
い。
【0013】更に、隙間部にオイルシールが設けられて
いないので、下方突出軸をケース部材に容易に挿入する
ことができる。即ち、変速機と下方突出軸を支持するモ
ータ等との結合作業が容易で作業効率が良い。
【0014】又、請求項2のように前記隙間部を、少な
くとも前記ケース部材と前記下方突出軸とが相対回転し
ているときにおいては前記グリースの流出が不能な微小
寸法に設定してもよい。
【0015】このようにすることで、下方突出軸及びケ
ース部材のいずれか一方が回転し、他方が停止している
時、即ち、下方突出軸とケース部材とが相対回転してい
る時は、隙間部の振り切り効果(ラビリンス効果)によ
り、該隙間部からのグリースの流出を防止することがで
きる。
【0016】一方、下方突出軸及びケース部材の両方が
停止しているときも、微小な隙間から外部に流出するグ
リースの量は微量である。
【0017】即ち、下方突出軸とケース部材とが相対回
転している時及び両者が停止している時のいずれの時に
おいても、変速機からのグリースの流出は遮断、又は微
量に制限され、実用上問題がない。
【0018】又、請求項3のように、前記円環部に、前
記隙間部から離間する向きに下り傾斜する勾配面を有す
る上面を形成してもよい。
【0019】円環部の上面は水平であってもよいが、特
に勾配面の上面を形成することにより、該上面に落下・
飛散するグリースをグリース溜りへ積極的に導いて、グ
リースの隙間部側への移動を一層制限することができ
る。
【0020】更に、請求項4のように、前記円環部にお
ける前記隙間部と反対側に、該隙間部から離間する向き
に下り傾斜する勾配面又は鉛直面の側面を形成してもよ
い。
【0021】このようにすることで、グリース溜りに貯
留されたグリースを確実に隙間部から隔離して、隙間部
からの流出を防止することができる。
【0022】又、該側面を鉛直面とすることにより小さ
なスペースで大きな容量のグリース溜りを形成すること
ができる。
【0023】更に、下方突出軸が回転する場合は、下方
突出軸に円環部を設け、更にこの円環部に勾配面の側面
を形成することにより、該下方突出軸に貯留されるグリ
ースは該下方突出軸の回転による遠心力で円環部を越え
て外側に飛散し易くなり、グリースを隙間部から遠ざけ
ることができる。
【0024】更に又、請求項5のように、前記ケース部
材又は下方突出軸の双方に前記円環部を設けると共に、
前記ケース部材側の円環部の上端よりも前記下方突出軸
側の円環部の上端を上方に配置してもよい。
【0025】一般的に下方突出軸に形成することができ
るグリース溜りはケース部材に形成することができるグ
リース溜りよりも小さく、下方突出軸に十分な容積のグ
リース溜りを形成することができない場合が多い。
【0026】しかし、このようにケース部材側の円環部
の上端よりも下方突出軸側の円環部の上端を上方に配置
することにより、上記のように下方突出軸が回転する場
合には、該下方突出軸側に貯留されたグリースが遠心力
によりケース部材側の円環部をも容易に越えて、該ケー
ス部材側のグリース溜りに飛散・貯留される。
【0027】即ち、下方突出軸側のグリース溜りが小さ
い場合であっても、該下方突出軸側のグリース溜りから
グリースが溢れる前にケース部材側のグリース溜りにグ
リースを移動させることができるので、下方突出軸側の
グリース溜りは十分な容積のグリースを受容することが
できる。
【0028】又、請求項6のように、前記グリース溜り
の総容積を、前記ケース部材内側の空間容積の5〜30
%の範囲とするとよい。
【0029】一般的に変速機内に封入されるグリースの
最適な容積はケース部材内側の空間容積の15〜30%
とされている。又、グリース中の80〜90%の油分の
うち、50〜60%が分離して飛散・落下するとされて
いる。
【0030】即ち、ケース部材内側の空間容積の6〜1
6%のグリースが飛散・落下すると推定される。
【0031】従って、グリース溜りの総容積をケース部
材内側の空間容積の(6〜16%よりも若干広い)5〜
30%の範囲とすることにより、ほぼ必要十分な容積の
グリース溜りが確保され、グリースの流出を防止するこ
とができ、且つ、コンパクトな変速機を実現することが
できる。
【0032】更に、請求項7のように、前記グリース溜
りの総容積を、前記ケース部材内側に封入されるグリー
スの容積の、30〜70%の範囲とすることにより、グ
リース溜りの総容積を更に必要十分な大きさに近づける
ことができる。
【0033】即ち、実際にケース部材内部に封入される
グリースの容積から直接的に計算すると、封入グリース
容積の40〜54%が飛散・落下すると推定されるの
で、グリース溜りの総容積を封入グリース容積の(40
〜54%よりも若干広い)30〜70%の範囲とするこ
とにより、更に最適な総容積のグリース溜りを形成する
ことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0035】図1は、本発明の実施の形態の例に係る変
速機10の全体構造を示したものである。
【0036】変速機10は、グリースが添加・塗布され
る変速機構部12を収納するケース部材14と、このケ
ース部材14に形成された貫通孔14aを貫通してケー
ス部材14の内側から外側下方に突出する下方突出軸1
6とを備えている。
【0037】図2は、図1におけるケース部材14と下
方突出軸16との間からのグリース流出を制限するグリ
ース封止構造18を拡大して示したものである。
【0038】このグリース封止構造18が本発明に係る
部分であり、変速機10における他の部分は従来と同様
であるが、本発明の説明の便宜のため、変速機10の全
体構造について概説した後、グリース封止構造18につ
いて詳細に説明する。
【0039】変速機構部12は単純遊星歯車機構で、太
陽ギヤ12a、遊星ギヤ12b、リングギヤ12cを含
んで構成され、潤滑油としてグリースが添加・塗布され
ている。
【0040】太陽ギヤ12aは、下方突出軸16の上端
部として該下方突出軸16に一体に形成され、リングギ
ヤ12cはケース部材14の内周部として該ケース部材
14に一体に形成されている。
【0041】遊星ギヤ12bはキャリヤ20に軸支され
ており、このキャリヤ20とボルト22で一体に締結さ
れた出力軸24が遊星ギヤ12bの公転成分と同期して
回転するようにされている。
【0042】キャリヤ20は、2つの軸受26a、26
bを介してケース部材14に回転自在に支持され、且
つ、軸線方向の移動が規制されている。これら軸受26
a、26bにも潤滑油としてグリースが添加・塗布され
ている。
【0043】キャリヤ20の上端近傍とケース部材14
の上端近傍の間には、オイルシール28が設けられてい
る。
【0044】下方突出軸16はモータ30の出力軸30
aに嵌合し、セットスクリュー30bで固定されてい
る。下方突出軸及び出力軸30aは、モータ30内の図
示しない軸受により回転自在に支持され、且つ軸線方向
の移動が規制されている。
【0045】次に、グリース封止構造18について説明
する。
【0046】グリース封止構造18は、ケース部材14
の貫通孔14aと下方突出軸16との間に、該ケース部
材14と下方突出軸16とが干渉することなく相対回転
可能で、且つ、ケース部材14と下方突出軸16とが相
対回転しているときにおいてはグリースの流出が不能な
0.5mm程度の微小寸法に設定された隙間部32と、
2つの円環部34及び36により形成される2つのグリ
ース溜り38及び40とから構成されている。
【0047】円環部34はケース部材14側に設けら
れ、隙間部32に隣接して該隙間部32と同軸的に上方
に突出している。
【0048】円環部34の上面34aは隙間部32から
離間する向きに下り傾斜する勾配面とされている。
【0049】円環部34の隙間部32と反対側の側面3
4bは鉛直面とされている。
【0050】なお、円環部34の隙間部32側の側面も
鉛直面で貫通孔14aの一部を形成している。
【0051】円環部34における隙間部32と反対側に
はグリース溜り38が形成され、このグリース溜り38
は変速機構部12から飛散・落下したグリースを貯留可
能とされている。
【0052】一方、円環部36は下方突出軸16に設け
られ、隙間部32の近傍で該隙間部32と同軸的に上方
に突出している。
【0053】円環部36の上面36a及び隙間部32と
反対側の側面は、隙間部32から離間する向きに下り傾
斜する勾配面とされている。
【0054】なお、円環部36の隙間部32側の側面は
鉛直面とされ、隙間部32における下方突出部16の外
径と等しい外径とされている。
【0055】円環部36の上端部36cは、ケース部材
14側の円環部34の上端34cよりも上方に配置され
ている。
【0056】円環部36における隙間部32と反対側に
はグリース溜り40が形成され、このグリース溜り40
も前記グリース溜り38と同様に、変速機構部12から
飛散・落下したグリースを貯留可能とされている。
【0057】下方突出軸16側のグリース溜り40の容
積はケース部材14側のグリース溜り38の容積よりも
小さくされている。又、両グリース溜まりの総容積は、
変速機構部12及び軸受26a、26bに添加・塗布さ
れ、ケース部材14内側に封入されるグリースの容積の
約50%、即ち落下・飛散すると推定されるグリース容
積である、封入されたグリース容積の30〜70%の中
央値とされている。
【0058】次に、変速機10におけるグリース封止構
造18の作用について説明する。
【0059】モータ30の出力軸30aと共に下方突出
軸16が回転しているときは、この回転はリングギヤ1
2c側から反力を受けながら太陽ギヤ12a→遊星ギヤ
12b→キャリヤ20の順に伝達されて減速され、出力
軸24がモータ30よりも低い回転数で回転する。
【0060】キャリヤ20が回転することにより軸受2
6a、26bも共に回転する。
【0061】各ギヤ及び各軸受に添加・塗布されたグリ
ースの一部は、回転により飛散・落下してグリース溜り
38、40に貯留される。
【0062】ケース部材14側の円環部34の上面34
aは隙間部32から離間する向き、即ち、グリース溜り
38側の向きに下り傾斜する勾配面とされているので、
該上面34a上に落下・飛散したグリースは該グリース
溜り38に導かれる。
【0063】ケース部材14側のグリース溜り38に貯
留されたグリースは、円環部34により隙間部32から
隔離され、該隙間部32から流出することはない。
【0064】一方、下方突出軸16側の円環部36の上
面36a及び側面36bは、隙間部32から離間する向
きに下り傾斜する勾配面(隙間部32に接近する向きに
上り傾斜する勾配面)とされているので、下方突出軸1
6側のグリース溜り40に貯留されたグリースは、下方
突出軸16の回転による遠心力で該円環部36を容易に
越えて下方突出軸16から離間する向きに飛散する。
【0065】下方突出軸16側の円環部36の上端36
cがケース部材14側の円環部34の上端34cよりも
上方に配置されているので、グリース溜り40から遠心
力により飛散したグリースはケース部材14側の円環部
34も容易に越えて該ケース部材14側のグリース溜り
38に貯留される。
【0066】隙間部32の上部に落下、飛散するグリー
スの一部は、該隙間部32内に入り込むが、下方突出軸
16がケース部材14に対して相対回転しているので、
隙間部32内に入り込んだグリースは振り切り効果(ラ
ビリンス効果)により該隙間部32内に保持され、該隙
間部32から外側へ流出することはない。
【0067】即ち、下方突出軸16が回転しているとき
にケース部材14内に飛散・落下したグリースは、該ケ
ース部材14内に完全に封止される。
【0068】又、下方突出軸16は隙間部32を介して
ケース部材14と干渉することなく相対回転しているの
で、オイルシールを介して相対回転するときのような回
転抵抗、動力損失がなく、変速機10は機械効率が良
い。
【0069】次に、モータ30が停止すると太陽ギヤ1
2a、遊星ギヤ12b、キャリヤ20、軸受26a、2
6bも停止する。
【0070】これにより、グリースの飛散・落下は減少
するが、変速機構部12から僅かなグリースが落下して
2つのグリース溜り38、40に貯留される。
【0071】2つの円環部34、36の上面34a、3
6aが、隙間部32から離間する向きに下り傾斜する勾
配面とされているので、該上面34a、36aに落下し
たグリースは各々グリース溜り38、40に導かれて隙
間部32に入り込むことはない。
【0072】2つのグリース溜り38、40に貯留され
たグリースは、各々円環部34、36により隙間部32
から隔離され、該隙間部32から流出することはない。
【0073】隙間部32の上部に落下するグリースの一
部は該隙間部32内に入り込み、更にその一部が外側へ
流出するが、隙間部32は微小であるため、流出するグ
リースの量は実用上問題ない程度の微量に制限される。
【0074】即ち、下方突出軸16がケース部材14に
対して相対回転しているとき、及び停止している時のい
ずれの時においても、隙間部32からのグリースの流出
は遮断、又は微量に制限され、実用上問題がない。
【0075】下方突出軸16側のグリース溜り40の容
積は、ケース部材14側のグリース溜り38の容積より
も小さいが、溜まったグリースは次の回転時に前述した
ように飛散してグリース溜り38側に(回転の度に)移
行するため、グリース溜り40から溢れることはない。
【0076】即ち、下方突出軸16の回転・停止の繰り
返しにより、該下方突出軸16側のグリース溜り40に
貯留されたグリースを逐次ケース部材14側のグリース
溜り38に移動させることができる。
【0077】本実施の形態の例と同様に、一般的にも、
下方突出軸側に設けることができるグリース溜りの容積
は、ケース部材側に設けることができるグリース溜りの
容積よりも小さいが、下方突出軸側のグリース溜りから
ケース部材側のグリース溜りへグリースを移動させるこ
とができるので、下方突出軸側のグリース溜りは十分な
容積のグリースを受容することができる。
【0078】又、2つのグリース溜り38、40の総容
積が、ケース部材14側に封入されるグリース容積の
(30〜70%の範囲の中央値の)約50%とされ、落
下・飛散すると推定されるグリース容積と同等の容積と
されているので、変速機10は必要十分な容積のグリー
ス溜りを備え、且つ、コンパクトである。
【0079】次に、変速機10とモータ30との結合時
におけるグリース封止構造18の作用について説明す
る。
【0080】変速機10とモータ30とを結合するとき
は、モータ30の出力軸30aに下方突出軸16を固定
し、該下方突出軸16上端部の太陽ギヤ12aをケース
部材14の貫通孔14aに挿入させて、変速機10とモ
ータ30とを接近、結合させる。
【0081】この際、変速機10の軸線とモータ30の
軸線とが多少ずれて、下方突出軸16がケース部材14
に接触しても、ケース部材14、下方突出軸16のいず
れもオイルシールのように損傷し易い部品ではないの
で、結合作業が容易である。
【0082】又、太陽ギヤ12aと遊星ギヤ12bとが
干渉して噛み合わない場合には、変速機10又はモータ
30のいずれかを軸線廻りに回転させて、2つのギヤを
噛み合わせる必要があり、このときも下方突出軸16と
ケース部材14とが接触し得るが、この作業も同様に容
易である。
【0083】即ち、グリース封止構造18を備えた変速
機10とモータ30との結合作業は容易であり作業効率
が良い。
【0084】なお、本実施の形態の例において、変速機
10はケース部材14が固定され、下方突出軸16が回
転・停止するようにされているが、本発明はこれに限定
されるものではなく、グリース封止構造18は、下方突
出軸16が固定され、ケース部材が回転・停止する変速
機に適用してもよい。
【0085】又、本実施の形態の例において、グリース
封止構造18はケース部材14及び下方突出軸16の双
方にグリース溜りが設けられた構成であるが、本発明に
これに限定されるものではなく、変速機の形状や、添加
・塗布されるグリースの量によっては、ケース部材又は
下方突出軸のいずれか一方にグリース溜りを設けたグリ
ース封止構造としてもよい。
【0086】この場合、ケース部材又は下方突出軸のう
ち、回転不能に固定される側にグリース溜りを設けるこ
とが望ましい。
【0087】更に、本実施の形態の例において、2つの
円環部34、36の上面34a、36aは隙間部32か
ら離間する向きに下り傾斜する勾配面とされているが、
本発明はこれに限定されるものではなく、例えば円環部
の(水平方向の)厚さが薄い場合等は水平面としてもよ
い。
【0088】更に又、本実施の形態の例において、2つ
の円還部34、36の隙間部32と反対側の側面34
b、36bは各々鉛直面、隙間部32から離間する向き
に下り傾斜する勾配面とされているが、本発明はこれに
限定されるものではなく、側面部34bを隙間部32か
ら離間する向きに下り傾斜する勾配面とし、側面部36
bを鉛直面としてもよく、両側面部34b、36bを共
に勾配面又は鉛直面としてもよい。
【0089】又、本実施の形態の例において、下方突出
軸16側の円環部36の上端36cがケース部材14側
の円環部34の上端34cよりも上方に配置されている
が、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、
2つのグリース溜りの容積を十分大きく確保することが
できる場合には、上端34cを上端36cよりも上方に
配置してもよく、又、上端34cと上端36cとを同じ
高さに配置しても良い。
【0090】但し、2つのグリース溜りを有効に使用す
るためには2つのグリース溜りのうち容積の小さい方、
あるいは遠心力によって飛散させることができる方のグ
リース溜りを形成する円環部の上端を他方の円環部の上
端よりも上方に配置することが望ましい。
【0091】更に、本実施の形態の例において、2つの
グリース溜り38、40の総容積は、ケース部材14内
側に封入されるグリースの容積の約50%とされている
が、本発明はこれに限定されるものではなく、2つのグ
リース溜りの総容積をケース部材14内側に封入される
グリースの容積の約50〜70%の範囲で適宜変更して
もよい。
【0092】更に又、ケース部材14内側に封入される
グリースの量を正確に特定することができない場合に
は、2つのグリース溜りの総容積をケース部材14内側
の空間容積の5〜30%の範囲としてもよく、又、スペ
ース上の制約が少ない場合には、十分大きな容積のグリ
ース溜りとしてもよい。
【0093】又、本実施の形態の例において、変速機構
部12は単純遊星歯車機構により構成されているが、本
発明はこれに限定されるものではなく、同軸の2軸間で
回転伝導可能な内接噛合歯車、非同軸の2軸間で回転伝
動可能なはす歯歯車、平歯車、かさ歯車、チェン及びス
プロケット等の他の変速機構により構成される変速機構
部としてもよい。
【0094】更に、本実施の形態の例において、下方突
出軸16は入力軸とされているが、本発明はこれに限定
されるものではなく、出力軸の下方突出軸としてもよ
い。
【0095】更に又、本実施の形態の例において、隙間
部32の寸法は0.5mm程度とされているが、本発明
はこれに限定されるものではなく、ケース部材14と下
方突出軸16とが干渉することなく相対回転で、且つ少
なくともケース部材14と下方突出軸16とが相対回転
しているときにおいて、グリースの流出を不能とするこ
とができる範囲内で、例えば、下方突出軸16の外径等
に応じて、隙間部32の寸法を適宜変更してもよい。
【0096】又、変速機の使用環境等に応じて、ケース
部材と下方突出軸とが相対回転しているときに、実用上
問題がない程度の量のグリースが流出するような寸法の
隙間部としてもよい。
【0097】
【発明の実施の形態】以上に説明したとおり、本発明に
よれば、変速機構部にグリースが添加・塗布され、下方
突出軸を備えた変速機の機械効率が向上するとともに、
変速機とモータ等との結合作業が容易になるという優れ
た効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係る変速機の全体構
造を示す断面図
【図2】図1におけるグリース封止構造を拡大して示す
断面図
【図3】従来の変速機の構造を示す断面図
【符号の説明】
10、100…変速機 12、101…変速機構部 14、102…ケース部材 14a、102a…貫通孔 16、104…下方突出軸 18…グリース封止構造 32…隙間部 34、36…円環部 34a、36a…上面 34b、36b…側面 34c、36c…上端 38、40…グリース溜り 108…オイルシール(グリース封止構造)
フロントページの続き Fターム(参考) 3J027 FA18 FA19 FA24 FA25 FB31 GC13 GC22 GD04 GD08 GD12 GE23 GE27 3J042 AA04 AA16 BA05 CA01 CA10 CA22 DA03 3J063 AA25 AB12 AC01 BA01 BB01 BB48 CA01 CB48 CD42 XA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリースが添加・塗布される変速機構部を
    収納するケース部材と、該ケース部材に形成された貫通
    孔を貫通してケース部材の内側から外側下方に突出する
    と共に該ケース部材と相対回転可能に支持された下方突
    出軸と、を備えた変速機のグリース封止構造において、 前記ケース部材の貫通孔と前記下方突出軸との間に、該
    ケース部材と下方突出軸とが干渉することなく相対回転
    可能とする隙間部を形成すると共に、 前記ケース部材又は下方突出軸のうち、少なくとも一方
    側に、前記隙間部の近傍で該隙間部と同軸的に上方に突
    出する円環部を設けることにより、該円環部における前
    記隙間部と反対側に、前記変速機構部から落下したグリ
    ースの貯留が可能なグリース溜りを形成したことを特徴
    とする変速機のグリース封止構造。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記隙間部は、少なくとも前記ケース部材と前記下方突
    出軸とが相対回転しているときにおいては前記グリース
    の流出が不能な微小寸法に設定されたことを特徴とする
    変速機のグリース封止構造。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 前記円環部に、前記隙間部から離間する向きに下り傾斜
    する勾配面を有する上面を形成したことを特徴とする変
    速機のグリース封止構造。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3において、 前記円環部における前記隙間部と反対側に、該隙間部か
    ら離間する向きに下り傾斜する勾配面又は鉛直面の側面
    を形成したことを特徴とする変速機のグリース封止構
    造。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、 前記ケース部材又は下方突出軸の双方に前記円環部を設
    けると共に、 前記ケース部材側の円環部の上端よりも前記下方突出軸
    側の円環部の上端を上方に配置したことを特徴とする変
    速機のグリース封止構造。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかにおいて、 前記グリース溜りの総容積が、前記ケース部材内側の空
    間容積の5〜30%の範囲とされたことを特徴とする変
    速機のグリース封止構造。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5のいずれかにおいて、 前記グリース溜りの総容積が、前記ケース部材内側に封
    入されるグリースの容積の30〜70%の範囲とされた
    ことを特徴とする変速機のグリース封止構造。
JP2001007648A 2001-01-16 2001-01-16 変速機のグリース封止構造 Pending JP2002213621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007648A JP2002213621A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 変速機のグリース封止構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001007648A JP2002213621A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 変速機のグリース封止構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002213621A true JP2002213621A (ja) 2002-07-31

Family

ID=18875372

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001007648A Pending JP2002213621A (ja) 2001-01-16 2001-01-16 変速機のグリース封止構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002213621A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011129110A1 (ja) * 2010-04-13 2011-10-20 川崎重工業株式会社 遊星歯車装置および歯車減速装置
JP2011256918A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Jatco Ltd ギヤの潤滑構造
CN102434633A (zh) * 2010-08-30 2012-05-02 日本电产新宝株式会社 变速器
JP2013092217A (ja) * 2011-10-26 2013-05-16 Mitsubishi Electric Corp 駆動装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011129110A1 (ja) * 2010-04-13 2011-10-20 川崎重工業株式会社 遊星歯車装置および歯車減速装置
JP2011220496A (ja) * 2010-04-13 2011-11-04 Kawasaki Heavy Ind Ltd 歯車装置
US8747272B2 (en) 2010-04-13 2014-06-10 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Planetary gear system and gear reducer
JP2011256918A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Jatco Ltd ギヤの潤滑構造
CN102434633A (zh) * 2010-08-30 2012-05-02 日本电产新宝株式会社 变速器
KR101321627B1 (ko) 2010-08-30 2013-10-23 니폰 덴산 심포 가부시키가이샤 변속기
JP2013092217A (ja) * 2011-10-26 2013-05-16 Mitsubishi Electric Corp 駆動装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5496767B2 (ja) 建設機械の旋回装置
EP2735463B1 (en) Planetary gear device
US3821908A (en) Retainer for planet pinion shaft
RU2501646C2 (ru) Уплотнительное устройство для камеры зубчатой передачи
KR101321627B1 (ko) 변속기
JP6233013B2 (ja) 動力伝達装置
JP2002213621A (ja) 変速機のグリース封止構造
US4072067A (en) Planetary gearing with closed housing
JPH0738760Y2 (ja) ハスバ歯車を用いた減速機の潤滑構造
CA2807298A1 (en) Housing with a direct flow path for hardware lubrication
JP2011106610A (ja) 減速機のスラストブシュ潤滑構造
US8500586B2 (en) Transmission system
JP7029942B2 (ja) 粉粒体供給装置
US20120240708A1 (en) Power Transfer Box Spline Lubrication Device
JP2007232082A (ja) 減速機
JPS6091098A (ja) 潤滑装置
JPH0613409Y2 (ja) 減速機
JPWO2019044233A1 (ja) 減速装置
JP2012177430A (ja) 電気自動車用モータ付き減速差動装置
CN216078222U (zh) 一种减速电机
KR101773914B1 (ko) 전동공구의 기어박스
CN111692293B (zh) 减速器及润滑方法
JP2002143614A (ja) 多孔質磁性部材及び該多孔質磁性部材を用いた減速装置
CN211117392U (zh) 一种减速机用行星齿轮传动机构
JPS63158344A (ja) 遊星歯車装置