JP2002212727A - 堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成方法

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JP2002212727A
JP2002212727A JP2001332645A JP2001332645A JP2002212727A JP 2002212727 A JP2002212727 A JP 2002212727A JP 2001332645 A JP2001332645 A JP 2001332645A JP 2001332645 A JP2001332645 A JP 2001332645A JP 2002212727 A JP2002212727 A JP 2002212727A
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Japan
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substrate
film
plasma
voltage
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Atsushi Koike
淳 小池
Masahiro Kanai
正博 金井
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Canon Inc
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積にわたって高品質で優れた均一性を有
するアモルファスシリコン系およびマイクロクリスタル
シリコン系堆積膜等を、高い成膜速度で形成する。 【解決手段】 水素ガスおよび少なくともSi元素を含
有する堆積膜の原料ガスを真空容器101内に導入しつ
つ、真空容器101内に設けた放電電極105に高周波
電力を供給してプラズマ化し、真空容器101内の基板
102上にプラズマCVD法により堆積膜を形成する堆
積膜形成方法において、補助電極110に、少なくとも
2つ以上の振幅の異なる波形成分を有する周期性電圧を
印加しながら堆積膜を形成することを特徴とする堆積膜
形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD法
により堆積膜を形成する方法に関する。本発明の方法
は、例えば、アモルファスシリコンやアモルファス合金
を用いた太陽電池等の光起電力素子を構成する半導体薄
膜の成膜方法として非常に有用であり、成膜速度を高く
維持しながら、大面積に良質かつ均質なアモルファスシ
リコン系、マイクロクリスタルシリコン系堆積膜を良好
に成膜できる。
【0002】
【従来の技術】プラズマCVD法によって作製されるア
モルファスシリコンやマイクロクリスタルシリコンは、
結晶シリコンや多結晶シリコンと比較して大面積の半導
体デバイスを比較的容易に形成することができる。その
ため、これらのシリコン膜は、大きな面積を必要とする
半導体デバイス、具体的には、太陽電池、複写機の感光
ドラム、ファクシミリのイメージセンサー、液晶ディス
プレー用の薄膜トランジスタ等に多く用いられている。
【0003】アモルファスやマイクロクリスタルシリコ
ン膜は、一般に、原料ガスを高周波放電によって分解し
てプラズマ状態にし、このプラズマ中に置かれた基板上
に成膜する、いわゆるプラズマCVD法により形成され
る。
【0004】プラズマCVD法によって大面積にアモル
ファスシリコン膜を形成する場合、従来は、RF周波数
(13.56MHz近傍)の高周波が一般に用いられて
いた。一方、近年は、基板が大型化するデバイスの要請
が有り、これを受けて、大面積の成膜を行なうCVD装
置が検討されている。しかし、この場合、従来の小面積
対応装置では許容範囲内であった「膜質の不均一性」と
いう問題が顕在化している。
【0005】また、生産性の向上という観点から、成膜
速度の高速化も基板の大型化と共に強く求められるよう
になって来ている。これを受けて、いくつかの方法が実
施されている。典型的なものは、(1)原料ガスの流量
を増やす方法と、(2)高周波放電の電力を高める方法
等である。また、(3)VHF周波数(約30〜300
MHz)を用いたプラズマCVDも有力な技術として注
目されている。例えば、Amorphous Silicon Technology
1992 p.15-26 (Materials Research SocietySymposium
Proceedings Volume 258)には、放電周波数を13.5
6MHzのRFからVHF周波数にすることによって、
成膜速度を格段に高めることができ、高速で良好な堆積
膜を形成可能になると報告されている。
【0006】上記方法(1)〜(3)は、大面積成膜に
おいても成膜速度を増加させるという点においては有効
である、しかし、何れの方法においても、大面積成膜に
より膜質均一性がさらに悪化し、加えて全体の膜質も低
下するという前述の問題が生じてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の各従
来技術の課題に鑑みなされたものである。すなわち、本
発明の目的は、大面積にわたって高品質で優れた均一性
を有するアモルファスシリコン系およびマイクロクリス
タルシリコン系堆積膜等を、高い成膜速度で形成できる
堆積膜形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々の検討を重ねた結果、これら膜質に係
る問題の原因が「原料ガス(ここではH2を除く)中に
含まれる堆積膜の前駆体と、それ以外の原料ガスからの
生成種との割合の不適切さ」と「原料ガス(ここではH
2を除く)中に含まれる堆積膜の前駆体の数に対する水
素ラジカル数の割合の不適切さ」の2点に起因すること
を突き止めた。つまり、それらの割合を是正すること
で、大面積で高速成膜時の膜質均一性の悪化を抑えるこ
とができ、全面に生じる膜質の低下を低減できることを
見出し、上記目的を達成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、水素ガスおよび少なく
ともSi元素を含有する堆積膜の原料ガスを真空容器内
に導入しつつ、該真空容器内に設けた放電電極に高周波
電力を供給してプラズマ化し、該真空容器内の基板上に
プラズマCVD法により堆積膜を形成する堆積膜形成方
法において、補助電極に、少なくとも2つ以上の振幅の
異なる波形成分を有する周期性電圧を印加しながら堆積
膜を形成することを特徴とする堆積膜形成方法である。
【0010】本発明において、補助電極の位置は特に限
定されないが、代表的には、真空容器内のプラズマが生
じる位置に設けられている場合と、真空容器内に浮遊電
位状態で支持された基板の被成膜面の裏面側に該基板と
電気的に絶縁状態で設けられている場合とが挙げられ
る。特に後者の場合においては、高品質および高速成膜
という目的が達成されるのみならず、さらに基板の材質
がいかなる種類であっても基板を介して必要な強度の電
界をプラズマ中に生起させることが可能となり、プラズ
マ中に補助電極を設置しないので既存のプラズマを乱す
ことが少なく、電子を効率よく加速できるという効果も
奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明の作用に関して説明
する。
【0012】一般に知られているように、プラズマ中に
電極を設けて電位を印加するとき、印加電圧がプラズマ
電位よりも高ければ電極表面には電子によるシース(電
子シース)が形成され、印加電圧がプラズマ電位よりも
低ければ電極表面にはイオンによるシース(イオンシー
ス)が形成される。本発明では、プラズマ中に配置され
た補助電極がこの電極に該当し、また、基板の背面(被
成膜面の裏面)に補助電極が配置された場合は、基板が
これに該当することになる。電子を加速するという意味
においては、イオンシースを形成するように電圧を印加
しても、電子シースを形成するように印加してもその効
果に違いは生じない。両者の差は、補助電極(または基
板)に電子が流入するか否かということであり、電子が
流入するような電圧の印加では、著しい電極(または基
板)の加熱が起こる。前述のように、電子を流入させな
いことのメリットはきわめて大きい。特に、基板の背面
に補助電極を配置した場合には、基板に電子が飛び込む
ことになり、基板の加熱はもちろんのこと、膜質の変化
等、致命的な問題を引き起こすことにもなる。したがっ
て、プラズマ中の補助電極にはプラズマ電位よりも低い
電圧を印加するのが有効であり、背面に補助電極が配置
された基板の表面には、プラズマ電位よりも低い電圧が
誘起されるよう、補助電極に電圧印加するのが有効であ
る。ところが、この電圧の印加で補助電極近傍(または
基板近傍)の電子が全て弾き飛ばされてしまうと(イオ
ンシースが形成されると)、当然それ以降は新たな電子
が電界のために電極付近には近づけないので、電子への
エネルギー付与は停止してしまう。
【0013】本発明において、補助電極が、例えば、真
空容器内のプラズマが生じる位置に設けられている場合
は、一旦印加電圧をプラズマ電位近くに戻すことにより
電極近傍に電子を呼び戻し、また、基板の背面に設けら
れている場合は、一旦基板表面に誘起する電圧をプラズ
マ電位近くに戻すことにより基板近傍に電子を呼び戻
し、その後再びプラズマ電位よりも低い電圧を印加(又
は誘起)するといった、周期的な印加でこの問題を解決
する。このようにして形成された電界はプラズマ中の電
子を加速し、これが原料ガスを解離し、膜形成のための
前駆体(SiH*、SiH2*、SiH3*、H*等)を高効
率で生成する。
【0014】少なくとも2つ以上の振幅の異なる波形成
分(電圧−時間曲線において、振幅を与える隣接ピーク
間の電圧推移)を有する周期性電圧は、それぞれ必要な
前駆体を選択生成するために最適強度の電界がプラズマ
中に生起するように設定すればよく、また補助電極(又
は基板)への電子の流入が起こらない方向で印加すれば
よい。通常、振幅電位は、一般的なCVDの必須前駆体
であるH*とSiH4からの1または複数個のラジカルが
選択生成するよう設定することが望ましい。それらの生
成比は、単位時間当たりの電圧印加回数で制御すること
ができる。
【0015】この電圧の印加によって生じる電界の周期
的な変動は、補助電極へのイオンシースの形成を防ぐ為
のものであり、通常、イオンに及ぼす電界の効果がほと
んど無い周波数が選ばれる。これによって、一周期毎に
電界印加機構近傍の電子を弾き飛ばしては再び近傍に戻
すといった、連続的かつ効果的な加速が可能となり、そ
の際、イオンにほとんど運動エネルギーを与えることが
ない(プラズマ電位を変えない)。
【0016】また本発明は、既存のプラズマ中に電界を
形成するので、原料ガスの電離プロセスを経ることな
く、必要最小限の強度の電界で電子を“効果的に原料ガ
スの解離、活性化ができる”エネルギーにまで加速でき
る。ここで重要なことは、原料ガスの電離プロセスを経
ることなく、という点である。すなわち、電離過程を含
まないことで電極への流入電流は極めて僅かでよく、そ
の結果、電極の加熱も非常に少ない。このことは、電極
形態が熱的にも電気的にもシンプルかつスマートである
ことを許容し、例えば基板近傍に電極を配置しても堆積
膜に物性、形態的な電極痕跡を残さないという効果をも
奏する。
【0017】また本発明において、補助電極が基板の背
面に設けられている場合、すなわち電子の加速電界を形
成する補助電極がプラズマ中に存在しない場合は、プラ
ズマ中のガスの流れに淀みが生じず、補助電極からの発
塵も起こらないので、堆積膜の膜質および膜質分布に悪
影響を及ぼさない。また、主電極と基板間の距離が極め
て小さな場合においても、何ら問題なくプラズマ中に電
界を生起させることが可能となる。また、プラズマ中に
補助電極を設置する必要がないので、補助電極の形態が
熱的にも電気的にもよりシンプルかつスマートでとな
り、例えば、電極パターンを形成した石英板や金属ワイ
ヤーを多数本並べて配置するなど、基板加熱機構と基板
の間の僅かなスペースに配置することも可能となる。
【0018】また本発明において、補助電極を基板の背
面に設け、基板を浮遊電位状態で支持している場合は、
伝導性膜の堆積によっても、その伝導性膜の電位が接地
電位にならないようにすることにより、伝導性膜の静電
遮蔽によって補助電極が形成する電界が膜内で消失せ
ず、伝導性膜が完全に基板表面を覆っても電子を加速す
る十分な電界を基板表面に生起することが可能となる。
【0019】これまで、例えば特開平5−24992号
公報、特登第2819030号公報、特登第28190
31号公報等に記載の通り、プラズマ中に電極を配置し
て、様々な電力、電位を印加することにより発生する定
常電界(ほとんど変化しない直流的電界)でイオンのエ
ネルギーを制御しようとするものは多数あった。しか
し、ある特定の堆積膜前駆体(例えばラジカル等)の生
成の為に電子を加速(高エネルギー化)する電子の加速
手段として、本発明のように周期的な電界を印加すると
いう方法は無かった。しかも、それを基板裏面の補助電
極によって印加する方法は皆無である。つまり本発明
は、イオンの追従できない(イオンにエネルギーを与え
ない)高周波電界で、電子だけに特定のエネルギーを与
えることで、水素ラジカルを含む堆積膜の前駆体を効率
よく選択生成する方法であり、従来の公知技術とは一線
を画するものである。
【0020】次に、本発明の好適な実施形態について説
明する。
【0021】[放電電極に印加される高周波電力]本発
明における放電電極の役割は、次の2点にある。 (1)一般的なプラズマ中の電子温度以下のエネルギー
で生成しうる主要前駆体の生成を、同時に起こる不必要
活性種のプラズマ中濃度が堆積膜の膜質に関して許容さ
れる範囲内で行うこと。 (2)補助電極で不足分の主要前駆体の生成を行う際に
必須の電子を生成すること。
【0022】したがって、これらの実現のため、放電生
起用高周波電力の周波数としては、原料ガスの分解が効
率よく行え、大面積に均一なプラズマを生成し得る周波
数範囲内に設定すればよく、好ましくは10kHzから
5GHz、より好ましくは1MHzから200MHzで
ある。約10kHzより低い周波数では原料ガスの分解
効率が低くなる傾向があり、約5GHzより高い周波数
では大面積に均一なプラズマを得ることが困難となる傾
向がある。
【0023】[基板の支持形態]補助電極を基板の背面
に設ける場合、基板の支持形態は、好ましくは、伝導性
膜の堆積によっても堆積膜が接地電位にならないように
する。これにより、伝導性膜の静電遮蔽によって補助電
極が形成する電界が堆積膜内で消失せず、膜が完全に基
板表面を覆っても電子を加速する十分な電界を基板表面
に生起することが可能となる。
【0024】[補助電極に印加される周期的に変動する
電圧]本発明において、周期的に変動する電圧波形とし
ては、補助電極が概ねプラズマ電位から、より低い電位
(例えばマイナス極性で、絶対値の大きな方向の電位)
に変化する間に電子を加速する必要上、立ち下がりが急
峻であることが望ましく、この点から矩形波、台形波等
の波形が適している。
【0025】また、本発明における印加電圧の周波数
は、下限はイオンの不必要な加速(高エネルギー化)を
誘起しないよう、好ましくは100kHz以上、より好
ましくは1MHz以上に設定し、上限は電極放電が可能
な周波数以下であることから、好ましくは500MHz
以下、より好ましくは100MHz以下に設定する。
【0026】また、本発明において印加電圧の最大振幅
は特に限定されないが、不要な水素の電離を誘起しない
よう、水素分子の最大電離断面積である80V程度以下
に設定することが種々の状況下で有効であり、水素分子
の最大解離断面積が約16eVであること、プラズマ中
への電界の浸透、減衰の程度を考慮し、好ましくは5V
乃至80Vに、より好ましくは5V乃至60Vに設定す
る。
【0027】[補助電極]本発明における補助電極の形
態としては、例えば、丸棒状、角棒状、板状、メッシュ
状等が考えられる。ただし、できる限り電極表面に電界
強度の分布の偏りが生じないように、エッジが無く、先
端部が基板成膜面に対向しない形態が好ましい。補助電
極を真空容器内のプラズマが生じる位置に設けた場合
は、体積の小さなものは異常放電やガスの乱流化等の原
因となり難いので、金属材料等の高強度材を用いた上
で、できるだけ小径化した丸棒等が好適である。また、
補助電極を基板の背面に設けた場合は、前述のワイヤー
状や、誘電体の薄板に金属薄膜で電極パターンを形成し
たものでも構わない。さらには、金属板をそのまま基板
裏面に配置することも可能である。
【0028】[原料ガス]本発明において、原料ガスと
は、少なくともSi元素を含有する堆積膜を形成する為
の原料ガスである。したがって、原料ガスは、少なくと
もシリコン原子を含有したガス化し得る化合物を含むガ
スであるが、それ以外に、ゲルマニウム原子を含有した
ガス化し得る化合物、炭素原子を含有したガス化し得る
化合物などを同時に含んでいてもよいし、その他各種ガ
スの混合ガスを用いてもよい。
【0029】シリコン原子を含有したガス化し得る化合
物としては、例えば、鎖状または環状シラン化合物が用
いられる。具体例としては、SiH4、Si26、Si
FH3、SiF22、SiF3H、SiF4、Si38
SiD4、SiHD3、SiH22、SiH3D、SiF
3、SiF22、Si233、(SiF2)5、(Si
2)6、(SiF2)4、Si26、Si38、Si2
24、Si233、SCl4、(SiCl2)5、SiBr
4、(SiBr2)5、Si2Cl6、SiHCl3、SiH2
Br2、SiH22、Si2Cl33等のガス状態または
容易にガス化し得るものが挙げられる。なお、Dは重水
素を表す。
【0030】ゲルマニウム原子を含有したガス化し得る
化合物としては、例えば、GeH4、GeD4、Ge
4、GeFH3、GeF22、GeF3H、GeHD3
GeH22、GeH33、Ge26、Ge26等が挙げ
られる。
【0031】炭素原子を含有したガス化し得る化合物と
しては、CH4、CD4、Cn2n+2(nは整数)、C2
2、CO2、CO等が挙げられる。
【0032】また、価電子制御するためにp型層または
n型層に導入される物質としては、周期律第III族原子
および第V族原子が挙げられる。
【0033】第III族原子導入用の出発物質として有効
に使用されるもののうち、ホウ素原子導入用としては、
26、B410、B511、B610、B612、B6
14等の水素化ホウ素、BF3、BCl3等のハロゲン化
ホウ素等を挙げることができる。この他に、AlC
3、GaCl3、InCl3、TlCl3等も、第III族
原子導入用の出発物質として用いることができる。特に
26、BF3が適している。
【0034】第V族原子導入用の出発物質として有効に
使用されるもののうち、燐原子導入用としては、P
3、P24等の水素化燐、PF3、PF5、PCl3、P
Cl5、PBr3、PBr5、PI3等のハロゲン化燐が挙
げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、A
sBr3、AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、Sb
Cl3、SbCl5、BiH3、BiCl3、BiBr3
も、第V族原子導入用の出発物質として用いることがで
きる。
【0035】また、前記ガス化し得る化合物をH2、H
e、Ne、Ar、Xe、Kr等のガスで適宜希釈して、
成膜室に導入しても構わない。
【0036】[堆積膜形成装置]本発明の堆積膜形成方
法を実施するにあたっては、各種の堆積膜形成装置を用
いることができ、例えば、図1に模式的に示す構成の装
置を挙げることができる。この図1に示す装置は、補助
電極を真空容器内のプラズマが生じる位置に設けた場合
の例である。具体的には、導電性基板102とこれに対
向した放電電極105の間に棒状の補助電極110を配
置し、これに一周期中に少なくとも2つ以上の振幅の異
なる波形成分(電圧−時間曲線において、振幅を与える
隣接ピーク間の電圧推移)を有する周期性電圧を印加す
る構成になっている。
【0037】図1において、真空容器101の内部で、
導電性基板102は導電性の基板ホルダー103にセッ
トされ、真空容器101と共に電気的に接地されてい
る。基板ホルダー103内にはヒーター104が設けら
れ、基板102は所定温度に加熱される。基板102に
対向した位置には平板状の放電電極105が設けられ、
放電電極105にはガード電極106が設けられてい
る。放電電極105には、高周波信号発生器119、高
周波電源107が整合回路108、ブロッキングコンデ
ンサー109を介して接続されている。補助電極110
には、高周波信号発生器112が、電力増幅器111を
介して接続されている。また真空容器101には、原料
ガスを供給手段114に接続された原料ガス導入管11
5と、真空排気手段116に接続された排気管117が
設けられ、原料ガスの導入と排気が行われる。なお、1
18は排気管に設けられたバルブであり、113は後述
する実施例において補助電極110の表面電位を測定す
る為に用いたオシロスコープである。
【0038】図2に示す装置は、補助電極を、真空容器
内に浮遊電位状態で支持された基板の被成膜面の裏面側
に該基板と電気的に絶縁状態で設けた場合の例である。
具体的には、真空容器101の内部で、基板102は、
浮遊電位の基板ホルダー103に伝導性膜の堆積によっ
ても堆積膜を浮遊電位に保てる形態でセットされてい
る。また、基板102の被成膜面の裏面側、すなわち基
板102とヒーター104の間に、基板102と電気的
に絶縁状態で、棒状の補助電極110が配置されてい
る。上述した以外の部分の構成は、図1の装置と同様で
ある。そして、この補助電極110に、一周期中に少な
くとも2つ以上の振幅の異なる波形成分(電圧−時間曲
線において、振幅を与える隣接ピーク間の電圧推移)を
有する周期性電圧を印加する構成になっている。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるもので
はない。
【0040】まず、補助電極を真空容器内のプラズマが
生じる位置に設けた堆積膜形成装置(図1に示した装
置)を用いた例として、[実施例1−1]〜[実施例1
−4]を説明する。
【0041】[実施例1−1]本例では、図1に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、補助電極110には、プ
ラズマ電位との電位差が負の極大を有する周期性電圧を
印加した。そして、電圧の最大振幅に対する基板近傍の
水素ラジカル(H*)およびSiHラジカル(SiH*)
の生成量の変化を調べた。また同時に、補助電極を設置
しない従来の堆積膜形成方法と比較した。
【0042】具体的には、以下の工程手順に従って実施
した。
【0043】(1)図1に示した装置において、まず、
ステンレス製の基板ホルダー103に、30cm角、
0.15mm厚のステンレス基板102(SUS430−BA)
が接地状態になるようにセットして、真空容器101内
を排気手段116により、一旦1Pa以下に真空排気し
た。
【0044】(2)引き続き排気を行いながら、ガス供
給手段114からガス導入管115を介してHeガスを
100ml/min(normal)導入し、排気弁118の開度を調
整することで真空容器101の内圧を100Paに維持
した。
【0045】(3)上記(2)の状態で、基板ホルダー
103内のヒーター104により、基板102を300
℃に約60分間加熱した。基板102が充分均一に加熱
されたら、引き続き加熱しつつHeガスの導入を停止
し、ガス供給手段114からの供給ガスをSiH4とH2
の混合ガスに切り替えた。ここで、SiH4ガスの流量
は300[ml/min(normal)]、H2ガスの流量は1200
[ml/min(normal)]、真空容器101の内圧は266Pa
に設定した。
【0046】(4)次に、基板102から1.5cmの
距離をおいて対向するアルミニウム製の放電電極105
に、高周波信号発生器119、高周波電源107から、
整合回路108、ブロッキングコンデンサー109を介
して40MHzの高周波電力500Wを供給した。ま
た、補助電極110としてステンレス製丸棒(φ5m
m、長さ35cm)を用い、放電電極105と基板10
2の中央にそれぞれに対して平行かつガスの流れに対し
ては概ね直交するように設置した。この補助電極110
には、周波数1MHz、デューティー比50%の矩形波
を、厳密には最大電圧がプラズマ電位の5V下になるよ
うに印加した。このような条件で真空容器101内にグ
ロー放電を発生させ、供給ガスをプラズマ分解し、基板
102上にアモルファスシリコン膜を堆積させた。
【0047】本例においては、補助電極110の表面電
位はオシロスコープ113によって測定し、基板102
近傍の水素ラジカル量およびSiHラジカル量の測定
は、プラズマ分光測定装置によりリアルタイムでモニタ
ーすることにより行った。
【0048】図3は、補助電極110への印加電圧振幅
に対する水素ラジカル(H*)量を示す656nmの発
光強度と、SiHラジカル(SiH*)量を示す414
nmの発光強度を調べた結果を示すグラフである。この
グラフにおける発光強度は、補助電極102を設置して
いない状態でのH*およびSiH*の発光強度をそれぞれ
1とした相対値で示した。この結果から、SiH*は概
ね電圧振幅5Vで、H*は概ね40Vで効率よく生成す
ることがわかった。
【0049】そこで次に、電圧振幅を40Vに固定し、
電圧印加周波数を変化させること以外は全て上記と同一
の条件で、H*およびSiH*の発光強度をそれぞれ測定
した。図4は、その結果を示すグラフである。また、同
様に電圧振幅を5Vに固定し、電圧印加周波数を変化さ
せること以外は全て上記と同一の条件で、H*およびS
iH*の発光強度をそれぞれ測定した。図5は、その結
果を示すグラフである。
【0050】図4および図5に示す結果から、H*を効
率よく生成させる印加電圧の単位時間当たりの印加回数
を変化させることで、SiH*の量を変化させることな
く、H*の量を制御できること、および、その反対に、
SiH*を効率よく生成させる印加電圧の単位時間当た
りの印加回数を変化させることで、H*の量を変化させ
ることなく、SiH*の量を制御できることがわかっ
た。
【0051】これらの知見を元に、次は、SiH*を効
率よく生成させる印加電圧(5V)と、H*を効率よく
生成させる印加電圧(40V)を組み合わせた周期性電
圧として、図6〜図9(波形A、B、C、D)に示す4
種の周期性電圧を印加し、SiH*とH*の量の独立制御
の可能性を調べた。各波形において、40Vのピーク部
分が、Si元素を含有する化合物のラジカルの変化量よ
りも水素ラジカルの変化量が大きくなる振幅の波形成分
であり、5Vのピーク部分が、水素ラジカルの変化量よ
りもSi元素を含有する化合物のラジカルの変化量が大
きくなる振幅の波形成分である。結果を図10に示す。
【0052】図10に示す結果から、本発明の堆積膜形
成方法、すなわち補助電極110に少なくとも2つ以上
の振幅の異なる波形成分(電圧−時間曲線において振幅
を与える隣接ピーク間の電圧推移)を有する周期性電圧
を印加することで、プラズマ中の複数の主要前駆体量を
それぞれ独立に制御できることがわかる。
【0053】[実施例1−2]本例では、放電電極10
5に供給する高周波電力の周波数を60MHzにした場
合について調べた。すなわち、その周波数を60MHz
に変更し、またH2ガスの流量を600ml/min(norma
l)、真空容器101の内圧を133Paに変更したこと
以外は実施例1−1と同様にして、波形A、B、C、D
の周期性電圧を印加し、SiH*とH*の量の独立制御の
可能性を調べた。結果を図11に示す。
【0054】図11に示す結果から、放電電極105に
供給する高周波電力の周波数を60MHzにした場合に
おいても。実施例1−1と同様に、プラズマ中の複数の
主要前駆体量をそれぞれ独立に制御できることがわか
る。
【0055】[実施例1−3]本例では、図1に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、実施例1−1と同様の手
順でステンレス基板102上にアモルファスシリコン膜
を堆積し、n、i、p層からなる光起電力素子の半導体
膜を得た。n、i、p層の形成条件を表1に示す。ま
た、補助電極110への印加電圧波形を図13に示す。
【0056】
【表1】
【0057】各層の形成の間には真空容器内を一度充分
に真空排気してから、Heガスで数回パージを行った。
【0058】表1に示した形成条件でn、i、p層を基
板上に堆積した後、冷却し、装置から取り出した。その
上に、真空蒸着装置によって70nm厚のITO透明導
電膜を全面に蒸着した。さらにその上に、ピッチ3mm
で幅0.1mmの櫛状に、厚さ0.1mmのAgの集電電
極を銀ペーストのスクリーン印刷によって設け、約30
mm角の光起電力素子を100個形成した。
【0059】この100個の光起電力素子について、そ
の光電変換効率を測定した。この光電変換効率について
は、ガスの流れ方向の10ポイント(サンプル)につい
て、各々のポイントの流れ方向に直交する10サンプル
の平均値を求め、10個の平均値の(最大値−最小値)
/(最大値+最小値)をもって流れ方向のバラツキと
し、これを光起電力素子の特性(光電変換効率)のバラ
ツキとして評価した。
【0060】図12は、この測定における基板に対する
補助電極の位置を示す。すなわち本実施例においては、
図12の実験A〜Dの4例について各々上記流れ方向の
バラツキを求め、補助電極を設置しない場合のガス流れ
方向のバラツキ(同様の手順で求めたもの)の比(補助
電極有り/補助電極なし)を算出した。結果を表2に示
す。さらに上記4例について、各々100個の光電変換
効率と成膜速度の平均値を求め、補助電極を設置しない
場合の光電変換効率と成膜速度の平均値との比(補助電
極有り/補助電極なし)を算出した。この結果も併せて
表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果から、本発明の堆積膜形成方法
によれば、高い成膜速度を維持したまま、堆積膜全面の
膜質の低下を起こすことなく、ガスの流れ方向の堆積膜
の特性の均質化が実現することがわかる。
【0063】[実施例1−4]本例では、図1に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、実施例1−1と同様(補
助電極110は図12の実験Bの設置形態)にして、ス
テンレス基板102上にマイクロクリスタシリコン膜を
堆積した。膜の形成条件を表3に示す。また、補助電極
110への印加電圧波形を図14に示す。
【0064】
【表3】
【0065】また比較の為に、補助電極に周期性電圧の
印加を行わなかった場合についても同様の成膜を実施
し、両者の結晶体積率を比較した。この結晶体積率の評
価は、レーザーラマン分光器により、ラマン散乱スペク
トルを測定し、520cm-1付近から結晶の鋭い信号と
480cm-1付近の非晶質からのブロードな信号の強度
比より求めた。実施例1−3と同様に基板から切り出し
た100個のサンプルについて実施し、その平均値によ
り行った。
【0066】両者を比較した結果、補助電極に周期性電
圧の印加を行った場合の方が、結晶体積率が約20%向
上することがわかった。すなわち、本発明の堆積膜形成
方法によれば、マイクロクリスタルシリコン膜の結晶体
積率も向上することがわかった。
【0067】次に、補助電極を真空容器内に浮遊電位状
態で支持された基板の被成膜面の裏面側に該基板と電気
的に絶縁状態で設けた堆積膜形成装置(図2に示した装
置)を用いた例として、[実施例2−1]〜[実施例2
−4]を説明する。
【0068】[実施例2−1]本例では、図2に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、補助電極110には、プ
ラズマ電位との電位差が負の極大を有する周期性電圧を
印加した。そして、電圧の最大振幅に対する基板近傍の
水素ラジカル(H*)およびSiHラジカル(SiH*)
の生成量の変化を調べた。また同時に、補助電極を設置
しない従来の堆積膜形成方法と比較した。
【0069】具体的には、以下の工程手順に従って実施
した。
【0070】(1)図2に示した装置において、まず、
ステンレス製の基板ホルダー103に、30cm角、
0.15mm厚のステンレス基板102(SUS430−BA)
が浮遊電位状態になるようにセットして、真空容器10
1内を排気手段116により、一旦1Pa以下に真空排
気した。
【0071】(2)引き続き排気を行いながら、ガス供
給手段114からガス導入管115を介してHeガスを
100ml/min(normal)導入し、排気弁118の開度を調
整することで真空容器101の内圧を100Paに維持
した。
【0072】(3)上記(2)の状態で、基板ホルダー
103内のヒーター104により、基板102を300
℃に約60分間加熱した。基板102が充分均一に加熱
されたら、引き続き加熱しつつHeガスの導入を停止
し、ガス供給手段114からの供給ガスをSiH4とH2
の混合ガスに切り替えた。ここで、SiH4ガスの流量
は300[ml/min(normal)]、H2ガスの流量は1200
[ml/min(normal)]、真空容器101の内圧は266Pa
に設定した。
【0073】(4)次に、基板102から1.5cmの
距離をおいて対向するアルミニウム製の放電電極105
に、高周波信号発生器119、高周波電源107から、
整合回路108、ブロッキングコンデンサー109を介
して40MHzの高周波電力500Wを供給した。ま
た、補助電極110としてステンレス製丸棒(φ5m
m、長さ35cm)を用い、基板102とヒーター10
4の間にガスの流れに対しては概ね直交するように設置
した。この補助電極110には、周波数800kHz、
デューティー比50%の矩形波を、厳密には最大電圧が
プラズマ電位の5V下になるように印加した。このよう
な条件で真空容器101内にグロー放電を発生させ、供
給ガスをプラズマ分解し、基板102上にアモルファス
シリコン膜を堆積させた。
【0074】本例においては、補助電極110の表面電
位、基板102近傍の水素ラジカル量およびSiHラジ
カル量の測定は、実施例1−1と同様の方法で行った。
【0075】図15は、補助電極110への印加電圧振
幅に対する水素ラジカル(H*)量を示す656nmの
発光強度と、SiHラジカル(SiH*)量を示す41
4nmの発光強度を調べた結果を示すグラフである。こ
のグラフにおける発光強度は、補助電極102を設置し
ていない状態でのH*およびSiH*の発光強度をそれぞ
れ1とした相対値で示した。この結果から、SiH*は
概ね電圧振幅10Vで、H*は概ね45Vで効率よく生
成することがわかった。
【0076】そこで次に、電圧振幅を45Vに固定し、
電圧印加周波数を変化させること以外は全て上記と同一
の条件で、H*およびSiH*の発光強度をそれぞれ測定
した。図16は、その結果を示すグラフである。また、
同様に電圧振幅を10Vに固定し、電圧印加周波数を変
化させること以外は全て上記と同一の条件で、H*およ
びSiH*の発光強度をそれぞれ測定した。図17は、
その結果を示すグラフである。
【0077】図16および図17に示す結果から、H*
を効率よく生成させる印加電圧の単位時間当たりの印加
回数を変化させることで、SiH*の量を変化させるこ
となく、H*の量を制御できること、および、その反対
に、SiH*を効率よく生成させる印加電圧の単位時間
当たりの印加回数を変化させることで、H*の量を変化
させることなく、SiH*の量を制御できることがわか
った。
【0078】これらの知見を元に、次は、SiH*を効
率よく生成させる印加電圧(10V)と、H*を効率よ
く生成させる印加電圧(45V)を組み合わせた周期性
電圧として、図18〜図21(波形A'、B'、C'、
D')に示す4種の周期性電圧を印加し、SiH*とH*
の量の独立制御の可能性を調べた。各波形において、4
5Vのピーク部分が、Si元素を含有する化合物のラジ
カルの変化量よりも水素ラジカルの変化量が大きくなる
振幅の波形成分であり、10Vのピーク部分が、水素ラ
ジカルの変化量よりもSi元素を含有する化合物のラジ
カルの変化量が大きくなる振幅の波形成分である。結果
を図22に示す。
【0079】図22に示す結果から、本発明の堆積膜形
成方法、すなわち補助電極110に少なくとも2つ以上
の振幅の異なる波形成分(電圧−時間曲線において振幅
を与える隣接ピーク間の電圧推移)を有する周期性電圧
を印加することで、プラズマ中の複数の主要前駆体量を
それぞれ独立に制御できることがわかる。
【0080】[実施例2−2]本例では、放電電極10
5に供給する高周波電力の周波数を60MHzにした場
合について調べた。すなわち、その周波数を60MHz
に変更し、またH2ガスの流量を600ml/min(norma
l)、真空容器101の内圧を133Paに変更したこと
以外は、実施例2−1と同様にして、波形A'、B'、
C'、D'の周期性電圧を印加し、SiH*とH*の量の独
立制御の可能性を調べた。結果を図23に示す。
【0081】図23に示す結果から、放電電極105に
供給する高周波電力の周波数を60MHzにした場合に
おいても。実施例2−1と同様に、プラズマ中の複数の
主要前駆体量をそれぞれ独立に制御できることがわか
る。
【0082】[実施例2−3]本例では、図2に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、実施例2−1と同様の手
順でステンレス基板102上にアモルファスシリコン膜
を堆積し、n、i、p層からなる光起電力素子の半導体
膜を得た。n、i、p層の形成条件を表4に示す。ま
た、補助電極110への印加電圧波形を図24に示す。
【0083】
【表4】
【0084】各層の形成の間には真空容器内を一度充分
に真空排気してから、Heガスで数回パージを行った。
【0085】表4に示した形成条件でn、i、p層を基
板上に堆積した後、冷却し、装置から取り出した。その
上に、真空蒸着装置によって70nm厚のITO透明導
電膜を全面に蒸着した。さらにその上に、ピッチ3mm
で幅0.1mmの櫛状に、厚さ0.1mmのAgの集電電
極を銀ペーストのスクリーン印刷によって設け、約30
mm角の光起電力素子を100個形成した。
【0086】この100個の光起電力素子について、実
施例1−3と同様の方法で、その光電変換効率を測定
し、かつ補助電極を設置しない場合の光電変換効率と成
膜速度の平均値との比を算出した。この結果を表5に示
す。また比較の為に、補助電極は実験Bの設置形態であ
るが、基板上に堆積した膜が接地電位となるように真空
装置内に設置した場合について、実験Eとして、同様の
成膜、評価を行なった。この結果も併せて表5に示す。
【0087】
【表5】
【0088】表5の結果から、本発明の堆積膜形成方法
によれば、高い成膜速度を維持したまま、堆積膜全面の
膜質の低下を起こすことなく、ガスの流れ方向の堆積膜
の特性の均質化が実現することがわかる。
【0089】[実施例2−4]本例では、図2に示した
構成の堆積膜形成装置を用い、実施例2−1と同様(補
助電極110は図12の実験Bの設置形態)にして、ス
テンレス基板102上にマイクロクリスタシリコン膜を
堆積した。膜の形成条件を表6に示す。また、補助電極
110への印加電圧波形を図25に示す。
【0090】
【表6】
【0091】また比較の為に、補助電極に周期性電圧の
印加を行わなかった場合についても同様の成膜を実施
し、両者の結晶体積率を比較した。この結晶体積率の評
価は、レーザーラマン分光器により、ラマン散乱スペク
トルを測定し、520cm-1付近から結晶の鋭い信号と
480cm-1付近の非晶質からのブロードな信号の強度
比より求めた。実施例2−3と同様に基板から切り出し
た100個のサンプルについて実施し、その平均値によ
り行った。
【0092】両者を比較した結果、補助電極に周期性電
圧の印加を行った場合の方が、結晶体積率が約20%向
上することがわかった。すなわち、本発明の堆積膜形成
方法によれば、マイクロクリスタルシリコン膜の結晶体
積率も向上することがわかった。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
大面積にわたって高品質で優れた均一性を有するアモル
ファスシリコン系堆積膜が、高い成膜速度で形成するこ
とが可能となり、また、マイクロクリスタルシリコン系
堆積膜の結晶性の向上も可能となる。
【0094】また特に、本発明において、補助電極が、
真空容器内に浮遊電位状態で支持された基板の被成膜面
の裏面側に該基板と電気的に絶縁状態で設けられている
場合は、基板の材質がいかなる種類であっても基板を介
して必要な強度の電界をプラズマ中に生起させることが
可能となり、プラズマ中に補助電極を設置しないので既
存のプラズマを乱すことが少なく、電子を効率よく加速
できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施し得る堆積膜形成装置の構成の一
例を示す模式図である。
【図2】本発明を実施し得る堆積膜形成装置の構成の一
例を示す模式図である。
【図3】実施例1−1において、補助電極への印加電圧
振幅に対する水素ラジカルとSiHラジカルの発光強度
を調べた結果を示すグラフである。
【図4】実施例1−1において、補助電極への水素ラジ
カル生成電圧印加周波数に対する水素ラジカルとSiH
ラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフである。
【図5】実施例1−1において、補助電極へのSiHラ
ジカル生成電圧印加周波数に対する水素ラジカルとSi
Hラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフであ
る。
【図6】実施例1−1において、補助電極へ印加した周
期性電圧の波形Aを示すグラフである。
【図7】実施例1−1において、補助電極へ印加した周
期性電圧の波形Bを示すグラフである。
【図8】実施例1−1において、補助電極へ印加した周
期性電圧の波形Cを示すグラフである。
【図9】実施例1−1において、補助電極へ印加した周
期性電圧の波形Dを示すグラフである。
【図10】実施例1−1において、波形A、B、C、D
の周期性電圧を印加した場合の、水素ラジカルとSiH
ラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフである。
【図11】実施例1−2において、波形A、B、C、D
の周期性電圧を印加した場合の、水素ラジカルとSiH
ラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフである。
【図12】実施例1−3及び実施例2−3ににおいて、
光電変換効率のバラツキを測定する際の補助電極の位置
を示す図である。
【図13】実施例1−3において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形を示すグラフである。
【図14】実施例1−4において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形を示すグラフである。
【図15】実施例2−1において、補助電極への印加電
圧振幅に対する水素ラジカルとSiHラジカルの発光強
度を調べた結果を示すグラフである。
【図16】実施例2−1において、補助電極への水素ラ
ジカル生成電圧印加周波数に対する水素ラジカルとSi
Hラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフであ
る。
【図17】実施例2−1において、補助電極へのSiH
ラジカル生成電圧印加周波数に対する水素ラジカルとS
iHラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフであ
る。
【図18】実施例2−1において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形A'を示すグラフである。
【図19】実施例2−1において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形B'を示すグラフである。
【図20】実施例2−1において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形C'を示すグラフである。
【図21】実施例2−1において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形D'を示すグラフである。
【図22】実施例2−1において、波形A'、B'、
C'、D'の周期性電圧を印加した場合の、水素ラジカル
とSiHラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフ
である。
【図23】実施例2−2において、波形A'、B'、
C'、D'の周期性電圧を印加した場合の、水素ラジカル
とSiHラジカルの発光強度を調べた結果を示すグラフ
である。
【図24】実施例2−3において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形を示すグラフである。
【図25】実施例2−4において、補助電極へ印加した
周期性電圧の波形を示すグラフである。
【符号の説明】
101 真空容器 102 基板 103 基板ホルダー 104 ヒーター 105 放電電極 106 ガード電極 107 高周波電源 108 整合回路 109 ブロッキングコンデンサー 110 補助電極 111 電力増幅器 112 高周波信号発生器 113 オシロスコープ 114 原料ガス供給手段 115 原料ガス導入管 116 真空排気手段 117 排気管 118 排気バルブ 119 高周波信号発生器
フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 DA23 EA25 EA30 4K030 AA03 AA04 AA06 AA17 BA30 CA02 CA12 FA03 JA17 JA18 KA19 LA16 LA17 5F045 AA08 AB04 AB05 AC01 AC02 AC05 AF10 CA13 EH01 EH06 EH13 EH19 5F051 AA04 AA05 CA15 CA23 CA35 CA36 CA37 DA04 EA15 FA04 FA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素ガスおよび少なくともSi元素を含
    有する堆積膜の原料ガスを真空容器内に導入しつつ、該
    真空容器内に設けた放電電極に高周波電力を供給してプ
    ラズマ化し、該真空容器内の基板上にプラズマCVD法
    により堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、 補助電極に、少なくとも2つ以上の振幅の異なる波形成
    分を有する周期性電圧を印加しながら堆積膜を形成する
    ことを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】 補助電極は、真空容器内のプラズマが生
    じる位置に設けられている請求項1記載の堆積膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】 補助電極は、基板とこれに対向した放電
    電極との間の位置に設けられる請求項2記載の堆積膜形
    成方法。
  4. 【請求項4】 補助電極は、真空容器内に浮遊電位状態
    で支持された基板の被成膜面の裏面側に該基板と電気的
    に絶縁状態で設けられている請求項1記載の堆積膜形成
    方法。
  5. 【請求項5】 補助電極は、伝導性膜の堆積によっても
    その伝導性膜の電位が接地電位にならないように設けら
    れている請求項4記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】 周期性電圧は、主にSi元素を含有する
    化合物のラジカルを生成する振幅の波形成分と、主に水
    素ラジカルを生成する振幅の波形成分とを有する請求項
    1〜5の何れか一項記載の堆積膜形成方法。
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