JP2002211981A - シフトサイドガイドロール - Google Patents
シフトサイドガイドロールInfo
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Abstract
を有する幅方向位置決め用シフトサイドガイドロールを
提供することを目的とする。 【解決手段】 Cr2N粒子を分散した窒化珪素を焼結した
粒子分散窒化珪素質焼結体、またはTi-Zr-B固溶体粒
子、Ti-Hf-B固溶体粒子の1種または2種を分散した炭
化珪素を焼結した粒子分散炭化珪素質焼結体、又はいず
れかの焼結体をリング状に成形加工して、このリングを
少なくとも金属製シフトサイドガイドロールの鋼板との
摺動部分に嵌合させてなるシフトサイドガイドロール。
Description
巻き取り時の幅方向の位置決めに用いられるシフトサイ
ドガイドロールに関する。
うに、酸洗ラインでコイルから鋼板を導出し(入り側)、
酸に浸漬し、再びコイルに巻き取る(出側)際に鋼板2の
幅方向の位置決め用に使われている2〜6本/組のロール
をシフトサイドガイドロールと云われるロール1を前記
酸洗ラインに組み込んでいる。従来から、焼き入れ鋼材
(SUJ2、SNCM439など)にWC-Ni-Cr系の溶射を施したロー
ルが使用されている。この設備は、φ150mm×L160mmま
たはφ150mm×L270mmの大型ロールが数十本配備されて
いる。厚さ1〜6mm、最も多い厚さは3mmの鋼板が、最高7
00m/分(=時速42km)の速度で通過するときに、鋼板の端
面がロールを摺動しながらこのシフトサイドガイドロー
ルによって幅方向の位置決めをされることになる。
なっているため、長さ160mmならびに270mmのいずれのロ
ールであっても、ほぼ同一円周線上のみに押し付け負荷
が加わり、不規則な振動を受け続けるなど、その使用環
境は極めて厳しいものである。このため、このロールの
材質としては、金属では耐久性に劣り、交換頻度が高い
ため、硬度が高く耐摩耗性に優れたセラミックスの適用
が検討されている。
や硬度には優れた特性を有するものの、破壊靭性、耐摩
耗性が劣り、実用的な材料とは言い難かった。そこで、
窒化珪素質焼結体の高靭性化を図るために、各種粒子、
ウィスカーを分散させる粒子分散窒化珪素質焼結体の研
究開発が進められている。しかしながら、高硬度・耐摩
耗性を維持できる材料系が殆ど無く、実用化を阻害して
いる。同様に、炭化珪素質焼結体は、大気雰囲気下での
高温強度や硬度には優れた特性を有するものの、破壊靭
性、耐摩耗性が劣り、実用的な材料とは言い難かった。
るために、各種粒子、ウィスカーを分散させる粒子分散
炭化珪素質焼結体の研究開発が進められている。しかし
ながら、高硬度・耐摩耗性を維持できる材料系が殆ど無
く、実用化を阻害している。
ルの使用環境では、通板する際の高さ変動時の振動に対
する機械的耐久性、ハンドリング時の耐欠損性等の機械
的安定性にも優れている必要があり、上述の従来の問題
点を解決し、いずれの要求特性にも極めて優れている材
質を有する、酸洗ラインの幅方向位置決め用シフトサイ
ドガイドロールを提供することを目的とする。
点を解決するために、窒化珪素ならびに炭化珪素セラミ
ックス焼結体への分散粒子を鋭意検討した結果、特定の
分散粒子を用いた場合に幅方向の位置決め用のシフトサ
イドガイドロール又は窒化珪素ならびに炭化珪素セラミ
ックス焼結体からなるリングを少なくとも金属製シフト
サイドガイドロールの鋼板との摺動部分に嵌合させる場
合に優れた特性を有する焼結体が得られることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
粒子を分散した窒化珪素を焼結した粒子分散窒化珪素質
焼結体を成形加工してなることを特徴とするシフトサイ
ドガイドロール、(2) 窒化クロム(Cr2N)粒子を分散し
た窒化珪素を焼結した粒子分散窒化珪素質焼結体をリン
グ状に成形加工して、該リングを少なくとも金属製シフ
トサイドガイドロールの鋼板との摺動部分に嵌合させて
なることを特徴とするシフトサイドガイドロール、(3)
前記窒化クロム(Cr2N)粒子の平均粒径が0.5〜10μmで
ある請求項1又は2記載のシフトサイドガイドロール、
(4) 前記窒化クロム(Cr2N)粒子の体積分率が1〜8%で
ある請求項1又は2記載のシフトサイドガイドロール、
(5) 前記粒子分散窒化珪素質焼結体の相対密度が99%
以上である請求項1又は2記載のシフトサイドガイドロー
ル、(6) Ti-Zr-B固溶体粒子、Ti-Hf-B固溶体粒子の1種
または2種を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散炭化
珪素質焼結体を成形加工してなることを特徴とするシフ
トサイドガイドロール、(7) Ti-Zr-B固溶体粒子、Ti-H
f-B固溶体粒子の1種または2種を分散した炭化珪素を焼
結した粒子分散炭化珪素質焼結体をリング状に成形加工
して、該リングを少なくとも金属製シフトサイドガイド
ロールの鋼板との摺動部分に嵌合させてなることを特徴
とするシフトサイドガイドロール、(8) 前記Ti-Zr-B固
溶体粒子の組成が、Ti1-xZrxB2(0.02≦x≦0.25)である
請求項6又は7記載のシフトサイドガイドロール、(9)
前記Ti-Hf-B固溶体粒子の組成が、Ti1-xHfxB2(0.02≦x
≦0.25)である請求項6又は7記載のシフトサイドガイド
ロール、(10) 前記固溶体粒子の平均粒径が1〜10μmで
ある請求項6又は7記載のシフトサイドガイドロール、(1
1) 前記固溶体粒子の体積分率が20〜70%である請求項
6又は7記載のシフトサイドガイドロール、(12) 前記粒
子分散炭化珪素質焼結体の相対密度が99.5%以上である
請求項6又は7記載のシフトサイドガイドロール、であ
る。
る。本発明者等は、従来使用されていた酸洗ラインの鋼
板の幅方向位置決め用の焼き入れ金属にWC-Ni-Crを溶射
したシフトサイドガイドロールについて、その損耗状況
を鋭意解析した結果、鋼板が高速で通過する場合、硬度
に劣る材料では、表面層が容易に摩耗し、消耗していく
ことを見い出した。また、摩耗部周囲には肌荒れが数多
く認められることも見い出した。これらの摩耗と肌荒れ
は、シフトサイドガイドロールの硬度が低い場合に特に
顕著に認められた。したがって、酸洗ラインの幅方向の
位置決めロールを長期間安定して使用するためには、耐
摩耗性と耐欠損性を同時に向上させることが必要で、そ
のためには硬度が高く、高靭性なセラミックス材にロー
ルごと置き換えることを見い出した。但し、セラミック
スでロール全体を製造する場合、製造コストが高くなる
ため、部分的な置き換えも合わせて検討を行った。
動の高さによって変動するが、通常700m/分までの通板
速度では、上方に+30mm、下方に-10mmまでの上下動の範
囲に収まることが確認されている。したがって、安全率
をそれぞれ20%程度見込み、帯状リングを嵌合させる場
合は、50mm程度の帯高さを有することが好適である。ま
た、セラミックス製リングを嵌合せしめる金属製のロー
ル母体は焼入れによって高硬度化が容易なSUJ、SNCM439
などの鋼種が好ましく、摺動するときに強度的に支障の
ない肉厚を有するセラミックスリングを嵌合し、接着・
固定後に金属ロール母体との境界部に段差が生じないよ
うに円研加工を施すことが適している。
ために、窒化珪素ならびに炭化珪素のそれぞれについ
て、各種粒子分散セラミックス焼結体を作製し、その特
性を評価した。その結果、ビッカース硬度が高くかつ耐
欠損性(=破壊靭性値、KIC)に優れたセラミックス焼結体
が優れた特性を有する関係を見い出した。特に、Cr2N粒
子を分散した窒化珪素を焼結した粒子分散窒化珪素質焼
結体、ならびにTi-Zr-B固溶体粒子、Ti-Hf-B固溶体粒子
の1種または2種を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散
炭化珪素質焼結体を成形加工したシフトサイドガイドロ
ールは、従来の溶射ロールに比べて、耐摩耗性を高めつ
つ、かつチッピング、剥離や割れ等の耐欠損性を著しく
改善できる。図2に本発明による粒子分散窒化珪素質焼
結体を帯状リングに成形加工し、この帯状リングを嵌合
させたシフトサイドガイドロール3を酸洗ラインの鋼板2
の幅方向位置決め用として組み込んだ設備の配置図を示
した。
粒子分散炭化珪素質焼結体に関し、個別に詳細な説明を
行う。窒化珪素セラミックス単体では、破壊靭性に劣る
ため、窒化珪素に以下の基準で選ばれた粒子を分散させ
ることが有効である。窒化珪素とCr2N粒子との熱膨張差
やヤング率の相違等により、分散したCr2N粒子の近傍に
残留応力が発生し、焼結体の破壊の際の破壊エネルギー
を分散させることに伴い、靭性を著しく向上させ、かつ
耐摩耗性も向上させる作用を発現することが可能になっ
た。中でも、Cr 2N粒子の平均粒径は0.5〜10μmであるこ
とが望ましい。より好ましくは3〜7μmである。平均粒
径が0.5μmより小さいと、靭性への寄与が得られ難く、
一方、10μmより大きいと、ビッカース硬さや破壊靭性
値の低下を招く。加えて、Cr2N粒子の体積分率は1〜8%
であることが望ましい。体積分率が1%より少ないと、
硬さ、靭性の向上に対する寄与が得られ難く、一方、8
%を越えると、粒子分散による残留応力が過大となり、
破壊靭性の低下と共に耐欠損性が低下する。さらに、前
記Cr2N粒子分散窒化珪素質焼結体の相対密度は理論密度
に対して99%以上であることが望ましい。相対密度が99
%未満では、粒子分散による焼結体への残留応力の付与
が不充分になり、破壊靭性の向上効果が見られない。ロ
ール全体をセラミックス化する場合に加え、嵌合リング
を用いる場合のリング肉厚は本材料系では10mm以上が好
ましく、費用面からリングの単価を軽減するには厚さ10
mm以上、20mm以下が好適である。
ールは、窒化珪素粉末にCr2N粒子と必要に応じて焼結助
剤を所定量添加、混合した後、焼結したものを成形加工
することにより製造でき、その製造方法を限定するもの
ではない。詳しくは、窒化珪素は共有結合性の強い物質
であり、単独では焼結が困難であることが多いため、緻
密化するために焼結助剤を添加することが望ましい。焼
結助剤としては、希土類酸化物、窒化アルミニウム、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、等を用いることが
できる。希土類酸化物としては酸化イットリウム、酸化
イッテルビウム、酸化エルビウム、等から選ぶことが出
来る。焼結助剤の添加量は、窒化珪素粉末の純度や粒径
によって変動する必要があるが、窒化珪素100質量部に
対し、酸化イットリウムが3〜8質量部、酸化マグネシウ
ムが2〜5質量部などが好ましい。焼結方法についても、
特に限定するものではなく、例えば無加圧焼結法、ガス
圧焼結法、熱間静水圧プレス焼結法、ホットプレス焼結
法、等の各種焼結法を用いることができ、さらにこれら
の焼結法を複数組み合せても良い。無加圧焼結法は、真
空中又は不活性ガス流通中で行なうと緻密な焼結体が得
られ易い。
る場合には、十分な緻密化を図るために、無加圧焼結後
に、さらに不活性ガス雰囲気中での熱間静水圧プレス焼
結を行うことが好ましい。焼結条件としては、焼結温度
が1550〜1700℃、保持時間が2時間以上であることが望
ましい。1550℃未満では、緻密な焼結体が得られず、固
溶体粒子近傍に残留応力を十分に発生させることが困難
となり、高靭性の焼結体とすることができない。一方、
1700℃を越える高温では、マトリックスの窒化珪素が昇
華、分解するため、焼結体が得られない。また、保持時
間が2時間未満では、緻密化が十分に起こらないため、
焼結体の粒子分散の効果が得られない。次に、粒子分散
炭化珪素質焼結体について説明する。
ス硬度は比較的高いが破壊靭性に劣るため炭化珪素に以
下の基準で選ばれた粒子を分散させることが有効であ
る。炭化珪素とTi-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固
溶体粒子との熱膨張差やヤング率の相違等により、分散
したTi-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固溶体粒子の
近傍に残留応力が発生し、焼結体の破壊の際の破壊エネ
ルギーを分散させることができ、破壊靭性値を著しく向
上させ、かつ耐摩耗性も向上させる作用を発現すること
が可能になる。このTi-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-
B固溶体粒子は、硬質かつ耐酸化性のあるhcp構造の高融
点化合物であり、焼結後に炭化珪素質焼結体中に分散粒
子として残留し、焼結体全体のビッカース硬度や破壊靭
性値を向上させる作用を有する。ロール全体をセラミッ
クス化する場合に加え、嵌合リングを用いる場合のリン
グ肉厚は本材料系では15mm以上が好ましく、費用面から
リングの単価を軽減するには厚さ15mm以上25mm以下が好
適である。
体粒子の組成は、それぞれTi1-xZrxB 2、Ti1-xHfxB2で表
され、xの範囲は0.02〜0.25が好ましく、より好ましく
は0.02〜0.05である。TiB2にZrB2やHfB2を固溶させる
と、TiB2単体に比べ、硬度や破壊靭性値が上昇する。し
かしながら、xが0.02より小さい場合には、Zr、HfのTiB
2への固溶効果が乏しくなり、十分な高硬度化が図れな
い恐れがあり、一方、xが0.25を越える場合には、マト
リックスの炭化珪素との熱膨張係数が掛け離れてしまう
ため、焼結時に緻密化し難くなり、相対密度の低い焼結
体となり易く、破壊靭性値も低下する恐れが高くなる。
また、前記固溶体粒子の平均粒径は1〜10μmであること
が望ましい。より好ましくは3〜5μmである。平均粒径
が1μmより小さいと、靭性への寄与が得られ難く、一
方、10μmより大きいと、硬さや破壊靭性値の低下を招
く。前記Ti-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固溶体粒
子の体積分率は20〜70%であることが望ましい。体積分
率が20%より少ないと、硬さ、靭性の向上に対する寄与
が得られ難く、一方、70%を越えると、粒子分散による
残留応力が過大となり、破壊靭性の低下と共に耐欠損性
が低下する。さらに、前記Ti-Zr-B固溶体粒子及び/又は
Ti-Hf-B固溶体粒子分散炭化珪素質焼結体の相対密度は
理論密度に対して99.5%以上であることが望ましい。相
対密度が99.5%未満では、粒子分散による焼結体への残
留応力の付与が不充分になり、靭性向上の効果が見られ
ない。
ールは、炭化珪素粉末にTi-Zr-B固溶体粒子、Ti-Hf-B固
溶体粒子の1種または2種と必要に応じて焼結助剤を所定
量添加、混合した後、焼結したものを成形加工すること
により製造でき、製造方法を限定するものではない。よ
り詳しくは、Ti-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固溶
体粒子は、複合硼化物粒子として添加する以外に、例え
ば、TiB2とZrB2、ZrC、HfB2、HfCの所定量を炭化珪素に
混合し、焼結時の反応により複合硼化物を形成しても良
い。また、炭化珪素は共有結合性の強い物質であり、単
独では焼結が困難であることが多いため、緻密化するた
めに焼結助剤を添加することが望ましい。
カーボンブラックや有機質炭素等の各種炭素材料、窒化
アルミニウム、酸化アルミニウム、希土類酸化物、等を
用いることができる。焼結助剤の添加量は、炭化珪素粉
末の純度や粒径によって変動する必要があるが、炭化珪
素100質量部に対し炭化硼素が0.1〜2.0質量部(外換
算)、炭素が0.5〜2.5質量部(外換算)などが好ましい。
く、例えば無加圧焼結法、ガス圧焼結法、熱間静水圧プ
レス焼結法、ホットプレス焼結法、等の各種焼結法を用
いることができ、さらにこれらの焼結法を複数組み合せ
ても良い。無加圧焼結法は、真空中又は不活性ガス流通
中で行うと緻密な焼結体が得られ易い。また、大型厚肉
形状のシフトサイドガイドロールを製造する場合には、
十分な緻密化を図るために、無加圧焼結後に、さらに不
活性ガス雰囲気中での熱間静水圧プレス焼結を行うこと
が好ましい。焼結条件としては、焼結温度が1850〜2200
℃、保持時間が3時間以上であることが望ましい。1850
℃未満では、緻密な焼結体が得られず、固溶体粒子近傍
に残留応力を十分に発生させることが困難となり、高靭
性の焼結体とすることができない。一方、2200℃を越え
る高温では、マトリックスの炭化珪素が昇華、分解する
ため、焼結体が得られない。また、保持時間が3時間未
満では、焼結反応による複合硼化物粒子生成が十分には
起こらないため、焼結体の粒子分散の効果が得られな
い。
平均粒径0.3μm)に窒化クロム(Cr2N)粉末(表1に示した
平均粒径を使用)、窒化チタン(TiN)粉末(平均粒径3μ
m)、酸化イットリウム(Y2O3)粉末(平均粒径1.5μm)、酸
化イッテルビウム(Yb2O5)粉末(平均粒径1μm)、酸化エ
ルビウム(Er2O3)粉末(平均粒径1μm)、酸化マグネシウ
ム(MgO)粉末(平均粒径0.3μm)を表1に示す所定量(質量
%)添加し、分散媒として精製水またはアセトンを用
い、炭化珪素セラミックスを内貼りしたボールミルで48
時間混練した。精製水またはアセトンの添加量は、セラ
ミックス全粉末原料100gに対し120gとした。
した。成形条件としては冷間静水圧による加圧150MPaと
し、φ220mm(内径φ115mm)×長さ220mmを2個、φ220mm
(内径φ135mm)×長さ80mmを2個の各円筒を成形した。こ
れを素地加工し、φ205mm(内径φ155mm)×長さ210mmを2
個、φ205mm(内径φ175mm)×長さ70mmを2個の計4個の成
形体を得た。焼結条件としては、N2ガス流通中にて、表
1中に示す温度で4時間保持の無加圧焼結後、同じく表
1中に示す温度、高圧N2ガス雰囲気中にて6時間保持の
熱間静水圧プレス(HIP)焼結を行った。得られた焼結体
から、それぞれφ150mm(内径φ91mm)×長さ160mmを2
個、φ150mm(内径φ120mm)×長さ55mmを2個の焼結体加
工を行い、酸洗ラインでの実機通材耐久試験に供した。
後者に関しては、鋼材(SNCM439)の同心円筒を上下方向
に2分割し、帯状リングを有機系接着剤を用いて接着・
固定した後に、耐久試験を行った。 (実施例6〜10)炭化珪素(SiC)粉末(α型、純度99%、平
均粒径0.7μm)に硼化チタン(TiB2)粉末(平均粒径3.2μ
m)、硼化ジルコニウム(ZrB2)粉末(平均粒径3μm)、炭化
ジルコニウム(ZrC)粉末(平均粒径2.5μm)、硼化ハフニ
ウム(HfB2)粉末(平均粒径4μm)、炭化ハフニウム(HfC)
粉末(平均粒径4.5μm)、炭化硼素(B4C)粉末(平均粒径0.
6μm)、及び炭素(C)粉末(平均粒径0.02μm)を表2に示す
所定量(質量%)添加し、分散媒として精製水またはアセ
トンを用い、炭化珪素セラミックスを内貼りしたボール
ミルで48時間混練した。精製水またはアセトンの添加量
は、セラミックス全粉末原料100gに対し80gとした。
した。成形条件としては冷間静水圧による加圧150MPaと
し、φ200mm(内径φ105mm)×長さ210mmを2個、φ200mm
(内径φ105mm)×長さ360mmを2個の長円筒を成形した。
これを素地加工し、φ185mm(内径φ110mm)×長さ200mm
を2個、φ185mm(内径φ105mm)×長さ330mmを2個の計4個
の成形体を得た。焼結条件としては、Arガス流通中に
て、表2に示す温度で12時間保持の無加圧焼結後、同じ
く表2中に示す温度、高圧Arガス雰囲気中にて6時間保持
の熱間静水圧プレス(HIP)焼結を行った。得られた焼結
体から、それぞれφ150mm(内径φ91mm)×長さ160mmを2
個、φ150mm(内径φ91mm)×長さ270mmを2個の焼結体加
工を行い、酸洗ラインでの実機通材耐久試験に供した。
各種形状の試験片を切り出し、機械的特性を評価した。
硬さは、押込荷重98Nにてビッカース硬さとして測定し
た。靭性についてはJIS R1607のSEPB法により室温にて
破壊靭性値KICを測定した。焼結体密度は、アルキメデ
ス法により相対密度として測定した。Cr2N粒子、ならび
にTi-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固溶体粒子の粒
径および体積分率は、焼結体の鏡面研磨面を撮影した光
学顕微鏡像(拡大率500倍)より30個以上の粒子径および
撮影面中の粒子面積分率として測定し、その平均値とし
て表した。 また、Ti-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B
固溶体粒子を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散炭化
珪素質焼結体については、X線回折法を用いて、混合前
の原料粉末段階でのTiB2、ZrC、ZrB2、HfC及びHfB2各粉
末のX線回折ピークをそれぞれ測定し、混合・成形し焼
結後の焼結体のX線回折ピークと照合し、TiB2中にZrも
しくはHfが固溶していることを確認した。
-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-Hf-B固溶体粒子の粒径、
体積分率、x値、焼結体密度と共に表3、表4に示す。オ
ンライン通板試験としては、常温大気中、板厚3.0mm、
通板速度は700m/分の条件にて行った。2ヶ月間の鋼板の
通材後、各ロールに発生した摩耗痕跡の深さhを投影型
顕微鏡にて測定し、各形状(φ150mm(内径φ91mm)×L160
mm、φ150mm(内径φ91mm)×L270mm)の平均値を求めた。
また、摩耗痕跡周囲の損傷有無、チッピング深さ、およ
び割れ深さを蛍光探傷法および断面研磨面の光学顕微鏡
観察により評価した。 (比較例11〜19)比較例11〜13は、分散粒子をCr2NからTi
Nに置き換えた場合の比較例である。比較例14は、粒子
分散を行っていない窒化珪素焼結体である。これらを併
せて表1に示す。比較例15〜17は、実施例6〜10と同一原
料を用い、同じく精製水またはアセトンで調製したが、
それぞれTiB2のみを添加した場合(比較例15)、ZrB2のみ
を添加した場合(比較例16)、HfB2のみを添加した場合
(比較例17)の各比較例である。比較例18は、粒子分散を
行っていない炭化珪素焼結体であり、これらを併せて表
2に示す。比較例19は、従来の金属製ロールで、摩耗試
験結果のみを表3に併記した。これら全ての比較例の材
料も実施例1〜10と同様の条件で通材試験を行い、各形
状の平均値を示した。
よるものは、摩耗痕跡深さが250μm以下と非常に少な
く、かつ摩耗痕跡周囲には割れ・剥離・チッピング等の
欠損が何れの場合も認められず、耐摩耗性、耐欠損性共
に優れるが、比較例の各シフトサイドガイドロールは、
本発明の実施例に比べて、使用不能になるまでの摩耗痕
跡深さ450μm以上と大きく、その上、ヒビやクラック等
の欠損も発生する場合があり、耐摩耗性、耐欠損性が不
充分であることが確認された。
(Cr2N)粒子を分散した窒化珪素を焼結した粒子分散窒化
珪素質焼結体、またはTi-Zr-B固溶体粒子及び/又はTi-H
f-B固溶体粒子を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散
炭化珪素質焼結体を成形加工してなるシフトサイドガイ
ドロールは、ビッカース硬度や破壊靭性値に代表される
機械的安定性に優れ、長期耐久性を有する。本発明のシ
フトサイドガイドロールを使用すれば、鉄鋼製造プロセ
スの酸洗ライン工程等におけるシフトサイドガイドロー
ルの長寿命化による資材費圧縮と安定操業による生産性
向上に伴う製造コスト低減に寄与すること大である。
ロール配置概略図。
イドロール配置概略図。
イドガイドロール
Claims (12)
- 【請求項1】 窒化クロム(Cr2N)粒子を分散した窒化珪
素を焼結した粒子分散窒化珪素質焼結体を成形加工して
なることを特徴とするシフトサイドガイドロール。 - 【請求項2】 窒化クロム(Cr2N)粒子を分散した窒化珪
素を焼結した粒子分散窒化珪素質焼結体をリング状に成
形加工して、該リングを少なくとも金属製シフトサイド
ガイドロールの鋼板との摺動部分に嵌合させてなること
を特徴とするシフトサイドガイドロール。 - 【請求項3】 前記窒化クロム(Cr2N)粒子の平均粒径が
0.5〜10μmである請求項1又は2記載のシフトサイドガイ
ドロール。 - 【請求項4】 前記窒化クロム(Cr2N)粒子の体積分率が
1〜8%である請求項1又は2記載のシフトサイドガイドロ
ール。 - 【請求項5】 前記粒子分散窒化珪素質焼結体の相対密
度が99%以上である請求項1又は2記載のシフトサイドガ
イドロール。 - 【請求項6】 Ti-Zr-B固溶体粒子、Ti-Hf-B固溶体粒子
の1種または2種を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散
炭化珪素質焼結体を成形加工してなることを特徴とする
シフトサイドガイドロール。 - 【請求項7】 Ti-Zr-B固溶体粒子、Ti-Hf-B固溶体粒子
の1種または2種を分散した炭化珪素を焼結した粒子分散
炭化珪素質焼結体をリング状に成形加工して、該リング
を少なくとも金属製シフトサイドガイドロールの鋼板と
の摺動部分に嵌合させてなることを特徴とするシフトサ
イドガイドロール。 - 【請求項8】 前記Ti-Zr-B固溶体粒子の組成が、Ti1-x
ZrxB2(0.02≦x≦0.25)である請求項6又は7記載のシフト
サイドガイドロール。 - 【請求項9】 前記Ti-Hf-B固溶体粒子の組成が、Ti1-x
HfxB2(0.02≦x≦0.25)である請求項6又は7記載のシフト
サイドガイドロール。 - 【請求項10】 前記固溶体粒子の平均粒径が1〜10μm
である請求項6又は7記載のシフトサイドガイドロール。 - 【請求項11】 前記固溶体粒子の体積分率が20〜70%
である請求項6又は7記載のシフトサイドガイドロール。 - 【請求項12】 前記粒子分散炭化珪素質焼結体の相対
密度が99.5%以上である請求項6又は7記載のシフトサイ
ドガイドロール。
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