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粒子分散炭化珪素質焼結体及びその製造方法並びに線材圧延ガイドローラー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温強度や破壊靭性に優れる炭化珪素質焼結体に関し、さらに、鉄などの金属線材を熱間圧延で製造する際に使用する耐摩耗性、耐欠損性、耐熱性に優れるガイドローラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、炭化珪素質焼結体は耐熱衝撃性や硬度に優れるものの、破壊靭性が低く機械的衝撃の大きな用途にはほとんど適用されていなかった。そこで、炭化珪素質焼結体の高靭化を図る目的で、焼結体中に種々の粒子やウイスカーを分散させるなどの研究が進められてきた。
【0003】
ところで、熱間線材圧延ラインは、一般に1000℃以上の高温に熱せられた太い角柱状ビレットを、多数のロールスタンド間を連続的に通過させて減面し、所定の形状・寸法に仕上げるもので、各ロールスタンド間には、圧延中の線材を圧延ロールの所定の位置に誘導するための多数のガイド部材が用いられている。
このガイド部材は、通常、高温かつ高速の線材の確実な誘導を実現するため、線材の進行方向に回転可能なローラーとすることが多い。圧延ラインで、特に最終スタンドである仕上げ圧延機の入側に用いられるガイドローラーは、線材の減面化に従い、通材速度が60m/秒以上と極めて高速となる場合があることに加え、線材の誘導性を高めるため圧延ロールに近づける必要性から、直径の小さいガイドローラーを用いることが要求されるなど、使用環境が極めて厳しいものになっている。
【0004】
従来、これら鉄などの金属線材の圧延機のガイドローラーとしては、高硬度炭素鋼製、もしくは炭化タングステン(WC)等の超硬合金製のものが用いられてきた。超硬合金製のローラーは、熱間で被圧延材と反応し難く、かつ、高硬度炭素鋼製のものに比べて耐摩耗性に優れるため、最終スタンド入側に用いた場合でも摩耗によるローラー交換回数は少なくて済むが、一方で、WC粒の脱落、チッピング、巨視的な割れ等が、線材と接触するローラーカリバー部で生じる場合があり、これが、被圧延材であるところの線材における線材表面の肌荒れや摩耗傷の原因となっていた。また、脱落したWC含有の硬質粒が圧延中に線材表面に付着・圧入され、後工程での更なる線材伸線化・細線化の際に、断線の原因となる場合があった。
【0005】
ガイドローラーは、通常、摩耗領域を研削して再利用するが、残存き裂が、再利用時のチッピングの原因となるため、チッピングと割れが生じている領域を完全に削除しておく必要がある。チッピング・割れが生じると、その研削量としては、割れの深さも含めると一般に摩耗深さの3 倍程度必要となり、追加工コストが高くなる一方で、ローラーとしての繰り返し使用総寿命が短くなるなど、経済性の面で不利となっていた。さらに、WC等の超硬合金は、一般に比重が大きくローラーの慣性モーメントが大きくなるため、圧延時のローラー回転が加速されるまでの間に激しい摩耗を受け、本来の高い耐摩耗性が十分に発揮されない場合があった。
【0006】
一方、超硬合金に比べて低比重で、かつ高硬度である耐摩耗性の改善が期待される炭化珪素セラミックスをガイドローラーに適用する試みもなされてきており、特開平1-130807号公報では、線材と接触する部分を炭化珪素セラミックスで形成し、耐摩耗性と線材表面性状の改善を試みている。さらに、特開平9-278523号公報では、炭化珪素セラミックスの破壊靭性値を大幅に向上させたガイドローラーを提案し、ローラー寿命の改善が報告されているが、セラミックス原料の一部に極めて高価なハフニウム化合物(HfB2)を使用しているため、製造コストが高くなる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のモノリシック炭化珪素セラミックス製ガイドローラーは、ローラーの軽量化の面においては十分機能を発揮し、かつ比較的高い耐摩耗性を有するものの、摩耗部周囲に巨視的なチッピングや割れの発生が認められ、超硬合金製ローラーとほぼ同等の耐摩耗性を維持したまま耐欠損性を飛躍的に改善するには至っていないため、圧延ラインの最終圧延機入側のように高温の圧延鋼材が極めて高速で通過するような厳しい使用環境下においては、信頼性に欠ける問題点があった。
【0008】
炭化珪素質焼結体の高靭化を目的とした粒子分散などの研究の中で、例えば、特開平9-278523号公報では、高価なHfB2を原料に用い、焼結過程で反応生成するTi-Hf-B 固溶体を使用し焼結体の破壊靭性値を著しく向上させることが出来た。これを加工してガイドローラーとして使用した場合、通材時の摺動摩耗特性として、割れやチッピングを抑制し再利用時の必要削除量を低減するものの、通材時の摩耗量自体は、現行超硬(WC)材の摩耗量から大幅に低減するには至らなかった。さらに、特開平9-278523号公報の材料は原料調製時の安定性に欠け、非水系の湿式混合を必須としていた。このため、通常広く行われている水系混合に比べ、原料コストが大幅に増大するとともに、製造時の安全性確保に配慮しなければならないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記の如き課題を解決するためになされたものである。そして、本発明の目的は、耐酸化性改善に基づく耐摩耗特性と破壊靭性の改善による耐欠損特性を大幅に向上させた低コストの焼結体及びこれを用いた線材圧延ガイドローラーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明において、課題を解決するための手段は、炭化珪素(SiC)焼結体中に平均径1〜10μmのTi1-xZrxB2(0.02≦x≦0.25)で表わされる硼化チタン−硼化ジルコニウム固溶体粒子が、体積分率20〜70%の範囲でマトリックスの炭化珪素の粒子間に分散し、かつ、相対密度が99% 以上である粒子分散炭化珪素質焼結体、及び、この焼結体を成形加工してなる線材圧延ガイドローラーである。
また、本発明の粒子分散炭化珪素質焼結体の製造方法は、炭化珪素(SiC)粉末に、硼化チタン(TiB 2 )粉末、硼化ジルコニウム(ZrB 2 )粉末または炭化ジルコニウム(ZrC)粉末、炭化硼素(B 4 C)粉末、及び、炭素(C)粉末を、それぞれ、所定量(重量%)添加し、分散媒としてアセトンまたは精製水を用いて、炭化珪素を内貼りしたボールミルで混練して混合粉末を得て、該混合粉末を加圧成形して成形体を作製し、該成形体を最高温度1950〜2200℃で、真空中または不活性ガス流通中で無加圧焼結した後、Arガス雰囲気中にて熱間静水圧プレス焼結する手順からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは種々の研究の結果、セラミックス製線材圧延ガイドローラーの摩耗は高速で通過する線材との摺動により生じ、酸化され易い材料では、高温の線材が通過している際や通材間隔の水冷している間に酸化層が形成され、その酸化層は、非常に摩耗され易いことを解明した。また、摩耗部周囲のチッピングや割れ等の欠損は、主に線材先端部分がローラーへ突入する際の機械的衝撃、および、1000〜1200℃の高温の線材との接触による加熱と周囲からの水冷による熱衝撃の繰り返しにより生成・進展するものであり、これら摩耗と欠損は、ローラーの材質が低硬度、低靭性、低耐熱衝撃性、低酸化耐性の場合に顕著であることを見出した。
【0012】
従って、耐摩耗性と耐欠損性を同時に改善し本課題を達成するためには、ローラー材質の高硬度化、高靭性化、高耐熱衝撃性化、高耐酸化性が必要不可欠である。
これらの特性を同時に向上させる方法としては、充分緻密な焼結体において、硬質かつ耐酸化性の高い粒子を分散させることが効果的であり、特に、硬質かつ耐酸化性の高いTi-Zr-B 固溶体粒子を炭化珪素中に分散させることにより、従来のモノリシック炭化珪素製ガイドローラーに比べて、耐摩耗性を高めつつ、さらに、チッピング、割れ等の耐欠損性を著しく向上させる作用を付与することが可能であることを見出した。
【0013】
Ti-Zr-B 固溶体は、hcp 構造をもつ硬質かつ耐酸化性のある高融点化合物であり、焼結後に炭化珪素焼結体中に分散粒子として残留し、焼結体全体の硬度を向上させる作用をもつ。そして、炭化珪素相−固溶体相の熱膨張係数差やヤング率の相異等により分散粒子近傍に残留応力を発生させ、破壊の際の破壊エネルギーを向上させる作用を持ち、靭性を著しく向上させつつ耐熱衝撃性を向上させる作用を持つ。
【0014】
本発明のガイドローラーに用いられるTi-Zr-B 固溶体は、Ti1-x Zrx B2で表すことができ、x の値の範囲としては0.02〜0.25であり、より好ましくは0.02〜0.10である。TiB2にZrB2を所定量固溶させると、TiB2単身の場合に比べて硬さを著しく向上させることができるが、x が0.02より少ない場合、Zrの固溶効果が乏しく十分な高硬度化が図れず、また、0.25を超えるとマトリックスである炭化珪素との熱膨張係数がかけ離れてしまい、複合材料を焼結する際に、理論密度比99% 以上の相対密度が得られ難く、破壊靭性値も低下するため好適ではない。
【0015】
本発明の焼結体では、Ti1-x Zrx B2固溶体を20〜70体積% 含むが、70体積% より多く添加すると粒子分散させることによる残留応力が過大になり靭性値が大きく低下し、耐欠損性が低下する。また、20体積% より少ないと、硬さ、靭性、耐熱衝撃性の向上に充分な寄与が認められない。より好ましくは40〜60体積% である。
【0016】
分散させるTi1-x Zrx B2固溶体相の粒子径としては、平均結晶粒径の範囲が、1 〜10μm であることが好ましく、より好ましくは3 〜5 μm が適している。1 μm より小さいと、靭性への寄与が得られ難く、また、10μm より大きいと、硬さ、耐熱衝撃性の低下を招く。
さらに、本発明では、焼結体の相対密度を99% 以上とするが、99% 未満では、 Ti1-xZr xB2固溶体粒子の分散による焼結体中への残留応力の付与が不十分となるため好ましくない。
【0017】
また、セラミックス原料としては、TiB2に、ZrB2とZrC の少なくとも1 種を所定量添加すれば良く、炭化珪素焼結時に、硼化物でも炭化物でも、最終固溶体として、Ti1-x Zrx B2固溶体が得られれば構わない。
炭化珪素(SiC) は共有結合性の強い物質であり、単味では焼結が困難であるため、緻密化に際しては種々の添加物を加えても構わない。焼結助剤としては炭化硼素、金属硼素、炭素( カーボンブラック等) 、有機質炭素源、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、希土類酸化物、等を用いることができる。
【0018】
焼結方法としては、無加圧焼結法、ガス圧焼結法、熱間静水圧プレス焼結法、ホットプレス法の何れの方法も用いることが可能であり、更に、一種もしくは複数の焼結法を組み合わせることも可能である。無加圧焼結は、真空中または不活性ガス流通中にて行うと、緻密な焼結体が得られ易い。複雑形状であるガイドローラーにおいて、高密度を達成するためには、無加圧焼結後、さらにArガス雰囲気中にて熱間静水圧プレス焼結を行うことが好ましい。
【0019】
焼結時の最高温度の範囲としては、1950〜2200℃であることが好ましく、最高温度での保持時間は、4 時間以上であることが望ましい。1950℃未満では充分高い密度が得られず、固溶体相粒子近傍に高い残留応力を発生させることが困難で、高い靭性が得られない。また、2200℃より高い温度では、SiC が昇華・分解するため好ましくない。
【0020】
焼結時の保持時間としては、原料として用いたTiB2粉末とZrB2粉末が反応し安定なTi1-x Zrx B2固溶体相を生成するために、上記焼結温度の範囲にて、4 時間以上の保持が必要である。
また、本発明で使用するZrC やZrB2は、特開平9-278523号公報で開示されるセラミックス原料であるHfB2に比べて安価な原料であり、本発明の粒子分散炭化珪素系全体の原料コストを大幅に抑えることが可能になる。しかも、耐酸化性を有するため、粉体調製時に分散媒としてアルコールやアセトン等の非水系に限定することはなく、水系での粉体調製も可能であり、調製時のコスト低減や作業時の安全性を向上することが容易である。
【0021】
本発明の粒子分散炭化珪素質焼結体からなる線材圧延ガイドローラーは、炭化珪素(SiC) 焼結体中に、平均径1 〜10μm のTi1-x Zrx B2(0.02 ≦x ≦0.25) で表わされる硼化チタン−硼化ジルコニウム固溶体粒子が、体積分率20〜70% の範囲で分散し、相対密度が99% 以上の粒子分散炭化珪素質焼結体からなるが、これら要件の組み合わせにより、該焼結体から得られたガイドローラーは、高硬度、高靭性、高耐熱衝撃性を有し、かつ、耐摩耗性、耐欠損性、耐酸化性、長時間信頼性が高いものである。
【0022】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。
( 実施例1 〜5)
炭化珪素(SiC) 粉末( α型、純度99% 、平均粒径0.5 μm)に、硼化チタン(TiB2)粉末( 平均粒径4 μm)、硼化ジルコニウム(ZrB2)粉末( 平均粒径2 μm)または炭化ジルコニウム(ZrC) 粉末( 平均粒径2 μm)、炭化硼素(B4C) 粉末( 平均粒径1.5 μm)、及び、炭素(C) 粉末( 平均粒径0.02μm)を、第1 表に示す所定量( 重量%)添加し、分散媒としてアセトン及び精製水を用い、炭化珪素を内貼りしたボールミルで24時間混練した。アセトン及び精製水の添加量は、セラミックス全粉末原料100gに対し100gとした。
【0023】
次いで、得られた混合粉末を、成形後焼結した。成形条件としては、冷間静水圧による加圧150MPaとし、外径φ70mm、内穴径φ30mm、厚さ35mmのドーナツ状成形体を得た。焼結条件としては、Arガス流通中にて、第1 表中に示す温度で8 時間保持の無加圧焼結後、同じく、第1 表中に示す温度、高圧Arガス雰囲気中にて3 時間保持の熱間静水圧プレス(HIP) 焼結を行った。
【0024】
得られた焼結体から、外径約φ56mm、内径約φ28mm、厚さ約25mm、カリバー面角度142 ゜、ガイドローラー内径側に外径φ35mmのボールベアリングを厚さ方向に対面配置可能なガイドロ―ラーを研削加工し、線材圧延試験に供した。
また、得られた焼結体から各種形状の試験片を切り出し、機械的特性を評価した。硬さは、押込荷重10kgにてビッカース硬さとして測定した。靭性については、JIS R1607 のSEPB法により、室温にて破壊靭性値K ICを測定した。また、耐熱衝撃性としては、曲げ試験片を大気中にて所定の温度に加熱後、水中急冷し、抗折強さの劣化が始まる急冷温度差ΔT で評価した。焼結体密度は、アルキメデス法により相対密度として測定した。
【0025】
Ti-Zr-B 固溶体の粒径および体積分率は、焼結体の鏡面研磨面を撮影した光学顕微鏡像( 拡大率500 倍) より、30個以上の粒子径および撮影面中の粒子面積分率として測定し、その平均値として表した。また、 Ti1-xZr xB2(hcp構造) のx 値は、高周波プラズマ発光分光(ICP) 分析により求めた。さらに、X 線回折法を用いて、混合前の原料粉末段階でのTiB2、ZrC 及びZrB2、及び、焼結体中の固溶体を、それぞれ測定し、焼結後にはTiB2中にZrが固溶していることを確認した。
【0026】
得られた各焼結体の諸特性をTi-Zr-B 固溶体の粒径、体積分率、x 値、相対密度と共に第2 表に示す。また、圧延試験としては、被圧延材として普通鋼を用い、初期ビレット形状約120mm □×長さ約18m 、重さ約2 トンを、圧延時線材温度約1000℃、通材速度約60m/秒の条件にて圧延して、圧延後線材形状φ5.5mm ×長さ約12kmの線材を製造した。最終圧延ロール手前のガイドローラーとして、各材種ごとに2 個1 セットを配置し、合計160 トン( ビレット2 トン×80本) を通材させた後、ローラーカリバー部に発生した摩耗痕跡の深さh を、表面粗さ計にて測定した。また、摩耗痕跡周囲の損傷有無、チッピング深さ、および、割れ深さを、蛍光探傷法および断面研磨面の光学顕微鏡観察により評価した。再利用に当たってのローラーカリバー面の必要研削量は、摩耗痕跡周囲に割れ・チッピングの損傷が観察されない場合は、摩耗痕跡深さh の1.2 倍、チッピングが生じている場合は、チッピング深さの1.2 倍、そして、割れが生じている場合は、割れ深さの1.2 倍として、第2 表中に示した。
( 比較例6 〜11)
比較例6 〜8 は、実施例1 〜5 と同一原料を用いアセトンで調製したが、それぞれ体積率を70% を超えた場合( 比較例6)、焼結条件が不適で相対密度が99% を下回った場合( 比較例7)、分散粒子径が10μm を超えた場合( 比較例8)である。また、比較例9 、10は、特開平9-278523号公報と同様のTi-Hf-B 固溶体粒子を分散させたものであり、比較例9 は、非水系の分散媒としてアセトンを用い、比較例10は、水を分散媒に用いた例である。比較例11は、粒子分散を行っていない炭化珪素焼結体である。これらを併せて第1 表に示す。また、これら比較例の材料も、実施例1 〜5 と同様の条件で通材試験を行い、その結果を第2 表に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0004347949
【0028】
【表2】
Figure 0004347949
【0029】
第2 表に示すように、本発明の実施例によるものは、摩耗痕跡深さが、何れも線材160 トン通材後で40μm 以下と非常に少なく、かつ、摩耗痕跡周囲には、割れ・チッピングの欠損が何れの場合も認められず、耐摩耗性、耐欠損性共に優れるが、比較例の各ローラーは、本発明の実施例に比べて、摩耗痕跡深さが大きいか、もしくは少なくとも割れ・チッピングが発生しており、耐摩耗性、耐欠損性の両立が図られていないことが確認された。比較例10に示したように、Ti-Hf-B 固溶体を分散させる系の水調製は、調製中にHfB2層の表面に酸化物が形成され、焼成中に酸化物が分解・揮発し、焼成割れを起こすことになった。
【0030】
また、ガイドローラを繰り返し再利用するに当たってのローラーカリバー面の必要研削量も、本発明によるものは48μm 未満と小さいのに対し、比較例の各ローラーでは、発生した割れ・チッピング領域の除去のために必要な研削量が87μm 以上と大きい。再研削時の加工費、繰り返し利用を含めた製品の総寿命を考慮すると、本発明の焼結体によるガイドローラーは有利であることが確認された。
【0031】
【発明の効果】
本発明で使用するZrC やZrB2は、特開平9-278523号公報で開示されるセラミックス原料であるHfB2に比べて、1/10程度の安価な原料であり、粒子分散炭化珪素系全体の原料コストを1/2 以下に抑えることが可能になる。また、粉体調製時のコストや危険性を大幅に軽減できる水系の調製が可能になり、より一層製造コストを軽減出来る。
【0032】
本発明により得られた粒子分散炭化珪素質焼結体からなる線材圧延ガイドローラーは、高硬度、高靭性、高耐熱衝撃性、高耐酸化性を有し、上記の如く高い耐摩耗性を維持しつつ、耐欠損性をより優れたものとすることが可能となった。このことにより、長時間信頼性の非常に優れた線材圧延ガイドローラーの作製が、安価に可能となり、その工業的有用性は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧延試験に用いた線材圧延ガイドローラーの組み付け側面図である。
【符号の説明】
1 …線材圧延ガイドローラー
2 …被圧延材( 鉄などの金属線材)
3 …ローラーカリバー部の摩耗痕跡
4 …チッピング部
5 …割れ

Claims (3)

  1. 炭化珪素(SiC)焼結体中に、平均径1〜10μmのTi1-xZrxB2(0.02≦x≦0.25)で表わされる硼化チタン−硼化ジルコニウム固溶体粒子が、体積分率20〜70%の範囲でマトリックスの炭化珪素の粒子間に分散し、かつ、相対密度が99% 以上であることを特徴とする粒子分散炭化珪素質焼結体。
  2. 請求項1記載の粒子分散炭化珪素質焼結体を成形加工してなる線材圧延ガイドローラー。
  3. 請求項1記載の粒子分散炭化珪素質焼結体を製造する方法において、
    炭化珪素(SiC)粉末に、硼化チタン(TiB 2 )粉末、硼化ジルコニウム(ZrB 2 )粉末または炭化ジルコニウム(ZrC)粉末、炭化硼素(B 4 C)粉末、及び、炭素(C)粉末を、それぞれ、所定量(重量%)添加し、
    分散媒としてアセトンまたは精製水を用いて、炭化珪素を内貼りしたボールミルで混練して混合粉末を得て、
    上記混合粉末を加圧成形して成形体を作製し、
    上記成形体を、最高温度1950〜2200℃で、真空中または不活性ガス流通中で無加圧焼結した後、Arガス雰囲気中にて熱間静水圧プレス焼結することを特徴とする粒子分散炭化珪素質焼結体の製造方法。
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