JP2019156684A - 複合セラミックス部材及びその製造方法 - Google Patents

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圭人 関根
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英紀 北
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誠司 山下
光宏 窪田
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光宏 窪田
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Abstract

【課題】高硬度である等の炭化ケイ素本来の機械的特性が維持されているとともに、潤滑性及び耐久性に優れた、摺動部材等として有用な複合セラミックス部材を提供する。【解決手段】グレインサイズ5〜20μmの多数の粒子を含む、ビッカース硬度2,000以上、相対密度95%以上の複合セラミックスで形成されており、複合セラミックスが、炭化ケイ素20〜50質量%と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかと、を含有し、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を備える複合セラミックス部材である。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材等として有用な複合セラミックス部材、及びその製造方法に関する。
セラミックスは金属材料よりも軽量で硬い材料であることから、構造用部材として工業製品に幅広く採用されている。構造用部材に用いられる代表的なセラミックスの一つである炭化ケイ素は、機械的特性に優れているとともに、セラミックスのなかでも硬度が高いため、摺動部材を構成する代表的な材料として古くから採用されている。
摺動部材の多くは、潤滑性に優れた硬い部材と、柔らかい部材とを組み合わせて構成されており、代表的な組み合わせとして、炭化ケイ素とカーボンとの組み合わせが知られている。しかし、使用環境下における異物の介在等によりカーボンが著しく損傷されることがあり、摺動部材に要求される機能が十分に発揮されない場合がある。このため、硬い部材どうしを組み合わせて摺動部材を構成することもあり、高硬度であっても潤滑性及び耐久性に優れた材料の開発が期待されている。
例えば、ポリスチレンビーズを添加した材料を成形及び焼成して得られる、その内部にポリスチレンビーズに由来する気孔が形成されたメカニカルシール用の炭化ケイ素焼結体、及びそれを用いた耐摩耗性等が改良されたメカニカルシールが提案されている(特許文献1参照)。また、微細な気孔を有する多孔質な組織がその内部に分散配置された炭化ケイ素焼結材、及びそれを用いた潤滑性が改良されたメカニカルシールが提案されている(特許文献2参照)。
一方、省エネルギー対策のために、摺動部材における機械的損失(例;ポンプ等に使用されている摺動部材における、モーター運転時の高トルク化によるエネルギーの損失)を低減させる必要がある。このため、摺動面に微視的な凹部(くぼみ)を形成すること、いわゆるテクスチャリングによる低摩耗化が検討されている。例えば、開口径30〜100μm、深さ50〜1,000nmの複数のディンプルがエッチング又はレーザー加工により形成された摺動面を有する炭化ケイ素からなる摺動部品が提案されている(特許文献3及び4参照)。
特公平5−69066号公報 特開2002−274953号公報 特開2017−166701号公報 特開2017−207209号公報
しかしながら、特許文献1及び2で提案されたメカニカルシールは内在する気孔が欠陥となるため、高硬度等の炭化ケイ素の優れた機械的特性が損なわれやすい。さらに、内在する気孔の形状や分布状態によっては、摺動部材としての信頼性が損なわれる可能性もある。
また、特許文献3及び4で提案された摺動部品は、過酷な条件下で使用した場合にディンプルが摩耗して消失しやすく、長期にわたって潤滑性を維持することが困難であるといった課題があった。また、エッチング又はレーザー加工によりディンプルを形成する必要があるため、経済性の面でもさらなる改良の余地があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、高硬度である等の炭化ケイ素本来の機械的特性が維持されているとともに、潤滑性及び耐久性に優れた、摺動部材等として有用な複合セラミックス部材を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の複合セラミックス部材の簡便な製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示す複合セラミックス部材が提供される。
[1]グレインサイズ5〜20μmの多数の粒子を含む、ビッカース硬度2,000以上、相対密度95%以上の複合セラミックスで形成されており、前記複合セラミックスが、炭化ケイ素20〜50質量%と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかと、を含有し、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を備える複合セラミックス部材。
[2]前記炭化物が、炭化チタン、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、及び炭化ホウ素の少なくともいずれかであり、前記ホウ化物が、ホウ化チタン、ホウ化タンタル、及びホウ化ニオブの少なくともいずれかである前記[1]に記載の複合セラミックス部材。
[3]前記加工面を摺動面とする摺動部材である前記[1]又は[2]に記載の複合セラミックス部材。
また、本発明によれば、以下に示す複合セラミックス部材の製造方法が提供される。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合セラミックス部材の製造方法であって、メジアン径(D50)0.2〜2.0μmの炭化ケイ素粉末と、ビッカース硬度2,000以上の、メジアン径(D50)0.5〜10.0μmの炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかの粉末と、を含有する、前記炭化ケイ素粉末の含有量が20〜50質量%の原料粉末を調製する工程と、前記原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼成体を得る工程と、前記焼成体の少なくとも一部を鏡面加工して、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を形成する工程と、を有する複合セラミックス部材の製造方法。
本発明によれば、高硬度である等の炭化ケイ素本来の機械的特性が維持されているとともに、潤滑性及び耐久性に優れた、摺動部材等として有用な複合セラミックス部材を提供することができる。また、本発明によれば、上記の複合セラミックス部材の簡易な製造方法を提供することができる。
実施例1−4の複合セラミックス部材の加工面の電子顕微鏡写真である。 比較例1−4の複合セラミックス部材の加工面の電子顕微鏡写真である。
<複合セラミックス部材>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の複合セラミックス部材は、グレインサイズ5〜20μmの多数の粒子を含む、ビッカース硬度2,000以上、相対密度95%以上の複合セラミックスで形成されている。この複合セラミックスは、炭化ケイ素20〜50質量%と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかと、を含有する。そして、本発明の複合セラミックス部材は、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を備える。以下、本発明の複合セラミックス部材の詳細について説明する。
これまで、炭化ケイ素よりも優れた特性を有する摺動部材用の高硬度セラミックスを製造することは困難であるとされていた。これに対し、本発明者らは、炭化ケイ素よりも優れた潤滑性(摺動性)及び耐久性を有する複合セラミックスからなる部材を、経済性を考慮しつつ簡易に製造する方法を開発すべく鋭意検討した。具体的には、炭化ケイ素と複合化させる添加物の種類や、炭化ケイ素と複合化した状態における添加物の挙動について詳細に検討した。その結果、炭化ケイ素と複合化することで摺動性及び耐久性に優れた複合セラミックスとなりうる添加物として、ビッカース硬度2,000以上の炭化物やホウ化物が有用であることを見出した。
さらに検討した結果、炭化ケイ素本来の機械的特性が維持されているとともに、摺動性及び耐久性に優れた部材とするための重要な要件を見出した。一つ目の重要な要件は、炭化ケイ素20〜50質量%と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかと、を含有する複合セラミックスとすることである。二つ目の重要な要件は、上記の複合セラミックスが、グレインサイズ5〜20μmの多数の粒子(セラミックス粒子)を含み、ビッカース硬度2,000以上、相対密度95%以上のものであることである。そして、三つ目の重要な要件は、中心線平均粗さRa20nm以下の、いわゆる鏡面となるように上記の複合セラミックスの少なくとも一部を加工(鏡面加工)した場合に、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する加工面が形成されることである。
上記の要件をいずれも満たすことで、炭化ケイ素で形成された従来の摺動部材と比較して、例えば、摩擦係数が0.1〜0.2(25〜50%)程度低下したとともに、安定的に使用可能な期間が30〜50%程度延びた、摺動部材として好適な複合セラミックス部材とすることができる。
(複合セラミックス)
本発明の複合セラミックス部材を構成する複合セラミックスは、グレインサイズ5〜20μm、好ましくは6〜18μm、さらに好ましくは8〜15μmの多数の粒子(セラミックス粒子)によって実質的に形成されている。グレインサイズが上記範囲内であるセラミックス粒子により形成することで、所望とするサイズのクレーターを有する加工面を形成することができる。
本明細書における「グレインサイズ」(数平均粒子径)は、試料となる複合セラミックスの表面を走査型電子顕微鏡で観察及び撮影して得た写真を使用し、JIS R1670:2006に準拠して測定される値である。
複合セラミックスのビッカース硬度(Hv)は2,000以上、好ましくは2,100以上、さらに好ましくは2,200以上である。ビッカース硬度が2,000以上の複合セラミックスを用いることで、摺動部材として好適な耐久性に優れた部材とすることができる。
本明細書における「ビッカース硬度」は、JIS R1610:2003に準拠して測定される値であり、市販のビッカース硬度計を使用し、室温下、荷重3〜10kgf、保持時間10秒の条件にて測定される値である。なお、ビッカース硬度は、例えば「102(無単位)≒1GPa」と換算することができる。
複合セラミックスの相対密度は95%以上、好ましくは96%以上である。複合セラミックスの相対密度が95%未満であると、複合セラミックス中に気孔(いわゆる欠陥)が多く存在することになるため、摺動部材としての耐久性が低下する。なお、複合セラミックスの相対密度は、例えば、焼成温度や焼成時間を調整することによって制御することができる。
複合セラミックスは、炭化ケイ素を20〜50質量%、好ましくは25〜45質量%含有する。炭化ケイ素の含有量を上記範囲内とすることで、所望とするサイズのクレーターを有する加工面を形成することができる。
複合セラミックスは、ビッカース硬度2,000以上、好ましくは2,100以上の炭化物(但し、炭化ケイ素を除く)及びホウ化物の少なくともいずれかを含有する。これらの炭化物やホウ化物と、炭化ケイ素とを複合化することで、いわゆる鏡面加工によって所望とするサイズのクレーターを有する加工面を形成することができる。また、用いる炭化物やホウ化物を適宜選択することで、形成される加工面の摺動特性を制御することも可能である。
ビッカース硬度2,000以上の炭化物としては、炭化チタン、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、及び炭化ホウ素などを挙げることができる。これらの炭化物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ビッカース硬度2,000以上のホウ化物としては、ホウ化チタン、ホウ化タンタル、及びホウ化ニオブなどを挙げることができる。これらのホウ化物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(加工面)
複合セラミックス部材は、摺動面として好適な加工面を備える。加工面の中心線平均粗さRaは20nm以下、好ましくは18nm以下である。中心線平均粗さRaを20nm以下とすることで、摺動面として機能しうる摺動性(潤滑性)に優れた加工面とすることができる。本明細書における「中心線平均粗さRa」は、JIS B0601:2013で規定される「算術平均粗さ」を意味する。
加工面は、多数のクレーターを有する。クレーターの開口径は20μm以下、好ましくは18μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。また、クレーターの深さは10nm〜20μm、好ましくは12nm〜10μm、さらに好ましくは15nm〜1μmである。クレーターの開口径及び深さをそれぞれ上記の範囲内とすることで、摺動面として機能しうる摺動性(潤滑性)に優れた加工面とすることができる。
本発明の複合セラミックス部材は、特定のサイズに制御された多数のクレーターを有する中心線平均粗さRa20nm以下の、摺動面として好適な加工面を備えるため、この加工面を摺動面とする摺動部材として好適である。さらに、本発明の複合セラミックス部材は、従来の摺動部材に比して高硬度であるとともに、摩耗係数が低く、状態変化が小さい耐久性に優れた加工面を有するため、過酷な条件下等のより広範な摺動条件下での利用拡大が期待される。
<複合セラミックス部材の製造方法>
次に、本発明の複合セラミックス部材の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも記す)について説明する。本発明の製造方法は、上述の複合セラミックス部材の製造方法であり、炭化ケイ素粉末と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかの粉末と、を含有する、炭化ケイ素粉末の含有量が20〜50質量%の原料粉末を調製する工程(工程(1))と、原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼成体を得る工程(工程(2))と、焼成体の少なくとも一部を鏡面加工して、所定のクレーターを有する加工面を形成する工程(工程(3))と、を有する。以下、その詳細について説明する。
(工程(1))
工程(1)では、炭化ケイ素粉末と、炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかの粉末とを混合して原料粉末を調製する。炭化ケイ素粉末のメジアン径(D50)は0.2〜2.0μm、好ましくは0.5〜1.8μmである。また、炭化物やホウ化物の粉末のメジアン径(D50)は0.5〜10.0μmであり、好ましくは0.7〜8.0μmである。メジアン径(D50)が上記範囲内にある炭化ケイ素粉末、及び炭化物やホウ化物の粉末を用いることで、所望とするグレインサイズのセラミックス粒子を含むとともに、クレーターの開口径等が所望とする範囲に制御された加工面を有する複合セラミックス部材を得ることができる。なお、本明細書における「メジアン径(D50)」は、レーザー回折・散乱法により測定した体積累積粒度分布曲線における累積50%粒子径を意味する。
原料粉末中の炭化ケイ素粉末の含有量は20〜50質量%であり、好ましくは25〜45質量%である。原料粉末中の炭化ケイ素粉末の含有量を上記範囲内とすることで、クレーターの開口径等が所望とする範囲に制御された加工面を有する複合セラミックス部材を得ることができる。
(工程(2))
工程(2)では、まず、上記の工程(1)で調製した原料粉末を成形して成形体を得る。原料粉末を用いて成形体を成形する方法は特に限定されず、セラミックスの粉末を用いる一般的な成形方法を採用することができる。次いで、得られた成形体を、好ましくは常圧条件下で焼成することで、焼成体である複合セラミックスを得ることができる。
炭化ホウ素の一般的な焼成温度より100〜200℃程度低い温度で成形体を焼成した場合であっても、焼成体を得ることができる。このため、経済性を考慮すると、2,200℃以下で焼成することが好ましく、2,100℃以下で焼成することがさらに好ましい。焼成温度を低くすることで、省エネルギー等の効果とともに、強度等の機械的性質の向上がさらに期待される。
(工程(3))
工程(3)では、上記の工程(2)で得た焼成体の少なくとも一部を鏡面加工して、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を形成する。鏡面加工の具体的な手法については特に限定されず、例えば、適度な粒径のダイヤモンド砥粒を用いて研摩する等の高硬度のセラミックスを鏡面加工するための手法を適用することができる。
焼成体の少なくとも一部を鏡面加工すると、複合セラミックスを構成するセラミックス粒子のうち、主として炭化ケイ素の粒子が脱落しやすい。これにより、所望とするサイズのクレーターを有する摺動面として機能しうる加工面が形成された複合セラミックス部材を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価・測定方法>
(セラミックス粉末(原料粉末)のメジアン径(D50))
セラミックス粉末、水、及び適当な分散剤を混合し、セラミックス粉末を水に均一に分散させたスラリーを調製した。調製したスラリーを試料とし、レーザー回折・散乱式の粒子径分布測定装置(商品名「LA−960」、堀場製作所社製)を使用して体積累積粒度分布曲線を測定して、累積50%粒子径を「メジアン径(D50)」とした。
(セラミックス粒子のグレインサイズ)
試料(複合セラミックス)の表面を走査型電子顕微鏡で観察及び撮影して得た写真を使用し、JIS R1670:2006に準拠したインターセプト法により、セラミックス粒子のグレインサイズ(数平均粒子径)を測定及び算出した。
(ビッカース硬度(Hv))
JIS R1610:2003に準拠した測定方法により、セラミックスのビッカース硬度を測定した。具体的には、市販のビッカース硬さ試験機(ミツトヨ社製)を使用し、室温下、荷重3〜10kgf、保持時間10秒の条件にてビッカース硬度を測定した。
(摩擦係数、比摩耗量)
炭化ケイ素製のボールと、試料(ディスク)を使用し、JIS R1613:2010に準拠した方法により試料の摩擦係数及び比摩耗量を測定した。
(クレーターの開口径及び深さ)
原子間力顕微鏡を使用して加工面を観察し、JIS R1683:2014に準拠した方法によりクレーターの開口径及び深さを測定した。
<複合セラミックス部材の製造>
(製造例1)
炭化ケイ素の粉末(D50:0.2〜3.0μm、純度:99質量%、屋久島電工社製又は昭和電工社製)、及び炭化ホウ素の粉末(D50:0.3〜11.0μm、純度:99.5質量%(酸素含有量1.2%、窒素含有量0.2質量%を除く)、ビッカース硬度:3,000、H.S.Starck社製)を用意した。これらの粉末を、炭化ケイ素の含有量が20〜80質量%となるようにそれぞれ秤量し、エタノール中で混合した後、乾燥して原料粉末を得た。得られた原料粉末を直径50mmの金型にそれぞれ充填し、圧力98MPaを負荷して成形体を作製した。作製した成形体をそれぞれ容器に入れ、常圧条件下、2,100℃で焼成して複合セラミックスを得た。得られた複合セラミックスのビッカース硬度(Hv)及び相対密度を表1に示す。また、得られた複合セラミックスを構成するセラミックス粒子のグレインサイズを表1に示す。
得られた複合セラミックスの表面を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を用いてそれぞれ鏡面加工し、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を有する複合セラミックス部材(実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−5)を得た。得られた複合セラミックス部材の加工面には、いずれも多数のクレーターが形成されていた。得られた複合セラミックス部材の加工面に形成されたクレーター(但し、内在する欠陥を除く)の最大開口径及び最大深さを表1に示す。また、得られた複合セラミックス部材の加工面の摩擦係数の測定結果を表1に示す。さらに、実施例1−4の複合セラミックス部材の加工面の電子顕微鏡写真、及び比較例1−4の複合セラミックス部材の加工面の電子顕微鏡写真を図1及び2に示す。図1及び2中、白みを帯びた箇所は炭化ケイ素に由来するクレーターであり、灰色の箇所は炭化ホウ素に由来する部分である。
(製造例2)
以下に示す炭化物及びホウ化物のそれぞれの粉末を用意するとともに、エタノール中で粉砕して粒径を調整し、メジアン径(D50)1.0μmの各粉末を得た。
[炭化物]
・炭化チタン(ビッカース硬度:3,000、日本新金属社製)
・炭化バナジウム(ビッカース硬度:2,400、日本新金属社製)
・炭化ジルコニウム(ビッカース硬度:2,800、日本新金属社製)
・炭化ホウ素(ビッカース硬度:3,000、H.S.Starck社製)
[ホウ化物]
・ホウ化チタン(ビッカース硬度:3,100、日本新金属社製)
・ホウ化タンタル(ビッカース硬度:2,300、日本新金属社製)
・ホウ化ニオブ(ビッカース硬度:2,400、日本新金属社製)
上述の製造例1で用いた炭化ケイ素の粉末(D50:1.0μm)と、粒径を調整した炭化物及びホウ化物のそれぞれの粉末とを、表2−1に示す含有量となるようにそれぞれ秤量して用いたこと以外は、前述の製造例1と同様にして、複合セラミックス及び複合セラミックス部材(実施例2−1〜2−9、比較例2−1〜2−3)を製造した。なお、比較例2−1については、焼結助剤としての炭化ホウ素を3質量%含む炭化ケイ素の粉末を用いて複合セラミックス及び複合セラミックス部材を製造した。得られた複合セラミックスのビッカース硬度(Hv)及び相対密度を表2−2に示す。また、得られた複合セラミックスを構成するセラミックス粒子のグレインサイズを表2−2に示す。さらに、得られた複合セラミックス部材の加工面に形成されたクレーター(但し、内在する欠陥を除く)の最大開口径及び最大深さを表2−2に示す。また、得られた複合セラミックス部材の加工面の摩擦係数及び比摩耗量(100時間後)の測定結果を表2−2に示す。
(製造例3)
上述の製造例1で用いた炭化ケイ素の粉末(D50:1.0μm)及び炭化ホウ素の粉末(D50:0.8μm)を用意した。これらの粉末を炭化ケイ素の含有量が50質量%となるようにそれぞれ秤量して用いたことしたこと以外は、前述の製造例1と同様にして複合セラミックスを製造した。得られた複合セラミックスのビッカース硬度(Hv)及び相対密度を表3に示す。また、得られた複合セラミックスを構成するセラミックス粒子のグレインサイズを表3に示す。
得られた複合セラミックスの表面を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を用いて、それぞれ1時間及び4時間鏡面加工し、加工面を有する複合セラミックス部材(実施例3−1(1時間)及び実施例3−2(4時間))を得た。また、複合セラミックスの表面を粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を用いて1時間鏡面加工し、加工面を有する複合セラミックス部材(実施例3−3)を得た。さらに、複合セラミックスの表面を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を用いて10分間鏡面加工し、加工面を有する複合セラミックス部材(比較例3−1)を得た。得られた複合セラミックス部材の加工面には、いずれも多数のクレーターが形成されていた。得られた複合セラミックス部材の加工面に形成されたクレーター(但し、内在する欠陥を除く)の最大開口径及び最大深さを表3に示す。また、得られた複合セラミックス部材の加工面の摩擦係数の測定結果を表3に示す。
(製造例4)
上述の製造例1で用いた炭化ケイ素の粉末(D50:1.0μm)及び炭化チタンの粉末(D50:0.8μm)を用意した。これらの粉末を炭化ケイ素の含有量が50質量%となるようにそれぞれ秤量して用いたこと、及び焼成温度と時間を適宜変更したこと以外は、前述の製造例1と同様にして複合セラミックスを製造した。得られた複合セラミックスのビッカース硬度(Hv)及び相対密度を表4に示す。また、得られた複合セラミックスを構成するセラミックス粒子のグレインサイズを表4に示す。
微量のアルカリ水溶液を添加しながら得られた複合セラミックスの表面を鏡面加工してクレーターの深さを適宜制御したこと以外は、前述の製造例1と同様にして、複合セラミックス部材(実施例4−1〜4−3、比較例4−1及び4−2)を製造した。得られた複合セラミックス部材の加工面に形成されたクレーター(但し、内在する欠陥を除く)の最大開口径及び最大深さを表4に示す。また、得られた複合セラミックス部材の加工面の摩擦係数を表4に示す。
本発明の複合セラミックス部材は、優れた潤滑性及び耐久性が要求される摺動部材、例えば、高速可動する機械部材、化学的な反応が起こりうる環境下で使用されるスライドガイド等の構造用摺動部材、バルブ、メカニカルシール、軸受、及びその他の機械部品として好適である。

Claims (4)

  1. グレインサイズ5〜20μmの多数の粒子を含む、ビッカース硬度2,000以上、相対密度95%以上の複合セラミックスで形成されており、
    前記複合セラミックスが、炭化ケイ素20〜50質量%と、ビッカース硬度2,000以上の炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかと、を含有し、
    開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を備える複合セラミックス部材。
  2. 前記炭化物が、炭化チタン、炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、及び炭化ホウ素の少なくともいずれかであり、
    前記ホウ化物が、ホウ化チタン、ホウ化タンタル、及びホウ化ニオブの少なくともいずれかである請求項1に記載の複合セラミックス部材。
  3. 前記加工面を摺動面とする摺動部材である請求項1又は2に記載の複合セラミックス部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合セラミックス部材の製造方法であって、
    メジアン径(D50)0.2〜2.0μmの炭化ケイ素粉末と、ビッカース硬度2,000以上の、メジアン径(D50)0.5〜10.0μmの炭化物及びホウ化物の少なくともいずれかの粉末と、を含有する、前記炭化ケイ素粉末の含有量が20〜50質量%の原料粉末を調製する工程と、
    前記原料粉末を成形して得た成形体を焼成して焼成体を得る工程と、
    前記焼成体の少なくとも一部を鏡面加工して、開口径20μm以下、深さ10nm〜20μmの多数のクレーターを有する、中心線平均粗さRa20nm以下の加工面を形成する工程と、
    を有する複合セラミックス部材の製造方法。
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