JP2002210873A - 食品包装用フィルム - Google Patents

食品包装用フィルム

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JP2002210873A
JP2002210873A JP2001007263A JP2001007263A JP2002210873A JP 2002210873 A JP2002210873 A JP 2002210873A JP 2001007263 A JP2001007263 A JP 2001007263A JP 2001007263 A JP2001007263 A JP 2001007263A JP 2002210873 A JP2002210873 A JP 2002210873A
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polypropylene
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JP2001007263A
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English (en)
Inventor
Michiko Magai
美智子 真貝
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、カット性、耐冷凍性、密着性、引張
強度、フィルム剥離製等の種々の特性に優れており、特
に家庭用ラップフィルムとして好適である食品包装用フ
ィルムの提供を目的とする。 【解決手段】 ポリエチレン系樹脂100重量部に対し
て、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー15〜20
0重量部を混合してなる樹脂組成物を芯層とし、この芯
層の両側に被覆層としてポリプロピレン系樹脂100重
量部に対して、非晶性ポリプロピレン樹脂を0.5〜2
0重量部混合してなる層を積層した3層とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、カット
性、耐冷凍性、密着性(包装する容器等に対する密着
性)、引張強度、フィルム剥離性(家庭用ラップフィル
ムの収納箱からの引き出し易さを表す)等に優れた食品
包装用フィルムに関し、特には、家庭用食品包装用ラッ
プフィルム(以下、家庭用ラップフィルムという)とし
て使用するのに適した食品包装用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生鮮食品等の包装に利用される家
庭用ラップフィルムとしては、4−メチル−1−ペンテ
ン樹脂(TPX)と液状飽和炭化水素からなるものが開
示されている(特開平7−165940号公報参照)。
また、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン
(PVDC)、ポリエチレン(PE)、等からなる単層
フィルムや、ポリプロピレン(PP)/ナイロン(N
Y)/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン
/ポリエチレン等の3層フィルムの家庭用ラップフィル
ムが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリ塩
化ビニル単層フィルムやポリ塩化ビニリデン単層フィル
ムは柔軟温度が−10〜5℃、脆化温度が−35〜−2
0℃であり、ポリオレフィン系樹脂よりも耐寒強度が劣
るという欠点があった。また、ポリエチレン単層フィル
ムは融点が100〜120℃と低いため、該フィルムで
包んだ油性の強い食品を電子レンジ等で長時間加熱する
と、該フィルムに付着した油分によって小孔が空いた
り、該フィルム同士が融着して食器から剥がしづらく、
また、カット性には優れているが、その反面フィルムと
しての引張強度が低いため、包装時に破れる等の問題点
があった。4−メチル−1−ペンテン樹脂単層フィルム
やポリプロピレン/ナイロン/ポリプロピレン3層フィ
ルム等は、材料が高融点樹脂であるため、上記問題点は
解決されているが、密着性が弱く、その改善のために、
液状ポリブテン、パラフィン系オイル等を粘着付与剤と
して添加している。しかしながら、それにより、経時的
にブロッキング現象を起こすようになり、収納箱からフ
ィルムを引き出しづらくなるため使い勝手が悪く、使用
者に不都合を与えてしまう。また、樹脂材料自体が高価
であるため、製造時コストがかかる等の問題点があっ
た。ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層
フィルムは、被覆層に低融点のポリエチレンを使用して
いるため、電子レンジによる加熱時、フィルム同士が融
着して、ポリエチレン単層フィルムと同様の現象が発生
する。また、耐熱性や引張強度を向上させるため、芯層
のポリプロピレン層が厚くなり、カット性が著しく低下
するという問題もあった。そこで、本発明は、従来の家
庭用ラップフィルムが有する上記問題点を解決し、耐熱
性、カット性、耐冷凍性、密着性、引張強度、フィルム
剥離性等に優れた食品包装用フィルムの提供を目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、まず、食品包装用フィルムをその収納箱
のカット刃で、容易にカットするための樹脂として、ポ
リエチレン系樹脂に着目した。すなわち、ポリエチレン
系樹脂をフィルムの芯層として使用することでカット性
を付与し、さらに、ポリエチレン系樹脂よりも融点が高
く、電子レンジ加熱における上記問題点を解決できる樹
脂からなる被覆層を設けることで、カット性と耐熱性共
に優れたフィルムが得られることを見出した。さらに、
上記したフィルムの芯層がポリエチレン系樹脂単独で
は、食品包装用フィルムとして充分な引張強度と引裂強
度が得られず、使用する際にフィルムが破れたり、穴が
空いたりする不具合が生じるが、これに、ポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーであるポリプロピレンとエチ
レン−ブチレンゴム(以下、EBRという)またはエチ
レン−プロピレンゴム(以下、EPRという)との共重
合ポリマーアロイを使用すると、食品包装に必要な引張
強度および引裂強度を得ることができることを見出し
た。また、上記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
は、ポリプロピレンを含有するため、芯層がポリエチレ
ン系樹脂単独からなる場合に比べ、耐熱温度を高くする
ことができる。一方、被覆層にはポリエチレン系樹脂よ
りも融点の高い樹脂を選択するが、フィルムの強度、耐
熱性、コスト、成形性の面において、融点が130℃以
上のポリプロピレン系樹脂が適切である。ポリプロピレ
ン系樹脂単独フィルムでは、家庭用ラップフィルムとし
て良好なカット性が得られないが、先述したポリエチレ
ン系樹脂の特性を考慮し、芯層をポリエチレン系樹脂、
被覆層をポリプロピレン系樹脂と非晶性ポリプロピレン
樹脂を混合してなる層とし、これらを積層することによ
り、家庭用ラップフィルムとして、良好なカット性を維
持したまま、耐熱性を付与できることを見出した。本発
明の食品包装用フィルムは、ポリエチレン系樹脂100
重量部に対して、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー15〜200重量部を混合してなる樹脂組成物を芯層
とし、この芯層の両側に被覆層としてポリプロピレン系
樹脂100重量部に対して、非晶性ポリプロピレン樹脂
を0.5〜20重量部混合してなる層を積層した3層か
らなることを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の食品包装用フィル
ムについて詳細に説明する。本発明の食品包装用フィル
ムは、ポリエチレン系樹脂にポリオレフィン系熱可塑性
エラストマーを混合してなる樹脂組成物からなる芯層の
両面に、ポリプロピレン系樹脂と非晶性ポリプロピレン
樹脂からなる被覆層を積層した3層構造を有するもので
あり、このような構成を採用したことにより、食品包装
用フィルムとして、特に家庭用ラップフィルムとして好
適な耐熱性、カット性、耐冷凍性、引張強度、密着性お
よびフィルム剥離性等が付与される。芯層を構成するポ
リエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密
度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げ
られ、これらの中では透明性の点で、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、その中
でもフィルムの耐熱性の点で、低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレンがより好ましく、カット性の点
で、低密度ポリエチレンがさらに好ましい。本発明で使
用するのに好適な低密度ポリエチレンは、MFR(メル
トフローレート、ASTM−D1238に準拠)が好ま
しくは0.1〜15g/10分(温度190℃、荷重
2.16kg)、密度0.900〜0.930g/cm
3であり、高圧法(1.013×106〜4.053×1
6hPa)、ラジカル重合にて製造される。
【0006】また、上記ポリエチレン系樹脂を混合して
使用することもできる。その場合、低密度ポリエチレン
と直鎖状低密度ポリエチレンの混合物が好ましい。直鎖
状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数4〜12の
α−オレフィンとの共重合体であり、MFRが0.1〜
15g/10min(温度190℃、荷重2.16k
g)、密度0.860〜0.930g/cm3である。
この直鎖状低密度ポリエチレンはチーグラーナッタ系触
媒もしくはシングルサイト系触媒を使用して製造され、
特にはα−オレフィンの分布がより均一になるシングル
サイト系触媒を使用して製造されたものが好ましい。直
鎖状低密度ポリエチレンは、低密度ポリエチレン100
重量部に対して50重量部以下が好ましい。50重量部
を超えるとフィルムのカット性の低下につながる。本発
明では、低密度ポリエチレンを芯層とし、被覆層をポリ
プロピレン系樹脂とすることで、フィルムのカット性、
耐熱性の良好な食品包装用フィルムが得られ、さらに、
ポリプロピレン系樹脂の問題点である耐冷凍性の不足を
補うことができる。
【0007】芯層を構成するポリエチレン系樹脂に混合
するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリプ
ロピレンとEBRまたはEPRとの共重合ポリマーアロ
イであり、MFRが0.1〜15g/10分(温度23
0℃、荷重2.16kg)である。この共重合ポリマー
アロイは、プロピレンがEBRまたはEPRと重合段階
で直接共重合することによりポリマーアロイとなったも
のであり、1μm未満の大きさのEBRまたはEPR成
分がポリプロピレン中に微分散した海島型のミクロ相分
離型ポリマーアロイである。この共重合ポリマーアロイ
は、分子中に樹脂成分としてのポリプロピレンとゴム成
分としてのEBRまたはEPRが共存しているため、以
下の優れた特性を有している。その第一は、ポリプロピ
レン成分が有する耐熱性と、EBRまたはEPR成分が
有する耐冷凍性を同時に備えているため、食品包装用フ
ィルムの使用可能な温度範囲が、ポリエチレンまたはポ
リプロピレン系樹脂の単独使用に比べて広くなる。すな
わち、食品包装用フィルムの融点は、ポリプロピレン系
樹脂成分に依存するため140℃以上あり、芯層をポリ
エチレン系樹脂単独で構成した場合は低下してしまう耐
熱温度を向上させることができる。一方、ガラス転移温
度はEBRまたはEPR成分に依存するため−30℃以
下であり、優れた耐冷凍性を示し、被覆層のポリプロピ
レン系樹脂による耐冷温度の低下を防ぐことができる。
第二には、EBRまたはEPR成分を有するため、ポリ
エチレン系樹脂単独では得られないフィルムの引張強
度、伸び、引裂強度を得ることができる。また、上記共
重合ポリマーアロイは、ポリプロピレンとポリエチレン
の両成分を含むので芯層と被覆層の層間剥離が軽減さ
れ、十分な引張強度を得ることができる。
【0008】芯層を構成する樹脂組成物において、前記
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリエチレ
ン系樹脂100重量部に対して、15〜200重量部の
混合割合であり、好ましくは25〜200重量部、より
好ましくは25〜150重量部の範囲内である。この混
合割合が15重量部未満では、目的とする引張強度、伸
び、および耐熱性が得られず、逆に200重量部を超え
ると、カット性の低下につながり、家庭用ラップフィル
ムとしての機能を阻害する。また、ポリオレフィン系熱
可塑性エラストマー中におけるEBRまたはEPRの含
有量は、50〜80重量%(以下、wt%と表記する)
の範囲が好ましい。この範囲であると、EBRまたはE
PRのゴム成分の効果によって、食品包装用フィルムと
しての引張強度がより向上する。
【0009】芯層を形成する樹脂組成物には、モノグリ
セリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンア
ルキルエーテル等の界面活性剤を必要に応じて添加する
ことができる。これらの具体例としては、モノグリセリ
ンラウレート、モノグリセリンオレート、ポリグリセリ
ンラウレート、ポリグリセリンオレート、ソルビタンラ
ウレート、ソルビタンオレート、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル等が挙げられる。また、成形加工時にお
ける熱酸化劣化を防止するために、ラジカル捕捉剤とし
て機能するフェノール系酸化防止剤や、過酸化物分解剤
として機能するリン系酸化防止剤を添加することもでき
る。
【0010】本発明の食品包装用フィルムでは、被覆層
にはポリプロピレン系樹脂と非晶性ポリプロピレン樹脂
を使用し、これによって食品包装用フィルムに耐熱性を
付与している。被覆層に使用するポリプロピレン系樹脂
としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレ
ンおよび/またはブテンとの2元ランダム共重合体、プ
ロピレンとエチレンおよびブテンとの3元共重合体が挙
げられ、これらの樹脂を混合して使用してもよい。ポリ
プロピレン系樹脂のエチレンおよびブテンの含有量は2
〜30wt%の範囲が好ましい。この範囲であると、食
品包装用フィルムとしての剛性、風合い、包装物への密
着性、カット性が向上し、さらに包装時にフィルム同士
のまつわりつきを抑える。
【0011】被覆層に使用する非晶性ポリプロピレン樹
脂としては、プロピレンおよび/または1−ブテン成分
の含有率が50wt%以上であるものがよく、非晶性ポ
リプロピレンやポリプロピレンと他のα−オレフィンと
の共重合体を用いることができる。例えば、プロピレン
・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチ
レン3元共重合体、プロピレン・1−ヘキセン・1−オ
クテン3元共重合体、プロピレン・1−ヘキセン・4−
メチル−1−ペンテン3元共重合体が挙げられる。市販
品としては、レキセン(Rexene)社のレクスタッ
ク(REXTAC、商品名)や宇部興産社のウベタック
(商品名)等が挙げられる。被覆層に、非晶性ポリプロ
ピレン樹脂を混合することにより、前記フィルム表面に
非晶性ポリプロピレン中の低分子量成分がブリードアウ
トし、該フィルムの密着性をさらに向上させることがで
きる。非晶性ポリプロピレン樹脂は被覆層のポリプロピ
レン系樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部、
好ましくは1.5〜15重量部、さらに好ましくは1.
5〜12重量部混合される。この範囲であると、フィル
ムの剥離性、耐熱性を低下させることなく、密着性を向
上させることができる。20重量部より多く混合する
と、低分子量成分によるブリードアウトが過剰になり、
フィルムの密着性が強くなり、収納箱から引き出し難く
なるとともに、食品包装用途における溶出基準に合格せ
ず、食品包装用途に適さなくなる場合がある。0..5
重量部未満だと、フィルムの密着性が弱くなる。
【0012】被覆層を形成するポリプロピレン系樹脂
に、防曇性、密着性、フィルム剥離性等を付与するため
に、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオ
キシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤や可塑剤
であるアセチル化モノグリセリン脂肪酸エステルから1
種または2種以上混合したものを添加することができ
る。これらの具体例としては、モノグリセリンラウレー
ト、モノグリセリンオレート、モノグリセリンモノアセ
トモノラウレート、モノグリセリンモノアセトモノオレ
ート、モノグリセリンジアセトモノラウレート、ポリグ
リセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、ソルビ
タンラウレート、ソルビタンオレート、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル等が挙げられる。これらは、フィ
ルム表面にブリードアウトすることにより、防曇性を付
与し、また、フィルムと包装物の密着性をより高める。
同時に、フィルム剥離性を良好にし、化粧箱からフィル
ムを引き出し易くなる。よって、家庭用ラップフィルム
としてさらに使い勝手の向上が図れる。前述の界面活性
剤および/または可塑剤を1種または2種以上混合した
ものは、被覆層のポリプロピレン系樹脂100重量部に
対して、1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部添加
される。この範囲であると、フィルムの成形性を低下さ
せることなく、密着性とフィルムの剥離性の両方を向上
させることができる。
【0013】被覆層には、芯層と同様にフェノール系酸
化防止剤やリン系酸化防止剤を添加することもできる。
また、フィルムに柔軟性を持たせるため、ポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーおよび/またはポリエチレン
系樹脂等を添加することもできる。該ポリオレフィン系
熱可塑性エラストマーとしては、EPRをポリプロピレ
ン系樹脂中に微分散した海島型のミクロ相分離型ポリマ
ーアロイ、または、ポリエチレンとポリプロピレンのブ
レンド品が好適である。ポリプロピレン系樹脂にポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーを添加する場合、ポリ
プロピレン系樹脂100重量部に対して、ポリオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは70重量部以下が好まし
い。また、使用するポリエチレン系樹脂としては、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン等が挙げられ、これらの中で
は、引張強度、引裂強度、および混合状態、フィルムの
外観の点においては、芯層で使用する直鎖状低密度ポリ
エチレンが好ましい。さらに、ポリエチレン系樹脂の添
加量は、耐熱性を低下させないために、ポリプロピレン
系樹脂100重量部に対し、20重量部未満が好まし
い。
【0014】本発明の食品包装用フィルムの厚さは、食
品包装用フィルムとしての物性、カット性、耐熱性の点
で、5〜30μmの範囲が好ましく、特には8〜20μ
mの範囲内がより好ましい。また、芯層の厚さは3〜1
5μmの範囲が好ましく、被覆層の厚さは少なくとも1
μm以上とすることが好ましい。
【0015】本発明の食品包装用フィルムの製造方法
は、特に限定されないが、例えば、上記組成物の各成分
を、押出機に供給して溶融混練した後、T−ダイ、イン
フレーション等により製膜する公知の製膜方法が挙げら
れる。また、表面に、コロナ処理を施してもよい。具体
的に1つの製造方法を挙げると、3台の押出機を使用し
て、芯層とその両側の被覆層を構成する前記各樹脂組成
物を、3層Tダイスからそれぞれ所定の層厚が得られる
ように、180〜240℃で共押し出しし、この溶融樹
脂フィルムを20〜50℃の冷却ロールで冷却しながら
フィルムを成形する。
【0016】
【実施例】次に、本発明の食品包装用フィルムについて
具体的に説明する。 (実施例1〜8、比較例1〜6)下記表1および表2に
示した組成(表1中の混合量は重量部を示す)で、芯層
とその両面の被覆層からなる3層フィルムを多層Tダイ
法により製造した。すなわち、3台の押出機を使用し
て、溶融樹脂を3層Tダイスから芯層と被覆層の厚さが
表1および表2に示した値になるように230℃で共押
し出しし、この溶融樹脂フィルムを巻き取機にて11μ
m、幅300mmで巻き取った。各層で使用した樹脂の
明細は下記の通りである。 [芯層] ・低密度ポリエチレン NUC−8160(日本ユニカー社製、商品名、MFR
2.5g/10分、ガラス転移温度−50℃) ・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー Adflex X−500F(モンテルJPO社製、商品名、
EBR含有量70wt%、MFR9.0g/10分、ガ
ラス転移温度−40℃) ・直鎖状低密度ポリエチレン AFFINITY EG8200(ダウケミカル日本社製、商品
名、エチレン−オクテン共重合体、オクテン含有量22
wt%、MFR5.0/10分、ガラス転移温度−49
℃) [被覆層] ・ポリプロピレン系樹脂 住友ノーブレンW−151(住友化学工業社製、商品
名、プロピレン−エチレン共重合体、MFR7.6g/
10分、ガラス転移温度−24℃) ・非晶性ポリプロピレン樹脂 CAP−355(宇部興産社製、商品名、ガラス転移温
度−21℃) ・界面活性剤および可塑剤 添加剤−1 ポリグリセリンラウレート 添加剤−2 ポリグリセリンラウレート、ソルビタン
ラウレート、アセチル化グリセリドを1:1:1で混合
したもの。 ・直鎖状低密度ポリエチレン AFFINITY EG8200(同前)
【0017】得られたフィルムについて、下記の方法で
各物性を測定、評価し、その結果を表3および表4に示
した。なお、MFRはASTM−D1238に準じて測
定し、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じて
測定した。 [引張特性] ・破断強度;JIS K7113に準じて、引張速度2
00m/minで測定した。 この値は縦方向40N/mm2以上70N/mm2以下、
横方向が15N/mm 2以上40N/mm2以下であれば
実用上好適である。 ・伸び率;JIS K7113に準じて、引張速度20
0m/minで測定した。この値は縦方向が90%以上
300%以下、横方向が550%以上750%以下であ
れば実用上好適である。 ・引裂強度;JIS K6732に準じて、引張速度2
00m/minで測定した。この値は縦方向が140N
/mm2以上200N/mm2以下、横方向が40N/m
2以上80N/mm2以下であれば実用上好適である。 [密着性] ・密着性;厚さが100μm以下のプラスチックシート
を支持体として、サンプルフィルムに接着する。アセト
ンで洗浄した長さ100mm、幅50mmのガラス板
に、上記サンプルフィルムを密着させる。密着面積はフ
ィルム部分が幅35mm、長さ30mmとなるようにす
る。フィルムとガラス板の重なった部分に200g/c
2の荷重を30秒かける。ガラス板部分と支持体部分
をテンシロンのチャックで固定し、20mm/minの
速度で引き剥がす。その時のせん断剥離の大きさを密着
性とした。この値は1.0kgを超えると好適である
が、1.2kg以上あると容器への密着が確実となり安
定的になる。 [カット性] ・カット性;幅300mm、長さ20mの巻物をサンプ
ルとする。サンプルの中央部分に100mm幅で引き出
せるように切れ目を入れた後、家庭用ラップフィルムの
収納箱に入れ、専用の治具にて固定する。フィルムをカ
ット刃に当たらないように50cm引出し、カットする
ための角度が30℃になるようセットする。テンシロン
にてラップフィルムを200mm/minの速度で引張
り、カットされた時の荷重を測定する。この値は5.0
N以上10N以下であれば実用上好適である。 [フィルム剥離性(家庭用ラップフィルムの収納箱から
の引き出し易さ)] ・フィルム剥離性;幅300mm、長さ20mの巻物を
サンプルとする。ラップフィルムの引き出す部分を測定
サンプルと同じ幅の厚紙で固定する。ラップフィルム本
体は引出しに支障が無いように固定する。テンシロンに
て、ラップフィルムを挟んだ厚紙部分をチャックで固定
し、ラップフィルムを500mm/minの速度で引き
出す。500mm引き出すまでの平均荷重を測定する。
この値は10g以上60g以下であれば実用上好適であ
る。10g未満であるとフィルムの密着力が不足し、6
0gを超すと収納箱から引き出しづらくなる。 [耐冷凍性] ・柔軟温度;JIS K6734に準じて測定した。こ
の値は−30℃以上−5℃以下であれば実用上好適であ
る。 ・耐寒落球試験;内径76mm、外径85mmの丸筒に
フィルムを張設、固定した試験片を3個用意し、これら
を−20℃の雰囲気下に24時間放置後、その雰囲気下
で、重さ40gの鉄球(直径約2.3cm)を30cm
の高さからフィルムの中央部に落下させフィルムの破壊
の有無を調べた。3個の試験片全て穴が空かなかった場
合を“〇”、3個のうち1個でも穴が空いた場合を
“×”と評価した。 [耐熱性] ・耐熱温度;東京都試験方法に準じて測定した。この値
は縦方向140℃以上、横方向130℃以上であれば実
用上好適である。 ・電子レンジ耐熱;直径15cmの皿に市販のレトルト
食品ミートボールを150g載せ、ラップフィルム30
cm×20cmにカットしたもので覆う。電子レンジ
(100V、500W)にて2分間加熱後、穴、破れの
有無の確認を行う。2回テストを行い2回とも穴が空か
なかったものを“〇”、1回でも穴が空いたものを
“×”と評価した。 [評価の結果]表3および表4から明らかなように、本
発明に係わる実施例のフィルムは、全てにわたって優れ
た特性を示した。これに対して比較例のフィルムは、い
ずれかの特性において劣っており、本発明のフィルムに
比べて劣っていた。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】本発明の食品包装用フィルムは、耐熱
性、カット性、耐冷凍性、密着性、引張強度、フィルム
剥離性等の種々の特性に優れており、特に家庭用ラップ
フィルムとして好適で、その産業上の利用価値はきわめ
て高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH02B AH02C AH02H AK03A AK04A AK06 AK07B AK07C AK62A AK66A AL05A AL05B AL05C AL09A BA03 BA06 BA10B BA10C BA15 BA16 CA04B CA04C CA18B CA18C EH20 GB15 GB23 JA12B JA12C JJ03 JJ04 JK02 JK06 JL14 YY00A YY00B YY00C 4J002 BB111 BB122 CH023 EH046 FD026 FD316 GG02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン系樹脂100重量部に対し
    て、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー15〜20
    0重量部を混合してなる樹脂組成物を芯層とし、この芯
    層の両側に被覆層としてポリプロピレン系樹脂100重
    量部に対して、非晶性ポリプロピレン樹脂を0.5〜2
    0重量部混合してなる層を積層した3層からなることを
    特徴とする食品包装用フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された芯層の両側に、被
    覆層として、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し
    て、非晶性ポリプロピレン樹脂を0.5〜20重量部、
    モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
    エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシ
    エチレンアルキルエーテル等の界面活性剤や可塑剤であ
    るアセチル化モノグリセリン脂肪酸エステルから1種ま
    たは2種以上の混合物を1〜10重量部混合してなる層
    を積層した3層からなることを特徴とする食品包装用フ
    ィルム。
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