JP2002206603A - 油圧式テンショナ - Google Patents

油圧式テンショナ

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JP2002206603A JP2001002724A JP2001002724A JP2002206603A JP 2002206603 A JP2002206603 A JP 2002206603A JP 2001002724 A JP2001002724 A JP 2001002724A JP 2001002724 A JP2001002724 A JP 2001002724A JP 2002206603 A JP2002206603 A JP 2002206603A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テンショナのボディに形成した円筒状の孔
に、金属製シリンダを嵌入する場合に、孔表面の機械加
工等を不要にすることにより、シリンダの取り付け、テ
ンショナの組み立てが容易にできるようにすると共に、
プランジャをボディから突出するために設けられている
圧縮ばねを利用することにより、シリンダの抜け出しを
防止できるようにすること。 【解決手段】 油圧式テンショナ1は、ボディ2に形成
された円筒状孔3に嵌入されたシリンダ4と、圧縮ばね
7により付勢されたプランジャ5と、プランジャ5内部
とシリンダ4との間で形成された圧力油室8とを備え
る。シリンダ4は、油の流入が可能な透孔4Aを中央に
有する底板4Bを備え、底板4Bが圧縮ばね7により付
勢されることによりボディ2からの抜け出しが防止され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行するチェー
ン、ベルト等に適正張力を付与する油圧式テンショナに
関し、特に、テンショナのボディに形成された円筒状孔
に、嵌入された金属製シリンダを別物品の固定部材など
で固定することなく、プランジャ先端部がボディから突
出するように設けた圧縮ばねを利用して、シリンダの抜
け出しを防止した油圧式テンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】図6には、従来の油圧式テンショナ51
の一例が示されている。この油圧式テンショナ51は、
鉄製あるいはアルミニウム合金製のボディ52に形成さ
れているシリンダ室53内に鉄系のプランジャ54が摺
動自在に嵌挿されている。
【0003】このプランジャ54の内部には、下端部が
開口する中空部55が形成されており、この中空部55
には、プランジャ54を上方へ付勢して、チェーンまた
はベルト等(図示略)に適正張力を与えるための圧縮ば
ね56が収容されている。また、この中空部55とボデ
ィ52のシリンダ室53とで圧力油室57が形成され、
該圧力油室57の底部には、該圧力油室57に油の流入
を許容するが逆流を阻止するチェックバルブ58が設け
られている。
【0004】チェックバルブ58は、圧力油室57の下
方に形成された円筒状孔59に圧入されたボールシート
59と、ボールシート59の通孔60上部に設けられた
チェックボール61と、チェックボール61を通孔60
側に付勢するコイルばねと、コイルばね端部を支持する
リテーナ62とで構成され、チェックボール61が逆止
弁として機能する。
【0005】圧力油室57内は、常時チェックバルブ5
8を介して外部からポンプ等によって、流入口64,通
孔60から供給される油によって満たされている。走行
するチェーン、ベルト等が緩むと圧縮ばね56で常時付
勢されているプランジャ54が突出し、チェックバルブ
58が開放して油が圧力油室57に流入する。また、チ
ェーン、ベルト等からテンショナに作用する衝撃力によ
ってプランジャ54がシリンダ室53内に押し込まれる
と、圧力油室57内の油圧は上昇しチェックバルブ58
が閉じられる。
【0006】このようにチェックバルブ58が閉じる
と、圧力油室57内の油は、プランジャ54の下端から
プランジャ54の外周面とシリンダ室53の内周面との
間のクリアランス(僅かな隙間)を通って上昇して外部
へ排出される。その際、油が前記クリアランスを通過す
る際の流動抵抗によって、衝撃のエネルギーが吸収さ
れ、クッション効果が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の油圧式テンショ
ナ51は、ボディ52が鋳鉄あるいはアルミニウム合金
のダイカスト製品であるため、プランジャの摩耗、焼き
付き発生の防止を目的として、プランジャが摺動するシ
リンダ室の表面精度や耐久性を得るために、コーティン
グによる膜形成、平滑処理、あるいは機械加工等を必要
とするという問題点があった。また、チェックバルブ5
8を構成するボールシート59が、圧力油室57下方に
形成された円筒状孔63に圧入されるため、円筒状孔6
3の精度向上を図る必要があり、そのために機械加工を
必要とするなどの問題点があった。
【0008】上記のように、シリンダ室の表面精度、耐
久性が劣る場合、別部品の金属製シリンダをボディに形
成した円筒状の孔に隙間嵌めすることも提案されている
(特開2000−346152号公報)が、この場合、
シリンダ抜け出し防止のために、前記筒状の孔内周面に
環状の凹溝を形成し、その凹溝にスナップリングを取り
付ける必要があり、その結果、凹溝形成、スナップリン
グ取り付け等の工程が必要になり、その分製造コストが
高くなるという問題点があった。
【0009】また、ボディが鋳鉄、アルミニウム合金等
のダイカスト製品である場合、重量が大きいので、軽量
化を図るために、ボディをプラスチック製とすることも
考えられている。しかし、プランジャとの摺動面の耐久
性の不足、各部の強度の不足等の問題があるため、金属
製シリンダなどの補強部品をインサート成形する必要が
あり、この場合、金型が複雑となりコスト高になるとい
う問題点がある。また、チェックバルブのボールシート
などの圧入部材との熱膨張率の差により、昇温時に緩み
が生じ、高圧油を圧力油室に供給できないという問題点
がある。
【0010】そこで、本発明は、前述したような従来技
術の問題点を解消し、テンショナのボディにプランジャ
が摺動するシリンダ室の膜形成、平滑処理、あるいは機
械加工等を不要にし、ボディに形成した円筒状の孔に、
別物品の金属製シリンダを嵌入する場合に、孔表面の機
械加工等を不要にすることにより、シリンダの取り付
け、テンショナの組み立てが容易にできるようにすると
共に、プランジャをボディから突出するために設けられ
ている圧縮ばねを利用することにより、別部材のスナッ
プリングなどのシリンダ用の留め具を不要とし、シリン
ダの抜け出しを防止できるようにすることを目的とす
る。また、チェックバルブ機構の装着においても、シリ
ンダの底板を利用して抜け出しが防止でき、その組付け
が簡単にできるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に係る本発明は、ボディに形成された円筒
状孔に嵌入された金属製のシリンダと、該シリンダ内に
圧縮ばねにより付勢されてボディから先端部が突出する
ように設けられたプランジャと、該プランジャ内部とシ
リンダとの間で形成された圧力油室とを備えた油圧式テ
ンショナにおいて、前記シリンダは、油の流入が可能な
透孔を中央に有する底板を備え、該底板が前記圧縮ばね
により付勢されることによりボディからの抜け出しが防
止されている油圧式テンショナ、という構成とする。請
求項2に係る本発明は、請求項1記載の油圧式テンショ
ナにおいて、前記円筒状孔は、底部側にこの円筒状孔よ
り小径の円筒状孔を備えており、該小径の円筒状孔に嵌
入されたチェックバルブ機構は、前記シリンダの底板に
当接することにより抜け出しが防止されている、という
構成とする。請求項3に係る本発明は、ボディに形成さ
れた円筒状孔に嵌入された金属製のシリンダと、該シリ
ンダ内に、圧縮ばねにより付勢されてボディから先端部
が突出するように設けられたプランジャと、該プランジ
ャ内部とシリンダとの間で形成された圧力油室と、該圧
力油室への油の流入を許容するが逆流を阻止するチェッ
クバルブ機構とを備えた油圧式テンショナにおいて、前
記シリンダは、油の流入が可能な透孔を中央に有する底
板を備え、該底板が前記チェックバルブ機構のリテーナ
を介在させて前記圧縮ばねで付勢されることによりボデ
ィからの抜け出しが防止されると共に、前記チェックバ
ルブ機構は、該底板に形成された透孔を上方から塞ぐよ
うに設けられたチェックボールと、該チェックボールを
付勢するスプリングと、該スプリングを支持するリテー
ナとで構成されている、という構成とする。請求項4に
係る本発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の油圧
式テンショナにおいて、前記ボディには、プランジャの
後退変位を阻止するために、プランジャ外周面に刻設さ
れたラチェット歯に係合するラチェット爪体が、ばね付
勢されて揺動可能に設けられ、前記シリンダには、該ラ
チェット爪体が揺動して該ラチェット歯に係合可能とす
るための切り欠きが形成されていると共に、該切り欠き
端部から外方に延びる対をなす突片が形成され、該突片
に形成された取付孔及びボディに形成された取付孔に挿
通された軸により、該ラチェット爪体が軸支されてい
る、という構成とする。
【0012】本発明において、ボディは、材質が格別限
定されるものではなく、鋳鉄、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金等のダイカスト製品、プラスチック製品等
いずれでもよい。また、シリンダは、材質が格別限定さ
れるものではないが、鋼鉄、鋳鉄、燒結金属等の金属製
のもので、プランジャとの焼き付きが生じないものであ
ればよい。
【0013】
【作用】本発明の油圧式テンショナは、エンジン、駆動
装置等に取り付けられた場合、テンショナのボディから
先端部が突出するように設けられたプランジャが、チェ
ーン、ベルト等に押圧されて、シリンダ内に後退するよ
うに押し込められるので、圧縮ばねがシリンダの底板を
付勢することになり、留め具を別に設けなくともシリン
ダの抜け出しが防止される。このように、シリンダの底
板が圧縮ばねにより抜け出しが防止されるので、シリン
ダが隙間嵌めされていてもよく、ボディを鋳鉄、アルミ
ニウム、またはアルミニウム合金等のダイカスト製品、
合成樹脂成形によるプラスチック製品とした場合、シリ
ンダが嵌入される円筒状孔は、表面処理、機械加工等を
行う必要がなくなり、プラスチック製品とした場合は、
エンジン、駆動装置等への取付面の表面処理、機械加工
等も不要となる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、実施例1
に基づき図1を参照して説明する。図1には、油圧式テ
ンショナ1の断面が示され、このテンショナ1は、ボデ
ィ2に形成された円筒状孔3に鋼鉄製のシリンダ4が嵌
入され、該シリンダ4内にプランジャ5が摺動自在に嵌
挿されている。この場合、シリンダの嵌入は隙間嵌めで
よい。この円筒状孔3は、底部側にこの円筒状孔より小
径の円筒状孔3Aを備えている。また、このシリンダ4
は、後記するチェックバルブ機構9に連通する透孔4A
を中央に有する底板4Bを備えている。
【0015】プランジャ5の内部には、下端部が開口す
る中空部6が形成されており、この中空部6には、プラ
ンジャ5の先端を突出させて、チェーンまたはベルト等
に適正張力を与えるための圧縮ばね7が収容されてい
る。また、この中空部6とシリンダ4内部とで圧力油室
8が形成され、該圧力油室8の底部には、該圧力油室8
に油の流入を許容するが逆流を阻止するチェックバルブ
機構9が設けられる。
【0016】チェックバルブ機構9は、円筒状ブロック
9Aと、油路9Bを有するボールシート9Cと、チェッ
クボールと、コイルスプリングと、蓋体9Dとで予め組
み立てられた組立品(所謂、アセンブリ)で、円筒状孔
3の底部側に備えられている小径の円筒状孔3Aに嵌入
され、前記シリンダ4の底板4Aに上方が当接すること
により抜け出しが防止されている。
【0017】圧力油室8内は、常時チェックバルブ機構
9を介して外部からポンプ等によって、油流入口11,
油室12、油路9Bから供給される油によって満たされ
ている。走行するチェーン、ベルト等が緩むと圧縮ばね
7で常時付勢されているプランジャ5が突出し、同時に
チェックバルブ機構9が開放して油が圧力油室8に流入
する。また、チェーン、ベルト等からテンショナに作用
する衝撃力によってプランジャ5がシリンダ4内に押し
込まれると、圧力油室8内の油圧は上昇しチェックバル
ブ機構9が閉じられる。
【0018】上記のように形成された油圧式テンショナ
1は、エンジン、駆動装置等に取り付けられた場合、テ
ンショナのボディ2から先端部が突出するように設けら
れたプランジャ5が、チェーン、ベルト等に押圧され
て、シリンダ4内に押し込められているので、圧縮ばね
7がシリンダ4の底板4Aを常時付勢することになり、
シリンダ4の抜け出しが防止される。
【0019】このようにシリンダ4の抜け出しが防止さ
れるので、シリンダ4が隙間嵌めされていてもよくなる
ため、ボディ2を鋳鉄、アルミニウム、またはアルミニ
ウム合金等のダイカスト製品、合成樹脂成形によるプラ
スチック製品とした場合、シリンダ4が嵌入される円筒
状孔3は、表面処理、機械加工等の必要がなくなる。ま
た、円筒状孔3の底部側に備えられている小径の円筒状
孔3Aに嵌入されたチェックバルブ機構9は、前記シリ
ンダ4の底板4Aに当接することにより抜け出しが防止
されているので、同じように小径の円筒状孔3Aの表面
処理、機械加工等の必要が無くなる。その結果、シリン
ダ、ボールシート等の圧入が不要となる。
【0020】実施例2を図2に基づいて、以下各実施例
については、前記実施例1と同一態様部材には適宜同一
符号を付して説明する。図2には、油圧式テンショナ2
1の断面が示され、このテンショナ21は、ボディ22
に形成された円筒状孔23に鋼鉄製のシリンダ4が嵌入
され、該シリンダ24内にプランジャ25が摺動自在に
嵌挿されている。このシリンダ24は、後記するよう
に、チェックバルブ機構29を構成する油の流入が可能
な透孔24Aを中央に有する底板24Bを備えている。
【0021】プランジャ25の内部には、下端部が開口
する中空部26が形成されており、この中空部26に
は、プランジャ25の先端を突出させるための圧縮ばね
27が収容されている。また、この中空部26とシリン
ダ24内部とで圧力油室28が形成され、該圧力油室2
8の底部には、該圧力油室28に油の流入を許容するが
逆流を阻止するチェックバルブ機構29が設けられる。
なお、図2の24Cは透孔24Aから下方に延設された
円筒部材であり、油通路を形成する。
【0022】チェックバルブ機構29は、シリンダ24
の底板24Bに形成された透孔24Aを上方から塞ぐよ
うに設けられたチェックボールと、該チェックボールを
付勢するスプリングと、該スプリングを支持するリテー
ナ29Aとで構成され、シリンダ24の底板24Bの上
方に形成されている。
【0023】圧力油室28内は、常時チェックバルブ機
構29を介して外部からポンプ等によって、油流入口1
1,油室12から供給される油によって満たされてい
る。走行するチェーン、ベルト等が緩むと圧縮ばね27
で常時付勢されているプランジャ25が突出し、チェッ
クバルブ機構29が開放して油が圧力油室28に流入す
る。また、チェーン、ベルト等からテンショナに作用す
る衝撃力によってプランジャ25がシリンダ24内に押
し込まれると、圧力油室28内の油圧は上昇しチェック
バルブ機構29が閉じられる。
【0024】上記のように形成された油圧式テンショナ
21は、エンジン、駆動装置等に取り付けられた場合、
テンショナのボディ22から先端部が突出するように設
けられたプランジャ25が、チェーン、ベルト等に押圧
されて、シリンダ24内に押し込められているので、圧
縮ばね27がシリンダ24の底板24Bをチェックバル
ブ機構29のリテーナ29Aを介在させて常時付勢する
ことになり、シリンダ24の抜け出しが防止される。
【0025】実施例3を図3乃至5に基づいて説明す
る。この実施例3の油圧式テンショナ31は、以下詳述
するように、実施例1の油圧式テンショナにおいて、ボ
ディに枢着したラチェット爪体がプランジャに刻設した
ラチェット歯に係合するようにしたプランジャの後退変
位防止手段を設けたものである。図4には、油圧式テン
ショナ31の断面が示され、このテンショナ1は、プラ
スチック製のボディ32に形成された円筒状孔33に鋼
鉄製のシリンダ34が隙間嵌めされ、該シリンダ34内
にプランジャ35が摺動自在に嵌挿されている。
【0026】プランジャ35の内部には、下端部が開口
する中空部36が形成されており、この中空部36に
は、プランジャ35の先端を突出させる圧縮ばね37が
収容されている。また、この中空部36とシリンダ34
内部とで圧力油室38が形成され、該圧力油室38の底
部には、該圧力油室38に油の流入を許容するが逆流を
阻止するチェックバルブ機構39が設けられる。
【0027】チェックバルブ機構39は、前記実施例1
のチェックバルブ機構9と同じ構造で、装着手段も同じ
であり、円筒状ブロックと、油路を有するボールシート
と、チェックボールと、コイルスプリングと、蓋体とで
予め組み立てられた組立品で、円筒状孔33の底部にさ
らに形成されている円筒状孔33より小径の円筒状孔に
嵌入される。
【0028】ボディ32には、円筒状孔33に連通する
凹溝32Bが形成され、プランジャ35の後退を防止す
るために、プランジャ35外周面に刻設されたラチェッ
ト歯35Aに係合するラチェット爪体40が、該凹溝内
にラチェットばね41に付勢されて揺動可能に設けられ
る。この場合、ラチェット歯35Aとラチェット爪体4
0の爪との間にバックラッシュを持たせてある。
【0029】シリンダ34は、後記するチェックバルブ
機構39に連通する透孔34Aを中央に有する底板34
Bを備えている。さらに、シリンダ34には、図3、図
5に示すように、ラチェット爪体40が揺動してプラン
ジャ35のチェット歯35Aに係合可能とするための切
り欠き34Cが形成されていると共に、切り欠き34C
の端部から外方に延びる対をなす突片34D、34Dが
形成される。突片34Dに形成された取付孔34E及び
ボディ32に形成された取付孔32Aに挿通され、該取
付孔32Aに挿通された軸42により、ラチェット爪体
40が軸孔40Aを介して軸支されている。
【0030】油圧式テンショナ31の作用は次のとおり
である。圧力油室38内は、常時チェックバルブ39を
介して外部からポンプ等によって、油流入口11,油室
12、油路から供給される油によって満たされている。
走行するチェーン、ベルト等が緩むと圧縮ばね37で常
時付勢されているプランジャ35が突出し、チェックバ
ルブ機構39が開放して油が圧力油室38に流入する。
【0031】また、チェーン、ベルト等からテンショナ
に作用する衝撃を受けてプランジャ35が圧縮ばね37
の付勢力に抗してシリンダ34内に押し込まれると、ラ
チェット歯35Aとラチェット爪体40の爪とが摺接し
ながら、前記バックラッシュの範囲内でプランジャ35
が後退し、圧力油室38内の油圧が上昇しチェックバル
ブ機構39は閉じられ、衝撃は緩和される。この場合、
ラチェット歯35Aとラチェット爪体40の爪との係合
により、プランジャ35が必要以上に後退しないように
なっている。
【0032】その際、長期の運転使用によってチェー
ン、ベルト等が伸びて、プランジャ35がバックラッシ
ュの範囲を超えてボディ32から突出するようになった
とき、チェックバルブ機構39が開放して油が圧力油室
38に流入口11から供給されると同時に、プランジャ
35のラチェット歯35Aとラチェット爪体40の爪と
の係合が1歯分ずれ、常にプランジャ35はベルト、チ
ェーンの伸びに追随して、ボディ32の外方に移動す
る。
【0033】上記のように構成された油圧式テンショナ
31は、プランジャがチェーン、ベルト等に押圧され
て、シリンダ内に後退するように押し込められるので、
圧縮ばねにより、シリンダの底板が下方に付勢されると
同時に、シリンダ34に形成された突片34Dが、ボデ
ィ32に形成された取付孔32Aに軸42により固定さ
れるので、ボディ32に形成された円筒状孔33からの
抜け出しを防止することができる。
【0034】また、ラチェット爪体40を軸支する軸4
2が、鋼鉄製のシリンダ34の突片34Dの取付孔34
Eに挿通されるので、ボディ32をプラスチック製、ア
ルミ合金製など強度的に劣るものの場合、軸42が鋼鉄
製の突片34Dで軸支されているため、ボディ32の取
付孔32Aが破損することなく、特に有利である。ま
た、このようにシリンダ34の抜け出しが防止されるの
で、シリンダが嵌入される円筒状孔は、表面精度、孔径
精度が要求されなくなり、表面処理、機械加工等の工程
を省略することができ、製造コストの低減を図ることが
できる。
【0035】以上、実施例1乃至3において、チェック
バルブ機構を備えた油圧式テンショナについて説明した
が、チェックバルブ機構は必ずしも必要とされるもので
ない。この場合は、オイルポンプから高圧油が圧力油室
に供給されているので、チェーン、ベルト等からテンシ
ョナに作用する衝撃力によってプランジャがシリンダ内
に押し込まれるとき、圧力油室内の油圧によりクッショ
ン効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ボディ
に形成された円筒状孔に金属製のシリンダが嵌入されて
いるので、耐摩耗性の向上を図ることができ、また、こ
のシリンダは、油の流入が可能な透孔を中央に有する底
板を備え、該底板がプランジャを付勢する圧縮ばねによ
りボディからの抜け出しが防止されているので、シリン
ダが嵌入される円筒状孔は、シリンダ圧入の場合のよう
に、表面精度、孔径精度が要求されなくなり、表面処
理、機械加工等の工程を省略することができ、その結
果、シリンダの取り付け、テンショナの組み立てを容易
に行うことができ、さらに、プランジャを付勢する圧縮
ばねを利用することにより、従来シリンダ抜け出し防止
のために行われていた、円筒状孔内周面の凹溝形成、ス
ナップリング取り付け等の工程が不要となり、製造コス
トの低減を図ることができる。
【0037】また、ボディに形成された円筒状孔に金属
製のシリンダが嵌入されるだけなので、ボディの外郭形
状が、エンジン、駆動装置等への取付位置などに応じて
変形された場合でも、シリンダ、プランジャ等の部品を
共通化することができ、新規形状のボディの作成のみ
で、種々のエンジンに対応させることができ、その結
果、種々の油圧式テンショナの製造を容易に行うことが
できる。
【0038】チェックバルブ機構の装着において、前記
円筒状孔は、底部側にこの円筒状孔より小径の円筒状孔
を備えており、チェックバルブ機構が、該小径の円筒状
孔に嵌入され、前記シリンダの底板にその上部が当接す
ることにより抜け出しが防止されている場合には、チェ
ックバルブ機構の抜け出しをシリンダの底板を利用する
ことになり、同じように小径の円筒状孔の表面処理、機
械加工等を省略することができ、テンショナの組み立て
を容易に行うことができる。また、ボディをアルミニウ
ム、アルミニウム合金等のダイカスト製品、合成樹脂成
形によるプラスチック製品とした場合、熱膨張率の差に
より昇温時に緩みが生じたとしても、チェックバルブ機
構がシリンダの底板との当接により抜け出しが防止され
ているので、高圧油の圧力油室への供給が可能になると
共に、チェックバルブ機構の抜け出しに対する他の対策
を設ける必要がない。
【0039】軽量化を図るために、ボディをプラスチッ
ク製とした場合、ボディに形成された円筒状孔に金属製
のシリンダが嵌入されるだけなので、金属製のシリンダ
をインサート成形する必要がなく、複雑な金型も不要と
なり、製造コストの低減を図ることができる。
【0040】チェックバルブ機構が、シリンダの底板に
形成された透孔を上方から塞ぐように設けられたチェッ
クボールと、該チェックボールを付勢するスプリング
と、該スプリングを支持するリテーナとで構成されてい
る場合には、シリンダがボールシートの機能を有するの
で、ボールシートが廃止でき、コスト低減を図ることが
できる。
【0041】ボディに、プランジャの後退変位を阻止す
るために、プランジャ外周面に刻設されたラチェット歯
に係合するラチェット爪体が、ばね付勢されて揺動可能
に設けられ、シリンダには、該ラチェット爪体が揺動し
て該ラチェット歯に係合可能とするための切り欠きが形
成されていると共に、該切り欠き端部から外方に延びる
対をなす突片が形成され、該突片に形成された取付孔及
びボディに形成された取付孔に挿通された軸により、該
ラチェット爪体が軸支されている場合には、ボディから
プランジャ先端部が突出するように設けられた圧縮ばね
により、シリンダの底板が下方に付勢されると同時に、
シリンダに形成された突片を介して、軸によりボディに
固定されるので、シリンダの円筒状孔からの抜け出しを
防止することができる。
【0042】それと同時に、ラチェット爪体を軸支する
軸が、金属製のシリンダの突片の取付孔に挿通されるの
で、ボディをプラスチック製、アルミ合金製など強度的
に劣るものとした場合、軸が金属製の突片で軸支される
ため、ボディに形成されている取付孔の破損を防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例1のテンショナの断面図であ
る。
【図2】 本発明実施例2のテンショナの断面図であ
る。
【図3】 本発明実施例3のテンショナの平面図であ
る。
【図4】 同上テンショナの断面図である。
【図5】 同上シリンダの斜視図である。
【図6】 従来のテンショナの断面図である。
【符号の説明】
1 油圧式テンショナ 2 ボディ 3 円筒状孔 3A 小径の円筒状孔 4 シリンダ 4A 透孔 4B 底板 5 プランジャ 6 中空部 7 圧縮ばね 8 圧力油室 9 チェックバルブ機構 9A 円筒状ブロック 9B 油路 9C ボールシート 9D 蓋体 10 小径の円筒状孔 11 油流入口 12 油室 21 油圧式テンショナ 22 ボディ 23 円筒状孔 24 シリンダ 24A 透孔 24B 底板 24C 円筒部材 25 プランジャ 26 中空部 27 圧縮ばね 28 圧力油室 29 チェックバルブ機構 29A リテーナ 31 油圧式テンショナ 32 ボディ 32A 取付孔 32B 凹溝 33 円筒状孔 34 シリンダ 34A 透孔 34B 底板 34C 切り欠き 34D 突片 34E 取付孔 35 プランジャ 35A ラチェット歯 36 中空部 37 圧縮ばね 38 圧力油室 39 チェックバルブ機構 40 ラチェット爪体 40A 軸孔 41 ラチェットばね 42 軸

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボディに形成された円筒状孔に嵌入され
    た金属製のシリンダと、該シリンダ内に圧縮ばねにより
    付勢されてボディから先端部が突出するように設けられ
    たプランジャと、該プランジャ内部とシリンダとの間で
    形成された圧力油室とを備えた油圧式テンショナにおい
    て、 前記シリンダは、油の流入が可能な透孔を中央に有する
    底板を備え、該底板が前記圧縮ばねにより付勢されるこ
    とによりボディからの抜け出しが防止されていることを
    特徴とする油圧式テンショナ。
  2. 【請求項2】 前記円筒状孔は、底部側にこの円筒状孔
    より小径の円筒状孔を備えており、該小径の円筒状孔に
    嵌入されたチェックバルブ機構は、前記シリンダの底板
    に当接することにより抜け出しが防止されていることを
    特徴とする請求項1記載の油圧式テンショナ。
  3. 【請求項3】 ボディに形成された円筒状孔に嵌入され
    た金属製のシリンダと、該シリンダ内に、圧縮ばねによ
    り付勢されてボディから先端部が突出するように設けら
    れたプランジャと、該プランジャ内部とシリンダとの間
    で形成された圧力油室と、該圧力油室への油の流入を許
    容するが逆流を阻止するチェックバルブ機構とを備えた
    油圧式テンショナにおいて、 前記シリンダは、油の流入が可能な透孔を中央に有する
    底板を備え、該底板が前記チェックバルブ機構のリテー
    ナを介在させて前記圧縮ばねで付勢されることによりボ
    ディからの抜け出しが防止されると共に、 前記チェックバルブ機構は、該底板に形成された透孔を
    上方から塞ぐように設けられたチェックボールと、該チ
    ェックボールを付勢するスプリングと、該スプリングを
    支持するリテーナとで構成されていることを特徴とする
    油圧式テンショナ。
  4. 【請求項4】 前記ボディには、プランジャの後退変位
    を阻止するために、プランジャ外周面に刻設されたラチ
    ェット歯に係合するラチェット爪体が、ばね付勢されて
    揺動可能に設けられ、 前記シリンダには、該ラチェット爪体が揺動して該ラチ
    ェット歯に係合可能とするための切り欠きが形成されて
    いると共に、該切り欠き端部から外方に延びる対をなす
    突片が形成され、該突片に形成された取付孔及びボディ
    に形成された取付孔に挿通された軸により、該ラチェッ
    ト爪体が軸支されていることを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載の油圧式テンショナ。
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