JP2002205952A - 植物葉乾燥粉末の大量生産方法とその産物 - Google Patents

植物葉乾燥粉末の大量生産方法とその産物

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JP2002205952A JP2000404970A JP2000404970A JP2002205952A JP 2002205952 A JP2002205952 A JP 2002205952A JP 2000404970 A JP2000404970 A JP 2000404970A JP 2000404970 A JP2000404970 A JP 2000404970A JP 2002205952 A JP2002205952 A JP 2002205952A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ニンジン葉などの植物葉の良質な乾燥粉末を大
量生産する方法の提供。 【解決手段】(1)乾燥対象物(原料葉)をいきなり高
温加熱するのではなく、低い中間温度への昇温と排気降
温とのサイクルを繰り返しつつ最終高温に達するまで加
熱乾燥する方法。(2)昇温−排気降温サイクルの前段
階として自然通風による一次乾燥段階を導入する方法。
一次乾燥段階は、一次乾燥終了後は、一時保存部として
機能する。 【効果】(1)乾燥品の品質を安定良質なものにでき
る。(2)加熱乾燥段階の工程時間を大幅に短縮し、処
理量を飛躍的に増大させるとともに、過剰原料葉を有効
に一時保存して量産に供することができる。(3)得ら
れた良質有効な乾燥粉末を消臭抗菌その他の衛生目的に
広く応用する途が開かれた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ニンジン葉、セリ、パセ
リ、セロリー、センキュウの葉、マルバトウキの葉など
の、薬効ある植物葉の良質な乾燥粉末を大量に工業的規
模で生産するための新規な方法に関するものである。ま
た本発明は、この新規な方法により得られた良質な産物
(乾燥粉末)の新たな広範な用途にも関するものであ
る。
【0002】
【発明の背景】ニンジン葉、セリ、パセリ、セロリー、
センキュウの葉、マルバトウキの葉などの乾燥粉末が消
臭作用その他の薬効を有することはすでに知られてい
る。これらの植物葉の乾燥粉末を得る方法は、原初的に
は、本出願人の特公昭61−40646号公報に記載さ
れた原理的方法に依拠していた。しかし、この原理的な
加熱方法では一度に処理できる生原料葉の量もごくわず
かであり、加熱すべき温度や加熱の態様、加熱中の葉の
処理方法などすべてにわたって未確定要素が多く、実験
室レベルとしてはともかく、安定で大規模な工業的生産
を行なうにはまったく不適当であった。工業的規模の生
産をするには、なによりもまず生の原料葉を大量に安定
して加熱乾燥処理できる方法を見出さなければならな
い。
【0003】大量処理のためにまず試みられたのは、加
熱炉の大型化である。一度に処理できる生の原料葉を少
なくとも数10kg、多くは数100kg単位で装入
し、これを一気に所要温度にまで加熱できる能力を備え
た加熱乾燥炉を設けることが必要と考えられた。この線
に沿って一度に80〜150kg程度の生原料葉を処理
できる大型加熱乾燥炉を試作した。この加熱乾燥炉は、
生原料葉を加熱乾燥炉内に多段に設けた棚上に並べ、炉
内に熱風を循環させて棚上の原料葉を一定の高温に連続
加熱し水分を蒸発させて乾燥葉を得ようとしたものであ
った。乾燥の理想は、ほぼ完全な脱水状態でカサカサに
なった、しかし原料葉の緑色を十分に保持している産物
を得ることである。このため目標とする温度は、処理時
間との関係もあって一律には決められないが、比較的低
い温度例えば70℃程度では乾燥までに非常に長い時間
(2昼夜)がかかってとても実際的ではないし、それで
もなお完全乾燥とはいえないくらい残留水分が多く、粉
末化が困難である上、粉末が時間とともにベタついたり
変質してまったく実用にならないという難点がある反
面、あまり高い温度例えば100℃に近い温度で加熱を
行なうと生葉がその中の水分の沸騰によりちぢれたり変
色したりして、とても理想とする緑葉色の乾燥葉が得ら
れないという欠点があり、種々試行錯誤の末に90℃と
いう温度を選択した。ところが、この温度の加熱で大量
(約100kg)の生葉を一挙に完全乾燥させようとす
ると、70℃の場合より時間は短いとはいっても、1昼
夜(24時間)又はそれ以上の長時間を要する上、もっ
と重大な問題として葉の集塊の一部がムレた状態になっ
て変色変質を起こしたり焦げて黒茶色にちぢれてしまう
など、使いものにならない事態が生じた。このような乾
燥の長時間化、ムレや焦げによる変色変質の発生は、安
定した工業的大量生産のために克服しなければならない
第1の問題である。
【0004】さらに、上記第1の問題が、かりに克服で
きたとしても、安定な大量生産の前には第2の現実的問
題が横たわっている。すなわち大量の製品を得ようとす
れば大量の生原料葉を確保し、これをその色や有効成分
が損なわれないうちに手早く乾燥処理しなければならな
い。しかし、現実には限られた台数の加熱乾燥炉では産
地から大量に収穫搬送されてくる原料葉を直ちにすべて
加熱乾燥処理することができない。この点で、加熱乾燥
炉を大型化しても、処理時間のさらなる短縮が課題とな
るほかに、原料葉をその色や有効成分を損なわないで適
切に保存できる設備や方法を開発する必要がある。例え
ば、原料葉を大型冷蔵室(これ自体も高価であり増設は
簡単ではない)に入れて保存したとしても、生の原料は
冷蔵室の中でもムレたり、葉が茶色や枯れた色に変色し
たり、またカビがはえたり腐敗したりして、少なからぬ
量がムダになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、大
型化した加熱乾燥装置で従来より短い時間で良質な完全
乾燥品を得るための新たな加熱乾燥の方法を確立するこ
とを第1の課題とする。また、本発明は大型加熱乾燥装
置での処理時間をさらに短縮可能にするとともに生原料
葉をその色や有効成分を損なわずに比較的長期間保存し
ておける比較的安価な設備を開発することを第2の課題
とする。さらに、本発明はこうして新たな方法で得られ
た良質なニンジン葉その他の葉の乾燥粉末の新たな用途
を広範に開発し、その効用を広く一般の利用に供するこ
とも第3の課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の課題を解決するた
めの本発明(以下、第1発明という)は、従来のように
大型加熱炉の中で一気に高温加熱するという方法を排
し、生の原料葉を通気性よく収納した囲壁内を予定の最
終温度より低い或る中間温度まで昇温させ、その中間温
度になったら囲壁内を排気して或る低温まで降温させ、
その低温になったら再び次の或る中間温度まで昇温させ
たのち、その中間温度で再び囲壁内を排気して次の或る
低温まで降温させるという、いわば、のこぎり歯のよう
な形のグラフで表わされる昇温−排気降温サイクルを何
度か繰り返して予定の最終温度に達するまでの間に生の
原料葉を傷めないよに水分を穏やかにほとんど完全に蒸
発させ、残留水分6%以下のカサカサに乾いた、生の葉
の色と有効成分を十分に保持している完全乾燥品を得る
ことを特徴とする新たな加熱乾燥方法を確立したもので
ある。
【0007】第1発明の方法を実施するには、種々の植
物葉(ニンジン葉、セリ、パセリ、セロリー、センキュ
ウの葉、マルバトウキの葉、など)の生葉を通気性よく
収納する囲壁、即ち両端を閉じた囲壁(例えば円胴)
に、加熱源と、感温素子と、排気手段と、感温素子から
の信号に応答して加熱源と排気手段との作動を制御する
制御手段とから成る機能要素を備えた大型の加熱乾燥装
置を設けることが必要である。そして、囲壁内部には前
記植物葉を通気性よく敷き並べる乾燥棚を多段に、好適
には回転移動可能に、設けることが望ましい。このよう
な囲壁は、処理すべき原料葉を一度に少なくとも数10
kg、多ければ数100kg収納できる容量とすべきで
ある。
【0008】第1発明の方法において、予定の最終温度
より低い中間温度まで何度かに分けて昇温させること
は、原料葉の中の水分を一気に高温(最終温度)にさら
すと、何よりも原料葉の組織と含有有効成分を損なうと
いう知見から導かれた本発明の技術的所産であり、原料
葉から徐々に水分を逃散させることにより葉を傷めたり
変色させたり焦がしたりする弊害を避けることができ
る。そして、各中間温度の後に囲壁内から排気するサイ
クルを行なうことは、原料葉が加熱され続けて損傷する
のを避けるため時々放熱して冷ます(降温)という効果
に加えて、もっと大切なことは、各昇温サイクル中の加
熱で原料葉から蒸発した水蒸気が囲壁内に飽和状に充満
していると、いくら加熱しても原料葉から次の水分が蒸
発していくのを妨げ処理時間を長期化させる不利益があ
るほか、加熱され続ける水蒸気が原料葉を熱く包んで、
いわばムシ焼きにしてしまう危険があるので、これら不
利益や危険を回避する効果があるのである。1バッチの
処理の途中で、囲壁内を数回排気して水蒸気圧を低下さ
せることは本発明の必須成立要件である。
【0009】第1発明の加熱乾燥方法は、原料葉の加熱
を途中で何度か中断し、しかも積極的に降温させている
のに、終始一貫して高温加熱を続行する従来の加熱乾燥
方法に比べて、乾燥処理時間は逆に短縮されるのであ
る。これは、完全乾燥品をなるべく早く得るためにはな
るべく高い温度で加熱し続けなければならないとしてい
た従来思考から見ると、まさに驚くべき結果である。そ
れだけではなく、この発明方法により得られる完全乾燥
品は、カサカサにほぼ完全脱水されているのに、もとの
緑葉色をみごとに保持しており、もちろん、焦げやムレ
跡などの致命的欠陥はなく、従ってその薬効その他の有
効成分も十分に保持されているから、これを粉砕工程に
かければ、この発明の目標である良質な乾燥粉末を安定
して得ることができる。
【0010】第2の課題を解決するための本発明(以
下、第2発明という)は、上記のような新たな加熱乾燥
段階に先立って、前記のような種々の植物葉を自然通風
を基礎とする一次乾燥部において、それ以上は自然乾燥
しない「限界含水量」にまで脱水乾燥させる設備及び方
法を実現するものである。この一次乾燥部は、基本的に
屋外、特に風通しの良い所に設けられ、直射日光を避け
る屋根形の蔽いの中に風通しのよい網棚を数段数列に設
置したものである。この網棚の上に前記植物葉の生原料
葉が通気性よく敷き並べられ、直射日光は遮ってある
が、適度な外気温と良好な自然の風とにより生原料葉は
数日から10数日で限界含水量にまで脱水乾燥されて
「一次乾燥品」となる。この一次乾燥品は、生の原料葉
の重量の約半分近くにまで減量されて、いわゆる生乾き
の状態であるが、生葉がもっていた緑葉色をほとんどそ
のまま保持しており、また有効成分も消失することなく
立派に保持されている。
【0011】第2発明の一次乾燥品は、ついで前記第1
発明の昇温−排気降温サイクルと同じサイクルを実行す
る加熱乾燥段階にかけられ、限界含水量からさらに乾燥
して完全乾燥品とされる。この完全乾燥品は、残留水分
が約6%以下で、一次乾燥品の重量の約10分の1、生
原料葉の約20分の1程度に減量されている。完全乾燥
品がついで粉砕工程にかけられて、目的とする乾燥粉末
を生じることは第1発明の場合と同様である。こうし
て、第2発明は、自然通風による一次乾燥段階と加熱乾
燥による二次乾燥段階とを複合した二段階乾燥方法を内
容とするものである。加熱乾燥段階だけを比べれば、第
2発明は第1発明よりさらに処理時間を半分近く短縮す
る有利さがあり、工業的量産に最適な方法である。
【0012】第2発明の重要性は、時間短縮だけではな
い。その一次乾燥段階は、そのまま有効な原料葉保存段
階となる。すなわち一次乾燥部は、その産物一次乾燥品
を直ちに二次(加熱)乾燥段階へ送るのでなければ、一
次乾燥品の保存部又は貯蔵部として機能するのである。
限界含水量にまで脱水された一次乾燥品は、気温、湿
度、通風等の気候条件が大きく変化しない限り、自然乾
燥が止まった時の状態(色、乾燥度、外観等)のまま、
さらに1ヵ月ほども一次乾燥部に置いておく、すなわち
保存しておくことができるのである。これは本発明者に
とっても予期せぬ利点の発見であった。こうして、本第
2発明の第1段階(一次乾燥段階)を適切に利用するこ
とにより、現有の加熱乾燥装置の処理能力を超える生原
料葉の収穫又は搬入があっても、従来のように生葉をム
ダにしたり劣化させたりする不都合なく、大量の原料を
有効に一次乾燥−一時保存して工業的大量生産を支える
ことができるのである。
【0013】第3の課題である本発明(第1、第2発明
とも)の産物の新たな用途の開発については後に詳述す
る。
【0014】本発明の方法で処理す対象植物は、ニンジ
ン葉、セリ、パセリ、セロリーなどセリ科の植物、及び
センキュウの葉、マルバトウキの葉などの植物葉であ
る。ニンジン等セリ科植物は「葉」といっても、純粋に
葉だけではなく、根以外の緑色の部分(茎や葉柄)はす
べて本発明で「葉」として利用できる。第1発明におい
て、これら植物葉は、畑又は生育地から収穫され、汚れ
やゴミを除去したのち、可及的速やかに(生鮮状態にあ
る間に)本発明の加熱乾燥装置内で昇温−排気降温サイ
クルによって乾燥処理される。この昇温−排気降温サイ
クルは、熱風が吹き込まれるようになっている大容量の
閉じた囲壁(例えば円胴)の中に、原料葉を敷き並べる
ための通気性のよい乾燥棚を多段に設け、好適には各棚
がゆっくり囲壁の中を回転するようにした加熱乾燥装置
の中で実施される。原料葉を装入したのち、昇温−排気
降温サイクルは数回繰り返すものとし、具体的には例え
ば、1回目は囲壁内温度を45℃まで昇温させた所で排
気サイクルを行なって降温(37℃まで)させ、そこか
ら2回目は50℃まで昇温サイクルを行なった所で排気
サイクルに切り換えて排気しつつ降温(38℃まで)さ
せ、そこから3回目は85℃までの昇温サイクルを行な
った所で排気サイクルに切り換えて排気と降温(40℃
まで)を行ない、最後に4回目の昇温は予定の最終温度
(90℃)まで加熱を続け、最終温度に達した時点で加
熱乾燥工程を終了する。
【0015】各回の昇温温度、降温温度は上記した数値
が好適な一例であるが、これに限定されるものではな
く、その他の温度を選定することができる。最終温度も
同様であって、90℃は原料葉を損傷することなく効率
的に完全乾燥に導く最も適当な温度として見出されたも
のであるが、これに限定されるものではなく、その上下
近傍の温度を選定することも可能である。また、昇温−
降温サイクルの繰り返しも3回に限らず、2回又は4回
若しくはそれ以上に設定することも可能であり、乾燥対
象たる植物葉の種類、量、乾燥処理の時の周囲条件(気
温、湿度、晴雨曇などの気候、等)との相関関係で最適
サイクル数を設定することができる。
【0016】上記例示のような本発明の昇温−排気降温
サイクルをニンジン生葉約400kgについて実施して
得られた完全乾燥品は約20kg(生葉の20分の1)
で、残留水分は平均5%(重)であった。この完全乾燥
品は乾燥棚の上で葉と葉柄、茎がまだつながったままカ
サカサに乾ききった状態になっているが、生葉の時のよ
うな緑葉色をみごとに保持しており、従って後の分析結
果からもわかるように必要な有効成分を十分に保持して
いる。この完全乾燥品を乾燥棚ごと加熱乾燥装置外に取
りだし、粉砕工程にかける。粉砕工程は、好適に二段に
分けて行ない、第1段ではまず粗粉砕して粗い砕片と
し、続いて第2段で目の細かい篩いを用いて所要粒度の
粉末とする。詳細は後の実施例で説明する。
【0017】第2発明の概要について述べると、前記植
物葉は、収穫されたのち生のまま、直ちに一次乾燥部へ
運ばれる。搬送には、搬送用の容器(例えば、容量約1
0kgのプラスチック製コンテナ等)を使用するが、こ
の容器にいつまでも生原料葉を入れておくのは品質劣化
の原因となるので、搬送後は直ちに一次乾燥段階に入れ
る。一次乾燥段階は、直射日光と降水を避ける遮蔽をし
た通風のよい屋外で行なわれる。好適に、普通の農園芸
用ビニールハウスのような簡易安価な設備が本発明の一
次乾燥段階を実施する一次乾燥部を構成する。この中に
風通しのよい棚を多数配置し、各棚の上に生の原料葉を
薄く平らに敷き並べ、基本的に、自然の通風と外気温を
利用して原料を自然乾燥させる。この棚は、ハウス内に
縦に最低1列1段に設ける必要があるが、工業的規模と
して実施するには多数段、多数列に配列するのが実際的
である。通風状態がよく、日光が直射せず、雨や雪など
降水が降りかからなければ、原料から絶えず水分が自然
に蒸発消散していくから原料葉に腐敗菌やカビが繁殖す
ることはなく、原料の変色や有効成分の消失・劣化は起
きない。平均外気温が15〜25℃くらいであれば、原
料葉(例えばニンジン葉、約400kg)は約8〜12
日間で限界含水量に達し、重量で当初の約半分、正確に
は約45〜65%に、カサ(嵩)で約40〜50%に減
少する。この限界含水量で原料葉はもとの緑葉色をほと
んどそのまま保持しており、触った感じはシンナリして
いる(半乾き)。この状態になると、そのまま一次乾燥
部内に置いてもそれ以上は減量しない。そして意外なこ
とに、限界含水量に達した後、さらに10数日から約1
ケ月の間、腐敗や変色も起こさず、この状態で良好に保
存することができる事実が認められた。この意味で一次
乾燥部に使用する棚は、単なる乾燥棚ではなく、原料を
有効に保存できる保存棚でもある。本発明で、この棚を
「通風保存棚」と名づける。
【0018】一次乾燥段階で限界含水量にまで脱水され
た一次乾燥品は、ついで、二次乾燥段階が空いていれ
ば、そこへ、すなわち第1発明と同じ加熱乾燥段階へ送
られて所定の昇温−排気降温サイクルに従って加熱乾燥
される。具体的には、前記したような機能要素(加熱
源、感温素子、排気手段、制御手段)を備えた大型円胴
の中の多数の通気性乾燥棚の上に一次乾燥品は薄く敷き
並べられ加熱乾燥される。詳細は実施例で説明するが、
第2発明の第1発明との大きな差は、加熱乾燥工程の時
間が大幅に短縮されたことである。誇張的にいえば、第
2発明は第1発明の半分の時間(24時間が12時間)
で加熱乾燥を終わるということになる。そして第2発明
は、一次乾燥段階で生の葉の重量を約半分に減少させた
一次乾燥品を第1発明と同じ収納量をもつ加熱乾燥装置
に装入するのであるから、生葉に換算すれば第2発明は
2倍量の生葉を加熱乾燥段階で処理することができるこ
とになる。第1発明の加熱乾燥処理の1バッチは平均2
4時間であるが、第2発明は1バッチ平均12時間であ
る。第2発明の方法で24時間操業すれば24時間で2
バッチできるから、生産量は4倍という飛躍的増大をも
たらすことができる。
【0019】さらにもっと重要なことは、第2発明にお
ける一次乾燥部での限界含水量までの脱水乾燥により、
従来は不可能であった原料葉の比較的長期にわたる保存
が可能になったことである。大量生産に必要な大量の原
料葉を仕入れても、従来は有効に保存することができ
ず、腐らせてムダにしたり、あせって加熱乾燥の強行操
業をするなど無理をしなければならなかったが、第2発
明の一次乾燥部を利用すれば、生葉の搬入から加熱乾燥
での使用まで1ケ月ほども原料葉を有効に保存しておく
ことができる。また、予想を上回る生原料の収穫搬入が
あっても、一次乾燥部は比較的安価かつ早急に増設でき
るから、予想超過量に見合う保存設備を即座に増設して
大切な原材料を有効にプールしておくことができ、現有
の加熱乾燥装置を無理なく稼動して、良質の乾燥粉末を
大量に生産することができるという著大な利点を奏す
る。
【0020】
【実施例】図1〜図3には、本発明の昇温−排気降温サ
イクルを行なうための加熱乾燥装置の一例を示す。本発
明の加熱乾燥装置1は、その正面図である図1に示すよ
うに、乾燥対象(乾燥するべき材料)を収容する閉じた
囲壁、すなわち端壁を有する円胴2と、円胴2へ加熱空
気(熱風)を送る加熱源3と、円胴2内の温度を検知す
る温度センサ4と、温度センサ4からの信号に応じ加熱
源3を停止・始動させるコントローラ5と、円胴から所
定時に排気するためコントローラ5により開閉を制御さ
れる排気ファン6とを主要な機能要素としている。
【0021】熱源3としては、具体的にジェットバーナ
ー、すなわち燃料源から供給される燃料油を吸引空気と
共に強く燃焼してジェット状に熱風を噴出する燃焼機が
好適である。(以下、ジェットバーナー3、又は単にバ
ーナー3という)ジェットバーナー3には、図示してな
いが燃料油を供給するホースが接続していて、バーナー
の外箱上面から燃焼用空気が吸引される構造になってい
る。バーナー3から出るジェット噴流(熱風)は、円胴
2の端壁に開口している導入管7を介して円胴2内に吹
き込まれる。導入管7は、図2(図1のA−A’線断面
拡大図)に鎖線で示すように、2本に分岐して円胴2に
入る。円胴2内に吹き込まれた熱風は円胴内を循環して
端壁上部に開口している戻り管8からバーナー3に戻
り、温度を上げて再び円胴内へ送りこまれる。端壁に開
口しているもう1本の管は排気管9で、この中に前記排
気ファン6が内蔵されている。排気ファン6は、好適に
シャッター(図示してない)と組み合わされた軸流形フ
ァンでよく、その始動−停止はシャッターの開閉と共に
コントローラ5により制御され、円胴内の排気降温サイ
クルを実施する。
【0022】円胴2は、好適にステンレス製の内壁と鉄
板製の外壁との間にガラスウールをサンドイッチした断
熱構造とするのがよいが、これに限定されない。円胴の
寸法は、一例として外径2m、長さ5m程度とするのが
よいが、もっと大型化することもできる。大型化する場
合は、熱源を複数(例えば円胴端壁の両側に)配置した
り、排気ファンを内蔵する排気管も複数設けるなどする
とよい。図示の円胴2は支台10で床面上に支持され、
円胴の中心に軸線方向に回転軸11が貫通している。回
転軸11の両端は軸受部12に支承され、軸受部12は
支脚13で床面上に支持される。回転軸11の一端は円
胴外で伝動部14を介して駆動源15、好適に電動モー
タに接続される。円胴2の正面側に乾燥対象(ニンジン
葉、等)の出し入れのための開閉扉16が形成される。
17はその取っ手、18はヒンジである。
【0023】円胴2の内部構造は図2に具体的に示す。
回転軸11の円胴内の両端に回動アーム20が固着され
る。回動アーム20は、図で4本を示してあるがこれに
限らず、3本以下又は5本以上とすることもできる。各
回動アーム20には、通気性のよい乾燥棚21(図3参
照)を受ける棚受け箱22が、図示の例で2段1組ず
つ、4本のアームで計4組8個取り付けられる。回動ア
ーム20の先端にピボット23を介して枢着された浅い
三角形をしたハンガーバー24の両端に棚受け箱22の
端辺が固着される。回転軸11が回転すると、図2から
認められるように回動アームを介して4組の棚受け箱2
2は水平状態を保ったまま加熱乾燥装置内を回動し、各
通気性乾燥棚21上の乾燥度を平均化する。この回転は
連続でも間欠でもよいが、基本的に緩速回転とする。な
お、加熱乾燥中に回転を止めることももちろんできる
が、局部過熱は避けなければならない。
【0024】図3は、棚受け箱22の1個(2段目の箱
は鎖線で示す)とそれに載せた1個の通気性乾燥棚21
を略示する。棚受け箱22の外側長辺25(回動した時
扉16側にくる辺)25は、開閉可能に構成されてい
る。図3ではこの長辺25があけられ、通気性乾燥棚2
1が少し引き出されている。通気性乾燥棚21は、剛性
ある四辺のフレームの中に縦横に支杆を固定し、その上
全体に金網26(図3で金網は一部だけ略示してある)
を張設して構成される。乾燥棚21の寸法は加熱乾燥装
置の内寸に相応して定められるが、例えば巾1m、長さ
4mとすることができる。棚受け箱が4m強の長さをも
つ場合、乾燥棚は長さ2mを2枚、縦に連接して入れる
ようにした方が取り扱いに便利である。乾燥対象物の出
し入れは、円胴2の開閉扉16をあけ、乾燥棚21を棚
受け箱22から装置外に引き出して作業を行なう。
【0025】以上のような加熱乾燥装置1を使用して実
施される本発明の昇温−排気降温サイクルによるニンジ
ン葉の大量乾燥方法について、図1〜図3と、図4、図
5を参照しながら説明する。まず、例えばニンジン葉を
畑から採取し、容量約10kgの箱(好適にプラスチッ
ク製コンテナ)多数に入れて装置1へ運ぶ。葉をきれい
にしたのち、通気性乾燥棚21の上へ葉がなるべく重な
り合わないように薄く平均に敷き並べる。通気性乾燥棚
21が例えば1m×4mの寸法であるなら、1枚の棚2
1には最大で約20kgの葉を敷き並べることができ
る。円胴2内に収納される8枚の棚21にそれぞれ20
kgずつ敷き並べた場合、1つの加熱乾燥装置で1度に
160kgの原料葉(生でも一次乾燥品でも)を処理す
ることができる。
【0026】ついで加熱乾燥装置1のコントローラ5を
所要の昇温−排気降温サイクルにセットする。このサイ
クルの好適な一例は次のようなものである。 (1)まず、室温(約20℃前後)でジェットバーナー
3を点火始動させ、その燃焼熱で円胴2内を加熱して乾
燥対象から水分を蒸発させる。一定時間の経過後、円胴
内が第1の所定中間温度(例えば45℃)にまで昇温し
たらこれを感知した温度センサ4からコントローラ5に
信号を送り、コントローラ5は排気ファン6を回転始動
させると共にジェットバーナー3の燃焼を停止させる。 (2)排気ファンの動作により円胴内から排気して第1
の所定低温(例えば37℃)にまで降温させる。排気
は、円胴内から熱を奪うだけでなく、乾燥対象物から蒸
発した水蒸気をも除去する。降温そのものより、この水
蒸気除去が排気サイクルの重点といってもよい。 (3)第1の所定降温をセンサ4が感知したらコントロ
ーラ5に信号を送り、排気ファン6を停止させて排気管
を閉鎖すると共にバーナー3の燃焼を再開させる。加熱
再開により円胴内を再び昇温させ、第2の所定中間温度
(例えば50℃)に昇温するまで加熱乾燥を続行する。 (4)第2の所定中間温度に達したことをセンサ4が感
知したら、コントローラ5が排気ファン6を再び回転さ
せると共にバーナー3の燃焼を停止させ、円胴内を排気
により第2の所定低温まで降温させる。水蒸気の除去も
盛んに行なわれていることは第1の排気サイクルと同様
である。 (5)第2の所定低温(例えば38℃)まで降温したこ
とが感知されたら、コントローラ5が排気ファン6を停
止閉鎖させ、バーナー3の燃焼を再開させ、三度目の昇
温サイクルを第3の所定中間(例えば85℃)まで行な
う。円胴内の乾燥対象物は次第に高くなる加熱により盛
んに水分を蒸発させ、乾燥度が進む。 (6)第3の所定中間温度に達したことが感知された
ら、排気ファン6を三たび回転始動させ、バーナー3を
燃焼停止させて排気と水蒸気除去を行なうと共に、円胴
内を第3の所定低温(例えば40℃)まで降温させる。
中間温度(85℃)が高かったことから、ここでの水蒸
気の排出と降温には前の排気サイクルより時間がかか
る。 (7)第3の所定低温が感知されたら、排気ファン6の
停止、バーナー3の燃焼再開により、いよいよ最後の昇
温サイクルが始められ、円胴内は予定の最終温度(例え
ば90℃)にまで昇温される。この昇温工程で乾燥対象
物はほとんどすべての水分を蒸発除去される。最後に円
胴内が予定最終温度に到達したことが感知されると、コ
ントローラ5によりバーナー3の燃焼が完全に停止さ
れ、全乾燥工程が終了する。この時、例えばブザーを鳴
らして作業者に知らせるようにするとよい。この段階
で、乾燥対象物は完全に乾燥した状態(カサカサ)にな
っているが、当初の生原料葉の緑色は十分に保持されて
いる。なお、葉の緑色は本発明の加熱乾燥段階が適切に
行なわれ、植物葉に含まれる有効成分が損傷されていな
いことを示す指標として重要であるが、緑色そのもの
(葉緑素)は本発明でいう有効成分ではない。
【0027】以上のような本発明の昇温−排気降温サイ
クルによるニンジン葉の乾燥実例を図4と図5のグラフ
に示す。各グラフにおいて、縦軸は円胴内の温度
(℃)、横軸は時間(分)を表わす。図4は生のニンジ
ン葉(約400kg)を晴天続きの日に乾燥した例、図
5は同量の生ニンジン葉を2日続きの曇天(湿度が非常
に高い)の日に乾燥した例のグラフである。まず、図4
において、(1)最初の昇温(45℃まで)は85分を
要した。この段階の昇温は、乾燥対象物に付着している
水分や、表面に近い水分を飛ばすことを眼目にしてい
る。室温から45℃までの温度は、葉の中の水分が葉の
組織を痛めるほど高温にはならないが、葉の組織から穏
やかに逃げだそうとするのに適当な温度である。(2)
最初の排気降温(37℃まで)サイクルは5分であっ
た。この間、排気ファンが回り続けることにより初期の
蒸発水分は円胴外へ排出除去され、円胴内は乾いた状態
に回復される。(3)2度目の昇温サイクル(50℃ま
で)には300分(5時間)かかった。葉の中にある水
分をとばすのに一気に高温にすると、葉が焼けて変色し
たり、沸騰しようとする水分で葉がムレて質が劣化する
など不都合のあることが経験されているから、ゆっくり
時間をかけてなるべく多くの水分を蒸発させるのに30
0分は必要である。(4)2度目の排気降温(38℃ま
で)サイクルは10分を要した。10分間排気ファンは
回っていたが、バーナーは前半5分間は完全には燃焼を
停止していなかった。排気により温度が下がると共に、
2度目の昇温で乾燥対象物から蒸発した水蒸気は装置外
に排出され、円胴内はまた乾いた状態に復元した。
(5)3度目の昇温サイクル(85℃まで)は450分
をかけた。ここでも、葉の内部の水分が急激に高温にな
って葉の組織に悪影響を与えることがないよう、ゆっく
り逃散していくように配慮がなされている。(6)3度
目の排気降温(40℃まで)サイクルは25分を要し
た。3度目の昇温サイクルでの蒸発量が多く、また高温
になっている乾燥対象物を冷ますため時間を要するので
ある。(7)最後の昇温サイクル(90℃まで)は30
0分を要した。この段階では、乾燥対象中に多量の水分
はもはや残っていないが、それでも短時間での加熱は葉
の組織を損なうおそれがあるから、時間をかける必要が
ある。こうして全工程が1175分(19時間35分)
で終了し、乾燥対象は原料葉の緑色を十分に保ったまま
カサカサの完全乾燥状態(残存水分4〜6%)に乾いて
いる。この完全乾燥品は、後述のように粉砕工程にかけ
て、最終製品たる粉末にする。
【0028】図4には参考として従来の方法である一段
加熱のグラフを破線で示してある。従来の加熱法は、図
1に示した円胴とほぼ同様な炉内に多段(8段)の乾燥
棚を回転可能に設け、、その棚に敷き並べた生のニンジ
ン葉を、炉外の加熱機から熱風を送りこんで、生葉の水
分が沸騰しない温度(90℃)にまで一段で加熱し続
け、理想的にはカサカサに乾いた葉とするやり方であ
る。加熱温度の昇降はなく90℃の一定水準に保ったま
ま加熱をつづけ、また途中での排気もしない。乾燥状態
は経験上、仕上がり時間とおもわれる頃に目視して確か
める。従来の方法では、破線グラフで示すように、数時
間かかって90℃に達しても、原料葉はなお水分を多量
に含んだままで、乾燥(脱水)はなかなか進まない。2
0時間で中を覗いても乾燥対象はまだ生乾きであった。
24時間でようやくカサカサ状態に達したので炉を開け
た。しかし、この乾燥品は、葉の色が悪く、黒茶色に焦
げた部分があったり、生葉が乾燥するまでにムレてしま
って変色した跡があったりして、良質の乾燥品ではなか
った。
【0029】図5は、外気の湿度が非常に高い(相対湿
度90%)曇天時に生ニンジン葉を本発明の昇温−排気
降温サイクルで乾燥させた例のグラフ(実線)と、同一
条件下で従来の方法で乾燥させた例のグラフ(破線)で
ある。縦軸は温度℃、横軸は時間(分)を表わす(横軸
は図4よりやや縮めてある)。図5における本発明方法
の図4との違いは、まず(1)最初の昇温(45℃ま
で)に95分を要した点である。外気の湿気がバーナー
を通じて取り込まれるため、所定温度に達するのに時間
がかかる。(2)最初の排気降温(37℃まで)、
(3)2度目の昇温(50℃まで)、(4)2度目の排
気降温(38℃まで)、(5)3度目の昇温(85℃ま
で)及び(6)3度目の排気降温(40℃まで)は図4
の例と同様であったが、(7)最後の昇温(90℃ま
で)は1.9倍の時間(570分)を要した。これも外
気が湿っているためである。全工程は1455分(24
時間15分)を要した。しかし、仕上がり品は、図4の
産物と変わらず葉の色が緑を保ってカサカサに乾いた良
質の完全乾燥品であった。これに対し同一条件下での従
来例(破線グラフ)は、30時間を要して乾燥度はカサ
カサに達したが、葉の色は焦げ跡、ムレて変色した跡が
多く見られ、不良品であった。ここから、生ニンジン葉
から良質な完全乾燥品を得るには、本発明による数次の
昇温−排気降温サイクルを実施することが必須要件であ
ることが認められる。
【0030】本発明は、前記のように、加熱乾燥時間の
短縮と、大量原料の有効保存を実現することを第2の課
題としている。これに応えるのが次に図6〜図8に示す
自然乾燥を利用した一次乾燥・保存法である。図面を参
照しつつ本発明(第2発明)のこの実施例を説明する。
図6は、この一次乾燥・保存法を行なうための一次乾燥
部を構成するハウス本体30の外観を示している。ハウ
ス本体30は、農園芸用ビニールハウスと同様に組立て
られ、その屋根部分には直射日光を遮蔽するため遮光シ
ート31が被せられる。ハスウ内には或る程度の温度が
必要であるが、強い直射日光に長時日照らされると、生
原料葉がムレたり、しおれたりして弱り、変色し腐敗し
て品質が劣化するからである。なお、生原料葉を一次乾
燥のためでなく、直接加熱乾燥装置へ入れるまでの一時
だけハウス30に入れて置くような場合は、遮光シート
はなくても大丈夫である。ハウス本体30の寸法は、一
例として間口Xが約4.5メートル、奥行Y約22メー
トルが適当であるが、寸法はこれに限らず、特に奥行
は、後説するように必要に応じ容易に延長することがで
きる。
【0031】このようなハウス本体30内に、図6に示
すように、一次乾燥用の2列の棚列32が設置される。
図6では、1列目に32−1、2列目に32−2の符号
をつけてある。棚列32は、ハウス本体の間口を拡大す
れば、3列又はそれ以上とすることができるが、1棟の
ハウス内にあまり多数列を設けるよりは、2列程度の棚
列を有するハウスの奥行を廷長するか、或いはハウスの
棟数を増設する方が実際的である。
【0032】各棚列32は、図7に具体的に示す構造の
通風保存棚36の多数を奥行方向に縦連設し、これを2
段として構成されている。棚列32の巾Wは約1.2メ
ートルとし、棚列の長さは、ハウス本体30の奥行Yと
同等とする。各棚列の間には90cm程度の中央通路3
3を設け、両側には60cm程度の側通路34、35を
設ける。中央通路及び側通路は、作業の便宜のためと、
十分な通風確保のためである。ハウスの両端の間口開口
部は通常開放とし、自然の風がハウス内を吹き抜けるよ
うにする。そのためハウスはその設置場所に通常吹いて
いる風の向きにハウスの長手方向(奥行Y方向)を揃え
るとよい。なお、強い雨や雪に備えて、両間口をふさぐ
遮蔽シート(図示してない)を別に用意する。遮蔽シー
トはハウスを完全密封するためではなく、適当な通気孔
を設けておくのがよい。
【0033】図7に、棚列32の構成単位となる通風保
存棚36の1例を示す。この通風保存棚36は、一対の
縦フレーム37と一対の横フレーム38で構成される長
方形の中に縦と横の数本の支杆39、40を固設し、そ
の上に金網41を張りわたして構成される。図7で金網
41は、図示の便宜のため、上方に分離して部分的にだ
け略示し、輪郭は鎖線で示してある。金網の大きさは、
縦フレームと横フレームの上を覆い、縁を若干折り曲げ
て、縦横フレームに固定できるだけの寸法とする。縦フ
レーム37、横フレーム38は、例えばアングル材、チ
ャンネル材等で製作すればよく、また支杆39、40は
鉄丸棒又は帯鉄を使用すればよい。金網41は、乾燥
(半乾燥)したニンジン葉等原料の細片がこぼれ落ちな
い程度の穴、例えば穴径4cm程度の普通の金網、又は
同等な穴と強度を有するプラスチック網を使用すればよ
い。通風保存棚36の巾Wは1.2m、長さLは2mと
するのが好適である。この単位長さの通風保存棚36を
11個連設すれば、ハウス本体30の長さY=22mと
なる。もしハウス本体30の長さ(奥行)を増設する場
合は、この単位長さ(2m)の整数倍、例えば8m延長
して4個の通風保存棚(2列2段なら計16個)を増設
するようにすればよい。
【0034】このような通風保存棚36を使って、一次
乾燥部の2段の棚列32を構成する一例を図8に示す。
まず、地面E上に支柱42を、通風保存棚36の巾Wに
同等な巾Wで、かつ通風保存棚36の長さL(図2参
照)を載せるに足りる間隔で2対(4本)立設する。好
適に、安定をはかるため、支柱42の下には台座43を
置くとよい。立設した4本の支柱42の上に1段目の1
個目の通風保存棚36を載置する。通風保存棚36の後
端(ハウス本体内部側、図7で右方の端部)は、図7の
右方に鎖線で示した支柱42から理解されるように、支
柱上面42uの半分くらいに載せ、次に連設される2個
目の通風保存棚の端部を載せるスペースを残す。2個目
と3個目の通風保存棚の連設部も同様に1本の支柱42
の上面に2個の通風保存棚の端部を隣接して載せる。必
要に応じ、通風保存棚36の撓みを防止するため、通風
保存棚36の長さ(L)方向の中間あたりに支柱42を
追加してもよい。こうして所定数の通風保存棚(例えば
22個)を所定数の支柱42(例えば最少で23×2)
上に載置して1段目を完成させる。ついで、その上に図
8に示すように1段目と同様にして所要数の台座45と
支柱44とを置き、その上に2段目の通風保存棚36の
所定数を載置していき、2段目を完成させる。中間に支
柱44を追加してもよいことは1段目の場合と同様であ
る。図8は完成した2段棚列32の正面図である。
【0035】支柱42、44は基本的に同じものでよ
く、材料は木材(角材)、コンクリート柱、鉄角パイプ
等々を使用できるが、好適にはコンクリートブロック、
特に穴あきブロックを用いるとハウス内の通風を妨げな
いのと、安定がよいので好適である。1段の高さhは4
5cmくらいとし、2段で約90cmの高さとするの
が、通風保存棚36上の作業(原料の分配、取り集め、
等)に都合がよい。この高さに対応し、ハウス本体30
の一番高い部分は約2mくらいとするのがよい。台座と
支柱、支柱と通風保存棚とは、ハウス本体を分解する時
の便宜のため、固着しない方がよいが、安定のため仮止
めくらいはしてもよい。こうして、通風保存棚を縦に連
設し2段に積んだ棚列32を2列設置したのが、図6に
示す一次乾燥部たるハウス本体30である。ここで実施
される本発明方法の一次乾燥段階については後述する。
【0036】以上に例示したような一次乾燥部30と前
記した加熱乾燥装置1(ここでは二次乾燥部となる)を
使用して実施する第2の本発明の方法について、以下説
明する。本発明においては、前記のようにニンジン葉の
ほか、セリ、パセリ、セロリー等のセリ科植物、マルバ
トウキやセンキュウの葉等も大量生産方式で乾燥粉末化
されるが、以下の説明では、特に断らない限り「ニンジ
ン葉」で他の原料も代表して表わす。まず、一次乾燥部
については、生育場所から採取されたニンジン葉を、例
えば約10kg容量の箱(好適にプラスチック製コンテ
ナ)多数にほぼ等量ずつ入れて一次乾燥部30へ搬送す
る。葉をきれいにしたのち、一次乾燥部に多段多列に設
けた通風保存棚36の上に、葉をなるべくスキマなく、
しかし互いになるべく重なり合わないように、薄く平ら
に敷き並べる。前記のような寸法の1単位の通風保存棚
36の場合、その1単位上に約8kgの生葉を載せるの
が好適である。季節や天候により棚単位あたりの可載量
は適当に、例えば10%前後増減する。
【0037】1回の処理量が生葉で大体300〜400
Kgくらいの場合なら、一次乾燥部は1列に11個の通
風保存棚、2段2列で44個(計約350kg載置可
能)の通風保存棚で構成すればよい。1回の処理量が5
00kgを超えるような場合は、1列に16個、2段2
列で計64個の通風保存棚(計約512kg載置可能)
を用意すればよい。この場合一次乾燥部のハウス本体の
奥行は32mとなる。原料の収穫予想量が多く、1度に
搬入されるのが1トン前後と見込まれるような場合は、
このようなハウス本体(奥行32m)を2棟設置すれば
よい。さらに、収穫量の増大が見込まれる時は、それに
応じ、既設のハウス本体の長さ(奥行)を延長したり、
新しいハウス本体の棟数を増加すればよい。いずれにし
ても、本発明(第2発明)の一次乾燥部は、例えば工場
内空き地や休耕中の畑など場所さえあれば設置するのも
撤去するのもきわめて簡単急速かつ比較的安価にできる
から、一次乾燥部は過大に常設しておかなくても、その
年の収穫予想量や搬入量に応じて容易に拡大−収縮する
ことができる利点がある。
【0038】通風保存棚の上に敷き並べたニンジン葉の
経時乾燥状態を説明する。試験は、約440kgのニン
ジン葉(この場合はニンジンのみ)を、1列14個の単
位通風保存棚、2段2列で計56単位の通風保存棚上に
ほぼ均等に薄く敷き並べた。 最初(1日目)は葉が緑色でハリがある(生の新鮮
さ)。 3日目:葉の全重量は約360kgに減少(脱水)し、
カサ(嵩)は約60%に減少し、触感はシナシナしてい
るが、緑葉の色は最初のまゝである。 6日目:重量は約310kgに減少、カサは約50%に
減少、シナシナであるが依然緑葉色は保持されている。 10日目:重量約300kg(当初の約68%)に減
少、カサ約50%、緑葉色のまゝ脱水化し、これ以上は
自然乾燥では脱水しない「限界含水量」に達している。
この間、原料葉のムレや、茶色等に変色することなどの
不具合は見られなかった。この300kgの一次乾燥品
は、二次乾燥を経て良質な乾燥粉末を生じた。この10
日間の外気温は、最高で15℃、最低5℃、天候は雨又
は曇りであったので、一次乾燥の仕上がりに当初は不安
があったが、結果は成功であった。
【0039】ついで、異なる10日間(外気温25℃〜
10℃、晴又は曇)で同様な一次乾燥試験をした。当初
のニンジン葉原料の重量は同様に440kg。新鮮なハ
リがある緑葉色である。これを同様に通風保存棚上に薄
く平均に敷き並べた。 3日目:重量300kgに減少。カサ約50%に減。天
気がよく、気温が高いため、脱水が早い。感触はシナシ
ナで、緑葉色を保っている。 6日目:重量225kgに減少。カサは約40%に減
少。依然、緑葉色のままであり、ムレや変色はない。 10日目:重量は210kg(約48%)に減少。カサ
は当初の約40%。緑葉色をよく保っている。1回目の
試験より総じて天気がよく、気温が高かったため、限界
含水量までの脱水化はより進んだ。途中、曇天がなけれ
ば限界含水量はもう少し低くなると見込まれる。
【0040】上記のように本発明の一次乾燥部において
限界含水量にまで脱水された一次乾燥品は、気温が15
〜20℃前後で通風が確保されていれば、その後さらに
20日から30日又はそれ以上の間、通風保存棚上に敷
き並べたままにしておいても吸湿による重量増や、変
色、カビ、腐敗等不具合を生じないことが認められた。
すなわち本発明の一次乾燥部は、一次乾燥を行なうと共
に、きわめて低コストで有効な保存機能をも行なうもの
である。ここでの主要な注意点は、通風保存棚上への十
分な通風を確保すること、通風保存棚上の葉の敷き並べ
方が密になったり厚くなったりしないよう、薄く平均に
敷き並べておくことである。こうして、本発明の方法
は、従来のように大型保冷室や冷蔵庫など過剰設備に投
資することを不要にし光熱費や燃料代その他の操業費の
大幅節約を可能にするものである。
【0041】同様な設備と手順で、パセリの一次乾燥を
行なった。この場合、前記2回目と同様な天候条件の
下、8日間で、ニンジン10日目と同様な緑色を保った
脱水化状態(限界含水量)の一次乾燥品(重量で生の約
45%、カサは約40%に減)を得ることができた。こ
の結果の産物を二次乾燥(昇温−排気降温サイクル)に
かけた例を後記の図10に示してある。また、セロリー
(葉と茎を一緒に)を同様な一次乾燥試験に供したとこ
ろ、15日でニンジン葉と同等な緑色脱水化状態(限界
含水量)の一次乾燥品(重量で生の約55%、カサは約
45%に減)が得られた。セロリーの場合は、茎が太い
ことが日数のかかる原因である。これらセロリー及びパ
セリの一次乾燥品も一次乾燥部内の通風保存棚上に置い
たままその後20日以上良好に保存され、重量の戻りや
変色、腐敗等は起きなかった。
【0042】このほか、同様な一次乾燥設備を使って前
記2回目と同様な天候条件の下で、セリ、センキュウの
葉、マルバトウキの葉の生原料の一次乾燥試験をした。
これらは平均的にニンジン葉より1〜3日早く緑色脱水
化状態(限界含水量)の一次乾燥品(重量で45%に、
カサで40%に減)になり、その後30日間良好に保存
された。
【0043】本発明の一次乾燥段階は、以上説明のよう
に、基本的に自然の通風と適温を利用して行なうもので
あるが、状況によって人工的通風手段を補助的に利用す
ることもできる。例えば、自然の風が極端に少なく(風
速ほとんど0メートル)、気温が上がってハウス本体内
に湿気がこもってしまうような時は、大型送風機を風が
ハウスを通り抜けるようにして使用し、原料葉の早期脱
水を促進するとよい。ただし風が原料葉を吹き飛ばすほ
ど強いものであってはならない。
【0044】また、外気温が低すぎる時、例えば日中の
最高気温が10℃に達しない日が数日も続くような時、
或いは湿度が異常に高く、ハウス本体内の天井や棚、そ
して原料上に結露が生じやすい時などには、送風機能つ
きストーブを使って温風を通風保存棚に送るようにする
とよい。結露が乾燥中の原料葉の上に滴り落ちると葉の
品質を損ない、有効成分の劣化を起こすからである。
【0045】さらに、雨や雪が降った時は、ハウス開口
部(間口)を遮蔽シートで塞いでハウス内へ余計な水分
が侵入しないようにする必要がある。また、台風のよう
な強風の時も遮蔽は必要である。このような場合は、前
記したような人工的通風手段や温風の補助的使用で切り
抜けることが好ましく、そのためには間口の少なくとも
一方は完全に遮蔽せず、排気ができるように通気孔を設
けておくのがよい。
【0046】所定の限界含水量に仕上がった一次乾燥品
は、次に二次乾燥段階に送られる。二次乾燥段階は先に
図1〜図3に示したような、或いは同等な他の、加熱乾
燥装置内で行なわれるが、以下の説明では図示の加熱乾
燥装置1を使用した例について述べる。まず、乾燥装置
の扉16を開け、乾燥棚21の上に「限界含水量」に達
している一次乾燥品を互いに重ならないようになるべく
薄く平均に敷き並べる。一例として、乾燥棚21が1m
×2mの寸法である場合、1枚の棚21には5〜10k
gの一次乾燥品(生葉に換算して10〜20kg)を敷
き並べるのが実際的である。すべての棚21に一次乾燥
品(最大80kg、生葉換算160kg)を敷き並べて
材料の装入を終わったら、扉16を閉じて加熱を開始す
る。本発明における加熱乾燥は、前述したように一気に
直線的に昇温するのではなく、数次の昇温−排気降温を
繰り返しつつ最高でも装入原料を焦がすことのない温
度、例えば約90℃まで達したら終了するように、昇温
−排気降温サイクルを定める。具体的には、前述した図
4のグラフに示したサイクルと同様な昇温−排気降温サ
イクルにセットして晴天10日で一次乾燥した原料の二
次乾燥段階を行なった。この結果の温度と時間の関係を
図9のグラフに示す。装入された一次乾燥品は緑色を保
ったまま限界含水量にまで乾燥されていることから、4
段階の昇温(45、50、85、90℃)、特に2段階
以降は図4の場合に比べ半分近い短時間で完了し、全工
程は685分(11時間25分)で終了した。この結果
得られた二次乾燥品は一次乾燥品に保持されていたのと
同等な緑色をみごとに保った、焦げつきや、変色変質の
ない極めて良質な完全乾燥品(残留水分4〜6%のレベ
ル)であった。
【0047】同様な一次乾燥品(曇天10日で限界含水
量に達した)を同量用い、二次乾燥段階を行なった例を
図10のグラフに示す。この場合、2度目の昇温−排気
降温までは前例と同様に推移したが、3度目の昇温(8
5℃まで)は300分(70分オーバー)かかった。し
かし、意外なことに、この3度目の昇温に時間がかかっ
たことから乾燥対象(一次乾燥品)からの水分蒸発はよ
り進行し、最後の昇温(90℃まで)は却って前例より
短時間(155分)で終了した。全工程の所要時間は、
730分(12時間10分)であった。得られた完全乾
燥品は、前例と同様、もとの緑色をみごとに保って焦げ
つき変色等のない極めて良質な産物であった。
【0048】こうして、残留水分4〜6%の完全乾燥品
にまで仕上げる二次乾燥段階の時間は、装入する一次乾
燥品の量、限界水分量などによっても変化するが、おお
むね8〜12時間の範囲に収まる。一例として、本発明
の一次乾燥段階を経て重量で50%に減量した一次乾燥
品例えば200kg(生原料で400kg相当)を本発
明の加熱乾燥装置に装入した場合は約12時間前後で完
全乾燥品が得られる。この例で完全乾燥品の重量は約3
5kgである。従来のように生原料をいきなり高温加熱
炉に入れた場合は同様な乾燥度を得るために24時間又
はそれ以上の連続加熱が必要で、時間が倍以上もかか
り、しかも得られた産物は変色や劣化があって良質とは
認められなかったが、本発明(第2発明)の方法、即ち
一次乾燥段階を経る方法は、加熱時間が約半分又はそれ
以下に短縮されるだけでなく、加熱乾燥装置には生葉に
換算して約2倍の材料を装入して約半分の時間で完全乾
燥品を得られるから、従来の方法と同じ操業時間で比べ
れば、4倍もの生産量を上げられるという、まさに工業
的大量生産に最適の利点がもたらされるのである。
【0049】以上のように、一次乾燥段階(第2発明)
を経た、又は経ない(第1発明)で加熱乾燥装置で乾燥
された完全乾燥品は、加熱乾燥装置から取り出し、粉砕
工程に移される。この完全乾燥品は、緑色を保ったまま
カサカサに乾いていて、葉と茎がまだつながっているも
のが多いが、これをいきなり微粉砕工程にかけるのでは
なく、まず粗粉砕するのが好適である。粗粉砕は、加熱
乾燥装置から取り出した完全乾燥品を平らなシート上に
あけ、上から別のシートをかけ、その上から加圧して行
なう。加圧は、ロールかけ、プレス機による圧迫など、
又は場合によっては人力で踏みつけるなど、によって行
なうことができる。粗粉砕された細片は、ついでさらに
微粉砕される。微粉砕工程は、例えば40メッシュのふ
るい板上に粗粉砕片をあけ、その上から適宜用具(例え
ば、T字形摩砕棒)を往復動させ摩擦圧迫して微粉を生
じさせ、微粉はふるい下に落として製品として回収し、
残滓はふるい上から取り分ける。前記した例(約35k
gの完全乾燥品)で、最終製品は約30kgが得られ
る。用途によって微粉砕工程は150メッシュパスの微
粉とすることもできる。
【0050】本発明の方法は、ニンジン葉以外のセリ科
植物にも適用される。図11は、パセリの生葉(茎の細
い部分も含む)を図1に示したような加熱乾燥装置(第
1発明)で昇温−排気降温サイクルにより乾燥させた例
の温度と時間の関係を示すグラフである。曇天で湿度が
高い日に、採取したばかりの生のパセリ葉を乾燥棚21
の上に薄く平均に敷き並べ(総量160kg)、加熱装
置のバーナー3を燃焼始動させる。最初の設定温度(4
5℃)に達するのに95分かかった。そこでバーナーの
燃焼を止め、排気ファン6を回して排気降温させる(5
分)。再び燃焼を開始し、第2の設定温度50℃にまで
150分かけて昇温させる。ここで排気ファンを回し、
バーナーの燃焼を止めて第2の低温38℃まで降温させ
る(10分)。3度目の昇温は320分かけて85℃ま
で上げる。3度目の排気降温サイクルは25分である。
ここまでは生のニンジン葉の場合(図4)より短い時間
である。最後の昇温90℃までは逆に470分で、生ニ
ンジン葉の場合より長くかかった。総計1075分(1
7時間55分)で、原材料の生の葉と同様な緑色を保持
した、香りのよいパセリ完全乾燥品が得られた。
【0051】同量の生パセリ葉を、本発明の一次乾燥段
階で前述のように8日間一次乾燥させて、原重量の約半
分に減量した一次乾燥品を、上記と同じ加熱乾燥装置に
より完全乾燥させた例のグラフを図12に示す。処理日
は同様に湿度の高い曇天の日であった。途中の排気降温
サイクルを除き、4回の昇温サイクル時間は、すべて図
11の例より短く、総計645分(10時間45分)
(6割)の時間で残留水分約4%の完全乾燥品に仕上が
った。外観はもとの緑色をきれいに保っていて、パセリ
の香りも強く残っていた。
【0052】ところで、これまでニンジン葉の乾燥粉末
が消臭作用を有することは知られているが、どのような
成分がそれに関与しているかは不明であった。そこで本
発明者はニンジン葉乾燥粉末のGC−MS(ガスクロマ
トグラフ=マススペクトル)分析を行なってニンジン葉
に5%以上含まれている主要成分として9種類あること
を見出した。そのうち消臭その他の作用に特に関係ある
と推定される有効成分にセスキテルペン系炭化水素と、
4−メチル−4−ヘプテン−3−オンがある。本発明の
方法により一次乾燥段階と二次乾燥段階とを適正に実施
して得られたニンジン葉乾燥粉末と、本発明から外れた
乾燥粉末(例えば、加熱乾燥炉で一気に高温にし長時間
加熱した例)とでは、実際に消臭作用に違いがあり、本
発明品は口臭その他の異臭悪臭の消去作用が強力である
のに、非発明品では期待された消臭効果が得られないと
いう事実が認められた。例えば口に入れた時の味でも本
発明品は香ばしさがあるのに対し、非発明品はとてもま
ずいという感じであった。この差は上記有効成分の変化
にあると推測されたので、これを実証するため以下のよ
うに本発明品と非発明品とについてGC分析を行なっ
た。
【0053】本発明品(A)として、ニンジン葉(生4
40kg)を一次乾燥10日間(ほとんど晴天、気温1
5〜25℃)で重量200kgにした(約45%に減
量)一次乾燥品を、加熱乾燥装置で昇温−排気降温サイ
クル(図9)により残留水分4%にまで完全乾燥した約
35kgを、40メッシュパスで30kgとしたものを
使う。非発明品(B)は、ニンジン生葉440kgを加
熱乾燥炉に入れ、いきなり90℃にセットして24時間
加熱乾燥し、残留水分4%とした乾燥品40kgを40
メッシュパスで30kgとしたものを用いた。以上のよ
うな本発明品(A)と非発明品(B)のそれぞれ4.0
gをメタノール10.0mlに入れ、室温で30分間よ
く振りまぜ、一夜放置した後、上澄液を取ってGC分析
を行なった。本発明品(A)と非発明品(B)のガスク
ロマトグラムを図13と図14に示す。本発明品(A)
のグラフ(図13)において、 ・ピーク5はセスキテルペン系炭化水素(保持時間1
7.38分)、 ・ピーク6は保持時間19.71分のセスキテルペン系
炭化水素、 ・ピーク10は4−メチル−4−ヘプテン−3−オン
(同24.24分)、 ・ピーク12は含酸素セスキテルペン(同29.34
分) である。図14は、本発明から外れたニンジン葉乾燥粉
末(B)の同様なグラフを示し、ピーク5,6,10,
12はそれぞれ図13と同じ成分を表している。本発明
品(A)と、非発明品(B)におけるこれら各成分の相
対割合を表1に示す。なお、図13、14に示すその他
のピークは、ピーク1が1−プロパノール、ピーク17
がパルミチン酸、ピーク20がマーガリン酸、ピーク2
2〜23がリノール酸、ピーク24がリノレン酸であ
り、いずれも前記した9種類の主要成分のうちである。
【0054】
【表1】
【0055】前記表1から明らかなように、消臭作用が
低下している非発明品(B)では有効成分と見られたセ
スキテルペン系炭化水素と、4−メチル−4−ヘプテン
−3−オンとが本発明品(A)に比し大きく減少してい
る。ここに本発明の方法、特に昇温−排気降温サイクル
を経る乾燥法が、単にニンジン葉等の乾燥粉末の大量生
産に適しているだけでなく、有効成分を減殺しないで良
質の乾燥粉末を製造するのに適した方法であることが示
されている。
【0056】上記と別の本発明品(A’)として、生ニ
ンジン葉440kgを一次乾燥で10日間(このうち曇
天7日、雨3日、平均気温10〜13℃)乾燥させた一
次乾燥品(約300kg、約68%に減)を、曇天の日
に本発明による昇温−排気降温サイクル(図10)で約
12時間二次加熱乾燥し、38kgの完全乾燥品(残留
水分5%)とした上、40メッシュパスで約33kgの
粉末としたものを用意した。この本発明品の粉末
(A’)のメタノール溶液を前記同様GC分析に供した
ところ、ピーク5で4.0(%)、ピーク6で3.8、
ピーク10で4.8、ピーク12で6.0の値が得られ
た。この本発明品(A’)も、消臭作用、その他後記す
るような種々の用途において前記本発明品(A)と同様
な優れた効果が認められ、非発明品(B)にまさること
が認められた。
【0057】本発明の昇温−排気降温サイクルを経て生
産された有効成分を適切に保持しているニンジン葉その
他の乾燥粉末の用途について、本発明者は従来の研究を
超える成果を確認している。本発明により得られた乾燥
粉末は、(a)粉末そのもの、(b)これのアルコール
抽出物、(c)これをさらにフリーズドライ等によりア
ルコール成分をとばした固形分、のいずれの形でも使用
することができ、これら(a)(b)(c)のいずれか
又は全部を主剤として種々な外用剤を調製することがで
きる。例えばワセリン、軟膏、クリーム基材、美顔用パ
ック剤、歯みがき剤或いは湯又は水などを助剤又は基材
として主剤に混用し、各種の用途に有効に使用すること
ができる。各種の用途とは、手や顔の消臭(しみこんだ
便臭、体臭、手についた魚臭や漬物の臭い等々の消去)
及び殺菌のための洗滌、アトピー等による皮膚の強力即
効的痒み止め、ブドウ球菌やMRSAなどの除菌殺菌、
これらを含めた洗顔剤、毛髪の消臭、汗臭ワキガ臭の消
臭、口臭の除去、口内殺菌、皮脂(特に頭皮の)除去、
等々を広く包含する。消臭や殺菌は人間に限らずペット
その他の動物にも応用することができる。鶏の飼料に本
発明の乾燥粉末を混入して与えると卵黄の着色が増し卵
の生臭さが消える。同様に、羊や鶏に本発明の乾燥粉末
混入飼料を与えると羊肉、トリ肉の臭いを減少させるこ
とができる。痒み止めに関しては、特にニンジン葉乾燥
粉末の効果が顕著であり化粧用クリームにニンジン葉乾
燥粉末を混入して痒いところに数日塗布することにより
症状が消えた実例が数多く認められている。本発明の乾
燥粉末のアルコール抽出物からアルコールをとばした後
の粉末をクリーム基材等に混入するとよい。粉末スクワ
ランに混入して使用時に水に溶かして使用しても良好な
痒み止め皮膚外用剤になる。また粉末(a)又は抽出物
(b)、抽出固形分(c)の形で浴槽に入れ、浴剤とし
て上記目的の用途に使用することもできる。口中に消臭
殺菌のため使用する時は、普通の歯みがき剤に粉末
(a)、特に40メッシュパス粉末を混入すると、粉末
のザラザラが磨き剤としても働く。さらに、本発明の乾
燥粉末をカーボンブラックに混入しジェル状に加工する
と、消臭作用のあるはげ隠し剤や白髪染め剤として使え
る外用剤になる。
【0058】本発明のニンジン葉その他の乾燥粉末は、
抗菌消臭の目的で、粉末状又は液状洗剤(台所用、洗濯
用とも)、石けん、シャンプーなどに混入して使用する
ことができる。液体洗剤に混用する時は、乾燥粉末の抽
出物(アルコール抽出物等)を混合すればよい。粉末状
洗剤に混用する時は、乾燥粉末そのものを混合すればよ
い。40メッシュパスの粉末は多少ザラザラした感触が
あるので、これがかえって汚れを物理的に掻き落とすの
に効果がある。ザラザラ感をなくすためには、100メ
ッシュパス以上、例えば150〜200メッシュの微粉
を用いればよい。石けんにも同様に乾燥粉末を所要の粒
度で混用することができる。また、シャンプー(頭髪
用、ボデー用とも)の場合は、乾燥粉末の抽出物液体を
シャンプーに混用すればよい。洗剤、石けん、シャンプ
ーいずれの場合も、本発明の乾燥粉末は、消臭効果に優
れていて、特にニンジン葉の乾燥粉末は、抗菌作用もあ
ることが実証されている。その他の葉の乾燥粉末も同様
成分を含有していることから同様な作用効果が期待され
る。消臭においては、特に油成分を消臭する作用が顕著
であり、食器についた油臭、衣服についた油臭、また頭
髪や手足についた油臭の除去に強力な作用を発揮する。
混入割合は、対象基材(洗剤、石けん、シャンプー)が
液体固体いずれでも、対象100に対し5〜30%(重
量)の範囲で混入すれば、基材の効用を損なわず、かつ
十分な抗菌消臭効果が発揮される。
【0059】本発明のニンジン葉その他の乾燥粉末は、
内用剤としても服用することができる。効用は、胃の荒
れの防止・回復、乗物酔いやつわりの吐き気の解消、二
日酔いの解消、服用による体の痒みの解消、ガングリオ
ン(手や足の腱鞘にできる結節腫)の解消、胃がん・心
臓・胃・大腸・咽喉の変調改善、肝臓障害(アルコール
障害)や化学薬品服用時の胃痛等の副作用防止、口臭・
二日酔い臭・便尿臭の消臭等々である。例えば二日酔い
や農薬散布作業後の嘔吐感(胃の荒れに起因)は、ニン
ジン葉乾燥粉末約5gをコップ1杯の水で服用すること
で20分で症状が消え食欲が出た実例がある。乗物酔い
やつわりに対しても乾燥粉末を水又は湯で飲んでもよい
が、ニンジン葉粉末を適当なバインダー(例えば酵素な
ど)で固形化した錠剤とすれば携行にも便利で服用も簡
単である。水や湯で飲むのと同様に、本発明の乾燥粉末
を牛乳やジュース、シロップその他清涼飲料水と一緒に
飲んでも意図した効果がある。このような内用剤は、胃
の荒れに対してだけでなく、皮膚の痒み止めにも顕著な
効果がある。例えば軽いアトピー性皮膚炎で背中が痒
く、ひっかき傷をつくってしまうほどであった人が、本
発明のニンジン葉乾燥粉末を朝昼晩各2gずつ飲んだ
(水又は湯で)ところ長い間とれなかった痒みが1ケ月
で止まり、やがてひっかき傷もきれいに消えた。症状に
よっては1日10gまで飲んでも副作用のないことが確
認され、20日前後で痒みがとれた。総じて本発明のニ
ンジン葉その他の乾燥粉末は、消化器系或いは循環器系
の不調を改善する目的のため粉末、液体、錠剤又は固形
物の形の内用剤として健康食品的に常用することにより
効果を発揮する。ここで“固形物”とは、例えばキャン
デー、ガム、グミなどの菓子類、麺類(うどん、そば、
ひやむぎ、ラーメン等)、飯類(米飯、麦飯、雑穀飯
等)に本発明の乾燥粉末を混入した固体状の食品をい
う。
【0060】本発明のニンジン葉その他の乾燥粉末は、
特に消臭作用の点に着目して消臭食品の製造に利用する
ことができる。ここで消臭食品とは、或る食品の味は損
なわずにその特有の臭いを消して食べやすくした食品
(消臭済食品)をいう。(1)例えば、ニンニクを粉末
にし、これにニンジン葉乾燥粉末を2:1から1:2の
割合で混合した消臭ニンニクがその一例である。これを
粉末のまま、又は錠剤に固めて食用に供することができ
る。この消臭ニンニクは、ニンニク特有の臭み(ジアリ
ルジスルフィド)が消えていて、舌に強烈な刺激性はな
く、しかし本来のニンニクのうまみ成分は損なわれてい
ないので、料理の味付けに広く使用することができる。
また消臭ニンニクそのものを健康食品として摂取しても
よい。このように無臭化したニンニク成分と卵油を混ぜ
た無臭ニンニク油は優良な健康食品となる。(2)消臭
食品の第2例は、消臭魚油、消臭肝油である。ここで魚
油とはDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とする油
性食品である。DHAは脳の働きに重要な栄養成分とし
て知られ特に乳幼児の時からこれを摂取すると頭脳の発
育発達によいとされている。しかし、現実に魚介類やウ
シ肝臓から取ったDHA剤又は食品は、特有の強い臭い
が鼻をつくので、あまり好まれない。このような魚油製
品に対し本発明のニンジン葉その他の乾燥粉末を、粉末
対粉末で2:1〜1:2、好適には1:1の割合で混入
すると、特有の悪臭が消え、栄養価は損なわれることな
く、気分よく食することができる。魚油と同様に、肝
油、特にタラ肝油にも本発明のニンジン葉その他の乾燥
粉末を消臭成分として添加し、消臭健康食品とすること
ができる。(3)消臭食品の第3例は、コンニャク製
品、特にダイエット用として市販されているコンニャク
粉である。これを、処方通りに水又は湯に溶かしたもの
は、生臭い不快臭があって、とても口に入れにくい。こ
の粉9:ニンジン葉末1の割合で混合したものは、不快
臭のない、若い女性でも抵抗なく飲める消臭ダイエット
食品になる。(4)さらに、ギョウザ、ラーメン、アリ
ナミン剤などに本発明の消臭性乾燥粉末を混入してそれ
ぞれの特有の臭いを消した消臭ギョザ、消臭ラーメン、
消臭アリナミンなども本発明の消臭食品といえる。
(5)消臭した食品としては少し範疇外であるが、その
他本発明の消臭性乾燥粉末を味噌汁に混入すると、葉に
含まれるカルシウムなどの栄養補給にもなると共に消臭
作用があり、生臭みを消すフリカケとして食用すること
で例えば老人介護室などの消臭に効果がある。
【0061】本発明のニンジンその他の乾燥粉末は、消
臭性繊維製品に利用することができる。消臭性繊維製品
とは、紙又は布と本発明によるニンジンその他の乾燥粉
末とを組み合わせて消臭作用を発揮させるようにしたも
のである。(1)その第1例は消臭性包装紙である。こ
れは、紙(和紙でも洋紙でも)の一面に本発明のニンジ
ンその他の乾燥粉末をノリ剤で塗布固着し、その上から
別の紙をかぶせてサンドイッチ状にしたものである。消
臭性包装紙は、例えば生魚や強烈な臭いを発散する漬物
などを包装するのに使用すると異常悪臭を周囲にまき散
らすことがなく、安心して携帯することができる。
(2)第2例は、消臭性トイレットペーパー・ティッシ
ュペーパー類である。この中には化粧用の油取り紙も含
まれる。製紙された紙製品に本発明のニンジン葉その他
の乾燥粉末を水溶液として散布した後に乾燥させて消臭
紙製品としてもよく、抄紙段階の湿紙の状態の半製品に
微粉又は細かい霧として吹きかけ、乾燥して紙組織の中
に消臭成分を閉じ込めるようにしてもよい。例えばトイ
レットペーパーであれば、使用時に便臭や尿臭を緩和消
失させることができるので、快適さが保証される。さら
に(3)消臭布巾(ふきん)など、紙又は布など繊維製
品に本発明のニンジン葉その他の乾燥粉末を消臭目的で
利用することも有望である。この範疇には、布巾に限ら
ず、下着、靴下、タオル、ハンカチ、生理洋品(ナプキ
ン)など、紙或いは布など繊維製品が広く含まれる。さ
らには、“絆創膏”や薬液を浸潤させた湿布剤(例え
ば、商標サロンパス)なども本発明の乾燥粉末を適用す
ることで消臭性繊維製品になる。いずれも、ノリ剤を薄
めて本発明のニンジン葉等の乾燥粉末を溶かし込み、こ
れを対象製品に散布又は塗布するなどの適用方法で繊維
製品に乾燥粉末を固着させることで、消臭作用をもたせ
ることができる。
【0062】
【発明の効果】(1)以上説明のように本発明は、乾燥
すべき植物葉を最終温度より低く設定した中間温度への
昇温と排気降温とのサイクルの繰り返しにより加熱乾燥
する方法を確立したから、一挙に最終高温での加熱乾燥
を続行する従来法のように葉をムレさせたり焦がしたり
する欠陥なしに、良質な植物葉乾燥粉末を安定して歩留
りよく量産することができる効果がある。(2)また本
発明は、上記のようなサイクル加熱乾燥段階の前に、自
然の通風を利用する一次乾燥段階を行なう方法と設備を
導入したから、加熱乾燥段階の工程時間を大幅に短縮し
処理量を倍加する効果を達成し、生産コストを低減する
効果を上げるとともに、一次乾燥段階がそのまま原料植
物葉の安価で信頼できる保存部としても利用できること
を実証したことから、従来のように大量に搬入された生
原料葉を劣化させたり無駄に廃棄したりする失敗なく、
加熱乾燥段階にかけるまで有効に備蓄して効率的な大量
生産を支えることができる著大な効果を奏するものであ
る。(3)そして本発明は、新たな方法で生産された良
質な乾燥粉末を今まで知られなかった種々広範な用途に
供する途を開発したから、広く公衆の生活全般にわたり
消臭抗菌その他の衛生目的にかなう恩恵を世に広める効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の昇温−排気降温サイクルを実施するの
に適した加熱乾燥装置の正面図。
【図2】図1のA−A’線における断面拡大図。
【図3】図2の加熱乾燥装置の中で使用される通気性乾
燥棚の1個と、それを受ける棚受け箱の部分斜視図。
【図4】本発明の昇温−排気降温サイクルによりニンジ
ン葉を完全乾燥する例(晴天時)の温度と時間の関係を
示すグラフ(従来例を破線で示す)。
【図5】本発明の昇温−排気降温サイクルによりニンジ
ン葉を完全乾燥する例(曇天時)の温度と時間の関係を
示すグラフ(従来例を破線で示す)。
【図6】本発明(第2発明)の一次乾燥段階を実施する
一次乾燥部の一例を示す斜視図。
【図7】一次乾燥部の棚列を構成する1個の通気性乾燥
棚を示す一部分解斜視図。
【図8】二段に重ねた棚列の正面図。
【図9】一次乾燥と昇温−排気降温サイクルの加熱乾燥
とを複合した本発明(第2発明)によるニンジン葉の乾
燥例(晴天時)の温度と時間の関係を示すグラフ。
【図10】一次乾燥と昇温−排気降温サイクルの加熱乾
燥とを複合した本発明(第2発明)によるニンジン葉の
乾燥例(曇天時)の温度と時間の関係を示すグラフ。
【図11】本発明の昇温−排気降温サイクルによる加熱
乾燥だけ(第1発明)をパセリに実施した例のグラフ。
【図12】本発明の一次乾燥と昇温−排気降温サイクル
による加熱乾燥とを複合(第2発明)してパセリに実施
した例のグラフ。
【図13】本発明のニンジン葉乾燥粉末につき実施した
ガスクロマトグラフの結果を示すグラフ。
【図14】本発明以外のニンジン葉乾燥粉末につき実施
したガスクロマトグラフの結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1…加熱乾燥装置 2…円胴 3…ジェ
ットバーナー(加熱源) 4…温度センサ(感温素子) 5…コン
トローラ(制御手段) 6…排気ファン(排気手段) 11…回転軸 15…駆動源(電動モー
タ) 16…開閉扉 21…通気性乾燥棚 22…棚受け箱 30…ハウス本体(一次乾燥部) 31…遮
光シート 32…棚列 36…通風保存棚 42、44…支柱 42u…支柱上面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/00 A61K 7/00 K 4C083 C 4C088 N 4H003 U 4L002 7/02 7/02 J 4L033 A 4L048 7/26 7/26 4L055 7/48 7/48 A61P 1/00 A61P 1/00 1/02 1/02 1/04 1/04 1/08 1/08 1/16 1/16 17/00 17/00 39/02 39/02 B65D 81/26 B65D 81/26 L C11D 3/382 C11D 3/382 D03D 15/00 D03D 15/00 E D04B 1/14 D04B 1/14 21/00 21/00 B D06M 13/02 D06M 13/02 13/10 13/10 13/184 13/184 D21H 17/02 D21H 17/02 21/14 21/14 Z 21/36 21/36 Fターム(参考) 3E067 AA11 AB01 AB02 AC01 BA17A BB01A BB24A CA30 FA01 FC01 GB15 4B018 MD07 MD54 MD61 ME08 ME14 MF06 4B035 LC02 LG04 LG32 LG37 LP22 LP24 4B048 PE01 PS02 PS13 4B069 BA08 HA06 HA09 HA19 4C083 AA111 AC211 CC05 CC07 CC24 CC38 CC41 DD31 DD41 EE10 EE18 EE34 4C088 AB40 AC05 BA10 BA32 CA06 MA52 NA14 ZA66 ZA67 ZA71 ZA75 ZA89 ZC37 4H003 DA01 DA02 DA17 FA27 FA34 4L002 AC00 EA00 FA01 4L033 AC10 BA01 BA07 BA16 4L048 AA56 CA00 DA01 4L055 AG43 AH50 BD10 BE08 FA30 GA05 GA27 GA29 GA50

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニンジン葉、セリ、パセリ、セロリーな
    どセリ科植物、又はセンキュウの葉、マルバトウキの葉
    の中から選ばれた植物葉の良質な乾燥粉末を大量生産す
    る方法であって、 加熱源と、感温素子と、排気手段と、感温素子の信号に
    より加熱源と排気手段との作動を制御する制御手段とを
    備えた囲壁内に前記選ばれた植物葉の生原料葉を通気性
    よく収納し、 加熱源を作動させて囲壁内を予め定めた最終温度より低
    い或る中間温度まで昇温させ、その中間温度になった時
    排気手段を作動させて囲壁内を排気するとともに或る低
    温まで降温させ、その低温になった時再び次の或る中間
    温度まで昇温させたのち再び排気して次の或る低温まで
    降温させる昇温−排気降温サイクルを数回繰り返し、そ
    の間に前記生原料葉から水分を蒸発させて生葉と同様な
    緑葉色を保持し有効成分を保持している完全乾燥品を予
    め定めた最終温度において得、そこで加熱を停止して乾
    燥工程を停止することを特徴とし、前記完全乾燥品をつ
    いで粉砕工程にかけることを含む良質な植物葉乾燥粉末
    の大量生産方法。
  2. 【請求項2】 前記中間温度は、第1の温度(a)、第
    2の温度(b)、第3の温度(c)から成り、これら温
    度は(a)<(b)<(c)<最終温度の関係にある請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記排気による降温はすべて、加熱開始
    時の温度より高く、第1の温度(a)より低い温度であ
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記選ばれた植物の生原料葉がニンジン
    葉であり、第1の温度(a)が45℃、第2の温度
    (b)が50℃、第3の温度(c)が85℃であって、
    最終温度が90℃である請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記選ばれた植物の生原料葉がパセリで
    あり、第1の温度(a)が45℃、第2の温度(b)が
    50℃、第3の温度(c)が85℃であって、最終温度
    が90℃である請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ニンジン葉、セリ、パセリ、セロリーな
    どセリ科植物、又はセンキュウの葉、マルバトウキの葉
    の中から選ばれた植物葉の良質な乾燥粉末を短時間で大
    量生産する方法であって、(1)前記選ばれた植物の生
    原料葉を通風のよい棚上に敷き並べ所定日数をかけて、
    生原料葉の緑色を保持したまゝそれ以上は自然乾燥しな
    い限界含水量にまで脱水化させた一次乾燥品を得る一次
    乾燥段階を実施すること、及び(2)ついで、この一次
    乾燥品を、加熱源と、感温素子と、排気手段と、感温素
    子の信号により加熱源と排気手段との作動を制御する制
    御手段とを備えた囲壁内に通気性よく収納し、加熱源を
    作動させて囲壁内を予め定めた最終温度より低い或る中
    間温度まで昇温させ、その中間温度になった時排気手段
    を作動させて囲壁内を排気するとともに或る低温まで降
    温させ、その低温になった時再び次の或る中間温度まで
    昇温させたのち再び排気して次の或る低温まで降温させ
    る昇温−排気降温サイクルを数回繰り返し、その間に前
    記一次乾燥品から水分を蒸発させて生葉と同様な緑葉色
    を保持し有効成分を保持している完全乾燥品を予め定め
    た最終温度において得、そこで加熱を停止して乾燥工程
    を停止することを特徴とし、前記完全乾燥品をついで粉
    砕工程にかけることを含む良質な植物葉乾燥粉末を短時
    間で製造するための大量生産方法。
  7. 【請求項7】 一次乾燥段階は、平均気温10〜25℃
    で7〜15日をかけて生原料葉を当初重量の約45〜6
    8%の範囲に減量するまで行なう請求項6に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 前記通風のよい棚は、直射日光と降雨降
    雪を遮蔽した屋外設備の中に1段以上、1列以上に配置
    した通風保存棚により構成される請求項6に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記通風保存棚は、生原料葉を限界含水
    量にまで通風乾燥して一次乾燥品を得るため、及び引き
    続き一次乾燥品の常温保存のために使用される請求項8
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記中間温度は、第1の温度(a)、
    第2の温度(b)、第3の温度(c)から成り、これら
    温度は(a)<(b)<(c)<最終温度の関係にある
    請求項6に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記排気による降温はすべて、加熱開
    始時の温度よりは高く、第1の温度(a)より低い温度
    である請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記一次乾燥品がニンジン葉の一次乾
    燥品であり、第1の温度(a)が45℃、第2の温度
    (b)が50℃、第3の温度(c)が85℃であって、
    最終温度が90℃である請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記一次乾燥品がパセリの一次乾燥品
    であり、第1の温度(a)が45℃、第2の温度(b)
    が50℃、第3の温度(c)が85℃であって、最終温
    度が90℃である請求項10に記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末で
    あって、消臭有効成分であるセスキテルペン系炭化水素
    と、4−メチル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が
    損なわれていないことを特徴とするニンジン葉乾燥粉
    末。
  15. 【請求項15】 前記完全乾燥品から得られた粉末のア
    ルコール抽出物のガスクロマトグラフにおけるピークの
    単純面積百分率で4.0%以上のセスキテルペン系炭化
    水素(ピーク5)、3.8%以上のセスキテルペン系炭
    化水素(ピーク6)、4.8%以上の4−メチル−4−
    ヘプテン−3−オン(ピーク10)、6.0%以上の含
    酸素セスキテルペン(ピーク12)を含有することを特
    徴とする請求項14に記載の乾燥粉末。
  16. 【請求項16】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末中
    の有効成分であるセスキテルペン系炭化水素と4−メチ
    ル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が損なわれてい
    ないニンジン葉乾燥粉末又はそのアルコール抽出エキス
    又はその固形分を主剤とし、これをワセリン、軟膏、ク
    リーム基材、美願用パック剤、歯みがき剤、着色ジェル
    剤、水又は湯から選んだ助剤に混用し、皮膚、毛髪又は
    口内に適用して痒み止め、除菌、消臭、又は皮脂除去の
    用に当てる外用剤。
  17. 【請求項17】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末中
    の有効成分であるセスキテルペン系炭化水素と4−メチ
    ル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が損なわれてい
    ないニンジン葉乾燥粉末又はそのアルコール抽出エキス
    又はその固形分を混入した抗菌消臭用洗剤、石けん、又
    はシャンプー類。
  18. 【請求項18】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末中
    の有効成分であるセスキテルペン系炭化水素と4−メチ
    ル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が損なわれてい
    ないニンジン葉乾燥粉末又はそのアルコール抽出エキス
    又はその固形分を胃の荒れ防止回復、乗物酔い・つわり
    による吐き気の解消、二日酔いの解消、痒みの解消、ガ
    ングリオンの解消、胃がん・心臓・胃・大腸・咽喉の変
    調改善、肝臓障害(アルコール障害)や化学薬品服用時
    の胃痛などの副作用防止、口臭・二日酔臭・排便尿臭の
    消臭のために服用する粉末・液体・錠剤・固形物の形の
    内用剤。
  19. 【請求項19】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末中
    の有効成分であるセスキテルペン系炭化水素と4−メチ
    ル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が損なわれてい
    ないニンジン葉乾燥粉末又はそのアルコール抽出エキス
    又はその固形分を臭気の強い食品に混入して成る、消臭
    ニンニク、消臭魚油・肝油、消臭コンニャク粉、消臭ギ
    ョウザ、消臭ラーメン、消臭アリナミンなどの消臭食
    品。
  20. 【請求項20】 請求項1又は請求項6の方法から得ら
    れた緑色を保持している完全乾燥品から得られた粉末中
    の有効成分であるセスキテルペン系炭化水素と4−メチ
    ル−4−ヘプテン−3−オンとの含有量が損なわれてい
    ないニンジン葉乾燥粉末又はそのアルコール抽出エキス
    又はその固形分を布又は紙に混入又は結合させた消臭性
    包装紙、消臭性トイレットペーパー・ティッシュペーパ
    ー、消臭性ふきん、消臭性湿布剤などの消臭性布製品を
    含む消臭性繊維製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004159547A (ja) * 2002-11-12 2004-06-10 Toyo Shinyaku:Kk 緑葉末
KR101875190B1 (ko) * 2017-10-23 2018-07-06 쓰리나이츠인베스트먼트주식회사 등차를 이용한 세제 조성물
CN109606952A (zh) * 2018-12-10 2019-04-12 内蒙古医科大学 一种蒙医药用药材无损耗式储存装置
CN112313375A (zh) * 2019-05-23 2021-02-02 前进生物有限公司 含有作为有效成分的水芹提取物的防静电组合物
CN114727927A (zh) * 2019-11-11 2022-07-08 大峰Ls株式会社 包含脂肪酸或脂肪酸衍生物的保湿或抗特应性组合物
RU2816517C1 (ru) * 2023-08-22 2024-04-01 Общество с ограниченной ответственностью "Технологии Без Границ" Способ сушки растительного сырья

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