JP2002205750A5 - - Google Patents
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Description
【発明の名称】樹脂キャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、該スカート部の外面の下端部には、外方に突出した鍔状の開封用タブが形成されており、該頂板部の内面には、前記スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定される樹脂キャップにおいて、
前記開封用タブが形成されていない部分において、スカート部の内壁面には、下端部の周方向全体にわたって、複数の係止用アンダーカットが間隔を置いて形成されており、且つスカート部の外壁面には、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びている凹面が、周方向に間隔をおいて複数形成されており、
上面若しくは底面からみて、前記凹面と係止用アンダーカットとは、互い違いに且つオーバーラップするように配置され、前記開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして各凹面が形成されていることを特徴とする樹脂キャップ。
【請求項2】スカート部の下端外周面、互いに隣り合う凹面の間の橋絡面、及び前記開封用タブが形成されている少なくとも大部分のスカート部外壁面は、前記凹面よりも外方に突出している請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項3】各凹面の下端は、少なくとも前記アンダーカットの最肉厚部近辺にまで延びている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項4】前記開封用タブが形成されている部分のスカート部外壁面の周方向両端部に、前記凹面が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項5】前記開封用タブの両端に隣り合うように位置している2個の係止用アンダーカットにおいて、これらアンダーカットの開封用タブ側の端部と、開封用タブの端部とを跨ぐように前記凹面が形成されている請求項4に記載の樹脂キャップ。
【請求項6】前記スカート部の内壁面は、前記係止用アンダーカットが形成されている部分を除き、全体として面一の円周状面となっている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項7】前記係止用アンダーカット及びスカート部外壁面に形成されている凹面は、前記開封用タブの中心とキャップ中心とを結ぶ直線に対して対称に形成されている請求項1乃至6の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項8】前記スカート部の外壁面には、少なくとも11個の凹面が形成されている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項9】互いに隣り合う前記係止用アンダーカットの間の部分並びに開封用タブとこれに隣接する係止用アンダーカットとの間の部分において、前記スカート部には、下端から少なくとも前記アンダーカットよりも上方にまで延びている溝部が形成されている請求項1乃至8の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項10】上面若しくは底面からみて、前記スカート部の外壁面に形成されている各凹面の中心に、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間に形成されている溝部が位置して薄肉部を形成しており、各アンダーカットの中心に、互いに隣り合う凹面の間に形成されている橋絡面が位置している請求項9に記載の樹脂キャップ。
【請求項11】スカート部外壁面に形成されている前記凹面の間の橋絡面は、1.5乃至5mmの幅を有している請求項1に記載の樹脂キャップ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、牛乳ビン等の比較的広口の注出口を有する容器に適用される樹脂キャップに関するものであり、特に、注出口に嵌め込まれ、スカート部外面に形成された鍔状の開封用タブを持ち上げることにより、容器口部から取り除かれて開封が行われるタイプの樹脂キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
牛乳ビン等の比較的広口の注出口を有する容器に適用される樹脂キャップとして、頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、頂板部の内面には、スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定されるものがある。このタイプの樹脂キャップは、通常のネジキャップ等と比較してキャップハイト(スカート部の高さに相当)が小さく、容器口部に嵌め込まれたキャップをしっかりと係止するために、スカート部の内面下端には、周状の係止用アンダーカットが設けられている。即ち、このアンダーカットが容器口部に形成されている顎部と係合することにより、該樹脂キャップは、容器口部にしっかりと固定される。また、この樹脂キャップのスカート部外面には、鍔状の開封用タブが設けられており、この開封用タブを持ち上げることにより、容器口部に固定されたキャップの取り外し、即ち開封が行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の樹脂キャップでは、容器口部への係止力(密封性)と開封性という相反する特性を同時に満足させなければならないという問題がある。例えば、上述した係止用のアンダーカットをスカート部下端の全周にわたってリング状に形成した場合には、容器口部への係止力は満足し得るものの、開封性が著しく低下してしまい、開封用タブを持ち上げての開封が困難となってしまう。
このために、従来から種々の提案がなされており、例えば実公昭47−13109号公報(先行技術1)には、開封用タブの両端のスカート壁にスコアを設け、開封用タブを持ち上げることによりスコアを破断して開封を行う樹脂キャップが開示されている。
また、特開2000−238814号公報(先行技術2)には、係止用アンダーカットを周方向に分断して設けると共に、開封用タブに隣接する係止用アンダーカットの周方向両端部スカート壁に、スリットが形成された樹脂キャップが開示されている。
【0004】
しかしながら、上述した従来公知の樹脂キャップは、何れも一長一短があり、さらなる改良が求められている。
例えば、上記先行技術1のキャップは、開封性がある程度向上するが、スリットの引裂きにより開封を行うため、開封力にバラツキを生じ易く、安定した開封性を得ることが困難である。また、打栓に際してスコアの破断を生じることもある。
更に、先行技術2のキャップは、スカート壁にスリットが形成されていることから外観上の問題があり、スリットの形成により、開封用タブが形成されている部分のスカート部が偶発的に捲れ上がってしまう等の不都合を生じ易く、更に、開封用タブに隣接しているアンダーカットと容器口部との係止力は大きく低下しているため、密封性の低下を免れない。
【0005】
従って本発明の目的は、容器口部に嵌め込まれて装着され、開封用タブを持ち上げて開封が行われる樹脂キャップにおいて、スコアやスリットなどを形成することなしに、容器口部との係止力と開封性とのバランス性に優れた樹脂キャップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、該スカート部の外面の下端部には、外方に突出した鍔状の開封用タブが形成されており、該頂板部の内面には、前記スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定される樹脂キャップにおいて、
前記開封用タブが形成されていない部分において、スカート部の内壁面には、下端部の周方向全体にわたって、複数の係止用アンダーカットが間隔を置いて形成されており、且つスカート部の外壁面には、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びている凹面が、周方向に間隔をおいて複数形成されており、
上面若しくは底面からみて、前記凹面と係止用アンダーカットとは、互い違いに且つオーバーラップするように配置され、前記開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして各凹面が形成されていることを特徴とする樹脂キャップが提供される。
【0007】
本発明の樹脂キャップは、開封時に破断するようなスコアを設けていないため、開封力のバラツキがなく、安定した開封を行うことができ、容器口部との係止力と開封性とのバランスを確保することができる。
即ち、本発明においては、開封用タブが形成されている部分を除き、複数の係止用アンダーカットが、適当な間隔をおいて、スカート部の全体にわたって配置されている。かかるアンダーカットと容器口部の外面に形成された顎部との係合により、十分な係止力を確保すると共に、開封性の向上を図ることができる。
また、開封用タブが形成されていない部分では、開封性を確保するために、スカート部の外壁面に、複数の凹面が周方向に適当な間隔をおいて形成されているが、これらの凹面は、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びており、上記の係止用アンダーカットと互い違いに且つ各アンダーカットとオーバーラップするように形成され、しかも、各凹面は、開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして形成されている。従って、これらの凹面によって、上記アンダーカットによる係止力が損なわれることはなく、しかも、開封用タブの両端部分のみが局部的に易変形性が付与されるのではなく、スカート部の全体にわたって易変形性が与えられる。
更に、互いに隣接する係止用アンダーカットの間の部分及び係止用アンダーカットと開封用タブの間の部分には、スカート部の下端から少なくとも前記アンダーカットよりも上方にまで延びている溝部が形成されていることが好ましく、このような溝部により存在する薄肉部と前記凹面との協働作用により、開封用タブからのスカート部の持ち上げが容易に行われ、係止用アンダーカットと容器の顎部との係合が容易に解除され、開封を容易に行うことができる。
【0008】
本発明において、スカート部全体にわたって、係止力と開封性とを確保するためには、スカート部内壁面の係止用アンダーカット及びスカート部外壁面の凹面の数を多数とすることが望ましく、例えばスカート部外壁面の凹面の数は、11個以上とすることが好適である(凹面の数は、係止用アンダーカットの数よりも1個多い)。また、多数の係止用アンダーカット及び凹面は、開封用タブの中心とキャップ中心とを結ぶ直線に対して対称的に配置され、さらには、隣り合う係止用アンダーカットの間に形成されている溝部は、各凹面の中心に位置し、且つ隣り合う凹面の間に位置する橋絡面は、係止用アンダーカットの中心に位置していることが、スカート部全体に易変形性を与える上で好適である。
更に、前記凹面は、スカート部外壁面の肉抜きによって形成されていることが好ましい。即ち、キャップ全体の外形を損なわずに凹面を形成することができるので、キャップの外観特性の点で有利となる。また、隣り合う係止用アンダーカットの間及び係止用アンダーカットと開封用タブとの間に設けられる溝部は、スカート部内壁面の肉抜きによって形成されていることが好ましい。即ち、このようなスカート部内壁面の肉抜きによって形成された溝部によって、キャップの外観が損なわれることがないからである。
また本発明においては、開封用タブが位置する部分には、係止用アンダーカットが設けられていないため、開封用タブの変形を防止し且つこの部分の係止力の低下を回避するため、該タブの上面からスカート部の外壁面にかけて縦リブを形成しておくことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の樹脂キャップの一例を示す一部断面図であり、
図2は、図1のキャップの底面図であり、
図3は、図1のキャップの天面図であり、
図4は、図1のキャップの開封用タブが形成されている部分の側断面図(図2のA−A断面)であり、
図5は、図1のキャップの要部断面図(図2のB−B断面)図である。
【0010】
図1乃至図3において、本発明の樹脂キャップは、大まかに言って、頂板部1とスカート部2とから成る。
頂板部1の内面には、スカート部2とは間隔をおいて下方に延びているインナーリング3が設けられている。
一方、スカート部2は、頂板部1の周縁から垂下しており、その下端の内壁面には、特に図1、図2及び図5に明示されている様に、係止用アンダーカット5が設けられている。
即ち、スカート部2とインナーリング3との間の空間に容器口部(図示せず)を嵌め込むことにより、このキャップの容器口部への固定が行われるものであり、上記の係止用アンダーカット5が容器口部の外面に形成されている顎部と係合することにより、これにより、キャップは容器口部にしっかりと固定される。また、十分な密封性を確保するために、特に図5から明らかな通り、インナーリング3は、若干スカート部2側に傾斜しており、そのスカート部2側には、テーパー7が形成されており、且つスカート部2とインナーリング3との間の頂板部1の内面には、小突起8、9が形成されている。即ち、容器口部の上端面が小突起8,9と当接し、且つ容器口部の内面がインナーリング3のテーパー7に密着することにより、容器の密封が行われる。
またインナーリング3の内方には環状の凹部4が形成されている。これは、頂板部1内面で内圧が上昇して頂板部1が上方に変形した場合にも、インナーリング3に影響を与えないためである。
【0011】
図1、図2、図3及び図4に示されている様に、スカート部2の下端の外壁面には、鍔状の開封用タブ10が設けられている。この開封用タブ10を指で引っ掛けて上方に持ち上げることにより、容器口部に装着されたキャップを取り除いて開封を行うものであり、指を開封用タブに引っ掛け易くするために、図4に示されているように、開封用タブ10の下面先端部分には、引っ掛かり部となる突起11が形成されている。
また、図2から明らかな通り、開封用タブ10が形成されている部分には、開封用タブ10を上方に持ち上げて開封を容易に行うために、前述した係止用アンダーカット5は設けられていない。従って、本発明においては、開封用タブ10の変形等を防止するために、図3及び図4に示されている通り、開封用タブ10に対応するスカート部2が肉厚となっていると共に、開封用タブ10の上面からスカート部2の外壁面10aにかけて複数の(図では4本)の縦リブ12を形成することが好適である。
【0012】
更に、図2に示されている様に、前述した係止用アンダーカット5は、開封用タブ10が形成されている部分を除き、分散して一定間隔で多数(図の例では10個)配置されており、これにより、スカート部2の全周にわたって均等な係止力を確保することができる。
【0013】
本発明においては、上記の係止用アンダーカット5の周方向両端部、即ち、隣り合うアンダーカット5の間の部分及びアンダーカット5と開封用タブ10との間の部分において、スカート部2の内壁面に、肉抜きによる溝部20が設けられる。この溝部20は、矩形形状を有しており(図1参照)、また図5に示されている様に、スカート部2の下端部2aから少なくともアンダーカット5よりも上方、具体的には、アンダーカット5の上端5bよりも上方にまで延びている。
即ち、このような溝部20を形成しておくことにより、各アンダーカット5を含むスカート部2の壁が変形し易くなっており、開封用タブ10を上方に持ち上げることにより、各アンダーカット5と容器顎部との係合が容易に解除できる構造となっている。
【0014】
本発明においては、更に、図1、図2、図3及び図5に示されている様に、スカート部2の外壁面に、上記の形成用アンダーカット5とは互い違いに且つ個々のアンダーカット5とオーバーラップするように、多数(図の例では11個)の凹面25が形成され、隣り合う凹面25の間には橋絡面26が形成されている。この凹面25は、キャップ成形時におけるスカート部2の外壁面の肉抜きにより形成され、スカート部2の下端外周縁と上端とに連なる仮想外周面(図3及び図5において、50で示す)から凹んだ面となっている。図1及び図5に示されている通り、この凹面25は、スカート部2の下端部2aを残して形成されているため、スカート部2の下端部分に、適度な耐変形性や強度が確保される。また、この凹面25は、アンダーカット5の最肉厚部5aの近傍にまで、特に好ましくは最肉厚部5aよりも下方にまで延びており、更に実質上、スカート部2の上端にまで延びている。従って、スカート部2に適度な易変形性が与えられる。
これらの凹面25は、図2及び図3を比較することから理解されるように、それぞれ、隣り合うアンダーカット5の間の部分(即ち溝部20)を跨ぐようにして形成されており、またアンダーカット5と開封用タブ10との間の部分を跨ぐようにして形成され、開封用タブ10に隣接するアンダーカット5とオーバーラップするように形成されている凹面25の一方は、開封用タブ10の周方向端部10bにまで延びている(図2及び図3参照)。
また、凹面25の間の橋絡面26は、キャップの仮想外周面50上に位置しており、更に、開封用タブ10が形成されている部分のスカート部2の外壁面10aも仮想外周面50上に位置している(図3、図4参照)。従って、本発明の樹脂キャップは、スカート部2の外壁面上に、仮想外周面50から突出した部分が殆ど無いため、この樹脂キャップは、外観特性の点で極めて優れている。
【0015】
図2及び図3から理解されるように、スカート部2の内壁面下端に形成されている多数の係止用アンダーカット5及びスカート部2の外壁面に形成されている多数の凹面25は、何れも開封用タブ10が形成されている部分を除く領域に均等に分布しており、且つ何れも、開封用タブ10の中心とキャップ中心とを結ぶ直線Xに対して対称的に配置されている。更に、多数の凹面25は、アンダーカット5とは互い違いに且つオーバーラップするように配置されていることから、隣り合う凹面25の間の橋絡面26は、係止用アンダーカット5の中心に位置し、隣り合うアンダーカット5の間の部分(溝部20)は、凹面25の中心に位置している。
【0016】
本発明において、上述した凹面25が形成されている部分では、スカート部2の変形が容易となっている。即ち、各係止用アンダーカット5の周方向両端部分には、上記の凹面25と前述した溝部20とが配置されているため、各アンダーカット5を含むスカート部2の壁を持ち上げ易くなっている。
一方、凹面25の間に位置する橋絡面26の部分は、最も肉厚の部分であり、各橋絡面26は、係止用アンダーカット5の中心位置に配置されている。従って、このような橋絡面26によって、係止用アンダーカット5と容器顎部との係合が補強され、キャップと容器口部との係止力を十分に確保することができることとなる。
このように本発明においては、上記のような多数の凹面25及びその間の橋絡面26が、多数の係止用アンダーカット5と共に、開封用タブ10が形成されている部分以外の領域に均等に分布していることから、優れた開封性が発現し、しかも容器口部との係止力も高い。
【0017】
また、開封用タブ10が設けられている部分のスカート部2の外壁面10aは、橋絡面26と同様、仮想外周面50上に位置しており、スカート部2の内壁面は、図2から明らかな通り、アンダーカット5及び溝部20が形成されている部分を除き、実質上、円周状面となっている。即ち、開封用タブ10が形成されている部分は、アンダーカット5が形成されていないが、十分な厚みを有している。しかも、この部分の外壁面10aには、開封用タブ10の上面から延びている縦リブ12が形成されている。従って、開封用タブ10及びこれが形成されている部分は、強度が高く、耐変形性が良好であり、この部分にも十分な係止力を確保することができる。しかも、開封用タブ10の強度を強くすることにより、開封用タブ10の持ち上げによる開封作業を容易に且つスムーズに行うことが可能となる。
更に、開封用タブ10の両端部10bには前述した凹面25が形成されており、開封用タブ10とこれに隣接するアンダーカット5との間の部分には、凹面25及び溝部20が形成されている。この結果、開封用タブ10からのスカート部の持ち上げを容易に行うことができ、この開封用タブ10を開始点として、これに隣接するアンダーカット5が形成されているスカート部2が順次持ち上げられ、このアンダーカット5と容器顎部との係合は解除される。更に、他のアンダーカット5の両側にも凹面25及び溝部20がバランスよく形成されているため、開封用タブ10が形成されている部分を持ち上げた状態で、これらのアンダーカット5と容器顎部の係合はスムーズに解除され、かくしてこの樹脂キャップの開封を容易に行うことができる。
【0018】
上述した本発明においては、係止用アンダーカット5及び凹面25の数が多いほど、容器口部との係止力がスカート部2の全体にわたって均等となり、また、各アンダーカット5が形成されているスカート部2毎での変形性も同等となる。従って、これらの数は多い方が好ましく、例えば、凹面25の数は11個以上(係止用アンダーカット5の数では10個以上)とすることが好ましい。
また、アンダーカット5と容器顎部との係止力を損なわずに開封性を向上させるためには、溝部20の幅w1(隣り合うアンダーカット5の間隔にほぼ相当)は、5乃至10mm、橋絡面26の幅w2は、1.5乃至5mmとすることが好ましい。
更に、本発明においては、スカート部2の下端2aの外周面には凹面25が形成されておらず、圧肉となっているため、上記の溝部20によって形成される薄肉部は、開封に際して破断されることなく、スカート部2の易変形性に寄与し、バラツキがなく安定した開封力が得られる。このために、例えば、溝部20によって形成される薄肉部の厚み(図5においてd1で示す)は、0.3乃至0.6mm程度とするのが好ましく、また溝部20の深さ(図5においてd2で示す)は、0.2乃至0.8mmの範囲とすることが好ましい。更には、スカート部2の全体厚み(図5においてtで示す)は、0.7乃至1.6mm程度とするのがよく、更に凹面25の深さ(図5においてd3で示す)は、0.3乃至0.6mm程度とするのが好ましくよい。
【0019】
上述した本発明の樹脂キャップは、各種のプラスチック、例えば、低−、中−または高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等を用いて、射出成形、圧縮成形等の一体成形により、容易に製造することができる。
また、前述した凹面25や薄肉部20は、上下方向への型抜きにより形成することができるため、割型などの複雑な型を用いずに成形することができ、本発明の樹脂キャップは、生産性にも優れている。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、開封性に優れ、且つ容器顎部への係止力も高い樹脂キャップが提供される。例えば、図1乃至5に示す構造を有し、外径41mmの樹脂キャップを、液が充填された200mlミルク容器に装着し、30℃で24時間横倒しに放置しておいたところ、液漏れは全く生ぜず、またその開栓力は約2kgfであった。一方、現在市販されている樹脂キャップについて、同様の実験を行ったところ、液漏れについては同じ結果を得たが、その開栓力は、約3kgfであった。このことから、本発明によれば、係止力を低下させずに開封性が向上していることが理解される。
また、本発明のキャップは、スカート部の厚み調整のみによって開封性と係止力とがバランスよく設定されており、スコアやスリットを形成していないため、打栓等に際しての破損や変形が有効に防止されている。
更に、スカート部の外壁面には、開封用タブが形成されている部分を除き、スカート部下端周縁とスカート部上端とを結ぶ仮想外周面よりも突出した部分は全く形成されていないため、外観特性の点でも極めて優れている。
更に、割型等の特殊な型を使用せずに成形できるため、生産性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂キャップの一例を示す一部断面図。
【図2】図1のキャップの底面図。
【図3】図1のキャップの天面図。
【図4】図1のキャップの開封用タブが形成されている部分の側断面図(図2のA−A断面)。
【図5】図1のキャップの要部断面図(図2のB−B断面)図。
【符号の説明】
1:頂板部 2:スカート部
5:係止用アンダーカット 10:開封用タブ
20:薄肉部 25:凹面
26:橋絡面 50:仮想外周面
【特許請求の範囲】
【請求項1】頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、該スカート部の外面の下端部には、外方に突出した鍔状の開封用タブが形成されており、該頂板部の内面には、前記スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定される樹脂キャップにおいて、
前記開封用タブが形成されていない部分において、スカート部の内壁面には、下端部の周方向全体にわたって、複数の係止用アンダーカットが間隔を置いて形成されており、且つスカート部の外壁面には、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びている凹面が、周方向に間隔をおいて複数形成されており、
上面若しくは底面からみて、前記凹面と係止用アンダーカットとは、互い違いに且つオーバーラップするように配置され、前記開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして各凹面が形成されていることを特徴とする樹脂キャップ。
【請求項2】スカート部の下端外周面、互いに隣り合う凹面の間の橋絡面、及び前記開封用タブが形成されている少なくとも大部分のスカート部外壁面は、前記凹面よりも外方に突出している請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項3】各凹面の下端は、少なくとも前記アンダーカットの最肉厚部近辺にまで延びている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項4】前記開封用タブが形成されている部分のスカート部外壁面の周方向両端部に、前記凹面が形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項5】前記開封用タブの両端に隣り合うように位置している2個の係止用アンダーカットにおいて、これらアンダーカットの開封用タブ側の端部と、開封用タブの端部とを跨ぐように前記凹面が形成されている請求項4に記載の樹脂キャップ。
【請求項6】前記スカート部の内壁面は、前記係止用アンダーカットが形成されている部分を除き、全体として面一の円周状面となっている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項7】前記係止用アンダーカット及びスカート部外壁面に形成されている凹面は、前記開封用タブの中心とキャップ中心とを結ぶ直線に対して対称に形成されている請求項1乃至6の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項8】前記スカート部の外壁面には、少なくとも11個の凹面が形成されている請求項1に記載の樹脂キャップ。
【請求項9】互いに隣り合う前記係止用アンダーカットの間の部分並びに開封用タブとこれに隣接する係止用アンダーカットとの間の部分において、前記スカート部には、下端から少なくとも前記アンダーカットよりも上方にまで延びている溝部が形成されている請求項1乃至8の何れかに記載の樹脂キャップ。
【請求項10】上面若しくは底面からみて、前記スカート部の外壁面に形成されている各凹面の中心に、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間に形成されている溝部が位置して薄肉部を形成しており、各アンダーカットの中心に、互いに隣り合う凹面の間に形成されている橋絡面が位置している請求項9に記載の樹脂キャップ。
【請求項11】スカート部外壁面に形成されている前記凹面の間の橋絡面は、1.5乃至5mmの幅を有している請求項1に記載の樹脂キャップ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、牛乳ビン等の比較的広口の注出口を有する容器に適用される樹脂キャップに関するものであり、特に、注出口に嵌め込まれ、スカート部外面に形成された鍔状の開封用タブを持ち上げることにより、容器口部から取り除かれて開封が行われるタイプの樹脂キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
牛乳ビン等の比較的広口の注出口を有する容器に適用される樹脂キャップとして、頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、頂板部の内面には、スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定されるものがある。このタイプの樹脂キャップは、通常のネジキャップ等と比較してキャップハイト(スカート部の高さに相当)が小さく、容器口部に嵌め込まれたキャップをしっかりと係止するために、スカート部の内面下端には、周状の係止用アンダーカットが設けられている。即ち、このアンダーカットが容器口部に形成されている顎部と係合することにより、該樹脂キャップは、容器口部にしっかりと固定される。また、この樹脂キャップのスカート部外面には、鍔状の開封用タブが設けられており、この開封用タブを持ち上げることにより、容器口部に固定されたキャップの取り外し、即ち開封が行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の樹脂キャップでは、容器口部への係止力(密封性)と開封性という相反する特性を同時に満足させなければならないという問題がある。例えば、上述した係止用のアンダーカットをスカート部下端の全周にわたってリング状に形成した場合には、容器口部への係止力は満足し得るものの、開封性が著しく低下してしまい、開封用タブを持ち上げての開封が困難となってしまう。
このために、従来から種々の提案がなされており、例えば実公昭47−13109号公報(先行技術1)には、開封用タブの両端のスカート壁にスコアを設け、開封用タブを持ち上げることによりスコアを破断して開封を行う樹脂キャップが開示されている。
また、特開2000−238814号公報(先行技術2)には、係止用アンダーカットを周方向に分断して設けると共に、開封用タブに隣接する係止用アンダーカットの周方向両端部スカート壁に、スリットが形成された樹脂キャップが開示されている。
【0004】
しかしながら、上述した従来公知の樹脂キャップは、何れも一長一短があり、さらなる改良が求められている。
例えば、上記先行技術1のキャップは、開封性がある程度向上するが、スリットの引裂きにより開封を行うため、開封力にバラツキを生じ易く、安定した開封性を得ることが困難である。また、打栓に際してスコアの破断を生じることもある。
更に、先行技術2のキャップは、スカート壁にスリットが形成されていることから外観上の問題があり、スリットの形成により、開封用タブが形成されている部分のスカート部が偶発的に捲れ上がってしまう等の不都合を生じ易く、更に、開封用タブに隣接しているアンダーカットと容器口部との係止力は大きく低下しているため、密封性の低下を免れない。
【0005】
従って本発明の目的は、容器口部に嵌め込まれて装着され、開封用タブを持ち上げて開封が行われる樹脂キャップにおいて、スコアやスリットなどを形成することなしに、容器口部との係止力と開封性とのバランス性に優れた樹脂キャップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部と、頂板部周縁から下方に垂下したスカート部とから成り、該スカート部の外面の下端部には、外方に突出した鍔状の開封用タブが形成されており、該頂板部の内面には、前記スカート部とは間隔を置いて下方に延びているインナーリングが形成され、該インナーリングとスカート部との間の空間に容器口部が嵌め込まれて容器口部に固定される樹脂キャップにおいて、
前記開封用タブが形成されていない部分において、スカート部の内壁面には、下端部の周方向全体にわたって、複数の係止用アンダーカットが間隔を置いて形成されており、且つスカート部の外壁面には、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びている凹面が、周方向に間隔をおいて複数形成されており、
上面若しくは底面からみて、前記凹面と係止用アンダーカットとは、互い違いに且つオーバーラップするように配置され、前記開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして各凹面が形成されていることを特徴とする樹脂キャップが提供される。
【0007】
本発明の樹脂キャップは、開封時に破断するようなスコアを設けていないため、開封力のバラツキがなく、安定した開封を行うことができ、容器口部との係止力と開封性とのバランスを確保することができる。
即ち、本発明においては、開封用タブが形成されている部分を除き、複数の係止用アンダーカットが、適当な間隔をおいて、スカート部の全体にわたって配置されている。かかるアンダーカットと容器口部の外面に形成された顎部との係合により、十分な係止力を確保すると共に、開封性の向上を図ることができる。
また、開封用タブが形成されていない部分では、開封性を確保するために、スカート部の外壁面に、複数の凹面が周方向に適当な間隔をおいて形成されているが、これらの凹面は、スカート部の下端から間隔をおいて上方に延びており、上記の係止用アンダーカットと互い違いに且つ各アンダーカットとオーバーラップするように形成され、しかも、各凹面は、開封用タブが形成されている部分を除いて、互いに隣り合う係止用アンダーカットの間の部分を跨ぐようにして形成されている。従って、これらの凹面によって、上記アンダーカットによる係止力が損なわれることはなく、しかも、開封用タブの両端部分のみが局部的に易変形性が付与されるのではなく、スカート部の全体にわたって易変形性が与えられる。
更に、互いに隣接する係止用アンダーカットの間の部分及び係止用アンダーカットと開封用タブの間の部分には、スカート部の下端から少なくとも前記アンダーカットよりも上方にまで延びている溝部が形成されていることが好ましく、このような溝部により存在する薄肉部と前記凹面との協働作用により、開封用タブからのスカート部の持ち上げが容易に行われ、係止用アンダーカットと容器の顎部との係合が容易に解除され、開封を容易に行うことができる。
【0008】
本発明において、スカート部全体にわたって、係止力と開封性とを確保するためには、スカート部内壁面の係止用アンダーカット及びスカート部外壁面の凹面の数を多数とすることが望ましく、例えばスカート部外壁面の凹面の数は、11個以上とすることが好適である(凹面の数は、係止用アンダーカットの数よりも1個多い)。また、多数の係止用アンダーカット及び凹面は、開封用タブの中心とキャップ中心とを結ぶ直線に対して対称的に配置され、さらには、隣り合う係止用アンダーカットの間に形成されている溝部は、各凹面の中心に位置し、且つ隣り合う凹面の間に位置する橋絡面は、係止用アンダーカットの中心に位置していることが、スカート部全体に易変形性を与える上で好適である。
更に、前記凹面は、スカート部外壁面の肉抜きによって形成されていることが好ましい。即ち、キャップ全体の外形を損なわずに凹面を形成することができるので、キャップの外観特性の点で有利となる。また、隣り合う係止用アンダーカットの間及び係止用アンダーカットと開封用タブとの間に設けられる溝部は、スカート部内壁面の肉抜きによって形成されていることが好ましい。即ち、このようなスカート部内壁面の肉抜きによって形成された溝部によって、キャップの外観が損なわれることがないからである。
また本発明においては、開封用タブが位置する部分には、係止用アンダーカットが設けられていないため、開封用タブの変形を防止し且つこの部分の係止力の低下を回避するため、該タブの上面からスカート部の外壁面にかけて縦リブを形成しておくことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を、以下、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の樹脂キャップの一例を示す一部断面図であり、
図2は、図1のキャップの底面図であり、
図3は、図1のキャップの天面図であり、
図4は、図1のキャップの開封用タブが形成されている部分の側断面図(図2のA−A断面)であり、
図5は、図1のキャップの要部断面図(図2のB−B断面)図である。
【0010】
図1乃至図3において、本発明の樹脂キャップは、大まかに言って、頂板部1とスカート部2とから成る。
頂板部1の内面には、スカート部2とは間隔をおいて下方に延びているインナーリング3が設けられている。
一方、スカート部2は、頂板部1の周縁から垂下しており、その下端の内壁面には、特に図1、図2及び図5に明示されている様に、係止用アンダーカット5が設けられている。
即ち、スカート部2とインナーリング3との間の空間に容器口部(図示せず)を嵌め込むことにより、このキャップの容器口部への固定が行われるものであり、上記の係止用アンダーカット5が容器口部の外面に形成されている顎部と係合することにより、これにより、キャップは容器口部にしっかりと固定される。また、十分な密封性を確保するために、特に図5から明らかな通り、インナーリング3は、若干スカート部2側に傾斜しており、そのスカート部2側には、テーパー7が形成されており、且つスカート部2とインナーリング3との間の頂板部1の内面には、小突起8、9が形成されている。即ち、容器口部の上端面が小突起8,9と当接し、且つ容器口部の内面がインナーリング3のテーパー7に密着することにより、容器の密封が行われる。
またインナーリング3の内方には環状の凹部4が形成されている。これは、頂板部1内面で内圧が上昇して頂板部1が上方に変形した場合にも、インナーリング3に影響を与えないためである。
【0011】
図1、図2、図3及び図4に示されている様に、スカート部2の下端の外壁面には、鍔状の開封用タブ10が設けられている。この開封用タブ10を指で引っ掛けて上方に持ち上げることにより、容器口部に装着されたキャップを取り除いて開封を行うものであり、指を開封用タブに引っ掛け易くするために、図4に示されているように、開封用タブ10の下面先端部分には、引っ掛かり部となる突起11が形成されている。
また、図2から明らかな通り、開封用タブ10が形成されている部分には、開封用タブ10を上方に持ち上げて開封を容易に行うために、前述した係止用アンダーカット5は設けられていない。従って、本発明においては、開封用タブ10の変形等を防止するために、図3及び図4に示されている通り、開封用タブ10に対応するスカート部2が肉厚となっていると共に、開封用タブ10の上面からスカート部2の外壁面10aにかけて複数の(図では4本)の縦リブ12を形成することが好適である。
【0012】
更に、図2に示されている様に、前述した係止用アンダーカット5は、開封用タブ10が形成されている部分を除き、分散して一定間隔で多数(図の例では10個)配置されており、これにより、スカート部2の全周にわたって均等な係止力を確保することができる。
【0013】
本発明においては、上記の係止用アンダーカット5の周方向両端部、即ち、隣り合うアンダーカット5の間の部分及びアンダーカット5と開封用タブ10との間の部分において、スカート部2の内壁面に、肉抜きによる溝部20が設けられる。この溝部20は、矩形形状を有しており(図1参照)、また図5に示されている様に、スカート部2の下端部2aから少なくともアンダーカット5よりも上方、具体的には、アンダーカット5の上端5bよりも上方にまで延びている。
即ち、このような溝部20を形成しておくことにより、各アンダーカット5を含むスカート部2の壁が変形し易くなっており、開封用タブ10を上方に持ち上げることにより、各アンダーカット5と容器顎部との係合が容易に解除できる構造となっている。
【0014】
本発明においては、更に、図1、図2、図3及び図5に示されている様に、スカート部2の外壁面に、上記の形成用アンダーカット5とは互い違いに且つ個々のアンダーカット5とオーバーラップするように、多数(図の例では11個)の凹面25が形成され、隣り合う凹面25の間には橋絡面26が形成されている。この凹面25は、キャップ成形時におけるスカート部2の外壁面の肉抜きにより形成され、スカート部2の下端外周縁と上端とに連なる仮想外周面(図3及び図5において、50で示す)から凹んだ面となっている。図1及び図5に示されている通り、この凹面25は、スカート部2の下端部2aを残して形成されているため、スカート部2の下端部分に、適度な耐変形性や強度が確保される。また、この凹面25は、アンダーカット5の最肉厚部5aの近傍にまで、特に好ましくは最肉厚部5aよりも下方にまで延びており、更に実質上、スカート部2の上端にまで延びている。従って、スカート部2に適度な易変形性が与えられる。
これらの凹面25は、図2及び図3を比較することから理解されるように、それぞれ、隣り合うアンダーカット5の間の部分(即ち溝部20)を跨ぐようにして形成されており、またアンダーカット5と開封用タブ10との間の部分を跨ぐようにして形成され、開封用タブ10に隣接するアンダーカット5とオーバーラップするように形成されている凹面25の一方は、開封用タブ10の周方向端部10bにまで延びている(図2及び図3参照)。
また、凹面25の間の橋絡面26は、キャップの仮想外周面50上に位置しており、更に、開封用タブ10が形成されている部分のスカート部2の外壁面10aも仮想外周面50上に位置している(図3、図4参照)。従って、本発明の樹脂キャップは、スカート部2の外壁面上に、仮想外周面50から突出した部分が殆ど無いため、この樹脂キャップは、外観特性の点で極めて優れている。
【0015】
図2及び図3から理解されるように、スカート部2の内壁面下端に形成されている多数の係止用アンダーカット5及びスカート部2の外壁面に形成されている多数の凹面25は、何れも開封用タブ10が形成されている部分を除く領域に均等に分布しており、且つ何れも、開封用タブ10の中心とキャップ中心とを結ぶ直線Xに対して対称的に配置されている。更に、多数の凹面25は、アンダーカット5とは互い違いに且つオーバーラップするように配置されていることから、隣り合う凹面25の間の橋絡面26は、係止用アンダーカット5の中心に位置し、隣り合うアンダーカット5の間の部分(溝部20)は、凹面25の中心に位置している。
【0016】
本発明において、上述した凹面25が形成されている部分では、スカート部2の変形が容易となっている。即ち、各係止用アンダーカット5の周方向両端部分には、上記の凹面25と前述した溝部20とが配置されているため、各アンダーカット5を含むスカート部2の壁を持ち上げ易くなっている。
一方、凹面25の間に位置する橋絡面26の部分は、最も肉厚の部分であり、各橋絡面26は、係止用アンダーカット5の中心位置に配置されている。従って、このような橋絡面26によって、係止用アンダーカット5と容器顎部との係合が補強され、キャップと容器口部との係止力を十分に確保することができることとなる。
このように本発明においては、上記のような多数の凹面25及びその間の橋絡面26が、多数の係止用アンダーカット5と共に、開封用タブ10が形成されている部分以外の領域に均等に分布していることから、優れた開封性が発現し、しかも容器口部との係止力も高い。
【0017】
また、開封用タブ10が設けられている部分のスカート部2の外壁面10aは、橋絡面26と同様、仮想外周面50上に位置しており、スカート部2の内壁面は、図2から明らかな通り、アンダーカット5及び溝部20が形成されている部分を除き、実質上、円周状面となっている。即ち、開封用タブ10が形成されている部分は、アンダーカット5が形成されていないが、十分な厚みを有している。しかも、この部分の外壁面10aには、開封用タブ10の上面から延びている縦リブ12が形成されている。従って、開封用タブ10及びこれが形成されている部分は、強度が高く、耐変形性が良好であり、この部分にも十分な係止力を確保することができる。しかも、開封用タブ10の強度を強くすることにより、開封用タブ10の持ち上げによる開封作業を容易に且つスムーズに行うことが可能となる。
更に、開封用タブ10の両端部10bには前述した凹面25が形成されており、開封用タブ10とこれに隣接するアンダーカット5との間の部分には、凹面25及び溝部20が形成されている。この結果、開封用タブ10からのスカート部の持ち上げを容易に行うことができ、この開封用タブ10を開始点として、これに隣接するアンダーカット5が形成されているスカート部2が順次持ち上げられ、このアンダーカット5と容器顎部との係合は解除される。更に、他のアンダーカット5の両側にも凹面25及び溝部20がバランスよく形成されているため、開封用タブ10が形成されている部分を持ち上げた状態で、これらのアンダーカット5と容器顎部の係合はスムーズに解除され、かくしてこの樹脂キャップの開封を容易に行うことができる。
【0018】
上述した本発明においては、係止用アンダーカット5及び凹面25の数が多いほど、容器口部との係止力がスカート部2の全体にわたって均等となり、また、各アンダーカット5が形成されているスカート部2毎での変形性も同等となる。従って、これらの数は多い方が好ましく、例えば、凹面25の数は11個以上(係止用アンダーカット5の数では10個以上)とすることが好ましい。
また、アンダーカット5と容器顎部との係止力を損なわずに開封性を向上させるためには、溝部20の幅w1(隣り合うアンダーカット5の間隔にほぼ相当)は、5乃至10mm、橋絡面26の幅w2は、1.5乃至5mmとすることが好ましい。
更に、本発明においては、スカート部2の下端2aの外周面には凹面25が形成されておらず、圧肉となっているため、上記の溝部20によって形成される薄肉部は、開封に際して破断されることなく、スカート部2の易変形性に寄与し、バラツキがなく安定した開封力が得られる。このために、例えば、溝部20によって形成される薄肉部の厚み(図5においてd1で示す)は、0.3乃至0.6mm程度とするのが好ましく、また溝部20の深さ(図5においてd2で示す)は、0.2乃至0.8mmの範囲とすることが好ましい。更には、スカート部2の全体厚み(図5においてtで示す)は、0.7乃至1.6mm程度とするのがよく、更に凹面25の深さ(図5においてd3で示す)は、0.3乃至0.6mm程度とするのが好ましくよい。
【0019】
上述した本発明の樹脂キャップは、各種のプラスチック、例えば、低−、中−または高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、スチレン系樹脂、ABS樹脂等を用いて、射出成形、圧縮成形等の一体成形により、容易に製造することができる。
また、前述した凹面25や薄肉部20は、上下方向への型抜きにより形成することができるため、割型などの複雑な型を用いずに成形することができ、本発明の樹脂キャップは、生産性にも優れている。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、開封性に優れ、且つ容器顎部への係止力も高い樹脂キャップが提供される。例えば、図1乃至5に示す構造を有し、外径41mmの樹脂キャップを、液が充填された200mlミルク容器に装着し、30℃で24時間横倒しに放置しておいたところ、液漏れは全く生ぜず、またその開栓力は約2kgfであった。一方、現在市販されている樹脂キャップについて、同様の実験を行ったところ、液漏れについては同じ結果を得たが、その開栓力は、約3kgfであった。このことから、本発明によれば、係止力を低下させずに開封性が向上していることが理解される。
また、本発明のキャップは、スカート部の厚み調整のみによって開封性と係止力とがバランスよく設定されており、スコアやスリットを形成していないため、打栓等に際しての破損や変形が有効に防止されている。
更に、スカート部の外壁面には、開封用タブが形成されている部分を除き、スカート部下端周縁とスカート部上端とを結ぶ仮想外周面よりも突出した部分は全く形成されていないため、外観特性の点でも極めて優れている。
更に、割型等の特殊な型を使用せずに成形できるため、生産性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂キャップの一例を示す一部断面図。
【図2】図1のキャップの底面図。
【図3】図1のキャップの天面図。
【図4】図1のキャップの開封用タブが形成されている部分の側断面図(図2のA−A断面)。
【図5】図1のキャップの要部断面図(図2のB−B断面)図。
【符号の説明】
1:頂板部 2:スカート部
5:係止用アンダーカット 10:開封用タブ
20:薄肉部 25:凹面
26:橋絡面 50:仮想外周面
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