JP4267124B2 - 樹脂製キャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、開栓性に優れた樹脂製キャップに関し、特に牛乳ビンに好適に適用される樹脂製キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、牛乳ビンには紙製のキャップがビン口に嵌合され、その上から樹脂フィルムから成るカバーがかけられた状態で提供されていた。このようなキャップにおいては、簡単に開栓するためには特別の開栓具が必要であり、開栓具なしに容易に開栓できるキャップが要望されていた。
このような問題を解決するものとして、頂板部の中央部に下方に突出して容器口部内側に嵌合する中栓を形成し、スカート部内面には容器口部と係合する突条を有すると共に、開栓用のタブの両側に破断可能な薄肉部が設けられていることを特徴とする樹脂製キャップが提案されている(実公昭47−13109号公報)。このキャップは、開栓用のタブを引き上げることにより薄肉部を破断して、キャップを破壊することにより容器口部からキャップを取り外すことができるものであり、特別な開栓具を必要としない点において好ましいものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなキャップにおいては、薄肉部に沿ってスカート部を破断する際にある程度の力が必要であり、このため開栓時に内容物をこぼしてしまうおそれもある。特に内容物が牛乳のように、子供から高齢者まで広い範囲の消費者を対象とする内容物に適用する場合には、力をかけずに、簡単且つ確実に開栓できることが必要となるのである。
上記のように構成された樹脂製キャップは、内容物充填後に打栓により、キャップのスカート部内面に設けられた突条と容器口部の凹部が係合することにより嵌合されて容器を密封する。この際一般に、キャップの密封性能を高め、内容物の保存性をよくするために、キャップのスカート部内面に設けられた突条の内方への突出量を大きくして容器口部と強く嵌合させることが行われているが、嵌合が強くなれば開栓力も増大することになり、開栓性が問題になる。また、打栓の際に薄肉部が破断されることを防止するために、薄肉部を過剰に強化すると、やはり開栓が著しく困難になるという問題もあり、薄肉部の寸法の管理が難しくなる。
【0004】
従って、本発明の目的は、密封性能に優れていると共に簡単且つ確実に開栓でき、しかも打栓性及び成形性にも優れ、密封性と開栓性という相反する性能のバランスをとることが容易な樹脂製キャップを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、内面側に容器口部との密封係合部を備えた頂板部と、内面側に容器口部の外周面と係止する径内方への係止用突起部を備え且つ外面側の下の一部に径外方へ突出した開栓用タブを備えたスカート部とからなる樹脂製キャップにおいて、前記係止用突起部は下向きに径が縮小して頂部に至る上部と、頂部から下向きに径の増大する打栓用ガイド部及び上端縁が頂部乃至頂部より下方に位置する切欠き部からなる下部とからなると共に、周方向に複数個分散して設けられ、該複数個の係止用突起部の各々が、少なくとも周方向の端部乃至その近傍に打栓用ガイド部を有し且つ打栓用ガイド部間に切欠き部を有していることを特徴とする樹脂製キャップが提供される。
【0006】
本発明の樹脂製キャップにおいては、上記係止用突起は、スカート部の外面側にはスカート部の下端側を除いて窓状の凹部が周方向に分散して設けられ、この窓状凹部が打栓用ガイド部と径方向に見て重なる位置関係に設けられていることが特に好ましい。
【0007】
【発明の実施形態】
[作用]
キャップの密封性能を向上させるためには、上記係止用突起の頂部におけるキャップの径が小さいこと、すなわち係止用突起が内方に大きく突出して容器口部の外周面と強固に係合していることが望ましい。その一方係止用突起が内方に大きく突出していると、キャップのスカート部の肉厚が厚くなり柔軟性に欠けるため開栓性が悪くなってしまうのである。
このような観点から本発明の樹脂製キャップは、下向きに径が縮小して頂部に至る上部と頂部から下向きに径が増大してスカート部下方に至る下部から成る係止用突起において、上部及び下部の打栓用ガイド部において容器口部との係止力を保持すると共に、係止用突起の頂部付近より下方に切欠き部を設けることにより、係止用突起の機能を損なうことなく薄肉化しキャップに柔軟性を付与して開栓性を向上させているのである。
【0008】
また、係止用突起の下部には、頂部から下向きに径が増大する打栓用ガイド部及びスカート部を部分的に薄肉化する切欠き部が設けられているため、容器口部によってスカート部は径方向に拡げられ、キャップは打栓用ガイドに沿って容器口部にスムースに導入され、係止用突起の上部と容器口部の外周面(容器口部外周部に突部が形成されている場合は突部下面)が係合し、打栓におけるキャップの破損等が有効に防止されるのである。
【0009】
〔実施形態〕
本発明の樹脂製キャップの好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は、一般に流通されている牛乳ビンに適用されるものとして説明するが、本発明は勿論これに限定されるものではない。
図1は、本発明の樹脂製キャップの概略を説明するためのものであり、(A)は底面図を示し、(B)は(A)のX−X断面の側断面図であり、(C)は(A)の側面図である。
【0010】
全体を1で示す本発明の樹脂製キャップは、頂板部2及び頂板部2の端縁から垂下するスカート部3から成り、スカート部3の内面には、係止用突起4が複数個設けられている。係止用突起4は、後に詳述するように、上部6と打栓用ガイド部7及び切欠き部8から成る下部9から成っている。また頂板部2の内面には容器口部(図示せず)内側に嵌合されるインナープラグ10が環状に設けられている。更に、スカート部3には、開封のための開封用タブ11が設けられている。更にまた、スカート部3の外面側には窓状の凹部12がスカート部3の下端付近を除いて、周方向に分散して複数個設けられている。
【0011】
図2及び図3は、図1に示すキャップの係止用突起4を詳細に説明するための拡大側断面図である。係止用突起4は、頂部5を境にmで示す領域の上部6と、nで示す領域の下部9から成っている。この上部6は、下向きに径が縮小して頂部5に至り、また下部9は、頂部5から下向きに径が増大する打栓用ガイド部7と、前記打栓用ガイド部7に周方向に隣接し且つ上端縁が頂部5に位置する切欠き部8から成っている。
図2及び3に示す切欠き部8の上端縁は頂部5に位置しているが、最も厚肉の頂部5より下方が薄肉化されていれば切欠き部の目的は達成できるので、切欠き部の上端縁は必ずしも頂部でなくてもよい。
【0012】
また、この係止用突起4は、図1(A)から明らかなように、開封用タブ11の部分を除いて、周方向に複数個分散して設けられていることが好ましい。
すなわち、開封用タブ11に対応する部分に係止用突起4を設けないで、この部分のスカート部を薄肉の状態にしておくことにより、開封用タブ11の部分のスカート部に柔軟性を付与して、開封用タブ11を上方に押し上げることによるキャップの変形を容易にして開栓性を向上させることが可能になる。また、この係止用突起4を連続させずに周方向に複数個に分散して設けることによって係止用突起間に薄肉部13を形成し、スカート部全体に柔軟性を付与して、開栓性及び打栓性を向上させることが可能になる。
【0013】
更に、この係止用突起4の各々は、少なくとも周方向の端部乃至その近傍に打栓用ガイド部を有し且つ打栓用ガイド部間に切欠き部を有していることが好ましい。
すなわち、図1(A)及び(B)から明らかなように、開封用タブ11の両側に設けられた係止用突起4aは、打栓用ガイド部7a,7bの間に切欠き部8を有している。また開封用タブ11の両側以外の部分の係止用突起4bは、両端に打栓用ガイド部7a,7b、更に中央部に打栓用ガイド部7cと3つの打栓用ガイド部が設けられて、2つの切欠き部8a及び8bが形成されている。
このように、切欠き部が打栓用ガイド部に挟まれた状態にあることにより、打栓時に両サイドの打栓用ガイド部に沿ってキャップがスムーズに容器口部に導入され、切欠き部の上端が抵抗になることがないのである。
【0014】
図1に示す具体例では、開封用タブの両側の係止用突起は打栓用ガイド部が両端にのみ設けられその間に1つの切欠き部が設けられ、それ以外の係止用突起は、両端及び中央に打栓用ガイド部を設け、切欠き部が2つ設けられているが、これらの組み合わせは任意であり、全て切欠き部が1つのものでも良いし、これらを交互に設けても良いし、また切欠き部が3つのものを設けることも勿論可能である。
また、係止用突起は上記のように分散させる以外にも、環状又は開封用タブの部分を除いたコ字状に設けて、下部に複数個の打栓用ガイド及び切欠き部を設けてもよい。
【0015】
図4において、(A)は図1(A)と同様にキャップの底面図を示すものであり、(B)は(A)のY−Y断面の側断面図であり、(C)は(A)のP部の部分拡大図である。
前述したように本発明においては、スカート部3外面に窓状の凹部12が設けられていることが、特に好ましい(図1(C))。この窓状凹部12を設けることにより、スカート部に薄肉の部分を設けてキャップに柔軟性を付与し、開栓性を向上させると共に、打栓時におけるキャップの径方向の拡がりを容易にすることが可能となる。
窓状凹部12の形状は特に図1(C)に示すものに限定されないが、打栓によるキャップの破損を防止するという観点、及び成形時の型抜きの際スカート部下端を保持部として用いるため、スカート部下端にある程度の肉厚を確保する必要があるという観点から、スカート部下端を除いて、周方向に分散して複数個設けられていることが好ましい。
更に、図4(C)に示すように、窓状凹部12は打栓用ガイド部7と径方向に見て重なる位置に設けられていることが好ましい。打栓用ガイド部7が設けられている部分は、厚肉であるため、凹状窓部をこの部分に設けることにより、スカート部の中でも厚肉の部分を薄肉化することが可能になる。
【0016】
図5は、図1に示すキャップの開封用タブ11を説明するための拡大側断面図である。開封用タブ11は、フランジ部14及びフランジ部14を補強するための複数個のリブ15から成り、またフランジ部14の先端下側には、指を引掛けるための突条16が設けられている。
本発明においては、この開封用タブ11のフランジ部14の下側の突条16付近に指をかけて上方に押し上げることにより、薄肉のスカート部を引き伸ばして変形することにより容易に開栓することができる。本発明のキャップは、キャップを破壊することにより開栓するものでないため、例えば飲み残した場合等に再栓することもできる。
【0017】
図6は、本発明の樹脂製キャップ1が牛乳ビン20に適用された場合を示す側断面図であり、図7は、図6の牛乳ビンの口部21の部分を拡大して示す側断面図である。
図6及び図7において、キャップ1は、スカート部3とインナープラグ10によって牛乳ビンの口部21に嵌合され、インナープラグ外面、スカート部内面及び頂板部内面においてビン口21と密着し、キャップの密封性を保持している。図7に示すように、キャップ1がビン口21に嵌合されると、図7でビン口形状と重なるインナープラグ外面側の領域Q1及びスカート部内面側の領域Q2は、ビン口の形状に合わせて、インナープラグでは径方向内方に、またスカート部では径方向外方に押し広げられるように弾性変形している。従って、かかる領域Qの部分においては、キャップが適用されている状態では、押し広げられる方向と反対向きの力によってキャップは容器口部と圧接しているため、キャップとビン口部の密封性が高く保持されるのである。
図6及び図7に示される牛乳ビンは本発明のキャップを適用する容器の一例であり、この例によれば、牛乳ビンの口部外周面には段差部が設けられておらず、係止用起は口部の外周面傾斜部で係止することにより係合しているが、容器口部の外周面に突部が設けられている場合は、勿論かかる突部下面と係止用突起の上部が係合して密封するものである。
【0018】
図1乃至7に示した具体例では、キャップに設けられた密封係合部はインナープラグ10であり、これによりキャップの密封性能を高く維持することが可能になるが、これに限定されるものではない。例えば、キャップ頂板部内面に容器口部先端と当接する環状のシール部材を設ける等、従来公知の密封係合手段を採用することができる。
【0019】
本発明のキャップにおける係止用突起においては、切欠き部の形状を種々変化させることができる。
図8に示す(A)は図1乃至7に示したキャップの切欠き部の形状を示す拡大断面図であり、(B)乃至(E)は切欠き部の他の形状の例を示す拡大断面図である。
(A)については前述した通りであるが、(B)は係止用突起の下部9の頂部5より下方に径方向に矩形状の凹部を形成し切欠き部8としたものであり、切欠き部8の下側にも打栓用のガイドとなる部分17が設けられている。この態様によれば、キャップと容器との係合をより強くすることができ密封性が向上する。
【0020】
(C)は係止用突起の下部9にキャップ下端側から軸方向に頂部5付近まで延びる凹部を形成して切欠き部8としたものであり、この態様によれば、(A)の場合と同様に成形時の型抜きが容易であり成形性に優れ、またキャップの径方向内方に突出する部分が切欠かれていないため、容器の密封性も良い。尚、この態様でも(B)の場合と同様、切欠かれていない部分18の下側面17が打栓用ガイド部となるため、独立した打栓用ガイド部を設けずに、係止用突起に対応して周方向全体にわたって設けることができるが、打栓性を更に向上させるためには(A)の場合と同様に打栓用ガイド部を独立して、頂部5からスカート部下端に至るように設けることが更に好ましい。
(D)は、(C)の切欠き部を径方向に分散させたものであり、この態様によれば、(C)と同様の効果を得ることができ、また(C)と同様な独立した打栓用ガイド部を更に設けることが好ましい。更に、(E)は、切欠き部の形状を略半円形状にしたものであり、この態様においても(A)と同様の効果を得ることが可能である。
【0021】
本発明の樹脂製キャップは、ポリエチレン等の合成樹脂を用いて、射出成形又は圧縮成形により一体に成形することができる。
一般に合成樹脂製キャップにおいては、キャップ内面側に抜き型を使用するため、キャップ内面のアンダーカットは小さいことが好ましいが、本発明においては係止用突起以外のアンダーカットが形成されない。また型抜きを行う場合はスカート部の下端部にはある程度の厚みが必要であるが、本発明のキャップにおいては、窓状凹部もキャップの下端を除いて設けられているため、型抜きが容易であり、成形性にも優れている。
【0022】
【発明の効果】
本発明の樹脂製キャップでは、係止用突起の下部に、頂部から下向きに径が増大する打栓用ガイド部及びスカート部を部分的に薄肉化する切欠き部を設けることにより、係止用突起の係合力を弱めることなく、スカート部に柔軟性を付与することができ、これにより開栓に力を必要とせず、簡単且つ確実な開栓が可能となって、密封性と開封性という相反する性能のバランスを容易にとることができる。
また、打栓用ガイド部の存在により、キャップが打栓用ガイド部に沿って容器口部にスムースに導入されて、係止用突起の上部と容器口部の外周面が係止し、打栓におけるキャップの破損等が有効に防止されることが可能になる。更に、係止用突起が周方向に分散して設けられ、係止用突起の間に薄肉部が形成されることにより、打栓時にキャップ内のエアが容易に抜け、打栓の際の抵抗を低減でき、打栓性にも優れている。
更にまた、係止用突起、インナープラグのような係合部材により容器口部にしっかりと嵌合され密封性にも優れているため、内容物が漏れるようなことがないばかりか、内容物の保存性にも優れ、特に牛乳ビンのような保存性に優れるガラス製容器に用いることが好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂製キャップの一例を示すものであり、(A)は底面図、(B)は側断面図、(C)は側面図である。
【図2】図1の部分拡大側断面図である。
【図3】図1の部分拡大側断面図である。
【図4】図1に示す樹脂製キャップを他の方向から見たものであり、(A)は底面図、(B)は側断面図、(C)は(A)のP部の部分拡大図である。
【図5】図1の部分拡大側断面図である。
【図6】本発明の樹脂製キャップを容器口部に適用した状態を示す側断面図である。
【図7】図6の部分拡大側断面図である。
【図8】本発明の樹脂製キャップにおける切欠き部の他の形状の例を示す部分拡大側断面図である。
Claims (4)
- 内面側に容器口部との密封係合部を備えた頂板部と、内面側に容器口部の外周面と係止する径内方への係止用突起部を備え且つ外面側の下の一部に径外方へ突出した開栓用タブを備えたスカート部とからなる樹脂製キャップにおいて、前記係止用突起部は下向きに径が縮小して頂部に至る上部と、頂部から下向きに径の増大する打栓用ガイド部及び上端縁が頂部乃至頂部より下方に位置する切欠き部からなる下部とからなると共に、周方向に複数個分散して設けられ、該複数個の係止用突起部の各々が、少なくとも周方向の端部乃至その近傍に打栓用ガイド部を有し且つ打栓用ガイド部間に切欠き部を有していることを特徴とする樹脂製キャップ。
- 前記密封係合部がインナープラグであることを特徴とする請求項1記載の樹脂製キャップ。
- 前記スカート部の外面側には、スカート部の下端縁を除いて窓状の凹部が周方向に分散して複数個設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製キャップ。
- 前記窓状凹部は打栓用ガイド部と径方向に見て重なる位置関係に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製キャップ。
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