JP2002205389A - 異なる高さに設けられているノズルを使用した印刷 - Google Patents

異なる高さに設けられているノズルを使用した印刷

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JP2002205389A
JP2002205389A JP2001002843A JP2001002843A JP2002205389A JP 2002205389 A JP2002205389 A JP 2002205389A JP 2001002843 A JP2001002843 A JP 2001002843A JP 2001002843 A JP2001002843 A JP 2001002843A JP 2002205389 A JP2002205389 A JP 2002205389A
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JP2001002843A
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Toyohiko Mitsusawa
豊彦 蜜澤
Hisashi Miyazawa
久 宮澤
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Seiko Epson Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷ヘッドが水平面に対して傾いている印刷
装置において高品質な印刷を行う。 【解決手段】 プリンタの印刷ヘッド28は、水平面に
対して傾けて設けられており、ヘッド上のノズル#1〜
#12は高さが異なる。このためインクの水頭圧が異な
り、そのままではP11のように形成するドットの大き
さが異なる。各ノズルは、上からグループN1,N2,
N3に分類されている。グループN1,N2,N3の各
ノズルのピエゾ素子PEには、原駆動信号ODRV1,
ODRV2,ODRV3がそれぞれ供給される。各原駆
動信号の大きさは、ODRV1>ODRV2>ODRV
3の関係にある。よって、各ノズルのピエゾ素子は、グ
ループN1,N2,N3の順に大きく変形する。このた
め、P12に示すように、水頭圧に起因する大きさのば
らつきが軽減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ノズルからイン
ク滴を吐出して行う印刷に関し、特に、印刷ヘッドのノ
ズル面が水平でない印刷装置において高品質な印刷を行
う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、印刷ヘッドのノズルからイン
ク滴を吐出して印刷を行う印刷装置が利用されている。
印刷ヘッドのノズル面は水平に設定されているものが多
いが、印刷装置全体の機構上の要請から、印刷ヘッドの
ノズル面が水平でないもの(鉛直のものや傾いたもの)
も存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】印刷ヘッドのノズル面
が水平である印刷装置においては、各ノズルの高さが等
しいので、各ノズルから吐出されるインク滴の大きさは
ノズルの高さによって変動することはない。しかし、印
刷ヘッドのノズル面が水平でない場合には、ノズルの位
置が高いほどインクが供給されにくくなり、これに応じ
て吐出されるインク滴の量も次第に減少する傾向にあ
る。このとき、印刷ヘッドの上端と下端のノズルからそ
れぞれ吐出されるインク滴の量の差が大きい場合には、
印刷画像に濃度むらが発生し、画質が劣化する可能性が
ある。
【0004】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、印刷ヘッドのノ
ズル面が水平でない印刷装置において高品質な印刷を行
うことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、
以下の印刷装置において所定の処理を行う。この印刷装
置は、印刷媒体上にドットを形成して印刷を行う印刷装
置であって、鉛直方向について異なる高さに設けられて
いる2以上のノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘ
ッドと、ノズルの高さの差に起因するインク吐出量の差
を実質的に補償するためのインク量補償部と、を備え
る。このような態様とすれば、鉛直方向について異なる
高さに設けられているノズルを使用しても、高品質な印
刷を行うことができる。
【0006】なお、インク量補償部が、各ノズルからイ
ンク滴をそれぞれ吐出させるための複数の吐出駆動素子
と、印刷信号に応じて、吐出駆動素子に駆動信号を供給
する信号供給部と、を備えるものである場合には、次の
ようにすることができる。すなわち、信号供給部は、ノ
ズルの高さに応じた波形をそれぞれ有する駆動信号を複
数の吐出駆動素子に供給することによって、インク吐出
量の差を補償する。このような態様とすれば、鉛直方向
について異なる位置に設けられているノズルを使用して
も、高品質な印刷を行うことができる。
【0007】また、複数のノズルを、各ノズルの高さに
応じて、それぞれ1以上のノズルを含む複数のグループ
に分類しておき、それぞれグループに対応して設けら
れ、グループのノズルに供給するために互いに異なる駆
動信号を生成することが可能な複数の駆動信号生成部
を、信号供給部が含むような態様とすることもできる。
このような態様とすれば、簡易な構成で、高品質な印刷
を行うことができる。
【0008】なお、信号供給部は、比較的上方にあるノ
ズルに対応する駆動信号として、最大値が比較的大きな
駆動信号を供給し、比較的下方にあるノズルに対応する
駆動信号として、最大値が比較的小さな駆動信号を供給
することが好ましい。このような態様とすれば、形成す
るドットが比較的小さくなる上方のノズルのインク吐出
量を、形成するドットが比較的大きくなる下方のノズル
に比べて増やすように、インク吐出量を補償することが
できる。
【0009】また、インク量補償部が、各ノズルに対応
して設けられ、駆動信号を受けて変形する複数の吐出駆
動素子と、各ノズルにインクをそれぞれ供給するための
複数のインク通路と、を有する場合には、次のようにす
ることができる。すなわち、複数のインク通路を、ノズ
ルの高さに応じた形状とし、これによってインク吐出量
の差を補償する。このような態様としても、鉛直方向に
ついて異なる高さに設けられているノズルを使用して、
高品質な印刷を行うことができる。
【0010】なお、各インク通路を構成する壁部を、少
なくとも一部が変形可能な部材で設け、吐出駆動素子
を、それぞれ変形可能な部材で設けられる壁部に接して
設けて、次のような態様とすることもできる。すなわ
ち、比較的上方にあるノズルに対応するインク通路の、
変形可能な部材による壁部は比較的大きく設け、比較的
下方にあるノズルに対応するインク通路の、変形可能な
部材による壁部は比較的小さく設ける。このような態様
とすれば、比較的上方にあるノズルのインク通路につい
ては、吐出駆動素子による力を受けたときの変形量を大
きすることができ、比較的下方にあるノズルのインク通
路は、比較的変形量を小さくすることができる。
【0011】また、インク量補償部は、各ノズルに対応
して設けられ、駆動信号を受けて変形する複数の吐出駆
動素子と、各ノズルにインクをそれぞれ供給するための
複数のインク通路と、を有している場合には、次のよう
にすることもできる。すなわち、比較的上方にあるノズ
ルに対応するインク通路は、吐出駆動素子の変形による
外力を受けたときに比較的変形しやすく設け、比較的下
方にあるノズルに対応するインク通路は、吐出駆動素子
の変形による外力を受けたときに比較的変形しにくく設
ける。このような態様としても、比較的上方にあるノズ
ルのインク通路については、吐出駆動素子による力を受
けたときの変形量を大きすることができ、比較的下方に
あるノズルのインク通路は、比較的変形量を小さくする
ことができる。
【0012】インク量補償部が、圧電材料を使用して設
けられ、駆動信号を受けて変形する複数の吐出駆動素子
と、各ノズルにインクをそれぞれ供給するための複数の
インク通路と、を有している場合には、次のようにする
こともできる。すなわち、比較的上方にあるノズルに対
応する吐出駆動素子は、単位強さの電界を印加されたと
きの変形量が、比較的大きくし、比較的下方にあるノズ
ルに対応する吐出駆動素子は、単位強さの電界を印加さ
れたときの変形量が、比較的小さくする。このような態
様としても、鉛直方向について異なる位置に設けられて
いるノズルを使用して、高品質な印刷を行うことができ
る。
【0013】なお、比較的上方にあるノズルの開口部は
比較的大きくし、比較的下方にあるノズルの開口部は比
較的小さくすることによっても、ノズルに高低差がある
印刷装置において、高品質な印刷を行うことができる。
【0014】また、インク量補償部が、同一の画像濃度
を再現する際に、ノズルの高さの差に応じて各ノズルで
記録されるドットの記録率を調整することによって、イ
ンク吐出量の差を補償することとしても、ノズルに高低
差がある印刷装置において、高品質な印刷を行うことが
できる。
【0015】なお、ノズルiによって記録されるラスタ
ライン上のドット記録率は、ノズルiのインク吐出量が
大きいほど小さくなるように定めることが好ましい。ま
た、複数のノズルによって記録されるラスタライン上の
ドット記録率は、ラスタラインを記録するノズルのイン
ク吐出量の平均が大きいほど小さくなるように定め留こ
とが好ましい。このような態様とすることによって、同
一の画像濃度を再現する際の各ラスタラインの画像濃度
を、より近い値にすることができる。
【0016】なお、本発明は、以下に示すような種々の
態様で実現することが可能である。 (1)印刷装置、印刷制御装置、印刷装置。 (2)印刷方法、印刷制御方法。 (3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータ
プログラム。 (4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータ
プログラムを記録した記録媒体。 (5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータ
プログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0017】
【発明の実施の形態】以下で、本発明の実施の形態を実
施例に基づいて以下の順序で説明する。 A.実施形態の概要: B.第1実施例: B−1.全体の構成: B−2.信号供給部の構成: C.第2実施例: D.第3実施例: E.第4実施例: F.第5実施例: G.第6実施例: H.第7実施例: I.その他:
【0018】A.実施形態の概要:図1は、本発明の一
実施形態のプリンタによる印刷結果を示す説明図であ
る。このプリンタの印刷ヘッド28は、ノズル面が傾い
た状態で設けられており、その結果、印刷ヘッド28上
のノズル#1〜#12は、互いに高さが異なる。これら
のノズルは、上から順にグループN1(ノズル#1〜#
4),グループN2(ノズル#5〜#8),グループN
3(ノズル#9〜#12)に分類されている。各ノズル
には、インクタンクからインクが供給されている。各ノ
ズルに設けられたピエゾ素子に駆動信号が与えられる
と、ピエゾ素子がひずんで各ノズルの圧力室が変形し、
ノズルからインクが吐出される。このプリンタは、各ノ
ズルの高さが互いに異なるため、より低いノズルほどイ
ンクの水頭圧が高くなり、インクが吐出されやすくな
る。この結果、各ノズルのピエゾ素子に同じ駆動信号が
与えられると、図1のパターンP11に示すように、ノ
ズルの高さによって形成されるドットの大きさが違って
しまう。ここで、図1の印刷ヘッド28において中に数
字が記入された○がノズルを表している。また、各ノズ
ルが形成するドットを、各ノズルの右側に並ぶ黒丸で表
している。そして、パターンP11,P12の上下の数
字は、ドットの列の数を表している。
【0019】このプリンタでは、3個の駆動信号発生回
路がそれぞれ原駆動信号ODRV1,ODRV2,OD
RV3を生成する。原駆動信号ODRV1の大きさは、
原駆動信号ODRV2よりも大きく、原駆動信号ODR
V3の大きさは、原駆動信号ODRV2よりも小さい。
これらの原駆動信号は、原駆動信号を遮断したり通過さ
せたりするマスク回路を介して、駆動信号として、それ
ぞれグループN1,N2,N3の各ノズルのピエゾ素子
PEに供給される。したがって、各ノズルのピエゾ素子
は、グループN1,N2,N3の順に大きく変形する。
このため、このプリンタでは、各ノズルからインク滴を
吐出してドットを形成すると、図1のP12に示すよう
に、各ノズルの水頭圧の差によるインク滴の大きさのば
らつきが軽減される。
【0020】図2は、本発明の他の実施形態のプリンタ
による印刷結果を示す説明図である。この態様では、図
2のP22に示すように、より低いノズルほどドットの
記録率を低く押さえている。これによって、ラスタライ
ン上に吐出されるインク量のばらつきを軽減することが
できる。
【0021】B.第1実施例: B−1.全体の構成:図3は本印刷装置のソフトウェア
の構成を示すブロック図である。コンピュータ90で
は、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケ
ーションプログラム95が動作している。オペレーティ
ングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドラ
イバ96が組み込まれており、アプリケーションプログ
ラム95からはこれらのドライバを介して、プリンタ2
2に転送するための中間画像データMIDが出力される
ことになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーショ
ンプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込
み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ
91を介してCRTディスプレイ21に画像を表示して
いる。スキャナ12から供給されるデータORGは、カ
ラー原稿から読みとられ、レッド(R),グリーン
(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー
画像データORGである。
【0022】このアプリケーションプログラム95が印
刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライ
バ96が画像情報をアプリケーションプログラム95か
ら受け取り、これをプリンタ22が処理可能な信号(こ
こではシアン、ライトシアン、マゼンダ、ライトマゼン
タ、イエロー、ブラックの各色についての多値化された
信号)に変換している。図3に示した例では、プリンタ
ドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97
と、色補正モジュール98と、色補正テーブルLUT
と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ10
0とが備えられている。
【0023】解像度変換モジュール97は、アプリケー
ションプログラム95が扱っているカラー画像データの
解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライ
バ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果た
す。こうして解像度変換された画像データはまだRGB
の3色からなる画像情報であるから、色補正モジュール
98は色補正テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごと
にプリンタ22が使用するシアン(C)、ライトシアン
(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンタ(LM)、
イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のデータに変換
する。こうして色補正されたデータは例えば256階調
等の幅で階調値を有している。ハーフトーンモジュール
は、ドットを分散して形成することによりプリンタ22
でかかる階調値を表現するためのハーフトーン処理を実
行する。こうして処理された画像データは、ラスタライ
ザ100によりプリンタ22に転送すべきデータ順に並
べ替えられて、最終的な印刷画像データFNLとして出
力される。本実施例では、プリンタ22は印刷画像デー
タFNLに従ってドットを形成する役割を果たすのみで
あり画像処理は行っていない。
【0024】次に、図4によりプリンタ22の概略構成
を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙
送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャ
リッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン2
6の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭
載された印刷ヘッド28を駆動してインクの吐出および
ドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23,
キャリッジモータ24,印刷ヘッド28および操作パネ
ル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構
成されている。
【0025】キャリッジ31をプラテン26の軸方向に
往復動させる機構は、印刷用紙Pの搬送方向と垂直な方
向に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動
軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベ
ルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原
点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されて
いる。
【0026】なお、このキャリッジ31には、黒インク
(Bk)用のカートリッジ71とシアン(C1),ライ
トシアン(C2)、マゼンタ(M1),ライトマゼンダ
(M2)、イエロ(Y)の6色のインクを収納したカラ
ーインク用カートリッジ72が搭載可能である。シアン
およびマゼンダの2色については、濃淡2種類のインク
を備えていることになる。キャリッジ31の下部の印刷
ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61ないし
66が形成されており、キャリッジ31の底部には、こ
の各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入
管67(図5参照)が立設されている。キャリッジ31
に黒(Bk)インク用のカートリッジ71およびカラー
インク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カ
ートリッジに設けられた接続孔に導入管67が挿入さ
れ、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61ないし
66へのインクの供給が可能となる。
【0027】インクの吐出およびドット形成を行う機構
について説明する。図5はインク吐出用ヘッド28の内
部の概略構成を示す説明図である。インク用カートリッ
ジ71,72がキャリッジ31に装着されると、図5に
示すようにインク用カートリッジ内のインクが導入管6
7を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられ
た印刷ヘッド28の各色ヘッド61ないし66に導かれ
る。なお、初めてインクカートリッジが装着されたとき
には、専用のポンプによりインクを各色のヘッド61な
いし66に吸引する動作が行われるが、本実施例では吸
引のためのポンプ、吸引時に印刷ヘッド28を覆うキャ
ップ等の構成については図示および説明を省略する。
【0028】印刷ヘッド28の各色ヘッド61ないし6
6のノズルの開口が設けられている面は、水平面から傾
けて設けられている。その結果、各色のヘッド61ない
し66上において副走査方向に並んで設けられている複
数のノズルは、互いに高さが異なる。
【0029】印刷ヘッド28上の各ノズルには、電歪素
子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置
されている。ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳
細に示したのが、図6および図7である。図6が側面の
断面図を示しているのに対して、図7は、正面の断面図
(図6のA−A断面図)を示している。図6上段および
図7上段に図示するように、ピエゾ素子PEは、ノズル
Nzまでインクを導くインク通路68に接する位置に設
置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧
の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械
エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエ
ゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電
圧を印加することにより、図6下段および図7下段に示
すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張
し、インク通路68の一側壁68wを変形させる。イン
ク通路68のうち、この変形する側壁68wが外周の一
部を構成している部分を圧力室68pと呼ぶ。圧力室6
8pの体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、こ
の収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズ
ルNzの先端から高速に吐出される。このインク粒子I
pがプラテン26に装着された用紙Pに染み込むことに
より、印刷が行われる。このピエゾ素子PEが特許請求
の範囲にいう「吐出駆動素子」に相当し、側壁68wが
特許請求の範囲にいう「変形可能な部材で設けられてい
る壁部」に相当する。
【0030】図8は、インク吐出用ヘッド61〜66に
おけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図で
ある。これらのノズルの配置は、各色ごとにインクを吐
出する6組のノズルアレイから成っており、48個のノ
ズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されて
いる。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致
している。なお、各ノズルアレイに含まれる48個のノ
ズルNzは、千鳥状に配列されている必要はなく、一直
線上に配置されていてもよい。但し、図8に示すように
千鳥状に配列すれば、製造上、ノズルピッチkを小さく
設定し易いという利点がある。
【0031】これらの各ノズルは、その高さに応じて3
つのグループN1,N2,N3に分けられている。グル
ープN2の最下段のノズルは、グループN3の最下段の
ノズルよりもh2だけ高く、グループN1の最下段のノ
ズルは、グループN3の最下段のノズルよりもh1だけ
高い。
【0032】図9は、インクが吐出される際のノズルN
zの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した
説明図である。図9において実線で示した駆動波形がグ
ループN2のノズルに供給される駆動信号DRV(i)
(i=17〜32)の波形である。区間d1において一
旦、マイナスの電圧をピエゾ素子PEに印加すると、先
に図6を用いて説明したのとは逆に圧力室68pの断面
積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形するため、図
9の状態Aに示した通り、メニスカスと呼ばれるインク
界面Meは、ノズルNzの内側にへこんだ状態となる。
次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を正にすると(区間
d3)、先に図6を用いて説明した原理に基づいてイン
クが吐出される。なお、プリンタ22は、3種類の駆動
波形を使用して、これらのノズルからドットを形成す
る。この点については後述する。
【0033】以上説明したハードウェア構成を有するプ
リンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送し
つつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャリ
ッジモータ24により往復動させ(以下、主走査とい
う)、同時に印刷ヘッド28の各色ヘッド61ないし6
6のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行
い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成す
る。
【0034】なお、本実施例では、既に述べた通りピエ
ゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプ
リンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピ
エゾ素子以外の種々のものを利用することが可能であ
る。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、イ
ンク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出
するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用する
ことも可能である。
【0035】B−2.信号供給部の構成:図10は、第
1実施例において制御回路40(図4参照)内に設けら
れた信号供給部の構成を示すブロック図である。この信
号供給部は、マスク回路204と、駆動信号発生回路2
06a〜cを備えている。この信号供給部と印刷ヘッド
28と、インク通路68とが、特許請求の範囲にいう
「インク量補償部」に相当する。
【0036】駆動信号発生回路206aは、グループN
1のノズル#1〜#16に共通に用いられる原駆動信号
ODRV1を生成する。駆動信号発生回路206bは、
グループN2のノズル#17〜#32に共通に用いられ
る原駆動信号ODRV2を生成する。駆動信号発生回路
206cは、グループN3のノズル#33〜#48に共
通に用いられる原駆動信号ODRV3を生成する。これ
ら駆動信号発生回路206a〜cが、特許請求の範囲に
いう「駆動信号生成部」に相当する。
【0037】マスク回路204に入力される印刷信号P
RT(i)は、0または1の値をとる信号であり、すべ
てのノズルについてそれぞれ独立に供給される。そし
て、駆動信号発生回路206から出力される原駆動信号
ODRV1〜3とともにマスク回路204に入力され
る。マスク回路204は、印刷信号PRT(i)のレベ
ルに応じて、各ノズルのピエゾ素子PEに供給する原駆
動信号ODRV1〜3をマスクするためのゲートであ
る。すなわち、マスク回路204は、印刷信号PRT
(i)が1レベルにある時間区間では原駆動信号ODR
V1〜3をそのまま通過させて、各グループN1,N
2,N3のノズルの駆動信号DRV(i)としてピエゾ
素子に供給する。一方、印刷信号PRT(i)が0レベ
ルにある時間区間では、原駆動信号ODRV1〜3を遮
断する。その結果、各グループN1,N2,N3のノズ
ルのピエゾ素子PEには、駆動信号DRV(i)は供給
されない。
【0038】以下で、図9を用いて各ノズルの駆動波形
について説明する。図9において実線で示した駆動波形
は、グループN2のノズルに供給される駆動信号DRV
(i)の波形である。これは、マスク回路204でマス
クがされない場合、原駆動信号ODRV2の波形に等し
い。また、破線で示した駆動波形は、グループN1のノ
ズルに供給される駆動信号DRV(i)の波形である。
これは、マスク回路204でマスクがされない場合、原
駆動信号ODRV1の波形に等しい。そして、一点鎖線
で示した駆動波形は、グループN3のノズルに供給され
る駆動信号DRV(i)の波形である。これは、マスク
がされない場合、原駆動信号ODRV3の波形に等し
い。よって以下では、各グループに供給される駆動信号
DRV(i)を、それぞれ原駆動信号ODRV1,OD
RV2,ODRV3として説明する。
【0039】原駆動信号ODRV1の印加電圧は、マイ
ナス側、プラス側とも原駆動信号ODRV2よりも大き
くなっている。また、原駆動信号ODRV3の印加電圧
は、マイナス側、プラス側とも原駆動信号ODRV2よ
りも小さくなっている。例えば、プラス側の印加電圧に
ついてみると、原駆動信号ODRV1の印加電圧Vh1
と、原駆動信号ODRV2の印加電圧Vh2と、原駆動
信号ODRV3の印加電圧Vh3とは、Vh1>Vh2
>Vh3の関係にある。このため、グループN1の各ノ
ズルのピエゾ素子PEは、グループN1の各ノズルのピ
エゾ素子PEよりも大きく変形し、グループN3の各ノ
ズルのピエゾ素子PEは、グループN2の各ノズルのピ
エゾ素子PEよりも小さく変形する。
【0040】なお、原駆動信号ODRV1,ODRV
2,ODRV3の波形は、例えば次のようにして定める
ことができる。すなわち、原駆動信号ODRV1の駆動
波形を、原駆動信号ODRV2の駆動波形をa1倍(a
1>1)した波形とし、原駆動信号ODRV3の駆動波
形を、原駆動信号ODRV2の駆動波形をa2倍(a2
<1)した波形と定めることができる。
【0041】この第1実施例のプリンタでは、図10に
示すように、グループN1,N2,N3のノズルは、鉛
直方向の異なった位置に設けられている。したがって、
それぞれのノズルのピエゾ素子に同一の駆動信号を供給
した場合には、水頭圧の差により下方のノズルほど大き
なインク滴を吐出することとなる。しかし、このプリン
タでは、原駆動信号ODRV1は原駆動信号ODRV2
よりも大きな信号として生成され、グループN1のピエ
ゾ素子はグループN2のピエゾ素子よりも大きく変形す
る。また、原駆動信号ODRV3は、原駆動信号ODR
V2よりも小さな信号として生成され、グループN3の
ピエゾ素子はグループN2のピエゾ素子よりも小さく変
形する。したがって、第1実施例のプリンタにおいて
は、各ノズルの水頭圧の差に起因するインク滴の大きさ
の違いが緩和される(図1参照)。
【0042】また、第1実施例では、印刷ヘッド上のノ
ズルを3個のグループに分類して、それぞれ異なる原駆
動信号を供給していたが、印刷ヘッド上のノズルを2個
または4個以上のグループに分類して、それぞれ異なる
原駆動信号を供給することとしてもよい。また、鉛直方
向について異なる位置に設けられているノズルそれぞれ
について、異なる原駆動信号を供給してもよい。また、
駆動信号を生成する際の単位時間当たりの変化量を変え
て、異なる駆動波形を生成することとしてもよい。さら
に、駆動信号が一定値を保つ時間区間の幅を変えて、異
なる駆動波形を生成することとしてもよい。すなわち、
ノズルの高さに応じた波形をそれぞれ有する駆動信号を
生成するものであれば、どのような手法で駆動信号を生
成してもよい。
【0043】また、第1実施例では、複数の駆動信号発
生回路206a〜cを備え、互いに異なる原駆動信号を
生成することとしていたが、異なる駆動信号を供給する
方法として、他の方法を使用してもよい。例えば、一つ
の原駆動信号を生成し、その原駆動信号を必要に応じて
増幅することによって、異なる駆動信号を生成してもよ
い。
【0044】C.第2実施例:図11は、第2実施例に
おいて制御回路内に設けられた信号供給部の構成を示す
ブロック図である。このプリンタは、駆動信号発生回路
206a,206cを備えていない。そして、すべての
ノズルのピエゾ素子に、一つの駆動信号発生回路206
bが生成した原駆動信号ODRV2による駆動信号DR
V(i)が供給される。この第2実施例のプリンタは、
駆動信号発生回路および後述する各ノズルの圧力室の形
状以外は、第1実施例のプリンタと同様の構成である。
【0045】図12は、ピエゾ素子PEとノズルNzの
構造を示す断面図である。第2実施例のプリンタでは、
各グループのノズルの圧力室68pの幅が、異なってい
る。すなわち、図12(a)に示すグループN1のノズ
ルの圧力室の幅Wp1は、図12(b)に示すグループ
N2のノズルの圧力室の幅Wp2よりも広く、図12
(c)に示すグループN3のノズルの圧力室の幅Wp3
は、グループN2のノズルの圧力室の幅Wp2よりも狭
い。その結果、ピエゾ素子の歪みによって変形する圧力
室内壁の幅および変形量が異なっている。すなわち、グ
ループN1の圧力室68pの変形量Vp1は、グループ
N2の圧力室68pの変形量Vp2よりも大きく、グル
ープN3の圧力室68pの変形量Vp3は、グループN
2の圧力室68pの変形量Vp2よりも小さい。
【0046】ノズルから吐出されるインク滴の重量Iw
は、以下の関係式を満たすことが見いだされた。
【0047】 Iw ∝ (dPE×Wp3×Lp×V)/tp2 ・・・(1)
【0048】ここで、∝は、左辺の項が右辺に比例する
ことを示す。tpは圧力室68pの側壁68wの凹部6
8a,68bの厚さ(単位[m])であり、Wpは圧力
室68pの幅(単位[m])であり、Lpは圧力室68
pの長さ(単位[m])である(図6、図7参照)。そ
して、dPEはピエゾ素子PEの圧電定数(単位[m/
V])であり、Vはピエゾ素子PEへの印加電圧(単位
[V])である。すなわち、他の条件が同じであれば、
圧力室68pの幅が大きいほど、吐出されるインク重量
は大きくなる。第2実施例のプリンタにおいては、図1
2に示すように、上方に位置するグループのノズルほど
圧力室68pの幅が大きいので、各ノズルの水頭圧の差
に起因するインク滴の大きさの違いが緩和される。
【0049】なお、第2実施例では、グループN1,N
2,N3で圧力室の幅Wpが異なっていたが、圧力室の
長さLp(図6参照)を変えることとしてもよい。ま
た、圧力室68pの内壁に設けられた凹部68a,68
bの形状や、隔壁の厚み、材質を変えることとしてもよ
い。すなわち、各インク通路68の少なくとも一部につ
いて形状または変形のしやすさが、各ノズルの高さに応
じて異なるものであればどのような態様であってもよ
い。
【0050】D.第3実施例:第3実施例のプリンタ
も、第2実施例のプリンタと同様に、すべてのノズルの
ピエゾ素子に、一つの駆動信号発生回路206bが生成
した原駆動信号ODRV2による駆動信号DRV(i)
が供給される(図11参照)。この駆動信号発生回路お
よび後述する各ピエゾ素子以外の構成は、第1実施例の
プリンタと同様である。
【0051】図13は、第3実施例におけるピエゾ素子
PEとノズルNzの構造を示す断面図である。第3実施
例のプリンタでは、グループN1,N2,N3で異なっ
たピエゾ素子が使用されている。すなわち、グループN
1,N2,N3で使用されるピエゾ素子PE1,PE
2,PE3は、同じ強さの電界を印加されたときの変形
量が、PE1,PE2,PE3の順に大きい。このた
め、同一の駆動信号を印加された場合のピエゾ素子PE
1,PE2,PE3の変形量を順にVp1,Vp2,V
p3とすると、Vp1>Vp2>Vp3となる。したが
って、第3実施例のプリンタにおいては、上方に位置す
るグループのノズルほど圧力室68pの変形幅が大きい
ので、各ノズルの水頭圧の差に起因するインク滴の大き
さの違いが緩和される。
【0052】なお、吐出駆動素子について、同一の強さ
の電界での変形量を変えるためには、素子を構成する圧
電材料の材質を変えるほか、素子の縦、横、高さ方向の
寸法や形状を変えることとしてもよい。
【0053】E.第4実施例:第4実施例のプリンタ
も、第2実施例のプリンタと同様に、すべてのノズルの
ピエゾ素子に、一つの駆動信号発生回路206bが生成
した原駆動信号ODRV2による駆動信号DRV(i)
が供給される(図11参照)。この駆動信号発生回路お
よび後述する各ノズルの形状以外の構成は、第1実施例
のプリンタと同様である。
【0054】図14は、第4実施例におけるインク吐出
用ヘッド61〜66におけるインクジェットノズルNz
の開口の大きさを模式的に示す説明図である。第4実施
例のプリンタでは、グループN1,N2,N3のノズル
は、互いに開口の大きさが異なる。すなわち、グループ
N1のノズルの開口は、グループN2のノズルの開口よ
りも大きく、グループN3のノズルの開口は、グループ
N2のノズルの開口よりも小さい。
【0055】ノズルから吐出されるインク滴の重量Iw
は、以下の関係式を満たす。
【0056】Iw=b×Sn ・・・(2)
【0057】ここで、Snはノズルの開口面積であり、
bは定数である。したがって、ノズルの開口面積が大き
いほど、吐出されるインク滴の重量は大きくなる。すな
わち、第4実施例のプリンタでは、グループN1のノズ
ルは、グループN2のノズルよりもインク滴を吐出しや
すく、グループN3のノズルは、グループN2のノズル
よりもインク滴を吐出しにくい。したがって、第4実施
例のプリンタにおいては、各ノズルの水頭圧の差に起因
するインク滴の大きさの違いが緩和される。
【0058】なお、第4実施例では、グループN1,N
2,N3のノズルは、互いにノズルの開口の大きさが異
なっていたが、ノズルの他の装置構成を変えてインク滴
の吐出のしやすさを変えることもできる。たとえば、ノ
ズル内に絞りを設けて、その絞りの形状を変えたり、ノ
ズルの長さLn(図12(a)参照)を変えたりして、
インク滴の吐出のしやすさを変えることもできる。すな
わち、インク通路68からノズルの開口に至るまでの間
の構成を、ノズルの高さに応じてインクの流体抵抗が異
なるように変えることで、インク滴の吐出量の差を緩和
することができる。
【0059】F.第5実施例:第5実施例のプリンタ
は、第2実施例のプリンタと同様に、すべてのノズルの
ピエゾ素子に、一つの駆動信号発生回路206bが生成
した原駆動信号ODRV2による駆動信号DRV(i)
が供給される(図11参照)。この駆動信号発生回路お
よび後述するプリンタドライバ以外の構成は、第1実施
例のプリンタと同様である。なお、以下では、ノズルが
12個である場合を例に説明する。
【0060】図15は第5実施例の印刷装置のソフトウ
ェアの構成を示すブロック図である。第5実施例では、
プリンタドライバ96aは、ノズル特定モジュール10
1およびノズル補正テーブルNCTを備えている。その
他の構成は、図3に示すプリンタドライバ96と同様で
ある。画像データが、色補正モジュール98によってイ
ンク色によるデータに置き換えられると、ノズル特定モ
ジュール101は、画像を構成する各ドットがどのノズ
ルで記録されるかを特定し、画像データにそのデータを
付加する。そして、ハーフトーンモジュール99は、ノ
ズル補正テーブルNCTに基づいてハーフトーン処理を
行う。
【0061】第5実施例のプリンタにおいては、各ノズ
ルの水頭圧の差によって、各ノズルから吐出されるイン
ク滴の大きさが異なっている。一番上に位置するノズル
#1が記録するドットの大きさは、一番下に位置するノ
ズル#12が記録するドットの大きさよりも小さい。し
たがって、同じ数のドットでラスタラインを記録する
と、最上端のノズル#1で記録したラスタラインの方
が、最下端のノズル#12で記録したラスタラインより
も、画像濃度が低くなってしまう。
【0062】第5実施例のプリンタは、図2左側の表に
示したように、各ノズルに対して、そのノズルが記録す
るドットの大きさに応じて、例えば、65〜120ま
で、重みw(i)が付されている。すなわち、小さなド
ットほど小さな重みw(i)が付与されている。そし
て、ノズルiで記録されるラスタラインr上のドットの
有効記録率RR(r)を次の式にしたがって設定する。
【0063】 RR(r)=1−(w(i)−min・w(j))/max・w(j) ・・ ・(3)
【0064】ここで、式中の「j」は、ノズルの番号
(1〜12)であり、「min・w(j)」は、w
(j)の最小値であり、「max・w(j)」は、w
(j)の最大値である。なお、ここでは、各ラスタが一
つのノズルで記録されるものと仮定している。図2の例
では、「min・w(j)」は、65であり、「max
・w(j)」は、120である。なお、ここでいう「ド
ットの有効記録率RR(r)」は、基準とするノズルが
そのラスタラインを記録すると仮定したときに記録され
るドット数のうち何%が実際にそのラスタライン上で記
録されるかを示す値である。
【0065】例えば、#7のノズルの有効記録率は、R
R(7)=1−(95−65)/120=0.75、す
なわち、75%である。よって、基準とするノズル#1
では全画素位置にドットが記録されるような場合に、図
2のP22に示すように、#7のノズルで記録されるラ
スタは、4ドットに1ドットの割合でドットの記録が省
略される。また、#11のノズルで記録されるラスタラ
インの有効記録率は、RR(11)=1−(115−6
5)/120=0.583、すなわち、58.3%であ
る。同様に、各ラスタラインの有効記録率RR(r)
は、図2左側の表に示したようになる。なお、ここで
は、各ノズルが記録するドットの大きさの違いを誇張し
ているため、各ラスタラインの有効記録率も大きく異な
る。しかし、実際には、各ノズルが記録するドットの大
きさは、これほど異なるものではないため、各ラスタラ
インの有効記録率もより100%に近いものとなる。
【0066】このような記録率の操作は、ハーフトーン
モジュール99におけるハーフトーン処理において行わ
れる。以下では、まず、ハーフトーン処理について説明
する。なお、ここでは、各画素について「ドットを形成
する/ドットを形成しない」の2値のみをとる単純な例
を使用して説明する。
【0067】色補正モジュール98によって処理された
画像データは、画素ごとに、各インク色についての濃度
を表すデータを有している。以下では、このうちのある
インク色についてハーフトーン処理を説明するが、同様
の処理が各インク色について行われる。
【0068】図16は、ハーフトーン処理における誤差
拡散の方法を示す説明図である。ハーフトーン処理にお
いては、まず、ある画素について、濃度データDdをあ
らかじめ定められたしきい値(記録画素レベル)Thと
比較する。そして、Dd≧Thである場合には、その画
素についてドットを形成することとする。そして、ドッ
ト形成によってその画素において表現される階調と、指
定された濃度データDdとの誤差(Dd−Th)を、ま
だドットの形成の有無を判断していない画素に配分す
る。例えば、画像データの上のラスタから下のラスタ
へ、ラスタ中の画素については、左から右に、順に画素
についてドット形成の有無を判断することとすると、図
16に示すように、誤差(Dd−Th)を配分すること
ができる。すなわち、対象画素の右隣と下隣の画素に1
/4、右側の二つ先の画素に1/8、下隣の画素の両隣
の画素に1/8、更にその両側の画素に1/16、とい
うように配分することができる。
【0069】一方、Dd<Thである場合には、その画
素についてドットを形成しないこととする。そして、ド
ットが形成されないことによってその画素において表現
されなくなった濃度Ddを、まだドットの形成の有無を
判断していない画素に配分する。その配分の仕方は、ド
ットを形成する場合の(Dd−Th)の配分の仕方と同
様である(図16参照)。このようにして、一つの画素
についてのドット形成の有無を判断し、誤差の処理を行
う。
【0070】その後、次の画素についてドット形成の有
無を判断する際には、「濃度データDdと、それまでに
周囲の画素から配分された誤差データDeとの和」と、
しきい値Thとを比較する。すなわち、(Dd+De)
≧Thである場合には、その画素についてドットを形成
することとする。そして、ドット形成によってその画素
において表現される階調と、指定された濃度との誤差
(Dd+De−Th)を、まだドットの形成の有無を判
断していない画素に配分する。一方、(Dd+De)<
Thである場合には、その画素についてドットを形成し
ないこととして、(Dd+De)を、まだドットの形成
の有無を判断していない画素に配分する。(Dd+De
−Th)および(Dd+De)の配分の仕方は図16に
示したとおりである。
【0071】ハーフトーンモジュール99では、ドット
の形成の有無を判断する際のしきい値Th(すなわち、
記録画素レベル)を操作することによって、各ラスタご
とのドットの記録率を操作する。各画素を記録するのが
どのノズルであるかは、ノズル特定モジュール101で
特定されている。よって、ハーフトーンモジュール99
は、(Dd+De)をしきい値と比較する際に、しきい
値Thを、以下の式で定める。
【0072】Th=Th0/RR(r) ・・・(4)
【0073】ここで、Th0はしきい値の基準値であ
る。また、有効記録率RR(r)は、画素を記録するノ
ズルが決まっていることから、前述の式で求められる。
例えば、有効記録率RR(r)が1.0(すなわち10
0%)であるラスタ、すなわち、最も小さいドットを形
成する最上段のノズルで記録されるラスタの画素では、
Th=Th0である。また、有効記録率RR(r)が
0.5(すなわち50%)であるラスタの画素では、T
h=2×Th0である。
【0074】なお、ここでは、しきい値Thは、補正前
のTh0を有効記録率RR(r)で除算することによっ
て定めたが、他の方法でしきい値を定めることもでき
る。例えば、対象画素がノズルiで記録されるとき、T
hを、Th=Th0×min・w(j)/w(i)で定
めることもできる。ここで、式中の「min・w
(j)」は、各ノズルの重みw(j)の最小値である。
すなわち、しきい値Thは、そのラスタラインを記録す
るノズルのインク吐出量が多いほど、そのラスタライン
のドットの記録率(記録頻度)が低くなるように定める
ことができる。
【0075】なお、各ノズルについての重みw(i)
は、あらかじめ定めておいてノズル補正テーブルNCT
として持つことができる。そして、ハーフトーンモジュ
ール99(図10参照)は、ノズル補正テーブルNCT
を参照しつつ上記のようなハーフトーン処理を行う。す
なわち、ハーフトーンモジュール99が、特許請求の範
囲にいう「ノズル補正部」として機能する。図15に示
すノズル補正部99aは、このようなハーフトーンモジ
ュール99の機能を示している。
【0076】第5実施例では、各ノズルが記録するドッ
トの大きさに応じてドットの有効記録率を変えている。
このため、同一の駆動波形をもとにして記録するドット
が大きいノズルほど、ドット記録率が低くなる。よっ
て、同一の駆動波形をもとにして記録するドットの大き
さがノズルごとに異なる場合にも、印刷のムラを少なく
することができる。なお、ラスタラインrの有効記録率
RR(r)は、上記(3)式以外の式で定めることとし
てもよい。例えば、上記(3)式の第2項の1/max
・w(j)を他の任意の数としても、各ノズルの重みを
反映して有効記録率を定めることができる。さらに、R
R(r)は、各ノズルが記録するドットの大きさが大き
いほど、また、ドットの視認性が高いほど、低い値にな
るように定めることとすればよい。いいかえれば、各ノ
ズルが吐出するインク量が多いほど、低い値になるよう
に定めることとすればよい。
【0077】G.第6実施例:上述した第5実施例で
は、各ラスタラインは一つのノズルで記録されることと
したが、第6実施例では、各ラスタラインは複数のノズ
ルで記録される。また、そのために、ノズル特定モジュ
ール101における処理が異なる。その他の点は、第5
実施例と同様である。
【0078】図17は、各ノズルのドットの大きさに応
じて有効記録率を変える態様を示す説明図である。この
変形例では、各ラスタは二つのノズルで記録される。す
なわち、各ラスタラインは#1−#7、#2−#8、#
3−#9、#4−#10、#5−#11、#6−#12
のいずれかの組み合わせのノズルに記録される。これ
は、以下のようにして実行される。すなわち、まず、印
刷ヘッド28のある送り(主走査)で、ノズル#7〜#
12で各ラスタの画素に一つおきにドットを記録する。
その後、印刷用紙の1回または複数回の副走査送りの後
に、先にノズル#7〜#12によって一つおきにドット
を記録されたそれぞれのラスタの位置に、ノズル#1〜
#6を配する。そして、まだ記録されていない一つおき
の画素に、ノズル#1〜#6でドットの記録を行う。図
17では、各ラスタは、偶数番目の画素をまずノズル#
7〜#12で記録され、副走査送りの後、偶数奇数の画
素をノズル#1〜#6で記録されている。なお、図17
において、P31,P32の上下の数字は、ドットの列
の数を表している。
【0079】各ノズルには、第5実施例と同様に重みw
(i)が付されている。そして、ラスタラインrの有効
記録率RR(r)を次の式で定める。
【0080】 RR(r)=1−(Σw(i)−minΣw(j))/maxΣw(j) ・ ・・(5)
【0081】ここで、式中の「i」、「j」は、ノズル
の番号(1〜12)であり、Σw(i)は、各ラスタを
記録するノズルの重みw(i)の和を意味する。そし
て、「minΣw(j)」は、Σw(j)の最小値であ
り、「maxΣw(j)」は、Σw(j)の最大値であ
る。ここでは、「minΣw(j)」は、ノズル#1−
#7の組み合わせにおける値160であり、「maxΣ
w(j)」は、ノズル#6−#12の組み合わせにおけ
る値210である。例えば、最小のドットを形成するノ
ズル#1−#7の組み合わせで記録されるラスタが、す
べての画素にドットを記録されるとき、同じ濃度の記録
をするためには、ノズル#4−#10の組み合わせによ
って記録されるラスタラインrの有効記録率は、RR
(r)=1−(190−160)/210=0.85
7、すなわち、85.7%である。各ラスタの有効記録
率RR(r)は、図17左側の表に示したようになる。
全ラスタが100%記録された場合の印刷結果が、図1
7のP31のようになるのに対して、第5実施例のプリ
ンタにおいて各ラスタの有効記録率が制御され、一部の
ドットを「省略する」(記録しない)ようにすることに
よって、印刷結果は、P32のようになる。
【0082】第6実施例では、各ラスタを複数のノズル
で記録している。このため、ノズルごとに高低差があ
り、形成するドットの大きさに違いがある場合に、各ラ
スタの画像濃度の差の程度が軽減される。このため、も
っとも有効記録率が低い(ドットを記録しない)ラスタ
においても、ドットの記録を省略する頻度は、図2に示
した第5実施例よりも少ない。このため、印刷結果はよ
り高品質となる。なお、第6実施例では、各ラスタを二
つのノズルで記録しているが、3個以上のノズルで記録
することとしてもよい。
【0083】なお、第6実施例では、ラスタラインrの
有効記録率RR(r)は、上述した(5)式で決定した
が、ラスタラインrの有効記録率RR(r)は、他の式
で定めることとしてもよい。例えば、(5)式第2項の
1/maxΣw(j)に代えて他の数を用いることとし
てもよい。すなわち、そのラスタラインを記録する複数
のノズルがそれぞれ記録するドットの大きさの平均が大
きいほど、有効記録率RR(r)が小さくなるように定
めることとすればよい。いいかえれば、各ノズルが吐出
するインク量の平均が多いほど、低い値になるように定
めることとすればよい。
【0084】また、第6実施例では説明を省略したが、
各ノズルは複数ラスタ分の間隔をあけて設けることがで
きる。その場合、印刷用紙の副走査送りの方法によっ
て、副走査方向に並ぶラスタがどのノズルの組み合わせ
で記録されることとなるかは異なってくる。例えば、あ
る副走査送り方式では、ノズル#1−#7の組み合わせ
で記録されるラスタが副走査方向(印刷用紙の送り方
向)に何本か続く場合もあるし、他の副走査送り方式で
は、隣り合うラスタは異なるノズルの組み合わせで記録
される場合もある。しかし、いずれの場合も、各ラスタ
の有効記録率は上記のように定めることができる。
【0085】図18は、各ノズルのドットの大きさに応
じて有効記録率を変える態様を示す説明図である。この
第6実施例では、各ラスタラインの各画素を二つのノズ
ルで交互に記録する場合について説明した(図17参
照)。しかし、各画素をそれぞれ二つの画素で重ねて記
録する態様においても、同様に有効記録率を制御するこ
とができる。たとえば、図18の一番上のラスタライン
は、図17の場合と同様、#1と#7のノズルで記録さ
れるが、ラスタライン中の各画素は図17のように#1
と#7のいずれかのノズルで記録されるのではなく、必
要に応じて#1と#7の両方のノズルでドットを記録さ
れる。図18は、各画素が両方のノズルで記録される場
合について示している。なお、図18においては、ノズ
ル番号の小さい方のノズルによる比較的小さいドットを
左にずらして記載し、ノズル番号の大きい方のノズルに
よる比較的大きいドットを右にずらして記載している。
このため、各画素に記録されたドットはいびつな形をし
ている。しかし、これは実際のドットの形状を反示すも
のではない。
【0086】このような記録方式においても、各ノズル
の吐出するインク滴の重量が異なる場合には、ラスタラ
インごとのドットの大きさが異なってしまう。たとえ
ば、図18のP41においては、ノズル#1のインク吐
出量はノズル#2のインク吐出量に比べて少なく、ノズ
ル#7のインク吐出量はノズル#8のインク吐出量に比
べて少ない。このため、ノズル#1と#7で記録される
一番上のラスタラインのドットは、ノズル#2と#8で
記録される二番目のラスタラインのドットよりも小さ
い。同様にして、図18のP41においては、下のラス
タラインほどドットが大きくなっている。
【0087】この態様においても、各ノズルの重みw
(i)を第5実施例と同様に(図2参照)定めた上で、
各ラスタラインの有効記録率RR(r)を(5)式を用
いて定めることで、画像濃度のムラを軽減することがで
きる。たとえば、上から4個目のラスタラインrはノズ
ル#4と#10によって記録されることから、その有効
記録率は、RR(r)=1−(190−160)/21
0=0.857、すなわち、85.7%である。そし
て、図18のP42において破線の丸で示すように、必
要に応じてドットの記録が省略される。このようにすれ
ば、各画素をそれぞれ二つの画素で重ねて記録する態様
においても、画像濃度のむらを少なくすることができ、
高品質の印刷を行うことができる。
【0088】H.第7実施例:図19は、2本のラスタ
ライン一組で共通の有効記録率を定める態様を示す説明
図である。第5実施例および第6実施例では、副走査方
向の各ラスタの密度は、副走査方向のノズルの密度と同
じであった。しかし、副走査方向の各ラスタの密度をノ
ズルの密度よりも高くすることもできる。第7実施例で
は、副走査方向についてノズルの密度の2倍の密度でラ
スタラインを記録し、隣り合う2本のラスタラインで共
通の有効記録率を定める態様について説明する。
【0089】図19に示すように、第7実施例では、ノ
ズル#7,#8,#9,#10,#11,#12で各ラ
スタを記録した後、副走査送りを行って、それら記録さ
れたラスタの間にノズル#1,#2,#3,#4,#
5,#6が位置するようにする。そして、それらのノズ
ルですでに記録したラスタラインの間のラスタラインを
記録する。その際、ノズル#1,#2,#3,#4,#
5,#6で記録を行うと同時に、ノズル#7,#8,#
9,#10,#11,#12で1ラスタづつの間をあけ
て新たなラスタを記録する。このようにすることで、副
走査方向のノズルの密度の2倍の密度でラスタラインを
記録することができる。このような印刷を「インターレ
ース方式」という。なお、図19において、ノズル#1
が記録するラスタラインについては、厳密には、さきに
ノズル#7,#8,#9,#10,#11,#12によ
って記録されたラスタラインの「間の」ラスタラインを
記録するわけではないが、ここでは説明を簡単にするた
めに、他のノズルと区別せずに説明する。
【0090】第7実施例では、各ラスタラインは、隣り
合う二つのラスタラインごとにラスタグループを構成す
る。そして、ラスタグループを構成するラスタラインに
ついては、共通の有効記録率が適用される。たとえば、
図19においては、ノズル#1で記録される一番上のラ
スタと、ノズル#7で記録される二番目のラスタが第1
のラスタグループを構成する。また、3番目のラスタラ
インと4番目のラスタラインとが第2のラスタグループ
を構成する。同様にして、隣り合う2本づつのラスタラ
インがラスタグループを構成する。
【0091】各ノズルには、第5実施例と同様に重みw
(i)が付されている。そして、ラスタグループgの各
ラスタラインに共通の有効記録率RR(g)を、次の式
で定める。
【0092】 RR(g)=1−(Σgw(i)−minΣgw(j)))/maxΣgw(j ) ・・・(6)
【0093】ここで、式中の「i」、「j」は、ノズル
の番号(1〜12)であり、Σgw(i)は、各ラスタ
グループのラスタを記録するノズルの重みw(i)の和
を意味する。そして、「minΣgw(j)」は、Σg
(j)の最小値であり、「maxΣgw(j)」は、Σg
w(j)の最大値である。ここでは、「minΣg
(j)」は、ノズル#1と#7で記録される第1のラス
タグループにおける値160であり、「maxΣg
(j)」は、ノズル#6と#12で記録される第6のラ
スタグループにおける値210である。例えば、ノズル
#4と#10で記録される第4のラスタグループの有効
記録率は、RR(g)=1−(190−160)/21
0=0.857、すなわち、85.7%である。
【0094】各ラスタの有効記録率RR(r)は、図1
9の表に示したようになる。全ラスタが100%記録さ
れた場合の印刷結果が、19のP51のようになるのに
対して、第7実施例のプリンタにおいて各ラスタの有効
記録率が制御され、一部のドットを「省略する」(記録
しない)ようにすることによって、印刷結果は、P52
のようになる。なお、ここでは理解を容易にするため
に、各ラスタグループのラスタラインは、主走査方向M
Sについて同じ位置の画素の記録を省略されるものとし
て示されているが、各ラスタグループのラスタライン
は、主走査方向MSについて異なった位置の画素の記録
を省略されることが好ましい。
【0095】第7実施例では、インターレース方式を採
用している。このため、副走査方向に並ぶ各ラスタライ
ンは、図2のP11のように副走査方向に並ぶノズルの
インク吐出量の変化をそのまま反映しにくい。このた
め、設けられている高さの違いによって吐出するインク
量が異なっているノズルを使用しても、印刷結果の品質
が低下しにくい。また、隣り合う複数のラスタラインで
ラスタグループを構成し、共通の有効記録率を定めてド
ットの記録を省略しているため、吐出するインク量が多
いノズルで記録される特定のラスタラインにおいて、大
量にドットの記録が省略されることがない。このため、
高品質な印刷を行うことができる。なお、ここでは、ラ
スタグループは2本のラスタラインで構成されたが、3
本以上のラスタラインで構成することとしてもよい。
【0096】以上に示したように、各ラスタラインの有
効記録率は、そのラスタラインを記録するノズルの重み
w(i)を考慮するだけでなく、そのラスタラインを記
録するノズル以外のノズル(例えば、隣のラスタを記録
するノズル)の重みをも考慮して定めてもよい。すなわ
ち、同一の画像濃度を再現する際に、印刷ヘッドに設け
られたノズルの高さの差に応じて各ノズルで記録される
ドットの記録率を調整するものであれば、画像濃度のむ
らを軽減することができる。
【0097】I.その他:上記実施例において、ハード
ウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェ
アに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェア
によって実現されていた構成の一部をハードウェアに置
き換えるようにしてもよい。例えば、図15に示したよ
うなノズル特定モジュールによる補正をプリンタのハー
ドウェア回路側で行うこととしてもよい。
【0098】図20は、同一濃度の印刷を行うために、
ノズルの高さに応じて設定を変える要素の組み合わせを
示す表である。上記では、同一濃度の印刷を行うため
に、ノズルの高さに応じて様々な要素(駆動波形、圧力
室の形状または変形のしやすさ、素子の単位電荷での変
形量、ノズルの開口、画素の有効記録率)の設定を変え
る態様を説明したが、これらの態様は、図20に示すよ
うに、適宜組み合わせてプリンタおよびプリンタをコン
トロールするコンピュータに適用することができる。ま
た、図20では二つの要素の組み合わせを示している
が、三つ以上の要素を変えることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のプリンタによる印刷結果
を示す説明図。
【図2】各ノズルのドットの大きさに応じて有効記録率
を変える態様を示す説明図。
【図3】本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロッ
ク図。
【図4】実施例のプリンタの概略構成図。
【図5】インク吐出用ヘッド28の内部の概略構成を示
す説明図。
【図6】ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を示した
説明図。
【図7】図6のA−A断面図。
【図8】実施例のプリンタにおけるノズル配置例を示す
説明図。
【図9】インクが吐出される際のノズルNzの駆動波形
と吐出されるインクIpとの関係を示した説明図。
【図10】第1実施例において制御回路40内に設けら
れた信号供給部の構成を示すブロック図。
【図11】第2実施例において制御回路内に設けられた
信号供給部の構成を示すブロック図。
【図12】ピエゾ素子PEとノズルNzの構造を示す断
面図。
【図13】第3実施例におけるピエゾ素子PEとノズル
Nzの構造を示す断面図。
【図14】第4実施例におけるインク吐出用ヘッド61
〜66におけるインクジェットノズルNzの開口の大き
さを模式的に示す説明図。
【図15】第5実施例の印刷装置のソフトウェアの構成
を示すブロック図。
【図16】ハーフトーン処理における誤差拡散の方法を
示す説明図。
【図17】各ノズルのドットの大きさに応じて有効記録
率を変える態様を示す説明図。
【図18】各ノズルのドットの大きさに応じて有効記録
率を変える態様を示す説明図。
【図19】2本のラスタライン一組で共通の有効記録率
を定める態様を示す説明図。
【図20】同一濃度の印刷を行うために、ノズルの高さ
に応じて設定を変える要素の組み合わせを示す表。
【符号の説明】
12…スキャナ 21…CRTディスプレイ 22…プリンタ 23…紙送りモータ 24…キャリッジモータ 26…プラテン 28…インク吐出用ヘッド 31…キャリッジ 32…操作パネル 34…摺動軸 36…駆動ベルト 38…プーリ 39…位置検出センサ 40…制御回路 61〜66…インク吐出用ヘッド 67…導入管 68…インク通路 68…圧力室 68a,68b…凹部 71…ブラックインク用カートリッジ 72…カラーインク用カートリッジ 90…コンピュータ 91…ビデオドライバ 95…アプリケーションプログラム 96…プリンタドライバ 97…解像度変換モジュール 98…色補正モジュール 99…ハーフトーンモジュール 100…ラスタライザ 101…ノズル特定モジュール 204…マスク回路 206a…駆動信号発生回路 206b…駆動信号発生回路 206c…駆動信号発生回路 DRV…駆動信号 Dd…濃度データ De…誤差データ FNL…印刷画像データ Ip…インク粒子 Iw…重量 LUT…色補正テーブル MID…中間画像データ Me…インク界面 N1…グループ N2…グループ N3…グループ NCT…ノズル補正テーブル Nz…インクジェットノズル ODRV1〜3…原駆動信号 ORG…原カラー画像データ P…用紙 PE,PE1,PE2,PE3…ピエゾ素子 PRT…印刷信号 RR(r)…有効記録率 MS…主走査方向 SS…副走査方向 Vh1…原駆動信号ODRV1の印加電圧 Vh2…原駆動信号ODRV2の印加電圧 Vh3…原駆動信号ODRV3の印加電圧 Vp1…変形量 Vp2…変形量 Vp3…変形量 d1…マイナスの電圧を印加する区間 d3…プラスの電圧を印加する区間 k…ノズルピッチ tp…圧力室の側壁の厚み θ…印刷ヘッドの傾きの角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA06 EC08 EC42 EC72 EC74 EC76 FA04 HA21 2C057 AF23 AF25 AG13 AG15 AG44 AG52 AG59 AM21 AM22 BA03 BA14

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷媒体上にドットを形成して印刷を行
    う印刷装置であって、 鉛直方向について異なる高さに設けられている2以上の
    ノズルを含む複数のノズルを有する印刷ヘッドと、 前記ノズルの高さの差に起因するインク吐出量の差を実
    質的に補償するためのインク量補償部と、を備える印刷
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記インク量補償部は、 前記各ノズルからインク滴をそれぞれ吐出させるための
    複数の吐出駆動素子と、 印刷信号に応じて、前記吐出駆動素子に駆動信号を供給
    する信号供給部と、を備え、 前記信号供給部は、 前記ノズルの高さに応じた波形をそれぞれ有する前記駆
    動信号を前記複数の吐出駆動素子に供給することによっ
    て、前記インク吐出量の差を補償する、印刷装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の印刷装置であって、 前記複数のノズルは、各ノズルの高さに応じて、それぞ
    れ1以上のノズルを含む複数のグループに分類されてお
    り、 前記信号供給部は、それぞれ前記グループに対応して設
    けられ、前記グループのノズルに供給するために互いに
    異なる駆動信号を生成することが可能な複数の駆動信号
    生成部を含む、印刷装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の印刷装置であって、 前記信号供給部は、 比較的上方にある前記ノズルに対応する駆動信号とし
    て、最大値が比較的大きな駆動信号を供給し、 比較的下方にある前記ノズルに対応する駆動信号とし
    て、最大値が比較的小さな駆動信号を供給する、印刷装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記インク量補償部は、 前記各ノズルに対応して設けられ、前記駆動信号を受け
    て変形する複数の吐出駆動素子と、 前記各ノズルにインクをそれぞれ供給するための複数の
    インク通路と、を有し、 前記複数のインク通路は、前記ノズルの高さに応じた形
    状をそれぞれ有しており、これによって前記インク吐出
    量の差を補償する、印刷装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の印刷装置であって、 前記各インク通路を構成する壁部は、少なくとも一部が
    変形可能な部材で設けられており、 前記吐出駆動素子は、それぞれ前記変形可能な部材で設
    けられる壁部に接して設けられており、 比較的上方にある前記ノズルに対応する前記インク通路
    の、前記変形可能な部材による壁部は比較的大きく、 比較的下方にある前記ノズルに対応する前記インク通路
    の、前記変形可能な部材による壁部は比較的小さい、印
    刷装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記インク量補償部は、 前記各ノズルに対応して設けられ、前記駆動信号を受け
    て変形する複数の吐出駆動素子と、 前記各ノズルにインクをそれぞれ供給するための複数の
    インク通路と、を有し、 比較的上方にある前記ノズルに対応する前記インク通路
    は、前記吐出駆動素子の変形による外力を受けたときに
    比較的変形しやすく設けられており、 比較的下方にある前記ノズルに対応する前記インク通路
    は、前記吐出駆動素子の変形による外力を受けたときに
    比較的変形しにくく設けられている、印刷装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記インク量補償部は、 圧電材料を使用して設けられ、前記駆動信号を受けて変
    形する複数の吐出駆動素子と、 前記各ノズルにインクをそれぞれ供給するための複数の
    インク通路と、を有し、 比較的上方にある前記ノズルに対応する前記吐出駆動素
    子は、単位強さの電界を印加されたときの変形量が、比
    較的大きく、 比較的下方にある前記ノズルに対応する前記吐出駆動素
    子は、単位強さの電界を印加されたときの変形量が、比
    較的小さい、印刷装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の印刷装置であって、 比較的上方にある前記ノズルの開口部は比較的大きく、 比較的下方にある前記ノズルの開口部は比較的小さい、
    印刷装置。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の印刷装置であって、 前記インク量補償部は、 同一の画像濃度を再現する際に、前記ノズルの高さの差
    に応じて各ノズルで記録されるドットの記録率を調整す
    ることによって、前記インク吐出量の差を補償する、印
    刷装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の印刷装置であって、 ノズルiによって記録されるラスタライン上のドット記
    録率は、前記ノズルiのインク吐出量が大きいほど小さ
    くなるように定められる、印刷装置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の印刷装置であって、 複数のノズルによって記録されるラスタライン上のドッ
    ト記録率は、前記ラスタラインを記録するノズルのイン
    ク吐出量の平均が大きいほど小さくなるように定められ
    る、印刷装置。
  13. 【請求項13】 鉛直方向について異なる高さに設けら
    れている2以上のノズルを含む複数のノズルを有する印
    刷ヘッドを備える印刷装置を使用して、印刷媒体上にド
    ットを形成して印刷を行う印刷方法であって、 前記ノズルの高さの差に起因するインク吐出量の差を実
    質的に補償して印刷を行う、印刷方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の印刷方法であって、 前記各ノズルからインク滴をそれぞれ吐出させるための
    駆動信号を、前記印刷装置に設けられる複数の吐出駆動
    素子に供給する際に、前記ノズルの高さに応じた波形を
    それぞれ有する前記駆動信号を前記複数の吐出駆動素子
    に供給することによって、前記インク吐出量の差を補償
    する、印刷方法。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の印刷方法であって、 同一の画素を再現する際に、前記ノズルの高さの差に応
    じて各ノズルで記録されるドットの記録率を調整するこ
    とによって、前記インク吐出量の差を補償する、印刷装
    置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の印刷方法であって、 ノズルiによって記録されるラスタライン上のドット記
    録率を、前記ノズルiのインク吐出量が大きいほど小さ
    くなるように定める、印刷方法。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の印刷方法であって、 複数のノズルによって記録されるラスタライン上のドッ
    ト記録率を、前記ラスタラインを記録するノズルのイン
    ク吐出量の平均が大きいほど小さくなるように定める、
    印刷方法。
  18. 【請求項18】 鉛直方向について異なる高さに設けら
    れている2以上のノズルを含む複数のノズルを有する印
    刷ヘッドを備える印刷装置に、印刷媒体上にドットを形
    成して印刷を行わせるために供給する、印刷データを生
    成する印刷制御装置であって、 前記ノズルの高さの差に起因するインク吐出量の差を実
    質的に補償した印刷データを生成する、印刷制御装置。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の印刷制御装置であっ
    て、 前記ノズルの高さに応じた波形をそれぞれ有する前記駆
    動信号を前記複数の吐出駆動素子に供給することによっ
    て、前記インク吐出量の差を補償する印刷データを生成
    する、印刷制御装置。
  20. 【請求項20】 請求項18記載の印刷制御装置であっ
    て、 同一の画素を再現する印刷データを生成する際に、前記
    ノズルの高さの差に応じて各ノズルで記録されるドット
    の記録率を調整することによって、前記インク吐出量の
    差を補償する、印刷制御装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の印刷制御装置であっ
    て、 ノズルiによって記録されるラスタライン上のドット記
    録率を、前記ノズルiのインク吐出量が大きいほど小さ
    くなるように定める、印刷制御装置。
  22. 【請求項22】 請求項20記載の印刷制御装置であっ
    て、 複数のノズルによって記録されるラスタライン上のドッ
    ト記録率を、前記ラスタラインを記録するノズルのイン
    ク吐出量の平均が大きいほど小さくなるように定める、
    印刷制御装置。
  23. 【請求項23】 鉛直方向について異なる高さに設けら
    れている2以上のノズルを含む複数のノズルを有する印
    刷ヘッドを備える印刷装置を有するコンピュータに、印
    刷媒体上にドットを形成させて印刷を行わせるためのコ
    ンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り
    可能な記録媒体であって、 前記ノズルの高さの差に起因するインク吐出量の差を実
    質的に補償する機能を、前記コンピュータに実現させる
    ためのコンピュータプログラムを記録しているコンピュ
    ータ読み取り可能な記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7407267B2 (en) 2004-05-19 2008-08-05 Fujifilm Corporation Liquid droplet ejection head and image forming apparatus
JP2008178989A (ja) * 2007-01-23 2008-08-07 Seiko Epson Corp 駆動信号の設定方法及び液滴吐出装置の駆動方法
US8757770B2 (en) 2012-03-29 2014-06-24 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming apparatus
JP2015089624A (ja) * 2013-11-05 2015-05-11 キヤノン株式会社 インクジェットヘッド

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