JP2002202400A - 放射性物質貯蔵容器の監視方法、および監視装置を備えた放射性物質貯蔵システム - Google Patents

放射性物質貯蔵容器の監視方法、および監視装置を備えた放射性物質貯蔵システム

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JP2002202400A
JP2002202400A JP2001072192A JP2001072192A JP2002202400A JP 2002202400 A JP2002202400 A JP 2002202400A JP 2001072192 A JP2001072192 A JP 2001072192A JP 2001072192 A JP2001072192 A JP 2001072192A JP 2002202400 A JP2002202400 A JP 2002202400A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貯蔵容器の健全性を容易に監視可能な放射性物
質貯蔵容器の監視方法、および監視装置を備えた放射性
物質貯蔵システムを提供することにある。 【解決手段】コンクリート容器12内に収納されたキャ
ニスタ14の容器本体15内にはヘリウムが所定の圧力
で充填されている。監視装置60は、コンクリート容器
内で容器本体の外周面に設けられた複数の熱電対62を
有し、これらの熱電対は、容器本体の高さ方向に沿って
互いに離間して配置されている。監視装置の検出器64
は、熱電対によって測定された温度に基づいて、容器本
体の高さ方向の温度分布の変化を検出し、ヘリウムの漏
洩を監視する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、使用済燃料等の
放射性物質を貯蔵した貯蔵容器の健全性を監視する貯蔵
容器の監視方法、および監視装置を備えた放射性物質貯
蔵システムに関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉の使用済燃料に代表される高放射
性物質は、解体処理されるとともに、プルトニウム等の
再度燃料として使用可能な有用物質を回収するため、再
処理される。そして、これらの使用済燃料は、再処理を
行うまでの間、密閉された状態で貯蔵されている。この
ような高放射性物質の貯蔵方法としては、貯蔵プール等
による湿式法、あるいは、キャスク等の貯蔵容器を用い
た乾式法が知られている。
【0003】水に代わり空気によって自然冷却を行う乾
式型の貯蔵方法は、湿式法に比較して運転コストが低い
ことから注目を集め、開発が進められている。また、乾
式法に用いる貯蔵容器には種々の構造のものがあるが、
コンクリート構造物によって使用済燃料を遮蔽するコン
クリートキャスクは、低コストであることから特に注目
されている。コンクリートは、中性子遮蔽材として優
れ、他の遮蔽材よりも安価であるとともに、構造体とし
て必要な強度が得られる等の利点も備えている。
【0004】一般に、このようなコンクリートキャスク
は、上部および底部が閉塞された筒状のコンクリート容
器を備え、使用済燃料が封入された筒状の金属密閉容
器、いわゆるキャニスタ、をこのコンクリート容器内に
収納配置することにより、使用済燃料からの放射性物質
を遮蔽している。キャニスタは、上記金属製の容器本体
と、この容器本体内に配置されたバスケットと、を有
し、使用済燃料集合体は、バスケットによって支持され
た状態で複数体封入されている。
【0005】また、キャニスタにおいて、容器本体は底
面が閉塞した筒状に形成され、容器本体の上部開口は、
遮蔽板、一次および2次蓋によって閉塞されている。こ
れらの一次蓋および二次蓋は所定の隙間を置いて重ねて
配置されているとともに、それぞれ周縁部が全周に亘っ
て容器本体の内周面に溶接されている。それにより、キ
ャニスタの密閉性を上げている。また、容器本体内、お
よび一次蓋と二次蓋との間の空間はヘリウム等の気体が
封入され、加圧された状態となっている。
【0006】このように構成されたコンクリートキャス
クでは、高放射性物質を長期間に亘って安全に、かつ、
安定して保管する必要があり、長期間に亘って高い放射
線遮蔽性能が要求される。
【0007】一方、キャニスタに収納されている使用済
燃料は発熱体であり、キャニスタが局部的に加熱されて
制限温度を越えると、歪みやクラック等の発生を招く。
また、一次蓋や二次蓋の溶接部に溶接欠陥がある場合、
あるいは、溶接の弱い箇所が経時変化により溶接欠陥と
なった場合、その部分から放射線が漏洩し、キャニスタ
の健全性を担保することが困難となる。そこで、貯蔵期
間中、キャニスタにおけるクラックや溶接欠陥の発生を
監視し、放射線の漏洩等を事前に防止することが安全評
価上、および安全保障上望ましい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなキャニス
タのクラックや溶接欠陥の発生を監視する方法として、
例えば、キャニスタの一次蓋と二次蓋との間の空間の圧
力を監視する方法が考えられる。すなわち、前述したよ
うに、一次蓋と二次蓋との間の空間は加圧され、ヘリウ
ム等の気体が封入されている。そして、キャニスタにク
ラックや溶接欠陥等が発生し、上記空間内のヘリウムが
漏洩した場合、上記空間内の圧力が変化する。そこで、
この空間内の圧力を監視することにより、キャニスタに
おけるクラックや溶接欠陥等の発生を監視することがで
きる。
【0009】キャニスタの一次蓋と二次蓋との間の空間
における圧力を検出する方法としては、二次蓋に貫通孔
を形成し、この貫通孔を通して上記空間内に挿入された
圧力センサによって検出する方法が考えられる。しかし
ながら、このようにキャニスタの二次蓋に貫通孔を形成
した場合、キャニスタの密閉性が低下する可能性があ
り、キャニスタ本来の機能を考慮すると、望ましくな
い。また、作業性および安全性を考慮した場合、キャニ
スタをコンクリート容器から取り出すことなく、コンク
リート容器の外部からキャニスタの健全性を監視できる
ことが望ましい。
【0010】この発明は以上の点に鑑みなされたもの
で、その目的は、貯蔵容器の健全性を容易に監視可能な
放射性物質貯蔵容器の監視方法、および監視装置を備え
た放射性物質貯蔵システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る放射性物質貯蔵容器の監視方法は、
貯蔵容器の高さ方向、つまり、軸方向に沿った温度分布
を貯蔵容器の外部から測定し、測定した温度分布の変化
に基づいて貯蔵容器内の圧力低下を監視することを特徴
としている。
【0012】また、この発明に係る放射性物質貯蔵容器
の監視方法は、貯蔵容器の任意の部位の温度を貯蔵容器
の外部から測定し、測定した温度の変化に基づいて貯蔵
容器内の圧力低下を監視することを特徴としている。
【0013】すなわち、貯蔵容器が健全な場合、この貯
蔵容器内にはヘリウム等のガスが所定の圧力で封入され
ている。このヘリウムは空気に比較して熱伝導率が高い
ため、貯蔵容器内における高さ方向の温度分布は、貯蔵
容器の下部では低いが、中間部および上部ではほぼ均一
な温度となる。ところが、貯蔵容器に溶接欠陥、クラッ
ク等が発生し貯蔵容器内の圧力が低下すると、つまり、
貯蔵容器内のヘリウムが外部に漏洩すると、貯蔵容器内
の熱伝導率が低下し、温度分布が変化する。具体的に
は、貯蔵容器内のヘリウムが減少すると、これに伴い、
貯蔵容器の高さ方向上部の温度が低下し、高さ方向中間
部の温度が上昇してくる。そこで、このような貯蔵容器
の高さ方向に沿った温度分布の変化を監視することによ
り、充填ガスの漏洩の有無、つまり、貯蔵容器の健全性
を監視することができる。
【0014】また、上記のように、充填ガスの減少に伴
い、貯蔵容器の各部位の温度が変化することから、貯蔵
容器の任意の部位の温度変化を監視することによって
も、充填ガスの漏洩の有無、つまり、貯蔵容器の健全性
を監視することができる。
【0015】以上のことから、この発明に係る監視方法
は、放射性物質を収納しているとともに空気よりも熱伝
導率の高い加圧されたガスが充填され、コンクリート容
器内に配置された金属製の貯蔵容器の健全性を監視する
放射性物質貯蔵容器の監視方法において、上記貯蔵容器
の高さ方向に沿った温度分布を、上記貯蔵容器の外側か
ら測定し、上記測定された温度分布の変化に基づいて上
記充填ガスの漏洩を監視することを特徴としている。
【0016】また、この発明に係る監視方法は、放射性
物質を収納しているとともに空気よりも熱伝導率の高い
加圧されたガスが充填され、コンクリート容器内に配置
された金属製の貯蔵容器の健全性を監視する放射性物質
貯蔵容器の監視方法において、上記貯蔵容器の任意の部
位の温度を、上記貯蔵容器の外側から測定し、上記測定
された温度の変化に基づいて上記充填ガスの漏洩を監視
することを特徴としている。
【0017】また、この発明に係る監視方法によれば、
上記貯蔵容器の外側で上記コンクリート容器内に設けら
れた温度検出器により、上記貯蔵容器の高さ方向に沿っ
た温度分布、あるいは貯蔵容器の任意の部位の温度、を
測定することを特徴としている。
【0018】一方、この発明に係る放射性物質貯蔵シス
テムは、内部に収納部を有したコンクリート容器と、上
記コンクリート容器の上端開口を閉塞したコンクリート
製の蓋体と、を備えたコンクリート製貯蔵容器と、放射
性物質が収納された容器本体と、この容器本体に溶接さ
れ容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、を有し、上記コ
ンクリート容器の収納部内に収納されているとともに、
上記本体内に空気よりも熱伝導率が高く加圧されたガス
が充填された金属製のキャニスタと、上記キャニスタの
健全性を監視する監視装置と、を備え、上記監視装置
は、上記コンクリート容器内で上記キャニスタの外側に
設けられ、上記キャニスタの高さ方向に沿った温度分布
を測定する温度測定器と、上記温度測定器によって測定
された温度分布の変化を検出する検出器と、を備えてい
ることを特徴としている。
【0019】温度測定器としては、キャニスタの高さ方
向に沿って複数配置された熱電対、あるいは、キャニス
タの高さ方向に沿って配設された光ファイバー等を用い
ることができる。
【0020】また、この発明に係る他の放射性物質貯蔵
システムによれば、監視装置は、コンクリート容器内で
キャニスタの外側に設けられ、上記キャニスタの任意の
部位の温度を測定する温度測定器と、上記温度測定器に
よって測定された温度の変化を検出する検出器と、を備
えていることを特徴としている。温度測定器としては、
キャニスタの任意の部位に設けられた熱電対、あるい
は、光ファイバー等を用いることができる。
【0021】上記のように構成された放射性物質貯蔵容
器の監視方法、および放射性物質貯蔵システムによれ
ば、貯蔵容器の高さ方向に沿った温度分布、あるいは、
任意の部位の温度を検出することにより、貯蔵容器の蓋
に透孔等を設けることなく、かつ、貯蔵容器の外部から
上記貯蔵容器内の圧力変化、つまり、充填ガスの漏洩を
容易に検出し、貯蔵容器の健全性を監視することができ
る。従って、貯蔵容器における溶接欠陥あるいはクラッ
ク等の発生を早期に発見し、交換、修理等の適切な処置
を施すことができ、放射線の漏洩等を事前に防止するこ
とが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発
明の第1の実施の形態に係る監視装置を備えた放射性物
質貯蔵システム、および監視方法について詳細に説明す
る。
【0023】図1および図2に示すように、この放射性
物質貯蔵システムにおいて、コンクリート製貯蔵容器と
して機能するコンクリートキャスク10は、コンクリー
トにより形成され遮蔽構造体として機能するコンクリー
ト容器12を備え、このコンクリート容器内には、金属
製の密閉貯蔵容器として機能するキャニスタ14が収納
されている。キャニスタ14は、両端が閉塞した円筒形
状に形成され、その内部には、バスケット16により支
持された状態で、使用済燃料集合体18が複数体封入さ
れている。これらの使用済燃料集合体18は、例えば、
原子炉の使用済燃料であり、崩壊熱に伴う発熱と放射線
の発生を伴う放射性物質を含んでいる。そして、キャニ
スタ14は、封入された放射性物質が外部に漏洩しない
よう、溶接密閉構造を有している。
【0024】コンクリートキャスク10のコンクート容
器12は、底部の閉塞された円筒形状を有し、例えば、
高さ約6m、直径約4m程度に形成され、また、コンク
リートの壁厚は、約0.9m程度に形成されている。コ
ンクート容器12の上端開口は、外面が炭素鋼板によっ
て覆われたコンクリート製の蓋体20により閉塞されて
いる。この蓋体20は、複数のボルト21によりコンク
リート容器12の上端にボルト止めされている。なお、
コンクート容器12のコンクリート壁内には、図示しな
い配筋が施されている。
【0025】コンクリート容器12内には、コンクリー
ト容器の内周面および蓋体20により、円柱形状の収納
部22が規定されている。そして、この収納部22内に
キャニスタ14が収納されている。キャニスタ14は、
収納部22の底面に形成された複数のリブ31上に載置
されているとともに、コンクート容器12と同軸的に配
置されている。
【0026】また、収納部22内に収納された状態にお
いて、キャニスタ14の外周面とコンクート容器12の
内周面との間には、所定の隙間、例えば、10cm程度
の隙間が形成されている。そして、この隙間により、冷
却空気が流れる冷却空気流路24が形成されている。冷
却空気流路24は、キャニスタ14の外周面の全周に亘
って、かつ、外周面の軸方向全長に亘って形成されてい
る。
【0027】コンクート容器12の底部には複数、例え
ば4つの吸気口26が形成され、また、コンクート容器
12の上端部には、同様に、4つの排気口28が形成さ
れ、それぞれ冷却空気流路24に連通している。4つの
吸気口26は、容器本体12の円周方向に沿って互いに
等間隔離間して設けられ、コンクート容器12の底部外
周面に開口している。また、排気口28は、コンクート
容器12の円周方向に沿って互いに等間隔離間して設け
られ、コンクート容器12の上端部外周面に開口してい
る。
【0028】これらの吸気口26、排気口28、および
冷却空気流路24は、空気の自然循環冷却によりコンク
リートキャスク10を除熱する除熱部を構成している。
すなわち、吸気口26からコンクート容器12内に導入
された冷却空気としての外気は、冷却空気流路24を通
ってキャニスタ14の周囲を流れ、その間、キャニスタ
14およびコンクート容器12を除熱し冷却する。そし
て、キャニスタ14からの熱によって加熱され昇温した
冷却空気は、排気口28からコンクート容器12の外部
に排出される。
【0029】一方、コンクート容器12の内周面には、
炭素鋼等の金属からなる円筒状のライナ30が設けられ
ている。金属からなるライナ30は、コンクリートに比
較して伝熱性が高く、使用済燃料集合体18から発生し
た熱の伝熱を促進するとともに、使用済燃料集合体18
からの放射線、主としてγ線、を遮蔽する機能を有して
いる。
【0030】次に、キャニスタ14の構成について詳細
に説明する。図2および図3に示すように、キャニスタ
14は、下端が閉塞されているとともに上端開口を有し
たほぼ円筒状の容器本体15を備えている。容器本体1
5は、例えばステンレス等の非磁性金属によって形成さ
れている。そして、容器本体15内には、バスケット1
6により支持された状態で、使用済燃料集合体18が複
数体封入されている。
【0031】容器本体15の上端部内周面には環状の支
持部材42が固定され、この支持部材上には、円盤状の
遮蔽体44が載置され容器本体の上端開口を閉塞してい
る。また、容器本体15の上端部内には、遮蔽体44に
重ねて円盤状の一次蓋48が装着され、容器本体の上端
開口を閉塞している。一次蓋48の上端側の周縁部は、
全周に亘って容器本体15の内周面に溶接されている。
遮蔽体44および一次蓋48には、容器本体15内の排
気および排水に利用する流路50が形成され、この流路
は一次蓋48に固定された栓体51によって封止されて
いる。
【0032】更に、容器本体15の上端部内には、一次
蓋48に重ねて円盤状の二次蓋52が装着されている。
二次蓋52の上端側の周縁部は容器本体40の内周面に
溶接され、それにより、二次蓋52は容器本体40の上
端開口を閉塞し、一次蓋48の外側に位置している。
【0033】このように、容器本体15の上端開口は、
遮蔽体44、一次蓋48、および二次蓋52によって気
密に閉塞されている。これら遮蔽体44、一次蓋48、
および二次蓋52は、例えばステンレス等の金属によっ
て形成されている。
【0034】また、一次蓋48と二次蓋52との間には
密閉空間55が形成され、この密閉空間55には、加圧
ガスとして、空気よりも熱伝導率の高いガス、例えば、
ヘリウム(He)が封入されている。それにより、密閉
空間55は約5気圧程度に加圧されている。同様に、容
器本体15内には、ヘリウムが封入され約3気圧程度に
加圧されている。
【0035】次に、上記のように構成されたコンクリー
トキャスク10に収納されているキャニスタ14の健全
性を監視する監視装置について説明する。放射性物質貯
蔵システムの一部を構成する監視装置60は、キャニス
タ14の高さ方向に沿った温度分布を測定する温度測定
器を備え、温度測定器によって測定された温度分布の変
化を検出することにより、容器本体15内のヘリウムの
漏洩の有無、すなわち、キャニスタの健全性を監視す
る。
【0036】詳細に述べると、図2に示すように、監視
装置60は、温度測定器として、コンクリート容器12
内でキャニスタ14の容器本体15の外周面に設けられ
た複数の熱電対62を備えている。これらの熱電対62
は、容器本体15の高さ方向、つまり、軸方向、に沿っ
て互いに離間した複数箇所、例えば、容器本体15の上
部、中間部、および下部を含む8箇所にそれぞれ設けら
れている。そして、これらの熱電対62は、コンクリー
ト容器12の外部に配設された検出器64に電気的に接
続されている。
【0037】なお、監視装置60の温度測定器は、キャ
ニスタ14上部の温度を測定する熱電対として、上記複
数の熱電対62に加え、キャニスタ14の蓋部、例え
ば、二次蓋52の外面中央部の温度を測定する熱電対を
含んでいてもよい。
【0038】上記構成のコンクリートキャスク10によ
れば、キャニスタ14の貯蔵期間中、監視装置60によ
ってキャニスタ14の健全性を監視する。すなわち、監
視装置60は、複数の熱電対62により容器本体15の
高さ方向に沿った各位置での温度を測定する。そして、
検出器64は、熱電対62によって測定された各温度か
ら、容器本体15の高さ方向に沿った温度分布を検出す
る。
【0039】ここで、容器本体15の高さ方向に沿った
温度分布は、この容器本体内におけるヘリウムの充填量
に応じて変化する。すなわち、キャニスタ14が健全な
場合、容器本体15内はヘリウムで満たされ所定圧力に
維持されている。そして、ヘリウムは空気に比較して熱
伝導率が高いため、使用済燃料集合体18から生じた熱
は容器本体15内で効率よく対流する。従って、容器本
体15内における高さ方向の温度分布は、図4に曲線A
で示すように、容器本体の下部では低いが、中間部およ
び上部ではほぼ均一な温度となる。
【0040】ところが、キャニスタ14に溶接欠陥、ク
ラック等が発生し容器本体15内の圧力が低下すると、
つまり、容器本体内のヘリウムが外部に漏洩すると、容
器本体内部の熱伝導率が低下し、容器本体の高さ方向に
沿った温度分布が変化する。例えば、図4における曲線
Bは、容器本体15のヘリウムが漏洩し容器本体内の圧
力が2気圧に低下した際の温度分布、また、曲線Cは、
容器本体15のヘリウムが漏洩し容器本体内の圧力が1
気圧に低下した際の温度分布をそれぞれ示すもので、容
器本体15内のヘリウムの低減に伴い、容器本体上部の
温度が低下し、高さ方向中間部の温度が上昇してくる。
【0041】従って、熱電対62によって測定した温度
に基づき、検出器64によって容器本体15の高さ方向
に沿った温度分布の変化を監視することにより、ヘリウ
ムの漏洩の有無、つまり、キャニスタ14の健全性を監
視することができる。
【0042】以上のように構成された第1の実施の形態
によれば、キャニスタ14の高さ方向に沿った温度分布
の変化を検出することにより、コンクリートキャスク1
0の外部からキャニスタ14の健全性を容易に監視可能
な監視方法、および放射性物質貯蔵システムを得ること
ができる。
【0043】次に、この発明の第2の実施の形態に係る
放射性物質貯蔵システムの監視装置および監視方法につ
いて説明する。図5に示すように、第2の実施の形態に
よれば、監視装置60は、温度測定器として光ファイバ
66を備え、この光ファイバ66は、コンクリート容器
12内でキャニスタ14の容器本体15の外周面に接触
して設けられ、容器本体15の高さ方向に沿って、か
つ、ほぼ全長に亘って延びている。そして、光ファイバ
66は、排気口28を通ってコンクリート容器12の外
部に引き出されている。
【0044】また、監視装置60は、光ファイバ66の
入射端に接続され、レーザ光源70から出射されたパル
ス状のレーザ光を光ファイバに入射する光方向性結合器
68と、光方向性結合器68に接続された波長分析器
(SCA)72と、を有している。波長分析器72は、
光ファイバ66中で発生し光ファイバの入射端から出射
された後方散乱光を、光方向性結合器68を介して受
け、この後方散乱光の検出および分析を行う。また、波
長分析器72には、データ処理装置74、および検出結
果を表示するモニタ76が接続されている。なお、波長
分析器72およびデータ処理装置74は、この発明にお
ける検出器を構成している。
【0045】光ファイバ34としては、耐放射線性に優
れた純石英コアファイバ、フッ素ドープド石英コアファ
イバ等が用いられている。
【0046】上記のように構成された監視装置60によ
ってキャニスタ14の健全性を監視する場合、監視装置
60は、レーザ光源70からパルス状のレーザ光を光方
向性結合器68を通して光ファイバ66に入射する。そ
して、光ファイバ66に入射したレーザ光は、容器本体
15の外周面に沿って光ファイバ内を伝搬する。その
際、光ファイバ66中で生じた後方散乱光は、光ファイ
バの入射端から出射し、光方向性結合器68を介して波
長分析器72に送られる。
【0047】波長分析器72は、入力された後方散乱光
を検出および分析し、容器本体15の高さ方向に沿った
温度分布を測定する。すなわち、光ファイバ66を通る
レーザ光には、容器本体15の各部位の温度に応じて特
有の後方散乱光が発生し、波長分析器72はこの後方散
乱光の強度および波長シフト量を測定する。そして、デ
ータ処理装置74は、波長分析器72で測定された後方
散乱光の強度、波長シフト量から各部位の温度を検出す
る。同時に、後方散乱光の時間展開から、温度の各測定
位置を特定することができる。
【0048】なお、監視装置60による測定精度は、温
度±0.1℃、位置精度10〜30cm程度が得られ
る。
【0049】以上のように、監視装置60によって容器
本体15の高さ方向に沿った温度分布を測定し、この温
度分布の変化を監視することにより、容器本体15内に
おけるヘリウムの漏洩の有無、つまり、キャニスタ14
の健全性を監視することができる。
【0050】従って、上記構成を有する第2の実施の形
態においても、キャニスタ14の高さ方向に沿った温度
分布の変化を検出することにより、コンクリートキャス
ク10の外部からキャニスタ14の健全性を容易に監視
可能な監視方法、および放射性物質貯蔵システムを得る
ことができる。
【0051】なお、第2の実施の形態において、監視装
置60として、ファイバ−ブラッグ−グレーティング
(FBG)法に基づく監視装置が用いることもできる。
この監視装置60によれば、光ファイバ66は、容器本
体15の高さ方向に沿って所定の間隔で設けられた複数
の回折格子を有して構成される。この場合、レーザ光源
70から光方向性結合器68を介して光ファイバ66に
入射したパルス状レーザ光の内、ブラッグの反射条件に
合った波長の光のみが回折格子により反射され、その反
射光の波長シフト量は波長分析器72によって測定され
る。そして、測定された波長シフト量をデータ処理装置
76によって演算処理することにより、容器本体15の
高さ方向に沿った複数位置での温度を検出することがで
きる。なお、監視装置60による測定精度は、温度±
0.1℃、位置精度10〜30cm程度が得られる。
【0052】上記のような監視装置60を用いた場合で
も、上述した第2の実施の形態と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0053】上述した第1および第2の実施の形態で
は、キャニスタの高さ方向に沿った温度分布の変化を検
出する構成としたが、キャニスタの任意の箇所の温度変
化を検出してキャニスタの健全性を監視する構成として
も良い。
【0054】すなわち、図4に曲線A、B、Cで示した
ように、キャニスタ内の圧力変化に応じて、キャニスタ
の各部の温度が変化する。例えば、キャニスタ上部の温
度は約150℃から110℃の範囲で変化し、また、キ
ャニスタ中間部の温度は約150℃から約170℃の範
囲で変化する。そこで、キャニスタ14の任意の部位の
温度変化を検出することにより、ヘリウムの漏洩に伴う
キャニスタ内の圧力変化を検出し、キャニスタの健全性
を監視することができる。
【0055】図6に示す第3の実施の形態によれば、監
視装置60は、温度測定器として機能する熱電対62を
備え、この熱電対は、キャニスタ14の蓋部、例えば、
二次蓋52の外面中央部に設けられている。そして、こ
の熱電対62は、コンクリート容器12の外部に配設さ
れた検出器64に電気的に接続されている。他の構成
は、前述した第1の実施の形態と同一であり、同一の部
分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略す
る。
【0056】上記第3の実施の形態によれば、キャニス
タ14の貯蔵期間中、監視装置60は、熱電対62によ
りキャニスタ蓋部の温度を測定する。そして、熱電対6
2によって測定した温度に基づき、検出器64によって
キャニスタ14上部の温度変化を検出することにより、
ヘリウムの漏洩の有無、つまり、キャニスタ14の健全
性を監視することができる。
【0057】なお、第3の実施の形態において、温度を
測定する部位は、キャニスタ14の蓋部に限らず、容器
本体15の上端部、中間部、あるいは他の部位としても
良い。但し、測定部位は、キャニスタ内部の圧力変化に
応じた温度変化の大きい部位を選択することが望まし
い。
【0058】また、第3の実施の形態において、監視装
置60は、熱電対と検出器との組合わせに限らず、第2
の実施の形態と同様に、光ファイバ、レーザ光源、光方
向性結合器、データ処理装置等を備えた監視装置、ある
いは、ファイバーブラッグブレーティング法に基づく監
視装置を用いてもよい。
【0059】その他、この発明は上述した実施の形態に
限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能
である。例えば、密閉容器の形状、材質等は上述した実
施の形態に限定されることなく、必要に応じて種々選択
可能である。また、キャニスタの容器本体内に充填する
ガスは、空気よりも熱伝導率の高いガスであればよく、
ヘリウムの他、窒素等を用いることができ、かつ、その
圧力も任意に設定可能である。更に、キャニスタの高さ
方向に沿った温度測定点は、必要に応じて増減可能であ
る。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、貯蔵容器の高さ方向に沿った温度分布を貯蔵容器の
外側から測定し、測定された温度分布の変化に基づいて
充填ガスの漏洩を監視することにより、貯蔵容器の健全
性を容易に監視可能な監視方法、および放射性物質貯蔵
システムを提供することができる。
【0061】また、この発明によれば、貯蔵容器の任意
の部位の温度を貯蔵容器の外側から測定し、測定された
温度変化に基づいて充填ガスの漏洩を監視することによ
り、貯蔵容器の健全性を容易に監視可能な監視方法、お
よび放射性物質貯蔵システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る放射性物質
貯蔵システムのコンクリートキャスクを一部破断して示
す斜視図。
【図2】上記コンクリートキャスクの縦断面図。
【図3】上記コンクリートキャスクに収納されたキャニ
スタを一部破断して示す側面図。
【図4】上記キャニスタ内の圧力低下に伴う、上記キャ
ニスタの高さ方向に沿った温度分布の変化を示すグラ
フ。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る放射性物質
貯蔵システムを概略的に示す断面図。
【図6】この発明の第3の実施の形態に係る放射性物質
貯蔵システムを概略的に示す断面図。
【符号の説明】
10…コンクリートキャクス 12…コンクリート容器 14…キャニスタ 15…容器本体 18…使用済燃料集合体 20…蓋体 22…収納部 48…一次蓋 52…二次蓋 55…密閉空間 60…監視装置 62…熱電対 64…検出器 66…光ファイバ 68…光方向性結合器 70…光源 72…波長分析器 74…データ処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入野 光博 東京都港区高輪2−19−13 株式会社菱友 システム技術内 Fターム(参考) 2G075 CA50 DA03 DA10 FA11 FC14 GA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射性物質を収納しているとともに空気よ
    りも熱伝導率の高い加圧されたガスが充填され、コンク
    リート容器内に配置された金属製の貯蔵容器の健全性を
    監視する放射性物質貯蔵容器の監視方法において、 上記貯蔵容器の高さ方向に沿った温度分布を、上記貯蔵
    容器の外側から測定し、 上記測定された温度分布の変化に基づいて上記充填ガス
    の漏洩を監視することを特徴とする放射性物質貯蔵容器
    の監視方法。
  2. 【請求項2】上記コンクリート容器内で上記貯蔵容器の
    外側に設けられた温度測定器により、上記貯蔵容器の高
    さ方向に沿った温度分布を測定することを特徴とする請
    求項1に記載の放射性物質貯蔵容器の監視方法。
  3. 【請求項3】内部に収納部を有したコンクリート容器
    と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞したコンク
    リート製の蓋体と、を備えたコンクリート製貯蔵容器
    と、 放射性物質が収納された容器本体と、この容器本体に溶
    接され容器本体の上端開口を閉塞した蓋と、を有し、上
    記コンクリート容器の収納部内に収納されているととも
    に、上記容器本体内に空気よりも熱伝導率が高く加圧さ
    れたガスが充填された金属製のキャニスタと、 上記キャニスタの健全性を監視する監視装置と、を備
    え、 上記監視装置は、 上記コンクリート容器内で上記キャニスタの外側に設け
    られ、上記キャニスタの高さ方向に沿った温度分布を測
    定する温度測定器と、 上記温度測定器によって測定された温度分布の変化を検
    出する検出器と、 を備えていることを特徴とする放射性物質貯蔵システ
    ム。
  4. 【請求項4】上記温度測定器は、上記キャニスタの高さ
    方向に沿って、少なくとも上記キャニスタの上部、中間
    部、および下部を含む複数の位置に配設された複数の熱
    電対を備えていることを特徴とする請求項3に記載の放
    射性物質貯蔵システム。
  5. 【請求項5】上記温度測定器は、上記キャニスタの外面
    に接触して設けられ上記キャニスタの高さ方向に沿って
    延びた光ファイバと、上記コンクリート容器の外部に配
    設され上記光ファイバにレーザ光を入射するレーザ光源
    と、を備え、 上記検出器は、上記光ファイバ中で発生し上記光ファイ
    バから出射された散乱光の強度および波長シフト量を測
    定する波長分析器と、測定した散乱光の強度および波長
    シフト量から温度を検出するとともに、測定した散乱光
    の時間展開から上記温度の測定位置を検出するデータ処
    理装置と、を備えていることを特徴とする請求項3に記
    載の放射性物質貯蔵システム。
  6. 【請求項6】上記温度測定器は、上記キャニスタの外面
    に接触して設けられ上記キャニスタの高さ方向に沿って
    延びた光ファイバと、上記コンクリート容器の外部に配
    設され上記光ファイバにレーザ光を入射するレーザ光源
    と、を備え、 上記光ファイバは上記キャニスタの高さ方向に離間した
    複数の位置に設けられた回折格子を有し、 上記検出器は、上記回折格子で反射されたレーザ光の反
    射光を検出し上記反射光の波長シフト量を測定する波長
    分析器と、測定した上記波長シフト量から上記回折格子
    の位置における上記キャニスタの温度を検出するデータ
    処理装置と、を備えていることを特徴とする請求項3に
    記載の放射性物質貯蔵システム。
  7. 【請求項7】放射性物質を収納しているとともに空気よ
    りも熱伝導率の高い加圧されたガスが充填され、コンク
    リート容器内に配置された金属製の貯蔵容器の健全性を
    監視する放射性物質貯蔵容器の監視方法において、 上記貯蔵容器の任意の部位の温度を、上記貯蔵容器の外
    側から測定し、 上記測定された温度の変化に基づいて上記充填ガスの漏
    洩を監視することを特徴とする放射性物質貯蔵容器の監
    視方法。
  8. 【請求項8】上記コンクリート容器内で上記貯蔵容器の
    外側に設けられた温度測定器により、上記貯蔵容器の任
    意の部位の温度を測定することを特徴とする請求項7に
    記載の放射性物質貯蔵容器の監視方法。
  9. 【請求項9】上記貯蔵容器の蓋部の温度を測定すること
    を特徴とする請求項7又は8に記載の放射性物質貯蔵容
    器の監視方法。
  10. 【請求項10】内部に収納部を有したコンクリート容器
    と、上記コンクリート容器の上端開口を閉塞したコンク
    リート製の蓋体と、を備えたコンクリート製貯蔵容器
    と、 放射性物質が収納された容器本体と、この容器本体に溶
    接され容器本体の上端開口を閉塞した蓋部と、を有し、
    上記コンクリート容器の収納部内に収納されているとと
    もに、上記容器本体内に空気よりも熱伝導率が高く加圧
    されたガスが充填された金属製のキャニスタと、 上記キャニスタの健全性を監視する監視装置と、を備
    え、 上記監視装置は、 上記コンクリート容器内で上記キャニスタの外側に設け
    られ、上記キャニスタの任意の部位の温度を測定する温
    度測定器と、 上記コンクリート容器の外側に設けられているとともに
    上記温度測定器に接続され、上記温度測定器によって測
    定された温度の変化を検出する検出器と、 を備えていることを特徴とする放射性物質貯蔵システ
    ム。
  11. 【請求項11】上記温度測定器は、上記キャニスタの任
    意の部位に接触して設けられた熱電対を備えていること
    を特徴とする請求項3に記載の放射性物質貯蔵システ
    ム。
  12. 【請求項12】上記温度測定器は、上記キャニスタの外
    面に接触して設けられた光ファイバと、上記コンクリー
    ト容器の外部に配設され上記光ファイバにレーザ光を入
    射するレーザ光源と、を備え、 上記検出器は、上記光ファイバ中で発生し上記光ファイ
    バから出射された散乱光の強度および波長シフト量を測
    定する波長分析器と、測定した散乱光の強度および波長
    シフト量から温度を検出するとともに、測定した散乱光
    の時間展開から上記温度の測定位置を検出するデータ処
    理装置と、を備えていることを特徴とする請求項10に
    記載の放射性物質貯蔵システム。
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