JP2002200110A - 創傷被覆材 - Google Patents

創傷被覆材

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JP2002200110A
JP2002200110A JP2001001616A JP2001001616A JP2002200110A JP 2002200110 A JP2002200110 A JP 2002200110A JP 2001001616 A JP2001001616 A JP 2001001616A JP 2001001616 A JP2001001616 A JP 2001001616A JP 2002200110 A JP2002200110 A JP 2002200110A
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wound
hyaluronic acid
wound dressing
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JP2001001616A
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Takao Komazawa
隆雄 駒沢
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 創傷面から滲み出るかなりの量の滲出液を吸
収することができ、且つ滲出液中に含まれる水分を所望
な速度内で創傷被覆材を通して被覆材の外部表面に移し
て、この水分を外部に蒸発させることによって被覆材の
有効寿命を延長することが出来ると同時に、創面の治癒
促進作用を有する創傷被覆材の提供。 【解決手段】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
布層(目付け30〜300g/m)11、ポリウレタ
ンを除く熱可塑性樹脂からなり、開孔を有するフイルム
層(厚み5〜100μm)12及び非架橋ヒアルロン酸
スポンジ層13の3層からなる創傷被覆材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、創傷被覆材に関す
るものである。更に詳しくは、治癒過程中に多量に創傷
液を滲出する創面へ適用して、創傷の治癒を促進する用
途に適合する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱傷、褥瘡(床ずれ)その他
外傷による創傷を治療する際の一つの方法として、傷口
に治療薬を塗布した後、その上にガーゼを被せ、被覆材
で固定する方法が取られてきた。このような場合、ガー
ゼを直接創傷面にあてるので、創傷面からの滲出液はガ
ーゼに直接吸収されることになるが、ガーゼの吸水能力
はそれほど高くなく、滲出液の貯留が起こる。この貯留
が逆に菌の発生を助長し、早期治癒が困難になる。特
に、創傷からの滲出液が多い創面では、治療薬の軟膏あ
るいはクリームが滲出液と混合してドロドロ状態になる
ため、頻繁に被覆材の交換を行い、軟膏あるいはクリー
ムを塗り換えなければならない。そして、被覆材の交換
を頻繁におこなえば、使用する医薬の量も増大し、被覆
材を交換する際の患者の苦痛も増す。また被覆材の交換
に要する医師の労力も無視できないといった問題点があ
った。
【0003】さらには、創面との親和性が良好で、治癒
を促進する観点から、生体由来の材料、例えば、ヒアル
ロン酸等のグルコサミノグリカン、コラーゲン等が、創
傷被覆材等の医療の分野で取り上げられるようになって
きた。しかし、コラーゲンは動物の真皮、腱、骨、筋膜
等に豊富に含まれ、また、異種動物由来のものでも酵素
処理によりアテロコラーゲンとすると免疫原生を低下さ
せることが可能であるために多量に生産されて、比較的
安価に入手することが可能な有用な材料であるが、生理
的条件下で再線維化するので、種々の親水化処理や架橋
処理を必要とする。架橋剤により化学架橋を導入するこ
とにより、形態保持性は向上するが、コラーゲンの特性
であるともいえる生体親和性が著しく損なわれるといっ
た問題点があった。また、ヒアルロン酸は生体内での分
解抑制などを理由に架橋反応が加えられていたために、
ヒアルロン酸本来の治癒促進効果が低減するなどの問題
点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】創傷被覆材は、創傷治
療を促進するために、いくつかの必要条件を備えていな
ければならない。例えば、創傷被覆材は、創傷面からの
滲出液を除去するために適度に吸収性で、液取り込み速
度が大きくなければならない。そして、吸収した液体が
創傷被覆材から漏れたり、寝具を汚したりすることを防
がなければならない。また、創傷被覆材は、創傷が呼吸
できるように通気性であると共に、外部からの細菌によ
る感染の可能性を最小限にして、創傷部をできるだけ無
菌状態に維持しなければならない。ところが、従来より
採用されている創傷被覆材では、これらの要求が十分満
たされていたとは言えない。
【0005】したがって、本発明の目的は、外部からの
細菌の感染の可能性を最小限にすると共に、創傷面から
滲み出るかなりの量の滲出液を吸収することが出来、且
つ滲出液中に含まれる水分を所望な速度内で創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発させることによって創傷被覆材の有効
寿命を延長することが出来る創傷被覆材を提供すること
にある。さらには、創傷面との親和性が良好で、創傷面
の治癒促進作用を有する創傷被覆材を提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成したも
ので、本発明の目的は、疎水性繊維と高吸収性繊維から
なる不織布層と開孔を有する熱可塑性樹脂フイルム層及
び非架橋ヒアルロン酸スポンジ層の3層からなることを
特徴とする創傷被覆材を提供することにある。
【0007】すなわち、本発明は以下のような構成から
なる。 (1)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層、ポ
リウレタンを除く熱可塑性樹脂からなり、開孔を有する
フイルム層及び非架橋ヒアルロン酸スポンジ層の3層か
らなることを特徴とする創傷被覆材。 (2)疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布層の目
付けが30〜300g/m2 である(1)の創傷被覆
材。 (3)開孔を有する熱可塑性樹脂フイルム層の厚みが5
〜100μmである(1)または(2)の創傷被覆材。 (4)非架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒアルロン酸
がエポキシ化合物などの架橋剤で架橋されていないこと
を特徴とする(1)〜(3)のいずれかの創傷被覆材。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施態様として、図1
に示すような構造が挙げられる。すなわち、疎水性繊維
と高吸収性繊維からなる不織布層11は、創傷面から放
出された大量の創傷滲出液を吸収することができ、滲出
液内に含まれている水分を所望な速度内で、創傷被覆材
を通して創傷被覆材の外部表面に移して、この水分を周
囲の環境中に蒸発されるようにする能力を有している。
このように、吸収された液体からの水蒸気を大気中に発
散できるようにすることにより、当該創傷被覆材の交換
頻度を少なくすることが出来る。
【0009】本発明に用いる高吸収性繊維としては、木
材パルプ、木綿の天然繊維、レーヨン、キュプラの再生
繊維、アセテート等の半合成繊維等が用いられる。疎水
性繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成繊維が好適であ
る。特に疎水性繊維と高吸収性繊維とを重量で6:4〜
8:2の比率で用いれば、疎水性の繊維が、滲出液を吸
収した高吸収性繊維から水分を受取り、外気層に該水分
を蒸発させる役をなし、特に好ましい。疎水性繊維と高
吸収性繊維からなる不織布層11を構成する繊維の太さ
は0.3〜10デニール(d)程度、好ましくは0.5
〜5d程度のものが望ましい。
【0010】不織布を作る方法としては、既に公知の方
法、例えば次の方法で作ることができる。 紙を抄くのと同様に、水を使って短い繊維の層(ウェ
ブ)を作って、樹脂を含浸し、乾燥して固める湿式法。 水を使わずに機械的にウェブを作り、樹脂もしくは接
着用繊維で結合させる乾式法。 乾式と同じ方式のウェブを、刺をつけた針で突っつい
て、機械的に繊維を交絡させるニードルパンチ法。 乾式と同じ方式のウェブを高圧水流で繊維を交絡させ
るスパンレース法。 繊維になる前の、溶けた原料樹脂を多数の小穴(ノズ
ル)から同時に吹き出して細い糸を作りながら、その連
続した多数の糸をあらゆる方向にクモの巣のように配置
して均一な厚さのウエブを作り、自然にまたは機械的に
糸同志をくっつけるスパンボンド法。
【0011】上記の不織布層11も、これらの公知の方
法、もしくは、これらの方法を組み合わせて作る事がで
きるが、製法によっては、繊維の方向によって不織布に
伸び易い方向と伸び難い方向とが出来る。本発明に用い
られる不織布は伸縮性が必要なため、伸長度が比較的大
きいものが用いられる。伸長度とは長さ60cm幅6c
mの不織布に1500gの荷重をぶら下げた場合に何c
m伸びるかを元の長さに対する百分率で表したもので、
本発明に用いられる不織布は好ましくは30〜200
%、より好ましくは、40〜150%のものが望まし
い。不織布層11の厚さとしては、柔軟性、耐久性、作
業性、吸収性等を考慮し好ましくは1〜20mm程度、
より好ましくは1〜10mm程度のものが望ましい。
【0012】不織布層11の目付けは、滲出液の保持力
の観点から、好ましくは目付け30〜300g/m2、
より好ましくは、50〜200g/m2のものが好適で
ある。上記の疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織布
層11に更に、熱可塑性樹脂フイルム層12を積層する
ことは、不織布層11の毛羽立ちを抑制すると同時に創
傷面からの滲出液を不織布層への吸い上げを調節するの
に有効である。そのため、熱可塑性樹脂フイルム層には
吸い上げを調節するスリット状の切れ込みもしくは貫通
孔などによる開孔が施されている事を特徴としている。
また、ヒアルロン酸スポンジ層の物理的強度を保つ事が
出来るといった長所がある。
【0013】創傷被覆材に用いるフィルム材の要件とし
て、製膜したフィルム材からの製造工程で用いた有機溶
剤や可塑剤成分の溶出ができるだけ少ない事である。た
とえば柔軟性が良いとされているポリウレタンなどはそ
の溶剤としてジメチルホルムアミドなどの人体有害物質
を用いており、後工程で洗浄操作が加えられてもその危
険度は皆無とはならない。
【0014】そこで我々はできるだけ上記成分の溶出を
抑えられる高分子材料としてポリウレタンを除く熱可塑
性樹脂フィルムに用いる事にした。その中でも特に溶出
が少ないポリエチレンまたは適度に透湿性を持ち柔軟性
のある熱可塑性ポリエステルなどが適している。通常こ
れらの樹脂は単独で用いられるが、2種以上を共重合さ
せたものを用いてもかまわない。
【0015】これらの樹脂を既知の方法などで溶融する
ことにより、離型紙などの支持体上にフィルム状に成型
して製される。支持体としては、特に限定されないが、
ポリエチレン、ポリプロピレン、フツ素あるいはシリコ
ーン系の離型剤を塗布した離型紙あるいは布帛等が用い
られる。
【0016】本発明において、上記不織布層11の片面
(内側)に熱可塑性樹脂フィルム層12を設けるには、
不織布上に直接熱溶着させるか適当な接着材などを用い
てラミネートさせる方法が用いられる。
【0017】尚、不織布層11と熱可塑性樹脂フィルム
層12とを接着剤を介して積層する場合、全面に接着剤
を塗布すると、熱可塑性樹脂フィルム層12の透湿性機
能が損なわれてしまうので、両者が容易に剥離しない程
度の部分的な接着とするのが好ましい。
【0018】熱可塑性樹脂フィルム層12の厚みは特に
限定されないが、通常5〜100μm、好ましくは8〜
50μmである。5μm以下では塗布の際ピンホールが
できやすく取扱いにくい。50μm以上では十分な透湿
性を得にくかったり、フィルム層が硬くなり、皮膚との
密着性が損なわれやすい傾向にある。
【0019】本発明の創傷被覆材は、治癒過程で多量に
創傷液を滲出する創面に適用して、創傷の治癒を促進す
る用途に使用するのを目的としている。従って、透湿
性、通気性を有する熱可塑性樹脂フィルムを用いても、
創傷面からの大量の滲出液を透過させることは出来ない
ので、熱可塑性樹脂フイルムに開孔を形成して、創傷面
からの滲出液を創傷被覆材の吸収性繊維に吸収させる必
要がある。
【0020】開孔の形状としては、十文字状あるいは一
文字状のスリット状、針穴状、パンチ穴状開孔等を挙げ
ることができる。特にスリット状開孔は、創傷面からの
滲出液の量に応じて治療者が適度に開孔の大きさを調節
することができるため、他の開孔方法より有用性が高
い。
【0021】開孔の形成位置としては長さ方向に所定の
間隔に形成したものの他、ランダムに形成したもの、リ
ング状に形成したものなどその形状、数量など任意であ
り、その長さも特に限定されないが、約1cm長さのス
リット状の切れ込みを上下約1cm間隔で開孔させたも
のが使い勝手が良いがこれに制限されるものではない。
これらの開孔を形成させる方法としては、例えば、多数
のカッター刃の埋め込まれたローラ等を熱可塑性樹脂フ
イルムの面に転がす等の方法を採用することが出来る。
【0022】本発明の創傷被覆材においては、熱可塑性
樹脂フイルム層のみならず、熱可塑性樹脂フイルム層と
不織布層の両層に開孔を形成しても良い。
【0023】本発明の他の目的とするところは、生体親
和性の高い非架橋ヒアルロン酸を使用することにより、
創面の治癒促進作用を有する創傷被覆材を提供すること
にある。すなわち、ヒアルロン酸は創傷治癒課程におい
て創面に高度に水和した微小環境を提供する。このよう
な微小環境内では、種々の細胞が創面を移動する際の細
胞膜と基質との接着−脱着が制御され、細胞の移動が容
易になるので創傷の治癒が促進されることが知られてい
るが、非架橋ヒアルロン酸は従来の架橋ヒアルロン酸に
比し、よりその効果が高くなることが期待できる。
【0024】特に、創傷面との密着性の向上をはかるた
めにヒアルロン酸はスポンジ状にするのが好ましい。
【0025】ヒアルロン酸は創傷治癒過程において優れ
た働きをするが、生体に適用したときに滲出液に溶解し
やすいといった理由により、比較的長期の形態保持性を
要求される創傷被覆材の材料にはそのままの形態では不
適当であるとされてきた。しかし、我々の検討によりヒ
アルロン酸水溶液を濃縮及び凍結乾燥することにより、
非架橋の状態でも十分生体での保持性の高いスポンジを
作製できることがわかった。通常ヒアルロン酸は水に溶
かすと粘調な溶液となり、取り扱いには1%の濃度が限
界であり、1%以下の濃度では凍結乾燥後には疎なスポ
ンジが主に作製されていたが、形成容器に入れた段階で
加温により水分をとばすことにより濃縮することによ
り、所望の厚さのスポンジ層を作製することができ、実
際創面に適用した場合にも滲出液等で流れ落ちて創面に
残らないようなこともなく、架橋を施したヒアルロン酸
と残存性は差はなかった。
【0026】使用するヒアルロン酸としては、例えば、
分子量が好ましくは50万〜300万、より好ましくは
180万〜220万程度のものが用いられる。ヒアルロ
ン酸水溶液の濃縮は恒温器中に5〜30時間好ましくは
10〜20時間加温することにより濃縮されたヒアルロ
ン酸水溶液が調製される。反応温度は、例えば30〜6
0℃、好ましくは40〜50℃程度で行えば良く、反応
時間は、好ましくは5〜30時間、より好ましくは15
〜20時間である。ただし、濃縮工程は本発明を限定す
るものではなく、必要に応じ実施すれば良く、スポンジ
層の所望する厚みにより適宜選択すべきである。一般に
は、生体内(例えば、ウイスター系ラットの皮下)に埋
入して1週間放置した後に5〜30重量%程度が残存す
るヒアルロン酸スポンジを用いることが好ましい。
【0027】非架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、成形容
器に上記により濃縮したヒアルロン酸水溶液を注入
し、、−20℃〜−100℃、好ましくは−40〜−8
0℃の冷凍庫で急冷凍結して凍結乾燥することにより製
造しても良いし、凍結乾燥機の中で−30〜−50℃に
徐々に冷却した後、真空乾燥する事により製造しても良
い。スポンジ状シートの形成方法としては、上記のよう
な凍結乾燥方法を挙げることができるが、これに限定さ
れることはなく、当業者は適宜の方法を採用することが
出来る。
【0028】非架橋ヒアルロン酸スポンジ層の厚さは、
創傷被覆材の使用目的や、適用部位により任意に設定す
ればよいが、好ましくは0.5〜20mm、より好まし
くは1〜10mm程度である。
【0029】尚、本発明の創傷被覆材の各構成部材であ
る、不織布層、熱可塑性樹脂フイルム層及びヒアルロン
酸スポンジ層の任意の構成部材、あるいはその全部の構
成部材に抗菌剤を配合しておくことが好ましい。抗菌剤
としては、サルファ剤、ペニシリン、ナリジキシン、ス
ルファジアジン銀、硫酸ポリミキシン、硫酸ゲンタマイ
シンなど、任意の抗菌剤を用いることが出来るが、最も
好ましいのは、抗菌スペクトルが広く、耐性菌が出現し
にくいスルファジアジン銀を使用することである。抗菌
剤の含有量は、薬剤の種類、創傷被覆材の使用目的や適
用部位により決定すれば良いが、スルファジアジン銀を
使用する場合には、創傷被覆材の含有量または塗布量は
20〜500μg/cm2 、好ましくは50〜400μ
g/cm 2 である。このような含有量にすることによ
り、創傷面における細菌増殖の抑制を可能にすると同時
に、滲出液を吸収した創傷被覆材の内部での細胞増殖も
効果的に抑制することが出来る。
【0030】本発明の創傷被覆材は非架橋ヒアルロン酸
スポンジ層が創傷面に接するように使用されるが、包帯
状、あるいは、数cm角から数十cm角のパット状など
任意の形状で用いることができる。創傷の程度や深度、
創面の面積等に応じて適宜選択して用いることができ
る。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に示
し、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、以
下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 不織布層11の製造 疎水性繊維と高吸収性繊維とからなる不織布層11は、
平均繊度1.5dのポリエステル繊維と2.0dのレー
ヨン繊維を重量比で70対30の割合で混合した後、極
めて薄い繊維の層(ウェブ)を作り、このウェブを重ね
合わせて目付けが120g/m2 に成るようにした後、
このウェブ層を刺をつけた針で突っついて、繊維同志を
お互いに機械的に絡み合わせて(ニードルパンチ法)作
成した。この不織布層に抗菌剤として、スルファジアジ
ン銀が50μg/cm2 になるように塗着した。
【0032】実施例2 熱可塑性樹脂フィルム 柔軟性に富み且つ透湿性を有する自社開発ポリエステル
であるペルプレンを離型紙上に20ミクロン厚のフィル
ム状に製膜した。ただし、上記する機能を有するもので
あれば、市販の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0033】実施例3 複合熱可塑性樹脂フイルム層の
作成(対照実験用創傷被覆材) 実施例2で得られた熱可塑性ポリエステルフィルムと実
施例1で得られた不織布の片面に、当社開発の接着材
(ダイナック)を用いて熱接着(120℃、10秒)さ
せた後、長さ1cmのスリット状の開孔を直線状に1c
m間隔に設け、該線のピッチ(線と線の並行間隔)が1
0mmとなるようにして、開孔を有する複合熱可塑性樹
脂フイルム層を作成した。
【0034】実施例4 非架橋ヒアルロン酸創傷被覆材
の製造 先ず最初に、醗酵法で作成された分子量200万のヒア
ルロン酸の1%水溶液(pH=6)を作成し、それを内
容積200mlのポリスチレン容器(縦10cm、横1
0cm、高さ2cm)に上記の1%ヒアルロン酸水溶液
200ccを注入し、上記実施例3で製造した複合熱可
塑性樹脂フイルム層を10cmx10cmのサイズにな
るように切断し、熱可塑性樹脂フイルム層12がヒアル
ロン酸層と接するように乗せた。このポリスチレン容器
を50℃に設定した恒温器内で約10時間加温することによ
り濃縮させた後、真空凍結乾燥することにより非架橋ヒ
アルロン酸スポンジ層を有する創傷被覆材を作成した。
【0035】実施例5 架橋ヒアルロン酸創傷被覆材の
製造(対照被覆材) 同様に分子量200万のヒアルロン酸の1%水溶液(p
H=6)に架橋剤としてエチレングリコールジグリシジ
ルエーテルをヒアルロン酸の繰り返し単位の分子量に対
して1/10モル量となるように加えた。この混合物1
00mlをポリスチレン容器(10cm×10cm)に
注入した。次いで、実施例3で製造した複合熱可塑性樹
脂フィルム層10cm×10cmをフィルム側とヒアル
ロン酸が接するようにのせ、50℃に設定した乾燥機内
に5時間静置して分子間架橋反応を行った。これを実施
例4と同様に真空凍結乾燥することにより、架橋ヒアル
ロン酸スポンジ層を有する創傷被覆材を作成した。
【0036】実施例6 動物実験 上記、実施例4及び5で得た創傷被覆材をエチレンオキ
サイドガスで滅菌処理した後、以下の実験に供した。即
ち、麻酔下でウィスター系ラット(8週齢)の両背部を
剃毛し、イソジンで消毒した後、1辺20mm大の全層
皮膚欠損創を作成し、右背部に実施例4で製造した非架
橋ヒアルロン酸スポンジ層を有する創傷被覆材を適用
し、左背部に対照として実施例5で製造した架橋ヒアル
ロン酸スポンジ層を有する創傷被覆材を適用し、その上
にガーゼをあてて伸縮性粘着テープで固定した。1週
後、麻酔下で被覆材を除去して創面の状態を観察し、創
周辺をイソジンで消毒した後、再度、非架橋ヒアルロン
酸スポンジ層を積層した創傷被覆材ならびに対照被覆材
を適用し、ガーゼをあてて伸縮性粘着テープで固定し
た。以後、一週毎に新しい創傷被覆材の貼り換えを行
い、経時的に創傷の状態を観察した。
【0037】非架橋ヒアルロン酸スポンジ層を積層した
創傷被覆材を適用した右背部は、肉芽組織の形成と創周
辺からの収縮が促進され、創傷被覆材適用2週目の時点
では、皮膚欠損創の大きさは10×4mm程度となり、
治癒期間中も適度に創面の湿潤状態が保たれていた。他
方、架橋ヒアルロン酸を有する被覆材を適用した左背部
は、被覆材適用2週目の時点で、皮膚欠損創の大きさは
13×7mm程度であり、創面はやや乾燥状態であっ
た。総合的に判断すると、非架橋ヒアルロン酸スポンジ
層を積層した創傷被覆材は、治癒の期間中、創傷治癒に
必要な滲出体液等で適度に湿潤状態を保たせる効果が架
橋ヒアルロン酸に比べ高く、創の縮小の程度も高いと推
測された。
【0038】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る創傷被
覆材は以下の効果を奏する。 不織布層11は、疎水性繊維と高吸収性繊維から構成
されているので、創傷面から放出された大量の創傷滲出
液を吸収することができ、滲出液内に含まれている水分
を所望な速度で創傷被覆材を通して創傷被覆材の外側表
面にうつして、この水分を外部に蒸発させる能力を有し
ているので、この滲出液が必要以上に創と創傷被覆材と
の間に貯留されることがない。従って、創傷被覆材の取
り替え頻度を少なくすることができるので、作業の繁雑
さが軽減され、治療者の手間が大いに省ける。 生体親和性の高い非架橋ヒアルロン酸スポンジ層を創
傷被覆材に組み込むことにより、架橋ヒアルロン酸創傷
被覆材に比べより高い創傷治癒促進効果が得られること
が期待できる。 非架橋ヒアルロン酸でも濃縮することにより、架橋を
施したヒアルロン酸と同等に創面に残存させることがで
き、創傷治癒促進効果の持続を期待できる。 創面の湿潤状態を保持させる役目を担うフィルム層の
素材として、熱可塑性樹脂フィルムを用いる事により生
体への安全性を高めた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における創傷被覆材の一実施態様を示
す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層、ポリウレタンを除く熱可塑性樹脂からなり、開孔
    を有するフイルム層及び非架橋ヒアルロン酸スポンジ層
    の3層からなることを特徴とする創傷被覆材。
  2. 【請求項2】 疎水性繊維と高吸収性繊維からなる不織
    布層の目付けが30〜300g/m2 である請求項1に
    記載の創傷被覆材。
  3. 【請求項3】 開孔を有する熱可塑性樹脂フイルム層の
    厚みが5〜100μmである請求項1または2に記載の
    創傷被覆材。
  4. 【請求項4】 非架橋ヒアルロン酸スポンジ層は、ヒア
    ルロン酸がエポキシ化合物など架橋剤で架橋されていな
    いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の創
    傷被覆材。
JP2001001616A 2001-01-09 2001-01-09 創傷被覆材 Pending JP2002200110A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015512732A (ja) * 2012-04-13 2015-04-30 リベルテックス 吸収性物品用の吸収性コア及び/または捕捉及び分散層を含む一体吸収性構造体
KR101904780B1 (ko) 2016-06-16 2018-10-11 주식회사 티앤엘 고흡수성 드레싱재

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